2020年8月29日土曜日

B級スナック選手権

 ジャンクスナックの王様


 

 突然ですが、数あるアメリカのスナック菓子の中で、どれが一番なのか、決めるための選考食事会を開催します。

 え? 一番って何が? と思われた方、聡明です。

 実はまだ決めていません。味なのか、人気なのか、健康に一番最悪なのか、はたまた売上が最高なのか。基準はいくらでもありそうです。強いて言えば、ジャンクらしさの際立っているやつが勝ちってことになるかもしれません。

 なぜそんなことをするのか。それは近頃、うちの子供達に何かお菓子でもと買ってきたものがことごとく却下されるのに業を煮やしたからです。

 きみたち、小さい頃はダディが買ってくるお土産には、何だって大喜びではしゃぎまわっていたじゃないか。なんだよその無言のダメ出しはぁ! ってな感じです。

 実はうすうす感づいてはいます。娘たちも年頃になり、ダイエットや体型を気にする年頃です。花より団子の時代は過ぎ行き、美と健康への意欲が勝ってくるのは当然の生理です。

 でもそれだけではありません。私は最近気づいたのですが、うちの子どもたち、世の中にもっと美味しく麗しい食べ物がたくさんある事実に目覚めてしまったのです。何ということでしょうか。ひたすら隠してきた上級上品な菓子の存在がネットや口コミのよって漏洩してしまったのです。ああ、もはや隠しけれないマカロンの味ってところでしょうか。

 私の幼い頃で例えるなら、かりんとうばかり食べていた幼稚園児がはじめてプリンを食べたときの衝撃ってところやね。

 と言うくらい、我が家は昔からずっとB級のおやつばかりを与え続けてきました。うちは家内が甘いものを敵視する傾向が強く、子供の幼い頃から与えたがらなかったのです。私はその反動から買い物に行く度に不憫な子どもたちに糖分たっぷりのお菓子を持ち帰っては与えていました。当然、家内とは口論が絶えませんでした。

 とりわけウォルマートで買ってきた超巨大ロリポップなどは「そんな毒を与えて虫歯になったらどうするの!」と家内が吠えたものです。

「しっかり歯を磨けば問題ない」と突っぱねる私。菓子袋を取り上げて持ち去ろうとする子どもたちが恨めしそうに家内を見ます。

「ほうら、こんなんだから、いつも私が悪者役にされるのよ」家内は怒りをあらわに私をにらむのでした。

 そんなこんなで、ジャンク菓子にはいろいろ思い出があります。楽天的な私も健康のことを考えてそろそろジャンク菓子とは決別しなければいけない、と漠然と考えます。

 そいういった思いも込めて、過去を振り返りながら、我が家が食してきたジャンク菓子を再考し別れを告げようというのが今回の企画です。

 前置きが長くなりました。

 さて数あるアメリカのジャンク菓子の王様はどれになるのでしょう。これは全くの独断と偏見によるものです。系統立てた調査もしません。いきあたりばったり、思いついたものを取り上げて類似品と比較して、段階的にフルイをかけるがごとくに、最高のジャンク菓子を模索先行していきたいと思います。

 で第一回のエントリーは、

LIttle Debbie

出た。いきなりジャンク菓子界のキング・ブランド出しちゃりました。アメリカ在住の人はこのブランド名を聞いただけで「うわ」と思うでしょう。やはり最初はコレくらいのインパクトがなけりゃ駄目です。実はLIttle Debbie、今年でちょうど創業60年なのです。この偉業に敬意を評して一番バッターとして登場していただきました。

グロッサリーストアー最大手のウォルマートからガソリンスタンドまで、アメリカじゅうどこへ行っても売ってます。トレードマークの女の子のイラストは、可愛いんだかどうだか微妙な田舎っぽさを醸し出していますね。長方形の紙でできたパッケージがたいてい売り場の目立つ棚に並んでいます。この置き場所からもメーカーの実力、人気、力関係が読み取れます。LIttle Debbieがいかにジャンク菓子界で中心的存在であるのかがわかります。

商品は多彩。

 代表的なものに、DEVIL CREAMS、STRAWBERRY SHORTCAKE ROLLS、CHOCOLATE CUPCAKES、SWISS ROLLSなどがあります。いずれも味は似通っていて(こう言うと身も蓋もないな)ほとんど共通の原材料でつくられていることがわかります。

 これに対抗するのが、Drake's Cake、Hostessです。こちらもアメリカぐらしの長い人なら、ああ、あのチョー甘の体壊しそうなジャンクフードね。と反射的に思うでしょう。中には忌まわしいものを見るように避けて通る(失礼な)人もいるかもしれません。自慢じゃありませんが、うちの子達は小さい頃からこんなおやつを食べて育ってきたんです。あ、あんまり憐れまないでください。そこそこ素直で健康に育っていますから。(念の為)

 それにしてもDrake's CakeなんてLIttle Debbieの商品と告示し過ぎだよな、訴えられないのかな、と思って調べたら、親会社がおんなじなのですね。McKee Foodsという、たくさんの食品メーカーを傘下に抱える、巨大企業。日本で言えば、グリコやロッテみたいなもんでしょうか。ああ、だから似たような商品が多いのですね。DEVIL DOGSなんてまんまDEVIL CREAMSそっくりですわ。ついでに味の違いもわかりません。ただ甘いだけ? ええそんなモンですこの世界は。

 対抗馬のHostessは2013年に既存の旧ケーキ・ブランドを買い取って再出発しました。先行するジャンク菓子界を追い落とすような勢いで急成長を遂げています。Twinkies、CupCakesなど誰もが知るヒット商品が多々あります。が、私は溶けて固めた砂糖をこってり塗りたくったJumbo Honey Bun。この一品をみるたび、「ああこれ食べ続けたらぜったい命ないな」と思ったものです。

 ええ、この業界のお菓子に「健康」とか「栄養」などのワードはタブーです。ひたすら甘く、ひたすら思考停止でその味に溺れるのが正しい食べ方なのです。だから売れ続けるのです。

 まさに現代のヘルシー志向一辺倒の風潮のさなか、真逆を突っ走り奈落に向かう潔さです。

 食の安全? どんな成分で出来てるの? そんなのパッケージ見て腰抜かせ。ええ、もうどうにでもなれ、の業界なのです。今だからこそ敢えて讃えましょう。ジャンク菓子バンザイ。

 そういうわけで、このシリーズこれからしばらく思いついたときに続きます。アメリカにあまたあるアブナイお菓子の世界にネタは尽きません。

 ではまた次回お会いしましょう。



 


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