2020年7月31日金曜日

歯の治療現場へ行く

抜歯しました



 コロナウィルスが全米で猛威を振るう真っ最中ですが、私、歯医者に行きました。
 パンデミックを受け、行政指導で春先から三ヶ月ほど臨時閉鎖されていましたが、ようやくの再開です。通知を受け、たくさんの患者が殺到したため、再予約を申請してから二週間待たされました。
 予約の時間に行ってみると、入口の外で待つ人が数人います。その後ろに立つと、前の人が中に入るよう促します。言われるままにドアを開けると、扉にはマスク着用義務のサインがデカデカと。ソーシャルディスタンスを意識して、マスクをしつつエクスキューズミーを静かに連呼しながら、中に入りました。

 かつてはなかった受付専用の窓口が設置され、その場所に先客がいて係の人と話をしています。椅子は通常通り10脚ほどあるのですが、間隔を開けて座っているのは二人のお年寄りのみ。その間に座れるような空気ではありません。患者は互いに視線をチラチラと寄せて、距離感を図り合っている感じです。狭い待合室には5人ほどしかいないのになんだか息苦しい雰囲気。
 私が受付申請を待つ間に、すぐに後ろに二人加わり列ができました。ますます圧迫感のあるシチュエーションです。ようやく受付の女性に私の名前を告げると、彼女が額の温度を測り、直近2週間で他州に行ったかとか、グループで集まったかとかの問診がありました。その後、受付の女性は待合室が混み合ってきたことに気づき、私を含め数人に外で待機するよう言いました。
「え?」と思いました。この日は摂氏32度を超える猛暑です。歯がズキズキする中、マスクをして外で立つのは厳しすぎます。彼女は、順番が来たらお電話しますので、車でお待ち下さいと言うのです。
 やっぱりここはアメリカですね。全員車での来院を見越しての処置です。みんな文句を言うこともなく外に出ていくので、私もやむなくエアコンの利いた待合室を出ました。
 車で待つこと20分ほどで、呼び出しがかかり、無事治療にこぎ着けました。しかしこんな経験はなかったので、これもコロナの時代の対応策かと得心した次第です。
 
 ここの歯科医は部屋が完全個室型で、各部屋にカーテンが敷かれ安全対策は基準内に見えました。治療は普段どおりで、他の患者との接触も最小限に抑えられ、まずは安心して受けられました。再開通知を受けたときは、行くのを躊躇しましたが、歯は悪化の一途をとっていたので、もう待ったなしでした。結果、行ってよかったと思っています。
 
 当初、家内は歯医者にゆくこと自体を懸念しました。たくさんの患者が出入りする室内で、治療中大きく口を開けていなければならない歯の治療はリスクが高すぎると思ったのでしょう。私も3ヶ月前なら、一も二もなく同意していました。
 
 しかし他州の感染増加を尻目に、いまニューヨーク州の感染率は大幅な減少傾向にあります。ニューヨーク州、なかんずくマンハッタンを中心とする5ボロー地域は、春の早い時期にパンデミックが起きた大都市圏ですが、その後強力なロックダウン政策の施行で大幅にピークを早まらせることができました。今、南部の州から燎原の火のように感染は全米に拡大していますが、今ならニューヨークは小康状態。いつまた他州からの流入で感染第二波が押し寄せるとも限りません。
 私は、歯の治療を受けるのは今しかないと思いました。私の虫歯はもう待ったなしの危機的状況でしたから。
 
 本来は4月初旬に治療を終えるべく予定していたこの虫歯。いやこの歯の異常は前の年の冬頃、歯のクリーニングをしてもらったときに発覚していたのです。犬歯ととなりの歯の間に虫歯ができ、知らずしらすのうちに根本まで悪化していたのです。そうと知ったときはもはや手遅れで、担当医から強力に抜歯を勧められ、やむなく予約をとったのです。
 ところが保険の適用を巡ってスグにはできず、さらに私の常用する血圧治療薬が抜歯の際、出血多量のリスクがあるとかで、かかりつけの心臓医からアドバイスとお墨付き書類を得なければならなくなりました。
 そんなこんなで歯の治療ははどんどん先延ばしとなり、ようやく4月に予約ができたのです。
 そして起きたのがコロナ騒動です。
 歯医者から予約延期の通知が予定日直前に届き、再開の今月まで待たざるを得なくなったのです。この間約3ヶ月。虫歯発見から数えると半年以上になります。
 度重なる延期の末、虫歯はどんどん悪化し、歯がぼろぼろと欠けはじめました。今日ようやく歯医者さんに診てもらったのですが、歯はもはや根っこにしか残ってなかったのです。 
 しかしこの歯医者さん、私が最も信頼のおく名医。歯科世界のブラックジャックとも言えるスーパードクターで、これまで何度もうちの家族がお世話になっています。今回も全く痛みも不快感もなく、抜歯を終えることができました。歯の傷が癒えるまでしばらく不自由ですが、長期に渡っていた懸念が払拭できて安堵しました。いつまたパンデミックが起きて、病院の門が閉ざされるかわかりません。
 歯だけでなく、健康に関することで先延ばししていい案件などありません。みなさんにも、できるときに、できるだけのことはやっておくことをオススメします。

2020年7月30日木曜日

いざというときの冷凍食品

冷食フォーエヴァー!



 行動制限のおかげでみんなあまり出歩かなくなりました。

 というか外出は基本NGなので、外に出るのは食料買い足しかジョギング、散歩のみ。ランチ時、夕食どきにはドライブスルーのテイクアウト・ファストフードが長蛇の列を作る今日この頃。

 なるべく人が集まる食料品店を避けたいときはもってこいですが、毎日というわけにはいきません。ほとんどの人は数日分から1、2週間分の食料をがっつり買いだめするようになりました。

 ではいったいアメリカ人はこの時期、どんな食べ物をを買いだめするのでしょうか。ということでこちらの大手スーパーに出かけたときにふと思いついたのが冷凍食品です。冷食ならアメリカのバカでっかい家庭用冷凍庫にたっぷり溜め込んでも長持ちしますからね。

 店の冷凍庫を見てみるとやはり多くの棚が空いてました。今は非常時なので需要と供給のバランスが取りにくい。在庫を管理する店側は悩も所でしょう。

 というわけでこの店でよく売れている(であろう)メジャーな冷凍食品を幾つか取り上げてみました。

 まず筆頭に挙げられるのが「ハングリーマン」

タイトルからしてもう安易でおバカでインパクト大です。でも全米のスーパーで流通している最もメジャーな冷凍フードのひとつとなります。

 ディナー用のものが一箱平均3ドル前後という低価格。パッケージには赤丸ででっかく「39g プロテイン」と書かれていてこれが売りのようですが、成分表示表には970カロリー、塩分1370mgと書かれています。まさに不健康感満載の原材料構成。

 これは人気の「クラシック・フライドチキン」というタイトルのもので、ホームスタイル(普通のスタイルとどう違うのか不明)フライドチキンが二個、マッシュポテト、スイートコーン、チョコレート・ブラウニー(甘い砂糖菓子の一種)という構成。

 メインのフライドチキンが油ギトギトの分厚い衣に覆われ、肝心の鶏肉になんの風味も感じられないパサパサの代物です。これがなんと一番の売れ筋というのですから、アメリカ人の胃袋のいかに寛大なことか!感服いたします。

これと双璧をなすのが「バンケット」シリーズ。

「ミートローフ・ミール」という人気商品があるのですが、これもまた人工甘味料の塊のような、牛肉と豚肉と何か正体不明の肉を混ぜたとしか思えない、フニャリとした不気味な食感のミートローフ・ディナーです。

 カチカチに凍ったマッシュポテトは説明書きどおりに解凍しても、ビチャビチャかカサカサにしかならず、何が喉を通ったのかさえ判別つかない味気なさです。

 こちらも当然、体によろしくない成分表の表示で、食後は読まない方が賢明でしょう。

一方で冷凍食品のニューウェーヴと言えるのが、「Evol」というブランドの一連の冷食シリーズで、なかにはいかにもアメリカ人好みに作られた売れ筋があります。

 たとえば「バターナット・スカッシュ・アンド・セージ・ラビオリ」

 この具材だけで作られたパスタは、スーパーにあるパスタ料理の中でも最もクリーンで健康的なものの一つです。ビタミンAとたんぱく質がたっぷりのラビオリに、ローストしたバターナッツスカッシュとリコッタチーズを詰め、ローストしたトマト、ケール、セージガーリックソースをトッピングしたものだそう。

 確かに日本人にもそれほど違和感のない風味。口の中でとろけるような食感で、何度でも食べたくなる一品です。カロリーも310と抑えられており、いわゆるジャンクな冷食とは一線を画しているでしょう。

 あと「Kashi」というブランドも健康志向の人にアピールしてここ最近めっきり人気を高めてきた食品会社です。

 Kashiは全粒穀物のシリアル販売で有名になった会社で、いまではシリアルやグラノラバーはじめ、穀物を中心としたいろんな分野の食品を開発販売しています。

 ここに取り上げる「ブラックビーン・マンゴ・ボール」はオーツ麦、玄米、ライ麦、硬い赤小麦、ライ小麦、大麦、そば、ゴマの栄養価の高いミックスで構成された「樫の七つの全粒穀物とゴマのピラフ」と称されるもの。

 このメニューは、最高の炭水化物の一つであるそばとゴマのピラフで構成されています。黒豆とローストした玉ねぎ、ピーマン、にんじんと一緒に食べると、たんぱく質と食物繊維の含有量がアップすると記されています。

 また、マンゴー、生姜、その他の調味料を使用しているため、Kashiは塩分を380ミリグラムに抑えることができ、これは冷凍食品では珍しい小さじ1/4の塩分よりも少ない量です。


 というわけでアメリカの冷凍食品も群雄割拠、千差万別、玉石混交の大乱戦の時代。とりわけ今この非常時とも言えるご時世、簡単に腹を満たせるこれらの食べものは、とてもみじかでかつ重要なものとなりつつあるのです。

2020年7月29日水曜日

夏休み、異常事態の子どもたち

子供のサインを見逃すな



 今年の夏休みは、子どもたちにとってかつて無い窮屈な休暇になってしまっています。
これは日本、アメリカにかかわらず、全世界で起こっている異常事態です。
私の昔からの仕事仲間で、コスタリカに転勤したアメリカ人一家も、外出制限が厳しくて、小学生、中学生二人の子供がパニック状態になっているというのです。
 パニックってどういう事、と訊くと、コレまではとても仲の良い兄弟だったのに、夏休みに入って喧嘩が絶えなくなったと言うのです。
 兄は中学校の吹奏楽部でトランペットをやっているのですが、学校側がラッパ系の楽器は感染リスクが高いので、控えるように言われたそうです。秋の演奏会目指して夏期合宿に備えていたのですが、すべてキャンセルです。
 サッカー大好きな弟の方も、夏休みの練習は見送られることになりました。ふたりとも育ち盛りで活発な性格。慣れない異国の環境で、一年かけてようやく地元のクラスメート、チームメートに馴染みはじめた矢先に、外出できなくなってしまったのです。
 快活だった二人はへやに閉じこもり、ろくに会話もしなくなったそうです。そしてリビングやキッチンで会うたびにつまらないことで、口論するようになったと言います。
 今は一日の大半、アメリカ時代の友達とゲームやチャットなどをしているようだが、何を聞いても明確に答えなくなったというのです。昔は何でも親に話す素直な子たちだったのにと、父親は嘆いています。
 
 こういった事態は今世界中で起きている可能性があります。
 夏休みは子どもたちにとって、一番自由で開放されるときです。毎年恒例の家族旅行や、友達とのキャンプやショッピング、海やプールでの水遊び。今夏はそういった思いっきり遊べる環境がいっさい塞がれてしまったのです。
 外へ出ちゃダメ、友達とも会うな、と言われるといくら素直な子でも、凹んでしまうでしょう。社交的で活発な子ほどこのダメージは大きいはずです。
 
 今この時期、子供の様子はよく見ておいたほうがいいと思います。
 というのは、つい先日、うちの娘の通う高校から連絡があり、生徒の一人がドラッグの過剰摂取で、自宅で死亡したというのです。とても痛ましい話です。同世代の子を持つ親として、全く他人事ではない悲劇です。
 その娘さん、うちの子とは学年が違いますが、近所の子だそうです。私は知りませんでしたが、家内と娘は知ってる子でした。明るくて元気な子だったそうです。コロナの影響かどうか、短絡的に結びつけるつもりはありませんが、こんな状況でなければ防げた事態かもしれません。
 
 私の娘は一見以前と変わらぬ、のんびりした性格で、それなりに退屈な夏休みを受け入れているように思っていました。しかしよくよく振り返ると、夏休み以降、机に座って勉強する姿を見なくなっていました。けっこう勉強はする方だったのに、です。また母親と大好きだったテレビの歌番組を観なくなり、起床時間もずるずる遅くなってきています。
 暇さえあれば、「あつまれ動物の森」に没頭し、なにを聞いても、「うん」とか「ノー」とか単語だけの受け答えが増えたように思います。
 気になって家内と相談したら、娘の親友がいまノイローゼ気味なんだと、ママ友連絡網で情報を得ておりました。娘と親友は、今夏アート・キャンプとやらに参加する予定だったのです。ふたりとも絵が好きで、地元のアーティストの指導で絵画や陶芸の実体験ができる泊まり込みの催しに参加する予定だったのです。でも夏休み直前、企画自体がキャンセルになってしまいました。
 私もそのことは聞いていたのですが、娘と親友にはそれはかなりショッキングな発表だったようです。二人は落ち込んだのです。うちの子は元々喜怒哀楽をあまり表に出さない性格だったので、さほど変化を感じなかったのですが、これは親の怠慢、私の鈍感でした。娘は夏休みの目玉企画を失い、心にぽっかり穴が空いていたみたいです。家内は娘の変化に気づいていて、私に相談するタイミングを図っていたそうです。お友達の方はもっと深刻で、大好きな絵を描かなくなり、食事も頻繁に残すようになったそうです。ご両親は心配して、現在カウンセラーに相談中だとか。
 それを聞いて、私は大いに反省しました。子どもたちにとって夏休みは、希望の光なのです。それを奪われた時、どんな心の状態になるのか、私は想像もしていませんでした。

 子供の変化。それは要注意のサインです。特に会話。曖昧な返事が多くなったら、なにか抱えてる可能性がありますよ。
 
 この夏休み、子どもたちをよく観察しつつ、もっと積極的に声をかけていきましょう。なにか一緒にできることはないか考え、行動することが大切だと思います。
 みなさんも、大切なお子さんの変化に気をつけてください。こんな夏休みは過去に経験がありません。それだけに家族相互によるフォローが欠かせない。そんなふうに思うのです。

 
 

2020年7月28日火曜日

あおり、喰らいました

いわゆるJEEP問題

 

 久々に、アメリカであおり運転に遭遇しました。けっこうキツイやつです。空港に向かってニューヨーク市内に入る直前でした。支流からハイウェイに合流する際、背後からかなり早い車が接近しているのを目視しました。黒いJEEP Cherokeeです。ちかごろ人気の、スポーツタイプのSUVです。
 ミラー越しに、後ろから車間距離がぐいぐい縮まって来ているのが見えました。一瞬迷ったのですが、こちらが急加速してハイウェイに入るのは危ないと思い、そのままスムーズにハイウェイに入りました。
 ただそれだけです。
ところがその直後、後ろのJEEPは斜め後ろから猛スピードで私を追い越しました。いきなり三車線あるハイウェイの中央に躍り出たのです。ハイウェイの車がまばらだったので良かったですが、もし混み合っていたら衝突の可能性大です。

2020年7月27日月曜日

アメリカのキッズに語る日本文化

日本のロボット・アニメ概説



 昔、地域のコミュニティで、異文化交流会がありました。公立図書館のイベントの一環で、月一度ぐらいのペースで、代わりばんこでいろんな地域出身者が、お国自慢を語るものです。たしか最初は図書館のポスターかチラシで、ネイティヴ・インディアンのご婦人が平和と歴史について語る、というものに惹かれて参加したのが始まりです。
 民族衣装をまとったその高齢の女性が、自らの文化を誇り高く語る姿に、私は感銘を受けました。50人あまりの聴衆も、大きな拍手で称賛の意を表していました。率直に、知らない文化を学ぶいい機会だと思い、それから数回その会合に参加しました。あるときはアフリカの民族衣装の女性、またあるときはスコットランドのバグパイプの演奏を交えて語るおじいさん、などです。それぞれお国柄が出ていて、とても興味深いものでした。
 あるとき主催側のスタッフに声をかけられ、日本のことを話してくれと言われました。始めは英語が上手くないことを理由に断っていたのですが、夏休み企画として、子供向けに話してくれと頼まれました。それでとっさに思いついたのが、日本のアニメについてなら、話せるかも、ということでした。準備期間はわずか一週間足らずだったので、慌てて原稿を書き、それをもとに話をすることにしました。以下の文はその原稿です。



タイトル:日本のスーパーロボットを知ってますか?

皆さんこんにちわ。これはあくまでフィクションについての考察です。

あなたはロボットについて、なにを思い浮かべますか?
日本の子供の多くは、スーパーヒーローを思い浮かべます。例えばトランスフォーマーみたいなやつ。あれは日本のアニメからきてるんですよ。
アメリカでロボットといえば、以前はアイザック・アシモフの一連のサイファイ小説を思い浮かべることが多かったでしょう。
私が興味深いのは、アメリカでそれ以外のロボットは、おそらく人間にとって、脅威の存在として描かれていることです。
代表的なものとして、映画ではターミネーターですね。多くのゲームでは巨大で恐ろしいロボットが一般的しょう?
しかし日本のロボットは、昔から人間の味方が多かったのです。

日本で最初に人気を得たのは、鉄腕アトム、つまりアストロボーイです。アストロボーイが漫画雑誌でデビューしたのは1951年だ。漫画の設定では、アストロボーイは2003年に誕生でした。原作者は、半世紀後の未来に、アストロボーイが実現すると期待していたのでしょう。
残念ながら、現在でもロボットはまだ原始的な存在です。
しかし、原作者は大きな夢を漫画に託しました。そしてアストロボーイは大ヒットしたのです。

とくにテレビ・アニメーションとして、動くロボットはとても画期的であり、魅力的でした。アストロボーイはとてもかわいい子供の姿でしょう。アトムは人間と同じような喜怒哀楽を持つ。それだけではなく、勇気と正義、そして物凄いパワーを持った存在です。日本の子どもたちがあこがれるもの無理はないです。

アストロボーイ以降、日本のマンガとアニメーションは、ロボットの発展史といってもいいでしょう。アストロボーイのあとに、人気者になったロボットは鉄人28号、つまりGigantorです。みんなのお父さんやお母さんは知ってると思います。アメリカでもテレビ放映しましたから。

Gigantorはアストロボーイと対象的です。彼は徹底したロボットの性格を備えています。感情を持たず、人間の命令で動く。リモートコントローラーによって動く彼には、恐怖心もなく、正義感もない。彼の全ての行動は、操縦者の意思に反映されるのです。もしコントローラーを悪人に奪われると、悪に従うロボットです。それ故、視聴者はスリルを味わうのです。Gigantorの戦いは、子どもたちの心を鷲掴みにしました。

テレビ・アニメーションの草創期に、たくさんのサイファイが作られました。アストロボーイ、Gigantorと並ぶ人気を獲得したのは、エイトマン、つまり8thmanです。このアニメもアメリカで放映されたんですよ。この作品の独自性は、主人公のロボットが大人だということ。アメリカではほとんどのスーパーヒーローが大人であるのに対し、日本のそれは、ほとんどがティーンエイジャーか、小さな子どもです。しかし8thmanはハードボイルド小説の意匠を借り、とてもクールでスタイリッシュなキャラクターです。8thmanは唯一無二の個性的なロボットなのです。

日本のロボット・アニメーションの特徴は、ロボットと人間の関係性です。人がロボットをいかに操縦するかが見どころ。
それは時代の変遷とともに、変化していきました。
1972年に登場したマジンガーZ(Mazinger Z)は画期的でした。人間が操縦する小型飛行機が、巨大なロボットの頭部にドッキングするという設定です。ゆえにこのロボットはとても大きい。身長は60フィートもあるのです。
彼は戦闘に特化したロボットで、多くの武器を持ちます。Gigantorとアストロボーイは、ロボット同士の原始的な殴り合いでした。しかしMazinger Zは装備された武器を駆使して、ヴィランの操るロボットと戦う。敵ロボットも、工夫をこらした様々な秘密兵器を持っていました。この壮絶なロボット・バトルの系譜は、その後、たくさんの模造品を生み出したのです。


1979年、日本のロボット・アニメーションは大きな転期を向かえました。機動戦士ガンダム(Mobile Suites Gundam)が誕生したのです。それ以前のロボットとは全く違います。そこにはリアルなストーリーがありました。小さな子供には難しすぎる設定。それは本当にあり得る、架空の未来史です。
基本的にGundamは戦闘機の発展型として描かれます。その舞台は宇宙。主人公はもはやロボットではなく、人間のパイロットです。
その物語は、人間の葛藤を描き、ロボットの存在意義さえ後退しました。しかし興味深いのは、その作者の意図とは裏腹に、カッコいいGundamの人気は独り歩きし始めました。
この一作目以降、Gundamは数多くの続編を作ってきました。驚くのは、そのいずれもがヒットし続けているということです。しかし今日は、私はそれを語りません。とても長くなってしまうからです。
しかしGundam以降も、ロボット・アニメーションの歴史は止まりません。とても様々なバージョンのロボットが出続けています。

そのなかでも、ひときわ目立つのが、新世紀エヴァンゲリオン(Evangelion)です。この作品はそれ以前のすべてのロボットの歴史を否定しているように思えます。もはやそれは本来のロボットの概念から逸脱しています。より未来的に洗練されたロボット。操縦するのはより繊細な感性の子供。同じパターンでありながら、本当の主人公は人間であり、人類の進化を示唆します。これはとても恐ろしく、本格的なサイファイ・ストーリーなのです。

以上のように、ロボットに関して、日本人は執拗に創作と変遷を繰り返してきました。そこには尽きない理想の追求があるのです。彼らの長い旅はまだ終わりません。そこには、人間を超えた存在への憧憬が、垣間見られます。
次の未来には、どんなロボットが現れるのでしょうか?


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 スピーチはこの原稿をはみ出して、日本の子どもたちの趣味や習慣に多くをさきました。しかしロボット・アニメ史の骨子は伝わったと思います。何より嬉しかったのは、小さな子どもたちが、目を輝かせて、日本の話を聞いてくれたことです。自国の文化を語ることは、自分を見つめ直すことにも繋がり、とても意義深いひとときだったと思っています。

2020年7月26日日曜日

オフィスの便利グッズ

仕事部屋の便利なアイテム



 夏の暑い季節ですが、仕事は待ってくれません。そんな時、作業の捗るアイテムがあれば、助けになります。私が使っている机周りのものを、少しづつご紹介させていただきます。今回は3つばかり取り上げてみました。ご参考になれば、幸いです。


腰を守るクッション
長時間デスクワークをしていると、腰に負担がかかります。ついついしがちなのが、猫背や浅い座り方。座ったときの姿勢がいちばん大事なのは言うまでもないこと。その次に椅子の作りにも、腰への負担は大きく左右されると言います。とはいえ、椅子を変えるのはちょっと大ごとです。そんな場合に、クッションを試してみるのはいかがでしょうか。
 私が最終的に選んだのが、この品です。

Everlasting Comfort Seat Cushion for Office Chair


 このクッションは、ほとんどのタイプのデスク・チェアでも対応できると思います。至ってシンプルなアイデアで、椅子の上に乗せるだけでOKです。形状はご覧のとおり  、背骨の延長部分がくり抜かれた形で、圧力を開放しています。表面はお尻の形に合わせてお椀型に湾曲しています。中の素材は形状記憶クッションでやや固めな感触ですが、体型にフィットして均等に沈んでくれます。

 これに座って背もたれに身を傾けると、背骨のバランスが程よく保たれ、腰への負担が最小限に緩和されます。このクッションを使ってみて、あると無いとでは、長時間のデスクワークに差が出ます。私の場合、明らかにこのクッションは疲労を軽減してくれます。それまで一般的な四角く平たいクッションや、薄手の柔らかい枕を敷いていたのですが、しばらくするとスグに居心地が悪くなって、知らずに背中が丸くなったりしていました。しかしこのメモリー・フォームの素材は体型に合わせて圧力を緩和してくれるので、無理なく座り続けられます。
 表面の黒い部分は通気性のよいクッションカバーで、肌に優しいフェルトタッチの素材です。洗濯機で水洗いできるのは好都合です。底の部分は小さなドットのゴムがついていて、椅子からずれたりすることもありません。
 他もメーカーから類似の商品が出回っていますが、材質や形状、大きさも違ってきます。いずれも後追いの感は免れません。こちらのメーカーはいち早くこのタイプのクッションを発売し、改良を重ねていますので、安心して購入できるかと存じます。

お次は最小サイズの掃除用具です。

Cute Portable Beetle Ladybug Cartoon Mini Desktop Vacuum Desk Dust Cleaner


 こちらは超小型の卓上掃除機です。ご覧のように見た目が可愛くて、インテリアとしても見てるだけで、こころ和みます。ケーブルもなく、乾電池で駆動するので気が向いた時、さっと手にとって、机やパソコンの上を掃除できます。私は鉛筆で手描きのスケッチをよくやるので買ってみましたが、消しゴムのカスもしっかり吸引してくれます。

 大きなゴミは無理ですが、吸引する底面には小さなブラシが放射状についているので、埃っぽい棚やキーボードなどのダストなら簡単に拭き取れます。赤いテントウムシの他に、みどりの奴や、ユーモラスな変顔のバージョンもあります。部屋のどこに置いてもじゃまにならないスグレモノです。

今日の三つ目は、暑い夏に欠かせないアイテムです。
SODIAL Portable Folding Fan Laptop Coolong Pad

 夏の暑い部屋でノート・パソコンを使っていると、PC内部の熱が半端なく上がってきます。とくに回転するディスクのある部分の表面、私のパソコンの場合は、手を置くタッチパッドの横あたりが、ぐんぐん熱上昇するので、いつクラッシュするか、気が気ではありません。去年はアイスパッドを底に敷いていたのですが、座りがよくないし机が濡れてしまいます。なによりいちいち取り替えたりが手間でした。
 そこで数年前に使っていた、小型扇風機をパソコンの横に置いたのですが、底を触ると、熱は以前プラスティックの底面を溶かしそうな暑さでした。やむなく代替品を探すと出てきたのがコレ。
 ちょっと貧弱で頼りない作りに思えたのですが、使ってみると、たしかにパソコンの底面の温度は低減しました。机とパソコンの間に隙間ができることで、ファンの風が流れ出てくれるのです。これは電池もいらず、パソコンのUSBにつないで自動的にファンが回る仕組みです。つまりパソコンをオフにしない限りまわりつづけるのです。じつに効率的で今はほとんど使いっぱなし。華奢に見えてけっこうよく働いてくれます。
 足が折りたたみ式になっていて、十七インチごらいの大きめのパソコンから十一インチの小型パソコンまで対応できます。軽量コンパクトで持ち出しやすいのも重宝します。夏には欠かせない一品です。

 以上、机の周りを見回してちょっと気に入った便利グッズをご紹介しました。




2020年7月25日土曜日

車はフロント・フェイスで勝負

アメリカを走る車の顔 



 仕事で使っている車が、オイル交換の時期に来ていることに気がつきました.。
 いつも利用しているのは、Mavis Discount Tireというタイヤ販売の会社が運営する自動車修理のショップです。
 通常は前もって予約をしてから行くのですけれど、 時間ができたので空いてればすぐにエンジンオイルを交換してもらえると思ったのです。
 しかし残念ながら駐車場には順番を待つ車がずらりと並んでいました。
 この店はタイヤ交換が主な仕事ですが、 車のチューンナップや、ちょっとした故障もテキパキと修理してくれるので重宝しています。 便利なだけによく繁盛していて、大抵はお客さんでいっぱいです。この日は特に混雑しており、店員さんに聞くと3時間から4時間待ちだと言われました。夕方でしたが、車は明朝まで使う予定がないので、そのまま預けることにしました。閉店までにはオイル交換してくれるというので、隣接する大規模な中古車販売店をぶらぶらと歩いて見て回ることにしました。

 わたしが去年まで使っていたリンカーンMKTも売ってました。やはりこの車、顔が目立ちます。鳥の翼をイメージしたラジエータグリルが今見てもイケてますね。

 それにしても、改めてアメリカの中古車市場を見てみると、実に多種多様な車があるもんだと思いました。日本にいるときは自動車大国アメリカは、やっぱりアメ車の天下だろうと思っていたのですが、さにあらず。
 実際にみての雑感ですが、アメリカのメーカーが占める割合は半分ほどじゃないかと思います。むしろ目立つのはトヨタ、ホンダ、日産などの日本車。ついでヨーロッパメーカーです。もちろんアメリカのフォードやGMも普通にたくさん走っているのですが、あまりの車種の多さに埋もれて目立たないのです。
 そこでふと気になったのが、自動車メーカーによる車の顔、つまりフロントグリルのことです。メーカーそれぞれに特徴のあるデザインを施しているものです。

 フロントグリル(アメリカの友人たちはそう言いますが、正確にはラジエーター・グリル)で一番有名なのは、やはり BMW のキドニーグリルと呼ばれるやつでしょう。 BMW は昔から一貫してこのデザインにこだわっています。トップブランドとしての誇りでしょうか、永遠にこのデザインは変わらない気がします。
 
 アメリカの誇る高級車リンカーン。ここは昨年全車種対象の大掛かりなモデルチェンジが行われました。リンカーンといえば、ここ十数年、鳥の翼をイメージさせるかっこいいフロントグリルがトレードマークでした。これはもう非の付けようのない優雅さと高貴さを兼ね備えており、BMW同様、末永く受け継がれるであろう伝統の印になるだろうと思っていました。ところが、昨年の全車種モデルチェンジで、あの翼のデザインは一掃されました。これにはびっくりしましたね。変わってちょっと丸みを帯びた長方形の平凡なものになっていました。仕事で数年間運転していた者として、じつにもったいないと思います。
 
 ヨーロッパ勢では、ボルボの非対称袈裟懸け斬り(と私は勝手に呼んでいます)やアウディ四輪ピック(これも勝手に命名)もラジエーターグリルに一貫性がありますよね。やはり車の顔はブランディングに欠かせないものなのでしょうか。
 
 日産は近年「Vモーショングリル」と呼ばれるメタリックなV字型のフロントデザインを基調とした車種が目につきますね。それまではいまいち特徴の薄いデザインだったので、狙いはいいかもしれません。

 ホンダも、ちかごろライトを含めたフロント全体の特徴を統一させた車種が目立ちます。こちらもなかなか精悍なイメージが良いですが、そろそろ飽きられるかも。なにせあのホンダ車の顔、アメリカのどこへ行っても見かけますから。

 派手なのはレクサスです。そう、あの鼓みたいなやつ。これが出たときは、ちょっと奇抜すぎて無理かなと思いましたが売れているのか、今後も継承されていく模様です。

 あと一目でわかるのがジープです。基本的にどの車種も縦長方形を7つ並べた特徴的なグリルの意匠がもはや定着した感があります。

 さいきん躍進甚だしいのがKIAで、こちらもすべての車種に「タイガーノーズ」と呼ばれるグリルデザインを採用しています。これも一目でわかるかっこよさがありますよね。

 FORDとトヨタは目下のところ、デザインの統一性にはこだわらないポリシーなのか、車の顔はてんでんばらばらです。これもまた販売戦略の違いというものなのでしょうか。


 いずれにしても、年々進化してゆく車のデザインはこれからも見逃せません。

2020年7月24日金曜日

タオル vs 手ぬぐい

日米タオル比べ


 


 日本とアメリカでは、タオルの大きさが違う。これ皆さんは気にしたことがありませんか。そんなに大差ないように思われがちですが、このサイズの微妙な差は、国民の生活習慣に由来しているのです。


 アメリカのホテルでは、部屋にかならず三種類のタオルが用意されています。すなわちアメリカ人は日常生活の中で、主に3つのタオルを使い分けるのです。

 一番大きいのがバスタオル。二番目がハンドタオル、そしてウォッシュクロスです。

 アメリカの人はバスタオルをシャワーのあとに体を拭くだけではありません。体に巻いて、しばらくその格好でいることが多いです。なので大柄な人でもくるっと体を覆えるように日本のそれより遥かに大きく作られています。

 中間サイズのハンドタオルが、日本の手ぬぐいに相当するのですが、これも日本製より分厚くて吸水性に富んでます。いわゆるパイルと呼ばれるループ状の糸が太めのコットンを使うのが主流となっています。素地の部分もふわふわで柔らかい生地が多く、二枚ほど重ねて畳むとまくらやクッション代わりにもなりますよね。一方手ぬぐいは、ご存知のように薄い生地が多く、乾きやすい特徴があります。そうでないものもありますが、傾向としては日米のタオルのそういった違いが見られます。


 アメリカのホテルに来た日本人は大抵の人が、ハンドタオルを持ってシャワーを浴びます。風呂場で手ぬぐいを使う感覚で普通にそちらを選択するのです。そしてそれで体を洗います。

そのとき日本人はふと気になります。「このタオルちょっと短かすぎるなー」と。しかも分厚すぎて水含むと重たい!

 一方でもしアメリカ人がそれを見たら戸惑うでしょう。体を洗うのは四角いちっちゃなタオル、すなわちウォッシュクロスが常識です。「あいつなんでシャワーにハンドタオル持ち込むんだ」って思うこと間違いなしです。


 どうしてこんな違いが出るのでしょうか。

 アメリカのハンドタオルは、平均24インチx15インチです。面積は360 sq in.

 日本人が最も日常で多く使う手ぬぐい。それは34 in x 13.5 in。面積は 459 q in.です。

 日本のほうが長く、面積も大きいです。なぜでしょう?

 日本人はこのサイズにこだわります。なぜなら、体を洗うのに丁度いいサイズだからです。

 なぜ? とアメリカ人に聞かれたらどう答えますか。小さな体の日本人が、なぜアメリカより長いタオルをつかうのか?


 それはズバリ、背中を洗う習慣があるからです。そう言うと、当然アメリカ人はムッとするでしょう。勘違いされたくないので言いますが、決してアメリカ人を見下しているのではありません。風習の差です。 

 背中をしっかり洗う日本人、適当に洗うアメリカ人。ここにタオルの大きさの差が出るのです。

 ある時、私は親しい知り合いのアメリカ人に手ぬぐいを渡して、言いました。

「日本製の手ぬぐいを持ってください。両端を掴んで背中に回す。のこぎりのように左右に振ってごらん。ほうら、背中を洗えるでしょう。そのために日本のタオルは長いのです」

なるほど、と言って納得するかと思いきや、そのアメリカ人はちょっと自尊心を傷つけられたのか、憮然として言いました。

「ぼくは毎日背中も洗ってる」と。

 はい、確かにそうです。でも残念ながら、ウォッシュクロスでは背中をまんべんに洗うのはかなり無理があるのです。背中全面に届く人は意外に少ないのです。日本人は背中も、胸や手足と同様にきっちり洗いたいと思い、そんな意識がタオルを長くしました。

 いや厳密には背中目的ではないでしょうが、自然とそういう発想でサイズが決まったのだと思います。人間の体の皮膚はどこでも同じ条件で汚れるのですから、そう思うのも自然なことじゃないでしょうか。 

 アメリカ人の多くはそこまで細かく考える必要はない、ということなの知れません。


 日本には銭湯、つまり公衆浴場というものがあります。数十人を収容できて、他人同士のコミュニケーションにも役立てる場所です。アメリカでは、かつて床屋がその役割を担っていました。古き良きアメリカでは、床屋が地域のコミュニケーションの場でした。

 最近はどうかわかりませんが、日本では昔から銭湯でよく見かけるのが、親子による背中のウォッシングです。とくに子供が親に対して背中を洗う習慣。見ていて微笑ましいですよね。それぞれ自前の手ぬぐいで洗えるのですが、敢えて親愛のコミュニケーションとして、洗いにくい背中を洗ってあげるのです。日本人にとって、それはとても心地よい光景なのです。


 誤解を承知で言わせてもらえれば、日本人は背中を大切にする民族です。それは衣服を着ていても同様です。日本人は相手の背中を見て状況を想像し、気持ちを感じ取ったりするのに敏感です。


 タオルの長さにも、民族の機微が現れている。そんな考え方も一興ではないですか?  


2020年7月23日木曜日

タブレット用の便利モノ

だらだら過ごしたい日もある

 
 仕事で長時間、椅子に座っていると、あまり体に良くないそうです。
 私も常日頃、それを実感していてます。しかしデスクワークは避けられないので、せめて休憩のときぐらいはと立ってはみるものの、結局10分も保たず、椅子に戻ってしまいます。持病で腰痛を抱えているので、なるべくそれを解消するために、なにかいい方法はないかと常々考えています。
 大抵はごろりとベッドに横になって本を読んだりするのですが、スグ腕がだるくなって、うつ伏せになったり仰向けになったり、なにかとかったるいのです。タブレットでの読書でも同様で、手を掲げたまま同じ姿勢を維持するのは、苦痛にさえなります。これでは本末転倒、なんのために休憩しているのかわかりません。
 そんなとき見つけたのが、横になりながらタブレットを見られる便利グッズです。




 これは商品名ですが、まだあまり知られていないスグレモノです。
 通常Tablet Holder で探すと、立て掛け式で、机の上に乗せるものが照会されるのですが、上記のタイプのものは、通称Spider Holderなどと呼ばれるようです。確かに、形状が巨大な蜘蛛にも見えます。私が横になって腹の上にこれを据えていると、子供がそれを見て「まるでスパイダーみたい!」
と言っておりました。一見すると子供のおもちゃみたいです。
 しかしこれが予想外に便利。とても使い勝手がいいのです。4本ある足の部分が、フレキシブルになっていて、高さも角度も自由に調整できます。折りたたみも簡単、小さく収納できるのでじゃまになりません。もちろんタブレットは背後のバンドでしっかり固定できます。



 試しにタブレットで本を読んでみましたが、じつに簡単に装着でき、好みの目の高さで快適に読書できました。これなら文字通り肩肘張らずにタブレット操作ができます。
 いやこんなの使ってたら、人間自堕落になってしまうよ、という方もいると思います。もちろんずっと終日これに依存するのはどうかと思いますが、デスクワークの者にとってはちょっした息抜きにこれはアリだと思います。仰向けに寝転がることで腰への負担もなくなり、リラックスした時間が確保できます。なので私にはとても重宝するツールです。
もちろん動画視聴も同様に助かります。いままで腕をプルプルさせて長時間ドラマなどを見ていたのが嘘のようです。


 このスグレモノ、KindleはもちろんiPadやAndroidタブレットなど、大抵のものに対応しています。ただ、このメーカーさん、なかなか丁寧で、オーダー出してから、すぐにメールが来ました。こんな内容です。
「Tabliftご購入ありがとうございます。これから発送の準備をします。つきましてはご使用のタブレットをご確認ください。一部の購入者様から最新のiPad Proでは使えない、あるいは使いづらいというご指摘を受けました。もし当商品にご不満がございましたら、お知らせください。当社は零細企業ですが、鋭意商品の改善につくします。なにとぞよろしくお願いいたします」といった文面。
 送る前からちゃんと筋は通す姿勢に好感が持てました。
 結果、送られてきたものは満足のいくものでした。作りはしっかりしており、強化プラスチックの素材は程よく剛性を保持しているので、頻度の高い足部の折り曲げにも問題ありません。今後の要請として、足の部分をもう少し長くすれば、妊婦さんや同様の体型の人にも対応できるのではと送りました。
 とかく日常の生活には、緩急が必要なもの。デスクワークに疲れた時、Tabliftを使ってタブレットを活用するのはとても心身によいものだと思います。

 追記
 ちなみに実は私、Tablift以前に類似品を使用していました。

Tablet Stand Flexible Adjustable Spider


 いわゆるTablet Spider Holderで探した最初の商品です。
 これはこれで同様の機能なのですが、ご覧のとおり足が貧弱で、使ううちになんだかよれよれになってしまいました。こちらは逆に脚長過ぎて、不安定なベッドの上では、微調整が難しく、余計な時間ばかりかかってしまいます。そこが一番の不満ポイントでした。機能的には変わらないので、安いほうがいいという方にはこちらもセカンド・チョイスに値します。
 さらにその以前は小型タブレット用にこんなのも使っていました。

アーム部分は硬いワイヤーが入っているのですが、むりくり捻じ曲げすぎて、もうよれよれです。これはパソコンのサブみたいな使い方だったのですが、ある時、ベッドサイドに固定しようとして、顔に落下してそれ以来使っていません。
 いろいろ試行錯誤しながら、自分の納得の行くものを探す。こういう失敗から学ぶことも人間にとって大事なのかも知れませんね。

2020年7月22日水曜日

コロナ時代のマスク選び

マスクが溢れ出したアメリカ



 コロナウィルスの出現で、アメリカでもにわかにマスクの需要が高まりました。それまでは医療従事者か工事、清掃関係者ぐらいにしか使用されていなかったものですから、コロナウィルスが世の中を席巻して以来、マスクは必需品となり、あっという間に在庫は尽き、輸入に頼らざるを得なくなりました。それでも需要には到底追いつかず、この数ヶ月みんな血眼になってマスクを探し求めていたのです。
 そのときは30枚入りの使い捨てマスクが40ドルかそれ以上で売買されていました。値段がどんどん吊り上げられていったのです。しかもそれを買い占めて、さらに高値で売るという、悪徳業者まで現れました。
 さすがにそういった便乗商法はマスコミやSNSで激しく叩かれましたが、それでもないよりはマシと、購入者は跡を絶たなかったのです。
 
 こういう状況を見て市場が動かないわけはありません。気を見るに敏な事業者が生産ラインを調整してマスク制作に乗り出しました。日本ではユニクロのマスクが話題になったのも記憶に新しいですね。アメリカでも、アンダーウェア・ブランドとしておなじみのHANESなどが、いち早く自前の生地を使って布製マスクを生産・販売を開始しました。私も先月、情報を得て速攻でHANESの水洗いで再利用できるフェイス・マスク10枚入り18ドルでShopRiteにて入手しました。
 ところがです。オールインワン・サイズということで大丈夫だろうと思っての購入でしたがこれが間違いの元。小さすぎて私の顔にはフィットしなかったのです。いやギリギリ着用は可能な範囲なのですが、ヒモ部分も布製なので伸縮性に乏しく、長時間つけていると、耳の後ろが痛くなるのです。更に誤算は、洗ったあと縮んでさらにきつくなってしまうのです。しかも思いのほか通気性が悪く、呼吸も通常通りとは行かないのです。そういうわけで、マスクと言えども購入の際はいくつかの注意が必要だと学びました。

 他社製もいくつか試しました。アメリカで一番ポピュラーな青白の使い捨て紙マスク。値段もこなれてきて、いまは供給も落ち着き、Amazonなどでも即日配送可能になりました。
 メイド・イン・USAで50枚入りで30ドルぐらいなら即買います。いくつか違う業者名の物を買いましたがどれも大差なく、不良品も数枚入っているのは仕方ないと諦めています。

 降って湧いたように出現した仲介業者が扱うマスク。これは見極めが難しいです。依然中国製が多いのですが、いいもの悪いもの玉石混交です。最初にネットで購入したものは、写真と違うものが送られてきました。鼻の根元まで覆う湾曲ラインだったはずが、ほぼ一直線。縫製が荒くて、所々にほつれが出ているのです。数回使用して洗うとシワシワになってしまい、再利用は諦めました。
 一方、見た目似ているのですが、店頭でビニール袋越しに、出来具合を確かめられるものを買い足しました。これはやはりメイド・イン・チャイナですが、しっかりした作りです。
Feekeという聞き慣れない仲介業者のものですが、チャコールフィルターを入れ替え可能なタイプで、通気性もまあまあ。これは使える範囲でした。
 アメリカの巷でいま目立つのは黒マスクです。日本では少数派の黒マスクが、アメリカ人の間では何故か人気で、若い人を中心に広がりを見せています。でもスーツを着たビジネスマンが黒マスクだと違和感ハンパないです。じき慣れるでしょうが。 
 
 店頭ではまだあまり見かけませんが、通販ではここ数週間で、様々なタイプのマスクが急増しています。はじめは価格と機能性が第一だったものが、ファッション性に重きをおくように変わってきました。
 確かに街を歩くと、とても個性的なフェイス・マスクを見かけるようになりましたね。明らかに手作りと思われる個性的なマスクの出現。やはりアメリカはオリジナル重視の国です。
 一方で、アメリカではまだマスクに抵抗のある人も多く、そんな人はバンダナをマスク代わりに使用しているのが目立ちます。確かにマスクよりはかっこいいです。でも終始首に回しているので、夏は暑苦しくて大変だろうと察します。

 デザイン性に目をつけたのは、オーダーメイドの名詞やグッズ、アイテムなど様々な各種印刷業務を請け負うVista Print。もともと布生地などへの印刷技術に定評のあったこの会社、今は独創性に富んだ柄のマスクを販売して大好評。特に若い人を中心に人気が広がっています。
 それに負けじと、ファッション製に優れたマスクが大手ブランドやメーカーから出始めています。

 一番のおすすめは、GAP。形状はごく一般的な使い捨てマスクを踏襲したものですが、100%コットンで肌との相性もよく、ゆったり目の作りがうれしいです。防護性にやや難点はあるものの、戸外では快適に過ごせます。プリントのデザインも控えめですが、様々なタイプを用意しており、好みのものが見つかると思います。お値段も8枚入りで36ドルと安くはないですが、しっかりした作り。水洗いで再利用できるので損はないと思います。
 
 家内は同様のマスクをOld Navyで買ってきました。デザインは違うものの、とても良く似た仕様で、製造業者はGAPと同じかと思われます。こちらもおすすめです。
 
 私が最近気に入っているのはNew Republic製の黒マスク。大ぶりで布が柔らかく通気性も上々、仕事中でも違和感なくつけていられます。ほとんど目の下から顎まで覆う巨大さが気に入りました。面積比でアベノマスクの3倍位はありそう。

 ファッション重視の人におすすめは、Redbubbleなんかいかがでしょうか。このオンライン・デザイン会社は、近年新しいスタイルのデザイン販売で赤丸急上昇中です。なにせアウトソーシングで45万人のアーティストを雇っているも同様なのです。
 油絵風のものからポップ・アート、アニメ調、加工写真など、ここではあなただけの一点物のマスクも手に入るのです。若い人ならきっとお気に入りのデザインが見つかるはず。

 高級志向のかたはやはりMacy'sのマスクに目が行くでしょう。まず生地が違います。大手アパレル製造業者と医療器具メーカーをコラボさせて作ったと言われるMacy's オリジナルマスク。これは身につけるだけで差が出そうです。機能とデザインの両面に配慮した独自のフォルムは見た目もスッキリ。入れ替え式のチャコール・フィルターまでおしゃれな装いです。マシンウォッシュでも型くずれしないと謳っており、少々値は張っても本物志向の方にはおあつらえ向きのマスクと言えるでしょう。

 最後に、このフェイスマスクを購入に際して気をつけなければならいことを記しておきます。
ファッションも大事なのはわかります。私もグラフィック・デザインの仕事をしていますから、それは声を大にして言いたい。こういう外出時に、マスクが必要な気の滅入るときだからこそ、明るくなるような見た目も大事です。ストレス開放に役立ちます。街を歩いていて変わったデザインのマスクを見かけると、ふわっと心が和みませんか。そういう効用もあることは留意してほしいです。
 それを踏まえた上で、マスク選びには安全性第一でお願いします。品質をよく見極めた上で第一候補を数点選ぶ。その次に機能性、使い勝手。隙間ができすぎないか、息苦しくないか。着脱が簡易か、肌にやさしいか。そういった使用感は長く使うと明暗が分かれるものです。
 ちなみに、このマスク、日本人には気づかない欧米人の悩みがあります。それは、東洋人に比べて鼻が高いこと。私の知人マークくんの鼻、私が富士山だとすると彼のはエヴェレスト級です。一般的な使い捨てマスクでは隙だらけとなり、彼のメガネはいつも曇った状態となります。アメリカでマスク選びはフィット感がとても大きな選別点となるのです。

 今後、このマスク市場はますます多様化してくると思われます。飽きのこない、いろんなタイプを揃えておくのもいいいでしょう。
 ぜひ自分にあったいいマスクを探してみてください。


2020年7月21日火曜日

ゲーム・クリエーターの祭典

GAME JAMの熱き戦い



 今年もGMTK GAME JAM がネットの世界で盛大に挙行されました。ご存知ない方も多いかも知れませんが、いまや世界中のゲームクリエーターが注目する、ゲーム制作バトル大会です。GAME JAMには主催者によっていろいろ大会はあるのですが、GMTK版は一番規模も大きく、人気のあるイベントです。GMTKというのは、Game Maker's Toolkit というイギリスのゲーム研究開発組織です。YouTuberでも有名なマーク・ブラウン氏がフロントマンとなって、毎年ゲームジャムの開催を宣伝します。とにかくゲーム制作に興味のある人はネットを通じて自由に参加できるのでとても敷居が低くかつ楽しいゲーム大会です。とりわけ今年は世界中みんな家にこもりがちなので、参加者は倍増した模様です。
 このイベントは毎年開催時に今年のお題が発表されます。それをテーマに参加者は期限内にゲームを制作してアップロードしなければなりません。今年は7月の17日から19日までの72時間で世界中から様々なオリジナル・ゲームが寄せられました。競技のあとは、それぞれ自由に参加ゲームをプレイすることができます。そうやって世界中のゲーマーやクリエーターが今大会の最優秀ゲームを選ぶのです。選出には一週間以上かかるのが通例です。
 私の息子がこのゲームジャムに毎回参戦しているのですが、今年も三日間の熱き戦いを無事終えたようです。以下の文は彼の今年のゲームジャム参戦レポートです。


2020年7月20日月曜日

マンハッタン周辺の現状

ニューヨークを走ってみた



 ここ一週間、カーサービスの仕事で、お客さんを乗せて、あちこち走り回りました。
 三ヶ月あまり閑古鳥の鳴いていたこの業界ですが、徐々にお客さんが戻りつつあるようです。ただし、これは感染拡大が収まりつつあるニューヨーク州と近隣のニュージャージー州、コネティカット州に限ったことでの話です。
 全米規模で見ると、コロナウィルスは依然拡大の傾向にあります。とりわけ南部の各州は感染者数の拡大に歯止めが効かない状態です。大きな病院でも病床不足が深刻化しつつあり、これは4月頃のニューヨークを彷彿とさせる深刻な事態です。


 ニューヨークは3月の後半から急激な拡大が始まり、あわてて市内をロックダウンしました。かなり強制力の強い官庁指示だったため、多大な犠牲者が出ましたが、かろうじて最悪の事態は回避できました。
 ひごろ、自由を最優先に生活するニューヨーカーがここまで我慢したのは、私には驚きでした。行動の自由、お上の権限からの開放、それがリベラルなニューヨーカーの基本精神なのですから。逆に言えば、それほど4月5月は逼迫した恐怖のどん底にいたということです。毎日何百人という人が重症化し、死んでいくニュースはいまでも悪夢のように蘇ります。


 4月の中頃、どうしても必要に迫られて、マンハッタンのミッドタウンの行ったのですが、そのときはまさにゴーストタウンという感じでした。昼間というのに人の通行はまばら、警官や道路管理関係者と、あとは配送トラックが目立つぐらいでした。一般の歩行者はほぼ皆無。異常な光景でした。
 とりわけタイムズ・スクエア界隈は、信じられないくらいの静けさでした。日頃はミュージカルや買い物で賑わう店などがピタッとシャッターをおろしていて、まるで白昼夢を映すホラー映画のよう。気味が悪いくらいでした。


 あれから三ヶ月、再び私が訪れたのは、マンハッタン南部のSOHOでした。朝の10時ぐらいでしたが、やや人通りは戻ってきているものの、以前のSOHOとは比べ物にならないほど、いまだ閑散としています。普通は、このあたりは車でどこへ行くにも忍耐と注意が必要な地帯です。とにかくいつでも渋滞が絶えず、しびれを切らして黄色信号を通過しようとすると、前後左右から人や自転車が飛び出してくる。もう危ないったらありゃしないのです。ただでさえ、狭くて不規則に交差点、一方通行がある場所なので、運転は冷や汗モノ。ところがこの日はどっちの方角へもスイスイと移動できます。いかに車両が減っているのか一目瞭然なわけであります。

 それはSOHOだけではありません。いつもは観光客で賑わうバッテリー・パーク周辺もバス、イエローキャブ、黒リムジンが通常の10分の1以下に見えました。
 翌々日にはセントラル・パーク近くのコロンバス・サークルへも行きました。こちらは運輸関連のトラックがけっこう目立ちましたが、やはり交通量は少なめ。通行人も行楽客らしき姿は稀で、通勤者らしき人と働く人ばかりが目立ちました。一様にマスクは着用しており、このマスク習慣のないアメリカでもかなり、定着してきた印象です。

 ただ、どこのマンハッタン地域でもたまに見られたのは、小さな群衆です。これは期せずして集まってしまったもので、たまたま数人単位のグループどうしが、狭い道や店舗の出入り口で、かち合ったものと見られます。狭いマンハッタンの歩行路ではこんな不測の事態も起きがちなので、通りを歩くときはぜひ注意してください。マスクをしていないグループもいないとはいえませんから。

 ところで、いまアメリカではこのマスクを巡って、必要、不要論が激しく対立しています。
 いらない派は、外気のあるところでマスクはナンセンス。空気は四方八方へ飛ぶのでなんの効果もない、というのです。必要派はこれまでのマスク着用の実効性を元に擁護します。広いアメリカですから、いまだマスクをしていない地方もたくさんあります。地獄を垣間見たニューヨーカーだからこそ、最低の義務として公共の場ではマスクをするようになっているのでしょう。

 ニューヨーク近郊の空港へも仕事で行きました。ラガーディア空港とジョン・F・ケネディ国際空港です。両空港とも、やはり便数自体が激減している現在、交通量も以前の比ではないくらい閑散としていました。しかし確実に国内便飛行機利用者は増えているので、今後の水際対策が、第二波の抑止に大きく関わってくるものと見られます。
 特にニューヨーク州は他州からの流入が、例外的に多い州なので、まだまだ安心はできない状況です。

 ブロンクスの町も仕事で行きましたが、町は平静が見られるものの、昔のような活気はみられませんでした。マンハッタンとはちょっと違う活気のなさです。
 多くの商業施設はカテゴリーに分けられ、段階的に再開が許可されているのです。にもかかわらずブロンクスの店は閉じたまま。すでに数ヶ月にわたるロックダウンの影響で持ちこたえられず潰れてしまった店が多いのです。閉じられた商店街のシャッターが痛々しく映りました。

 都心近くはこのように、まだとても今までどおりとはいえません。ニューヨークの他の地方では大型店舗が開き始めています。場所によっては出入り口が混雑している商業施設も散見しました。ですから今、買い物に行くには要注意です。本当に必要なものだけに的を絞って買い物の回数を制限するほうが賢明です。
 このように7月中旬、この時点でもニューヨーク近辺はそこかしこに緊張が漂っています。外へ出たいのは誰しもが持つ心理ですが、いまはもう少し我慢が必要な時期であります。
 ニューヨークへお越しの用がある方はご注意を。とくに人気の観光地はまだ安全とは言えません。外出にはよく場所を選んで、事前の情報収集を怠りなきよう、お願いいたします。

2020年7月19日日曜日

1億総アーティスト化時代


デジタルでお絵かき・みんなアーティスト



 タブレットの登場によって、グラフィックデザインの世界は一気に一般に広がりました。
 フォトショップやイラストレーターなど一部の愛好家やプロが使っていたグラフィック・ソフトがとても身近になり、趣味でイラストを描く人や漫画、アニメ・ファンらがこぞってデジタル・グラフィック・アートに親しむようになりました。市場はにわかに活気づき、いまやADOBE やCORELなどの先行メーカーのソフトを追いかける勢いでアプリが急増、使い勝手や親しみやすさをウリにしのぎを削っています。


2020年7月18日土曜日

アメリカでウケる盆栽

世界に広がる盆栽の輪

 

 外出を控えなければならないこの時期、我が家とご近所で俄然注目を集めているのが「盆栽」です。家内が鉢植え好きということもあって、我が家では随時いろんな植物の鉢植えが窓際や軒に並んでおります。私もなにげに4月頃、ウォルマートで買ってきたサボテンの鉢を育てていたのですが、近所のご婦人が庭越しにうちの鉢植えをやたら褒めてくれます。通りがかる度に植木鉢のことを言うので、なにか話をしたいのだろうと、ディスタンスをキープしたまま応対していると、どうやら彼女にも自慢の鉢植えがあり、それを見せたいのだと察しました。

2020年7月17日金曜日

ニューヨークの隠れ家

ウェストポイント鋳造所



 ニューヨーク州は夏になると各行楽地は人で一杯になります。今年は例外中の例外です。それでも行政指導による4月5月の強いロックダウン時期と比べると、観光客の人数は徐々に戻りつつあります。それでもやはりちょっと人混みは避けたい。そんな人のためにあまり観光客にも知られていない、静かな自然を満喫できる場所をご案内します。


2020年7月16日木曜日

アメリカで英語学習

オススメはBOCES

 

 アメリカに長く住んでいても、ただそれだけでは英語は上達しません。なにより自分で貪欲に英語を吸収する意欲が必要です。
 以前、日本人がたくさん住んでいた、フォート・リーというニュージャージの町に仕事でよくでかけました。いまでこそ日本人は激減し、代わりに韓国の人がたくさん住むようになった町です。かつてそこには日本のスーパーや病院、雑貨店や本屋もあり、日本人にとっては住みやすい環境でした。そこで知り合ったお年寄りや主婦の方々の多くが、英語が喋れませんでした。これは環境が日本語で通じる便利さに起因しています。すなわち、英語を使わずとも日常不便なことがなく、日本人同士の会話で毎日暮らせていたからです。


 私も渡米当初は、日系の会社で働いていたため、日本語環境に甘えて、英語の勉強をすることを怠っていました。そのおかげで、英語上達は遅れ、あとから来た後輩の日本人にも追い越されました。
 これはイカンと思い、いろいろ英会話学校も調べたのですが、学費教材費も加えて学習時間の確保など、さまざまなハードルが英語学習の妨げとなりました。
 そんな時、私が借りているアパートの大家が、英語を無償で教えてくれる牧師さんが
いると教えてくれました。ご存知のように、ニューヨークは人種の坩堝で、世界各国から来た人が暮らしています。そんな人のために教会がいろいろボランティアで支援してくれるところがあるのです。食料をサポートしてくれるところが多いのですが、私の近所の教会では、外国人のための英語教育をしてくれる牧師さんがいました。これはとてもラッキーでした。
 行ってみると、週に一度日曜礼拝のあとで、10数人の外国人を集めて英会話を勉強していました。私はここに3ヶ月あまりお世話になりました。非常にやさしい牧師さんで、日本にも行ったことがあり、日本人特有の発音の問題(たとえばLとRの聞き間違いなど)も熟知していました。ここでの3ヶ月は決して無駄ではなかったと思います。しかしここでは基礎の基礎が中心で、なかなかビジネスに役立つところまで行きそうにありません。そこでさらなるステップアップのためにどんなオプションがあるのか、再び模索し始めました。


 仕事をしながらどうやったら、英語力が上達するのだろう?
 悩んだ挙げ句、台湾から来た先輩に相談しました。彼は英語の知識ほぼゼロで渡米しながら、わずか1年あまりでビジネス会話ができるまでになった人です。
 彼はズバリ、BOCESへ行くことを勧めてくれました。
 BOCESは、1948年にニューヨーク州議会が設立した、公的教育機関です。ここのプログラムは、基本が就職支援で、就労に必要な知識や技術を教えてくれたり、学習の場を斡旋してくれたりするところです。ニューヨーク州内37箇所の支援基地があり、それぞれ多少異なったプログラム編成になっています。私が推薦を受けたところには、英語カリキュラムが充実しており、公立学校に引けを取らない授業内容でありました。しかもそれがみんな無料で、身分証明書さえあれば簡単な手続きだけで、いつからでも授業に参加できます。
 当初はそんなうまい話があるのかと疑問も多かったのですが、行ってみると納得します。ニューヨーク州管轄の公的教育機関なので、なにも心配せず参加できたのです。

 ここでは受講のスケジュールもすごく自由で、私も仕事帰りに立ち寄る気分で週に2,3回受講しました。講師の先生は、さまざまなバックグランドを持ったボランティアの人が多く、みんな熱心に英語の基礎から教えてくれます。しかも生徒はみんな就職を目指す真面目な人ばかりなので、教室の雰囲気もやる気を引き出してくれます。
 対面会話式の英語授業は緊張感もあり、即戦力になったと思います。パソコンを使った小テストが随時あり、生徒の進捗状況も把握されるようになっています。普通の英会話学校へ行けば月数十万もかかるところがありますが、内容はそれに匹敵するのではないでしょうか。生徒の中には生活に困窮した必死の難民のような人もいて、そういった人たちともカタコトの英語でいろいろ話をできたのは貴重でした。
 ここの授業は、文法関係は最低限のことしか教わりませんでした。変わりに浴びるほどの例文会話を繰り返します。そして先生からの様々なバリーエーションの質問に臨機応変に答えいていくのが基本講義です。はじめはトンチンカンな会話の多いクラスで始終笑いが起きていました。日本人の「間違ったら恥ずかしい」みたいな感覚は皆無で、みんなあけっぴろげにミスを笑うので、私も気にせず思ったままに発言できました。あらためてこういうオープンな環境こそ日本の中、高校の授業に必要だなと感じた次第です。


 私は事情で家を引っ越すまでの、1年2ヶ月をここで学び、いろんな英語表現を教わることができました。自宅で何をやっても長続きせず、身につかない自分ですが、こうした環境に身を置くことにより、大きく前に進むことができたと思います。
 そういうわけでBOCESは私にとってイチオシの英語学習機関です。(後に私は仕事のことで再びこのBOCESにお世話になることとなります)
 外国人にも大きく門戸を開いているので、ニューヨーク在住の方は、ぜひ最寄りのBOCESにお問い合わせください。


2020年7月15日水曜日

CD カセットプレーヤー

音楽をきく楽しみを教えてくれたオーディオ機器 


 

 長年愛用してきた CD カセットプレーヤーがついに動かなくなりました。去年あたりから CD の読み取りが怪しくなり、音飛びやブツブツ異音が目立つようになってきました。
仕事から帰ってきて、音楽を聴く時間は心身ともに私の心を癒してくれる貴重なリラックスタイムです。なのに気持ちよく聞いていたらプツンと音が飛んでしまったり、不意に聞こえなくなったりするのはどうにも耐え難いものになってきました。聴けば聴くほどストレスが溜まる一方。これでは何のための音楽かわかりません。
 購入してから20年近くが過ぎましたが、もう限定です。ただこのまま即粗大ゴミというのは忍びないので、 CDよりももっと古い、カセットテープのコレクションを聞きまくってから処分しようと思いました。
 年末、物置を整理していて出てきたカセットテープの収納ボックスを 引っ張り出してきて、CD プレーヤーの横に並べてみました。なつかしや、昔私が聞いたたくさんのカセットテープがずらりと並んでいます。もはや死語となった「ラジカセ」全盛時代のカセットがあるわあるわ、こんなに集めていたとは。当時私が聴きまくっていたレッドツェッペリン、ピンクフロイド、ジェネシス、イエス、エルヴィスコステロ、トーキングヘッズ、U2、ポリス、キッス、イーグルス、ヴァンヘイレン、ガンズアンドローゼス、ブルーススプリングスティーン、トムペティアンドハートブレイカーズ、エアロスミス等々。ああ懐かしや。聴く前からあの頃の魂の叫びがよみがえってくるようです。
 ようしこうなったら。
 このマシンをスクラップにする前に、カセットでとことん聴き返してやろう。そう意気込んだのですが。
 ところがなんと。あれれれれ?
 よりどりみどりの中から手に取ったカセットテープ、ローリングストーンズの「Steel Wheels」というアルバムを聴くべくプレイボタンを押したんです。なのにこの10何年前のカセットがいきなりぎゅうぎゅうと音を立てピタリと動かなくなったんです。
そんなまさか。いきなり沈黙かよ。久しぶりに「Rock and a hard place」聴けると思ったのに。
 私は焦りながら次のアルバム、サウンドガーデンの「Superunknown」をかけてみました。
 ああ、しかし。回りはしたのですが・・・。
 イントロからうにゃうにゃとへんなディストーション。歌が始まると、ほひゃへひゃ、わりゃへれ、となんだか脱力する間延びしたクリスコーネルの歌声が・・・。いやもう聴くに堪えません。CDのブツブツよりもっとひどい状況です。こりゃいかんと思ってあわててテープを取り出したら、ぐしゃぐしゃに絡まったテープが見るも無残に出てきました。
長らく使ってない間にテーププレーヤーの部分も相当ガタがきていたようです。なんでもそうですが、メンテの大切さを思い知らされます。
 もうアカン。阿寒湖や。とくだらないだじゃれもそこそこに、CDラジカセの再購入を検討する私でした。

2020年7月14日火曜日

カメラ業界のゲームチェンジャー

CANONのEOS R5



 デジタルカメラの世界でいま、大きな変動が起こりつつあります。スマートフォンのカメラ性能の向上に伴い、コンパクトデジタルカメラが瀕死の状態。カメラメーカー各社は構造的な変動を余儀なくされています。大衆向けのスナップ写真市場は諦め、高付加価値があり、差別化が容易なミラーレス・フルフレーム・カメラを主戦場にする方向に舵をきったのです。もう薄利多売は捨てて、高級路線で生き残りを計るというものです。
 現についこの間、オリンパスがカメラ市場からの撤退を発表し、この業界は大いにどよめいております。フィルム時代からデジタルに移行したときに匹敵するような、カメラ市場の激変が起こり始めているのです。
 そんな中、先日キャノンから一部で先行発売が開始されたハイエンドのフルフレーム・ミラーレス・カメラが俄然注目を集めています。
 開発発表の段階から、そのスペックの高さがハイアマチュアを中心に大いにバズっておりました。蓋を開けてみると、やはりその実力は只者ではないようです。

 透けて見えるのは、まずこのカメラをプロカメラマンに使ってもらいたいという、意欲の現れです。ご存知のように、フルフレーム・ミラーレスの市場はいち早く先鞭をつけたSONYが頭一つリードしており、キャノンはなんとしても独走を阻みたいのです。EOS R5のスペック発表を受けたカメラファンはどよめきました。まさにすげえの一言です。
 このEOS R5、まずは45MPセンサーを搭載した高解像度モデルで、高感度はもちろんあらゆる撮影現場に対応できる余裕のスペックです。プロの厳しい撮影現場の要求を想定した作りが半端ないのです。
 本機は間違いなくこのハイスペックなイメージセンサーを中心に構築されており、8K Rawでのビデオキャプチャをサポートしており、これはキヤノン初のものです。また5軸手ぶれ補正システムの上にイメージセンサーをマウントしているのも特徴です。

 デザインでは、第一世代のEOS Rと比較して、人間工学的にいくつかの歓迎すべき変更があります。操作レイアウトは一眼レフカメラの5D Mark IVを彷彿とさせる配置となっているため、古くからのキャノン愛好者には馴染み深いデザインでありましょう。
 深めのハンドグリップと角度のあるシャッターレリーズは、キヤノンのデザインの特徴です。他のカメラと同様に、電源スイッチはシャッターから離れているので、撮影中にカメラの電源を切ってしまう心配はないありません。背面の操作系も見栄えが良く、フラットなコマンドダイヤルとオートフォーカスコントロール用の専用ジョイスティックが追加されました。
 ボディ自体はキヤノンのプロ基準で作られています。5Dシリーズの一眼レフカメラと同じように、マグネシウム合金製の筐体に耐候性を備えたタフなボディです。タッチ液晶はヒンジ式なので前方を向くことができ、EVFは576万ドットの高精細な解像度を実現しています。
内部の技術も充実しています。モニターの端から端までのフルオートフォーカスを実現し、メカニカルシャッターでは最大12fps、電子シャッターでは20fpsで被写体を追尾できます。
それは、人や動物の顔や目の検出を含む被写体認識をサポートしています。最近のキヤノンは動物検出では、ライバルやニコンやソニーを超えており、今回さらに犬や猫に加えて鳥でも動作すると発表しています。これが本当だと、野鳥撮影好きにはたまらない機能ですね。

 メモリーカードスロットは2基搭載。8K RawキャプチャーにはCFexpressカードが必要で、Rawイメージングバッファを180ショットまで拡張できるそうです。2つ目のスロットはUHS-IIスピードに対応したSDXCで、圧縮された映像や1回のバーストで87枚のRawショットを撮影できるって、これすごい余裕です。画像はHEIFまたはJPG形式で保存することもできるということです。
 このEOS R5、何といっても注目の8K Rawビデオですが、今入ってきた一部情報によると、熱問題が発生してるとのこと。これはちょっと気になるニュースです。
 R5は最大30fpsで8Kを記録することができるとされていますが、8Kはまだ一般的には使途不明です。いらないんじゃないかな。4Kを120fpsにプッシュすることもできるようなのでそちらで十分です。
 キヤノンはEOS R5の出荷はアメリカで今月末に開始する予定だそうです。価格はボディのみで3,899ドル、RF 24-105mm F4 L IS USMズームレンズとのキットで4,999ドルとかなり強気の設定。でもこのスペックならプロは飛びついても不思議ではない価格です。
 あとは批評家ならびにハイアマチュアの反応がどう出るかで、売れ方も大きく変わってくるでしょう。いずれにせよ本機はキャノンの本気丸出しの目玉商品。本機の売れゆき動向に全カメラメーカーいやカメラ業界全体が注目しているのは確かです。

2020年7月13日月曜日

アメリカで売れる日本のSUV

日本車は生き残れるか



 日本車がアメリカ市場に参入して以来、すでに70年近くの月日が流れました。いまどんな日本車が売れているのでしょう。
 まず全体像から言うと、アメリカの自動車市場は堅調ですが、セダン・タイプの車は2014年をピークに売れ行き下降傾向が続いています。入れ替わるようにSUVタイプの車が売上を伸ばし、2018年から販売台数は逆転しています。これはアメリカの自動車史上、画期的な転換期に達したと言われています。日本のワンボックス・カーというカテゴリーは存在しないので、実質上いま一番売れるのはSUV(クロスオーバー含む)です。(厳密にはアメリカでワンボックスカーに相当するカテゴリーはピックアップトラックで、これはSUV以上に売れていますが)
 米国においてミッドクラスのSUVは激戦区で、日本のメーカーは人気、売上ともにリードしているものの、決して予断をゆるさないデッドヒートを繰り広げています。
 とくにこのクラスは競合車がひしめいているのも特徴です。
 
 トヨタ:RAV4 
 日本でも第5世代のRAV4が復活して話題になりました。アメリカでもRAV4は、デビュー以来ずっとトップクラスの人気を維持し続けており、実質SUVのパイオニアにしてブームの牽引役を担ってきました。ひさびさにフルモデルチェンジした最新のRAV4は、スタイルが斬新です。多角形を多用してよりアグレッシブな印象を与えました。4WDで走行中、車が自動でガソリン効率を計算し2WDに切り替わる省エネ設計。ハイブリッド・モデルも発売と同時にこのクラスで一番の売上を記録しました。
 スバル:フォレスター
 この車種も歴代シリーズが売れに売れまくっています。私も過去愛車として使用していました。なんといってもステアリング性能がとても素晴らしい。多くのアメ車を乗っていて気になるのが、このハンドルの切り回し感です。遊びが大きいせいか、大味の調整がどうしても気になります。とくにヘアピンカーブが連続するコースなどだと、その差は歴然です。その点フォレスターは、どんなコーナーリングでもイメージ通り、寸分の違いもなく走行してくれます。このきめ細かさこそ、日本の匠だと感じるのです。
 マツダ:CX-5 
 アメリカでは、現行マツダ車のラインアップはシンプルです。このSUVでは小さいモデルから順にCX-3、CX-5、CX-9。セダンのほうはMazda3、Mazda5。あとはCX-30やハッチバックといった派生バージョンのみです。これまでアメリカの数ある自動車メーカーの中で埋もれがちだったマツダ車ですが、全車種フルモデルチェンジした5年前を契機に、アメリカでも一気にマツダ人気に火が付きました。なんといってもスポーツカーと見紛うばかりのスピード感に溢れたデザインが注目されました。そしてアメリカでも称賛を浴びるあのマツダの赤色です。ソウルレッド・プレミアム・メタリックと呼ばれる独特の光沢をはなつ色彩が、路上でもとても目を引く魅力に満ちています。
 日産:ローグ
 2007年アメリカでデビューするや、売れに売れた商品です。アメリカではサブコンパクトSUVにカテゴライズされるこの車ですが、日本人には普通にミドルサイズです。5人乗り仕様ですが、室内はやや狭めで体格の大きいアメリカ人には後部座席3人は無理。しかし適度な小型感がウケたのか、若い人を中心に支持者層はどんどん広がりました。パワー不足は否めませんが、安定した走行には定評があり、今後もこのクラスの標準車として人気を維持し続けていくでしょう。
 ホンダ:CR-V
 アメリカで道を走っていて、どのSUVが多いかと言うと、このCR-Vに並ぶものはないでしょう。それくらいすごいシェアを誇っています。エンジンの基本性能が素晴らしく壊れにくいのも評判で、4,5世代前の古いモデルが普通に今も走り回っています。一回り小さな弟分のHR-Vもデビューしてすぐ若い世代を中心に大人気となりました。この二台でホンダはアメリカの中、小型SUVの市場をリードしていくことは想像に難くありません。

 さてこれら日本車はすべて人気、売上トップクラスではありますが、そううかうかしてはいられません。アメ車はもとより、ヨーローッパ勢も小型中型SUVに本腰を入れてきています。

 シボレー:これまでEQUINOXはやや大ぶりで、サイズ的に必ずしも日本のミドルSUVと競合しなかったのですが、デザインを一新して新たにこの市場に参入してきました。しかしシボレーはその上のクラスのBLAZERがものすごいスポーティかつ斬新なデザインで再スタートを切ったので、こちらのほうが注目度が高めでしょう。
 ドッジ:かつてDURANGOはガソリン消費率がひどかったのですが、新型は軽量化を図り人気も上々です。JOURNEYは廉価版SUVですが3列シートの強みがあります。
 ジープ:数年前にデザインを一新して以来、これまでのワイルド系おっさん自動車メーカーが生まれ変わりました。デザインではいまアメリカで一番来ているメーカーでしょう。主力商品CHEROKEEは細目のハロゲン・ヘッドライトが精悍で話題を呼び、RENAGADEもユーモラスで独特の箱型スタイルが可愛いと話題になりました。
 GMC:多くの自動車ブランドを傘下に置くアメリカ最大手のGM。TERRAINやACADIAがこのクラスの競合車種となりますが、これまでは大型車主流の販売戦力だたので、いまだ人気車種を生み出すには至っていません。
 フォード:日本車をとても意識したサイズ感のESCAPE。エンジン仕様やパワートレイン、内装に至るまで日本車かなと思わせる出来ですが、売れ行きはいまいちのようです。しかしフォードといえばEXPLORER。こちらはもはや大型SUVの売れ行きナンバーワンの地位を不動のものにしています。なにせ全米の警察が主要パトロールカーとして導入していますから。
 フォルクスワーゲン:ヨーロッパ勢ではスワーゲンのTIGUAN、ATLASが日本車の強力なライバル。燃費も日本のそれと引けを取らず、安定した走行性能でもアメ車を頭一つ先んじています。落ち着いたデザインも日本にはないタイプで評価も別れます。
 ヒュンダイ:侮れないのが韓国産のヒュンダイとKIAです。日本では知られていませんが、アメリカの自動車レビューで影響力のある、US News誌などでは近年、日本車、アメリカ車より高い評価点が付くのが目立ちます。それに裏付けされるように、販売実績も右肩上がり。TUCSONやSANTAFEが売れ筋ですが、気がつくと現時点SUVは7車種も出ています。小型から大型、ハイブリッドに電気と、まさにスキのないラインアップ。いかにアメリカ市場に力を入れているかがわかります。

 以上、中型SUVを中心としたアメリカでの車事情をお伝えしました。依然として日本車の人気および信頼性はゆるぎませんが、今後は間違いなくエレクトリック・カー、そして自動運転が販売戦略のキーポイントとなって行くでしょう。日本車がリードを守っていくのかどうか、今後の動向に注目が必要です。

2020年7月12日日曜日

アメリカの発毛剤

やっと見つけた薄毛対策の決め手

 

 私、いま自分の頭髪を守るのに必死です。ええ、ちょっとやばい感じで髪の毛が抜け始めているのです。私はもともとくせ毛で髪の毛一本一本が太かったため、ハゲとは無縁だとおもっていたのでこれは予想外でした。脱サラはとうの昔にしましたが、脱毛の方は、まだずっと先の心配事だと思っていたのです。手遅れになる前になんとかせねばと、いろいろ試行錯誤し、かれこれ一年近くになります。ここでは、いろいろ調べて実行し、現時点で行き着いた対策を述べたいと思います。 

 一昨年ほど前でしたか、風呂上がりの時なんだか頭の上がスースーするなと思って、鏡で自分の後頭部を見てギャッと叫びました。なんと地肌が見えるほど毛髪が激減しているではありませんか。いつも前髪ばかりに気を取られていて、まさか後が激しく後退しているとは思いもしなかったのです。それはもうショックでしたが、そのとき思い出したのが、10年ほど前のある出来事です。

 アメリカのとあるコンピューター大企業、IBMに次ぐ電算系の会社のイベントに参加したときのことです。もともとは社員とその家族のレクリエーション企画だったものが、地域住民も参加できるようにした家族向けのイベントです。コンピューターの可能性を千台するものが中心で、当時では耳慣れないAIなどという言葉もここで知りました。人と会話するロボットとか、遠隔操作で手術のデモンストレーションをする機械、ネジなどの不良品を瞬時に選別するベルトコンベアーなどが展示されていました。その中で、人物を3Dカメラで写真撮影して、将来の姿をモニターでシュミレートするマシンがありました。長い行列を待って自分も試してみました。単純に自分の20年後はどうなっているだろうかという興味からです。ところが映し出された初老の私の頭はなんとシッカリ禿げていたのです。

「うそだろ!」私はこのシュミレーションを信じませんでした。私の額が人よりちょっと広めだったので、このコンピューターは適当に拡大解釈したのだろう、ぐらいにしか思わなかったのです。現に私の祖父も父も髪は濃いほうで、白髪にこそなれ、禿げている親戚を見たことがないのです。もちろん兄弟も父方母方のいとこにも顕著に禿げてる人は記憶がないのです。

 コンピューターのシュミレーションなんか信じるものか。とうじは固くそう思ったのですが、今そのときの衝撃は現実味を帯びてきています。私の髪はいままさにあのときコンピューターが予測した通りのハゲ方へと向かっているのです。

 よりによってなんで私だけが………という感は否めません。いとこの兄ちゃんたちもみんなふさふさだぞー。唯一考えられる要因は私一人が若くして渡米して、生活環境が違ってきた、ということです。でもねえ、アメリカにきたからハゲるというのはちょっと考えにくいし、ほかに環境、遺伝以外の要因があったとしか思えません。

 いずれにしてもはげかけたモノはしょうがない。なんとか対策を講じるしかありません。

 月並みですが薄毛対策で真っ先に思い浮かんだのが、養毛剤、育毛剤のたぐいです。

 アメリカで手に入る薄毛対策の養毛剤などをいろいろリサーチしてみました。しかしこういったものは短期決戦ではなかなか効果が得られません。

 少なくとも4ヶ月以上は続けないと効果は顕著に現れもないものだと思っています。

 それにアメリカの商品の中には怪しいものが多いと聞いていました。なかには頭皮がぼこぼこになって痒みが消えなくなったという恐ろしい体験談も聞かされました。

 なのでしばらくは店頭で手に取ってみて恐る恐る内容を確認しては、店の棚に戻すということを繰り返していました。

 それで思い直し、こういったものはまず日本で評判のいいものからと思い、実家の親に頼んで日本で売れ筋の商品を送ってもらうことにしました。

 送られてきたのは、カロヤンガッシュ、スカルプD、リアップなど。およそ3−4ヶ月単位で順次ためしていったのですが、いずれも5ヶ月目に顕著な結果が得られなかったのでどうしようかと思案することになりました。(ちょっと性急過ぎたかも知れませんが)。いずれも結構値のはる商品なので、親にそこまでたよっていいのかという悩みもありました。

 それで一年後、わたしは意を決してアメリカの商品に手を出すことにしました。

 それがこのequate社のHair Regrowth Treatmentという商品です。直訳すると「毛髪再生剤」というひねりもなんにもない商品名。このequate社はジェネリック医薬品を主に扱う中規模医薬業社だったのですが、近年大手量販店ウォルマートに買収されて以来、急成長をとげた総合医薬メーカーです。わが家ではこれまでもアレルギー対策薬や高血圧の補助サプリメントを愛用しており、一定の信頼を得ておりました。注意書きをみると、リアップX5同様、ミノキシジルが5%はいっています。

 ご存知の方も多いと思いますが、日本でもアメリカでも公式に発毛効果があると認められているのはミノキシジルだけです。しかも安い。ウォルマートならこの商品、リアップX5の4分の1の価格で手に入るのです。当時バリバリのウォルマート・ヘビー利用者、自称ウォルマーターだった私は一も二もなくこの商品に自分の頭髪の将来を託しました。

 正直、最初は半信半疑でしたね。大丈夫だろうか。はたして本当に効果が上がるのか、あるいは変な副作用がないのかと、恐る恐るという感じでした。がとにかく使用説明書をよく読んでその通りに毎日毎晩続けました。その結果、4ヶ月後になんと薄毛の部分に淡い新しい毛髪が生えてきたのです!

 これはもう感激しましたね。さらに続けること2ヶ月半。懸念されたかゆみなどの副作用もほとんどありません。これは使えると思いました。やはりこの中の主成分であるミノキシジル5%が決め手のようです。こうなれば続行あるのみ。

 こうしてこの毛髪再生剤を続けること10ヶ月。有り体に言えば、それ以上の劇的な変化こそないもの、少なくとも産毛は育っています。消え去った部分が復活した。その事実はないより得難いものです。私はこれに賭けて見ようと思います。

 もし興味がある方は試してみる価値はあります。もちろん効く効かないは個人差もありますので保証はしませんが。少なくとも私には効果が現れましたので嬉しい限りです。今後もこの商品を続けて使用して参ります。より明確な効果が出たら追加レポートをしたいと思います。半年後が 楽しみであります。(男性用女性用があるので注意してね)


2020年7月11日土曜日

名門ブルックスブラザーズ危うし

アメリカで相次ぐ経営破綻



 ついにアメリカ紳士服の老舗、ブルックスブラザーズが破産法第11章を申請しました。
いまコロナウィルスの影響で、数多くのアメリカ企業が倒れています。
 5月にはフィットネスジムの大手ゴールドジムが破産申請しました。ついで大手百貨店J.C.Pennyが同申請、レンタカー大手のHertzも白旗を上げました。7月に入ってあのシルクドソレイユも破産申請。そしてここにきて、名門ブルックスブラザーズです。アメリカではポールスチュアートやラルフローレンと並ぶアメリカン・ファッション・ブランドの最大手です。
 創業1818年、ニューヨークで誕生したブルックスブラザーズは、アメリカで最も古い紳士服の仕立て屋として親しまれてきました。アブラハム・リンカーンやジョン・F・ケネディ、バラク・オバマら歴代の大統領も御用達だったそうです。ほかにも、ニューヨークゆかりの多くの著名人に愛されてきました。なかには「路上」のジャック・ケルアック、ポップアートの旗手、アンディ・ウォーホルなどもいました。作家のスコット・フィッツジェラルドはブルックスブラザーズ・スーツの熱烈な支持者として知られ、著書にもその愛着ぶりが記されています。映画「華麗なるギャツビー」ではブルックスブラザーズは衣装を担当し、レオナルド・ディカプリオらが華麗にそのスーツを着こなしていました。
 スーツと言えば、最近はドラマ「SUITS」などでトム・フォードなどの比較的若い人向けのよりカジュアルなスタイルを重視するブランドがもてはやされています。古き良きアメリカを体現するブルックブラザーズはコロナ以前から業績は下降気味で、数十店の閉店は既定路線だったそうです。名門とは言えども、今の若いオフィスビジネスマンたちの嗜好を読み切れてはいなかっったのかも知れません。
 もう10年以上前ですが、私が仕事で知り合ったお客さんで、ウォール街で働く若手の証券マンがいました。彼は私より若く30代の頃から、パリッとしたスーツを着こなしていました。あるとき彼がスーツを誂えに行くので付き合ってくれ、と言われました。普段は運転業務だけのお付き合いでしたが、冬物の新しいスーツが欲しいので、どれが似合うか見立ててくれというのです。それで行ったところがマンハッタン、マディソン街のブルックスブラザーズ本店です。
 もちろん私などには縁遠い高級洋品店です。運転業務用の煤けた安物ジャケットを羽織った私は、入店すらはばかられそうな格式高い店舗でした。私はひたすら証券マンの彼の背後について歩き、客ではないことをアピールしようとしました。店員たちは実にピシッとしていて、ちょっと声かけづらい雰囲気でしたかね。
 証券マンの彼は手慣れた様子で、店員に何やら注文を出しています。服一つ作るにも随分念入りに話し合いが行われ、店頭にないものはいちいちバックに引っ込んで別のサンプルをとっ変えひっかえ見せては解説していくのです。
 その間、私は店内をさり気なく物色していました。スーツは無理でもシャツぐらいはひとついいものが欲しいかな、なんて軽い気分で値札を見て、目を疑いました。120ドル、140ドル、200ドル。いや生地は良さそうだな、デザインもかっこいいです。それぐらいわかります。し、しかし一見なんの変哲もないフツーのドレスシャツがなんでこんなに高いの? ってことです。普段、安売りショップなどで少しでも安いシャツをと心がけている私には理解不能な価格帯でした。
 冷や汗を吹きながら、じゃあネクタイぐらいはココのブランドのをひとつ買って箔をつけようと見て回りました。ところがセール中のネクタイですら80ドル前後。普通に100ドル以上で売っております。ああ、ここはもう住む世界が違う、そう思いましたね。これでもアメリカブランドは、ヨーロッパのトップブランドより安いほうなんですから、上を見ればキリがありません。
 同行した証券マン君はザイズを測り終え、とても上機嫌で店を出ました。確認したわけではありませんが、この日彼がオーダーしたスーツは、最低でも4000ドルはくだらなかったことでしょう。
 というわけで、ブルックスブラザーズは私にとって、ステータス・シンボルの権化のような存在でした。それが今回、経営破綻したというのは、じつにショッキングな出来事でした。この時代、いかなる企業でさえも、対応を見誤ると一寸先は闇なのだと、教訓を持って思い知らされるニュースだったのです。

2020年7月10日金曜日

必見 傑作ミュージカル

ハミルトンが大画面でよみがえる

 

 まさかあのブロードウェーの大ヒットミュージカル「ハミルトン」がストリームングTVで観られるようになるとは思いもしませんでした。ついに「DiIsney+」に登場です。
 このミュージカル、数年前にディズニーが映画化すると聞いて、興味津々だったのですが、蓋を開けてみると、それはブロードウェーの舞台そのものを複数のカメラと編集で、映像に再現するというものだったのです。当初は、劇場公開を目指して作られたものだそうですが、予定を変更し、一気にストリーミング公開へと踏み切りました。
 舞台に関わる人にとっては、これは首をかしげる企画だったかもしれません。ミュージカル・ショーはあくまで、観客が劇場に足を運んで、役者のナマの演技を観ることにその意義があるからです。
 しかし時代の要請というのでしょうか、いみじくもこのコロナの時代に、舞台という舞台はすべて休止。多くの舞台、演劇関係者が頭を抱えているこの時代だからこその新しい観劇スタイルではないでしょうか。
 私はこれを観て、こういう演劇の見方もありだと思いました。なによりもカメラワークが考え抜かれ作られているからです。わたしも昔、カメラ・クルーとしてドキュメンタリー映像に関わったことがありますが、お芝居をフィルムに収めるのは想像するほど簡単ではありません。ただカメラを舞台に向けるだけなら誰でもできます。そこには創意工夫に加え、高度な撮影技術と舞台空間に対する深い造詣が必須なのです。
 しかしこの映画のカメラワークは素晴らしい! 劇場の臨場感を補って余りある、カメラの寄りや引き、アングルが素晴らしいこと。ここぞというときに役者の表情が映し出されると、おもわず唸ってしまいました。これは劇場の後ろの方の距離からでは味わえない醍醐味です。観ていて思わず引き込まれましたね。それでいて舞台の演出を損なわずに俯瞰するカメラ効果も考え抜かれていて、舞台に対するリスペクトも感じられます。これはかなり映像制作チームが舞台のこと、観るも側の気持ちを考慮して作ったものであると断言できます。いままでのような、ただ舞台を撮影しただけの記録フィルムとはまったく別物なのです。
 もちろん素材である「ハミルトン」自体が傑作であり、それなくしてはこの映画も生まれなかったことは確かです。
「ハミルトン」脚本が本当に面白い。ブロードウェー公開時、記録破りの大ヒットになった理由がわかりました。2016年にトニー賞やグラミー賞など名だたる賞を総なめにし、チケットが一年先まで完売という、凄まじい記録を作りました。話題を聞いて見に行きたくなったものの、とてもチケットが手に入る状況ではありませんでした。しかし、こうやってついに実物を映画として観ることができたのです。

 主人公のアレキサンダー・ハミルトンは米国建国の父の一人と位置づけられていますが、この舞台以前はそれほど目立った知名度ではなかったと思います。こどもたちに聞くと、歴史の授業で名前は覚えていたが、何をした人かは知らない。とのこと。アメリカ独立戦争の時代はジョージ・ワシントンはじめ、ベンジャミン・フランクリン、トマス・ジェファーソン、ジョン・アダムスなど傑出した人物が多かったので、つい埋もれがちだったのでしょう。ハミルトンはおそらく一般市民にとってもそれほど馴染みのある人物ではありません。すこし歴史に興味のある人なら知ってるよ、と答えるであろう、それくらいの人物です。明治維新の日本人で言えば、坂本竜馬や勝海舟、西郷隆盛に対する中岡慎太郎みたいな立ち位置じゃないでしょうか(ちょっと微妙)。
 しかしハミルトンを主役に据えるアイデアは、まさに慧眼でした。彼を軸に歴史を紐解くことで、当時の激動のアメリカがどうなっていたのか、はっきり浮かび上がってきます。同時に彼の人生を通して、関わった人々の悲喜こもごもがとてもリアルに伝わってきます。
 実質このミュージカルを企画・制作したのはハミルトンを演じる舞台俳優リン=マニュエル・ミランダ。彼の企画力がすべての成功の源でしょう。
 なかでも話題だったのは、配役と音楽。アメリカ史において、主だった歴史上の人物は西洋人のみという史実を覆し、このミュージカルでは多くの黒人が建国に関わった人々を演じています。しかも歌われる曲の大半がヒップホップ。これはいまだ人種差別が横行するアメリカ社会にあって、画期的な試みでした。またこのショーの成功はニューヨークのブロードウェーだからこそなされたものかもしれません。
 とにかくこのミュージカル・プラス・映画、すべての人におすすめです。こんな傑作を自宅で観られる時代が来ようとは、思いもよりませんでした。

2020年7月9日木曜日

どうなるアメリカの家

進むスマートホーム化



 コロナ・ウィルスの影響で生活様式がステイホームという潮流へと流れが加速しています。
 アメリカでは収束どころか、まだまだ感染数は増加傾向にあり、この事態は当初の予想を遥かに超え、長期化へと向かっているのが現実です。ニューヨーク・タイムズやフォーブスの記事でも先月あたりから、この長期化を懸念する警鐘を繰り返し鳴らしていますが、もはやこれを疑う人はいないでしょう。少なくとも、この秋までに収束すると考える人はこの7月初旬の現時点では皆無でしょう。

4月頃、多くの人は夏のバケーション・スケジュールを変更し秋に延期してきましたが、まだ甘かったようです。秋どころか、クリスマス・シーズンの買い物さえ、危うい情勢です。ニューヨークも公立、州立大学はすでに、9月からの新学期をオンラインで始めると宣言しています。

 気の毒なのは今年のお子さんたちです。高校の卒業式も大学の入学式も、全てオンラインということで。これはしかし将来の教育システムを先取りするものかも知れません。いずれ多くの大学がオンラインによる学科・カリキュラムを導入することでしょう。とくに留学生の受け入れは、大学をビジネスの観点から見ても必然的なながれです。将来は、留学生は実際にその国の大学に行かなくても、オンラインで授業を受け、学位を取得できるようになるはずです。

 アメリカは来季の留学生に対し、入国を拒否する代わりに、そうやって渡米しないで自国で授業を受けられるようにするそうです。将来はかならずこうなります。今回は図らずもそういった未来の教育システムのさきがけとなるものなのかもしれませんね。


 さてスマートホームの話ですが、日本でもトヨタ、パナソニック、ミサワホームが共同で会社を起こしたように、家を起点として、移動に利用する車、そして仕事先までを一つの生活圏として、すべてオンラインで結んでしまおうというコンセプトですが急速に進んでいます。そこから生まれてくる新しい生活スタイルは、いまのステイホームの潮流とちょうど合致します。まさに時代の要請ですすむスマートホーム化なのです。
 たとえばいま考えられるのは、車で帰宅する間に、思いついたその日その日の必要事項を音声入力して、家ですべきことを事前に始められます。食器洗い、洗濯、掃除、エアコン、風呂、夕食の準備。これらすべてが帰宅前に完了します。(できないものもあります)全てとは行かなくとも、必要最低限のことは終わらせてくれます。

 一人暮らしの人には特に便利です。家に家族の人がいて、AIと協力することによって、より完成度は強化されるかも知れません。いずれにせよ、こういった日々の必要事項はAIの仕様に慣れることにより、より使い勝手が良くなっていきます。AIのほうも日々学習し、進化していきますから、それにともなって必要なハード面の補充も進んでいくと思われます。

 AIなら当然彼らが仕事しやすいように効率的に必要なツールなどの情報を積み上げていく。それらのビッグデータを企業が吸い取り、必要なモノをプロダク化して、スマートホーム化に役立ててゆくのです。
 これが21世紀の新しい生活様式を勧めていく基本的なスタイルです。いまはちょっと想像しにくいかも知れませんが、こういった流れはすでの多くの企業が実現化に向けて動き出しています。こう聞くと、なにもかも機械任せで、人生楽しくないのではと懸念する向きもあるようですが、それは利用する人間側の意識次第だと思います。
 生活の中の作業効率が向上すれば、開いた時間ができます。その時間を自分の好きなことに充てることができます。やがて人は必要最低限の仕事を一日3,4時間でこなし、あとは趣味や娯楽、健康、体力作りに役立てていくのです。そういう時代ははるか先ではなく、もう目の前に来ているのです。

 だからみなさんはいまの自粛ムードを悲観的にばかり捉えるのではなく、やってくる新しい生活スタイルに備える、予習の期間だと捉えればいいのではないでしょうか。私は、この苦難の中にも、将来の明るい兆しをもとめて、日々前向きに過ごそうと心がけています。


2020年7月8日水曜日

アメリカ製アイスクリーム再び

うまいアイスクリームはどれ

 

 アイスクリームが美味しい季節です。先回はBen & Jerry Haagen Dazsをイチ押ししましたが、アメリカ製のアイスクリームにはまだまだ美味しい製品が目白押しです。というわけでもう少し掘りさげてみましょう。

 日本ではアイスと言えば、個々人で好きなものを選ぶのが常識というか、疑いないことです。しかしアメリカのファミリーでは、家族でシェアするという感覚が高いのです。もちろん一人分、個別に売る商品もたくさんあります。行楽にでかけてどこかで食べるスタイルも日本と一緒。ただいつも家の冷凍庫に常備しているものに限っていえば、家族がいつでも食べられるように数種類の大箱アイスをストックしておくのが普通です。もちろん日本人のみの家族はその限りではありませんが。

 うちが買うのは、1.5QUARTつまり約48オンス入りのアメリカで一番ポピュラーな容量のやつです。これなら四、五人が食べても一箱で二、三日は保ちます。うちはだいたい四箱が常備水準で、残り一個になると必ず私か妻が買い足しに行きます。あ、もちろんなくなることもありますよ。少なくとも夏の間はほとんど切らすことはありませんが。とにかくアイス好きの家族なのです(笑)

 ただひとそれぞれ好みが違うので最近は選択に一苦労します。家族みんなが不満を抱かないよう、まんべんなく様々なブランドから、違う種類のアイスクリームを買うよう、心がけています。特に近年はこのクラスのアイスクリームもシェア争いが熾烈になってきていて、どのメーカーも次々に新種のアイスを繰り出してきています。

 なかでもシェアではトップを走るターキーヒル・アイスクリームです。もう半径100キロ圏内、どのスーパーマーケットに行っても必ずおいているトップブランド。日本でいえば明治、森永、グリコといったところでしょうか。こってり甘いチョコレート系のものがよく売れていて、こどもから大人まで楽しめる万人向けアイスです。

 それに対抗するのがブライヤーズ。フィラデルフィアにて創業1866年の老舗。日本では薩長同盟が結成され、アメリカでは南北戦争が終結した年にアイスを売り出したっていうんですからもう長老級です。近頃は大手菓子メーカーとのコラボ商品を売りにしており、そのユニークさで注目を集めています。

 アイスの人気者といえばフレンドリーズをぬきには語れません。レストランチェーンのフレンドリーズでのみ食べられるアイスがスーパーで売られるようになったとき、子供たちは狂喜乱舞したといわれます。目を引く赤いパッケージが子供たちのハートをとらえて離さないのは、色どり豊かなアイスだからというのもあるのでしょう。

 ユニークさではイーディーズがピカイチ。同等の容量でも円筒形の紙パッケージで勝負。上品でまろやかなくちあたりで、味にもこだわりがあります。ちょっと大人なコーヒー味やミントチョコなどは他社の追随をゆるしません。来客の時もこれを出せばまず間違いなし。

 後発ですが、他社より廉価であか抜けたパッケージで若者にアピールするのがブルーバニー。ちょっとおしゃれなカフェとかでも食べられそうなモダンな品ぞろえで先行各社に挑んでいます。

 もう一つ、最近よく目にするのが、こちら、フードというブランドのアイスクリーム。シンプルでやや物足りないパッケージながら、よく見ると「Oid Orchard Beach Whoopie Pie」や「Maple French Toast」などどんな味なのか意味不明のサブタイトルが興味をそそるアイス世界のニューウェーブです。

 他にもスーパーのアイスクリームコーナーは百花繚乱。眺めるだけでもなんだか楽しくなってきます。こんな寒い毎日だからこそ、あったかい暖炉の前でおしゃべりしながらアイスに舌鼓を打つのは、我が家のささやかなぜいたくなのです。

2020年7月7日火曜日

夏フェス、相次ぐ中止

ロックはどこへ行った?



 今年の夏は、音楽ファンにとっても残念な事になりそうです。
 夏といえば野外フェス。日本でもフジロック・フェスティバルやROCK IN JAPANなど大規模な音楽フェスティバルが相次いで中止が決定されていますね。ファンにとってはガックシ失望の夏となってしまいそうです。それでも諦めずに調べたら、まだ保留中のものも含めると、日本各地で開催予定というものがけっこう有りました。それぞれのサイトでコロナ対策の内容や有無も記載されています。転載してもいいのですが、その後の変更・アップデートなどには対応しかねますので、それぞれでお調べいただくのがよいかと存じます。
 私個人としては、どんな対応策があるにせよ、行かずに我慢するほうが賢明だと思っています。いかに現地で対策が取られていようとも、そこまで行く間に様々な接触懸念が予想されるからです。電車はもちろんのこと、車で行っても途中トイレや食事、給油などで立ち寄るたびに、人との接近を余儀なくされるからです。自分は気をつけていても、たくさんの人が集まる場所に近づくリスクは、向こうからやってくるものだと考えたほうがいいでしょう。
 私も音楽が好きなので、生で演奏を聴きたいという気持ちはよくわかります。しかし今この現状では、コロナ・ウィルスの減少に貢献することが最優先だと考えます。今夏は我慢して、配信ライブなどに期待を持ちましょう。

 アメリカもフェスやイベントに関しては同様です。、現在の所、マンハッタン・セントラルパークで恒例の野外無料クラシック・コンサートも中止の意向です。4月頃にはズラッと並んでいたスケジュール情報も、6月に入って刻一刻と変化していきました。いまも実施か中止の判断はそれぞれの行政指示に従い、変化する模様。大規模なものは早々と中止を発表していました、7月後半から9月にかけてのスケジュールはまだ不明のところも多いです。
 そんな中、CITYPARKS FOUNDATION(シティパークス財団)という、ニューヨークの非営利のイベント管理団体は、新しいプログラムを打ち出しました。
 それはSUMMERSTAGE ANYWHEREというものです。これまで企画していた今夏のイベント・スケージュールを再編成し、すべてデジタル配信でみんなが鑑賞できるようにしたのです。この財団の主催するイベントは、もはやニューヨーカーにとって欠かせないエンターテイメントばかりだったので、地元市民はもちろん、毎年遠路はるばるやって来る州外の音楽、演劇ファンにとっても、嬉しいお知らせです。
 このようにいまアメリカでは、ショービジネスのスタイルの見直しが急速に進んでいます。
 今後シティパークス財団の企画同様、どこでも誰でもショーを楽しめるアイデアは、実現化していくでしょう。Coronaの時代はそうしないと、文化芸術が萎縮してしまうのです。これからは5Gの高速大容量通信技術により、かつてないストリーミング・ビジネスが生かされるようになると言われています。今後ぜひとも、生ライブに負けないぐらいの、配信技術を駆使した新しいスタイルのエンターテイメントが育つことに期待致します。


2020年7月6日月曜日

アメリカで趣味を副収入にする

撮った写真でサイドビジネス



 昨今、私の周りでリモート・ワークに切り替えた人はほんの一握りです。家で働ける業種というのは限られています。店舗で働いていた人が、家での仕事に切り替えるわけにはいきません。私も運転業務が主体なので、家にいても意味がありません。幸いというか、不副業のグラフィック・デザインは今まで通り、毎週末プラス平日半日に充てています。それ以上の仕事もその気になれば取れるのかも知れませんが、現実はかなり厳しい模様です。いつまた運転業務がフルタイムになるかわからないので、調整が難しいということもあります。
 隣近所の住人はどうかと言うと、この界隈はなぜかもともとフリーランスの人が多くて、通勤労働者は少数派だったのです。今回の事態になって改めて、自由業みたいな人が多いのだなと気づきました。
 うちの右隣の人は、ご主人がデイ・トレーダーで奥さんが心理カウンセラー。あまり外出の必要のない業種です。カウンセラー業もいまはズーム面接に限定してるそうです。
 左の住人は独身の女性で、映画などのフィルム編集者。まとまった仕事のときだけ、マンハッタンのアパートに移り、数週間仕事をしてはこの町に戻って、長期休暇をとっています。これも昔からのパターンです。
 向かいの家は、夫婦で子供向けの出版物の編集やアート・ディレクターをしているので、これも電話連絡しながら、以前から自宅業務でした。
 斜め向かいのご主人は、昔からオンラインストアを経営していて、月に2,3度マンハッタンへ行くだけです。奥さんは旅行代理店のカスタマー・サポート。電話で済む仕事です。
 こんな具合で、私の周りはもともと毎日出勤の住人が極めて少なく、コロナショックも最小限で済んでいるといった様子です。
 私もこんな状態ではいつ仕事に呼び戻されるかわからないので、自宅でできる副業を模索しているところです。
 そんなおり、ついこの間、昔同僚だったカメラ好きの友達から、ネットで写真を売っているという話を聞きました。
 大した儲けにはならないが、小遣いの足しぐらいはできるかも、というのです。
 彼が推薦したのはShutter StockやAdobe Stockという写真や動画、イメージ画像などをオンラインで販売する会社です。自分で撮った写真を送って、審査を受け合格した写真をオンラインで販売するというものです。
 簡単そうだな、と思って先々週から送り始めたのですが、この審査がなかなか厳しいです。自分のパソコンの溜まった数千枚のなかから、適当にいい出来だなと思ったものを十数枚送ってみたのですが、Shutter Stockのほうはほぼリアルタイムで写真をジャッジして、半分ほどが、不合格となりました。「ええー、この写真のどこがいけないの?」と思わず不満が吹き出しましたが、よくよく規約を読んでみると、いくつか細かい注意点がありました。企業名や特定できる構造物が写り込んでいると、権利の関係などで、問題が生じる可能性があるらしいのです。それだけでは有りません。写真のクオリティも厳格なラインがあるらしく、ちょっとボケていたり、白飛び、黒つぶれが含まれていたり、手ブレや歪み、ノイズなども減点対象になるのだそうです。
 友人は簡単だよと言ってましたが、生半可な腕前では、そう簡単に売れるものではないと知りました。彼は学生時代、写真部だったので腕は私よりはるか上なのです。に加えて最新のフルサイズ・ミラーレス一眼を数台、レンズも豊富に持っていますからね。太刀打ちできません。だからといって、そうあっさり諦めるわけには行きません。一度始めたからには簡単に挫折したくはないのです。限られた機材で、練習して撮影しまくり、なんとしてでも生活費の一部ぐらいは捻出したいと思っています。時間はかかるけれども、300枚程度は合格させて、ネットの店舗に展示させたいと意気込んでいます。
 いま仕事への不安が蔓延する世の中、何をするにも甘くはないでしょうが、新しいことへのチャレンジは必須の課題だと考えております。私だけではありません。いまわれわれは時代の転換期に直面しているのではないでしょうか。現状に甘んじることなく、それぞれの生き方を、積極的に変化、対応すべきときではないでしょうか。