NIKONのフラッグシップZ9
開発発表から読み解くカメラの将来
ついにニコンからフラッグシップ機Z9の開発発表がなされました。
たった一枚の正面からの写真とわずかな情報しか記されていませんが、一カメラファンとしては非常に心躍るニュースです。明らかにされたのは、
年内発売を目指している事。
縦横グリップ一体型であること。
新開発のニコンFXフォーマット積層型CMOSセンサーと画像処理エンジンの搭載。
8K動画撮影対応。
これだけです。
またアナウンスされたメッセージの中には「静止画・動画ともに過去最高の性能」とあり、さらに「幅広いジャンルで活躍するプロフェッショナルの極めて高いニーズに応えるべく」と書かれていますので、まさにプロフェッショナルなユーザーを対象にしたハイエンドなものになることが予想されます。また結びに「Z 9は、道具としての使い心地を極め、これまでの一眼レフカメラ、ミラーレスカメラを超える新しい映像体験を提供」とありますので、既存の自社機、ライバル機を凌駕するSOMETHINNGをもたらしてくれるのではないかと、期待が高まります。
これまでもNIKONは宣伝が下手で、どちらかと言えば控えめな論調がその誠実さとされてきましたが、今回の発表には、並々ならぬ自信をのぞかせており、本当にカメラファンを驚かせるような神機が誕生するのではないかと期待させられます。神機というのはなにもスペック表に現れるものだけではなく、手触りだとか、操作性への拘りとか、堅牢性、柔軟性、レンズとの相性、バランスなどなど、カメラとしての総合的な完成度がどこまで追及されているのかで判断されるものだと思います。
このわずかなニコンのメッセージからも、フラッグシップ機に賭ける並々ならぬ決意と自信がにじみ出ていますので、我々は大いに期待して待ちたいと思います。(買う買わぬは別として)
またこの発表に先駆けて、経済情報誌「東洋経済」でニコン常務執行役員池上博敬氏へのインタビューが掲載されており、ここでもニコンが当面ミラーレス機に注力する旨を語っています。文脈からはやはりニコンはミラーレス機進出には慎重で、他社と比べて開発も出遅れたことは認めているようです。その上で、今はしっかりと目標を定め、新たな再建策の元で独自のロードマップを展開する用意があるようです。
フラッグシップ機に関しては、恐らくこれから実物の発売に向けて、情報を小出しにして、夏頃その全貌をお披露目という段取りになっているのではないでしょうか。今回の発表は、うがった見方をすれば、SONYのフラッグシップ機a1が発売される3月19日の直前なので、けん制する意味もあったのかもしれません。本来ならCP+2021でも発表できたはずなのに、少しずらして今週にしたのは、発表のインパクトの余韻のある間にSONYのa1が発売され、その動向を見極めたかったからではないでしょうか。
とはいえ、今回のニコンのZ9で垣間見えるのは、ソニーのそれとの大きな隔たりです。
ソニーのフラッグシップ機a1はスペックを見る限り最新テクノロージーの塊みたいなモンスター機のようです。実際に触った人たちからの感想でも、並みいるソニーの最先鋭機のいいところを全部一台にまとめたような、超越的ハイスペックマシンだというのです。
キャノンはこのソニーからのあおりに真っ向対抗勝負する更なる超絶フラッグシップR1を出すべく開発を急いでいるいるようですが、ニコンはさほどスペック競争には乗る気がないようです。あくまでもニコンブランドとしての伝統のうえに、堅実かつ実用的なプロ志向重視のラインアップを温めているようです。
もちろんカメラも売れてなんぼのものですが、それ以上にモノづくりのこだわり、使う人への思いやり、のようなある意味頑固さを感じてしまうのは私だけではないでしょう。
そこがニコンのニコンたるゆえんです。
いま企業としてのニコンは、確かに世間の言うように、崖っぷちなのかもしれません。しかし、カメラやレンズ、その周辺の機器を実際に作っている現場は、そんなことどこ吹く風と、開発、研究、制作に勤しんでいるのではないでしょうか。ニコンはそんな社風のような気がします。ニコンが目指すカメラの将来は、きっともっとずっと先の方にあり、目先のシェア争うは二の次なのでしょう。だからこそニコンには頑張っていただきたいのです。結果出来上がったカメラがめちゃ高くて、買う人がいないものまで作っちゃうかもしれません。
それでも応援します。いいものはどういう経路をたどろうと、最後には歴史にその名を刻むはずです。ニコンがんばれ。遅くてもいいから、本気のカメラを出し続けてください。
願わくば、私を含め素人に毛の生えた新参者たちも手にできるメイドバイNIKONのエントリー機も一緒にお願いします。
手に取って「ああ。待っていたものがキターーーー!」と心ときめいたら、借金してでも購入します。(Z50もいいけれど今回は見送りました)
今回はNIKONにあこがれを持つ一カメラファンとして、期待を込めてZ9の開発発表を歓迎いたしました。
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