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2021年1月11日月曜日

写真撮影の基礎知識

初心者のためのカメラ撮影術

 


 写真撮影は初心者にとってわからないことばかりです。絞り? 焦点距離? 被写界深度・・・。いずれも基礎的な事柄ですが、スマホ写真やフルオートに近いコンデジしか触ったことのない人にとっては、何のことやらさっぱりです。
 これからデジイチ(デジタル一眼レフ、あるいはミラーレス・カメラ)を趣味や仕事で必要とする人にとっては避けられない基本要綱です。でも身構えることはありません。写真というものの本質を理解すれば、それらはいずれもまったく光学的な理にかなったものばかりで、取り立てて専門知識に頼る類のものではありません。
 本当はこれらの基礎知識をわきまえた先にある、実践現場での撮影の方が、はるかに奥深く、難しいことに満ちているのです。
 
 まずは現場に出る前に、家の中でカメラ片手にいろいろと試写してみると、見えてくるものがあります。その時に、以下の記事が多少なりとも理解の助けになる思いますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。



知れば上手くなる写真撮影の法則


写真の基礎は「絞り・シャッタースピード・ISO」

 露出をコントロールする3つのカメラの設定は、絞り、シャッタースピード、そしてISOです。

 それぞれの機能を簡単に説明します。
絞りをコントロールするダイヤフラム


  絞り: レンズに入る光の量をコントロールします。絞りは、使用されているF値に基づき、その幅を調整するレンズのダイヤフラムによって制御されます。F値が高いほど、絞りの開きは小さくなり、レンズに入る光は少なくなります。絞り開放というのはそのレンズの窓を最大に開いた状態のことで、数字は2.8、2、1.4などと小さくなっていきます。

シャッタースピード: レンズに到達する光の持続時間を制御します。これは、カメラのセンサーの前にあるシャッター幕によって制御されます。シャッタースピードが速いと、幕の開閉が早くなり、センサーが光にさらされる時間が短くなります。遅いとその分、光を多く取り入れることになります。動きの速い被写体を捉えるには、高速なシャッター値の設定が必要となります。

ISO: 
International Organization for Standardization(国際標準化機構)の略ですが、そんなことは覚えなくても結構です。センサーに入った光に対して、カメラが感じる度合いを表すものがISOとなります。ISOが高いほど、センサーの感度が高くなります。日中ではISO100や200で程よい感度になりますが、夜間や暗所の場合、暗さに応じてISO値を400、800、1600と上げていくのですが、上げ過ぎると通常ノイズが発生しやすくなり、画質が荒れてくる特性があります。

 もちろん、これら3つの設定はそれほど単純ではありませんし、それぞれが互いに影響し合う関係なので、その調整次第で結果は大きく差が出ることになります。



 つまり、それぞれの設定には責任分担があり、適切な露出を得るために、すべての設定に気を配る必要があります。設定次第で、全くの同じ被写体が見違えるように変わった印象のものになります。そこが写真の面白いところです。


 まずは絞りから始めましょう。多くの入門書や解説では絞りモードを最初にマスターすることを推奨しています。絞りは被写界深度を制御するものであるため、被写体をより際立てて撮影することができます。いわゆる主体のわかりやすい「絵」になるのです。
(被写界深度:ピントの合う立体的範囲のことをさすことば)






 上の写真のように、被写界深度を浅くして背景をぼかしたい場合は、絞りを大きくする必要があります。
 多くの人が戸惑うのは、絞りの大きさとF値が反比例していることです。つまり、F/2は非常に大きな絞りで、F/16は非常に小さな絞りということになります。



 つぎにシャッタースピードは、写真の中でどのように動きを捉えるかをコントロールします。シャッタースピードは、1/30秒、1/100秒、1/500秒などのように、1秒単位で計測されます。


 
 当然のことながら、シャッタースピードが速くなればなるほど(たとえば1/250秒、1/500秒)、上記のように動いている対象の動きをフリーズさせてしまう可能性が高くなります。
 逆にシャッタースピードを遅くすると、写真に動きのブレが出てくるようになります。




 最後の要素であるISOは、デジタルノイズの量をコントロールします。

 デジタルノイズはフィルムの粒のようなもので、下の写真のように画像にざらざら感を与えることがあります。


ISO 800
ISO 12800



 ISOは、ほとんどのエントリーレベルのカメラでは約100~6400の範囲で測定されていますが、概して新しいカメラほどより高い数値でノイズを抑えられるようになっています。ただしISOの上限が大きい数字だからと言ってそこに頼ると、見るに堪えない写りになることがあります。最大値より数段低めのISOを設定した方が安全と言えます。



カメラの設定で撮りやすくする

 以上の三つの要素を知るにはそれぞれのモードを試すわけですが、最初からマニュアルモードで撮影する必要はありません。

 最初はフルオートで試し撮りを繰り返し、そのカメラの色合いや光の捉え方などのクセを掴むことです。ひと口にオートモードと言ってもカメラやメーカーにより、色調や設定される数値も変わってきます。ある程度オートモードの特性がつかんでから、
絞り優先、シャッター優先、プログラムへと自分で数値を調整しながら、さじ加減を理解していきましょう。フルマニュアルでの撮影に移行する前に、絞り具合など各位の特性を把握しておくことで、マニュアル時の微調整がやりやすくなります。  


 絞り優先モード(カメラのダイヤルのAまたはAv)では、絞りが優先され、その設定をコントロールすることができます(ISOもコントロールできます)。そのさいカメラは
自動的にシャッタースピードをコントロールするので、絞りの変化に応じてカメラはシャッタースピードを調整して、適正な露出が得られるようにしてくれます。これは、ポートレートのように被写界深度を重視する場合に有利です。

 シャッター優先モード(カメラのダイヤルのSまたはTv)では、カメラが絞りを制御している間にシャッターとISOを制御します。シャッタースピードを変更すると、こんどはカメラは自動的に絞りを変更して、露出の高い画像を撮影します。

このモードは、先ほどのように動体の動きを止まらせたり、川の流れをぼかしたりするなど、動きをコントロールするのに適しています。

 最後に、プログラムモード(カメラのダイヤルのP)では、カメラの設定をさらに細かくコントロールできます。
 このモードでは、ISOが優先されるので、ISOを設定すると、カメラはそれに応じて絞りとシャッタースピードを適正に調整します。



 上の写真のような夕暮れ時の撮影の場合、まずISO設定を念頭に低照度撮影するといいでしょう。プログラムモードだと、絞りやシャッタースピードの選択は、カメラに依存しますが、そのあとに露出補正をかけてより適切な写りのバランスをとってみましょう。
 プログラムモードは、実際にはマニュアルモードではなくても、マニュアルモードに一歩近づいた自由度の高いモードと思えばわかりやすいでしょうか。



 露出の基本、露出の三要素、そして様々な撮影モードについて学ぶことで、段階的にオートからマニュアルモードに移行していきましょう。違いを体感するために、各モードでの違い、自分がマニュアル設定したものと、オートとの撮り比べで、その違いがだんだん分かってきます。必ずしもオートが最善であることはなく、あなたの狙い、好みに絞って、オートより味のある写真をどれだけ多く撮れるようになるか。自己チェックを怠らないようにしてください。
 そういった意味で、写真の修練は撮影時だけではなく、撮った後にいかに自分の写真を分析するかが重要です。まずは撮影枚数をこなし、自分とカメラの距離を近づけていきましょう。カメラが自分の目の一部となるくらいまで深く付き合っていくと、撮影の面白みが深まっていきます。

 次回は撮影時にありがちな疑問について考えていきます。



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