2020年12月18日金曜日

雪景色の撮り方

ニューヨークにも雪が来た




 ついにここ米国北東部にも今季最初のスノー・ストームが来襲、町も野山も一面雪景色となりました。ハドソンバレーという地域なのですが、昨日5時ごろからチラホ粉雪が舞い始め、日が暮れるころに
は本格的な降雪となりました。

 一夜明けると、早朝こそ灰色ががった空模様で、地上の視界も白っぽく見えにくかったのですが、次第に晴れ間が見え始め、新雪に染まった町や遠くの山々がすっかり見違えるような景色になりました。

 ニューヨーク郊外の冬は連日氷点下になることが多く、この積雪も柔らかいうちに除去しなければ、カチカチに凍ってしまいます。なので今日は、雪景色に見とれているだけじゃいけないのですが、とりあえず仕事もキャンセルや延期でぽっかり空いたので、カメラ片手に近所を歩いてみました。

 こんな足場が悪い時でも、軽量小型のミラーレス機なら肩からぶら下げたり、小さなバッグに入れてもまったく邪魔になりません。カメラ機材の重い軽い、あるいは大きさ感は人によってまちまちですが、カメラを始めた人にとっては、なるべくコンパクトな方が負担にならず、撮影により集中しやすいものです。


 冬は一年のうちで最も美しい季節であり、アマチュアもプロも自分のスキルを磨くチャンスです。ここでは冬場の撮影で気を付けるべきチェック・ポイントを記しておきます。カメラ初心者の方がご参考にしていただけると幸いです。


雪景色を撮るために

カメラにおまかせで撮る
 一番カンタンなのは「雪」モードで撮影することです。スマホもそうですが近頃の入門機にはシーンモードが豊富にあって「雪」設定も大抵備えているでしょう。優れたカメラならその時の雪の状況に合わせて、適正な露出をサポートしてくれます。
 でもここで注意したいのは、雪そのものを撮るのではない場合です。雪の中で遊ぶ子供を主体とする場合は、必ずしも「雪」モードが最適というわけではありません。却って主役の被写体が真っ暗になる場合もあります。仮に被写体が雪に対して暗すぎる場合は、露出補正を行ってください。そのさい雪が少し露出オーバーになっても気にしないでください。

測光機能の変更
 もう一つの方法は、カメラの測光機能を変更することです。デフォルトでは、ほとんどのカメラは中央重点測光に設定されており、露出を決める前にシーンの大部分を考慮します。また、部分測光とスポット測光があり、それぞれ撮影の中心とピンポイントの中心のみを考慮し、この部分を基準に露出を決定します。被写体がそこにある場合は、それに応じて露出が設定され、上記のように露出補正を調整する必要はないでしょう。

 雪の嵐を撮影しても、コントラストのある色がなく、グレーや白の単調な色になってしまい、あまりきれいに見えません。空が晴れるまで待ってみましょう。太陽が出てこない場合は、被写体が明るい服を着ていると効果的です。明るい赤や緑は雪の背景を相殺するために、きれいな写真を撮るのに効果的なアクセントとなります。

 また色の不足は、ホワイトバランスの問題を引き起こす可能性があります。カメラはデフォルトでオートホワイトバランス(AWB)に設定されていますが、写真が青く写ってしまう場合は、白い雪がカメラを混乱させていることが原因です。
 前述のように、「雪」モードを使用することで解決できますが、より狙った色味を出したいのならマニュアルホワイトバランスで行きましょう。。数値(ケルビン単位)が低いほど青みが強く、「クール」なシーンになり、数値が高いほど黄色が強く、「ウォーム」なシーンになります。これは慣れが必要ですが、雪をできるだけ白に近づけるような正しいバランスを得るには数をこなして感覚を磨くことです。

 撮影する角度も重要です。風景写真の場合は、カメラを高くすると、被写体を見下ろすことができ、見ているものがより鮮明になり、よりプロっぽく見えます。広角ズームで、目で見るよりも広い範囲でシーンを開放してみましょう。


光を利用する
 周りの雪が反射するので、日中の雪景色は十分な光があります。太陽が出ているときは、太陽に向かって撮影するのは避けましょう。また、人物の場合被写体が目を細めてしまうので、太陽の方向を見つめないようにしましょう。
 朝夕の時間帯には太陽を被写体に直角に当て、空が高い時には後ろから鋭角にして撮影すると露出が良くなります。また、多くの場合、雪のベストショットは、光が黄金色に輝くときです。
 単に雪イコール白という思い込みを捨てれば、より豊かな表現が広がります。


注意事項

カメラにも体温がある
 寒い中で外に出て暖かさを感じると、メガネがすぐに曇ってしまいます。同じことがカメラにも簡単に起こり、ミラーが曇り、レンズ内の有害な結露を引き起こし、電子部品をショートさせてしまうことがあります。カメラを暖めたり、バッテリーの消耗を早く抑えるために、コートの下にカメラを置かないようにしましょう。体温の暖かさと汗の水分は、時にカメラを台無しにします。

バッテリーを温めておく
 バッテリーの消耗が早いので、予備を持ち歩き、必要になるまでポケットやコートの中など体温に近いところに入れておくのが賢明です。

バッテリーの予備
 カメラのバッテリーをフル充電にしておきましょう。寒いとバッテリーの寿命が短くなるので、晴れた日に撮影した場合と比べて、わずかですが撮れる枚数が減ってしまいます。


装備は簡単にアクセスできるようにしておく
 道具が必要な時にバッグの中を探ったり、雪の中に道具を落としたりするのはありがちです。。また、雪の中にバッグを置いて、水が染み込むリスクも避けたいものです。ポケット、バックパック、カメラバッグのいずれを使用する場合でも、簡潔に機材に手が届くようにしてください。

おススメのテクニック

雪だけの写真撮影は避けましょう
 写真には雪以外の要素を入れてください。確かにパウダースノーなんかの粉っぽさは魅力的ですが、カメラの中で混ざり合ってしまい、白雪の粒状感などは出しづらくなってしまいます。真っ白さを強調するのが目的でなければ、他の要素を入れて面白みを出してみてはいかがでしょうか。

基本、RAWで撮影しましょう
 古いカメラや新しい低価格モデルでは、RAWでの撮影ができないものもあります。しかし、可能であれば、RAWフォーマットで撮影してください。そうすることで、ポストプロダクションの柔軟性が高まり、JPEGでは修正が難しい問題を、簡単に修正することができるようになります。
 ファイルサイズが大きすぎると気になる方は、この際メモリカードを大きなものに買い替えましょう。価格もこなれてきたので、書き込み速度の速い64GBぐらいのものを複数用意するか128GB以上のものを使用すれば、動画や連写も気にせずに済みます。


決して現場で画像を削除しない
 液晶画面を見た後や、SDカードの空き容量を心配して画像を削除したくなることがあります。しかし、室内で大きな画面で見るまでは、画像を削除しないでください。現場では失敗のように見えた画像が、よく観察してみると素晴らしい画像になっていたことが何度もありました。


足元に気をつける
 雪の中を歩いているときは、撮影に夢中になって、足元がおろそかになりがちです。撮り手は被写体に集中しがちなので回りが見えなくなり危険です。とくに雪の日の場合はファインダーだけに頼らず、手を陰にかざして背面モニターも利用してください。


カメラのマニュアルモードを使用する
 雪は明るいので、カメラの内蔵ライトメーターに負担がかかります。カメラをAUTO、または絞りかシャッタースピード優先で使用すると、雪から反射した明るい光をすべて読み取って補正するため、暗い画像になりがちです。これを克服する最良の方法は、マニュアルモードで撮影し、それに応じて露出補正することです。
 どうしてもオートや絞り/シャッター優先で撮影しなければならない場合は、以下の方法でメーター値のアンバランスを解消することができます。


EV補正を調整する
 または、暗いものに狙いを定めてシャッターを半押しして読み取った後、カメラを動かして(シャッターを半押ししたまま)リフレーミングして撮影します。


雪は画像を少しオーバーにして撮る
 人間の目には美しく、鮮明で白く見えますが、カメラは必ずしもそうとは限りません。写真の中の雪は、青みがかったり、グレーに見えたりすることがよくあります。これを解決するには、グレーカードを使ってホワイトバランスを設定するのも一つの方法です。しかし、これを行うためには、特に、雪が降っているときには、手間がかかりすぎてしまいます。そこで、先ほどの測光と露出のポイントを踏まえて、必要以上に明るめの写真を撮るようにしましょう。明るくなりすぎた場合は、あとでLightroomやApertureで明るさを調整することができます。


ヒストグラムを参考にする
 ヒストグラムはほとんどのDSLRには備わっています。液晶画面に表示される画像にない情報があります。モニターでは周囲の雪の明るさが原因で、露出の低い画像は明るく、露出の高い画像は白っぽく見えてしまいます。このようなプレビューを見て画像を削除したくなることもありますが、現場ではカメラに写っている画像を削除しないようにしましょう。ヒストグラムを使って、カメラの実際の露出を確認しましょう。 また、マニュアルモードで撮影しているときに、ヒストグラムを参考にして設定を調整することもできます。


 以上の他にもアイデアはたくさんあると思います。まずはフィールドに出て、雪の光り具合やその他の被写体とのコントラストに気を配ってください。雪は思わぬ芸術的風景を演出する自然からの贈り物です。ぜひ素晴らしいシャッターチャンスをものにしてくださいね!



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