2021年3月6日土曜日

カメラをブランドで選ぶ

カメラメーカーの強み:パナソニック編



マイクロフォーサーズ、二巨頭体制の維持は可能か?

 オリンパスはイメージング部門の売却を果たし、高い評価を得ているOM-Dシリーズとマイクロフォーサーズ(MFT)の行方に暗雲が立ち込めたのはつい最近のことです。MFTの創業者であるパナソニックは、この件について明瞭なコメントは出していないように思えます。彼らの次の一手が注目されていますが、それは何なのでしょうか?


 オリンパスがカメラ部門を日本産業パートナーズへ売却したことは、事情を知る業界の多くの人にとっては驚きではなかったようです。これは、2019年のイメージング部門の損失が1億5700万ドルに達し、今年初めに韓国から事業を撤退したことに続いてのことだからです。大手メーカーでさえ、カメラ部門が損失を出していることをもはや地震でサポートしきれないことは明らかになっています。


マイクロフォーサーズの戦略

 この時点で、カメラシステムは設計や製造において独立した製品ではないことを覚えておくことが重要です。企業は、多かれ少なかれ、あるメーカーが別のメーカーのサプライヤーとなる高度に統合された市場で事業を展開しています。ニコンはソニーのセンサーを使用し、ライカはスマートフォン用に設計し、コシナは様々なブランドのレンズやカメラを製造し、オリンパスとパナソニックはレンズマウントを共有しています。実際、オリンパスとパナソニックは2008年に共同でMFT規格を発表し、2008年11月にはLUMIX G1が、2009年6月にはオリンパスのE-P1が発売されました。その後、MFTのカメラやレンズは、ワイドレンズ対応や小型化が評価され、さまざまな事業者が製造しています。


 パナソニックは、ニコンD90やキヤノンの5D Mark IIの成功を見て、ビデオに活路を見出したのかもしれません。MFTは小型センサーの能力を活かして、フルサイズにはないメリットを提供してくれました。1つ目は、カメラの大きさです。センサーが小さく、ミラーボックスもペンタプリズムもないMILCだからこそ、カメラ全体のサイズを格段に小さくできます。これは携帯性を大きく向上させているという意味で大きな利点です。
 第二に被写界深度です。スチル写真家は浅い被写界深度でクリエイティブな作品を差別化することが多いのですが、ビデオでは前後のフォーカスが必要になることが多く、小型センサーはこれを容易にすることができるのです。これはその次の第三点、クロップファクター(またはズーム比)につながります。
 小型センサーの方が、同じ焦点距離でも視野が狭く、様々な撮影シーンで非常に重要な役割を果たします。最後に、小型センサーは、より高速にデータを読み出すように設計されているため、より高速な撮影が可能になります。高フレームレートや超スローモーションにも対応できるということがマイクロフォーサーズの大きな利点なのです。
 それらのことを踏まえ、最大限に生かしたパナソニック機の代表的な一台をご紹介しましょう。



Panasonic G9 Pro



 パナソニックのLUMIX G9は、主にスチルに最適化されたミラーレスマイクロフォーサーズカメラです。パナソニックには動画撮影に特化した素晴らしいカメラが多い中、大手カメラメーカーの製品に負けないくらい、スチルに特化したカメラを作ることに苦心していました。そこで登場したのがパナソニックG9です。

 主にスチル写真家をターゲットにしていますが、G9はビデオグラファーにも威力を発揮します。2030万画素センサーを搭載し、5軸デュアル手ブレ補正、4K 60P録画、マグネシウム合金製のウェザーシールボディを採用しています。 さらに、G9は80.6メガピクセルの画像を生成することができます高解像度モードを持っており、それは毎秒60フレームまでのバースト撮影を提供しています。これは凄いですよね?

 総合的に見て、G9はパナソニックが開発した最高のカメラの一つですが、あなたに合ったカメラでしょうか? 以下のパナソニックLUMIX G9レビューを読んでみてください。


スペック

 パナソニックのLUMIX G9は、ローパスフィルターを搭載していない20.3メガピクセルのマイクロフォーサーズLive MOSセンサー搭載機ですが、ハイレゾモードを使えば8060万画素の画像を撮影することができます。これはどのようにして可能になったのでしょうか?


 パナソニックのLUMIX G9には、8枚の異なる写真を組み合わせて最大8060万画素の画像を作成するオプションがあります。これにより、巨大な表面にプリントできるようなシャープで詳細な写真を作成することができるのです。

 カメラの感度範囲はISO100から25,600までです。また、G9には、写真・動画撮影時に手ブレの影響を軽減する技術「5軸デュアルI.S.2.0(Image Stabilizer)」が搭載されています。同社によると、光学式手ブレ補正(O.I.S.)を搭載していないレンズでも、LUMIX G9のボディ内手ブレ補正の恩恵を受けることができるといいます。そのため、パナソニックLUMIX G9は、低照度下での撮影にも驚くほどよく対応しているといわてています。

 DFD(Depth from Defocus)オートフォーカス技術を採用しており、225エリアのAFエリアをカバーしています。EV-4までの低照度下でのピント合わせに成功し、わずか0.04秒でピントを合わせることができます。このようにオートフォーカスシステムはじつに素晴らしいのですがその反面、位相差センサーがないのが難点と指摘されています。

 最後に、パナソニックLUMIX G9は非常に速い撮影速度を実現しています。例えば、毎秒60コマ(RAWまたはJPEGファイル)という驚異的なスピードで撮影することができます。しかし、連続オートフォーカスを使用したい場合は、電子シャッターで毎秒20フレーム(黒つぶれなし)、機械式シャッターでは毎秒9fpsの撮影が可能です。電子シャッターは1/32,000秒、メカニカルシャッターは1/8000秒を最高としているのに対し、電子シャッターは1/32,000秒のシャッタースピードに達します。まさにマイクロフォーサーズならではの驚異的な撮影スペックです。




デザイン

 パナソニックのLUMIX G9は、いかにもデジタル一眼レフらしい風貌のデザインです。カメラのサイズは5.39×3.82×3.6インチ、重さは1.45ポンド。電池を含む)。ミラーレスモデルであることを考えると、G9は平均的なデジタル一眼レフカメラよりも小さくもなく、軽くもないです。しかし、G9は人間工学に基づいた優れた耐久性と使いやすさを備えたカメラです。

 ルミックスG9は、ミラーレスカメラの中でも最高のファインダーを搭載しています。ファインダーは3,680,000ドットの解像度、0.83倍の倍率、120fpsのリフレッシュレートを備えています。また、非常に大きくて明るいので、使っていて楽しくなること間違いなしです。

 カメラの背面には、1,040kドットの解像度を持つバリアングル3インチタッチスクリーンディスプレイがあります。さらにこのカメラは、撮影の途中で素早くカメラの設定を確認するために便利なトップ液晶画面を持っています。

 接続性の面では、USB電源、デュアルSDカードスロット(UHS-II U3対応)、Wi-Fi、Bluetooth 4.2を搭載。

 G9の魅力の一つは、その優れた作り込みの良さです。カメラはマグネシウム合金で作られており、各接合部、ダイヤル、ボタンに防塵防滴が施されています。G9は極寒(マイナス10度まで)と極高温の両方で使用することができます。また、少量の水分や水、ホコリがあってもカメラに大きなダメージを与えることはありません。

 G9のもう一つの優れた点は、大きくて深いグリップを持っていることで、カメラが手にしっくりと馴染むことです。ボタンやダイヤルは直感的に操作できる位置に配置されています。また、カメラの背面には、フォーカスポイントをフレームの周りに移動させるための非常に便利なジョイスティックがあります。

 カメラのバッテリー寿命は約400ショットですが、オプションの縦型バッテリーグリップを購入すれば、それを倍にすることができます。


ビデオパフォーマンス

 これはスチル指向のカメラであると述べましたが、パナソニックLUMIX G9は動画撮影にも優れています。もちろん、ビデオグラファー向けにはもっと優れたパナソニックのカメラがありますが(例えば、パナソニックGH5)、G9は本格的な動画もこなすことができます。

 パナソニックLumix G9は、シネマ4Kビデオ(4096 x 2160)を60fpsで、フルHDビデオを最大180fpsで撮影することができます。また、4K映像から8MPの静止画を、6K映像から18MPの画像を抽出する便利なオプションも用意されています。さらに、カメラにはマイクとヘッドフォンジャックのほか、HDMI出力も備えています。

 デメリットは、Lumix G9にはV-Logや10ビットビデオが搭載されていないことと、4K 60Pビデオ録画のための厄介な制限時間(10分)があることです。

 今頃になってみれば、Panasonic Lumix G9が静止画と動画の両方で印象的な機能を提供していることは明らかなはずです。しかしカメラボディと適切なレンズの組み合わせなしには、なかなか望ましい結果を得ることはできません。


レンズ

 どのレンズを選ぶかは難しい決断であり、それはあなたの写真撮影のスタイルに大きく依存することになります。参考として、以下の高評価レンズ等を試してみることをお勧めします。

Olympus M. Zuiko ED 12 - 100mm F/4.0 IS PRO - 広範囲の焦点距離を持つズームレンズ。

Panasonic - Leica DG ノクティクロン 42.5mm F/1.2 ASPH - 汎用性の高いプライムレンズ。

Olympus Zuiko Digital ED 60mm F2.8 Macro Lens - ポートレートに最適なレンズ。

Panasonic Lumix G 20mm II f/1.7 - 大口径F1.7の広角プライム。


まとめ

 PanasonicとOlympusはマイクロフォーサーズ規格を共有する盟友ではありますが、同時に最大のライバルでもあります。同じ規格同士、どうしても似たような機能、サイズ、スペックで勝負することになり、それはお互い切磋琢磨し合う分には利点も多いのですが、今回のように、一方のオリンパスが大きな転機を迎えると、パナソニック側にもなんらかの影響が出ることは必至で、冒頭述べたようなマイクロフォーサーズの存続自体を危ぶむ懸念もなかなか払しょくできないのが現状です。
 とはいえ、パナソニックも厳しいカメラ業界全体のなかで、次々に新手を打ち出していますし、今年もGH5の後継機やフルサイズのさらなる充実が図られる見込みです。まだまだ目を離せないメーカーの一つとして、今後の活躍に期待しています。

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