困ったときはまず相談できるところ
あなたの大切なペットが怪我や病気に見舞われた時、信頼できる病院やドクターを想定していますか?
多くのペット・オーナーがいざというときの準備ができていません。たいてい、ペットが危急な症状になってから慌てて動物病院を探します。そして緊急を要するため、一番近いドクター・オフィスに駆けつけることになります。多くの人がこのパターンで後悔しています。
ペットを扱う病院はたくさんありますが、小さい医院では扱えない範囲の怪我や病気がたくさんあります。ほとんどの、個人経営の獣医ができるのは応急措置までで、込み入った症状の場合は大きな病院を推薦されることがほとんどです。これではけっきょく時間だけ取られて、ペットの苦しみが長引くだけです。急がば回れという言葉のように、平時からペットのための病院を調べ決めておいて、できれば健康診断を受けておくことを勧めます。そうすれば、いざというときの手続きが迅速になります。事前の健康診断でアレルギーの有無や病歴などデータがあるのはとても有利です。またかつて知ったる医院、スタッフ、ドクターであることが安心に繋がります。
ペットが緊急を要するときは、パニクりがちなので、信頼できる病院を確保しておきましょう。
昨日、ニューヨーク郊外から一時間以上かけて、二匹のワンちゃんをマンハッタンのアニマル・ホスピタルに運びました。一匹は膀胱炎、もう一匹は肺を患っているとのことです。飼い主のおばあさんは一人暮らしで、八割がた目が見えない弱視のハンディキャッパーです。通常ならケアテイカーの人が付き添うのですが、この日はあいにくスケジュールが合わず、かといって三週間待った診察スケジュールをキャンセルすることもできず、私がサポートすることになりました。
ワンちゃんいずれも中型犬で一匹はアメリカン・ブルドッグ、もう一匹はシェトランド・シープドッグの雑種だそうです。どちらも大柄でいかにも力がありそう。華奢なおばあさんがリードを持つのはかなり難しいように見えました。
しかし病気のワンちゃん二匹とおばあさんを乗せての一時間半はなかなか手ごわい仕事でした。一匹は喘息も患っているのか、終始ゼイゼイうなりっぱなし。もう一匹は膀胱炎のため、15分に一回は下車して、放尿が必要だったのです。それを私がおばあさんの代わりのやるのです。いちいち高速道路から降りて草木の茂る場所を探すのは容易ではありませんでした。
この一人と二匹を乗せて向かったのが、マンハッタンにあるその名もずばり、「The Animal
Medical Center」。このワンちゃんたちは持病があるとはいえ、なぜこんな一時間半もかかる病院にいくのかというと、前の犬のオーナーがここにかかりつけだったことが大きいと言います。しかしそれ以上に、この病院の医師やスタッフがとても親切で、ペット一匹一匹に向き合う姿勢が温かいとおばあさんはおっしゃるのです。私もこの病院の評判は上々だと聞いてます。数あるニューヨークの動物病院のなかでも、スタッフと設備が充実した指折りの施設だとか。マンハッタンに住むペット・オーナーにとってはオススメの動物病院と言えるかもしれません。
おばあさんによると、電話相談にも対応しており、来院の前にまず状況を伝えるだけで、適切なアドバイスがもらえるそうです。唯一の欠点は二四時間体制でないこと。これは重要です。一刻を争う時には対応できないので、その点は考慮が必要ですね。
それでもこの日のおばあさんは、全幅の信頼を置くお医者さんに診てもらえることを熱く語っておられました。人見知りがちな彼女のワンちゃんも、ここでは落ち着いて診察台にあがるそうです。こういった信頼関係は、物言わぬ生き物たちにとって重要なので、元気なときに医師と顔合わせしておくのはいいことでしょう。
私は診察が終わるまで、病院の駐車場で待つことにしました。気がついたのは、人間であるペットの親の多くが、野外の待合室でたむろしていたことです。いまはコロナの影響で、できるだけ人を院内に入れない方針とのことです。待つ人のために駐車場の一部を使って特設テントが設けられていたのです。どうしてもペットに付き添いたい希望者だけ相談の上、中の待合室で待てるそうです。おばあさんは高齢ということもあり、中で待つことになりました。
私が車中から見ていると、実にたくさんのペットが出入りしていきます。やはり犬が多く、入り口で、オーナーがリードを付けたペットをスタッフに預けます。治療が終わったペットもスタッフがビルから連れ出し、ペットの名前を連呼してオーナーを呼び出します。両者は互いに抱き合って無事を喜ぶ、そんな光景が繰り返されました。いちど、トラックが横付けされ、水槽のような大きなプラスチック・ボックスが搬入されました。搬送者のシャツに水族館のロゴが入っていたので、どうやら生き物が入っていたようです。あとでここのセキュリティに人に聞いたところ、多分カメかアザラシだろうとのこと。こうやって遠路はるばるこの病院を指名してくる患者、いや患獣がいるということを聞き、この病院の存在感をより大きく感じました。
実は数年前も同様の仕事で、この病院に来たことがあります。そのときはラクダが病院に入っていくのを見てぎょっとしたものでした。獣医はどんな動物にも平等に対応するのが基本と聞いあことがりますが、毎日人間を相手する医師でも大変なのに、ことなるさまざまな種の動物を診るのはどんだけ困難ななことでしょうか。ほんとうにご苦労さまです。そんなことを思いながら、ワンちゃんたちの無事を祈るひとときでした。
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