Japanese Breakfast
今回のおすすめロックはフィラデルフィアを拠点に活動するオルタナ系(もうこんなカテゴリーは必要ないのですが便宜上)ロックバンド、「Japanese Breakfast」です。
私はあまり知らなかったのですが、数年前、娘が車中でガンガン鳴らすポップスの中にこのJapanese Breakfastの一曲が含まれていたのです。
なぜ私の耳に引っかかったのか、わかりませんが「これ誰が歌ってるの?」と聞くと、娘がJapanese Breakfastと教えてくれました。
「日本のバンドじゃないよね絶対」私が聞くと、娘は「もちろん違う」と答えました。
のちに、このバンドのボーカル、ミシェル・ザウナーがアメリカ育ちの韓国系と知り、K-Pop寄りの音楽かなと思ったら全く別物でした。
非常に響きの心地よいボーカルでなんだか涼しげな歌だなと思って初めは聴いてたのですが、のちにトータルでアルバムを聴いてみると、全体のトーンはそこはかとない悲しみに満ちていると印象が逆転しました。
面白いバンドが出てきたなと思ったものです。
ちなみにバンド名の由来は、幼少期、少女時代をアメリカで育ったミシェル・ザウナーが初めに影響を受けたのは、日本のサブカルだったことからのようです。その影響は半端なかったらしく、彼女の腕のタトゥーには日本のアニメ「セーラームーン」や鉄腕アトム、キューピーマヨネーズのキューピー、パッパラなどが描かれています。これはもう筋金入りですね。
大ブレークとまではいかないまでも、ライブで着実に人気と実力を育て上げ、今はなかりの人も知る期待のバンドとなりました。
このJapanese Breakfast、先にオルタナ系と言いましたが、アメリカではあえてカテゴライズすると、ドリームポップということになるそうです。(これもまた曖昧で、ヴェルヴェット・アンダーグラウンドやR .E.M.、スマッシング・パンプキンズ、日本のフィッシュマンズなどが入るそうな)
へーえ、です。
ちょっと前までは娘に音楽を紹介する立場だったのに、今は最新の音楽はこっちが教わる方です(笑)

でこのJapanese Breakfast、ちょうど昨日、3枚目のニューアルバムがリリースれたのですが、それに先駆けて、いろんなメディアを通してプロモーションの情報が流れてきました。
CBSの朝のワイドショーではリモートでボーカル兼リーダーのミシェル・ザウナーへのインタビュー、そして先行シングルのライブ演奏が放映されました。
前作「SOFT SOUNDS FROM ANOTH」は、昨今のオルタナロックの状況から見ると日本でもかなり話題になった部類に入るセカンドアルバムでした。それを受けての今回のニューアルバム『Jubilee』はさらに洗練さを増すと同時に、表現の枠が広がったように聞こえます。
実際ライブをまだみたわけではありませんが、大学時代に映画制作を学んだというミシェル・ザウナーは自身のバンドのミュージックビデオも手がけているし、パフォーマーとしても観客に訴える術をよく心得ているようです。
先日も生番組(The Tonight Show : Starring Jimmy Fallon)で実に率直に歌いかける自然なボーカルと身のこなしは、ある意味映像的でもあるし、日本のアーティストにはないタイプだと感じました。
ともすると、アメリカではアジアや日本の女性ミュージシャンの声は子供が歌っているようだと評されがちで、ミシェルもその例は免れないのですが、表現力に個性があり、楽曲の良さもあいまって視聴者を惹きつけることに成功しています。

さて昨日発売されたばかりの最新アルバムですが、すでにいろんな反響が入ってきています。どうやら批評家や音楽関係者にはデモが配られていたのでしょうね。(感想が早すぎる!)

以下はその一部です。
「これは喜びについてのアルバムです」と、ミシェル・ザウナーは『Jubilee』の概要をツイートしています。ジャパニーズ・ブレックファストの中心的存在であるこのミュージシャンの3枚目のアルバムは、近年の彼女の作品の多くが悲しみをテーマにしていることを考えると、『Jubilee=喜び』この言葉が出発点となっています。
「これは喜びについてのアルバムです」と、ミシェル・ザウナーは『Jubilee』の概要をツイートしています。ジャパニーズ・ブレックファストの中心的存在であるこのミュージシャンの3枚目のアルバムは、近年の彼女の作品の多くが悲しみをテーマにしていることを考えると、『Jubilee=喜び』この言葉が出発点となっています。
ザウナーの韓国人の母親が癌で亡くなったことは、バンドの最初の2枚のアルバム、2016年の『Psychopomp』と2017年の『Soft Sounds from Another Planet』に深く影響しており、彼女の新しい回顧録『Crying in H Mart』の主なテーマでもあります。
パンデミックの影響で1年遅れで6月4日に発売された『Jubilee』は、前作よりも体験しやすく、理解しやすい休息の場であると考えるのが妥当でしょうが、喜びは悲しみと同じくらい複雑なものであることがわかりました。
この概念を探求するために、ザウナーは自伝的ではない手法を使って曲を作ることにしました。また、創造性を発揮するためのアプローチを強化し、初めてオーケストラのアレンジを共同で書き、その場で制作の決定をするのではなく、綿密なデモを使って曲の構想を練ったと言います。
この概念を探求するために、ザウナーは自伝的ではない手法を使って曲を作ることにしました。また、創造性を発揮するためのアプローチを強化し、初めてオーケストラのアレンジを共同で書き、その場で制作の決定をするのではなく、綿密なデモを使って曲の構想を練ったと言います。
それは長年の友人であり、協力者でありプロデューサーであり、ジャパニーズ・ブレックファストのドラマーであるクレイグ・ヘンドリックスのアイデアによるものです。ヘンドリックスは、彼女が以前所属していたバンド「Little Big League」の時代から、ドラムキットやサウンドボードの後ろで一緒に作業するなど、彼女の音楽人生において確固たる存在となっています。二人の関係は、新作を発表するたびに進化し、アーティストとエンジニアという形式から、スタジオでは対等な関係となり、かけがえのないケミストリーを生み出しています。

このようにして培われた信頼関係のおかげで、『Jubilee』の制作では、2人の間に創造的な隔たりが生じることがあっても、新しいアイデアが実現する余地があったそうです。
冒頭の「Paprika」では、持続的なシンセ音がカーニバルの雰囲気を醸し出し、ウェス・アンダーソンの映画のような幻想的なストーリーの可能性を表現しています。この壮大なエントランスの後も、精神的な没入感は途切れません。全10曲中、包み込むような暖かさと好奇心の刺激が続きます。
バフ仕上げのブラスの音色、セピア色のノスタルジーで形作られたストリングスのハーモニー、そして夢のような区別のつかない音の軌跡が現れ、きれいな直線ではなく、破れていたり、ぼやけていたりするエッジが好まれます。
このようにスケールアップすることは、2人のミュージシャンに新たな挑戦をもたらしましたが、同時に、曲の骨格が完全に実現されたコンセプトへと成長し、ソフトウェア・プラグインでマッピングされたアレンジが、人間のプレイヤーの手の中で必然的に変化し、時には音に命を吹き込むために何時間もの作業を必要とするような興奮も感じさせました。
このようにスケールアップすることは、2人のミュージシャンに新たな挑戦をもたらしましたが、同時に、曲の骨格が完全に実現されたコンセプトへと成長し、ソフトウェア・プラグインでマッピングされたアレンジが、人間のプレイヤーの手の中で必然的に変化し、時には音に命を吹き込むために何時間もの作業を必要とするような興奮も感じさせました。
このアルバムが、アナログとデジタル、リアルとイマジネーション、緊密なコラボレーション、そして時にはお互いの邪魔にならないようにする勇気といった、曖昧な境界線をどのようにナビゲートしているのか、我々は注意して聞く必要があります・・・。
などなど、いつもながらアメリカの批評は読むと理屈っぽいのですが、百聞は一聴にしかずです。
Japanese Breakfastの「Jubilee」はSpotifyやいTunes,Amazonなどの音楽配信で聴けますので、ぜひ新しい音楽体験をしてみてください。
追伸
Japanese Breakfastも御多分に洩れず、去年は他のアーティスト同様、ライブでの発表の場を失って大変だったようですが、今年は7月21日から始まる全米ツアーでこのニューアルバムを引っ提げてのロングランとなります。今後、どのようなパフォーマンスを見せてくれるのかがとても楽しみなバンドです。
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