2020年12月3日木曜日

買ってよかったカメラ

 後悔しない富士フィルムのカメラ


 この秋に購入した富士フィルムのミラーレス・カメラX-T200、予想以上の写真が撮れてとても満足しています。この機は入門機という位置づけの通り、初めてミラーレスに触れる人や、一眼カメラの初心者にもってこいです。とにかく最初はオート設定で、目に入る撮りたいものに集中するだけ。それでもいままでスマホ写真に見慣れてきた人には、びっくりするくらいのい写真が撮れるはず。



 X-T200はまさにビギナーにうってつけの一台で、のちのちレベルアップすれば、豊富なフジノン・レンズを買い足して、さらなるスキルアップが望めます。まずはこれ一台。これ一台で十分納得のいく撮影が楽しめること請け合いです。



 カメラの操作法がわからないとか、とにかくややこしいことは抜きにして、スマホでは撮れないようなきれいな写真を撮りたい、という方にも是非おススメしたいです。



 なぜ富士フィルムなの?

 という方。わかります。デジカメの世界ではまだどうしても知名度が低い印象ですよね。

 若い人には、フィルムメーカー時代の富士フィルムと言っても知っている人は少ないかもしれません。カメラがデジタルにシフトして、大手のキャノン、ニコンがデジタルカメラの発展をけん引してきましたが、ミノルタがカメラ事業から撤退したのを受け、ソニーがデジカメ開発を始めると、競争は一気に激化しました。棲み分けも進み、オリンパスとパナソニックはマイクロフォーサーズという新しいフォーマットを切り開きました。カシオとフジフィルムはいわゆるコンパクト・デジカメの領域でシェア拡大を狙いました。

 しばらくはこの図式でカメラ業界は進行していたのですが、iPhone等のスマホカメラの進化が著しく、カメラ業界のシェアは瞬く間に奪われはじめました。

 これを受けて、カメラメーカーはより高性能なフルサイズ・ミラーレスへと大きく舵を切ります。スマホを圧倒する高性能でないと生き残れないとの危機感からでしょう。ここ数年でフルサイズ規格のカメラは一気に開発が進み、カメラマンや写真愛好家たちはもっぱらハイエンド機ばかりに耳目を奪われるようになりました。実際、出る機種はどれもこれまでにない高性能を打ち出してきており、発表と同時にネットでわっと騒ぐのが恒例となっています。

 しかしこれでは一般のカメラに親しむ人たちは置いてけぼりです。カメラは高性能がいいに決まっていますが、精密機械ですのでやはり値がはります。30万、40万するのが当たり前の世界です。またそれに見合うレンズもすごく高価なものとなってしまいます。しかしこれではますます大衆はカメラから遠ざかり、手近なスマホのカメラで十分と思うようになってしまうでしょう。

 そこに目を向けたのかどうかは分かりませんが、フジフィルムは近年路線を改め、プロ向けの中判サイズのセンサー機と、APS-C機中心のコンシューマー向け製品製造に的を絞るようになりました。この戦略はすごくよかったと思います。ソニー、キャノン、ニコンのハイスペック競争には乗らず、独自路線を展開することにより、かえって商品のラインアップが独自性を帯び明確化してきました。

 いまや同社のAPS-C機の品ぞろえは業界随一で、ハイエンドから中級機、ビギナー向けまで選択に迷うほどバラエティに富んでいます。また豊富なレンズ資産も、最初は高い印象でしたが、ボリュームが増えるの従い、ユーザーに見合った選択の余地が出てきたことはファンにとっても喜びであります。

 私はこれまで、フジのカメラとはあまり縁がありませんでした。二十年近く前、コンデジ草創期に買ったのがファインピックス2600Zです。卵型のレンズカバーがスライドしてレンズが出てくる画期的なものでした。有効200万画素、1/2.7型正方画素原色フィルターCCD、換算38mm~114mm相当のフジノンズームレンズを使用。電源は単3型電池2本、記録メディアはスマートメディアで、2001年10月に発売されたものです。当時としては最新の技術を駆使したスタイリッシュで可愛いコンパクト・デジカメでした。


 わたしはこれが好きで、どこへ行くにも持ち歩き、日常の記録スナップ用として撮りまくったものです。いま撮った写真を見返しても、それなりに鮮明な画像で、描写性能は当時としてはかなり良かったのだと思います。

 あれから時は流れたものの、いままた富士のカメラに心奪われるようになるとは思いもしませんでした。私は以前からカメラは携帯性こそ命と申してきました。いくら高性能なカメラでも撮りたいときに手元になければ意味がありません。重くて大きな高級カメラは日常持ち歩くには不向きで、仕事としてカメラを撮るのでなければ、宝の持ち腐れです。軽いと言われてきたキャノンのEOS KISSでも持ち出しは「撮影する」と目的を持ったときのみでした。皮肉なもので、手元にカメラがない時に限って撮りたい被写体が現れるものです。それなら携帯性に優れかつ常識の範囲でそこそこ写りの良いカメラを求めるほうがまだ有用性があると思うのです。

 しかしなかなか期待通りのカメラは長らく出ませんでした。やっといいなと思えたのはソニーのRX100が出た時ですが、その頃はネオ一眼と呼ばれる超望遠コンデジのブームで、そっちに目が行き過ぎていました。画質はともかく遠くのものを引き寄せるような表現力がたまらなく好きで、そっち系のカメラばかり見ていたのです。富士フィルムからもFinepix S1という50倍ズームで防塵防滴仕様のフィールドカメラが出てかなり刺激を受けたものです。でもその当時は最終的にパナソニックのFZ1000を選ぶことで大満足していました。高倍率でなおかつ1インチセンサー、しかも当時画期的だった4K撮影ができるというのが決め手でした。しかし反面その大きさゆえ、常時持ち出しとはいかず、けっきょくのちにポケットに入る高級コンデジ、ソニーのRX100 VIを手にいれることになります。こちらはズーム8倍と控えめながら、いざという時にストリートでパッとリアクションで撮れる器用さがすごくうれしかったです。

 その後もごく私的なこだわりで「軽量小型」と「高倍率」のはざまでいろんなカメラを行ったり来たりしています。今話題のフルサイズで小型という夢のようなカメラにも注目はしています。ソニーのa7Cなどはフルサイズの常識を打ち破るコンパクトさで大注目しています。しかし望遠にこだわるとフルサイズのレンズはどうしても大きく重くなるので二の足を踏んでしまいます。私を含め大多数を占める一般ユーザーというのはそれほど画質云々にこだわりませんから、なるべく軽いカメラがいい、というのはごく当然の心理です。

 ここ数年、軽くて小型の条件を満たし、かつ望遠に強いと言われるマイクロフォーサーズ機に注目してきました。一時的でしたがオリンパスのPENシリーズも使っていましたし、パナのLumix G8は今でも最高のパートナーです。

 そんな中でいま見直されるのがAPS-Cというセンサーサイズです。これがミラーレスになると、いままでの一眼の3分の2の体積、約半分の重量のカメラが製造可能になりました。いま売れてるソニーのa6000台シリーズやキャノンのEOS Kiss Mがそれです。こうなるともはやマイクロフォーサーズの小型軽量の有利性もかすんできます。

 こういった状況に乗じて(かどうか知りませんが)じわじわ頭角を現してきたのが富士フィルムのXシリーズです。

 ライバルメーカーとの差異はいろいろありますが、「ウリ」の第一はやはりフィルム・シミュレーションでしょう。これが実によいです。長年フィルム制作にこだわってきたフィルムメーカーならではの色味。これはいくらいいレンズを使っても出せない別次元の描写力だと思います。何気なく撮った風景写真が、「おっ」と驚くほど素敵な発色をしてくれる瞬間。それが魅力なのです。

 いろんなカメラで撮ってきましたが、このような思いもよらない仕上がりの絵に出会うことは滅多になかった事です。「俺、腕上がったかも」と錯覚にとらわれるほどのいい気分です。エントリー・クラスのX-T200でさえここまで撮れるのですから、フラッグシップ機のX-T4などはもっといい出来に違いありません。

 最近発売された新しいシリーズの第一弾X-S10も好評のようです。上位機種と同じセンサーにボディ内手振れ機構を収め、なおかつ深いグリップに軽量小型とくれば、もう買いしかないです。(本当に買いたい。でもX-T200買ったばかりだし・・・)。


 私的には「レンズ高くて重い問題」が引っかかるフルサイズは当面パスして、ミラーレス・APS-Cの土俵でどのメーカーが覇権を握るか見守っていきたいと思っています。私の中では今のところ、フジフィルムの伸びしろに期待しています。ていうかこれからどんどん攻勢をかけていくのは間違いないでしょう。本当に楽しみです。



 ともあれ、もしこれからカメラを始めたい方、いま手持ちのカメラがイマイチという方に、フジフィルムのX-T200は絶賛でおススメしています。ムズイことはいいからとにかくいい写真とりたい。それならX-T200です。間違いありませんよ。




   


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