2021年1月24日日曜日

カメラの買い時

 売れるカメラ、買うカメラ


 ここ数年のフルサイズ・ミラーレス・カメラの販売動向を見ていると、カメラ業界全体の動きはもはや「カメラはミラーレス」という流れに大きくシフトしていることは間違いないでしょう。しかしここへ来て、欧米では従来の一眼レフカメラの需要が戻ってきているようです。

 CIPA(一般社団法人カメラ映像機械工業会)の統計報告によると、2020年、全世界のカメラ出荷台数に予想外の変動が起きました。
 CIPAは年末に、デジタルカメラ生産出荷実績を公開しました。総出荷数が数か月ぶりに100万台を突破した9月に引き続き、10月はさらに伸びる結果を示し、回復傾向が鮮明となったのです。(9月の総出荷数101万1,049台、10月の総出荷数は113万4,888台)
 内訳は一眼レフカメラ33万8,652台、ミラーレスカメラ41万6,006台。金額的には、ミラーレスカメラが353億8,368万円、一眼レフカメラは123億9,009万円で、3倍近い差になっています。
 日本では人口減も相まって、引き続きカメラ業界全体の縮小に歯止めがかかっていない状況ですが、世界的に目を転じると、2020年にコロナ禍にもかかわらず回復基調が鮮明化してきているのは注目に値します。


 2020年10月の販売実績をみると、CIPAによれば海外市場ではミラーレスカメラは38万6,627台(329億2,208万円)出荷されました。一眼レフカメラでは32万6,825台(118億3,017万円)、レンズ一体型カメラは32万1,988台(73億5,510万円)です。
 前月比、ミラーレスカメラ・一眼レフカメラともに、台数・金額ともに10〜40%程度の大幅増加となっているのです。これはこれまでの減少傾向とは相反する結果で、カメラにまだ活路を開く余地があることを示しているのではないっでしょうか。(ちなみにコンパクト・デジタルカメラは数%減少という結果)

 ここでより注目したいのは、アメリカおよび欧州での売り上げ動向です。
 数字は昨年10月時点での比較となりますが、欧州向けでは日本同様ミラーレスカメラはわずかに減少しているのに対し、一眼レフカメラが伸びを示しています。台数および金額で前月比150%は少なくない数字です。アメリカでも傾向は同じで、ミラーレスカメラが減少して、一眼レフカメラの伸びが目立っているのです。台数ベースではなんと前月比170%を超える伸びなのです。この傾向は今年に入っても続くことが見込まれ、各社カメラメーカーの対応にも、微妙な影響が出るのではと思われます。

 ではアメリカでなぜまたかつての一眼レフカメラが売れ出したのか。
 ひとつ考えられる要因は、アメリカおよび欧米諸国の製品に対する期待の差です。勿論、日本の家電製品や車の品質の良さはかねてより高く評価されているのですが、こと耐久性、堅牢性といった面では、かなり厳しい見方がされる傾向にあります。
 例えば日本の軽自動車はコンパクトで低燃費。大衆にはうってつけの条件に思われますが、アメリカでこのクラスのクルマはほとんど顧みられません。まず安全対策として基準となる、車のボディ強度が基準に満たないのです。かろうじて基準をパスしても、より頑丈なヨーロッパ車に市場を持っていかれるのです。
 カメラでもその傾向は顕著で、近年発売されているミラーレスカメラでも、軽量小型はむしろマイナス要素とみられることがあります。アメリカ人はよく華奢なミラーレスカメラを、Flimsy(華奢だ)と言って敬遠しがちです。それよりもむしろ、かつてのNikonやCanonに代表されるずっしりと重い一眼レフカメラに信頼を置く傾向にあるのです。
 また心理的な要因も見受けられます。各社ともミラーレスカメラの新製品を大々的に売り出している昨今、一眼レフカメラの新製品発売が急速にペースダウンし、それまでのレンズ資産を活かしたい旧来のカメラファン層を枯渇状態に追いやっているのです。
 もう今まで通りに新しい一眼レフがでないとなると、今のうちに生産を続けている旧製品でも買っておくべし、という心理が働いても不思議ではありません。実際、私の甥が働いている家電量販店でも、NikonのD5600 ダブルズーム・レンズキット (18-55mm, 70-300mm )がディスコンになるというアナウンスが出でほどなく売り切れとなり、問い合わせが相次いだというのです。一方Canonでも、2016年発売の人気フルサイズ機EOS 5D Mark IV が$3400のまま値下がりもしないのに、また売れ始めているというのです。

EOS 5D Mark IV


 ミラーレスの便利さより、手にすると圧倒的な存在感で所有欲を満たせるのが、一眼レフということでしょうか。アメリカで小型自動車より、デカくて燃費の悪い大型ピックアップトラックの方がもてはやされるのと、似ていて興味深いのです。

 そのような現状で、いまアメリカでどのカメラが「買い」なのでしょうか?
 いままでカメラを買ったことがなく、これから始める人には、やはり最新のミラーレスカメラをお勧めします。日進月歩の最新技術が詰め込まれた各メーカーのカメラは、新たに出るたびに前機種のスペックを更新しています。入門者には新しく出た機種が買い時です、と言わざるを得ません。

 いまなら、CanonのEOS Kiss M IIが一番のビギナー・カメラです。




 2410万画素APS-C CMOSセンサーとDIGIC 8イメージングプロセッサーを搭載し、静止画や動画撮影時のオートフォーカスの改善、縦位置動画のネイティブサポート、ワイヤレスYouTube Liveストリーミングなどの前機種からのバージョンアップが見所です。また、無料のEOS Webcam Utilityを使ってウェブカメラとして使用することもできますし、HDMI出力もきれいに出力されています。
 モニターは3インチの104万ドットの解像度を持つバリアングル液晶を搭載しています。マークIIでは、ディスプレイ上に録画開始・停止ボタンを搭載したほか、動画セルフタイマーを新たに搭載しました。ファインダーは236万ドットの有機EL EVFで、ファインダーを見ながら画面をタップしてオートフォーカスを操作できるようになりまた。
 さらに4K UHD 24pのほか、フルHD 120pの動画撮影にも対応しています。
 まさに新人優等生で、カメラを始めるにあたって過不足のない能力を備えています。初めての方にも優しいガイドがモニターで示されますので、はじめはそのガイドに従って操作すれば、誰でも簡単にきれいな写真が撮れます。
 アメリカで本体のみの価格は599ドル。キットオプションも用意され、1つは699ドルでEF-M 15-45mm付き、もう1つは15-45mmとEF-M 55-200mmの2レンズ同梱で、929.99ドルになります。

 もう一つのお勧めは一眼レフの入門機Nikon D7500です。


 こちらはこれからガチでカメラをはじめたい方のために、最初に持つべき最良の一台です。とにかくNikon画質と言いますか、同梱の標準キットレンズでも、まず文句ないきれいな写真に驚くはずです。
 基本性能が優れていてかつ、入門者にもわかりやすインターフェース。有効画素数は2088万画素。解像感を維持しながら、最適なバランスでノイズ低減を行うため、高感度でも卓越した描写力を発揮します。さらに、光学ローパスフィルターレス仕様による解像力とNIKKORレンズの圧倒的な光学性能との相乗効果により、すみずみまで鮮鋭な画像を実現します。
 ニコンD7500の高度な動画撮影機能は、タッチフォーカス・コントロールなどのプロレベルの機能を使用して、驚くほど詳細な4K Ultra HDまたはフルHD動画を記録することができます。
 またローパスフィルターを搭載していないD7500は、画像解像度と低ノイズ性能のバランスを最適化しています。 画像処理エンジン「EXPEED 5」を搭載し、高速連写や30pの4K UHD動画撮影にも対応しています。
 フルHDだけでなく、4K UHD/30pで最大29:59までの記録が可能です。また、MP4形式での録画も可能です。
 約50枚のRAW画像を約8コマ/秒の連写で撮影できるので、動きのある被写体の撮影も苦になりません。
 また、ISO感度は51,200、Bluetooth、グループエリアAFなどを新たに搭載しています。新型D7500の快適なグリップデザインは、手や腕の疲れを解消します。
 ニコンの精密光学ファインダーにより、遅延なくリアルタイムで被写体を追えます。 スポーツ、アクション、ローライト撮影に最適なニコンの光学ファインダー技術は、撮影者に最もクリアで明るく、シームレスなシーンを提供します。
 内蔵フラッシュは、カメラ内の詳細なシーン分析を使用して、被写体にちょうど良い光量を加えることができます。大容量バッテリーは最大950ショットを撮ることができます。

 この高性能一眼がいま1,246.95ドル(ボディのみ)前後で買えます。18-55mm と 70-300mm VR レンズのダブルキットでもまだ1,300ドルで買えるところがあります。

 ディスコンになる前に、購入検討されることをお勧めいたします。
 
 

 

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