2023年4月21日金曜日

初心者がカメラで花を撮る

花咲く季節の写真術




花を主題に写真を撮る人は年々増えてきているそうです。主にスマホを使う人が多いのですが、やはり手軽に、目についた花を撮るのは楽しいものですよね。
今年も春の陽気が日に日に増して、いよいよ花も待ちわびたように咲き出す季節がやってきました。
私も写真撮影の中で好きなもののひとつが、花の写真です。風景写真に比べると、遠くに行かなくてもユニークで美しい写真を撮ることができるので、少し気軽に楽しむことができます。
自宅の庭や公共の庭園に足を踏み入れるだけで、そこには美しい花々の世界が広がっています。
しかし、本当に美しい花のポートレートを撮影するには、技術とプラスアルファの要素が必要です。この記事では、花の撮影に興味のある方に向けて、私の撮影方法をご紹介したいと思います。


レンズ

私が花に最も適していると思うレンズのタイプを紹介します。それは、ズームレンズです。カメラ初心者の方は、「え?」と思われるかもしれません。
花は普通マクロレンズが最適なのではと思われがちです。
確かにそれは間違いではありません。ていうか世間的にはむしろ常道でしょう。私もマクロは使います。でも一番よく使って、納得がいくのは圧倒的にズームレンズなのです。

私はこれまでに、16-85mm、24-70mm、24-120mm、28-300mmを使ってきました。どのズームでも、とても良い結果が得られます。私のお気に入りはニッコール28-300で、人呼んで便利ズームと呼ばれるものです。
これ一本で本当に何でも撮れちゃいます。レンズ交換の手間が省け、シャッターチャンスが激増します。
なのでこのレンズはほとんどすべての撮影に使用しています。
ズームが好きなのは、構図を決めるときに自由度が高いからです。
ズームアウトして花以外の部分を撮影したり、ズームインして花だけを撮影したりすることができ、一か所に立ってファインダーの中で何が一番良いかを確認することができます。

目的に応じて、専用のマクロレンズを使うこともできます。私は105mmマクロで花を撮影したことがあります。花の葯や雄しべ、花粉などを、マクロでは非常にクローズアップして詳細に撮ることができます。
花についている虫も、毛の一本一本や足の切り込みなどを強調して、細かく撮影することができます。これを私は冗談で「花の顕微鏡観察」と呼んでいます。
エンタメ的な要素の写真になるので、面白いことは間違いありませんが、ズームレンズほど魅力のある写真にはならないと思います。なので私はマクロを花用レンズのベストチョイスとは考えていません。

基本、花の撮影に使うレンズは、細部までよく写るものを選ぶ必要があります。私は50mmレンズで花を撮影したことがありますが、300mmまでの焦点距離を使っても成功しています。ズーム効果で背景もきれいにぼかせます。

私がこれまで花の撮影で試してきて最良のものは、マニュアルフォーカスの「ニッコール50mm F1.2」です。
このF1.2で花を撮影するのは、非常に魅力的です。ニコンD500で使ってみました。私の経験では、F1.2では花の撮影には非常に使いにくいレンズです。
被写界深度が非常に浅く、マクロレンズを使って極端に拡大してピントを合わせるのと同じくらい浅いのです。
50mm F1.2で撮影した花のポートレートには、霧のような幽玄な雰囲気が漂う美しいものもありましたが、私の結論としては、忍耐と挫折を強いられることから、一般的な花のレンズとしてはあまりお勧めできません。







絞り

絞りは、直感的には開放側を選ぶのが一般的です。一般的には、手持ちのレンズの最大絞りで撮影するのが常道で、結果的にはそれが良い結果をもたらします。
しかし、注意しなければならないことがあります。絞りを大きくすると被写界深度が狭くなるため、最大値でどれだけ花にピントが合うかを見極めるのが難しいのです。
せっかくいい構図で撮れたのに、花の正面にしかピントが合っていないということもあります。
このような場合には、少し後退して撮影し直すことで対応できます。被写界深度の範囲内に花が入るようになりますが、多くの場合、思ったような精細な写真にはなりません。

次に試したいのは、絞りを1~2段絞ることです。先ほどのF1.2の話を思い出してください。F1.4やF1.8にしてみると、より良い結果が得られました。F1.4やF1.8にしてみると、花のディテールやボケ味はそのままに、より多くの花にピントを合わせることができます。
また、多くのズームレンズのように、最大の絞りがF3.5やF4の場合は、絞りを開放にすれば同じ結果が得られます。

ここで、いくつかのテストが必要です。自分のレンズがどのように扱われるのか、そして様々な設定でどのように画像が見えるのかを知る必要があります。
何事もそうですが、花の撮影では好みの絞りがあります。このジャンルを続けていると、自分の選んだレンズとの相性がわかってくるものです。



シャッタースピード

ディテールを鮮明にするには、速いシャッタースピードが必要です。そこで必要となるのが、ご存知、ISOです。レンズを開放にしても十分なシャッタースピードが得られない場合は、ISOを上げて余裕を持って撮影します。

花の撮影では、一般的に1/250程度のシャッタースピードで十分な描写が得られます。
ただし、1/5000という極端な値にする必要はありませんが、速いに越したことはありません。
これはちょっと大げさな表現ですね。でも、花の写真で1/1000のシャッタースピードなら、もっと遅くても大丈夫です。良い範囲は1/200〜1/800です。
この範囲であれば、どのシャッタースピードでもディテールをしっかりと表現することができます。

もちろん、写真の明るさ、ハイライト部分の白飛び、撮りたくない背景なども考慮して、シャッタースピードを決めていきましょう。
これらを考慮して、シャッタースピードを設定します。絞りについても同様です。狙い通りの効果を得るためには、様々な設定を行う必要があります。



手持ち撮影と三脚撮影

私は手持ちで撮影する派です。三脚の有効性は十分理解します。でも大きく重い三脚を持ち歩くたびに思うのですが、機動性が著しくそがれ、結果的に行動範囲、撮影範囲を狭めてしまいます。
なので明確な目的がない限り、私は撮影に三脚を持ち出すことはありません。
そういうわけでゴメンナサイ、三脚を使うべきかどうかの議論には参加できません。
三脚を使うかどうかは、撮る人それぞれが決めてください。
私はここでは何のアドバイスもできません。しかし、花の撮影では、特にマクロレンズや持ちにくい大型のズームレンズでは、三脚が非常に有効であることは認めます。







構図

構図がすべてです。構図が良くないと、花の写真は悪くなってしまいます。
構図の取り方は、技術的にも重要です。花を気持ちよくフレーミングしたいものです。花が茂みに咲いている場合は、邪魔になる枝を避けるのが無難です。場合によっては、後処理でクローンを作るしかありません。

手が器用な方は、片手で余分な枝を抑えながら撮影することもできます。
ただし、自分の影には注意してください。
また、枝の隙間から明るい光が差し込むのも避けたいところです。枝の隙間から明るい光が差し込むと、ハイライトが飛んでしまい、せっかくの写真が台無しになってしまうことがあります。視点を少し変えるだけで、明るい部分をなくすことができるので、それが一番の解決策です。

時々、私は完璧な花を撮影せずに捨ててしまうことがあります。それは、枝の小さな隙間から太陽が顔を出してしまうからです。
そのような明るい部分は、せっかくの写真を殺してしまいます。しかし、茂みの上にない花を撮影する場合は、花への光が比較的均一になるので、このような問題は発生しません。





また、花の背後にあるものにも注意が必要です。醜い壁やフェンス、歩道、植木鉢の縁などがあると、せっかくの美しい花の写真が台無しになってしまいます。
また、背景が混雑している場合も同様です。このような場合には、ズームインして撮影するとよいでしょう。時には写真の中の醜い部分と格闘、あるいは付き合っていかなければなりません。

写真を撮っているときの空も気になるところです。空が明るすぎると、写真が台無しになってしまいます。
また、日差しが強すぎると、色が悪くなったり、花がキツくなったりします。逆もまた然りで、影が多すぎると、コントラストが足りず、くすんだ写真になってしまいます。

ちょっと大げさと思われるかもしれませんが、厳密な事を言うと、花の写真をきれいに撮れる時間は、日中限られています。
花の写真を撮るときには、太陽の光に気をつける必要があるのです。正午は庭の花を撮るのに適した時間帯ではありませんし、雲が多すぎる日も同様です。

また、花を撮影するときに気をつけたいのは、枯れた葉や垂れ下がった花びら、花の汚れ、花の中のアリ、黒や茶色の斑点など、見苦しい部分がないかということです。
これらの欠点の多くは、クローンスタンプを使った編集で取り除くことができますが、最初から含まれていないのがベストです。
クローンスタンプを使って花を完璧に仕上げるには、また別の勉強が必要です。ずさんな編集は、悪い写真を撮ったのと同じことです。






アート性

花の写真にはもうひとつ、「芸術性」という要素があります。それは、花の写真を撮るときの「もうひと工夫」です。花は生き物であり、撮影者が関わりを持つことができるものです。触れ合うことができなければ、ただのスナップショットになってしまいます。意図的に撮影することで、その花の本質を捉えることができるのです。

より科学的な言葉で言えば、「意図」です。私は、優れた写真家は皆、自分が撮影しているものと対話していると思います。
それが意図的な撮影です。それが花の写真には必要な要素だと思っています。私が自分に言い聞かせているのは、「花があなたを受け入れなければならない」ということです。
花が心を開いてくれない日もありますが、そんなときこそスナップショットを撮るのです。次の日には、花はあなたに心を開いてくれて、あなたの写真は息を呑むような美しさになるでしょう。花の写真にはフィーリングが大切です。



まとめ

ニューヨークに移住してからある時期まで、毎週のように写真やアートの個展を見て回りました。その中で、南米の植物をテーマにした写真展が印象に残っています。
その無名の写真家は「花との相性が大切だと言っていました。魅力的な花は時にカメラでは収めきれないオーラを持っていて、それを写真でとらえるのは至難の業だというのです。
花の写真を本当に上手に撮るには時間がかかると思いました。
構図やテクニックを見極める目を養うには、何年もかかるのでしょう。
しかし、その道のりはとても楽しいものです。わたしも今その旅の途上を楽しんでいます。あなたも花から花へ、鳥や蝶になった気分で楽しく撮影してみてください。




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