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2020年8月17日月曜日

アメリカ・学校再開の是非

 子供を学校に送るべきか


 アメリカでは9月の新学期を控え、学校再開の是非に関し、賛成派、反対派が激しく議論を展開しています。コロナウィルスへの対応を巡っては、感染状況の推移に伴って、賛否の優劣も変化します。州によっても対応はバラバラで、それぞれの州議会による決定に注目があつまります。現時点、全米の感染者数は500万人を突破、南部、中西部にかけ多くの州がきびしい感染状況です。

 近郊に3つの国際空港があるマンハッタンは、全米で最初にパンデミック対応を迫られた都市の一つです。4月、5月の強力な市内ロックダウンを敢行したニューヨーク市、それに呼応する対応をした、近隣地域は大幅な感染減少に成果を上げています。このまま行けば、9月の学校再開は可能なのでは、と期待感を滲ませています。

 そんな中、一貫して厳しい厳戒態勢を主張してきたクオモ州知事が、ついに学校再開の許可を公言しました。財政の逼迫が限界域に達しているニューヨークでは、子供を家において仕事に出られない親が多いのが実情。しかし学校が安心してこどもを預けられる体制を準備できるのか、いまだ不透明な点も多いのが現実です。学校だけでなく、下校後アフタースクールの子どもたちへ安全管理ができないと、感染の再拡大にも繋がりかねません。

 学校再開に向けては、いくつかのオプションが提示されました。子供の登校を強く求める保護者のために、毎日登校もOK。あるいは学生数を半分にする登校&自宅学習の半々、そして感染を懸念する人のために全部自宅でのオンライン授業も可というオプション制です。

 生徒側にとっては選択肢があっていいようには見えますが、多くの教師が反発しています。授業内容にばらつきが出るし、とにかく教育現場が混乱して、教師側の負担と感染懸念が倍増されるというのです。

 ランチの食べ方にも、問題点を指摘する声があります。マスクを外した状態で、室内で子どもたちが食事をするのは、危険を伴うという意見です。事実、大人の世界でも飲食店からの感染率が最大であることを想定すると、学校において教師の目の行き届かないランチ時間は、もっとも脅威にさらされる時間帯だということです。給食は控えてカフェテリアも閉鎖し、自前のランチを子どもたちが背中合わせで食べるいう意見も出ました。

 なんとも切ない、肩身の狭いスクールライフになりそうです。仮にこういった厳戒態勢で授業に臨んでも、一人でも感染者が確認されると、そのクラスあるいは学級全体が2週間の自宅待機となります。現状、この可能性は大であると警告する識者が多くいます。

 さらにこどものいない家庭、とくに高齢者たちは、コロナに無自覚な子どもたちが放課後、感染を拡大するのではないかと懸念を示しています。

 人口密度の高いニューヨーク市のデブラシオ市長は、コロナウィルスの感染率が3ヶ月連続で1%台を維持していることを根拠に、学校再開に前向きです。しかし1000人規模のマンモス校が多いこの地域のことを懸念する医療関係者も少なからずいます。

 ニューヨークにしてからがこの状態。依然高い感染者数を出し続ける他州では、学校再開の議論はもっと高まって行くでしょう。

 ちなみにうちの娘が通うニューヨーク州の公立大学でも、授業の自由選択制を導入しました。ところが各教師の判断で、それぞれの学習スタイルを決定することになったため、娘の取得科目は全部オンライン一択となりました。5人の先生が揃ってオンライン講義一本に絞ってしまったのです。娘は喜ぶのかと思いきや、授業は教室での対面が一番だと主張。画面越しのオンライン授業では、まったく身につかず、試験に受かるか不安で仕方がないというのです。 生徒側、教える側双方の意見もそれぞれで、なかなか明るい見通しが見いだせないが現状であります。

 教師・生徒にとっても保護者にとっても、不安を抱えたままの新学期を迎えることになりそうです。

  

 

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