敢えてタイトルにオリンパスと書きましたが、ご存じのように現在の正式名は、
OM Digital Solutionsです。オリンパスカメラはズイコーレンズとともに、80年以上の歴史を生き抜いてきた光学機器メーカーの老舗です。フィルム時代はオリンパス・ペンというコンパクトなカメラが大人気を博しベストセラーとなりました。その後、紆余曲折を経て、カメラ事業の中心をマイクロフォーサーズにシフトして、ごく最近まで堅調な営業実績を上げてきました。しかし、2010年ごろを機に、これはどこのカメラメーカーも同じですが、スマホカメラにシェアを奪われ、どんどん売り上げを落としていきました。これらの経緯はすでにご存じのことと思いますが、コンパクトをウリにしてきたカメラだけに、それよりさらにコンパクトで携帯性の高いスマホが台頭してくると、真っ先にそのあおりを食らったのが、かつてはコンデジも堅調だったオリンパスでした。マイクロフォーサーズはとくに微妙な立ち位置で、画質に関しては常にフルサイズやAPS-Cに劣るような印象を持たれ、携帯性ではスマホにお株を奪われる、そんな中途半端な役回りになることが多くなりました。
実際はマイクロフォーサーズはじつによく考え抜かれたサイズ感なのにじつに残念です。
いまでもOM-D M1シリーズなどはプロでも使う人がいて、カメラ評論家からも高い評価を得ています。まあプロ志向層を差し引いても、おそらくマイクロフォーサーズ最大のターゲットはカメラを常に身近に置く一般市民全般だと思います。そういう生活の中にいつもあるカメラとして、軽量コンパクトなマイクロフォーサーズ・ミラーレスカメラは本来最適なポジションを維持できたはずです。
しかし先述のように、スマホカメラにその座は取って代われてました。較べてみればスマホの遠くい呼ばない素晴らしいカメラ性能に粋がオリンパスのコンパクトな機体に凝縮されています。これが無くなるなどという事は、決してあってはならないことだと思うのです。
アメリカのカメラファンや写真について語るコミュニティにおいて、残念ながらマイクロフォーサーズシステムを持つオリンパスは、あまり話題になりません。だからと言って、票かされていないわけではありません。一般的な傾向として、アメリカ人はカメラに限らず、大抵のガジェットで小さいものを過小評価する傾向があります。携帯性は二の次で、性能が第一、その次に頑丈さです。華奢なものはいくら高性能を謳っていても、あまり見向きしないのが、アメリカ消費者の傾向です。よってオリンパスのマイクロフォーサーズも良さはなかなか話題に上らないのです。
では本当にマイクロフォーサーズ不当に評価されとぃるのでしょうか。このフォーマットのカメラに未来はあるのか?
というわけで、改めてマイクロフォーサーズの利点欠点を考えてみたいと思います。
マイクロフォーサーズの利点
軽量でコンパクトなこれらのカメラは、デジタル一眼レフシステムに代わる、持ち運びに便利なカメラです。小さくて軽いカメラは、それだけで撮影機会を増やしてくれます。それを体現しているのが、オリンパスのPEN E-PLシリーズです。非常におしゃれでスタイリッシュな筐体は手に取ればすっぽりと手のひらに馴染みますし、バッグにも楽々収まります。レストランなどで、パチリと一枚撮ってテーブルおいても、絵になるデザインは貴重な存在感を持っています。
マイクロフォーサーズの限界
低照度下での撮影では、キヤノン、ニコン、ソニーらと競合できるMFTボディはありません。一言で言えば、センサーが小さければ小さいほど、暗い状況でのノイズが多くなるということです。一般的にMFTカメラは、フルフレームのそれよりも1.5~2ストップほど低照度に対する感度が低いと言われています。それでも、私は経験的にISO1600くらいでパナソニックG8を撮影していますが、大抵不都合を感じることはありません。
AFスピードとその精度はどうでしょうか。ごく最近まで、MFTカメラは最高級のデジタル一眼レフカメラに匹敵するAFスピードと精度を持っていませんでした。しかし、オリンパスOM-D E-M1の登場で定説は覆されました。これはじつに心地よいオートフォーカスを実現しているのです。
同様にパナソニックのLUMIX GH4やGX8なども、カメラに向かってまっすぐに迫ってくる動きの速い被写体に対して、より完璧にフォーカスされたフレームを収集することができます。
マイクロフォーサーズ由来の技術
私たちが日常的に目にしているように、技術は猛烈なスピードで進歩しており、歴史上MFTカメラはしばしばこれらの技術を最初に提供してきました。カメラ内手ぶれ補正、タッチスクリーンLCD、4Kビデオ、4Kフォトモード、ポストフォーカス、フォーカススタッキング、パノラマモード、サイレントシャッター、ワイヤレスアップロード、その他多くの素晴らしい新しいツールなどは、すべてMFTカメラで利用可能です。
カメラ内手ブレ補正機能
コニカミノルタは、手ぶれ防止(AS)と呼ばれる技術でインカメラISのアイデアを開拓し、オリンパスはEVOLT E-510でこの機能を完成させました。カメラ内手ぶれ補正システムとは、撮影者の動きを補正するためにカメラ本体内のイメージセンサーを動かし、その動きを効果的にキャンセルしてよりシャープな画像を得るシステムです。MFTシステムに限ったことではありませんが、オリンパスもパナソニックもこの素晴らしい技術の先鞭をつけました。
4Kフォトモード
パナソニックから始まった4Kフォトモードは、いまやデジタルカメラの選択ポイントの中でも大きな幅を利かせるようになりました。動画ファイルを毎秒30フレームで撮影することができ、その後、その動画から個別のフレームとして800万画素の静止画を取り出すことができます。これは毎秒30フレームで8メガピクセルのJPEGを撮影できるスチルカメラという事になります。
ポストフォーカス
これもマイクロフォーサーズから一般化した技術です。写真を撮影して、フレームが撮影された後にピントを合わせたい場所を選択できる、これはデジタルならではの新しい発想です。Lytroはこの技術を開拓しましたが、Panasonicはこのコンセプトを一工夫して大衆にもたらしました。LUMIXカメラの4Kビデオキャプチャーを使って、4Kビデオを撮影してからソフトウェアを使って重要なピントを後から選択することも、カメラの液晶画面上で個々の画像を選択して8メガピクセルのJPEGとして保存することもできます。
フォーカススタッキング
オリンパスは、撮影者がフォーカスの開始点と終了点を選択し、カメラが2つの点の間に一連の画像を作成することで、信じられないほどのマクロ写真を作成している素晴らしい新技術を持っています。撮影が終了すると、カメラは自動的にフレームを結合し、強化された被写界深度と前面から背面への完璧なフォーカスを持つ最終的な画像になります。
これらの優れたデジタルカメラ技術を結集して誕生したのが、
OLYMPUS OM-D EM-1 Mark IIです。
オリンパスOMD EM1 Mark IIは、人気の高い耐候性を持つMark Iをベースに、グリップを深め、メモリーカードスロットを2つ追加し、ミラーレスカメラの中で最も余裕のあるバッテリーを採用しています。
すでに定評のあったオリンパスの驚異的な手ブレ補正機能をさらに向上させ、解像度もわずかに向上させ、適切な条件であれば最大5000万画素まで解像力を向上させることができるハイレゾモードを実装しました。
さらに他の主なアップグレードは動画とオートフォーカスです。EM1 Mark IIは、新しい内蔵AFシステムで、最大18fpsで動く被写体を忠実に追跡することができます。また優れた手ぶれ補正と同時に連携する、素晴らしい品質の4kとCinema4kビデオを撮影できます。
シングルAFに切り替えると、それは60fpsで48 RAWsまで撮影することもできます。
このカメラは、他のカメラでは撮影できないような画像を撮影できる画期的なカメラと評されました。
主なスペック
マイクロフォーサーズ規格マウント 有効画素数約2037万画素4/3型Live MOSセンサー採用
・スーパーソニックウェーブフィルター搭載
・常用ISO感度200-6400 / 拡張ISO感度 L64(ISO64相当)
・L100(ISO100相当)・8000-25600
・連写H 最高15コマ/秒・連写L 最高10コマ/秒
・静音モード連写L 最高18コマ/秒
・プロキャプチャー連写H 最高60コマ/秒
・プロキャプチャー連写L 最高18コマ/秒
・メカニカルシャッター1/8000~60秒・電子先幕シャッター1/320~60秒
・静音シャッター(電子シャッター)1/32000~60秒
・ハイスピードイメージャAF 121点(クロスタイプ位相差AF)/121点(コントラストAF)
・撮像センサーシフト式ボディー内手ぶれ補正 5軸7段分(対応レンズ使用で7.5段分)
・視野率約100%/約1.30倍~約1.48倍 約236万ドット液晶ビューファインダー
・3.0型2軸可動式 約104万ドット背面液晶モニター
・スロット1 UHS-II/スロット2UHS-I対応 SDXC/SDHCダブルメモリーカードスロット
・MOV(MPEG-4AVC/H.264) C4K 24p・4K 30p/25p/24p・FHD・HD、ハイスピードムービー120fps、タイムラプス動画 4K/FHD/HD
・三脚ハイレゾショット(80M画素相当、25M画素相当、RAW 80M画素相当)
・手持ちハイレゾショット(50M画素相当、25M画素相当、RAW 50M画素相当)
・無線LAN・Bluetooth 内蔵
・防塵防滴耐低温(-10℃)仕様
オリンパスのカメラは手の届かない高級カメラの高いスペックを保ちながら、気軽に持ち歩けるカジュアルで身近なガジェットへの橋渡しをしてくれました。OMソリューションズとなったこれからも、ぜひとも親しみやすいカメラを作り続けて頂きたいものですね。
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