2020年7月16日木曜日

アメリカで英語学習

オススメはBOCES

 

 アメリカに長く住んでいても、ただそれだけでは英語は上達しません。なにより自分で貪欲に英語を吸収する意欲が必要です。
 以前、日本人がたくさん住んでいた、フォート・リーというニュージャージの町に仕事でよくでかけました。いまでこそ日本人は激減し、代わりに韓国の人がたくさん住むようになった町です。かつてそこには日本のスーパーや病院、雑貨店や本屋もあり、日本人にとっては住みやすい環境でした。そこで知り合ったお年寄りや主婦の方々の多くが、英語が喋れませんでした。これは環境が日本語で通じる便利さに起因しています。すなわち、英語を使わずとも日常不便なことがなく、日本人同士の会話で毎日暮らせていたからです。


 私も渡米当初は、日系の会社で働いていたため、日本語環境に甘えて、英語の勉強をすることを怠っていました。そのおかげで、英語上達は遅れ、あとから来た後輩の日本人にも追い越されました。
 これはイカンと思い、いろいろ英会話学校も調べたのですが、学費教材費も加えて学習時間の確保など、さまざまなハードルが英語学習の妨げとなりました。
 そんな時、私が借りているアパートの大家が、英語を無償で教えてくれる牧師さんが
いると教えてくれました。ご存知のように、ニューヨークは人種の坩堝で、世界各国から来た人が暮らしています。そんな人のために教会がいろいろボランティアで支援してくれるところがあるのです。食料をサポートしてくれるところが多いのですが、私の近所の教会では、外国人のための英語教育をしてくれる牧師さんがいました。これはとてもラッキーでした。
 行ってみると、週に一度日曜礼拝のあとで、10数人の外国人を集めて英会話を勉強していました。私はここに3ヶ月あまりお世話になりました。非常にやさしい牧師さんで、日本にも行ったことがあり、日本人特有の発音の問題(たとえばLとRの聞き間違いなど)も熟知していました。ここでの3ヶ月は決して無駄ではなかったと思います。しかしここでは基礎の基礎が中心で、なかなかビジネスに役立つところまで行きそうにありません。そこでさらなるステップアップのためにどんなオプションがあるのか、再び模索し始めました。


 仕事をしながらどうやったら、英語力が上達するのだろう?
 悩んだ挙げ句、台湾から来た先輩に相談しました。彼は英語の知識ほぼゼロで渡米しながら、わずか1年あまりでビジネス会話ができるまでになった人です。
 彼はズバリ、BOCESへ行くことを勧めてくれました。
 BOCESは、1948年にニューヨーク州議会が設立した、公的教育機関です。ここのプログラムは、基本が就職支援で、就労に必要な知識や技術を教えてくれたり、学習の場を斡旋してくれたりするところです。ニューヨーク州内37箇所の支援基地があり、それぞれ多少異なったプログラム編成になっています。私が推薦を受けたところには、英語カリキュラムが充実しており、公立学校に引けを取らない授業内容でありました。しかもそれがみんな無料で、身分証明書さえあれば簡単な手続きだけで、いつからでも授業に参加できます。
 当初はそんなうまい話があるのかと疑問も多かったのですが、行ってみると納得します。ニューヨーク州管轄の公的教育機関なので、なにも心配せず参加できたのです。

 ここでは受講のスケジュールもすごく自由で、私も仕事帰りに立ち寄る気分で週に2,3回受講しました。講師の先生は、さまざまなバックグランドを持ったボランティアの人が多く、みんな熱心に英語の基礎から教えてくれます。しかも生徒はみんな就職を目指す真面目な人ばかりなので、教室の雰囲気もやる気を引き出してくれます。
 対面会話式の英語授業は緊張感もあり、即戦力になったと思います。パソコンを使った小テストが随時あり、生徒の進捗状況も把握されるようになっています。普通の英会話学校へ行けば月数十万もかかるところがありますが、内容はそれに匹敵するのではないでしょうか。生徒の中には生活に困窮した必死の難民のような人もいて、そういった人たちともカタコトの英語でいろいろ話をできたのは貴重でした。
 ここの授業は、文法関係は最低限のことしか教わりませんでした。変わりに浴びるほどの例文会話を繰り返します。そして先生からの様々なバリーエーションの質問に臨機応変に答えいていくのが基本講義です。はじめはトンチンカンな会話の多いクラスで始終笑いが起きていました。日本人の「間違ったら恥ずかしい」みたいな感覚は皆無で、みんなあけっぴろげにミスを笑うので、私も気にせず思ったままに発言できました。あらためてこういうオープンな環境こそ日本の中、高校の授業に必要だなと感じた次第です。


 私は事情で家を引っ越すまでの、1年2ヶ月をここで学び、いろんな英語表現を教わることができました。自宅で何をやっても長続きせず、身につかない自分ですが、こうした環境に身を置くことにより、大きく前に進むことができたと思います。
 そういうわけでBOCESは私にとってイチオシの英語学習機関です。(後に私は仕事のことで再びこのBOCESにお世話になることとなります)
 外国人にも大きく門戸を開いているので、ニューヨーク在住の方は、ぜひ最寄りのBOCESにお問い合わせください。


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