2020年12月7日月曜日

健康のためのハイキング

冬こそトレッキング



 私の住むハドソンバレーという地域は、たくさんのトレッキング・コースがあり、春夏秋と多く旅行客が訪れます。見晴らしが良好で、いろんな絶景スポットなどがSNSなどで紹介されて以来、続々と人が詰めかけるようになりました。
 私が移住した16年ほど前は、それほど有名ではありませんでした。季節のいい日のブラりと出かけて、半日あまり歩いたり、バーベキューしたり、ピクニック気分でのんびりできました。
 昨今は春から秋にかけて大変な数の人々がトレイルに殺到するようになり、のんびり歩く感じではなくなりました。もちろんマイペースで歩けばいいのですが、私は景色のいいところで立ち止まって瞑想するのが好きでした。
 わいわい仲間と楽しんで歩くのは結構なのですが、ゆったりした時間は望みにくくなってきたのです。
 今年は特にコロナの影響で、トレッキング・コースの入り口にもマスク着用の要請書きが貼られていたりして、なんだか落ち着いて歩けるような感じではありませんでした。
 都会からの来客が多いのは、きっとコロナによるストレスから逃れて解放的な気分を味わうためでしょう。ここはマンハッタンから電車で小一時間で来れる手軽な観光地です。しかしここにも人の波が押し寄せているわけで、そうそうゆったりくつろげる環境ではなくなってしまいました。
 12月になってようやく寒気が到来し、観光客の数は減ってきました。ようやく地元の人もゆっくり野山を散歩できるようになってきました。
 わたしも夏場は人込みを避けて、細い一本道のトレイル・コースは避けていたのですが、昨日久しぶりにBeacon Mountainという小高い山を中腹までひとりで歩いてきました。樹々はすっかり葉を落とし、冴え冴えとした青空が目に沁み、山のオゾンをたっぷり吸いこむ事が出来ました。
 ちょっと寒いですが、山道を歩くとすぐポッカポカになります。12月末にはこの辺りも連日氷点下になりますから、今が絶好のトレッキング・シーズンです。ここいらはお年寄りや幼児にもやさしい平坦なコースから、峻険な岩山をロッククライミングできる本格的コースまで豊富に揃っていますので、興味のある方はいちどチャレンジしてみてはいかがでしょうか。


 ハイキングは、日常の慌ただしさから逃れるためのレクリエーションで、アメリカでも老若男女たくさんの人々が楽しんでいます。ハイカーは、新鮮な屋外の空気、開放的な空、自然の景観の美しさを堪能するだけでなく、体を鍛え心をリラックスさせる優れた運動にもなります。体調が良ければ、だれでもハイキングに参加できますが、初心者は何を注意し、どのように準備するかを知っておく必要があります。
 これからハイキング・トレッキングを始めようという方に、いくつかのアドバイスをさしあげたいと思います。



1. 適切なトレイル選択

 ハイキングが初めての人は、自分の能力と体力レベルに合ったトレイルを選ぶ必要があります。必要に応じて立ち止まって帰ることができる場所にある簡単なトレイルから始めることをお勧めします。最高のトレイルを決定するには、距離と標高の両方を考慮する必要があります。参加者が平地で歩ける距離よりも少し短い距離をハイキングします。ハイキング時間を決めるには、時速2マイルを目安にします。最初は標高の低いトレイルを選び、タイムテーブルを計画する際には、標高が1,000フィート上昇するごとに1時間の時間を追加します。



2. トレイルに慣れる

 トレイルを始める前に、地図やGPSを使ってトレイルに慣れておきましょう。また基本すべてのトレイルは、色分けされたタグが木に貼られており、コースの要所要所でタグを確認しながら歩くことになります。デジタルマップは、ハイカーが自分のルートを選択できるように、オンラインで見つけることができます。事前にトレイルの状況、水源、キャンプ場を調べたり、リラックスできるスポットや寄り道を見つけておきましょう。またトレイルの評価や、ハイカーが迷子になったりする可能性のあるか、データを調べることも重要です。
 多くのトレイルの入り口には、地元で作った地図やガイドがあるので、参考にしましょう。


3. 天気をチェックする

 ハイキングが初めての人は、とうぜん悪天候の中での出発は避けるべきです。初心者に適した天候を確保するために、ハイキングの数日前と数時間前に天気予報を確認しましょう。予報で悪天候が予想された場合は、スケジュールをキャンセルしたり延期したりする準備をしておきましょう。


4. あなたがどこにいるかを誰かに伝える

 理想的には、ハイキングに慣れていない人は、経験豊富な人と一緒に行くべきであります。独りぼっちとか、慣れない人同士も避けたいです。それでも行きたい場合は、常に目的地を含め、計画について、家族や友人に
予定の場所、時間を報告しておきましょう。ハイキングは予想以上に長くかかることがありますので、連絡手段も確保しておくことが望ましいのです。


5. 10個の必需品を詰め込む

 これは本格的なハイキングに取り組む人への指針ですが、しばしば10個の必需品ということが語られます。
10個の必需品とは、すべてのハイカーが安全を確保するために持っていくべきものです。
 それは、「地形図とコンパス、日よけ、断熱材、イルミネーション、応急処置用品、サバイバルツール、火起こし材、食料、シェルター、水」です。多いように思われるでしょうが、これがいざという時に身を守る最小限のアイテムとなります。コンパクトに詰め込めばリュックサック一つに余裕で入ります。これらは季節やハイキングの状況に応じて調整することになります。もちろん初心者の方にも参考にしていただきたいです。


6. 靴の選択は慎重に

 
心者はしばしば間違った靴を履いていることがあります。アメリカでもたまにバイク用のブーツなどで歩く人を見かけますが、あれは長時間歩行には向きません。やたらごっつい登山靴も見かけますが重量の負荷は時間とともに加わってきます。ある程度軽快に歩ける軽量タイプの方が、足に負担をかけません。ソールのクッション性能と、靴底のグリップ具合が適度に効くものをお勧めします。それから靴下も、できれば合成素材やウールで作られた靴下のほうが適していると言われます。



7. 着るもの

 ハイカーが着るものは、靴と同じくらい重要です。山地は場所によっては湿度、温度が急変化しますので通気性の良いものを選ぶべきです。密閉性が高すぎると、発汗により体調を崩す場合もあります。特に夏に暑いと寒く、湿った条件で寒くなる性質の綿主体で作られた衣類は避けたほうがいいです。ウール、ポリエステル、ナイロン、フリースなどの生地でできていて、丈夫なものを選びましょう。必要に応じて着脱ができるように、薄めの重ね着をお勧めします。


8. 軽やかに

 本格的なハイキングとなると、けっこう多くの物資が必要になってきます。特に初心者にとっては、本当に軽くすることが難しい場合があります。経験豊富なハイカーほど、必要なものや不要なものを熟知していますが、ハイキングが初めての人は、安全性と快適性を第一にしてください。それぞれ必要なアイテムを旅行用に小さくしたものを選ぶことで、パックを軽くすることができます。


9. 痕跡を残さない

 地元に住む者として、旅行者の遺留品は目に余ることがあります。ごみを平気でポイ捨てする人は言語道断ですが、一歩進んで、ごみを持ち帰る習慣を付けましょう。日本人の多くはこのことをよく理解しているはずですので多くは語りませんが、もしいっしょにほかの人が同行するなら、いい模範を見せてあげましょう。この環境に対する考え方は、アメリカでもまだ様々ですが、少なくともハイキング・トレッキングを楽しむためには、この環境に対する心配りは一番大事なことだと思います。
 アメリカでも趣味でトレッキングする人の多くは「自分の存在の痕跡を残すな」などと言います。まるで忍者のような言いようですが、それくらい自然に配慮する心構えが必要だということでしょう。もうひとつ付け加えるなら、ハイカーは自然の一部を持ち出すことにも適切な配慮が必要です。

 これらのことは、決して難しいことではありません。ルールを守って楽しいトレッキングを始めてみてください。

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