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2021年3月21日日曜日

野鳥をカメラで撮る

野鳥撮影初心者の入門編その1



まずは練習

野鳥撮影という新しい趣味を始めるのに最も重要なことは、一に練習、また練習です。鳥の写真を撮るには、鳥がたくさんいる場所を探さなければなりません。これは当たり前のことです。しかし、多くの鳥好きのカメラ初心者は、有名な鳥類保護区みたいなところまで行って撮ろうとします。最初の意気込みとしては結構なのですが、まず自分の近所で練習するところから始めましょう。一刻も早く希少な鳥を撮りたいとはやる気持ちは分かりますが、野鳥を撮るのは思いのほか難儀です。


まずは自分の家の周りを見てみましょう。都会じゃ鳥はいないという人は、スズメやカラスに失礼です(笑)。身近な鳥は格好の練習台です。とくにすばしっこく動き回るスズメはあなたの野鳥撮影トレーナーです。数か月、あのスピードに慣れるほどに、ファインダーで追い続けていると、他の鳥が止まって見えます。と言えば大げさですが、間違いなく小鳥の動きに順応できるようになります。
我が家の近くには大きな川がありヨットハーバーがあるので、カモメがたくさん集まってきます。芝の野球場にはカナダ鴨が群れ、近くの沼沢地にはトンビも舞っています。野鳥を探すにはけっこう贅沢な土地なのですが、それでもいざ鳥を撮るとなると、日中丸一日鳥探しに終始して収穫ナシの日もあるものです。
すこしでも効率よく野鳥を撮るには鳥の生態を下調べし、どんな場所にどんな鳥がいるのか、どのような行動をするのか、ある程度知っておくべきです。ただやみくもに森に分け入っても時間が過ぎていくばかりなのです。
そうしてようやくやってきたシャッターチャンスに、カメラの腕が追い付かず、失敗写真の山を築くというのが初心者のあるあるです。




観察者になることが野生写真撮影の肝です。身近なものから観察していきましょう。


ほとんどの動物園には鳥がいますし、多くの動物園には地域の鳥やエキゾチックな鳥がいっぱいの鳥小屋があります。経験豊富な写真家は動物園での撮影を嫌がることがありますが、それは無視してください。動物園での試し撮りは、多くのアマチュア写真家が通う場所です。私たちは裏庭から動物園まで、どこから始めるのも自由です。ただ高いハードルを課し遠征してまで野鳥を探すのは待ってください。腕前が上がるのを待ってからでも遅くありません。



構図

写真撮影のコツとして、構図についての説明が必要です。構図と光は、写真撮影に欠かせない2つの要素です。風景写真から人物写真まで、どのようなスタイルの写真を撮るにしても、この2つの要素をしっかりと把握する必要があります。

どこに行くにもカメラを持ち歩く習慣をつけましょう。自分の周りの世界を、写真家になった気分で見てみましょう。繰り返しますが、鳥に限らず、撮影は観察力が命です。さまざまな色や光の陰影に注目してください。曖昧なシーン、皮肉なシーン、逆説的なシーンを探してみましょう。

初心者の方が陥りがちなのが、被写体がきれいに撮れているのに、背景が汚くなってしまうことです。被写体の向こうに何があるのか、特に鳥の場合は鋭い観察力が必要です。逆に鳥の後ろに美しい環境があったとしても、被写体を台無しにするような構図はあってはなりません。

構図についての最終的な考えはいろいろあるでしょうが、まずはフレームいっぱいに鳥を入れること、自然でない環境を避けること、そして鳥の目を捉えることです。ボケた背景を余白として大きく取ることもありますが、やはり基本は鳥を大きく撮ることです。



撮影機材

野鳥撮影の旅ほど、ワクワクと緊張するものはありません。初心者には二通りあって、カメラ一台レンズ一本だけで勝負するタイプ。もしくは大きなリュックサックに三脚、双眼鏡、カメラ、レンズ数本に雨合羽、折りたたみ椅子、食料などを詰め込んで、野営も辞さないタイプです。でもそれらはだいたい


足手まといになるだけです。さらに、自分が何をしているのか、何が本当に必要なのかがわかるまでは、高価なツールはレンタルすることをお勧めします。

現在のデジタル社会では、スマホのカメラでも多くの写真を撮ることができます。しかし鳥の写真はスマホに向かない被写体の代表格です。鳥は小さくて、速くて、臆病です。グリップさえないスマホでは、うまく撮れないことがほとんどです。

野鳥撮影の初心者には、最低でも2,000万画素、マニュアル設定、200mm以上のズームを備えたカメラが必要です。ブリッジカメラ(ポイント・アンド・シュートとフルデジタル一眼レフの中間のようなもの)の多くは、お金をかけずにこれらの資格を備えています。

また、三脚とシャッターレリーズも必要です。鳥は小さく、遠くにいることが多いので、シャープな写真を撮るためには、カメラをできるだけ静止させる必要があります。そのために、三脚とシャッターが必要なのです。必然的にレリーズの代わりにカメラのタイマーを使うこともできます。

もっと高度な話になると、ズームレンズ、カメラのセンサーサイズ、秒間コマ数、ミラーレスとデジタル一眼レフの違いなどが出てきます。



撮影後の処理

今日、ほとんどの写真家は、すべての画像に編集を施しています。中には、画像の修正を嫌う「純粋主義者」もいますが、近年それは稀です。今日のデジタル機器では、写真家はRAWフォーマットで撮影することが常です。これについては、また別の機会にご紹介したいと思います。RAWファイルは、より多くのデータを扱うことができますが、常にカメラの外での調整が必要です。

フィルム時代には、本格的な写真家は暗室で結果をコントロールすることを学びました。Adobe PhotoshopやLightroom、Affinity PhotoやCapture Oneなどの編集は、暗室での作業に匹敵するものだと思います。

後処理について包括的に論じると、何十ものブログ記事が必要になります。今回は、いくつかの簡単なヒントを紹介します。

照明
写真編集で一番時間をかけるのがこのパートです。ハイライト、シャドウ、全体の光を調整します。私たちは皆、カメラで完璧な照明を撮ろうと努力します。しかし、実際にはいくつかの調整が必要な場合が多いのです。実際に自分でみた光景を思い起こし、どのような光のトーンであったか、思い出しながら、自分の心に正直に微調整をかけていきます。

分析
画像は、カメラの背面にある小さな液晶画面ではよく見えます。しかし、撮影した画像のクオリティやシャープネスをコンピューターのモニターで評価することは重要です。鳥の写真はディテールが命。編集ソフトを使って、画像の足りない部分を補うのはいいことです。次回の撮影のためのデータとして役立てましょう。

写真を整える
鳥が飛んだり跳ねたりするのを追っていると、思いがけず電柱や建物、壁、車、フェンスなど、余計なものが映り込んできます。後処理ソフトはこれらを除去したり柔らかくぼかしたりする魔法のようなものです。不自然な加工にならない程度に調整するセンスが必要です。



おまけ



グラフィカルな紙の本で、野鳥ハンドブックはいろんな種類が出回っています。これは野鳥探しのために非常に頼りになるので、ぜひ一冊は持っていて欲しいものです。
洋書ですが、National Geographic Field Guide to the Birds of North Americaはアメリカでバードウォッチングする人は大抵持っている必携のガイドブックです。どの季節にどんな鳥がどこにいるのか一目でわかり、とても便利な一冊です。
あとThe Sibley Field Guide to Birdsというシリーズの野鳥ハンドブックが大人気で、この本も鳥の生態を知りたい方には必携のものとなっております。



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