今年の夏は各種イベントが軒並み中止に追い込まれました。
毎年行われる夏フェスを楽しみにしていた音楽ファンには残念な夏となりました。
ファルコンリッジ・フォークフェスティバルもその一つで、私も毎年のようにこの野外音楽の祭典を観てきたものです。
例年ならニューヨーク州の郊外にある広大な牧場を借り切って、数万人規模で盛大に行われるこのお祭り、今年はすべてオンラインによるストリーミングに切り替わりました。
5月の時点で、現地開催を諦め、ネットによる参加を募ったのは良い判断だったでしょう。
例年参加する50組以上のアーティストが準備時間を与えられ、それぞれがフェスティバル向けにオリジナルビデオを作って、持ち寄るというオンライン形式になりました。
当日、ビデオは主催者側の用意したウェブサイトか、YOUTUBEで観られるようになりました。蓋を開けるまでどのアーティストがどんなパフォーマンスを見せるのか楽しみでした。
ネット上のフェスティバルは静かに始まりました。例年は野外の緑の丘でたくさんのテントが立ち並び、3日ががりで、挙行されるのですが、今年は全く違う雰囲気です、しかしいくつかのバンドやシンガーがメッセージを語るにつれ、歌うに連れこのスタイルにも慣れてきました。
ほとんどが自宅やスタジオでの録画らしく、手作り感がまた親近感を呼び起こします。
みるほうもそれぞれ趣向を凝らしたセットで自慢の歌や演奏を披露していきました。フォークのフェスティバルなので、今どきのポップスやヒップホップ、パンクロックなどと比べると、地味に映るでしょう。しかしその分、聞き耳を立ててじっくりその音とメッセージを味わうことができます。野外フェスにおいて、ロックコンサートが爽快なな喉越しを楽しむビールだとすれば、フォークの味わいは舌の上でじっくり吟味するワインのようなテイストと言えるでしょう。
毎年おなじみのアーティストが登場すると、画面越しにも「よっ、待ってました!」と快哉の掛け声が飛び出しそうです。例年遠くから眺めていたステージ上のアーティストが、画面を通してカメラ目線で歌い語るのは、なんとも贅沢な気さえします。知らないアーティストの新しい曲も、普段なら見過ごしがちですが、今回はしっかり見ることができ、新しい発見もありました。
私が一番まっていたバンド、Slambovian Circus of Dreamは今回不参加でしたが、ヴォーカルのJoziahがソロでオリジナル曲を披露。その後、かつてのコンサート会場での貴重な記録フィルムを公開してくれました。
このように、コンサートでは味わえない趣向を凝らした演出もいろいろあって楽しいひと時を過ごすことができました。
今後、コロナが長引けば、こういった新しいパフォーマンスのスタイルが進化していくことが予想されます。もちろん既存のステージライブは第一でありつつけてほしいです。しかしおそらくこれからの時代、ライブと並行してこういった興行のありかたも進んでいき、ライブでは観られない新しいスタイルも確立していくと思います。互いがそれぞれの良さを伸ばしつつ、さらなる新時代のパフォーマンスを見せてほしいものですね。
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