2020年7月29日水曜日

夏休み、異常事態の子どもたち

子供のサインを見逃すな



 今年の夏休みは、子どもたちにとってかつて無い窮屈な休暇になってしまっています。
これは日本、アメリカにかかわらず、全世界で起こっている異常事態です。
私の昔からの仕事仲間で、コスタリカに転勤したアメリカ人一家も、外出制限が厳しくて、小学生、中学生二人の子供がパニック状態になっているというのです。
 パニックってどういう事、と訊くと、コレまではとても仲の良い兄弟だったのに、夏休みに入って喧嘩が絶えなくなったと言うのです。
 兄は中学校の吹奏楽部でトランペットをやっているのですが、学校側がラッパ系の楽器は感染リスクが高いので、控えるように言われたそうです。秋の演奏会目指して夏期合宿に備えていたのですが、すべてキャンセルです。
 サッカー大好きな弟の方も、夏休みの練習は見送られることになりました。ふたりとも育ち盛りで活発な性格。慣れない異国の環境で、一年かけてようやく地元のクラスメート、チームメートに馴染みはじめた矢先に、外出できなくなってしまったのです。
 快活だった二人はへやに閉じこもり、ろくに会話もしなくなったそうです。そしてリビングやキッチンで会うたびにつまらないことで、口論するようになったと言います。
 今は一日の大半、アメリカ時代の友達とゲームやチャットなどをしているようだが、何を聞いても明確に答えなくなったというのです。昔は何でも親に話す素直な子たちだったのにと、父親は嘆いています。
 
 こういった事態は今世界中で起きている可能性があります。
 夏休みは子どもたちにとって、一番自由で開放されるときです。毎年恒例の家族旅行や、友達とのキャンプやショッピング、海やプールでの水遊び。今夏はそういった思いっきり遊べる環境がいっさい塞がれてしまったのです。
 外へ出ちゃダメ、友達とも会うな、と言われるといくら素直な子でも、凹んでしまうでしょう。社交的で活発な子ほどこのダメージは大きいはずです。
 
 今この時期、子供の様子はよく見ておいたほうがいいと思います。
 というのは、つい先日、うちの娘の通う高校から連絡があり、生徒の一人がドラッグの過剰摂取で、自宅で死亡したというのです。とても痛ましい話です。同世代の子を持つ親として、全く他人事ではない悲劇です。
 その娘さん、うちの子とは学年が違いますが、近所の子だそうです。私は知りませんでしたが、家内と娘は知ってる子でした。明るくて元気な子だったそうです。コロナの影響かどうか、短絡的に結びつけるつもりはありませんが、こんな状況でなければ防げた事態かもしれません。
 
 私の娘は一見以前と変わらぬ、のんびりした性格で、それなりに退屈な夏休みを受け入れているように思っていました。しかしよくよく振り返ると、夏休み以降、机に座って勉強する姿を見なくなっていました。けっこう勉強はする方だったのに、です。また母親と大好きだったテレビの歌番組を観なくなり、起床時間もずるずる遅くなってきています。
 暇さえあれば、「あつまれ動物の森」に没頭し、なにを聞いても、「うん」とか「ノー」とか単語だけの受け答えが増えたように思います。
 気になって家内と相談したら、娘の親友がいまノイローゼ気味なんだと、ママ友連絡網で情報を得ておりました。娘と親友は、今夏アート・キャンプとやらに参加する予定だったのです。ふたりとも絵が好きで、地元のアーティストの指導で絵画や陶芸の実体験ができる泊まり込みの催しに参加する予定だったのです。でも夏休み直前、企画自体がキャンセルになってしまいました。
 私もそのことは聞いていたのですが、娘と親友にはそれはかなりショッキングな発表だったようです。二人は落ち込んだのです。うちの子は元々喜怒哀楽をあまり表に出さない性格だったので、さほど変化を感じなかったのですが、これは親の怠慢、私の鈍感でした。娘は夏休みの目玉企画を失い、心にぽっかり穴が空いていたみたいです。家内は娘の変化に気づいていて、私に相談するタイミングを図っていたそうです。お友達の方はもっと深刻で、大好きな絵を描かなくなり、食事も頻繁に残すようになったそうです。ご両親は心配して、現在カウンセラーに相談中だとか。
 それを聞いて、私は大いに反省しました。子どもたちにとって夏休みは、希望の光なのです。それを奪われた時、どんな心の状態になるのか、私は想像もしていませんでした。

 子供の変化。それは要注意のサインです。特に会話。曖昧な返事が多くなったら、なにか抱えてる可能性がありますよ。
 
 この夏休み、子どもたちをよく観察しつつ、もっと積極的に声をかけていきましょう。なにか一緒にできることはないか考え、行動することが大切だと思います。
 みなさんも、大切なお子さんの変化に気をつけてください。こんな夏休みは過去に経験がありません。それだけに家族相互によるフォローが欠かせない。そんなふうに思うのです。

 
 

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