2021年3月18日木曜日

まだ買える?カムコーダー

ビデオはやっぱりカムコーダー?



気が付けばいわゆるハンディカムと呼ばれる、ビデオカムコーダーを巷で見かけなくなって久しくなりました。運動会や遊園地であれほど大活躍していたあのビデオコーダーはどこへ行ったのでしょうか?


スマホカメラが普及し始めた2010年ごろからスチルカメラ同様、売り上げは激減していったようです。さらにそれに追い打ちをかけるように、GoProに代表されるようなアクションカメラが動画撮影で注目され始めました。
かつてはこの市場もソニー、パナソニック、キャノン、JVCなど日本メーカーの独占市場でしたが、その勢いはなかなか巻き戻せないまま今日に至っています。

しかしこのジャンルのビデオカメラが完全に消え去ったわけではありません。時代の流れに沿って4Kや画素数の大きな、よりきれいに撮れる機種も投入されています。
なによりハンディで軽量、スチルカメラを先取りしたバリアングルも当たり前のハンディカムは持ち運びに便利です。基本形状は筒形ですので、バッグに入れても邪魔にならないのです。旅の記録や日常のビデオ日記、子供やペットの動画なら、余計な設定を考えず、さっと出して撮るだけです。
もしあなたが写真より動画を重視するなら、ハンディカムも選択肢に入れたほうがいいかもしれません。カメラより使い方が簡単で、家族やうちわだけで鑑賞する目的ならこちらで十分ですから。

では現行で発売されているベストカムコーダーからいくつかご紹介します。
最高のカムコーダーは、完璧なオールインワン・ビデオカメラです。あなたのニーズにぴったりのカムコーダーがきっと見つかります!


イントロダクション

4Kカメラがあらゆる価格帯で入手できるようになった今、最高のカムコーダーにとって、かつてないほど良い時代になりました。より多くの人々が、自分専用のデバイスを持つことの重要性を認識しています。 カムコーダーを購入する際に考慮すべきことはたくさんあります。低予算のファミリーモデルから、放送局での制作に十分耐えうるプロ仕様のキットまで、市場には様々な種類があります。

どれくらいの解像度が必要なのか、どれくらいの大きさのカムコーダーを持ち歩けるのか。また、ロケでの撮影が多いのか、室内での撮影が多いのか。このように、考えなければならないことはたくさんあります。

今、市場で入手可能な最高のカムコーダーと思われるものをリストアップしました。休日や日常の気軽な撮影に適した小型のカメラから、高品質な映像を撮影できる最新の4Kカムコーダーまで、すべてのユーザー、そしてすべての予算に合ったものがあるはずです。

スマホ育ちの若い世代には、なぜカムコーダーが必要なのかと疑問に思うかもしれません。スマホのビデオカメラと比較した場合のビデオカメラの主な利点は、大きな光学ズームレンズが内蔵されているため、画質を落とさずに被写体に近づくことができることです。これは、スポーツや野生動物を撮影する際に特に有効であり、カムコーダーが最近のアクションカムとは異なる点でもあります。

もちろん、ビデオグラファーにとっての選択肢はカムコーダーだけではありません。映像制作に最適な4Kカメラは、高画質であるだけでなく、レンズ交換が可能であるというメリットがあります。一方、シネマカメラは、プロ向けに設計されており、価格もそれに見合ったものになっています。一人で活動するコンテンツ制作者は、Vlog用のカメラに興味を持つでしょう。
今回は、カムコーダーを大きく3つのカテゴリーに分けて紹介します。ベスト4Kカムコーダーは、本格的なビデオ撮影に適したモデルを網羅しており、ベストファミリーカムコーダーは、優れた機能を手頃な価格で使いたい人向けに設計された機能を備えています。そして最後に、最高のプロ用カムコーダーを紹介します。それでは参りましょう。


2021年のベストカムコーダーは

映画を撮影するために設計され、大きなズームを内蔵しているカムコーダーは、ビデオ用の最高のカメラを選ぶ際に、多目的カメラやスマートフォンよりもはるかに優れた選択肢であることがよくあります。



1. ソニー FDR-AX43


携帯性に優れ、価格も手頃な4Kカムコーダー

最大記録解像度 3,840×2,160px|イメージセンサー: 撮像素子:Exmor R CMOSセンサー|総画素数:8.29MP 8.29MP|外形寸法 サイズ:173×80.5×73mm|重量:625g

FDR-AX43はコンパクトですが、機能には妥協していません。
光学20倍ズーム、4K撮影(1080pディスプレイにはスーパーダウンサンプリング)、低ノイズのExmor R CMOSセンサー、XAVC SとAVCHDの2種類の動画撮影、そして簡単に共有できるMP4など、機能は充実しています。
また、ホームシアターやサウンドバーでの再生時に臨場感のあるサラウンドを楽しみたい方のために、マルチチャンネル対応の5.1chマイクも搭載しています。
暗い場所での撮影には限界がありますが、扱いやすく高性能な4K撮影機を探しているのであれば、このモデルは素晴らしい選択であり、機能性、携帯性、価格のバランスが取れていることから、第1位に選びました。



2. ソニー FDR-AX700


ハイスペックでコンパクトな、4K HDR対応のカムコーダー

最大記録解像度 3,840×2,160px|イメージセンサー。撮像素子:1.0型Exmor RS CMOSセンサー|総画素数:14.2MP 14.2MP|外形寸法 169(w)×89.5(h)×196.5(d)mm|重量:600g

FDR-AX700は、1インチのExmor RS CMOSセンサーを搭載し、SDRとHLG(Hybrid Log-Gamma)HDRの両方で4K動画を撮影することができる、優れた仕様の4Kカムコーダーです。
12倍ズーム、3.5型の大型ビューファインダー、デュアルSDカードスロット、アドバンスト位相差AFなどの機能を備えています。
FDR-AX700は、4K、HDともにXAVC Sを採用し、4Kは100Mbps、1080pは50Mbpsで撮影します。また、1080pでは120fpsでの撮影が可能です。同ブランドの画像プロセッサー「BIONZ X」は、画像を鮮明に保ちます。
FDR-AX700は、熱心なビデオグラファーはもちろん、映画制作を志す人にも最適なカムコーダーのひとつです。SMPTE規格のタイムコードを記録することができます。トリック再生では、スーパースローモーションにも対応しています。



3. キヤノン レグリア HF G60



本格的なビデオ制作者向けに開発された4Kカムコーダー

最大記録解像度。4K|イメージセンサー: デュアルピクセルCMOS 13.4MP|総画素数: 3.09MP|外形寸法 125×91×265mm|重量:1135g

Legria HF G60は、本格的な愛好家やセミプロ向けの最新4Kモデルです。4K撮影ができるだけでなく、1インチの大型センサーと9枚羽根の絞りを搭載しており、小型モデルよりも映画のような映像を撮ることができそうです。
慣れ親しんだレイアウトを採用しているので、ベーシックなカムコーダーを使ってきた人にとっては、ステップアップのための良いモデルであることは間違いありません。
15倍ズームレンズと5軸手ブレ補正機能、フリップアウト式の3インチタッチパネル、チルト式アイレベルファインダーを搭載。また、SDカードスロットが2つあるのも便利な点です。



4. JVC エブリオ GZ-RY980

老舗メーカーJVCの堅牢な4Kカムコーダー

最大記録解像度。3,840×2,160px|イメージセンサー。1/2.3型1裏面照射型CMOS|総画素数。18.9MP|外形寸法 サイズ:79(W)×76(H)×162(D)mm|重量:620g

平均以上の作り込みでタフな4Kカムコーダーが欲しいなら、このJVCは十分すぎるほどタフです。Everio GZ-RY980は、JVCのクワッドプルーフシャーシを採用しており、1.5mまでの落下に耐える耐衝撃性、4.9mまでの防水性、-10℃までの耐凍結性を備えています。
GZ-RY980HEUは、光学10倍ズームで、高度な手ブレ補正機能を搭載しています。
4KはMOV形式で70Mb/sで記録され、1080pはデュアルSDカードスロットに同時記録されます。また、デュアルスロットを使ってシリアル記録も可能です。
カメラ内の特殊効果としては、タイムラプス撮影や各種フィルターがあります。GoProよりも高い品質、コントロール、ズーム機能を必要とする冒険家にとって、最高のビデオカメラです。



5. キヤノン Legria HF R86



ファミリー向けに最適なカムコーダー

最大記録解像度 1,920×1,080px|イメージセンサー: CMOS|総画素数:2: 2.7MP|外形寸法 サイズ:53(W)×58(H)×116(D)mm|重量:240g

手のひらサイズでどこにでも持ち運べるCanon Legria HF R80は、家族で楽しむためのカメラです。
1,080pの映像を16GBの内蔵メモリーに記録し、SDカードで拡張することができます。57倍の大口径デジタルズーム、DIGIC DV4による画像処理、ズームフレーミング機能付きインテリジェント手ブレ補正機能を搭載しています。
さらに、シネマルックなどのフィルターや、3人までの子どものアルバムを作成し、撮影した映像を自動的にアルバムに保存できる「ベビーモード」など、充実した機能を備えています。買ってよし、使ってよしのカメラです。



6. ソニーHDR-CX405

ベーシックで低価格のモデル

最大記録解像度 1,920×1,080px|イメージセンサー 撮像素子:Exmor R CMOS|総画素数:9: 総画素数:9.2MP|外形寸法 本体サイズ:54(W)×59.5(H)×128(D)mm|重量:190g

大金をかけなくても、素晴らしい映画を作ることができます。ソニーのHDR-CX405は、200ポンド以下の価格でありながら、洗練されたムービーを作るための数々の仕掛けが施されています。
このカムコーダーは、XAVC SまたはAVCHDフォーマットと、ファイル共有に適したMP4フォーマットの同時記録が可能で、搭載されたHighlight Movie Makerを使ってカメラ内で編集することができます。別の編集ソフトを使うことなく、さまざまな映像効果を施すことができます。
また、インテリジェント・アクティブ・モードを採用した光学式手ブレ補正機能も搭載しており、手ブレを軽減することができます。光学30倍ズーム、広角26.8mmのカールツァイスバリオテッサーを搭載。また、5.1chオーディオも搭載しています。操作性も良好です。
特に、USBケーブルを使って充電したり、PCに映像をコピーしたりすることが簡単にできる点が気に入っています。
このスペックを考えると、これ以上お金をかけるのは難しいかもしれませんが、予算に余裕のある映像制作者にとっては最高のカムコーダーの一つです。



7. キヤノン Legria HF G26
プロシューマー向けフルHDカムコーダー

最大記録解像度 1,920×1,080px|イメージセンサー。撮像素子:Advanced HD CMOS Pro|総画素数:3.3.09MP|外形寸法 115(W)×84(H)×231(D)mm|重量:880g

4Kにこだわらないのであれば、フルHDのハイスペックモデルにもお買い得感があります。Vixia HF G21(北米ではCanon Legria HF G26として販売)は、そんなクリエイティブツールのひとつです。
光学20倍ズーム、ピントをぼかす8枚羽根の絞り、28.8mmのワイドレンズを搭載しています。AVCHDおよび経済的なMP4フォーマットでSDカードに記録でき(デュアルカードスロットで2重または連続記録が可能)、画像はキヤノンの定評あるDIGIC DV 4プロセッサーで処理されます。
また、高感度のHD CMOSセンサーを搭載し、低照度下でも平均的な動画撮影が可能です。Canon HF G21は、文字通り手のひらサイズですが、休日に持ち歩きたくないほどではありません。3.0インチのタッチスクリーンに加え、シャープで調整可能な電子ビューファインダーを搭載。また、光学式手ブレ補正機能により、スムーズな撮影が可能です。







2021年3月17日水曜日

やっぱり良い! Fujifilmのカメラ

 フジ対決 X-S10 VS XT-200

  



昨年秋ごろ購入したフジフィルムのAPS-Cミラーレスカメラ「X-T200」がすごく気に入っています。とにかくJPEG撮って出しでキレイに出来上がってしまうんです。

すごいですね、フジのフィルムシミュレーションは。話には聞いていたのですが、いざ使ってみるとその絵作りの繊細さにのけぞることも多々あります。

X-T200には11種類のフィルムシミュレーションが入っているのですが、その時の状況に応じて撮るには十分な数です。ここからさらに自分で微調整できるので、被写体によってはすごく面白い効果を出すことが可能です。デフォルトで最初に入っているPROVIA(スタンダード)の風合いがもうすでに出来上がっているというか、どんな被写体にも応用できるので、やはり一番使うことが多いです。


ええ、ほとんど編集要らずなので、このカメラではRAW撮影はやめてファイルの軽いJPEGでシャカシャカ撮りまくっています。撮るたびになんだか心ウキウキします。この感激は何だろう? 久しく感じていなかった「撮った写真を見る」時のシンプルな至福感でしょうか。「ああいい感じに撮れた・・・」と素直に喜べる回数の増えたこと。

次によく使うVELVIA(ビビッド)はフジフィルム流の記憶色とも言うべきものでI、他社の鮮やかさとはまた違う繊細な配色が印象的です。特に青空を背景にした自然風景や、街並みなどでもよく映える色調に好感が持てます。

ソフトなイメージのASTIAは文字通り、ふわっとした柔らかい仕上がりが上品で、女性のポートレートや草花、または物撮りなどにはとても効果的に、優しい雰囲気に仕上げることができます。




これぞフジカラーと誇れるフィルムシミュレーションはクラシッククロームです。じつにクールでカッコいいモノトーンのような、渋く硬質な色い合いです。まるでどこかのプロが撮った雑誌の写真のようにクールでどこかノスタルジックなフィルム調になります。ダークなアクセントを活かせば、ありふれた裏町や荒野が映画の一場面に一変します。

目下のところ、私が一番好きなのはPRO Neg.Hiです。「プロ用カラー ネガフィルム」を謳うだけあって、なかなか癖があり被写体を選ぶ独特の落ち着いたトーンを持っています。上手くハマれば唯一無二の写真が出来上がります。最近は広告のポスターなどに使っているところもありますね。古風な趣のある建物とか、ファッション関係のスタイリッシュなポートレートでは個性の光るフォトシューティングが堪能できるでしょう。



昨年出た上位機種「X-S10」には「X-T200」にないフィルムシミュレーションも入っています。人気はシネマのような画調のETERNAや通好みのモノクロACROSなどです。私は「X-T200」で満足していますが、幅広くフィルムシミュレーションを楽しみたい方は、最近の上位機種を選ぶと言いでしょう。

そのほか、「X-T200」と「X-S10」の間ではどのような違いがあるのでしょう。

上位機種「X-S10」にあってエントリー機「X-T200」に無い大きな違いのポイントは、

1 5軸最大6.0段分の手ブレ補正がボディに内蔵されている。

2 裏面照射型2610万画素「X-Trans™ CMOS 4」センサー

3 高速画像処理エンジン「X-Processor 4」

4 高速撮影。X-S10は電子シャッター秒間20枚と超高速です。

5 フォーカス・ブラケティング。ピントを変えながら一回で何枚もの写真を撮れます。

6 フジには珍しい深いグリップがX-S10。大きなレンズとの相性もいいです。


目立った違いはこれくらいで、オートフォーカスの精度やモニターの画質、ファインダーの見え具合などほとんど、精査しないとわからない程度の違いです。

これでX-S10は$1399(日本約13万円)、X-T200が$799(日本約7万円)です。価格差ほどの違いは正直ないと思います。

ちなみに私は価格が瞬間的に大暴落した昨年秋に$499(新品でキットレンズ付き!)で購入しました。(余った予算で予備バッテリーと単焦点レンズが買えました)

どちらを買ってもフジフィルム独特の色合いが楽しめる素敵なカメラです。



  


2021年3月16日火曜日

日本人の英会話力

日本人はなぜ英語が上手くならないのか  



 2019年の調査では、日本は世界の英語力で53位に落ち込み、英語習熟度の低さはますます明らかになってきました。これは由々しきことです。もう何度も英語教育の重要性が叫ばれ、学校現場での改革の必要性が指摘されているにもかかわらず、この十年、なんの成果も挙げられていないのです。

 政府は、学校での英語教育カリキュラムを常に見直していると主張しますが、それにもかかわらず、アジア諸国や先進国の中でも最下位に位置している、この現実を重く受け止めるべきです。


 すでに多くのアメリカ人の中で、「日本人は英会話ダメ」というインプレッションが定着しており、これはアジア人の中でもかなり下位と見られています。これはあくまでも長年アメリカに住む私の見立てですが、中国や韓国はじめその他アジア出身の人は、英語圏に入る前は、日本人より英語の知識(情報)が薄いにもかかかわらず、ひとたび英語圏で生活を始めると、急速に英会話能力を伸ばす印象があります。余計な先入観がないぶんだけ、純粋に英語を吸収しやすいのではないでしょうか。逆に日本人は偏った英語に対する先入観からなかなか抜けきれず、習熟に時間がかかる傾向があると思えるのです。


 欧米の人は、経済的に裕福な日本人が、英会話だけが、発展途上なのを怪訝に思っています。日本の都会には、欧米人が辟易するほど英語の広告、看板、その他の表示で溢れています。中には変な英語表現をでかでかと掲げているところもありますが、外国人にはとてもインターナショナルな国民性を感じさせます。それにもかかわらず、いざ日本人と面と向かうと、ほとんどの人が逃げてしまうのです。今やこのギャップがそのまま日本人に対する認識となっているのが現状です。


 日本に関心のある欧米人なら、日本人が英語会話にたいして並々ならぬ意欲のあることは認識しています。英会話塾は乱立し、ネットでも英語学習のツールに溢れています。eコマースサイトの楽天やアマゾンのライバルである日本の大手企業は、社員の役割に英語が必要かどうかに関わらず、英語力を非常に重視しています。テレビでは毎日のように英会話番組が放送され、日系アメリカ人の子供たちが英語で話す動画を投稿したアカウントには、数万人のインスタグラムのフォロワーがいます。


 今日、日本人は、日本語と文化の重要性を信じる気持ちと、英語が経済的な特権や地位をもたらすグローバル化された世界で生きていく必要性とのはざまで揺れ動いています。人口の減少と将来的には避けられない外国人労働者の流入は、誇り高い国民性、英語学習に対する構造的・文化的な障害、そして経済的な独立性とぶつかり合っているのです。


 長年にわたり、多国籍企業は企業の共通言語として英語を義務づけてきました。東アジアの教育現場では、多くの親や専門家、学生自身が、市場で最高の仕事に就くためには英語が必須条件だと教えてきました。その真摯さは日本を遥かにしのいでいます。


 明治時代以降の日本は、技術的に西洋に追いつこうとする執拗な競争の中で、英語は日本のエリートの道具となりました。当時英語圏に留学してきた者はすでに特権階級視され、世界進出を目指す企業からも期待のホープとみなされてきたのです。


 日本は決して欧米の植民地ではありませんでしたが、第二次世界大戦後のアメリカの占領は7年間続き、米軍が日本全体に政治的・経済的な変化をもたらすには十分な期間でした。冷戦下の日本は、ソ連の脅威からの保護という名目でアメリカの「核の傘」の下に置かれ、「アメリカの保護を受けた国」として象徴的なイメージを持ち始めました。

 私はこのときこそが、国民が英語を学ぶ上で、大きな分岐点だったのではと考えています。当時の米兵の存在は、日本人に英語に触れる機会を与えていました。アメリカは自由と民主主義の象徴として、当時の日本で理想化されていたのですが、それはアメリカの占領が成功した結果でもあります。英語は自由、権力、地位を連想させるようになり、多くの若者がアメリカの文化に憧れを抱いたのです。このときもっと積極的に英語文化を流入させていれば、英語を自然に話す日本人は遥かに増えていたはずです。台湾や韓国に一定数日本語を話せる人がいた時代を考えれば、無理な話ではなかったと思うのです。


 20世紀に入ると、日本語の中に英単語が混ざるようになり、英語の看板、スローガン、広告などが全国に広がっていきました。英語の持つ先進性がインテリジェントなイメージとして崇拝され、威厳(もしくはある種の権威)を持つようになりました。英語は日本の文化の中で、紛れもなくポジティブな関係を築いていったのです。そうやって話すための英語は、一般の人々にとって魅力的である、という概念が浸透していったのです。特にメディアでの英会話のイメージは、明るく、楽しく、親しみやすく、アメリカへのあこがれを伴っていました。


 しかし、このような成長にもかかわらず、研究によると、日本人の30%未満が英語を全く話せないと推定されています。英語を流暢に話せる人は8%以下、場合によっては2%以下と言われています。それに比べて、ドイツでは人口の約60%が英語を話し、16%の人が英語が堪能だと言っている。熱意と習熟度のギャップには様々な説明が考えらそうですね。


 もちろんドイツ語と英語は密接に関連しているのに対し、日本語と英語は語彙、書き方、文型が根本的に異なっていることもあり、平等に較べることはできません。それでも日本人が思うより、ドイツ人も英語をマスターするのは簡単でないと聞きます。

 英語家庭教師ネットワークの日本人講師は、教えるレベルに到達するために4,000時間から5,000時間というとんでもない勉強時間を費やしたと言います。おそらく諸外国の同業者はその十分の一も必要としなかったでしょう。


 ある日本の英語教育者は、偏った英語の授業が大学入試に厳しく対応していることが、生徒の習熟度低下の大きな原因であると指摘しています。受験重視の授業は、文法を重視しすぎて、暗記中心の退屈な授業になっていると指摘しているのです。


 日本の文部省は、教室をよりインタラクティブなものにするための取り組みを紹介していますが、教師はその取り組みをどのように実行したらいいのか、まだ分かっていません。日本の生徒たちは文法や語彙には長けていますが、間違いを恐れすぎて、コミュニケーションに消極的。これは問題です。ここは早急に教育プランを改善する余地があると思います。


 日本の文化がリスクを冒すことを嫌うため、多くの生徒が自分の限界に挑戦したがらないこと、特に言語学習には欠かせないスピーキングの消極性については、多くの研究がそう証明しています。


 日本人にとっては耳の痛い話ですが、これらの言説は、ちょっと前までは国際関連の有識者や英語教育関係者だけの認識でした。しかし昨今は多くの一般的なアメリカ人も、日本人の非社交性について認識し始めています。もちろん、ちゃんとアメリカの社会に溶け込んで、英語を自在に操る日本人も多くいますが、それ以上にアメリカ社会に馴染めない「日本人」というものの存在が可視化しています。

 今後英語習熟には、日本人独特の精神性も考慮に入れた考察が期待されているところです。

 やはり真の国際人を育てたいのであれば、まずは日本の教育システムの抜本的な改革が必要でしょうね。そしてその先に、小手先だけの「英語文化つまみ食い」から「包括的な国際感覚の受容」を標榜する日本へと成長していってほしい、そう願うものであります。




2021年3月15日月曜日

目的別カメラ選び その1

NIKON D500:最強の動体重視性能




カメラを購入する際は、あなたがどんな写真を撮りたいかで商品を絞っていかなければなりません。新発売の話題沸騰の最新機能満載型もいいのですが、初めてのカメラや二台目のカメラなら、その特性を良く調べて、自分の撮影スタイルに適したカメラを選んだほうが幸せになれます。
そこで今回から時々、「目的別カメラ選び」というガイドを行っていこうと思います。
カメラ選びの一助にでもなれば幸いです。

今回はその第一弾として、動体重視のカメラ選び、を取り上げます。



NIKON D500 そのすさまじい性能

スポーツや鉄道、野生動物など、動き物に強いカメラは昔からいろいろあって、議論も終わりがないのですが、2021年の現時点で、最強の動体重視カメラはどれかと言われれば、
NIKON D500は筆頭候補に挙げられるべきカメラです。

ニコンは2016年1月6日に、待望の「D500」を発売しました。これこそニコンが満を持して放ったDXフォーマットのフラッグシップカメラです。プロの要求に応える最高の
画質、定評のあるエルゴノミクス、巨大なバッファを備えた優れたオートフォーカスシステムにより、ニコンD500はスポーツや野生動物の写真家にとって夢のような製品として登場しました。
待ち焦がれていたカメラファンが多かったらしく、発売即売り切れになったと記憶しています。
ではこの大人気カメラはどのような特徴を持っているのか見ていきましょう。


はじめに

D500は、ニコンのAPS-C(クロップセンサー)フォーマットのカメラボディのラインナップの中で、真のフラッグシップモデルとして、また、D300Sの後継機として、議論の余地なくトップに位置しています。D500がミニD5のような存在であることは間違いありません。(d5は言わずと知れた、ニコンにおけるフルフレームフォーマットの王様カメラです)ネーミング、同時発表、共通の新オートフォーカスシステム、XQDメモリーカードの採用、さらには同一解像度の21MPセンサーなど、さまざまな共通点があります。

興味深いことに、ニコンはD500を 「プロフェッショナル向け」ではなく 「ハイアマチュア向け」と分類しており、D7200と同じグループに位置づけています。仕様を考えると、ニコンがこのカメラを「プロフェッショナル」と見なせないのは、単にセンサーサイズのせいだと結論づけざるを得ないと思います。
センサーサイズにこだわるならD5一択ですが、その分価格も跳ね上がります。ほとんど多くのカメラマンはこのD500で十分素晴らしい作品を作ることができるでしょう。



ニコンD500の長所、短所、欠点など


一番の長所は画質

このカメラの画質は驚異的で、3倍の価格のD5と比べても遜色ありません。ニコンは、OLPFを取り除いただけでなく、D5から画像処理装置とAFシステムの両方をこのカメラに移すことを選択しました。 画質に関しては、間違いなくプロレベルのカメラであり、驚くほどシャープな画像が得られます。

注意:このカメラにマッチした性能を得るためには、プロレベルのFXレンズが最適です。APS-Cカメラなので、レンズの焦点距離を1.5倍に拡大しています。しかし、十分な画質を得るためには、これらのレンズが最適です。


動画性能


4K(30FPS)と1080p(60FPS)の撮影が可能です。撮影された4K映像は十分な解像度できれいで、ローリングシャッターの影響も全くありません。興味深いことに、良好な照明下で撮影した場合、提供される4K映像はソニーのα7RII Super-35の映像と同等と言われます。また、ユーザーは1回の撮影で最大30分まで記録することができます。

注:4Kで撮影すると、フレーム内でクロップされるため、本来の希望する画角を得るためには、より広角のレンズが必要となります。


フォーカス性能


オートフォーカスは驚異的で、APS-Cカメラの中では業界トップです。前述の通り、このカメラはD5のAFシステムを継承しています。そのため、153点のAFポイント(99点はクロスタイプ)がセンサーのほぼ全域をカバーしています。 

これは、フルサイズではなくAPS-Cだからこそできることです。フォーカスの再合成に制約されることはもうありません。
唯一の不満点は、フォーカスポイントが横向きでは端から端までしか広がっていないことです。縦位置ではフレーム全体の約80%をカバーしています。しかし、10FPSの連続撮影でも、フレーム内でどれだけの動きがあっても、非常に安定したヒット率を実現しています。また、被写体追尾モードも非常によく機能しています。主にスポーツや野生動物を対象としたカメラですが、人物を撮影したときの被写体追従性やAF性能は素晴らしいものがあります。光量が少なく、コントラストが低いシーンでも、AF性能は十分に発揮されます。
しかも、中央のAFポイントは-4EV、その他のポイントは-3EVでピントを合わせることができます。撮影時のフォーカス性能については、十分な性能を有していますが、最速ではありません。とはいえ、通常の撮影には十分な性能を発揮します。


暗所性能

基本ISO感度は、ISO100~51,200です。このカメラはニコンD5のEXPEED 5を継承しており、DXカメラでこれほど広い範囲のISOを提供するのは初めてのことです。全体的にノイズ性能は他社に比べて優れており、ISO25,600でも適度なノイズがあり、ディテールが失われていないことがわかります。この点では、ニコンD750に匹敵する性能といえるでしょう。


バッテリー性能

1回の充電で1,200枚の撮影が可能で、その性能を考えると素晴らしい。また、ニコンが多くのカメラで採用しているEN-EL 15バッテリーを採用しているので、バッテリーに関する悩みが一つ減りました。


モニター&ファインダー

液晶ディスプレイはD750のものを継承していますが、バリアングルになり、タッチスクリーンにもなっています。再生時の画像確認は、ピンチ操作とスワイプ操作の両方に対応しています。ピンチ操作でズームできるので、ピントの確認が自然にでき、やがて自然にできるようになります。また、ライブビュー時のタッチフォーカスにも対応しています。ただし残念ながら、メニューの操作や変更をタッチで行うことはできません。

光学ビューファインダーは驚異的で、センサーを100%カバーしています。また、その周りには大きな円形のアイピースキャップがあり、長時間の観察も非常に快適です。さらに、付属の視度補正ダイヤルは、幅広い補正をするのに十分な余裕があります。

また、マニュアルフォーカスでの撮影時には、最適なピントと、ピントが少しずれたときにどの方向に向ければよいかをファインダー内に表示します。


ユーザーインターフェース

本機は、最近のニコン製デジタル一眼レフカメラと同等のメニューを備えており、これまでのニコンユーザーであれば、馴染みのあるインターフェースとなっています。洗練されたデザインでありながら、簡単に操作でき、各項目がよく整理されています。また、通常は調整できない被写体追従の反応時間や速度を調整することができる点も特筆すべき点です。


レイアウトとエルゴノミクス

D300sやD5と同様のレイアウトを採用していますが、いくつかの細かい改良が加えられています。ひとつの改善点は、D5と同じ、暗闇で点灯するバックライトボタンを搭載したことです。以前は、この機能を備えたニコンのカメラはD5だけでした。

各操作部分のビルドクオリティも大幅に向上し、D800シリーズやD7000シリーズよりも優れた作りになっています。主な改良点は、現在、ニコンの中級機の中で最も深い位置にあるグリップの更新と、フォーカスポイントの変更に使用する内蔵ジョイスティックです。
また、ファンクションボタンが追加され、デフォルトでは再生中の画像にLightroomに転送可能なレーティングが追加され、写真の編集を簡単に行えるようになりました。 ボタンの配置や物理的なレイアウトは期待通りで、必要な場所に必要なだけ配置されており、きわめて実用的論理的に配置されています。全体的なエルゴノミクスが素晴らしく、長時間の使用でも快適に使用できます。




ニッチな機能

・ニコンのプロ用カメラにしか搭載されていない丸型アイピースを採用。

完全な防塵防滴構造である。

10FPSの連続撮影が可能。非圧縮RAW画像で70枚、圧縮RAW画像で200枚の撮影可。(ニ  コンのDXカメラ中、最速)

SDとXQDの2つのメモリーカードスロットを搭載。XQDは最速のSDカードより上位)

マイク入力端子を装備しています。

ヘッドホン入力端子を装備しています。

USB 3ポートを搭載しており、ファイル転送速度が大幅に向上しています。

さらにWIFI、Bluetooth、NFCを搭載しているので、Nikon SnapBridgeに対応しています。SnapBridgeは、ペアリングしたスマートフォンを使ってカメラを完全に遠隔操作することができます。それだけでなく、接続されたデバイスへの画像の転送も自動的かつ効率的に行われます。

また、内蔵のタイムラプス動画を作成することができるので、後からの後処理の必要性を徹底的に排除することができます。

レタッチメニューを使えば、動画から静止画を撮ることができます。この機能は、他の方法では撮影が困難な、より複雑なアクティビティからイメージを引き出したい場合に最適です。

欠点

動画撮影はライブビューでしかできません。光学ファインダーを使った動画撮影はできません。日中の厳しい環境下での撮影では、液晶が白っぽくなってしまい、構図を決めるのが難しくなります。また、ファインダーでの撮影ができないため、安定性も損なわれます。このカメラを動画で本格的に使うには、外部ビューアーやEVFが必須です。

内蔵フラッシュを搭載していません。

カスタムボタンを搭載していますが、任意の機能にマッピングできる機能は限られています。ニコンはそれぞれのファンクションボタンに特定の機能を持たせることしか考えていないため、全体的に使い勝手が悪くなっています。



ニコンD500は、カメラを始めるのに適しているか?


D7200などのエントリー機からプロ機へのアップグレードを考えている方には、驚異的なカメラだと思います。このカメラは、フォトジャーナリズム、野生動物、スポーツ、アクション写真などを撮影する方には、格別の輝きを放ちます。
このカメラは、DXとFXの区別を明確にする機能を持っています。DXセンサーでありながら、その性能は間違いなくFXカメラと同等です。D810やD5の洗練された機能の多くを受け継いでいます。
そして、プロ用カメラに求められるすべての要素を備えたフラッグシップカメラとして輝いています。また、APS-Cサイズのセンサーにありがちなギミックを排除し、純粋にカメラを求める人に向けた、ニコンの最高傑作の一つです。


ニコンD500は、誰に相応しいカメラか?

前述したように、このカメラは働くプロ向けのカメラです。しかし、このカメラは2台目のボディを必要としている人にとっても素晴らしいカメラです。主に、高速アクションを撮影する人や、FXレンズの使用範囲を低コストで広げたい人に適しています。
1.5倍のクロップファクターを利用して焦点距離を伸ばすことができ、同等のFXレンズに大金を費やすことなく、より被写体に近づくことができます。また、FXカメラをクロップモードで使用した場合のような解像度の低下もありません。
しかも、ニコンの最上位機種であるD810やD5に匹敵する性能を備えています。このカメラは、より大きなフルフレームの兄弟機に匹敵するものであり、FXにこだわる方にも納得して使っていただけるものです。 
これまでにニコンで撮影したことのある方で、この機種以下のカメラを使用している方は、その品質と性能に圧倒されることでしょう。FXも素晴らしいですが、DXでもほぼ同じ性能を発揮します。確かに画素数は少なく、ノイズの出方も若干悪いですが、それ以外は同じです。しかし、それ以外は同等です。D500は、本格的な性能と過酷な撮影に必要な柔軟性を備えた、真の意味でのインテリジェントカメラです。



まとめ

ニコンD500は、フォトジャーナリズム、野生動物、スポーツ、アクションなどを撮影する人にとって、非常に魅力的なカメラです。しかもニコンの上級機に匹敵する性能を持っており、どのような媒体にも対応できます。
繰り返しになりますが、このカメラは仕事をするプロのためのカメラであり、大型のフルフレームカメラの兄弟に匹敵するものです。このカメラは、DXカメラとFXカメラの間にしばしば見られる厳しい区別を明確にする機能を持っています。DXセンサーでありながら、その性能は間違いなくFXカメラと同等です。そして、ニコンのフラッグシップとして、プロ用カメラに求められるものをすべて実現していることが光ります。間違いなく、これまでのニコンのベストカメラの一つです。


2021年3月14日日曜日

撮影は厳し、されど楽し

撮影クルーの日々



私がアメリカで映像関係の仕事をしていたのは遠い昔ですが、今もいろんな事が記憶に焼き付いています。

右も左も分からないニューヨークの片隅で、小さな撮影会社に飛び込み、一から撮影現場で実地訓練のような毎日でした。スタッフのアメリカ人からみると映像のこともシロウトで、言葉も十分伝わらないアジア人がひとり加わって面倒だなって思われていたことでしょう。

それでも私はなんとかこの職場にかじりついて、いっぱしの仕事人になってやるという思いだけは空回りしていました。専門用語が飛び交うスタッフミーティングなど何を言ってるのかさっぱりわからないままでしたし、ただ見よう見まねで仕事の流れを追いかけていました。

先輩のあとをくるくる追い回して、少しでも役に立てるよう撮影周りのイロハを自分で覚えていくのです。中には親切に指導してくれる人もいましたが、基本、仕事は自分が体動かして覚えるしかありませんでした。一番気まずいのは、みんなそれぞれ忙しく働いている間、なんにもできることがなく、「せっせと備品の整理をしているフリ」をしている時間が多かった時です。とにかく何かやらねばと思いながら、自分がまったく役に立てないのは悔しい限りでした。

始め、私の仕事は設営部隊と言われるものでした。どこそこで何かの取材や撮影をやれと依頼が来れば、撮影班に先駆けて機材を現場に運んで、ディレクターの指示のもと、撮影準備をするのです。とにかく手際よく録画録音機材をそれぞれ計画に乗っ取って配備していきます。三脚の位置確保からマイクスタンド、ケーブルの配線、照明の用意、そして試し撮りや音声チェックなど撮影部隊が来る前にできるだけのことをやっておくのです。

同業者に交じって撮影する場合は場所取りなどでピリピリしまくりです。しかしそこは大胆に厚かましいぐらいの態度で陣地を確保したりしないとやっていけない世界です。しかしうちの会社の下っ端組はしばしば失敗をやらかしました。

カメラから舞台までの距離を間違えていたり、持ってくるはずだったマイクロホンや照明機材が違っていたり不足していたりと、ちょっちゅう叱られていた記憶があります。

私より3か月先輩の若手でカメラマン志望のテッド君はいちいち理屈っぽく言い訳して、スタッフに抵抗していました。「僕はカメラの撮影をするために入社したのに何で下働きばなんだ」としょっちゅう愚痴をこぼします。

彼の気持ちも分かりますが、せめて半年や一年は現場のすべてを経験しておかないとモノにならないな、と私は思いました。幸い私はその当時なにになりたいとかいう具体的な野心はなかったのでプライドのプの字もなく、ただひたすら現場を学ぶ日々でした。

三脚の上に乗せた巨大なベータカムのビデオカメラを乗せて準備し、ちゃんと映るか確認する。そこまでが自分の役目で、それを手に仕事をしたいなどとはつゆほども思っていませんでした。

あるとき学術会議とかいうお堅い撮影の仕事が来て、1カメ、2カメ、3カメと用意していたのですが、メインのカメラマンが別の仕事で来られなくなり、自分がいきなりメインカメラの撮影を任されたたことがあります。すごくテンパって録音ボタンの推し方さえわからなくなりそうでした。ヘッドホンをかけてディレクターの指示でカメラをズームしたりパンしたりするのですが、テンポが贈れ、何度も注意されました。

録画したテープは撮影済み次第、クライアント側の渡し、向こうで編集するという段取りでしたから、失敗は許されないのです。まさに一発勝負。こうした大変な日々を駆け抜けて、やがて自分も進むべき道が見えてくるのです。

カメラマンという仕事はとても魅力的でやりがいのある仕事だと思いました。でも実際その重圧たるや大変なものです。本当に撮影が死ぬほど好きじゃないとやっていけないでしょう。当然相手のいる仕事ですから、不本意な撮影もしなきゃいけない。撮る方の事情もわからず理不尽な要求をするクライアントもたくさんいます。会社からは次から次へと仕事の依頼が入り、まるで機械の一部のように働き詰めのこともあります。

本当にタフな仕事で、自分にはつとまらないなと思いました。録音班に加わっていた時期もありましたが、こちらも大変でした。

中でも一番きつかったのは、何かの企画で、全米の食品工場やレストランを探訪するという撮影ツアーの同行でした。そのとき私は録音担当で、カメラマンにくっついて、重たい録音機材を担いで走り回る役目でした。

取材班が番組レポーターに張り付いて、ゆく先々でカメラを回すのですが、シナリオがあってないような企画だったので、行ったり来たり、撮り直ししたりと、レポーターの気まぐれに終始振り回されました。撮影予定はどんどん伸び、早朝日の出前からスタンバって結局昼前まで待たされるなんてこともザラでした。

そのくせレポーターやディレクターはクライアントと一緒に夜の飲食だけはたっぷり時間をかけるので、私ら下っ端はレストランの外で、待つしかありません。

私は録音機と長い竿の付いたマイクロフォンや収音機を担いでいたので、うっかり高級レストランなどには入れなかったのです。

そんなこんなで撮影は地獄のような日々だと刷り込まれました。撮影自体はやりがいのあるいい仕事です。しかし仕事はカメラ相手ばかりじゃないのです。人と人とのコミュニケーションが大切で、そこをこなしつつも、自分の持つ撮影の腕を発揮しなければいけない。

本当にカメラマンさんは大変だと思います。尊敬に値します。

しかし、だからこそ私自身は撮影というのは仕事にしない方が楽しいと思ったのです。楽をしたいと言えばそうなのかもしれません。でもそれ以上に、ビデオや写真は切羽詰まったものではなく、ゆとりをもって楽しくやるのが一番自分に合っていると思ったのです。

「撮影は厳し、されど楽し」です。

カメラは板前さんで言えば包丁のようなもの。肌身離せない命の道具ですから、大切に抱えながら、本当に撮りたいものを探し求めて日常のなかで放浪するのが一番。そんなものだと私は感じつつ、いまカメラを趣味にしているのです。


2021年3月13日土曜日

カメラ初心者の心得

写真ビギナーのためのヒント




以下の写真撮影のヒントは、カメラ歴のある方なら自然と身についてるものばかりです。いわば言うまでもない常識の範疇。なので初心者のみ対象とさせていただきます。すでにご存じのこともあるかと存じますがそこは飛ばして、必要な部分だけお読みいただければ幸いです。

写真撮影の技術は本来、基礎から実践、応用まで学ぶべきことは実に多岐にわたるのですが(なにせ写真専門学校二年分のカリキュラムを見せられて入学を断念したものですから)、
趣味で始めるビギナーは基礎だけ固めておけばいいでしょう。あとはおいおい必要に応じて学んでいけばいいのです。
基本固めは誰にでもできることですので、この際きっぱり丸のみして消化してください。
カメラを向けてシャッターを切るのは簡単ですが、自分のイメージ通りの写真を撮るのはなかなか難しいことです。

私の場合、初めて気に入った写真が撮れるまでずいぶんかかりました。カメラがいかに優れていようと関係ありません。写真というのは、趣味としてでも納得いくまでかなり時間がかかるものです。しかし、だからといって写真を学ぶことを躊躇する必要はありません。

誰もが写真を学ぶべきです。なぜなら、写真は自分をより幸せにしてくれるクリエイティブな趣味のひとつだからです。まずは初心者が必ず学ぶべき写真撮影のコツをご紹介します。



露出の三要素

写真は、光をとらえることがすべてです。多くの初心者は、写真の魔法はカメラボディの中で起こると思っていますが、本当の魔法の源は「光」なのです。光がよく当たっている被写体は悪くても撮れますが、光が当たっていない被写体は絶対によく見えません。

そのためには、露出の三要素を理解する必要があります。露出は、写真撮影の基本的なコツの中でも最も重要なものです。


写真を撮るとき、カメラはシャッターを開き、レンズから光を取り込み始めます。この光はカメラのセンサーに当たり、画像として処理されます。光がどのように捉えられ、最終的な画像がどのように見えるかは、3つの要素が影響しています。


絞り
レンズの開口部がどのくらい大きいか、f-stop(f/2、f/5、f/11など)で測定されます。数字が小さいほど、絞りは広くなります。絞りが広ければ広いほど、より多くの光が入ってきます。絞りの大きさは被写界深度にも影響します。

シャッタースピード
シャッターが開いたままになっている時間を秒単位で表示します(1/200秒、1/60秒、5秒など)。シャッタースピードが遅いほど、光が多く入ってきます。シャッタースピードはまた、動きに対する感度にも影響を与えます(すなわち、より速いシャッタースピードは動きを止め、より遅いシャッタースピードは動きをぼかします)。

ISO
センサーが光に対してどのくらい敏感か、ISO単位(100 ISO、400 ISO、6400 ISOなど)で測定されます。高いISOは暗い状況でも写真を撮ることができますが、その代償はノイズです。暗所で撮影された写真には、暗いほどざらざらした粒子が出てきます。

自分のイメージ通りの写真を撮るためには、「絞り」「シャッタースピード」「ISO」の3つの要素を使いこなす必要があるということです。



カメラの持ち方

写真初心者が次に学ぶべきことは、「正しいカメラの持ち方」です。ここでいう "正しい "とは、簡単に言えば、"手ブレをできるだけ起こさないようにすること "です。

カメラが写真を撮るときには、シャッターが切られ、センサーに光が入ります。シャッターが開いているときに動くと、センサーに光が当たってしまい、ブレた写真になってしまいます。三脚などに固定すれば手ぶれもなくなります。

重要なのは、腕を体に近づけて、体幹に安定させることです。そうすることで、手ぶれを最小限に抑え、手持ち写真をできるだけシャープに保つことができます。最近のカメラやレンズは手振れ補正機能が付いたものも出ていますが、それでもちゃんと構えなければ手ブレはおきます。

暗い場所での撮影や長時間露光、望遠レンズを使用した撮影には、三脚を使用することをお勧めします。高品質の三脚ほど、安定したブレのない撮影を保証するものはありません。



三分割の法則

アマチュア写真家が撮ったものか、経験豊富な人が撮ったものかは、たいていの場合、見当がつきます。一番のポイントは構図です。アマチュアの方は、構図のセンスがないことが多いのですが、構図の良さは写真の命です。

構図とは、写真の中のすべての要素の配置のことで、写真がどのように「構成」されているかを示すものです。構図を意識しない人は、たまたま良い写真が撮れているだけです。構図を理解すれば、どんな被写体、場所、状況でも、いい写真が撮れるようになります。

2本の縦線と2本の横線で画面を3等分し、その4つの交点に見栄えのする要素を配置する。

写真家なら誰でも使うテクニックです。ある人は「松葉づえ」のように使い、ある人は「他の構図がうまくいかなかったときの予備の方法」として使います。いずれにしても、「三分割の法則」は、撮影構図テクニックの基礎です。初心者にとって、これほどまでに有益な写真撮影のコツはそうそうないでしょう。



視点を考える


何の変哲もない写真を撮るには、目線の高さから真正面から被写体を捉えることです。この視点は、誰もが知っているもので、私たちは毎日、この視点で世界と接しています。素人の多くの写真がコレで、見る者に退屈を与えてしまいます。


しかし、解決策は簡単です。別の視点から撮影するのです。

これにはいくつかの意味があります。

高さを変える(例:地面に近づける)

角度を変える(例:真上から、または横から斜めにしてみる)

距離を変える(例:近寄る、遠ざける)


この3つを組み合わせてみてください。これらの変化によって、自分のショットの感覚が変わってくることに驚くはずです。




写真に手を加える

写真学校や撮影教室などでは、好むと好まざるにかかわらず、撮った写真は必ず編集をするよう指導されます。実際のセンサーデータはRAWファイルとして取り込まれますが、カメラの液晶画面に表示されているのは、そのRAWデータをカメラが解釈したものであり、あなたの狙いやニュアンスは伝わりません。なので自分で撮影した素材は必ず自分でチェックして、イメージする像へブラッシュアップするのです。そのほうがいいと思いませんか?

また、編集といっても、いろいろあるし人それぞれで変わり具合も千差万別なのですが、必ずしもフォトショップ・マジックのように、あるいはファンタジー・アートのように仕上げる必要はありません。ちょっとした化粧品と考えてもらえばいいでしょう。

女性ならわかるでしょうが、メイクで知らず知らずのうちにチークやリップを塗りすぎてしまい、やりお直すという事があるでしょう。
ある人は、自己表現のために大胆なメイクをします。またある人は、自分の魅力をさりげなく引き立てるために自然な仕上がりの化粧をするでしょう。

それと同じように、写真の編集も、強引にやりすぎることもあれば、意図的にスタイルを整えることもあります。さりげなく、すでにあるものを引き立てるためだけに使うこともあります。なにが正解というものはありませんが、そこはあなたのセンス次第。結果は見る人それぞれが判断を下すでしょう。



とにかく何でも撮る

撮ればとるだけ、練習すれば練習の回数だけ上達します。これは絶対に避けて通れない道です。YouTubeの動画をどれだけ見ようが、写真関連の記事をどれだけ読もうが、Instagramの写真をどれだけ分析しようが、撮らなければ上達しません。昼夜関係なく、室内室外や時間も気にせず撮ったほうがいいです。できるだけ異なる環境を経験して、その難しさを実感してください。

経験を積むことは、理論を学ぶことに匹敵します。外に飛び出て撮影してください。

インスピレーションが必要ならば、周りの建物を撮影するのが役に立ちます。立体像をファインダーの中で見ることに慣れれば、被写体の中の軸として写したい一点を絞ることができるようになります。



気に入った写真を撮るためには、何千枚も撮影する必要があるかもしれません。しかし、その1枚1枚がどんなに悪くても、より良い写真を撮るための1つのステップになります。練習は、学んだ理論を応用するのに役立つだけでなく、機材や設定の違いが最終的なイメージにどのように影響するかを熟知するのにも役立ちます。

好きこそものの上手なれ。いい写真は撮ることの楽しさを見出したものが勝ちです。難しく考えることも、身構えることもありません。外に飛び出し、何にでも興味を示し、撮ったらどんな「絵」になるか想像するのです。とにかく撮影をエンジョイすることをわすれないでくださいね。



2021年3月12日金曜日

カメラの未来、NIKONへの期待

NIKONのフラッグシップZ9

開発発表から読み解くカメラの将来



ついにニコンからフラッグシップ機Z9の開発発表がなされました。

たった一枚の正面からの写真とわずかな情報しか記されていませんが、一カメラファンとしては非常に心躍るニュースです。明らかにされたのは、

年内発売を目指している事。

縦横グリップ一体型であること。

新開発のニコンFXフォーマット積層型CMOSセンサーと画像処理エンジンの搭載。

8K動画撮影対応。

これだけです。

またアナウンスされたメッセージの中には「静止画・動画ともに過去最高の性能」とあり、さらに「幅広いジャンルで活躍するプロフェッショナルの極めて高いニーズに応えるべく」と書かれていますので、まさにプロフェッショナルなユーザーを対象にしたハイエンドなものになることが予想されます。また結びに「Z 9は、道具としての使い心地を極め、これまでの一眼レフカメラ、ミラーレスカメラを超える新しい映像体験を提供」とありますので、既存の自社機、ライバル機を凌駕するSOMETHINNGをもたらしてくれるのではないかと、期待が高まります。

これまでもNIKONは宣伝が下手で、どちらかと言えば控えめな論調がその誠実さとされてきましたが、今回の発表には、並々ならぬ自信をのぞかせており、本当にカメラファンを驚かせるような神機が誕生するのではないかと期待させられます。神機というのはなにもスペック表に現れるものだけではなく、手触りだとか、操作性への拘りとか、堅牢性、柔軟性、レンズとの相性、バランスなどなど、カメラとしての総合的な完成度がどこまで追及されているのかで判断されるものだと思います。

このわずかなニコンのメッセージからも、フラッグシップ機に賭ける並々ならぬ決意と自信がにじみ出ていますので、我々は大いに期待して待ちたいと思います。(買う買わぬは別として)

またこの発表に先駆けて、経済情報誌「東洋経済」でニコン常務執行役員池上博敬氏へのインタビューが掲載されており、ここでもニコンが当面ミラーレス機に注力する旨を語っています。文脈からはやはりニコンはミラーレス機進出には慎重で、他社と比べて開発も出遅れたことは認めているようです。その上で、今はしっかりと目標を定め、新たな再建策の元で独自のロードマップを展開する用意があるようです。

フラッグシップ機に関しては、恐らくこれから実物の発売に向けて、情報を小出しにして、夏頃その全貌をお披露目という段取りになっているのではないでしょうか。今回の発表は、うがった見方をすれば、SONYのフラッグシップ機a1が発売される3月19日の直前なので、けん制する意味もあったのかもしれません。本来ならCP+2021でも発表できたはずなのに、少しずらして今週にしたのは、発表のインパクトの余韻のある間にSONYのa1が発売され、その動向を見極めたかったからではないでしょうか。

とはいえ、今回のニコンのZ9で垣間見えるのは、ソニーのそれとの大きな隔たりです。

ソニーのフラッグシップ機a1はスペックを見る限り最新テクノロージーの塊みたいなモンスター機のようです。実際に触った人たちからの感想でも、並みいるソニーの最先鋭機のいいところを全部一台にまとめたような、超越的ハイスペックマシンだというのです。

キャノンはこのソニーからのあおりに真っ向対抗勝負する更なる超絶フラッグシップR1を出すべく開発を急いでいるいるようですが、ニコンはさほどスペック競争には乗る気がないようです。あくまでもニコンブランドとしての伝統のうえに、堅実かつ実用的なプロ志向重視のラインアップを温めているようです。

もちろんカメラも売れてなんぼのものですが、それ以上にモノづくりのこだわり、使う人への思いやり、のようなある意味頑固さを感じてしまうのは私だけではないでしょう。

そこがニコンのニコンたるゆえんです。

いま企業としてのニコンは、確かに世間の言うように、崖っぷちなのかもしれません。しかし、カメラやレンズ、その周辺の機器を実際に作っている現場は、そんなことどこ吹く風と、開発、研究、制作に勤しんでいるのではないでしょうか。ニコンはそんな社風のような気がします。ニコンが目指すカメラの将来は、きっともっとずっと先の方にあり、目先のシェア争うは二の次なのでしょう。だからこそニコンには頑張っていただきたいのです。結果出来上がったカメラがめちゃ高くて、買う人がいないものまで作っちゃうかもしれません。

それでも応援します。いいものはどういう経路をたどろうと、最後には歴史にその名を刻むはずです。ニコンがんばれ。遅くてもいいから、本気のカメラを出し続けてください。

願わくば、私を含め素人に毛の生えた新参者たちも手にできるメイドバイNIKONのエントリー機も一緒にお願いします。

手に取って「ああ。待っていたものがキターーーー!」と心ときめいたら、借金してでも購入します。(Z50もいいけれど今回は見送りました)

今回はNIKONにあこがれを持つ一カメラファンとして、期待を込めてZ9の開発発表を歓迎いたしました。