記憶を蘇らせる方法
加齢に伴って、徐々に記憶力が落ちて困る。そういう人は少なくないでしょう。私も日々多忙が重なって、いろんなど忘れをやらかして、困っていました。大半の人は脳細胞は大人になると劣化していくと考えているようです。
しかし最近の研究では、中年以降も脳細胞の一部は新たに再生されているということがわかってきました。(www.gage.salk.edu 参照)記憶をつかさどる脳の海馬の一部で、新しい脳細胞が生まれているそうなのです。またノーベル生理学・医学賞をとった利根川進博士は光の刺激を脳細胞に当てることで、埋もれていた記憶を呼び覚ませることを実証しました。
忘れっぽくなったからと言って、気落ちすることはありません。先人の叡智と脳医学、心理学の応用次第で、日常生活のど忘れはかなり防げるのです。
以下は、地元のコニュニティ・カレッジで成人対象で開催された「記憶力増進講座」のノートをもとに抜粋したものです。講師はマサチューセッツ工科大学記憶研究センターのスタッフの方でした。(www.picower .mit.edu)
記憶、それはあることを習慣化することで、大半の喪失は防げます。講義は一般人向けで、しかもある高齢者保護施設の一行をゲストとして招待した、老、壮年対象の平易なものでした。学術的な講義が苦手な私でもおおいに役立つ内容でした。私のノートが雑でまとまっていないので、今回はざっと見出し的にポイントを抑えておきます。
ど忘れ防止法1:ビタミンDの摂取。
ビタミンDの不足は認知機能の低下に繋がります。318人の高齢者を5年間追跡した研究では、ビタミンDの血中濃度が20ナノグラム以下の人は、正常な人よりも早く記憶力、認知能力を失いました。ビタミンDの補給により忘却を低下できると考えられています。
ど忘れ防止法2:糖分を摂り過ぎない。
砂糖の取り過ぎはあきらかに認知機能の低下を呼び起こします。とくに短期記憶を蓄える脳の領域に影響を与えます。4000人以上が参加した研究では、ソーダなどの甘味料入り飲み物を日常的に飲む人とそうでない人とでは、脳の総量が違ってきたそうです。糖分を取りすぎると脳が萎縮し記憶にも影響を与えるというのです。
ど忘れ防止法3:昼寝をする。
スペインで習慣化されているシエスタは記憶保全に効果的という研究結果があります。シエスタは二時間あまりが常識的なので、ちょっと日本やアメリカの生活には向いていないかもしれません。もっと短くてもいいのか。アメリカではパワー・ナップという短期睡眠が推奨されています。昼休みの食事直後に15分前後の仮眠をするというものです。午前中活動した脳を休ませることは、記憶の保全に効果アリとのレポートが出ています。ただし習慣化しないと、はじめのうちは起きたときのリカバーがダルくて逆効果のケースもあるとか。
ど忘れ防止法4:3Dゲームをする。
ちょっと聞くと都市伝説のように思われますが、これも学術的な裏付けがあります。
「Journal of Neuroscience」というその筋では有名な学術誌に発表されたクレイグ・スターク教授らの論文からです。これまでゲームのやりすぎは「恐怖のゲーム脳」とか言われて、脳に悪影響を及ぼす、という論調が多かったのですが、これは逆です。2週間かけて毎日30分3Dゲームと2Dゲーム、そしてゲームをやらなかった学生を集めて、ゲームをする前後二回、記憶力テストを行いました。結果3Dゲームを続けてきたグループだけが12%テスト結果が向上したというのです。これは立体的な認識能力を必要とするゲームによって、脳の記憶分野が活性化されたものと推測されています。
ど忘れ止法5:音や色で自分に言い聞かせる。
あとであれをやらなければいけない。そう思っただけでは、認識度は低く、忘れる可能性は低いそうです。大切な事項は声を出して、自分に語りかけることだといいます。それも、自分で自分の名を呼んで、号令するように言い聞かせることが大事だといいます。さらにそれを3回以上繰り返すと、より記憶喚起力が高まるのだとか。同様に、赤やオレンジ、緑色などのペンで親指と人差し指の谷間に何かしらのマーキングを施すことで、やるべきことが思い出されると言います。手の平に文字を書くより簡単で思い出しやすいとのことです。これで私は寝る前に飲む薬を忘れなくなりました。
ど忘れ防止法:番外おすすめ
ほかにもいろいろ細かいテクニックは紹介されていたのですが、ここで私のど忘れ防止策をご紹介しておきます、忘れる前に。
最強の備忘録「Google Keep」
このアプリをダウンロードし使い始めてから、ど忘れは大幅に減少しました。とにかく簡単で便利。朝から番まで活用できます。私は起床と同時にこのアプリを開けます。寝ぼけ眼でも昨日更新した内容をまず確認。仕事に出かける前に、ふたたび今日すべきことを再確認。なにか思いついたら即書き込みます。この時点で、何もしなかった頃の自分なら忘れるミスをほぼ防げます。その後、しごとばについたときや、ちょっとした中休みにも思いついたことを書きます。急ぎのときは、音声入力や画像で自分自身にメッセージを送ります。仕事場で使うパソコンやタブレットにもこのアプリを入れ同期させていますので、いつでもどこでも、いやでもこのアプリは目に付きます。タブレットでは手書きでより注意喚起の強いサインを残せるし、もう視覚訴える手段としては最高です。このアプリさえ見ておけば、大半の必要事項は見られるし、すぐ追加できます。
ど忘れ防止にこれほど役に立つアプリを私は他に知りません。本アプリに導入を強力にオススメします。
最後に笑い話を一つ。
ある日、インフォマーシャルのテレビ番組(コマーシャルを番組化したもの。ようするにテレフォン・ショッピング)を観ていたら、物忘れ防止の切り札として「Mega Memory」という記憶術をマスターするためのCDを宣伝していました。
番組では難しい数式や大量の書類をこのCDのメソッドで記憶し、しかも長期間忘れない人たちの成功例が紹介されていました。スゴイ、私はこれを見て、すぐに買いたくなりました。仕事でミスを犯さないようにと、すがる思いで、ネットで注文したのです。
それから数年後、物置の引き出しの奥から見覚えのある小包の紙袋がでてきました。あれ、と思って中身を見ると、「Mega Memory」のCDと解説書が開封されないままで出てきました。私は注文した時点で安心したのか、すっかり「Mega Memory」の存在自体を忘れてしまっていたのです。これではどんな記憶法も使いようがありませんね。これぞ無敵のど忘れ者です。
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