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Canon EOS R6 Mark iii vs SONY a7 V
結局どっちを買うか? プロの対談
今回は、アメリカで日本のカメラをこよなく愛す二人の写真家に対談してもらいました。事前にスペック云々の話は、他で散々見聞きしたので、そこは飛ばして、他人に勧めるポイントに絞って、対談していただきました。
A氏: カメラ歴25年のベテランスポーツ写真家。信頼性と堅牢性、一瞬を捉える性能を重視。
B君: カメラ歴5年の若いポートレート写真家。解像感、色再現性、動画性能、新しい技術への適応性を重視。
【新世代機の期待】
A氏: いやぁ、B君。ついに噂の R6 Mark III と a7 V のスペックが公開されたね。この2機種が市場に出たら、また勢力図が大きく変わるかもしれない。
B君: Aさん、そうですね! 特に a7 V は、5年ぶりのナンバリング機として、ポートレート界隈でも大きな話題です。でも、Aさん目線だと、スポーツ撮影でこの2機、どう見えますか?
A氏: 私のフィールド、つまり一瞬のシャッターチャンスを逃さず、どんな悪条件でも確実に記録するという視点で見ると、R6 Mark III の方がわずかに安心感があるかな。
B君: へえ、それはなぜでしょう? a7 V は5000万画素級のセンサーを積んで、新しいAIチップによるAF性能も大幅に強化されていると聞きますが。
【A氏の主張: 信頼性と速度のキヤノン】
A氏: 確かに a7 V の高画素化は魅力的だ。トリミング耐性が上がるのはスポーツでもメリットがある。しかし、私の経験上、キヤノン機の操作系の練り込まれ方とシステムの信頼性は、極限の状況下で頼りになるんだ。
シャッターのレスポンスとフィーリング: R6 系は、メカシャッターの耐久性と連写時のブラックアウトフリー性能が非常に安定している。動体撮影では、この撮影体験のスムーズさが重要なんだ。
トラッキングAFの粘り: R6 Mark III の進化した「ビークルAF」や「動物AF」は、被写体の動きが予測不能なスポーツシーンで、ソニーよりも一貫して被写体を捉え続ける粘りを感じるんだ。派手さはないが、外しにくい。
バッテリー持ちと堅牢性: R6 のボディは、防塵防滴性能も含め、過酷な環境での信頼性の実績がある。
A氏の結論: スポーツ写真家として、私はキヤノン R6 Mark IIIを推す。「確実な1枚」を「大量に」提供できる、システムとしての完成度が高いからだ。高画素より、信頼できる速度を選ぶ。
【B君の主張: 解像感と色表現のソニー】
B君: なるほど、Aさんの言う「極限の信頼性」は理解できます。ですが、私のメインフィールドであるポートレートやファッションの撮影では、求めるものが少し違います。私は断然、ソニー a7 Vを推しますね。
A氏: ポートレートで高画素を選ぶのは分かるが、それだけではない理由があるのかい?
B君: はい。まず第一に、5000万画素級センサーの解像感です。髪の毛一本、肌の質感、衣装のディテールを緻密に描き出せるのは、クライアントへの訴求力として非常に強力です。
ソニーカラーの進化: a7 V は新しい画像処理エンジンを搭載し、従来のソニーの課題だった**「人肌の色味」が大幅に改善**されたと聞いています。特に中間色のグラデーションの表現が滑らかになり、キヤノンに引けを取らない描写が期待できます。
新世代AI AFの柔軟性: a7 V のAIチップは、顔や瞳だけでなく、ポージング中の手の動きやアクセサリーなど、より多様な被写体認識ができるようになり、撮影の自由度が格段に上がります。
圧倒的な動画性能: 私の世代は動画の仕事も多く、プロキシ記録や4K 120pでのクロップレス撮影など、動画のワークフローを考慮した機能は a7 V の方が圧倒的に充実しています。
B君の結論: ポートレート写真家として、私はソニー a7 Vを推す。「表現の幅」を広げ、「高画質・高解像」という付加価値をクライアントに提供できる、未来を見据えた一台だからです。
【特筆すべきポイント】
R6 Mark III(A氏の推し): プリキャプチャー機能の拡張(シャッターを押す最大1秒前から記録を開始)
a7 V(B君の推し): ローリングシャッターを極限まで抑制した高画素センサー(電子シャッターでも歪みなし)
A氏: B君、この新しい R6 Mark III のスペックシートを見ていて、私が最も驚いたのは、プリキャプチャー機能の拡張だ。
B君: プリキャプチャーですか。連写バッファを利用してシャッターチャンスを遡って記録する機能ですよね。スポーツの現場でどう活用するんですか?
A氏: これが私の仕事では決定的なアドバンテージになるんだ。例えば、競泳のスタートや、鳥が飛び立つ瞬間、ゴールテープを切る一瞬。人間の反応速度ではどうやっても間に合わない「予測不可能な一瞬」がある。
A氏の主張(R6 Mark III): R6 Mark III は、このプリキャプチャーがシャッターを押す最大1秒前まで遡って記録できるようになった。これは、「シャッターチャンスを物理的に逃さない」ことを意味する。確実性が求められるプロの現場では、この保険機能こそが最高の信頼性なんだ。
B君: なるほど、人間の限界を超えるための機能というわけですね。それはスポーツやネイチャーフォトでは強力です。しかし、僕の 推すa7 V の特筆すべき点は、その高画素センサーの完成度にあります。
A氏: a7 V の5000万画素級センサーのことだね。
B君: はい。特に革新的なのは、その高画素でありながら、ローリングシャッター現象を極限まで抑制している点です。
B君の主張(a7 V): a7 V の新しい積層型に近い設計のセンサーは、電子シャッターを使っても、ゴルフスイングや電車のような高速な動きがほとんど歪まないんです。ポートレートでは風でなびく髪の毛、ファッション撮影では高速で動くモデルの動き。5000万画素のディテールを保持したまま、無音で、歪みなく一瞬を切り取れる。これは表現の自由度を大きく広げます。
A氏: 歪まない電子シャッターでの5000万画素はすごい。私の推す R6 Mark III のプリキャプチャーは、電子シャッターを使うとはいえ、歪みのリスクはゼロではないから、そこは a7 V の方が一日の長があるかもしれない。
B君: ええ。Aさんが「シャッターチャンスを逃さない」なら、僕は「シャッターチャンスを最高画質で、歪みなく捉える」ことで応えたい。どちらも、それぞれのプロのニーズを満たすための、技術の粋を集めた機能だと思います。
【視認性 vs. 緻密さのこだわり】
キヤノン R6 Mark III とソニー a7 V のモニター(背面液晶)の設計思想の違い
A氏: R6 Mark III の特筆すべきポイントは、やはりキヤノン伝統の「高輝度・高視認性」モニターだね。過酷なスポーツ現場では、太陽光に負けない見やすさが何より重要だ。
B君: Aさんの現場では、「光の中でも色と明るさが判断できる」実用的な視認性が命綱だと理解できます。一方で、僕が a7 V のモニターで注目しているのは、その「解像度の高さと、可動性の柔軟性」です。
A氏: 可動性となると、 R6 系と同じくバリアングル採用だろう?
B君: いえ、 a7 V は「バリチル」、つまりバリアングルとチルトの両方の機構を併せ持ったハイブリッドモニターを採用しているんです。これが僕の撮影スタイルにとって、非常に大きなアドバンテージになります。
a7 Vのこだわり(B君):
高い解像度と色忠実度: a7 V の高解像度モニターは、5000万画素のディテールと色のトーンを正確に把握でき、クライアントへの信頼につながります。
バリチルの柔軟性: ポートレートでは、縦位置でのローアングルやハイアングル撮影が非常に多いんです。従来のバリアングルだと縦位置で使う際に使いにくいことがありましたが、バリチルなら縦位置でもチルトのように素早く角度をつけられる。これは、表現の自由度と撮影のテンポを両立させるための、ソニーの現場主義的なこだわりだと思います。
A氏: なるほど、縦位置でのチルト操作の利便性は、確かにバリアングル単体ではカバーしきれない部分だ。我々スポーツ写真家は横位置がメインだから、モニターは素早く展開できるチルトだけでも不自由はないが、ポートレートや動画では「縦位置のローアングルを素早く確認する」ニーズが高いんだね。
R6 Mark IIIのこだわり(A氏):
対して R6 Mark III のモニターは、最高輝度と反射防止性能を重視し、どんな過酷な環境でも設定確認を可能にするという、「プロの道具としての確実性」に全振りしている。可動性もバリアングルで動画にも対応しているが、基本は「過酷な現場で壊れにくい堅牢性」が優先されている。
B君: そうですね。Aさんが「確実な情報確認」を優先するのに対し、僕は「高精細な描写の確認」と「アングル設定の自由度」をモニターに求めている。この設計の違いこそが、両メーカーの顧客層へのこだわりを象徴していると思います。
【総括: 選択は「何」を撮るか】
A氏: 面白い対談だった。結局のところ、カメラ選びは「何を、どのように撮りたいか」に尽きるということがよくわかったよ。
B君: そうですね。Aさんにとっては、決定的瞬間を逃さない堅実な仕事道具として R6 Mark III が最適で、僕にとっては、表現力を高めるための高精細なクリエイティブツールとして a7 V が魅力的だと。
A氏: 今回の結論としてはまさにその通りだ。私の推しは R6 Mark III だが、もし私がポートレート専門なら a7 V に手を出すかもしれない。
B君: 僕も、もし一発勝負の報道カメラマンなら、Aさんの言う R6 Mark III の「信頼性」を最優先にすると思います。
B君: そうですね。Aさんが「確実な情報確認」を優先するのに対し、僕は「高精細な描写の確認」と「アングル設定の自由度」をモニターに求めている。この設計の違いこそが、両メーカーの顧客層へのこだわりを象徴していると思います。
【総括: 選択は「何」を撮るか】
A氏: 面白い対談だった。結局のところ、カメラ選びは「何を、どのように撮りたいか」に尽きるということがよくわかったよ。
B君: そうですね。Aさんにとっては、決定的瞬間を逃さない堅実な仕事道具として R6 Mark III が最適で、僕にとっては、表現力を高めるための高精細なクリエイティブツールとして a7 V が魅力的だと。
A氏: 今回の結論としてはまさにその通りだ。私の推しは R6 Mark III だが、もし私がポートレート専門なら a7 V に手を出すかもしれない。
B君: 僕も、もし一発勝負の報道カメラマンなら、Aさんの言う R6 Mark III の「信頼性」を最優先にすると思います。
A氏:いずれにしても、これら二機種は今後のカメラ業界の中軸を担う最重要ポジションにあると言える。どっちも売れると思うけど、最終的には自分が本当に撮りたいものを考えて選ぼうよってこと。
B君:同感です。詰まるところ相性の問題。風評に惑わされず、自分の感じるパッションを信じて選べば、決して後悔はしないんじゃないかな。





