2022年7月7日木曜日

被写界深度とは何か? 写真初心者編

サムズアップ・アメリカ!
被写界深度を知ると写真が上手くなる




写真を学び始めた方、被写界深度を理解するのに苦労していませんか? このガイドをお読みいただくと、その意味を理解することができます。


画像の美しさには様々な要因があります。
そのひとつが被写界深度です。
熟練したフォトグラファーは、この被写界深度をどのように操作すれば、自分の目指すイメージを実現できるかを知っています。

しかし、被写界深度とは何か、その原因は何かについて、多くの誤った情報が出回っています。この記事では、写真撮影における被写界深度について、知っておくべきことを説明します。



被写界深度って何?

平たく言えば、被写界深度とは、画像内のフォーカスゾーンのことです。
これは、画像の中で許容できるレベルのシャープネスを持つ領域です。この部分の前後はピンぼけやぼやけた感じになります。

被写界深度が浅いとは、この部分が非常に薄いことを指し、被写界深度が深いとは、画像の大部分にピントが合っていることを指します。

被写界深度が浅いと、下の写真のように、写真の中の鳥だけ
にピントが合っていて、それ以外の部分はピンぼけになっています。ピントが合っている部分から離れれば離れるほど、ぼやけたりピンボケになったりします。





これに対して、下の風景のように被写界深度が深いと、画像のほぼすべての部分にピントが合っています。





被写界深度の科学

カメラが被写界深度を作り出す理由は、物理的には比較的複雑です。しかしこれは錯乱円という概念で説明することができます。

光学の世界では、光の焦点が完全に合っていないときにできるスポットが錯乱円です。




カメラでは、光はレンズに入って、カメラのセンサーに光を集めます。子供の頃、虫眼鏡を使って紙に光を当てると、紙に火がついたことを思い出してください。

上の三つの図では、中央の図が完全に集光された円錐形の光で、非常に小さな円になっています。これは、外側の2本の光線が合流する部分であり、虫眼鏡と同じように、光が集束していることを意味します。

上と下の図は、光の焦点が不完全なため、より大きな円形になり、ぼやけて見えるものです。

レンズは、画素サイズよりも小さな円で光をセンサーに集光させることが目標で、これが画像の最もシャープな部分となります。
しかし、カメラは一点にしかピントを合わせることができません。その前後にあるものは、より大きな円形になり、ピントが合わなくなるのです。

つまり、被写界深度とは、光線がセンサー上で画素よりも小さな円を描く領域のことなのです。




被写界深度の原因とは?

被写界深度は、4つの要素で決まります。
絞りの直径、
被写体までの距離、
焦点距離、
そして画素の大きさです。


画素の大きさ

ピントを合わせた光が画素サイズより小さな円を描くとシャープに見えるので、画素が大きければ大きいほどピントが合っていることになります。
つまり、画素サイズが大きくなると被写界深度が深くなり、逆に小さくなると被写界深度が浅くなります。



絞り

上記で説明したように、絞り(F値)とは、センサーに光を通すレンズの幅のことです。

レンズの絞りは、光を多く取り入れたり、少なく取り入れたりするために、広くしたり狭くしたりすることができます。
絞りを小さくすると(F値の数値が大きくなる)、画像の多くの部分にピントが合うようになります。
つまり、絞りを大きくすると被写界深度が深くなり、逆に絞りを小さくすると被写界深度が浅くなります。

次の2枚の画像は、このことを表しています。F1.4(絞り開放、上)では、画像のほとんどにピントが合っていません。




一方、F22(かなり絞り込んだ状態)では、画像の大部分にピントが合っています。





これは、絞りを大きくすると、レンズの中に多くの光が入り込むからです。
そのため、レンズと直行する光は少なくなります。このため、光線がセンサーの前か後で合流することになり、ぼやけた画像になります。



レンズからの距離

被写体に近づくほど、被写界深度は浅くなります。遠ければ遠いほど、被写界深度は深くなります。ある地点から先はすべてピントが合うようになり、これを超焦点距離といいます。

これは、絞りと同じように起こります。被写体に近づけば近づくほど、レンズに入る光線は角度を持つようになります。
つまり、被写体に近づくほど、レンズに入ってくる光線の角度が大きくなり、光線が合流するまでに曲げなければならなくなるため、被写界深度が狭くなるのです。



焦点距離

焦点距離とは、レンズの後方の節点(光を屈折させる部分)からイメージセンサーまでの距離のことです。
光線を曲げて焦点を合わせるのに必要な長さなので、焦点距離は重要です。
焦点距離が短いほど、光線はよりシャープに曲げられます。つまり、ピンぼけ部分が像面(センサー)に近くなり、ピンぼけが少なくなるのです。

焦点距離が短いほど被写界深度は広く、焦点距離が長いほど被写界深度は狭くなります。
つまり、50mmレンズと600mmレンズの両方が被写体から同じ距離にある場合、600mmレンズの方が被写界深度が浅くなるわけです。



スマホとコンポジット・フォトグラフィー

スマートフォンは開放F値が非常に大きく、一眼レフカメラのような被写界深度を得るのは困難です。しかし、スマートフォンは焦点距離が小さいため、被写界深度は非常に広く、画像の大部分にピントが合います。なのでぱっと見にはくっきり綺麗な画像に見えるのです。
しかしスマホカメラでも撮りたい被写体に焦点を当てた、より立体的な写真が求められるようになりました。

そこで登場したのが、コンピュテーショナル・フォトグラフィです。画像処理によって被写界深度をシミュレートすることができるようになったのです。

従来の写真とは異なり、コンピュテーショナル・フォトグラフィーは、画像の「深度マップ」を作成し、シーン内のすべてのオブジェクトがどこにあるかを判断しようとします。そして、高度なアルゴリズムで背景をぼかすのですが、これが意外と難しいのです。
AppleのiPhoneやサムスンの上位機種などではかなりの精度でこれを克服しています。



何をどう撮るか

被写界深度撮影は、カメラと被写体の距離、カメラのセンサーサイズ、レンズの焦点距離から被写界深度を計算すると、特に写真を始めたばかりの人は複雑な作業になることがあります。

基本に忠実に、まずはF値を変えるだけでも実験してみると、写真の腕がぐんと上がりますのでおすすめです。

被写界深度の美しさは、画像の中のぼかしを操作することにあります。顔の遠近感や風景など、被写界深度を浅くしたり深くしたりすることは、一眼レフやミラーレスカメラを持っていれば誰でもできることです。
ぜひこの被写界深度に注目して、写真ライフを楽しんでみてください。




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