2020年7月2日木曜日

ニューヨークで犬を飼う事

アメリカン・ドッグズ




 近頃散歩をしていて気づくこと。それは犬を連れた散歩が多いな、ということです。
 今のようにステイホームの時代だからでしょうか。人と人とが会う機会が今激減しています。それゆえ、人々はコミュニケーションの相手として、飼い犬などを見直しているのかも知れません。人とペットとの間にも、微妙な変化が起こり始めている、そんな気がします。

 もともとアメリカはペット大国といっても言い過ぎでないほど、ペットの保有率が高い国です。ちなみにマーケティング・リサーチ会社GfKによると、アメリカのペット保有率は70%。日本は37%です。
 そこへ来て、コロナウィルスの猛威で人々の心理不安が顕在化してきました。先日のニュース報道で、保健所の犬や猫が急激に引き取られるようになってきたと報道されました。人々は癒しを求めて、ペットを探しに来るのだと言います。映像ではコロナ以前の混み合ったケージの状況を写し、その後現在のケージがどうなっているのかをカメラが映し出しました。
 空っぽです。これはとある保健所の動物を一時管理する施設を撮影したものだそうですが、他のところでも同様の出来事が頻発しているというのです。保健所の人たちが、空っぽになった檻を見ながら拍手しているシーンが印象的でした。以前なら、ここで生涯を終える定めの犬や猫が、癒しを求める人たちに喜んで引き取られていくのですから、嬉しいのは当然でしょう。
 私も犬を飼いたいと常々思っております。でも今は近所のワンちゃん達を見るだけで我慢しています、うちには、二羽のウサギと一匹のトカゲ、二匹のヤドカリがいますので、それで日々癒されているのです。
 でもやっぱりワンちゃん、欲しいな〜と夢見る日々。

 今朝も、散歩の途中でとっても愛くるしいワンちゃんに会いました。
 ま、初めて会う犬というわけではなく、近所の飼い犬なのでときどき庭でうろついてるのを見かけてはいました。けっこう年のいったゴールデン・レトリヴァーで毛並みなんかはもうよれよれしちゃってるのですが、つぶらな瞳がなにかを訴えてるようなやさしい顔をしています。
 フェンス越しにハーイ!なんて声をかけるとひょいひょいと無表情で近づいてくる、人なつっこい奴だな、というような印象を持っていました。
 今日はたまたまその犬が庭でぼーっとしている所にでくわしたのですが、なんというか、その犬君、仕草がとても可愛かったのです。
 かなり遠くから私が近づいてくるのをじっと見つめていたんですね。駆け寄ってくるのかな、と思ったら納屋の裏手に引っ込んでしまいました。
「あ、逃げちゃった・・・」
 そう思った次の瞬間、ゴムボールをくわえて一目散に私の所へ歩み寄ってきたのです。
フェンス越しにポン、とボールを落として、鼻面で私の方へパスしようとします。
「なに、ボールで遊んでくれっての?」
 私の問いかけに懇願するようなまなざしでじっと見つめ返してきました。
 あー、なんていじらしい仕草でしょうか! わたしはもうアイフルのコマーシャル状態でした。(古すぎ!)
「ごめんな、仕事行かなきゃ」
 そう言ってワンちゃんの視線を振り切ってその場を離れたのですが、十メートルほど歩いて振り向くと寂しそうに、まだこちらを見ているではありませんか。
「ごめんってば」
 私は心でそうつぶやいてさらに歩きました。犬の庭が見えなくなるカーブぎりぎりのところでまた振り返ってしまいました。
 豆粒ほどに小さく見えるワンちゃんがまだ私を見送っているのを見たとき、なんともいえない愛おしさがこみ上げてきました。

 こんな犬なら一度は飼ってみたい、そう思わずにはいられないひとときでした。

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