2020年12月31日木曜日

Powershot Zoomが面白い

新しいカメラ体験


 キャノンの PowerShot ズーム、なかなか面白い発想のカメラが登場しました。 筒型のとてもシンプルな構造で、モニターなどもついていません 。 スマホやカメラで被写体を見るという行為ではなく、覗き見るという感覚でしょうか。この発想は現代においてはむしろ新鮮に感じる世代も多いと思います。

 軽くてポケットにも収まる小ささ、オシャレなデザインなので、どこにでも持ち歩けます。カメラのように構えて撮るのではなく、ちょっと面白い光景を直感的に切り取る、そんな使い方に適しているのではないでしょうか。

 レンズの焦点距離は35mm換算で100mmと400mmそしてデジタルズームの800mmの3種類をZOOMボタンで切り替えるようになっています。

 三つのズーム倍率が固定で瞬時にそれぞれの倍率に飛ぶことができるというのは潔い設計ですね 。 望遠鏡としても使えるし 遠くのものをグッと近くに引き寄せて写真に収めることができます。画質の方はあまり期待できませんが、このカメラは一瞬の決定的瞬間を観るということに主眼を置いているようです。

 もとから高画質など目論んでいないし、ユーザーもそれを承知で使うことになると思います。それはそれで結構なことだと思います。

 画質至上主義に凝り固まることなく、自由な切り口のカメラがいろいろ登場するのが好ましいと思います。たとえばこのカメラのようにズームに特化したカメラはどんどん出てくるべきだと思います。これはアメリカでも一部で人気だった商品ですが、双眼鏡タイプのデジカメが流行ったことがあります。バードウォッチャーにはうってつけのガジェットで、野鳥の生態を人の手で極力邪魔しないように双眼鏡とカメラを合体させたガジェットです。

 スマホカメラが技術を向上させてきていますけれども、ズームに関してはなかなか難しいようです。デジタルズームは劣化が激しく、拡大すればするほど見た目が悪くなります。

 かといって光学的に10倍以上のズーム機能を持つものは物理的に大きくならざるを得ません。必然的にこのPowershot Zoomのように筒形の形状にならざるを得ないので、スマホに組み込むことは、不可能に近いのです。

 カメラ市場では、このようなニッチな製品がこれからさらに求められてきます。多様性は人生に色どりを与えます。コンパクトカメラ存続するためには、スマホとは何か違うことをする必要があるのです。

 今回のPowerShotはカメラとしての性能に期待するのではなく、日常スナップ写真が撮れるデジタル単眼鏡として理解したほうがいいかもしれません。

 まず断っておきますが、画質はコンデジ並みです。しかし、GoProなどのように、独自のスタンスでシェアを伸ばす分野も今後に期待できるので、こういったカメラが脚光を浴びるのは悪くないことだと思います。ポケッタブルと軽量手ぶれ補正デジタル単眼鏡として、PowerShot Zoomは独自の進化を続けてほしいと思います。

 ボタンを押すだけで、その3段階ズームは100mmから400mmの設定にジャンプし、デジタル的に800mmまで拡張します。236万ドットのビューファインダーを介してスムーズで安定した視聴体験を得ることができます。


 キヤノンPowerShot Zoomは、白一色の販売でスタートしましたが、 今後第二弾、三弾と続くようなら当然カラーバリエーションも検討されることになるでしょう。日本では2020年12月に出荷されましたが、数量が限られていたため、アメリカでも入手できるところはそうありませんでした。アメリカでは実機に触れられるところが少ないので、これからが期待されることろです。キヤノンのウェブサイトで買うなら299ドルからの販売となるそうです。



2020年12月30日水曜日

カメラ三脚を選ぶ

あると便利な三脚



 写真撮影をより良いものにするために、様々な機材がカメラの周辺にあります。勿論カメラとレンズがあればとりあえず撮影はできますが、あなたがもしその上を目指すなら、まず三脚を用意することをお勧めします。三脚は写真撮影のための最も重要な機材の一つであり、どのカメラマンに訊いても三脚は必須だと答えるはずです。
 初心者の方は、三脚と聞くと撮影を安定させるものとして必要なものだとはわかるけど、どうしても必要とは思わないでしょう。重いしかさばるし、セットアップや収納にも時間がかかり、手間がかかる厄介者と思われる方もいるでしょう。
 今どきのカメラは手振れ補正も優れていて、光さえあればほとんどのシーンは手持ちでOKと謳われています。事実その通りですが、三脚があればさらに撮影の幅が広がることも事実です。

 自宅やスタジオでポートレートを撮る、旅先での風景撮影、スポーツ観戦やライブショーなどでも、三脚があればより安定した撮影ができます。特に光源の乏しい暗所や夜間では、手振れが起きやすいので三脚を立ててシャッタースピードを稼ぐことができます。
 その他、定点観測や長時間露光の撮影、星空撮影など撮影時にカメラを所定の位置にしっかり保つためには、より良い三脚を使うことがいい写真を撮る条件となってきます。従って三脚はただ単に人の代わりにカメラを支える道具というよりは、よりよい写真撮影のためのカメラの延長だと思って、ひとり一台はいいものを持っておくことをお勧めします。
 


三脚を選ぶポイントとは?

 では、どうやって自分に合った三脚を見つけるのでしょうか?何でもかんでも撮影する初心者の方で、どの分野の写真撮影を目指すのかまだ決まっていない方のために、三脚を選ぶ際に考慮すべきいくつかの要素をご紹介します。


バランスと安定性
 どんな写真を撮るにしても、三脚を選ぶ際に最も重要なのは、カメラをしっかりと固定できるかどうかです。カメラ初心者の方は、一般的に標準サイズのカメラとレンズを使用しますが、安全のために、三脚の耐荷重や積載量がカメラをしっかりと固定できるかどうかを前もってに確認しておく必要があります。
 将来、より重い機材を手に入れることも考慮すれば、そういったカメラとレンズの総量、バランスなどを見込んで、より幅広い用途で使える大きめのものを推奨します。信頼できるブランドの大型三脚は、一般使途なら大抵のシーンをカバーできます。


素材
 アルミかカーボンファイバーが主流です。ほとんどの経験豊富なカメラマンは簡単に後者を選ぶでしょうが、ともに利点があります。アルミ三脚は、カーボンファイバーのそれより安価です。
カーボンファイバー製は一般的にアルミ製に比べて約20%~40%の軽量化が図られています。また、カーボンファイバー三脚のもう一つの利点は、腐食しにくく長持ちするとされています。


重量
 一般的に、三脚は軽い方が好まれます。長期の旅行やトレッキングの際の持ち運びが少なくて済みますし、現地での移動も楽になります。しかし、三脚の軽さには限界があります。あまりにも軽すぎる三脚は、重いカメラとのバランスが悪くなります。風の強い日や足場の悪い傾斜地で撮影する場合によく当てはまります。三脚が軽すぎると、風で倒れたり、カメラが揺れて写真がぼやけたりすることがあります。三脚は、持ち運びに十分な軽さと、環境に耐えうる重さのバランスが取れたものを選びましょう。


高さ
 もし、あなたが撮影するすべてのものに一台の三脚を使うとしたら、三脚の高さは絶対に考慮すべきことです。理想的には三脚の高さはより長い方が撮影に有利です。自分の身長よりも高い三脚なら撮影の幅が広がります。人垣の後ろから撮れたり、俯瞰に効果的な印象を与えることができます。三脚の最大高さが、自分の身長より30センチほど高いものであれば、ほとんどのニーズをカバーできるはずです。
 もしそんな状況で撮ることがないよという方、その時は割り切ってコンパクト最優先で選ぶものもちろんありです。


ロック機構
 三脚の関節ともいえるこの接合部は、安全のためロック機構が付いています。このシンプルな機能をめぐって議論するカメラマンもいます。多くの人は、脚のロックとロック解除を素早く行えるクリップタイプを好みます。一方ツイストタイプは、一度のひねりで三脚の脚のすべての部分のロックを解除できるので、使いやすいと言う人もいます。
 また、ツイストロックを使用するもう一つの利点は、一般的にツイストの方が薄く、特に折り畳んだ状態では三脚の全幅が小さくなるということです。これらはすべて好みの問題です。もしあなたが初めての三脚を購入するのであれば、実際に両方の三脚を触ってみて、どちらがより快適に使えるかを確認するのが一番です。

雲台
 ボールタイプの自由雲台が最も一般的なのは、非常にシンプルな理由からです。それは、使い勝手が良く、操作が簡単だからです。自由雲台は一般的に、ボールのロックを解除し、ショットの構図を決める際にカメラの位置を決めるためのメインノブが1つあるだけで済みます。高速な調整を必要とする写真撮影には非常に適しています。

 一方、3WAY雲台は、縦横斜めの軸上で調整を行いたい場合に適しています。ボール雲台で精密な調整をする場合、ボールのロックを解除すると、どの方向にも動くようになるので、かなり厄介なことになります。ギヤード式の精密ヘッドは
3WAY雲台のようなものですが、非常に小さく正確な調整ができるように調整された精密なノブが付いています。初心者にはまず必要のないものです。これらのヘッドの欠点は、もちろん調整に時間がかかることです。


目的に応じて
 三脚を使ってどのような写真撮影をするか、前提を考えて購入しましょう。スタジオでポートレートや商品を撮影するのであれば、シンプルで頑丈な三脚がベストです。また、旅行先での撮影が多いのなら、軽くて十分な高さのある三脚が良いでしょう。異常に高いアングルや異常に低いアングルで撮影する場合は、90度の支柱を持つ三脚の方が柔軟に対応できます。また、過酷な環境で風景を撮影する場合は、頑丈なカーボンファイバー製の三脚を使用することで、機材の安全性を確保することができます。

 ニーズに合ったカメラを見つけるのと同じくらい、適切な三脚を見つけることが重要です。三脚を適切に選ぶことは、写真家にとって最高の必要投資の一つです。適切なメンテナンスと取り扱いをすれば、何十年もの間、交換する必要がなくなることはありません。





 太くて頑丈なカーボン素材でできており、大型カメラに対応し21kgもの耐荷重を有します。デザインもどっしりしていながら見た目以上の軽量化を果たしています。これ一台で末永く汎用三脚として使い倒せます。






 トラベル三脚としても人気のあるシリーズです。40センチほどにたたんで持ち運びますが、最長150センチまで伸びるので、大抵の用途に十分な高さを確保しています。高級感あふれる作りで、可動部分はどれも滑らかで正確に動かすことができます。フルサイズの巨大な望遠レンズには不向きですが、他の用途ならば必要十分な使い勝手で安心してカメラを乗せることができます。

 ちなみに私は今、GEEKOTOというメーカーの高さは最大77インチまで伸びるスリムな三脚を使っています。別段欠点はないのですが、作りがやや華奢で、強度が低い方なのであまり強くおすすめはしていません。(GEEKOTO 77'' Tripod)選んだ理由は、なんと分離すると一脚にもなるスグレもだからです。野山を散歩しながら撮影することの多い私には重宝しています。トラベル用としてもコンパクトで持ち運びには便利だと思います。

GEEKOTO 77'' Tripod




2020年12月29日火曜日

これからのカメラ

未来のカメラを予測する

 


 今年もあとわずかですが、カメラ業界にとっても試練と変革の一年だったと存じます。それでも確実に前進し続けるカメラの進歩には驚嘆と尊敬の念をいだきます。特に今年はフルサイズ・ミラーレスカメラにおいて、意義深い里程標となるようなカメラが次々と発表されました。いずれも手に取って撮影したくなるワクワク感そそるものばかりでした。

 2021年のカメラ事情は今年以上に急加速が予想されます。いくつかの技術的ブレークスルーがうまく行けば、これまでにない画期的なカメラが出る可能性もあります。そこで今後の展開として、どんなカメラが登場するか、期待を込めて予測してみました。

 

 まず私的に期待しているのは、

1 ボディ内手振れ補正とレンズの手振れ補正の相乗効果がより向上し、暗所でも手持ちで撮影できるようになること。

 これは数年以内に実現可能でしょう。ISOの画像処理能力では’もうすでにソニーが近未来に到達しています。a7Sというフルサイズカメラで最高ISO感度ISO409600という圧倒的な数値をたたき出しているのです。ダイナミックレンジも広く豊かな階調を表現できるので、暗闇でさえシャッターチャンスに変えてしまいます。これはもう未来に先駆けたスーパーカメラというべきでしょうね。

2 APS-C、あるいはマイクロフォーサーズ機がさらにレンズ構成で小型化が進み、ポケットに入るカメラとしてコンデジに取って代わる。

 これももはや実現可能です。現に、5年前に出たマイクロフォーサーズ機例えばパナソニックのGH5より今年出た同じパナ機LUMIX 5Sの方が軽く小さいですから。この伝で行くと、マイクロフォーサーズ機はさらに小型化ができて、1インチセンサーのコンデジ程度の大きさまで縮小できると考えられます。いやもう少し未来を見据えれば、300ページの文庫本程度のAPS-C機もできないはずはありません。レンズは単焦点になるでしょうが、パンケーキレンズのサイズ感を考えれば十分作れるカメラだと思います。

3 通信5G技術との連携が進み、ROWで撮ったものをリアルタイムでパソコンやYouTubeなどの媒体へリアルタイムで送れるようになる。

 今後カメラで撮った写真はSDカードなしでも逐次自宅のパソコンやクラウド上に無制限で送信していくようになるでしょう。ファイルサイズを気にすることなく、撮って撮って撮りまくって後で写真を整理するのです。

 またその面倒な写真整理ですが、これもAIがその人にあった編集システムを構築し、GPS情報による地図別編集や、または被写体のカテゴライズを自動で整理整頓してくれるようなアプリも出るはずです。

4 撮った写真をカメラ内で加工する技術が多様化し、各社で特性を競うようになる。

 この辺りも実現可能範囲と言っていいでしょう。富士フィルムあたりは、プロレベルの写真シミュレーションが進み、一枚一枚撮影者のイメージ通りの作品に仕上げてくれる技術なんか生み出すのではないでしょうか。


 これだけではありません。私的にはさらにその先があります。

5 一回のシャッターで数十通りの異なる効果の写真を合成するとか、カメラ内により高性能なAIが搭載され、ユーザーの趣味、嗜好を分析し、その人の狙いに合った微調整ができるカメラ。あるいは一流のプロカメラマンの写真特性を搭載したファームウェアが販売され、篠山紀信スタイルとか、森山大道スタイルとか自在に切り替えたりできる・・・。とここまで行くと、もはやカメラを操作する醍醐味まで奪われてしまい、逆に味気なくなってしまうかもしれませんね(笑)。


 こんなカメラの未来予想をしていたら、ネットでもいろいろ考察しているサイトがありました。私だけではないのですね。将来実現可能な未来のカメラを想像するのは楽しいものです。以下は「LifeWire」というサイトに掲載された「未来のカメラの技術的進歩:最高のカメラはまだ来ない」という記事です。ちょっとツッコミどころもあるので、これに私はいちいち反論やコメントを書き加えてみました。

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「デジタルカメラは常に進化し、新しい機能を追加したり、古い機能を改良したりしています。ここでは、近い将来にデジタルカメラ技術にもたらされるであろう、最も興味深く有望な変化をいくつか紹介します」

その1

「未来のカメラは、シャッターボタンすら必要としないかもしれません。その代わりに、写真家がウインクをしたり、音声コマンドを使ってカメラに画像を記録するように指示することができます」

 いやいやこの記事の方はカメラマニアのツボをわかっていません。カメラのシャッター音は撮影者にとって心震わせるものなのです。各メーカーによりシャッター音は伝統として受け継がれているものも多く、その一音一音が撮影のリズムや心身統一にまでつながっているのです。音声シャッターは技術的に数年前でも可能でしたが、いま生まれていないところを見ると、カメラファンからはそっぽを向かれるのをメーカーが見越しているのではないでしょうか。

その2

「カメラは、Google Glassのようなスマート・メガネのように日常的なアイテムに組み込まれるかもしれません。カメラがメガネに内蔵されていれば、カメラの照準を合わせるのも簡単です」

 これはその通りでしょうが、それはもはやカメラというよりガジェットの部類に入るものでしょう。通常のカメラのカテゴリーには入れられず、GoProとか車載カメラだとかのジャンルで勝負する商品としては十分ありですが。

その3

「超小型カメラとは、通常、厚さが1インチ以下のものを指します。ズボンのポケットや財布にすっぽり入るので便利です。しかし、未来のカメラは「超小型」を再定義する可能性があります。メーカーは、厚さ0.5インチのカメラを作ることができます。現在のカメラよりも小さいサイズになるかもしれません」

10年前のデジタルカメラは現在の小型モデルよりもはるかに大きく、内部のハイテク部品は縮小し続けているため、この予測は理にかなっています。タッチスクリーンを搭載したカメラが増えれば、スマートフォンのように、他のすべてのコントロールやボタンを排除して、ディスプレイ画面の大きさでサイズが決まるようになるかもしれません。

 これは私が先述した文庫本サイズAPS-C機のコンセプトと一致しますね。まさに同感。早くポケットAPS-C機が出てほしいものです。

その4

「写真は視覚的なメディアですが、これからのカメラは写真に嗅覚を加えたものになるかもしれません。

視覚以外の感覚を刺激する写真は面白いアイデアです。例えば、撮影者がカメラに命令して、その場の匂いを記録し、撮影した映像に埋め込むのです。しかし、画像に匂いを付加する機能はオプションである必要がある。食べ物や花畑の画像に匂いを追加するのは素晴らしいが、動物園のサル小屋の写真に匂いを追加するのは好ましくないかもしれません」

 あはは。ここまでくると的外れというか、映像的再現の芸術である写真から外れ、まったく別の概念の再生マシンになってしまいます。ドラえもん的と言いますか、発想はおもしろく、できそうな気もしますが、あまり購入欲をそそる商品にはならない気がします。


その5

「現在のデジタルカメラの充電池は強力で、1回の充電で数百枚の写真を撮ることができますが、もし、コンセントに接続しなくても、カメラを使っている間に自動的に充電できるとしたらどうでしょうか?

未来のカメラには、太陽エネルギー電池が組み込まれていて、バッテリーは太陽エネルギーのみで動作するか、太陽電池を使って充電することができるようになっているかもしれません。

太陽電池がカメラのサイズにどのくらいの影響を与えるのかなど、いくつかの疑問に答える必要があります。それでも、無制限のバッテリーパワーを持ってショットを逃すことを心配しなくなるのはいいことだ」

 バッテリー問題は確かに将来の懸念事項です。最近もCANONのフルサイズ機の熱処理問題が話題になりましたが、バッテリーを根本的に見直して、べつのエネルギー源を考えることは重要だと思います。

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 以上、未来のカメラへの展望と疑問でした。

 カメラの性能はこれからも間違いなく日進月歩の道を行くでしょう。そうしなければ勝ち残れませんから。そういった意味でこれからカメラを始める方は、いろいろ楽しめる未来が待っていると思います。またそうあって欲しいです。そのためにも、最初の一台は慎重に選び、末永く使えるよう基礎からしっかり腕を磨いていっていただきたいと存じます。

 また次回、別の切り口から面白いカメラとの付き合い方をご紹介していけたらと存じます。

2020年12月28日月曜日

初心者のための写真機選択2

 変わりつつあるカメラの売れ筋



 先日の続きです。今回は本格志向のカメラ初心者はどのカメラを選ぶかです。

 結論から言って、フルサイズ・カメラはミラーレスであろうと一眼レフであろうと初心者には不向きです。いちばんの理由はレンズ・システムの大きさです。フルサイズのレンズ規格はそれ以外のカメラと比べけた違いに大きく重いので、これからカメラを始めようという方には、文字通り荷が重くなります。大きなカメラ・システムの取り回しには相応の技術も要求されるので、これは間違いないです。

 後述しますが仮にかなり軽量ボディのフルサイズであったとしても、現行のどのメーカーのレンズシステムもAPS-Cとは比べ物にならないほど重く大きいです。これはセンサー・サイズ上致し方ない問題で、そう簡単に解決できるものではありません。

 私が初めてAPS-Cセンサーの一眼カメラを手にしたのは、11年前に発売された、CANON EOS KISS X3でした。ガイド本まで買って気合を入れて使い始めたのですが、どうにもフォーカスがうまく合わず、何度撮ってもなんだかぼんやりした写真しか撮れませんでした。付属したキットレンズを疑い、友人の単焦点で試しましたがやはりイマイチ明瞭ではありません。結局カメラ本体の不具合であろうと思い、保証期限の切れる一か月以内に販売元に送り返してしまいました。それ以来、高額なカメラは通販やネット販売ではリスク高しというイメージが付きまとい、遠ざかるようになりました。

 しかしその翌年には出て間もないCANON EOS 60Dというカメラを運よく入手できました。今度は店の展示品で、軍艦部に目立つ傷のあるものでしたが2割引きで購入できました。万が一不具合があったら新品と交換してくれるというので、処分品ではありますが思わず手を出してしまいました。

 購入の決め手はEOSシリーズではじめてバリアングルが搭載されたから。しかも宣伝媒体では口をそろえて、ミドルクラスなのに軽量小型化に成功した、と大絶賛で宣伝されていたカメラです。今思うと、本体重量675g、ズームレンズを付けると軽く1.5キロを超えてしまいます。当時はこれでも軽くなった小さくなったと称えていたのですから隔世の感があります。

 でもEOS 60Dは当時としては新しいライブビュー機能がついて、ファインダーに慣れていない初心者にも本当に扱いやすいものが出たという感じでした。はじめはカメラ任せのオート設定ばかりで撮っていましたが、それでもその艶と立体感のある写りにいたく感激したのを覚えています。ちょうどうちの子供が幼い頃だったので、このカメラで成長記録を撮れたのは幸いでした。

 EOSシリーズはファミリーフォトだけではもったいないくらいよく撮れるのですが、一方で持ち出す機会は徐々に減ってきました。もとより「作品」を撮る意識に欠けていたので、家族以外を撮るのには持ち出しやすいコンデジが楽という考えに傾いていったのです。コンデジは少しでも新しい機能を搭載したものが出ると、飛びつきました。買い求めやすい価格というのも理由の一つでした。

 EOS入門から早や10年。今やミラーレスカメラの時代です。最新のEOS Kiss M IIは本体重量が387g。もう笑っちゃうほど軽くなりました。付属のEF-M15-45mm F3.5-6.3が重さ130gですから合わせてもたった517gという軽さです。写真撮影時の機動性というのは撮る側のメンタル、ひいては作品の出来に関わりますから、決して軽視できないのであります。

 

 ではミラーレスでフルサイズのカメラはどうかというと・・・。

 代表的なところではいま一番売れに売れているSONY a7III。本体重量556g。これはよく健闘している方でしょう。このシリーズ初代機からこの辺りのスペックでスタートしているのですから、さすがミラーレスのパイオニア、SONYといったところです。

 しかしレンズに目を向けると、これはさすがに軽いとはいいがたいです。キットレンズとして付属してくる焦点距離16-35mm標準ズームレンズにしてすでに518g。本体との総合で1.7kgを超えるわけですから、いかにフルサイズの重量が突出しているかわかります。

 最近出たソニーのフルサイズ・ミラーレスa7Cは確かに常識破りの計量小型化を果たしました。本体重量509gは私のAPS-C機EOS 60Dの755gよりはるかに軽くて小さいです。しかしレンズシステムは変えられません。最近出た評判のいいソニーのEマウントレンズFE 12-24mm F2.8 GMは847gで定価は345364円です。重さもお値段もビギナーには不釣り合いなのです。

 プロのカメラマン、ハイアマチュアならいざ知らず、趣味でこれから写真を楽しもうという人にとって、重さは最初の壁になります。カメラを持ちだす頻度も重量と比例するように変わってきます。少しでも多く写真を撮りたいのであれば、迷わず軽量小型のカメラを選ぶべきでしょう。APS-C機はこれから軽量小型がどんどん出るはずなので、期待していいと思います。

 そういった観点から、いま一番初心者にお勧めできるミラーレス・カメラはどれかと考えました。以下がその候補です。


1 Nikon Z50


 今のところ、新マウント・システムのZシリーズ唯一のAPS-C機です。ニコンとしてはかなり小型の部類に入るサイズ感です。コンパクトなのにニコンのフルサイズ・カメラと同じマウント径なので、レンズを共用できるのが強みです。今はレンズの数も乏しいのですが、これからサード・パーティも加えてたくさん出るであろうレンズ群には期待できます。それにZ50のキットレンズも評判がすこぶる良いです。初心者向けにわかりやすいインターフェースも導入されており、このキットレンズと本体だけで当分腕を磨けるようになっているようです。唯一疑問なのはチルト式モニターを下向きにしたこと。ファインダーが上部にあるのでこうしたのでしょうが、他社は軒並みバリアングルにシフトしているだけに、ちょっと惜しい気がします。



2 Fujifilm X-S10

 APS-Cミラーレスの開発で、私が今一番注目しているのが富士フィルムです。フジはここ数年のSONY、CANON、NIKONによる三つ巴の熾烈なフルサイズ戦争をしり目に、着々とAPS-C機の開発に焦点を当ててきました。独自のインターフェース、操作性にこだわって一時はガラパゴス化を懸念しましたが、最近はユーザーの入り口を意識した親しみやすいものに変わってきました。その最新の成果がX-S10です。
 26M X-Trans CMOSセンサー(X-T4と画質は同じ)、最大6.0段ボディ内手ブレ補正搭載、メカシャッター8コマ/秒連写、最大30コマ/秒連写(電子シャッター&クロップ使用時)と上位機種の勝るとも劣らないフジの技術をふんだんに盛り込んだ意欲作です。もちろんフジお得意のフィルム・シミュレーションも満載で、他社には出せない色味の強みを前面に押し出してきています。加えてグリップを大幅に持ちやすくして、安定性も確保しました。今後出るであろう次世代機次第では、APS-C機の天下はフジフィルムになるかもしれません。



3 Panasonic G99

 マイクロフォーサーズ勢ではオリンパスのOM-D E-M5シリーズの売れ行きが好調ですが、PanasonicのGシリーズも侮れません。軽量小型はもちろんのこと、マイクロフォーサーズの望遠に強い特性を生かして、レンズも小さく廉価なものがたくさん出回っています。同じレンズ沼にハマるのでも、フルサイズと比較すると予算は10分の一くらいで済みます。

 G99の良いところは、独特の連射性能。LUMIXシリーズのお家芸である「4Kフォト」モードが初心者にとても便利です。この機能を使えば4K画質の静止画が30コマ/秒で記録できるため、動きのある被写体もピタッと止めて描写するのはうってつけです。本体に手振れ補正機能も付いていて、どんな被写体にも慌てることなく追従できる機動性が魅力の一台です。



4 Canon EOS M6 Mark II


 近年キャノンが独自性を打ち出してきたEF-Mマウントですが、本機が出るまで少し足踏み状態が続いたようです、本来ならあと数本は出ていてもおかしくないレンズのラインアップが滞りがちで、そんな中発売された最新機EOS KISS M2も目新しい性能の進化がイマイチです。それならば少し前にでたm6 Mark IIの方がより携帯性に優れ、コンパクト・デジカメ並みの扱いが可能です。それでいて定評あるキャノンの描写性能や色再現を堪能できます。エントリー層からミドルクラスまで末永く使えるカメラとしておすすめの一台です。



5 SONY a6400


 SONYのカメラの特徴と言えばなんといってもオートフォーカス性能でしょう。世界最速0.02秒を謳っているだけあってとにかく爆速。しかもAIを搭載したリアルタイム・トラッキングで瞳オートフォーカスが心地よいくらいうまく追従してくれます。

 これはSonyのここ数年に出たどの機種にも共通していますが、このハンディなサイズ感で人物撮影を中心とするなら、これ以上ふさわしカメラはありません。大きさ軽さだけでなく、フルサイズ機のフラッグシップα9と同じ画像処理エンジンが搭載されているのも頼もしいですね。

 もう一つ言うなら、425点像面位相差AFとコントラストAFによる広いAFカバー範囲。これも他社を引き離す精度抜群の高性能ですので、もはや向かうところ敵なしのカメラと言ってよろしいでしょう。あとは好みの問題で、操作性がイマイチだとか、デザインが気に入らないとか言われているようですが、相性もありますので、一度店頭で手に取って試してみるのがいいでしょう。とにかくいま一番案的にはいったド定番のAPS-Cミラーレス機です。


 今回は以上のカメラを希望を託すような気持で推薦させていただきました。いずれも現時点で、ビギナーにとってすこぶる扱いやすく、機能面においても過不足の少ない「よく撮れる」カメラばかりだと思います。ご購入の参考にしていただければ幸いです。


まとめ

 これからのカメラはどうしてもスマホを意識したものにならざるを得ないでしょう。逆に言えばスマホのカメラとどれだけ差異化、優越性をアピールできるかです。そいういった意味では私の拘る豆粒センサーのコンデジは不利に違いありません。かといって圧倒的な性能を誇るフルサイズでは、そもそもユーザー層、使用目的など、根本的な土俵が違います。そうなるとカメラメーカーがスマホに打ち勝つゾーン、落としどころはAPS-C(あるいはマイクロフォーサーズ)の更なる小型化、高性能化しかないと思います。

 そういった視点から来年以降、出てくるカメラを見て行けば、その先のカメラの未来もおのずと見えてくるのではないでしょうか。次回はそういった観点から、カメラの未来を占っていきたいと存じます。



2020年12月27日日曜日

ビギナーのためのカメラ選び1

 激変期のカメラ業界



 写真撮影初心者の方は、これからどのようなカメラをお求めになるのでしょうか?

 いまカメラ業界が未曽有の激変期にあるのをご存じですか?

 これからカメラを趣味や仕事に役立てたい方は、ここ数年のカメラのトレンドをよく読んでおく必要があります。見誤るとあとで後悔することになりかねません。それほど今、カメラ業界は激変中なのです。

 ここではこれからカメラ購入を予定している方に向け、いま買うべきカメラ、その選定方法をご紹介します。

 2020年は大きなターニング・ポイントにあたる年でした。

 象徴的なのは、一般社団法人カメラ映像機器工業会(CIPA)が主催するイベント「CP+」がコロナ・ウィルスの影響で中止になったことです。これは世界が注目するカメラ業界最大の祭典の一つです。各社新製品のお披露目の場であり、今後の市場を左右するイベントなだけに中止は大きな痛手でした。それに追い打ちをかけるように、カメラ雑誌の老舗「カメラマン」「アサヒカメラ」が相次いで廃刊になりました。さらにオリンパスのカメラ事業からの撤退というショッキングなニュースも飛び込み、カメラの世界は一気に不透明さが増した、そんな年だったのです。

 勿論コロナ禍という予想外の出来事が大きな要因ではありますが、それ以前からカメラ業界はじわじわと下降線をたどっていました。端的に言って、それはスマホ・カメラの台頭によるものです。統計によると世界全体のカメラの売り上げは2010年がピークでした。それはちょうどスマホのカメラが注目に値する性能を持ち始めてきたころです。

 もう重たい高性能なカメラはなくても、手軽で簡単に扱えるスマホ・カメラの方がいい、という一般的な考えが急速に普及してきました。スマホ自体も機能競争が頭打ちで、次なる差別化を模索していく中、カメラこそが次世代スマホをけん引すると読んだのです。それは見事に当たり、年を追うごとにスマホのカメラ機能は向上しました。

 そんな流れの中、各カメラメーカーがこぞって打ち出したのが、カメラの高機能化です。

 もうドル箱だったコンデジはすっかりスマホにシェアを奪われ、奪回の余地はないと見限ったようです。事実、今年はいわゆる豆粒センサーと呼ばれる1インチ以下のセンサー・カメラはほとんど新製品が出ませんでした。代わりに各社が競って発売したのは、フルサイズ・センサー搭載の高性能ミラーレスばかりでした。

 この流れは一昨年から始まったものですが、言ってみれば先見の明があったソニーにキャノンとニコンが追従した形です。この三社がいまフルサイズ・ミラーレスを巡ってしのぎを削っている状況が来年も続くとみられます。なのでカメラ購入の際は、ここに注視するのが妥当と思われます。

 ただし、いきなりカメラ初心者がこの流れに乗ろうとすると、躓きます。ミラーレスカメラの軽量小型化が進んでいるとはいえ、コンデジとは雲泥の差。ましてやスマホカメラに飽き足りなくなった人がフルサイズに進むのは、幼児がプールから大海へ飛び込むようなものです。ここは慎重なカメラ選びが求められます。

 そこで今回は年末年始、ボーナスやお年玉でカメラを買う方のために、どのような機種を選ぶべきかを考察いたしました。


 カメラ愛好家の二極分化

 これからカメラを買う人は大きく二手に分かれると、私は思います。

1 スマホ卒業派

2 本格志向派 

 この二つです。正確には第3の選択ともいえる「動画派」があるのですが、これは私の守備範囲外なので割愛させていただきます。

 1はとにかく簡単に手軽におしゃれな写真を撮りたい。というスマホから一歩進んだ写真を志向する人です。こういった方が実はカメラ購入者のシェアの大半を占めます。しかし現状カメラメーカーはこの欲求を満たすカメラを十分揃えているとはいいがたい状況です。前述のとおりスマホカメラの性能向上が著しく、ほとんどのコンパクト・カメラが優位性を示せていません。昨今厳しい財政事情の中、各社ともハイエンドカメラへの投資集中で、入門機には予算を割けないのが現状でしょう。

 そんな中、現行機種の中で、機能、写真クオリティの面でスマホより優れたカメラをご紹介します。ご協力いただいたのは、ニューヨークのカメラ販売店(義弟が店長をしております)で、デモとして店頭に出ているものをお借りしました。


1 SONY RX100 VII


 スマホには搭載できない1型センサーを採用する、高級コンデジの先駆けです。2012年6月に発売された初代モデルから、2019年8月に発売されたRX100 VIIまで、すべての発売モデルが現行品としてラインナップされている稀有なシリーズです。とにかく簡単にきれいな写真が撮りたい方にはうってつけのカメラと言えるでしょう。VIIではAF速度が0.03秒から0.02秒に短縮。AFエリア数は、像面位相差315点・コントラスト25点から、像面位相差357点・コントラスト425点へと増えました。わずかな差に思えますが、バージョンアップするたびに確実にブラッシュアップされる最強のコンデジと言えるでしょう。


2 RICOH GR III


 高画質コンデジの代名詞的な存在としてマニアックな人気を誇るリコーGRシリーズ最新作。3月中旬に登場したこの最新モデルは、シリーズ初の手ぶれ補正機構を搭載しながら、旧モデルよりもボディを小型化した点がすごい。APS-Cという、一眼で使用するセンサー搭載でこのコンパクトさは他にない魅力です。単焦点ながら一眼レフカメラに匹敵する高画質を求めるなら、本機はその期待に応え得るハイエンドなコンデジと言えるでしょう。


3 Canon PowerShot G5 X Mark II

 以前はG7 Xを推奨していたのですが、このG5 X Mark IIはズームがより上の5倍です。かねてより私はスマホとコンデジの差はズームにあると指摘してきました。スマホのデジタルズームは明らかに質が劣り、この1インチセンサー搭載の光学5倍ズームはとても自然できれいな写真を写せます。今後はどのメーカーであれ、センサーサイズと絞りの調整機能、そしてズーム性能の良さがスマホに差をつけるカギとなるとみております。さらにこのG5 X Mark II、ポップアップ式のファインダーが付いています。これは構えて写真を撮るという、極めて基本的なスタイルを知るうえで、スマホ派の方には是非覚えて頂きたい撮り方です。写真を撮る楽しみはここから始まると言っても過言ではありませんので。


4 NIKON Coolpix A1000

  

 こちらは広角24mm相当から超望遠840mm相当をカバーする光学35倍ズームを搭載するコンパクト・デジタルカメラです。豆粒サイズのセンサーですが、望遠端の描写は細部までしっかりと捉えてることができます。動物園や屋外スポーツ、イベントなどで遠くのものをぐっと引き寄せる醍醐味を味わえます。うれしいことにRAW撮影にも対応しているので、パソコン内で写真を編集が可能です。常用感度はISO 100~6400で、輝度差の大きな撮影シーンでも白とびや黒つぶれを抑え、目で見た明るさに近い階調豊かな撮影を可能にするアクティブD-ライティングを搭載しています。またレンズシフト方式手ブレ補正(VR)機能により、手ブレ補正効果3.0段を実現。夜景や薄暗い室内の撮影でも手ブレを抑えてシャープな画像を得ることができ、さらに電子ビューファインダーもついた機能てんこもりの一品です。なんでも器用に撮りたい方に是非お勧めしたいです。


5 Panasonic Lumix LX9

 

 パナソニックからは開放F1.4の大口径レンズを搭載したLumix LX9がおススメです。あこがれのライカ・レンズ搭載で、手軽にボケ味豊かなポートレートなどが撮れるのが魅力です。チルト式のモニターで自撮りもできますし、パナソニック独自のクリエイティブ・コントロールで多彩な効果の写真をパソコン要らずで作れます。パナソニックお得意の4Kフォトで秒間30コマの高画質な連続写真が簡単に撮れるもの便利。焦点を自在に選択できるフォーカスセレクトというコンデジには珍しい機能もあります。画像はとてもシャープで手振れも気にせず、ほとんどのシーンで三脚なしでも撮れるのがうれしいのです。残念ながらアメリカでは売り切れまじかで、ほとんど中古市場でしか見られなくなりました。


前半のまとめ

 コンパクトカメラを始めるならば、以上のカメラが扱いやすく、手堅い撮影ができるでしょう。いずれもオート設定で撮れば、失敗写真も少なくて済みます。さらにもう少し凝ったことがしたいのであれば、一眼上級機にないような遊び心のある初心者アシストも楽しめるので、これらのカメラは当分、使っていて飽きることはないでしょう。次回は本格志向の初心者向きデジタル・ミラーレスをご紹介いたします。お楽しみに。

2020年12月26日土曜日

クリスマス・プレゼント

感謝を込めたギフト
 


 今日、無事に2020年のクリスマスを迎えることができました。ただただ感謝です。

 つくづく思うのですが、アメリカ人の家族と暮らしていると、クリスマスがいかに重要な日であるかということがわかります。いろいろ説明するよりも、日本のお盆やお正月に例える方が早いでしょう。クリスマス本来の意味から外れるかもしれませんが、この日は実質、家族や親しい人たちが、互いに一年の無事を喜び、労をねぎらい合う休息の日といっても過言ではないと思います。

 クリスマスは勿論イエス・キリストの生誕を祝い称え、感謝する日です。大多数の西洋の人たちが心の拠り所とする大切な日ですから、日本人にはわかりづらい感情の動きもあります。日本の仏教同様、日頃は意識はしない精神の根底を再確認する日でもあるので、単なるお祭り的な日と捉えては失礼に当たりそうです。
 あいにく今年はコロナの問題でキリスト教徒たちも教会に集まることはできませんでした。例年なら大小様々な教会で、厳かなミサが行われるのですが、今年は軒並み見送りとなっています。

 中にはうちの地元の教会のように、ズームを使ったリモートでミサを行う所もありました。こういった最新テクノロジーを使って様々な集会をするのが今年のクリスマスの特徴です。テレビのニュースなどを見ていると、若い牧師さんたちはそういった 新しい技術を取り入れることにも、ためらいはなさそうです。

 家の近くのカソリック教徒の人たちも、家族でリモートでミサに参加してそれからプレゼントの交換をすると言っておりました。


 プレゼント交換といえばやはりアメリカは少し過剰な気がします。

 毎年のことで、もう私も慣れっ子になっていますが、改めて考えるとどうしてこんなにプレゼントが多いのか、疑問に思うべきなんでしょう。

 今年も例年同様、私と家内はクリスマスギフトのラッピングに夜中の3時まで費やしました。今回はギフトの八割はオンライン・ショッピングで済ませたので、買い物自体は大変ではありませんでしたが、それにしても大変な量になってしまいました。

 家族同士と 子供の友人と 親戚達に送るものをラッピングするだけで数時間はかかった計算です。

 なんとか夜が明ける前にクリスマスツリーの下にはたくさんのギフトボックスやバッグが揃いました。例年と違うのは、クリスマス当日、外出せず他人とは会わないことです。

 今年はサイレント・ナイト、クワイエット・クリスマスです。他人様にお渡しするのは極力注意が必要。タイミングを見計らって、玄関先に置くとか、郵送にするとか、考えています。(休みはこの日と前日だけなので、ラッピングはいつも通り一気にやっちゃいました)

 例年なら人が来たり、こちらからギフトを持って出歩く事もあるので量はもっと多いのですが、それでもなぜだかツリーの下は贈り物の山みたいになってしまいました。 

 仮に日本人のビジターが来てこれを見たら、アメリカの過剰なプレゼントに驚くことでしょう。ギフト単体では大した金額ではありませんが、塵も積もれば山となるで、とにかく賑やかにするのがいいとされるのです。

 ちなみに今年の家内へのギフトはナイト・ガウン。子供達へは、ローラースケートやスマート・ウォッチ、マイク・スタンド、スウィッチ・ゲーム・ソフトなどでした。

 私が家族から頂いたのは、ビーニー・ハット、フーディ・スウェット、カメラ・クリーニング・キットなどなど。お互い気心知れた家族ならではの、欲しいものが揃いました。

  

 知人や親せき用には、当たり障りのないクッキーの詰め合わせ、ジャムの瓶詰めセット、それに加えて今年は、いくらあっても足りない使い捨てマスクのギフト仕様になったものを用意しました。ありきたりで申し訳ないのですが、それはお互い儀礼的なもの。凝り過ぎてハズレとなるより無難な定番を中心にセレクトするのが世の常です。

 みなさんは今年どんなプレゼントを受け取られたでしょうか?



付記:もらってよかったもの

 少し時間が過ぎて、プレゼントの交換がちょっとだけ進みました。結論ではありませんが、現時点で嬉しい誤算というか、予期せぬ頂き物を記録しておきます。



Mac Mini (中古品) 


                                   

 
 持つべきものは友と言いますが、昔の仕事仲間から、ちょっと古いMac Mini が送られてきました。正確にはクリスマス・イブに郵送されてきたものですが、忙しくて開封していませんでした。これは思わぬ嬉しいプレゼント! 彼は以前メールで私のマッキントッシュが崩壊寸前と愚痴をこぼしていたのを覚えてくれていたらしいのです。彼自身、最新のM1CPU搭載のMac book proを購入したばかりで、お古を私に譲ってくれた形です。なんであれ、使えるパソコンが一台増えたのはラッキーとしか言いようがありません。




ワッフル・メーカー
 
 


 娘のボーイフレンドのご両親からは、自宅で簡単においしいベルギー・スタイルのワッフルが作れる焼き機を貰いました。スグに作れるように、フラワーミックスやメイプルシロップまでセットで送られてきました。これは嬉しい! 私がワッフル好きだと娘から聞いていたのでしょうか。さっそく娘がふんわりふっくらしたベルジアン・ワッフルを作ってくれました。



映画「TENET」のDVD
 
 


 これも仕事がらみの知人から頂いたもののひとつです。今年唯一、映画館で観た映画で、私はいろんなところでこの映画を絶賛した記憶があります。時間をテーマにしたSF映画で、一度観ただけではわからない(でもすばらしい)難解な内容だったので、もう一度観たいと思っていたところでした。



CD:あいみょんの「おいしいパスタがあると聞いて」
 

 これにスペシャル付録がもう一枚のCD「風とリボン」付きという豪華版。それに加えてオフィシャル髭ダンディズムのベストセラー「Traveler」も同梱でした。日本の音楽に飢えていたので、これを日本から送ってくれた弟には感謝しています。



アディダスのフーディ

                                               

 家内からは、運動不足の私めに励ましを込めたスポーツウェアが贈られました。近頃は余分な贅肉も増え、血圧の心配も増してきていただけに、もういい加減ダイエットしなさいとの意味が込められているような気が・・・。来年から心機一転、停滞していたジョギングやウォーキングを再開するきっかけにこのアディダスで頑張りましょう。

 





2020年12月25日金曜日

ベスト・クリスマス映画

人気ホリデー・ムービーといえば



 アメリカでは冬のホリデー・シーズンになると、テレビで大量のクリスマス・映画が放映されます。近年ではNetflixやAmazon Prime、Huluなどで過去の人気作から駄作まで惜しげもなくクリスマスにちなんだ映画をストリーミングで公開しています。今年はディズニー+やApple TVも参戦して、その気になれば、浴びるようんにクリスマス関連の映画を見ることができます。
 そんな環境の中で、アメリカ人が毎年のように繰り返し観続けられている名作映画があります。それは「It's Wonderful Life」という映画で、日本では長らく「素晴らしき哉、人生!」の邦題で紹介されてきました。1946年制作ですから70年以上前の白黒映画ですが、おそらくアメリカ人でこの映画を知らない大人はいないでしょう。
 この映画は善良な主人公が、まじめに生きてもひどい目に遭い続けて、悲嘆にくれるエピソードが続きます。しかし天使がそれを見ていて、最後に主人公の人生がどれほど人を救ってきたかを知らしめます。主人公は生きてきたことの意味を悟り、また恩義は必ず自分に返ってくるものだという、人生賛歌です。いわばアメリカ版人情物の古典的名作です。
 現代でもこの価値観が支持され、映画が愛され続けているということは、アメリカ国民の理想とする倫理観、価値観が崇高なものであり、決して風化していないことの証座だと思います。
 それほどこの映画はアメリカ人のスピリットを知る上でも見ておいた方がよい映画です。このクリスマスシーズン、ぜひ誰かといっしょにご覧ください。心がほっとあったまりますよ。

制作:リバティー・フィルムズ
配給:RKO
公開:1946年 12月20日

監督 フランク・キャプラ
キャスト ジェームズ・スチュワート(男優) ジョージ・ベイリー
ドナ・リード(女優) メアリー・ハッチ
ヘンリー・トラヴァース(男優) 二級天使クラレンス
ライオネル・バリモア(男優) ポッター
トーマス・ミッチェル[1892年・男優](男優) 叔父ビリー
ボーラ・ボンディ(女優) ジョージの母親
ウォード・ボンド(男優) バート
フランク・フェイレン(男優) アーニー・ビショップ(タクシーの運転手)
グロリア・グレアム(女優) ヴァイオレット
H・B・ワーナー(男優) ガウワー(薬局店主)





 
「It's Wonderful Life」最強の証明
 以下のリストは、いずれも有力な映画評で知られるサイトばかりです。いわばネットに挙げられたアメリカ人によるアメリカ人のためのど定番クリスマス映画ベストテンです。中にはベスト75ものクリスマス映画を紹介したサイトもあるほど、クリスマス映画は大量に作られてきました。ゆえにサイトごとにベストテンの内容もランキングもかなりまちまちで意見の相違が如実に表れる結果となりました。
 そんな中で、IT'S A WONDERFUL LIFEだけはすべてのランキングトップ10にはいり、そのほとんどで1位、悪くても3位以内という、突出ぶりです。いかにアメリカ人がこの古い白黒映画を愛してきたかがわかります。

 もちろんこの映画だけでなく、クリスマス映画の上位に入る映画はどれも家族みんなで楽しめるものばかりです。リストを参考に、ぜひアメリカの作り上げたマスター・ピースの数々をご堪能ください。


Rotten Tomato

IT'S A WONDERFUL LIFE (1946)

MIRACLE ON 34TH STREET (1947)

HOLIDAY INN (1942)

THE SHOP AROUND THE CORNER (1940)

HOW THE GRINCH STOLE CHRISTMAS (1967)

THE NIGHTMARE BEFORE CHRISTMAS (1993)

LITTLE WOMEN (2019)

MEET ME IN ST. LOUIS (1944)

CAROL (2015)

TANGERINE (2015)




Esquire

1. It's a Wonderful Life (1946)

2. National Lampoon's Christmas Vacation 
(1989)

3. A Christmas Story 
(1983)

4. White Christmas (1954)

5. 
Home Alone (1990)

6. Scrooged (1988)

7. Miracle on 34th St. 
(1947)

8. 
Bad Santa (2003)

9. The Muppet Christmas Carol (1992)

10. A Christmas Carol (1951)




Thrillist

1. It's a Wonderful Life (1946)

2. A Christmas Story (1983)

3. Miracle on 34th Street (1947)

4. Home Alone (1990)

5. The Muppet Christmas Carol (1992)

6. Elf (2003)

7. The Apartment (1960)

8. A Christmas Carol (1951)

9. The Nightmare Before Christmas (1993)

10. National Lampoon's Christmas Vacation (1989)




Decider

'It's a Wonderful Life' (1946)

'National Lampoon's Christmas Vacation' (1989)

'Elf' (2003)

'The Muppet Christmas Carol' (1992)

'A Christmas Story' (1983)

'White Christmas' (1954)

'Miracle on 34th Street' (1947)

'Home Alone' (1990)

'Scrooge'/'A Christmas Carol' (1951)

'Scrooged' (1988)




Vulture

1. It’s a Wonderful Life (1946)

2. Tangerine (2015)

3. Miracle on 34th Street (1947)

4. A Christmas Carol (a.k.a. Scrooge) (1951)

5. The Shop Around the Corner (1940)

6. A Christmas Story (1983)

7. Bad Santa (2003)

8. Die Hard (1988)

9. Carol (2015)

10. Comfort and Joy (1984)




Today

1. 'Elf' (2003)

2. Home Alone (1990)

3. It’s a Wonderful Life (1946)

4. Love Actually 
(2003)

5. "Dr. Seuss’ How the Grinch Stole Christmas" (1966)

6. "A Charlie Brown Christmas" (1965)

7. "National Lampoon's Christmas Vacation" 
(1989)

8. "Rudolph the Red-Nosed Reindeer" (1964)

9. "Miracle on 34th Street" 
(1947) 

10. "Home Alone 2: Lost in New York" (1992)




USA Today

1. 'Scrooged' (1988)

2. 'It’s a Wonderful Life' (1946)

3. 'Elf' (2003)

4. 'Love Actually' (2003)

5. 'Miracle on 34th Street' (1947)

6. 'National Lampoon's Christmas Vacation' (1989)

7. 'Die Hard' (1988)

8. 'The Apartment' (1960)

9. 'A Christmas Carol' (1951)

10. 'A Christmas Story' (1983)

2020年12月24日木曜日

ご近所イルミネーション

ニューヨークのクリスマス風景

 毎年日本の友人や親せきにニューヨークのクリスマス風景をあしらったグリーティング・カードを贈るのですが、今年は間に合いそうにありません。

 適当に撮りまくった写真の中から絵葉書っぽくなるものをチョイ加工して贈るのが常だったのですが、フォトショップやイラストレーターの使えるMacが不調で、全く仕事になりません。今年の初めごろまではグラフィック・デザインの請負仕事で順調に使えていたのですが、ある時ガクッとパフォーマンスが落ちたかと思うと、急激に反応が遅くなり、ハードディスクの回転がなんか無理しているようなうなり方をするようになりました。(来年はそろそろMacの買い替え時になりそうです)

 冬になってさらにMacの調子が不安定になり、デザインの仕事もたびたび後れを取る始末。こんな状態では年賀状やクリスマス・カードなどできるはずがありません。

 仕方がないので、今年の暮れは、カード作りを断念し、仕事の合間に撮ってきた写真をまんまみんなに送り付けるだけの挨拶になってしまいそうです。(スミマセン)


 以下の写真はその候補として、SDカードやスマホから落としてきたものです。あ、タイトルの真下の画像は、おらが町、コールド・スプリングの看板ランドマークで、ハドソン川を臨むヨットハーバーの横にあるガゼボです。町役場の人や消防団のみんなが毎年こうやってライトアップしてくださるものを富士フィルムのカメラ内で加工したものです。雰囲気出てると思うのですが、いかがでしょうか?


 下の写真は、そのガゼボの中でツリーを撮影したものです。





 こちらはうちの近所の民家のお庭を撮らせていただいたものです。この家は毎年、近所の人を意識してか、子供の喜ぶ楽し気なデコレーションとライトアップを盛大に飾ってくださいます。バルコニーに等身大のサンタクロースが見えるでしょうか? 人が立ち止まってこの庭を見ていると、このサンタ人形が突然歌って踊りだすのです。どうやら人が立ち止まるとセンサーが反応し、サンタが動く仕掛けになっているようです。





 ほかにもこのような賑やかな飾りつけをする家もあります。だいたいですが、このようなライトアップはやり始めると、年ごとにパワーアップするもので、このうちもだんだん派手さが増してきているような気がします。ご苦労様です。


 


 こちらはイエス・キリストの生誕場面を再現するナッティビティと呼ばれるものです。普通は教会などで木製のものなどが多いのですが、こちらは空気を吹き込むエア・バルーンの人形で救世主の誕生を祝しています。





 この風景は、とあるビジネス・オフィスの敷地内の樹木を利用したライトアップです。まだ日のあるうちに撮ったのでわかりにくいですが、とてもたくさんのライトを一本の巨木に巻き付けています。これを作るのはさぞかし大変な作業だったと思います。林の中のライトアップなので、夜間はひときわ目を引く巨大なオブジェといった壮観です。





 ショッピング・センターに目を向けると、これまた凝ったデザインのギフト用品がこれでもかと棚を埋め尽くしています。アメリカはとにかくやたらデカいぬいぐるみや人形を販売するので、贈られた方は置き場所に困るケースも頻発します。





 日本ではあまり紹介されない、サンタさんの奥さんも結構ポピュラーです。何年か前には本物の(というかサンタ夫妻に扮した人間の)サンタ夫妻に会って写真を撮らせていただいたこともあります。





 大手百貨店ではクリスマス・コーナーが何百坪もの面積で展開され、歩き回るだけでも夢が広がるファンタジー・ワールドにいる気分です。



 明日はクリスマス・イブ。例年ならマンハッタンのロックフェラービル前のクリスマス・ツリーに何万という人がひしめくのですが、今年はかなり厳しく制限されると忠告がありました。幸いにもそんなところまで行かずとも、ちょっと車で近所を巡れば素敵な光のファンタジーに出会えます。まずは安全を期し、みんなの幸せを祈りながら聖なる夜を静かに迎えたいと思います。













2020年12月23日水曜日

クリスマスを彩る輝き

 民家もイルミネーション



 いよいよ今年もクリスマスを二日後に控え、町も通りも民家もすっかりホリデーモード一色になりました。日本ではお正月に各家でしめ縄や門松を飾って、新年を祝いますが、アメリカではやはり多くの家がクリスマス・デコレーションを飾ります。リースというもみの木などを輪っかにした飾りは一般的に家の扉につけます。あれはどういう意味があるのでしょう? ちょっと調べてみました。

 いわく「実はリースはただの飾りではありません。ホリデーシーズンに街をドライブしていると、多くの玄関にクリスマスリースが飾られているのを目にすることがあります。ほとんどの人は、この美しいクリスマスの飾りにまつわる歴史を顧みないと言います。

 リースの語源は、古い英語の単語 "writhen "で、"writhe "や "to twist "を意味します。クリスマスリースを吊るす伝統は、遥かローマ帝国時代に遡り、ローマ人が勝利の証として、また社会での地位を示すために、ドアにリースを吊るしたことに由来します。

 女性は通常、プライドの象徴として頭飾りにしたり、結婚式などの特別な日には花輪をつけたりしていました。さらに、古代ギリシャのスポーツイベントの勝者は月桂樹の花輪を与えられました。この伝統はまだメダルが月桂樹の小枝で刻まれているオリンピックの間に今日まで使用されています。

 クリスマスリースは、常緑樹の枝をねじったり曲げたりして大きな輪にし、松ぼっくりと赤いリボンで飾ります。円の形をしたリースは、キリストの永遠の愛、キリストの強さ、新しい命の創造を表しています。

 モミや松などの常緑樹は、厳しい冬の間も芯が強く、強さと不老不死を表すことから、一般的にリースに使われています。カトリックの伝統のクリスマスリースは、4つのキャンドルが配されます。3つの紫のキャンドル(懺悔、期待を象徴し)、もう一本は来るべき喜びを表すためにピンクで表されます」   

                                        ーーーHISTORY OF THE CHRISTMAS WREATHよりーーー

 

 それでは民家などにクリスマス・イルミネーションを飾るようになったのはどういういきさつからでしょうか?

「クリスマスシーズンにライトを表示することは、休日自体と同じくらい古いです。祝日の初期には、現在と同様に、様々な理由で様々な方法で使用されていましたが、光は現在と同様に重要なものでした。冬至の時の感動的なシンボルから、クリスマスツリーを明るくしたり、豪華なイルミネーションで近所の人に負けないようにするための装飾的な方法まで、光は常にクリスマスの荘厳な雰囲気に大きな役割を果たしてきました。ツリーや屋根、雨どいの周りにクリスマスライトを飾り始める前に、私たちがなぜクリスマスライトで飾るのかについて、いくつかの隠れた事実を学びましょう。


異教徒のクリスマスの起源

 クリスマス・シーズンの照明の最も古い歴史は、近代クリスマス以前から存在します。スカンジナビアやゲルマン文化などの北欧社会における冬至の伝統は、真冬のお祭りで火を使用していました。日が短くなり、夜が長くなることに備えて、ユールの丸太や焚き火、ロウソクなどの異教の儀式は、太陽の生まれ変わりを象徴し、夜が昼に変わり、新年の夜明けを迎えました。希望と祝賀の象徴である光の使い方が、宗教的なお祝いやクリスマスのお祭りと絡み合っていたのはなぜなのか、理解に苦しむことはありません。


初期キリスト教の象徴

 ヨーロッパでキリスト教が広まるにつれ、異教の伝統はキリスト教の伝統に組み込まれていきました。冬至のお祝いや年末のごちそうは、クリスマスシーズンに取り入れるのは難しいことではありませんでした。いつものように、冬には暖かさと光のために火とロウソクが必要でした。キリスト教は、ベツレヘムの星など、すでにクリスマスの重要な一部となっていたシンボルと結びつけることで、これらの光を再定義しようとしたのです。冬の間の光の使用は実用的な目的では変わりませんでしたが、その背後にある意味は変わりました。


トーマス・エジソンの関与

 電気の発明は、人々のクリスマスの照明の使い方を永遠に変えました。エジソンがクリスマスの照明に何らかの形で関わっていたことは驚くことではありませんが、この場合は直接的な関わりではありません。実際は、エジソン本人ではなく、彼の会社の重役であるエドワード・H・ジョンソンが、1882年のホリデーシーズンにニューヨークの自宅にツリーを飾り、電気クリスマスツリーの父となったとされています。特に1895年のクリスマスに、彼のアイデアはホワイトハウスのグローバー・クリーブランド大統領によって、受け継がれましたされました。


クリスマスツリーのキャンドル

 ジョンソンが電飾でツリーを飾るずっと前から、クリスマスツリーは実際にキャンドルで照らされていました。多くの発明家たちは、火事を起こさないようにツリーにキャンドルを配置する方法の開発に時間を費やしました。残念ながら、クリスマスツリーの火災はかなり一般的であり、初期の頃の電灯はまた、家庭内の火災を開始することが知られていた。より安全な電球は、20世紀の最初の数十年までに、より手頃な価格で利用できるようになり、家庭の装飾家に安心感を与え、クリスマスツリーから屋外のディスプレイへとライトの使用を拡大しました。

(注:この電気以前の伝統、キャンドルでツリーを飾る行為は非常に危険です。かつてうちの近所でヨーロッパから来た家族が、新築したばかりの家でキャンドルによるツリーの点灯式を行い火事になり、豪邸を全焼させた事件がありました)


今日のクリスマスライト

 クリスマスのイルミネーションは、ホリデーシーズンには欠かせないものです。半世紀ほど前に近所の通りを照らしていた初期の光の糸は、昨今の光の過剰なデザインには到底及ばびません。近所の電気を消費するディスプレイでの娯楽的な使用から、大都会での現代的なライトショーやロックフェラーセンターのクリスマスツリーのイルミネーションまで、クリスマスシーズンの光の使用は、ほとんどの点で本来の意図から逸脱しています。

 しかし、ノスタルジックな外観を心得たうえで光をともすのは良いことです。他の人に光の贈り物を与えようとする動機で、窓際のクリスマス・キャンドルや味のあるシンプルなクリスマスツリーをデザインすることは、心和ませる力になります。輝きを競うことに拘らず、各家庭それぞれの光による祝い方をたのしみたいものですね。


2020年12月22日火曜日

ホリデイ・ギフト特集

今年の贈り物:人気商品


 クリスマス・ショッピングがいよいよピークを迎えています。ニューヨークの郊外ですが、店によっては早くも売り切れの商品も多く、棚が例年になく早い段階でガランとした店もよく見かけます。コロナの影響で何かしら売れ行きにも変動が出ているように見受けられます。もう待ったなしの状況ですね。

 しかし年を重ねるごとに、大切な人へのクリスマス・プレゼントを見つけるのは難しくなっていくような気がします。一度あげたものはいくら喜ばれても、二度渡す気にはなれません。だんだん選択肢が減ってくるのは避けられないのです。

 いきおいユニークなプレゼントに目が向きがちなのですが、あまり冒険をしないほうが無難ではあります。アイデアとしては、今年の最大のトレンドを取り入れてみるのもいいかもしれません。そこで今年、アメリカでこのホリデーシーズンに売れている人気商品をチェックしてみることにしました。ほんの数例ですがご参考にしてくださいませ。


😀😀😀😀😀😀😀😀😀😀😀😀😀😀😀😀😀😀😀😀😀😀😀😀😀😀


今年はこんなものが売れています

 トレンドのギフトの中には、例年のようにクリスマスツリーの周りを飾る定番(スリッパや靴下、暖かそうなフリースなど)もありますが、それらはさておき、売れ筋でちょっと珍しげなものを集めました。できれば他の人と被りたくないものですからね。いずれも最近バカ売れしているものばかりピックアップしたので、ひょっとしたら被る可能性もあります。そこはどうか悪しからず。


OLEBR  3 in 1 Charging Stand Compatible with iWatch Series 6/SE/5/4/3/2/1, AirPods Pro and iPhone Series

 iPhone、Apple Watch、 AirPodsの三つを同時にコードレスで、バッテリー・チャージできるスグレモノです。これまで単体で充電できるデバイスはたくさんあってよく売れていましたが、これはその決定版ともいうべきでしょうか。まさにアップル・ユーザーに的を絞った戦略的商品であります。わたしゃアップル信者じゃないという方向きにも、同様の商品はいま続々出始めています。場所を取らず、ケーブル要らずでスッキリ、おしゃれに充電したい方にはうってつけの商品です。




Moon Lamp, LOGROTATE 16 Colors LED Star Moon Light 7.0 inch 3D Print Night Light Star with Wood Stand

 これが今飛ぶように売れている満月のように輝くナイト・ランプです。16色の発光球体は、さらに光る速度や明滅パターンを変えることもできます。実際の月の表面データを基にして作られているそうで、なかなかのリアル感があります。暗いベッドでほんのり光る月の光を眺めるのは、心を落ち着かせるのにも効果があり、安眠も期待できるのだとか。お子さんへのプレゼントとしても、夢があってやさしい贈り物です。




Zyllion Shiatsu Back and Neck Massager - Kneading Massage Pillow with Heat for Shoulders, Lower Back, Calf 

 温熱効果付き電動まくら型マッサージャーです。凝り固まった筋肉を和らげ、深い練り込み指圧マッサージで体の奥まで緩めます。このマッサージャーは、人間工学に基づいてデザインされており、首の後ろに完全にフィットし、腰や背中の上部、腹部、ふくらはぎ、太ももの部分の体の輪郭にもぴったりとフィットします。寒い冬にぴったりの指圧マシンと言えましょう。




Hair Dryer Brush 4 in 1 Blow Dryer Brush & Styler & Volumizer One Step Hot Air Brush Professional Straightening & Curler All Type Hair

 ドライヤー、カーラー、ストレートナー、ブラシの4つの機能を組み合わせた4 in 1ヘアブラシです。まさにアイデアの勝利。熱風ブラシでブロードライとヘアスタイリングができ、簡単に髪にボリュームを出すことができます。

 マイナスイオンが空気の流れを飽和させるワンステップドライヤーブラシ。髪のコンディションを整え、傷んだ髪に栄養を与えます。また、静電気を抑えながら、ブラシが髪のスタイリングを助け、ツヤのあるなめらかな髪にします。楕円型のブラシは髪が絡まりにくく、丸みを帯びたエッジが髪にボリュームを与えます。スタイリング時の快適さと使いやすさを最大限に考慮して設計されています。3段階の温度設定と2段階のスピード設定が可能で、自由自在なスタイリングが可能。すべての髪質に使えるように設定を調整できます。




Dodow - Sleep Aid Device

 こちらも今、売れに売れている新商品です。Dodowは、薬を飲まなくても自然に眠りにつく方法を教えてくれる光システム付きメトロノームです。8分モードでは1回、20分モードでは2回、タッチセンサーの表面をタップしてください。運動が終わると(8分または20分)、Dodowは自動的にスイッチを切ります。Dodowを使えば、通常60分で眠りにつく人が、25分で眠りにつくことができ、年間で約100時間の睡眠時間を増やすことができます。すでに50万人以上の人がDodowを快適安眠のために利用しています。その中には、入眠困難な方(6歳以上)、悩んでいる方、ストレス、落ち着きのない方、慢性的な不眠症の方などが含まれています。




Lightweight Medium Crossbody Bag with Tassel

 あまり珍しいものが続いたので、少し馴染みやすいものも入れておきましょう。タッセルのバッグはリーズナブルで材質や縫製がしっかりしているとの定評を得ています。高級品を気取らず、日常使いに重宝するおしゃれなバッグは、プレゼントとしても無難です。アマゾンで15000以上のレイティングがついて8割近くの人が星5つです。実に50種類のカラー・パターンから選べるおしゃれなバッグです。




The New York Public Library Lion Scarf

 最後はニューヨークに住む者として、一押しのスーベニアをご紹介します。マンハッタンのランドマークとしても有名な、ニューヨーク公立図書館のシンボル、ライオン像をモチーフにしたスカーフです。まさにニューヨークでしか手に入らない一品・・・でしたが、現在入場制限の最中の図書館。こちらは今のところ図書館のウェブサイトからの購入のみとなっております。ニューヨークに行ったことのある人へならきっと喜ばれると思います。




2020年12月21日月曜日

クリスマスの習慣

 ホリデー・シーズンも様々


 今回は以前アメリカ人に向けて、日本人のクリスマスについて 、英語で書いたものを逆に日本語に訳しなおしたものを掲載してみました。 



 私はクリスマスが近づくたびに思います。日本人はなぜクリスマスを祝うのだろうか。

 それはとても奇妙な事です。日本のキリスト教徒の人口は200万人に満たないのです。人口比で0.8%。これはアジア圏の中でもかなり低い方です。例えば人口2億5千万人で世界最大のイスラム教国インドネシアでもキリスト教徒は2300万人、すなわち10%近くもいるのです。日本人がキリスト教について理解が浅いのは当然かもしれません。


 正直なところ、残念ながら日本人の多くは、クリスマスをイエス・キリストの生誕を祝う行事だとは思っていません。いいえ。訂正します。もちろん知識として、その事実は認識しています。無宗教の日本人でも、クリスマスの基本概念は知っています。

 しかし彼らはクリスマスを、西洋から来た年中行事の一つとして受け入れています。率直に言って、それはお祭り気分を楽しんでいるだけなのです。キリスト教はとても寛容なので、このような日本人の解釈を許容してくれるのかなと思います。


 日本人は、本質を咀嚼せずに取り入れることに秀でた人種です。これは皮肉がこもっています。バレンタインデーやハロウィンも独自の解釈で定着しました。アメリカでヒップホップが流行れば、そのスタイルだけ拝借したアイドルグループが大人気となります。




 クリスマスは本来、救世主がこの世に生誕したことを祝う聖なる祝日です。

 しかしアメリカやヨーロッパでもクリスマスは世俗化して久しいです。それは本来の宗教的慣例から別れています。日本はそれを見て、彼らなりに解釈しました。それは楽しい祝祭行事なのだと。


 日本のクリスマスは基本的に欧米のそれと類似しています。12月になると、街はイルミネーションで華やかに輝きます。様々なクリスマス・イベントが催され、そしてショッピング・セールが始まり、商業が活性化します。しかし異なる点もあります。

 日本では民家でデコレーションを飾りません。その大半が商業施設、公共施設に限られます。クリスマス・プレゼントは小規模で、子供のいる家庭が主流です。

 また、日本のクリスマスには、奇妙な独自性があります。ディナーは骨付きのロースト・チキンが定番です。なぜ日本人はクリスマスにチキンを食べるのでしょうか? その答えは単純です。アメリカでは七面鳥を食べますが、日本には七面鳥がないので、代替品としてチキンを選び、それが定着したのです。

 日本では、クリスマス・ケーキは必需品です。それは巨大なビジネス・マーケットが動きます。聖人の誕生日を祝うのですから、これはとても妥当だと思います。この国の人々は、アメリカ人があまりケーキを食べない聞くと驚きます。

 日本のクリスマス・ケーキは、イチゴを乗せた白クリームのケーキと決まっています。それは雪とサンタクロースのイメージに合わせています。なぜそうなったのでしょうか? それはアメリカのコカ・コーラ戦略と同じです。

 1920年代、日本でクリスマスが定着し始めたころ、大手菓子メーカーが、クリスマス用と称して、白いイチゴ・ケーキを販売したのが始まりです。それは大成功しました。それ以降、クリスマスの日はイチゴケーキを食べるというイメージが定着しました。

 
 この独自性は日本だけではありません。イギリスはドライ・プディングを食べます。ナッツやドライフルーツに入った焼き菓子です。フランスでは、ブッシュ・ド・ノエルという、木の切り株をイメージしたケーキが主流です。ドイツではシュトーレンという、ドライフルーツの入ったブレッドで祝います。イタリアではご存じのように、パネトーネというブレッドを手作りで焼くのが習慣です。

 このように、国によってクリスマスの食事も様々なバリエーションがあるのですね。

 それぞれの国で独自のクリスマス伝統があるのは興味深いことです。
 
 余談ですが、日本の幼い子供たちは、サンタクロースを信じています。しかしなぜ白人のおじいさんからプレゼントをもらえるのか、疑問に思う子供は少ないです。あなたは、それは都合が良すぎると思いませんか?