2021年1月7日木曜日

ストリート・フォトの撮り方

初心者でも撮れる街並み




 カメラを手にすると、腕がうずいてついつい外に飛び出したくなります。ところが出たはいいけど、いったいなにを撮ればよいのか、わからなくなるのがストリート・フォトです。単に路地に蹲る猫を撮ったり、なじみの駅前の一角を切り取るのもいいでしょう。はじめはこういった何気ない身の回りの風景を撮影するところから始まります。
 ある程度、試し撮りを続けていくと、数は少ないがなんとなく面白い写真と大量のイマイチな写真つみあげられてきます。

 徐々にですが、自分が何を撮りたいのかおぼろげながら、浮かんでくるわけです。でもそこから一歩先のいわゆる「絵」になる写真を撮るには、様々な工夫が必要になってきます。
 ここではちょっとマシになるかもしれない、ストリート・フォトのアイデアと言いますか、チップを初心者限定で記事にしてみました。自分の経験をもとに、プロの方から教わった知恵をかき混ぜで羅列したものです。ご自分で納得した事柄があれば、ぜひ撮影にご活用ください。

街並みを撮る心得

 いきなり大上段ですが、ストリートフォトの本質は、カメラで市井の日常生活や社会を記録することだと思います。ストリートフォトこそ写真撮影の原点であり、腕を磨くための格好の舞台であります。いい写真はなにも遠くの異国に行かなければ撮れないものではありません。
一般的には、通常許可なしで、自然体の被写体を撮るのが理想です。もちろんマナーとして許可を得てから撮る必要のケースはたくさんあります。が、被写体がカメラを意識し役者になっては、台無しになってしまうケースもあります。とはいえストリートフォトグラフィーは、キャスティングされた写真を全否定するものではありません。相手に撮影を知らせておいて、自分がいいと思った瞬間をキャッチし、面白いキャラクターに作り上げるのもアリだということです。
 ストリートフォトで最も重要なことは、あなたの心の好奇心を躍らせることです。やみくもにいい被写体を漁るような姿勢はやめ、自然体で景色を楽しんでください。そうするとおのずと格好の絵になる状況が向こうからやってきます。
 テクニック以前の、感性の問題ですが大切なことです。撮影する側のエモーションはカメラの写りに影響を与えるんです本当に。とにかくわくわくする気分で街に出てください。



カメラを常に持ち歩く習慣

 当たり前のことですが、どんな名写真家でもカメラなしに傑作は生まれません。皮肉なことにカメラが手元にない時に限って面白い素材に巡り合うものです。少しでも多くシャッターチャンスをものにするためには、カメラの常時持ち歩きを心がけましょう。
とくにストリート写真の場合は瞬発力が命です。さっとだしてパッと撮る。簡単なようでなかなかできるものではありません。そういう観点から、私は少しでも携帯性に優位な小型カメラを推奨しています。オリンパスのPENシリーズなどは、普段使いにも気軽に持ち歩けるコンパクトさと高性能を両立させています。肩からぶら下げて歩いてもファッショナブルでかつ軽快に被写体を追うことができます。


レンズを選ぶ

 使用するレンズを決定することは、ストリート写真のための最も重要な要因の一つです。初心者はつい、望遠レンズを使用するように誘惑されるかもしれませんが、それはあまりいい成果をもたらすものではありません。あなたは見知らぬ人から巨大なズームレンズを向けられたくないでしょう。撮られる側の身になると、バズーカ砲のような巨大レンズは威圧感ありすぎで、つい身構えてしまうものです。
 実は多くのストリートフォトグラファーは、大型のデジタル一眼レフカメラよりもコンパクトなカメラを選びます。機動性もありますが、一番の理由は被写体への影響を考慮して、装備をコンパクトにする事、なのです。
 そういった意味で私はマイクロフォーサーズで街並みを撮ることをお勧めしています。レンズも高層ビルを丸ごと撮れる広角から、ピタッとぶれない超望遠まで、軽量小型のレンズが揃っていますので、マイクロフォーサーズ機は身軽に行動するにはうってつけのサイズ感なのであります。


カメラ設定

 カメラをA設定(絞り優先モード)に切り替えて、F値(絞り)とISOを手動で選択するのが、ストリート撮影設定で最も簡単な方法です。その後、カメラが適切なシャッタースピード(露出)を決定します。晴れた日には、F値16、ISO200~400の間で撮影を開始するのが良いでしょう。カメラが1/200秒以上のシャッタースピードを表示していれば、撮影準備完了です。

 カメラが表示しているシャッタースピードをメモして、それに応じて絞りとISOを調整するといいでしょう。カメラのシャッタースピードが1/80以下の場合は、写真がぼやけてしまう可能性がありますが、それも逆に味わいに転じる効果になったりします。
 ボケを克服するには、ISOを上げたり、絞りを広くしたりするだけでいいでしょう。写真撮影に慣れていない場合は、カメラをPモード(プログラムまたはオート)に設定して、カメラが正しい設定を選択するようにしてください。家に帰ってその時の最良の設定を覚える癖をつけるといいですね。あなたの好みに合わせて露出を上げたり下げたりしたい場合は、EVで調整することができます。

 オートは時間がなくて急ぎの撮影している場合に便利ですが、カメラが何をしているかをほとんど制御できないので、これは常に最良のオプションではありません。今どきのカメラはプログラムモードでかなりいい仕事をしてくれますが、ただし暗い場所での判断は人間と違い、大ミスをすることもあるので、頼り切ることは禁物です。



被写体に近づく

 広角レンズを使用することで、被写体に近づいて撮影することができます。広角の利点は、見る人にその場にいるような臨場感をもたらすことです。また長筒のレンズで通りの向こう側に立つのではなく、環境の一部として群衆の中に溶け込むように撮影することができます。
 大抵の成功したストリートフォトは、立ち位置から数メートル、時には数センチの距離で撮影されています。人通りの多い通りや市場、公園などを歩いていても、観察力があり、面白い被写体を探すために目を開けていれば、実りある写真を撮ることができます。もしイメージと違う写真が撮れたなと感じたら、次はもっと近くで撮影することをお勧めします。臨場感を意識してファインダーを覗きましょう。



羞恥心と戦う

 始めの頃は、街中でカメラを構えることには勇気がいります。誰かにどう見られているか気になって、被写体に集中できません。とくに大型カメラでファインダーを覗くと、目立つことは避けられません。焦って設定ミスを繰り返し、大事なシャッターチャンスも見逃してしまいがちです。必要なのは繊細な観察眼と厚かましい好奇心の両方です。ならば撮影に徹するために開き直って、カメラマンっぽいファッションで臨むのも手です。
 隠し撮りと疑われないためにも、かえって「私カメラで撮影してます」と意思表示しているような、撮影モードのファッションがグッドです。カメラバッグや三脚を装備し、撮影者であえる自覚と意思表示を兼ね備えるのです。私はよく背中に「STAFF」と書かれたカメラマン・ベストを着て町を歩いたものです。なんのスタッフかわからないが、とにかく仕事で撮影してるんだろうと思わせるためのカモフラージュです。

 もう一つ、ストリート写真は立って歩きながら撮るものだという潜入感はありませんか? 意外に多くの傑作は座った位置からも生まれています。旅先などでは野外のカフェやレストランに座って景色を楽しみながら、面白いハプニングを待ったりします。居心地の良い場所で観察すれば、リラックスしてゆとりある写真を撮ることができます。気合入れ過ぎて通りの真ん中に立っているよりも、カメラを持ってゆったりカフェに座っている方がチャンスはやってきやすいものです。



早朝・夜間に撮影する

 早朝は人影がまばらで、普段見慣れない印象的なシーンを撮るのに格好のシチュエーションです。通りの安全を確保したうえで、大胆な画角や俯瞰、カメラ目線を試せます。昼間の雑踏では見えなかった面白い素材が見つかるもの早朝ならではの楽しみであります。
 また街中での夜の撮影は、ユニークな写真を撮る絶好のチャンスです。日中の撮影ほど簡単ではありません。ボケを避けるためにシャッタースピードを遅くしたり、ISOと絞りを使って低照度を補正したりする必要があります。でもやればやるほど経験値が上がり、絞りをコントロールする腕を磨くことができます。夜の街はカメラを学ぶ先生の役目を果たしてくれると思ってください。
 長時間露光撮影をする場合は、三脚を忘れずに。また、開放絞りのレンズを使えば、低照度のシーンを撮影しても、動きを静止させたまま撮影することができます。夜間の撮影では、面白いラインや影、構図を見つけて、画像に大胆な視覚効果を与えてみてください。シルエットになっている被写体も面白いですし、モノクロを強調して印象的な一枚に仕上げるもの面白い試みです。




脱:画質至上主義

 基本的にストリートフォトというものは、風景写真や商業写真に比べれば、画質を気にするジャンルではありません。確かに高画質に越したことはありませんが、それほど気にすることではありません。一般のフォトコンテストにおいても、ラフな画質であっても発想や瞬間の描写が優れているものが上位に受賞しています。画質よりも構図、光、ドラマ、伝えようとしているストーリーが重要だということでしょう。綺麗に収めようとはせず、感情のこもった撮り方がベストなのです。(雑に撮ってよいという意味ではありませんよ念のため)



まとめ

 ストリート写真は自由な発想が命。普通の人が見過ごしがちな小さなものから、肉眼ではとらえきれない巨大な町の空気感までさまざまな切り口があります。カメラの性能云々より、撮影者のスピリットみたいなものが、個性を際立たせ、人を魅了する写真になります。
 ぜひあなた自身の心のときめきを信じで自由な発想で街を切りとってください。




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