2020年12月29日火曜日

これからのカメラ

未来のカメラを予測する

 


 今年もあとわずかですが、カメラ業界にとっても試練と変革の一年だったと存じます。それでも確実に前進し続けるカメラの進歩には驚嘆と尊敬の念をいだきます。特に今年はフルサイズ・ミラーレスカメラにおいて、意義深い里程標となるようなカメラが次々と発表されました。いずれも手に取って撮影したくなるワクワク感そそるものばかりでした。

 2021年のカメラ事情は今年以上に急加速が予想されます。いくつかの技術的ブレークスルーがうまく行けば、これまでにない画期的なカメラが出る可能性もあります。そこで今後の展開として、どんなカメラが登場するか、期待を込めて予測してみました。

 

 まず私的に期待しているのは、

1 ボディ内手振れ補正とレンズの手振れ補正の相乗効果がより向上し、暗所でも手持ちで撮影できるようになること。

 これは数年以内に実現可能でしょう。ISOの画像処理能力では’もうすでにソニーが近未来に到達しています。a7Sというフルサイズカメラで最高ISO感度ISO409600という圧倒的な数値をたたき出しているのです。ダイナミックレンジも広く豊かな階調を表現できるので、暗闇でさえシャッターチャンスに変えてしまいます。これはもう未来に先駆けたスーパーカメラというべきでしょうね。

2 APS-C、あるいはマイクロフォーサーズ機がさらにレンズ構成で小型化が進み、ポケットに入るカメラとしてコンデジに取って代わる。

 これももはや実現可能です。現に、5年前に出たマイクロフォーサーズ機例えばパナソニックのGH5より今年出た同じパナ機LUMIX 5Sの方が軽く小さいですから。この伝で行くと、マイクロフォーサーズ機はさらに小型化ができて、1インチセンサーのコンデジ程度の大きさまで縮小できると考えられます。いやもう少し未来を見据えれば、300ページの文庫本程度のAPS-C機もできないはずはありません。レンズは単焦点になるでしょうが、パンケーキレンズのサイズ感を考えれば十分作れるカメラだと思います。

3 通信5G技術との連携が進み、ROWで撮ったものをリアルタイムでパソコンやYouTubeなどの媒体へリアルタイムで送れるようになる。

 今後カメラで撮った写真はSDカードなしでも逐次自宅のパソコンやクラウド上に無制限で送信していくようになるでしょう。ファイルサイズを気にすることなく、撮って撮って撮りまくって後で写真を整理するのです。

 またその面倒な写真整理ですが、これもAIがその人にあった編集システムを構築し、GPS情報による地図別編集や、または被写体のカテゴライズを自動で整理整頓してくれるようなアプリも出るはずです。

4 撮った写真をカメラ内で加工する技術が多様化し、各社で特性を競うようになる。

 この辺りも実現可能範囲と言っていいでしょう。富士フィルムあたりは、プロレベルの写真シミュレーションが進み、一枚一枚撮影者のイメージ通りの作品に仕上げてくれる技術なんか生み出すのではないでしょうか。


 これだけではありません。私的にはさらにその先があります。

5 一回のシャッターで数十通りの異なる効果の写真を合成するとか、カメラ内により高性能なAIが搭載され、ユーザーの趣味、嗜好を分析し、その人の狙いに合った微調整ができるカメラ。あるいは一流のプロカメラマンの写真特性を搭載したファームウェアが販売され、篠山紀信スタイルとか、森山大道スタイルとか自在に切り替えたりできる・・・。とここまで行くと、もはやカメラを操作する醍醐味まで奪われてしまい、逆に味気なくなってしまうかもしれませんね(笑)。


 こんなカメラの未来予想をしていたら、ネットでもいろいろ考察しているサイトがありました。私だけではないのですね。将来実現可能な未来のカメラを想像するのは楽しいものです。以下は「LifeWire」というサイトに掲載された「未来のカメラの技術的進歩:最高のカメラはまだ来ない」という記事です。ちょっとツッコミどころもあるので、これに私はいちいち反論やコメントを書き加えてみました。

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「デジタルカメラは常に進化し、新しい機能を追加したり、古い機能を改良したりしています。ここでは、近い将来にデジタルカメラ技術にもたらされるであろう、最も興味深く有望な変化をいくつか紹介します」

その1

「未来のカメラは、シャッターボタンすら必要としないかもしれません。その代わりに、写真家がウインクをしたり、音声コマンドを使ってカメラに画像を記録するように指示することができます」

 いやいやこの記事の方はカメラマニアのツボをわかっていません。カメラのシャッター音は撮影者にとって心震わせるものなのです。各メーカーによりシャッター音は伝統として受け継がれているものも多く、その一音一音が撮影のリズムや心身統一にまでつながっているのです。音声シャッターは技術的に数年前でも可能でしたが、いま生まれていないところを見ると、カメラファンからはそっぽを向かれるのをメーカーが見越しているのではないでしょうか。

その2

「カメラは、Google Glassのようなスマート・メガネのように日常的なアイテムに組み込まれるかもしれません。カメラがメガネに内蔵されていれば、カメラの照準を合わせるのも簡単です」

 これはその通りでしょうが、それはもはやカメラというよりガジェットの部類に入るものでしょう。通常のカメラのカテゴリーには入れられず、GoProとか車載カメラだとかのジャンルで勝負する商品としては十分ありですが。

その3

「超小型カメラとは、通常、厚さが1インチ以下のものを指します。ズボンのポケットや財布にすっぽり入るので便利です。しかし、未来のカメラは「超小型」を再定義する可能性があります。メーカーは、厚さ0.5インチのカメラを作ることができます。現在のカメラよりも小さいサイズになるかもしれません」

10年前のデジタルカメラは現在の小型モデルよりもはるかに大きく、内部のハイテク部品は縮小し続けているため、この予測は理にかなっています。タッチスクリーンを搭載したカメラが増えれば、スマートフォンのように、他のすべてのコントロールやボタンを排除して、ディスプレイ画面の大きさでサイズが決まるようになるかもしれません。

 これは私が先述した文庫本サイズAPS-C機のコンセプトと一致しますね。まさに同感。早くポケットAPS-C機が出てほしいものです。

その4

「写真は視覚的なメディアですが、これからのカメラは写真に嗅覚を加えたものになるかもしれません。

視覚以外の感覚を刺激する写真は面白いアイデアです。例えば、撮影者がカメラに命令して、その場の匂いを記録し、撮影した映像に埋め込むのです。しかし、画像に匂いを付加する機能はオプションである必要がある。食べ物や花畑の画像に匂いを追加するのは素晴らしいが、動物園のサル小屋の写真に匂いを追加するのは好ましくないかもしれません」

 あはは。ここまでくると的外れというか、映像的再現の芸術である写真から外れ、まったく別の概念の再生マシンになってしまいます。ドラえもん的と言いますか、発想はおもしろく、できそうな気もしますが、あまり購入欲をそそる商品にはならない気がします。


その5

「現在のデジタルカメラの充電池は強力で、1回の充電で数百枚の写真を撮ることができますが、もし、コンセントに接続しなくても、カメラを使っている間に自動的に充電できるとしたらどうでしょうか?

未来のカメラには、太陽エネルギー電池が組み込まれていて、バッテリーは太陽エネルギーのみで動作するか、太陽電池を使って充電することができるようになっているかもしれません。

太陽電池がカメラのサイズにどのくらいの影響を与えるのかなど、いくつかの疑問に答える必要があります。それでも、無制限のバッテリーパワーを持ってショットを逃すことを心配しなくなるのはいいことだ」

 バッテリー問題は確かに将来の懸念事項です。最近もCANONのフルサイズ機の熱処理問題が話題になりましたが、バッテリーを根本的に見直して、べつのエネルギー源を考えることは重要だと思います。

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 以上、未来のカメラへの展望と疑問でした。

 カメラの性能はこれからも間違いなく日進月歩の道を行くでしょう。そうしなければ勝ち残れませんから。そういった意味でこれからカメラを始める方は、いろいろ楽しめる未来が待っていると思います。またそうあって欲しいです。そのためにも、最初の一台は慎重に選び、末永く使えるよう基礎からしっかり腕を磨いていっていただきたいと存じます。

 また次回、別の切り口から面白いカメラとの付き合い方をご紹介していけたらと存じます。

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