2020年7月4日土曜日

アメリカのコロナ対応

コロナ対応の温度差



 今日現在、アメリカでは、一日のコロナウイルスの感染者が5万人をこえました。これは過去最多の数字で、深刻さは増しています。これまでの通算では感染確認者数が240万人を超え、実際の感染者推定数は2000万人と言われています。
 ここ数日でも、カリフォルニア、フロリダ、テキサスなど大都市がある州のほか、サウスカロライナ、アリゾナ、ミシシッピ、ミズーリ、アラバマなどアメリカ南部の州の大半が感染率増加の傾向にあります。それぞれの州では集中治療室が90%の稼働率を超え、いまやパンク寸前の危機です。
 こんな大変な状況の中、いまだにマスクをするのに抵抗を示す人が多いのは驚きです。先日もニュースで、マスク反対の団体が、市庁舎の前で抗議デモをする様子が報道されていました。
 彼らにとって、マスクは不要のものだそうです。そもそもマスクなど効果がないと言ってはばかりません。基本アメリカにはマスクをする習慣がありません。花粉症がピークの時期でさえ、マスクをしている人を見かけることはないのです。むしろマスクは過剰な防備、異常な反応と考えているようです。これだけ感染が広がっても、反対運動では人々が100人以上も密集し、「マスクいらない。矯正するな」と口角泡を飛ばして叫んでいるのです。行政が安全のためだと言っても「大統領もマスクはしないじゃないか」と胸を張って詰め寄るのです。
 こうした状況ですから、感染がひろがることはあっても、決してなくならないのです。
 さすがにニューヨークはもうかなり痛い目にあっています。4月頃、アメリカの州で一番最初にピークを迎え、コロナの恐怖と苦しみを味わいました。これでかなり多くの人が、自衛と感染拡大防止には、ソーシャルディスタンス、マスク、手洗いがいかに重要かわかってきたのです。
 でも問題はこれからです。強力なロックダウンで商業活動が停止され、あまりにも多くの会社、店舗などが大打撃を受けました。経済再開はもはや一刻の猶予もないくらい、ニューヨークの経済を圧迫しています。しかしここで慌てると、せっかくの苦労が水の泡になるのも、各国の先例をみて知ってはいるのです。
 そうは言っても背に腹抱えられません。早まって店舗や会社を再開したところでも小規模のクラスターが出始めています。それに加えて感染増加傾向の他州からニューヨークへいま続々と人が向かっています。一応、州をまたぐのを規制はしていますが、それを強制することは不可能です。数百以上の幹線道路を検問するわけにも行かず、この独立記念日という、アメリカ屈指のホリデーシーズンにどれだけ人が移動するか、予測も付きません。
 現に私の住むニューヨーク州南部の小さな町にも、週末が来るごとに、観光客が増え続けています。小さな町なので、ここ数ヶ月は、町民の大半が行儀よくソーシャルディスタンスとマスク着用を守ってきました。日本人の私でも、ちょっと大げさかな、と思うくらい町民は路上で人を避けます。私も散歩をしていて、50メートル先から近づいてくる人を見ると、慌ててマスクを着用したり、反対の路肩に進路を変える人をよく見かけました。それくらいコロナは小さな町の生活スタイルを変えたのです。なのに、週末にこの街を訪れる観光客の半分くらいは、マスクをせずに街の中心地を闊歩しています。
 そういうわけで、いまアメリカではコロナ感染症に対する温度差が、私は気になります。
 先日は信じられないローカル・ニュースが飛び込んできました。
 ある学生のグループが、この危険時のさなか、パーティーを開きました。それはゲームを伴ったパーティーです。パーティー参加者の一人に感染者を意図的に加え、参加者全員にゲーム参加費を払わせました。パーティーは当然、密な状態でマスク無しで行われました。
ゲームというのは、このパーティーのあとで、一番最初に感染した者が、参加費全部を賞金としてもらえるというものです。この人達、何を考えているのでしょう? 若者は感染しても重症化しないと確信しているのでしょうか。それにしたって、あとで家族や周りの人に感染拡大する危険性など思いもしなかったのでしょうか。
 個人の自由が尊重されるアメリカだからこそ、なお一層、こんな時代は他人の迷惑、いや人の命に関わることには敏感であってほしいものです。
 

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