2022年7月30日土曜日

野鳥撮影ビギナーの心得

サムズアップ・アメリカ!
初心者のためのバードフォトのコツ




野鳥撮影は、自然写真家の間で最も人気のあるジャンルの1つであることは間違いありません。実際毎日のようにネット上では、目を見張るような美しい鳥の写真がアップされています。それらの多くは、簡単に撮れるものではなく、数千、数万の失敗写真の犠牲から生まれてきます。
特に素早く動く野鳥という素材はプロでも苦労するのが常で、それだけにやり甲斐のある写真撮影です。
以下の記事は、初めて野鳥撮影に挑戦する方に向け、基本的なアドバイスを記したものです。これですぐ傑作を撮れるという魔法のようなものではありませんが、少なくとも上達への近道は秘められていると信じます。
野鳥撮影の際、ぜひご参考になさってください。



野鳥撮影のためのカメラギア

あのカメラがいい、この方が性能が上だ、とかはスペックを見ればいくらでも言えます。おススメも挙げられるでしょう。しかしこれから野鳥撮影を楽しみたい方には、それらはあまり意味を成しません。
言ってしまえば、どんなDLSRカメラでも野鳥は撮れます。ローエンドからハイエンドに至るまで、その性能に応じた写真が撮れるでしょう。いやあなたの技量に応じた野鳥撮影はできると言い換えても結構です。
つまりところ、一眼レフ、ミラーレス、どちらの入門機、中級機でも、鳥を撮影することができます。

例えば、キヤノンのEOS KissやEOS 90Dよりも、キヤノンの5D mark IIIや7Dの方が高速です。高速な上位機種は、連写が早く、コマ数が多くなります。一方、低速の機種では、連写は可能ですが、撮影するのに少し根気と時間がかかります。でもそれも価格に見合った性能に過ぎません。初めは背伸びせず、自分に合った(相性優先の)カメラで十分楽しめます。


野鳥撮影に最適なレンズ

ただしレンズだけは、野鳥撮影に向くものとそうでないものがあります。野鳥撮影に最も適したレンズは、400mm以上のものであることは間違いありません。少なくとも、200mmレンズの長さに2Xエクステンダーを組み合わせれば、とりあえず十分です。ここでは画質の劣化とか、細かいことはあまり気にしません。これだけでも今まで使ってきた「スーパーズーム付きコンデジ」よりはるかに満足できる写真が撮れます。


フレームを埋める

多くの場合、私は鳥がフレームに収まるように画像を切り取ります。しかしながら、いつも手持ちのレンズでカバーできるわけではありません。野鳥を狙っていると、往々にして距離が足りない悔しさを味わいます。
それは通常400mmより短いレンズで、実際の鳥でフレームを埋めるために編集でかなり多くのクロッピングを行う必要があることを意味します。

しかしそれでも、例えばシグマの150-500mm F5-6.3 AF APO DG OS HSM望遠ズームレンズのような安価なサードパーティレンズから、素晴らしい写真が生まれます。
多くの写真家の作品がそれを証明しています。ちなみにシグマ150-500mmレンズの価格はわずか800ドル(アマゾン参照)です。
これに対し、キヤノン「EF 100-400mm F4.5-5.6L IS USM 望遠ズームレンズ」やニコン「80-400mm F4.5-5.6D ED オートフォーカスVRズームレンズ」はシグマより100mm少ない長さで約1500ドルです。
あなたが当面写真の個展を開く予定がなく、趣味や野鳥観察の用途にするなら必要十分なスペックです。


編集ソフト

野鳥写真家の三種の神器は、機材、技術、そしてソフトウェアです。
ソフトウエアは例えていえば、フィルム写真時代の暗室です。写真を加工することにはさまざまな議論がありますが、カメラ自体がデジタルで高性能な編集マシンなので、誰もが知らずにデジタル処理の恩恵を受けている。それが現代の写真なのです。





野鳥撮影に最適なデジタル一眼レフカメラの設定

デジタル一眼レフカメラで撮影する場合、4つの基本的な設定を考える必要があります。
まず、露出モード、絞り、シャッタースピード(鳥の撮影では最も重要)、ISOを設定します。
すばしっこい鳥を撮るときのコツは、絞りF値を小さくし、ISOをできるだけ低くして、1/1000秒くらいで撮影することです。


露出モード

絞り優先(初心者向け)、シャッター優先(中・上級者向け)、マニュアルモード(上級者向け)の3つの露出モードがあります。


絞り優先
初心者が最も簡単に始められる設定のひとつが絞り優先です。
絞り優先の場合、以下の設定をお勧めします。ISO600に設定し、絞りF値を小さくします(F4.0〜F5.6)。晴れた日であれば、最短1/1000秒のシャッタースピードで自動的に撮影されます。飛翔する鳥をとらえるには十分な速度です。
1/1000秒より速く撮影される場合は、ISO感度を低く設定します(例:ISO200)。この方が画質も良くなります。


シャッター優先
シャッター優先は、個人的に鳥の写真撮影に最も適しています。シャッター優先を使用する場合、以下の設定をお勧めします。ISO感度を600に設定し、シャッタースピードを1/1000秒に設定します。
何枚か撮影した後、カメラが自動的に撮影している絞りのF値を確認してください。もし、F値が6.3より大きい場合は、ISO感度を下げて画質を向上させることができます。


マニュアルモード
マニュアルモードを選択された方は、カメラをよくご存じだと思いますので、このセクションの冒頭で述べたことを繰り返します。絞りF値を小さくし、ISO感度をできるだけ低くして、最短1/1000秒前後で撮影します。


シャッタースピード
飛翔する鳥や移動する鳥を撮影する場合、シャッタースピードは最高の味方となります。鳥の動きは速いです。自然界で印象に残る写真といえば、ホバリングしている鳥や飛んでいる鳥の写真です。
動き回る鳥を撮るには、最低でも1/1000秒のスピードが必要です。私は通常、この速度からスタートし、カメラの背面液晶画面を見て、必要に応じてより速い速度に調整します。


絞りの設定
個人的には、飛翔する鳥を撮影するのに最適な絞りはF5.6です(ここは異論もあるでしょう)。私はいつもこの値で撮影しています。晴れた日に絞り優先でF5.6で撮影すると、1/1000秒以上のシャッタースピードになります。
また、絞りF値を小さく設定することで、背景をボケさせて鳥を際立たせることができます(強くお勧めします)。
一方、鳥とその周囲を写したネイチャーフォトを撮りたい場合は、絞りF値を大きくすることをおすすめします。例えば、F7以上。F値を上げると、自然光が多く入ってくるので、シャッタースピードが速くなります。
鳥が魚をくわえている画像の多くは、通常F11という高い絞り値で撮影されています。
そのため、鳥と背景の関係は微妙になることがあります。編集段階で、もっと絞りを小さくしておけばよかったと思ったりします。絞り値を小さくすれば、背景をボカして鳥を際立たせることができますから。


ISOの設定
ISOは、1/1000秒で撮影できる範囲で、できるだけ低いISO F値を選択するのがコツです。ローエンド/ビギナーカメラをお持ちの方は800以上をお勧めします。中級機や高級機であれば、ISO1600でも十分な結果が得られるはずです。





その他の野鳥撮影に便利なカメラ設定


ドライブモード
鳥撮影の場合、ドライブモードは必ず連写にします。
これは、シャッターボタンに指をかけている間、カメラが次々と露出を変えて撮影し続けることを意味します。そう、これは何百枚もの鳥の写真を撮ることになることを意味します。のちに編集で悪いものはいつでも削除できます。
数撃ちゃ当たると言いますが、実際何十枚も撮ったほうがいいものを選べます。


AFモード/オートフォーカスモード
キヤノン製デジタル一眼レフカメラではAIサーボ、ニコン製ではコンティニュアスAF、その他のカメラではそれに準ずるものを使用することをお勧めします。
これらのAFモードに設定することで、動いている鳥がAFフレーム内にいる限り、カメラが自動的に追尾してピントを合わせ続けます。


AFポイント選択/オートフォーカスポイント選択
野鳥撮影では、構図を考えている暇はありません。ですから、AFポイント選択を「中央」に設定するだけで、簡単に撮影できます。


AFポイント拡大(キヤノン)またはダイナミックAFエリアモード(ニコン)
中級機から高級機の場合、AFエリア拡大(キヤノン)、ダイナミックAFエリアモード(ニコン)を設定すると、野鳥撮影がより簡単になります。
オートフォーカスポイントを拡大し、フォーカスポイントのグループを含めることができます。1つのAFポイントで動く鳥を追いかけるのが難しい場合に有効です。


測光モード
キヤノンのデジタル一眼レフカメラなら評価測光、ニコンのデジタル一眼レフカメラならマトリクス測光を使用します。
評価とマトリクスはほとんどの機種のデフォルトの測光モードで、鳥の撮影によく合います。これらのモードは、カメラが自動的にシーンに合った露出を設定します。

このモードを変更することをお勧めするのは、極端な状況下においてのみです。背景が露出に影響し、鳥が露出過多または露出不足に見えると、ディテールが失われることがあります。このような場合のみ、スポット測光に変更することをお勧めします。


まとめ

以上の基本設定を理解し、コントロールすることで、あなたの写真は目覚ましい発展を遂げるでしょう。多くのビギナーの場合、初めはフルオートで撮影し始めるでしょうが、なるべく早い時期にそれを卒業して、露出設定を色々動かすことによって写真の醍醐味を味わうことができます。
さあ、カメラ片手に野鳥撮影の旅に出かけましょう!





0 件のコメント:

コメントを投稿