2020年7月19日日曜日

1億総アーティスト化時代


デジタルでお絵かき・みんなアーティスト



 タブレットの登場によって、グラフィックデザインの世界は一気に一般に広がりました。
 フォトショップやイラストレーターなど一部の愛好家やプロが使っていたグラフィック・ソフトがとても身近になり、趣味でイラストを描く人や漫画、アニメ・ファンらがこぞってデジタル・グラフィック・アートに親しむようになりました。市場はにわかに活気づき、いまやADOBE やCORELなどの先行メーカーのソフトを追いかける勢いでアプリが急増、使い勝手や親しみやすさをウリにしのぎを削っています。





アメリカでオススメのグラフィック・アプリ

AFFINITY DESIGNER
 今一番勢いのあるアプリです。AdobeのIllustratorに真っ向挑む対抗馬と言われています。比較的安価なツールで、デザインをやりはじめて間もない人に特に適しています。ソフトウェアはスムーズに動作することが知られており、最新のバージョンではワークフローを改善し、創造性をより自由に表現できるようになりました。グラデーション、エフェクト、調整、変換やカーブなどの編集も自由自在です。
 またこのアプリはベクターワークスペースとラスターワークスペースの両方で作業でき、それらを簡単に切り替えることがでるのが特徴です。
 このアフィニティ・デザイナーは、デスクトップバージョンと同じ機能を備えたiPad用のグラフィックデザインアプリもあり、シームレスにデータを共用できます。高度なカラーコントロールが用意されており、チャンネルごとに最大32ビットのRGBまたはLABカラースペースで作業できます。
 プログラムには、高い精度と生産性を実現するために使用できる、幅広いツールセットが含まれています。グリッドとガイドは完全にカスタマイズ可能で、角度や間隔、ガターなども変更できます。アフィニティ・デザイナーのもう1つの強力な機能は、アートワークを100万倍以上ズームしても浮動小数点の精度が得られることです。この点ではすでに本家Illustratorを超えてるとも言えそうです。すでに多くの愛用者がSNSで情報を交換し、マニュアルやチュートリアルも充実しているので、安心して始められます。

CANVA
 はじめてタブレットでアートに親しむならこのオールインワンツールです。Webベースのアプリには、Facebookの投稿から結婚式の招待状、履歴書、ロゴまで、すべてのテンプレートが付属しています。Canvaが本当に素晴らしいと思うのは、ソーシャルメディア・グラフィックスの領域です。サイトにはユーザーのコピーと、画像でカスタマイズできる無料のテンプレートをたくさん用意しています。テンプレートから始めて、ニーズに合わせてボックスに入力していけば、すぐにプロっぽいアートを作ることができます。ツールはすべて無料で使えますが、一部の素材等は1ドルから購入ということになります。この料金プランの良い点は、必ずしも必要としない月額プランにコミットする代わりに、プレミアム・グラフィックスの中から選んで支払うことができることです。

GIMP
 Windows、Linux、Mac OSなどの多くのプラットフォームで動作する無料のグラフィックデザインソフトウェアです。GIMPは、ソースコードを変更してプログラムを配布できるオープンソース・プログラムです。生産性を向上させ、よりよいデザインを作成するためにGIMPで使用できる多くのカスタマイズ・プログラムとサードパーティのプラグインがあります。GIMPはフォトショに匹敵する画像レタッチもでき、レイヤーやマスクを使ったクリエイティブな合成画像を作成することができます。アイコンやロゴなどの、印刷デザインとともに、インターフェイス・コンポーネントやモックアップもプロばりのデザインができます。 最新バージョンでは、インターフェースがやや独自の形状に変わったので、使い慣れるまで、やや時間がかかります。しかしこれがすべて無料というのは驚きの充実度です。

GRAVIT DESIGNER
 これはベクターベースのデザインを作成するためには、とても有力な無料のグラフィック・ソフトです。このプログラムでは、ロゴを作成したり、写真を編集したり、イラストやポスター製作、更にはアニメーションまで作成できます。このソフトは、ユーザーのニーズに応じた、さまざまなカスタマイズが可能で、工夫次第で無限の可能性が広がります。GRAVITのプロバージョンは有料ですが、それにふさわしいアート環境を提供してくれます。高度なエクスポート・オプション、オフラインバージョン、たくさんの色空間オプションが使えたり、より高度な機能を備えています。プラットフォームはWindows、Mac、Linux、Chrome OSと全部ありの充実度がうれしいですね。

SKETCH
 フリーランスから世界最大級の企業まで、100万人以上のデザイナーがSketchを使ってアイデアを製品に変えています。ユーザー・フレンドリーなベクターエディタ、ビルトイン・プロトタイピングなど、Sketchを使えば、脳内のアイデアがモニター上に反映されるまで、実に簡単なステップで進行させることができます。さらに、Sketch for Teamsを使えば、アイデアとアイデアのコラボレーションを速やかに次のレベルに進めることができます。あなたが会社やSNSで友達とアート製作を手掛けるなら、デザインやプロトタイプを共有し、フィードバックを提供したりも可能。もちろん単独でもイメージの実現まで短時間でできます。Adobe製品とのデータ互換性があるのも有利な点です。
 まだまだいっぱいソフトやアプリはあります。それらはまたおってレビューしていきたいと思います。

 昔はグラフィックデザインの道具といえば、アクリル絵の具や各種メディウム、水彩絵の具、カラーマーカー、色鉛筆。ブラシや刷毛、チャコールペンに、エアブラシにマスキングテープ。スケッチブックや丸ペン、カブラペン、雲形定規などなど、やたら物が増えて置き場に困ったものです。なによりイーゼルやアート用の大きなデスクが部屋の一隅をどんと占めていたものです(今も同じですが)。
 しかし、タブレットやタッチタイプのモニターを使ってパソコンでイラストなどを気軽に始められるようになった昨今、グラフィック・ツールというと、若い人はアプリのことと即判断するようです。
 
 それくらい、近年グラフィックの世界は激変しています。
 とくにタブレットの普及によりデジタルでお絵描きする人が激増しています。それに伴って、イラストや写真加工のアプリは年々充実して、今後もさらなるバージョンアップが期待できます。
 アプリの良いところは間口が広いことです。はじめ無料で試してみて、気に入ったら有料に切り替える。気に入らなかったらすぐ’削除して他のものを試す。これが急拡大できた利点ですね。昔は筆一つ買うにも、店頭で手触りを試したりして悩みに悩んだものです。デジタル・アートはタブレットやパソコンさえあれば、誰でも気軽に始められるのがいいですね。
 それにしても、いまや1億総アーティスト化の時代です。
 近頃はこんなきれいな絵どうやって描くの?みたいなイラストを学生さんや若い人がアプリを駆使して描いています。中にはプロ顔負けの作品をネットに公開してるものもありますね。
 私がグラフィック・デザインの世界に足を踏み入れた頃は、デジタル・デザインと言えば、ハードはアップルのマッキントッシュ一強でした。ソフトは当時からADOBEのPhotoshop, Illustrater, InDesign。それに当時唯一無二だったWACOMのペンタブレットが加わって、デジタル・グラフィック・デザインの世界は堂々と開幕したのです。
 昔はレイヤー、ブラシストローク、ラッソ、ポリゴン、ラスタライズなんて用語はグラフィック・アーティスト同士しか通じなかったものです。今は本当にだれでもすぐアートに親しめるいい時代になりました。そのうち、既成の概念をうち破るような傑作デジタルアートが生まれるかも知れませんね。

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