2021年1月24日日曜日

カメラの買い時

 売れるカメラ、買うカメラ


 ここ数年のフルサイズ・ミラーレス・カメラの販売動向を見ていると、カメラ業界全体の動きはもはや「カメラはミラーレス」という流れに大きくシフトしていることは間違いないでしょう。しかしここへ来て、欧米では従来の一眼レフカメラの需要が戻ってきているようです。

 CIPA(一般社団法人カメラ映像機械工業会)の統計報告によると、2020年、全世界のカメラ出荷台数に予想外の変動が起きました。
 CIPAは年末に、デジタルカメラ生産出荷実績を公開しました。総出荷数が数か月ぶりに100万台を突破した9月に引き続き、10月はさらに伸びる結果を示し、回復傾向が鮮明となったのです。(9月の総出荷数101万1,049台、10月の総出荷数は113万4,888台)
 内訳は一眼レフカメラ33万8,652台、ミラーレスカメラ41万6,006台。金額的には、ミラーレスカメラが353億8,368万円、一眼レフカメラは123億9,009万円で、3倍近い差になっています。
 日本では人口減も相まって、引き続きカメラ業界全体の縮小に歯止めがかかっていない状況ですが、世界的に目を転じると、2020年にコロナ禍にもかかわらず回復基調が鮮明化してきているのは注目に値します。


 2020年10月の販売実績をみると、CIPAによれば海外市場ではミラーレスカメラは38万6,627台(329億2,208万円)出荷されました。一眼レフカメラでは32万6,825台(118億3,017万円)、レンズ一体型カメラは32万1,988台(73億5,510万円)です。
 前月比、ミラーレスカメラ・一眼レフカメラともに、台数・金額ともに10〜40%程度の大幅増加となっているのです。これはこれまでの減少傾向とは相反する結果で、カメラにまだ活路を開く余地があることを示しているのではないっでしょうか。(ちなみにコンパクト・デジタルカメラは数%減少という結果)

 ここでより注目したいのは、アメリカおよび欧州での売り上げ動向です。
 数字は昨年10月時点での比較となりますが、欧州向けでは日本同様ミラーレスカメラはわずかに減少しているのに対し、一眼レフカメラが伸びを示しています。台数および金額で前月比150%は少なくない数字です。アメリカでも傾向は同じで、ミラーレスカメラが減少して、一眼レフカメラの伸びが目立っているのです。台数ベースではなんと前月比170%を超える伸びなのです。この傾向は今年に入っても続くことが見込まれ、各社カメラメーカーの対応にも、微妙な影響が出るのではと思われます。

 ではアメリカでなぜまたかつての一眼レフカメラが売れ出したのか。
 ひとつ考えられる要因は、アメリカおよび欧米諸国の製品に対する期待の差です。勿論、日本の家電製品や車の品質の良さはかねてより高く評価されているのですが、こと耐久性、堅牢性といった面では、かなり厳しい見方がされる傾向にあります。
 例えば日本の軽自動車はコンパクトで低燃費。大衆にはうってつけの条件に思われますが、アメリカでこのクラスのクルマはほとんど顧みられません。まず安全対策として基準となる、車のボディ強度が基準に満たないのです。かろうじて基準をパスしても、より頑丈なヨーロッパ車に市場を持っていかれるのです。
 カメラでもその傾向は顕著で、近年発売されているミラーレスカメラでも、軽量小型はむしろマイナス要素とみられることがあります。アメリカ人はよく華奢なミラーレスカメラを、Flimsy(華奢だ)と言って敬遠しがちです。それよりもむしろ、かつてのNikonやCanonに代表されるずっしりと重い一眼レフカメラに信頼を置く傾向にあるのです。
 また心理的な要因も見受けられます。各社ともミラーレスカメラの新製品を大々的に売り出している昨今、一眼レフカメラの新製品発売が急速にペースダウンし、それまでのレンズ資産を活かしたい旧来のカメラファン層を枯渇状態に追いやっているのです。
 もう今まで通りに新しい一眼レフがでないとなると、今のうちに生産を続けている旧製品でも買っておくべし、という心理が働いても不思議ではありません。実際、私の甥が働いている家電量販店でも、NikonのD5600 ダブルズーム・レンズキット (18-55mm, 70-300mm )がディスコンになるというアナウンスが出でほどなく売り切れとなり、問い合わせが相次いだというのです。一方Canonでも、2016年発売の人気フルサイズ機EOS 5D Mark IV が$3400のまま値下がりもしないのに、また売れ始めているというのです。

EOS 5D Mark IV


 ミラーレスの便利さより、手にすると圧倒的な存在感で所有欲を満たせるのが、一眼レフということでしょうか。アメリカで小型自動車より、デカくて燃費の悪い大型ピックアップトラックの方がもてはやされるのと、似ていて興味深いのです。

 そのような現状で、いまアメリカでどのカメラが「買い」なのでしょうか?
 いままでカメラを買ったことがなく、これから始める人には、やはり最新のミラーレスカメラをお勧めします。日進月歩の最新技術が詰め込まれた各メーカーのカメラは、新たに出るたびに前機種のスペックを更新しています。入門者には新しく出た機種が買い時です、と言わざるを得ません。

 いまなら、CanonのEOS Kiss M IIが一番のビギナー・カメラです。




 2410万画素APS-C CMOSセンサーとDIGIC 8イメージングプロセッサーを搭載し、静止画や動画撮影時のオートフォーカスの改善、縦位置動画のネイティブサポート、ワイヤレスYouTube Liveストリーミングなどの前機種からのバージョンアップが見所です。また、無料のEOS Webcam Utilityを使ってウェブカメラとして使用することもできますし、HDMI出力もきれいに出力されています。
 モニターは3インチの104万ドットの解像度を持つバリアングル液晶を搭載しています。マークIIでは、ディスプレイ上に録画開始・停止ボタンを搭載したほか、動画セルフタイマーを新たに搭載しました。ファインダーは236万ドットの有機EL EVFで、ファインダーを見ながら画面をタップしてオートフォーカスを操作できるようになりまた。
 さらに4K UHD 24pのほか、フルHD 120pの動画撮影にも対応しています。
 まさに新人優等生で、カメラを始めるにあたって過不足のない能力を備えています。初めての方にも優しいガイドがモニターで示されますので、はじめはそのガイドに従って操作すれば、誰でも簡単にきれいな写真が撮れます。
 アメリカで本体のみの価格は599ドル。キットオプションも用意され、1つは699ドルでEF-M 15-45mm付き、もう1つは15-45mmとEF-M 55-200mmの2レンズ同梱で、929.99ドルになります。

 もう一つのお勧めは一眼レフの入門機Nikon D7500です。


 こちらはこれからガチでカメラをはじめたい方のために、最初に持つべき最良の一台です。とにかくNikon画質と言いますか、同梱の標準キットレンズでも、まず文句ないきれいな写真に驚くはずです。
 基本性能が優れていてかつ、入門者にもわかりやすインターフェース。有効画素数は2088万画素。解像感を維持しながら、最適なバランスでノイズ低減を行うため、高感度でも卓越した描写力を発揮します。さらに、光学ローパスフィルターレス仕様による解像力とNIKKORレンズの圧倒的な光学性能との相乗効果により、すみずみまで鮮鋭な画像を実現します。
 ニコンD7500の高度な動画撮影機能は、タッチフォーカス・コントロールなどのプロレベルの機能を使用して、驚くほど詳細な4K Ultra HDまたはフルHD動画を記録することができます。
 またローパスフィルターを搭載していないD7500は、画像解像度と低ノイズ性能のバランスを最適化しています。 画像処理エンジン「EXPEED 5」を搭載し、高速連写や30pの4K UHD動画撮影にも対応しています。
 フルHDだけでなく、4K UHD/30pで最大29:59までの記録が可能です。また、MP4形式での録画も可能です。
 約50枚のRAW画像を約8コマ/秒の連写で撮影できるので、動きのある被写体の撮影も苦になりません。
 また、ISO感度は51,200、Bluetooth、グループエリアAFなどを新たに搭載しています。新型D7500の快適なグリップデザインは、手や腕の疲れを解消します。
 ニコンの精密光学ファインダーにより、遅延なくリアルタイムで被写体を追えます。 スポーツ、アクション、ローライト撮影に最適なニコンの光学ファインダー技術は、撮影者に最もクリアで明るく、シームレスなシーンを提供します。
 内蔵フラッシュは、カメラ内の詳細なシーン分析を使用して、被写体にちょうど良い光量を加えることができます。大容量バッテリーは最大950ショットを撮ることができます。

 この高性能一眼がいま1,246.95ドル(ボディのみ)前後で買えます。18-55mm と 70-300mm VR レンズのダブルキットでもまだ1,300ドルで買えるところがあります。

 ディスコンになる前に、購入検討されることをお勧めいたします。
 
 

 

2021年1月23日土曜日

星空の撮り方

夜空をきれいに撮る




必要な機材:
デジタル一眼レフカメラと三脚

 どんなデジタル一眼レフカメラでも夜空撮影には使えますが、カメラが良ければ良いほど、写真に写るノイズ(または粒状感)が少なくなります。(以下の解説は、デジタル一眼レフカメラのためのものです)

 撮影は非常に長い時間、たとえば10~25秒間かけて撮影するので、星空撮影にはしっかりした三脚が非常に重要です。三脚がない場合は、カメラを台の上などに固定して夜空に向ける工夫が必要です。


RAWで撮影する

 RAWファイルを撮影するようにカメラを設定してください。これらの写真ファイルは巨大で、それらをアップロードするにはかなりの
ストレージ量が必要になります。撮影後、編集中により多くの光と色のデータを操作できるので、RAWファイルで保存するだけの価値はあります。(私は夜空の写真を外付けハードドライブにアップロードして、コンピュータのスペースを節約しています)


マニュアルモード

 カメラがマニュアル・モードに設定されていることを確認してください。マニュアルでの設定方法についてヘルプが必要な場合は、外へ出る前にカメラのマニュアルを参照してください。


街の明かりから離れる

 空にたくさんの星を見るためには、地上にある人工の光を避けなければなりません。ネオンピカピカや、車のライトが行き交う場所はふさわしくありません。かといって真っ暗闇の山中まで行く必要はないです。都会でもちょっとした暗い空間を見つけることはできますが、可能ならば郊外に出て、目視で星が無数に見える場所を探しましょう。
 カメラは目で見るよりも多くの星を捉えることができるので、外に出ていろいろな場所で試してみてください。
 注意したいのは月です。特に満月の光はカメラのレンズに大きな影響を与えることがあります。とくに繊細な天の川を撮るようなシチュエーションでは、明るい月がない夜を目指してください。
 その一方で、明るい月が星空写真に良い効果をもたらすこともあります。月の光を利用して、月が草木を照らすことで、前照灯のように美しく撮影することができるのです。






タイマー設定

 夜間の撮影にはタイマーを活用しましょう。わずかなシャッターを押す振動が、星空に与える影響は無視できません。2秒タイマーを使えば、三脚の上でカメラを安定させることができます。これにより、シャッターボタンを押した時の手ブレを防ぐことができます。シャッターボタンを押して一呼吸まつだけで、安定した長時間露光が得られます。


無限遠にピントを合わせる

 カメラにおける無限大。それは何を意味するのでしょうか? オートフォーカスが効かないということです。星は遠すぎるので、オートフォーカス設定は意味を成しません。まずレンズがマニュアルフォーカスに設定されていることを確認してください。その後、無限大のシンボルからの線が底部の中心線に一致するまでレンズをひねってみてください。


手振れ補正オフ

 三脚に固定して撮影する場合は、カメラ設定で手振れ補正をオフにすることをお忘れなく。誤作動のもとになります。


ISO1600

 夜空の写真撮影のためのISOは最低1600から
始めるといいでしょう。それは、視野に入るすべての星からの光を回収するのに十分なISO値です。1600を下回ると、星の数が減ってしまいます。ただし月の光をとりこむ場合は1600以下もありえます。
 これらは絶対ということではありませんが、照明条件に応じて設定は微妙に変わります。目安として1600で開始し、そこからISOを変えながら最適な感度を模索する必要があります。


シャッタースピードの500ルール

 通常、星空撮影する時の上限露出時間(シャッタースピード)は、20~30秒が適正とされます。よく言われる「500ルール」とは、赤道儀を使用せず、星が線状にならずに点で撮影できるシャッタースピードの上限時間を知る方法です。例えば
35mmレンズの場合、500を35で割って約14.29。これを四捨五入して、15秒露出からスタートする、ということになります。
 
 夜空は広大なので、できればダイナミックな表現力を持つ広角レンズを用意してください。タムロンの35mmレンズ(f/1.4)などがおススメです。



F値4.5以下のレンズで

 星空撮影にはできるだけ明るいレンズがいいのはもちろんですが、レンズによっては、低いF値でもケラレが発生することがあります。f/1.4のレンズなら必要十分ですが、場合によってはf/2.0の方が鮮明に写ることもあります。



 例外もありますが、私の星空写真のほとんどは、F2.0、20~25秒のシャッタースピード、ISO1600~4000で撮影しています。

 一度設定をきめて上手く撮れた時はメモか、カスタム設定で記録しておきましょう。次回撮るときの参考になります。もちろん毎回同じ設定でOKとはならなくとも、星空に対する基本設定を覚えておくと、そのうち応用が容易になっていきます。




最後に

 星空撮影に磨きがかかってきたら、地上の風景なども写し込んで気の利いた構図で決めるのも楽しいものです。たとえば山並みや樹々のシルエットなどを添えるだけで、星空がドラマチックに映えます。遥か彼方の大宇宙を額縁に収める醍醐味を、ぜひ味わってみてください。

2021年1月22日金曜日

単焦点レンズのススメ

プライムレンズ:やっぱり写りは最高




 ズームレンズは、利便性と汎用性という点では紛れもなく素晴らしいものであり、広角から望遠まで広い範囲の焦点距離を提供してくれます。しかし、画質の面ではどうしてもどこかで妥協しなければなりません。想像してください。小さな黒い筒の中で十枚近くのレンズがひしめき、ズームし合焦するために前後に移動するレンズ素子の複雑な配置を。それがいかに高純度なガラスでも、屈折に屈折を繰り返すことで生じる代償は小さくないのです。

 シャープネスが最初の犠牲になることが多く、ズーム域の広角端と望遠端では、鏡筒やピンクッションの歪みが発生することが多いのはご存じでしょう。
 また、色収差(画面内のハイコントラストのエッジの周りの色のフリンジ)とケラレの増加もついて回ります。後者の効果は、あなたが広角端で大口径を使用しているときに最も一般的に見られます。ズームレンズはまた、多くの場合、ゴーストやフレアになりやすい特性も持っています。

 高品質のプライムレンズに切り替えると、歪みやケラレははるかに目立たなくなるはずです。シャープネスも優れているはずなので、現在のデジタルカメラに搭載されている高解像度センサーを最大限に活用することができます。
 
 プライムレンズを使用するもう一つの大きな利点は、通常、 「高速」であるということです。これは、絞りの最大値を大きくすることで、より速いシャッタースピードを可能にすることを意味します。

 低光量では、ISO設定を増加させない限り、一般的なズームレンズだと1/15秒のシャッタースピードに制限されるでしょう。しかし、F1.4レンズは1/250秒のはるかに速いシャッタースピードを可能にします。f/1.8レンズは、f/5.6レンズよりも3.3段分速いですし、f/2.8モデルでも2段速いです。

 いわゆる 「速い」レンズは、手ブレを回避し、暗い照明条件でのアクションをフリーズさせるためだけに良いわけではありません。もう一つの大きな利点は、よりタイトな被写界深度を得ることができ、背景をぼかすことによって、被写体のなかのさらに強調すべき部分を浮き彫りにします。特に背景が乱雑で、そうしないと気が散ってしまうような場合には、ポートレート撮影でよく使われるテクニックです。

 明るくて日当たりの良い条件で大口径を使用するのは厄介なことですが、NDフィルターを装着することで問題を回避することができます。あなたがビデオを撮影していると、いま流行りのドキュメント映画のような、浅い被写界深度を狙いたいときに可変NDは素晴らしい役目を果たします。


単焦点ならではの背景ボケ




単焦点レンズの利点


フットワークを鍛えるプライムレンズ

 ズームレンズでは、自分が動かずして同じ場所から広角や望遠の異なる画角の写真を簡単に撮ることができます。それはあたかも当たり前のようですが、単焦点レンズは違います。自ら体を前後に移動することによって、最良の構図と露出を体感しながら身に着けることになります。一見面倒な事のようですが、実際に体を使って、ファインダーを覗きながら、被写体を最高のポイントへ持っていく作業は、じつにクリエーティブで創作脳を刺激してくれます。レンズと自分の目が一心同体になってこそ、被写体のベストな立ち位置を見抜くことができるようになるのです。
 

被写体を引き立てるボケ

 APS-Cフォーマットのボディに50mmのレンズは、ポートレート撮影に最適な組み合わせです。開放F1.4やF1.8では、18-55mmの格安ズームレンズよりもはるかに効果的に背景をぼかすことができます。

先行投資

 もし予算に余裕があるのであれば、現在APS-Cフォーマットのデジタル一眼レフカメラを使っていても、フルフレーム対応のレンズなど、プロレベルのものを購入するのが良いでしょう。これは、将来的にフルサイズ・カメラに買い換えることになった場合に備えての話です。レンズ沼にハマる予防策として、最高の単焦点レンズ一本を備えておくのは、悪くないアイデアです。



 ご参考までに各メーカーの代表的なプライムレンズをご紹介しておきます。


Nikkor AF-S 35mm f/1.8G DX Lens



 この大人気の小さなレンズは、どんなDXセンサーボディにもマッチします。軽くて、安くて、ピントが合うのが早くて、とてもシャープ。発売以来ずっと売れ続けています。その秘密は焦点距離。とても柔軟な焦点距離であり、ポートレートだけでなく、風景、グループ写真や家族写真など幅広い用途に使えるのです。また室内でもF1.8の開放で十分な光を集めることができ、ノイズの少ない写真を撮ることができます。
 このレンズは日常の撮影に重宝し、DXユーザーには最適なレンズです。



SONY FE 35mm F1.4 GM




 このソニーのベストセラー単焦点レンズは、そのスピード感と独創的なフォルムが特徴です。ストリート撮影から風景、ドキュメンタリーまで対応できる多彩な焦点距離と、低照度下での撮影や被写界深度のコントロールに優れた高速開放値を実現しています。また、G Masterレンズとして、高度な光学設計により、シャープでクリアな描写を実現しています。

2枚のエクストリーム非球面素子と1枚の超低分散素子により、さまざまな収差、カラーフリンジ、歪曲収差を低減し、さらにナノAR IIコーティングによりフレアやゴーストを抑制してコントラストを向上させています。光学系のバランスをとるのは、2つの独立したフォーカシング・モーターを使用したXDリニアモーター・システムで、特に静かで正確かつ迅速なオートフォーカス・パフォーマンスを実現しています。また、防塵・防湿設計とフッ素コーティングを施したフロントレンズエレメントを採用し、悪条件での撮影をサポートします。




CANON EF 50mm f/1.8 STM



 コンパクトで軽量、ストリートでもアウトフィールドでも自在に使いこなせる常用レンズです。EOSユーザーならプライムレンズの世界への参入に最適なレンズです。有効焦点距離はAPS-Cカメラでは80mm、フルフレームカメラでは50mmで、ポートレート、アクション、さらには夜間撮影のための優れたプライムレンズです。最大開放F1.8の明るい開放F1.8は、低照度下での撮影はもちろんのこと、円形7枚羽根の採用により、背景ボケの美しいシャープな画像や動画の撮影にも威力を発揮します。また、新レンズコーティングを施したレンズ配置により、カラーバランスに優れ、ゴーストやフレアの発生を抑えた描写を実現しています。ステッピングモーターの採用により、動画では静音に近い連続ムービーサーボAF、静止画ではスピーディーでスムーズなAFを実現しています。
 外観を一新し、フォーカスリングの配置を改善したことで、マニュアルフォーカスの調整が容易になりました。キヤノンの最もコンパクトな50mmレンズで、かつ堅牢な金属マウントを採用し、最短撮影距離を0.35m、最大撮影倍率を0.21倍に向上させました。動画や静止画で最高のシャープな性能を提供し、EOSカメラでの創造的な可能性を広げるクリエーターに最適なレンズです。

2021年1月21日木曜日

ペット写真入門 その2:猫

猫を可愛く撮りたい



 

 猫のスナップ写真は誰でも撮ることができます。でも撮っても撮ってもなぜだかイマイチの写真しか撮れない。そんな弱気になることはありませんか? 動物写真家は、初めて会った猫ならまず一緒に遊んで猫の特徴を掴みます。動きだけではなく、性格まで短時間で把握してしまうのです。猫のユニークな個性を捉え、レンズを通して強いつながりを築くことができるのです。それは高価なカメラを持っているプロでなくても、正しいコツを掴めば、誰でも猫写真のスキルを向上させることができるのです。



 はじめに、愛猫の写真を撮るための簡単なコツをご紹介します。




基本は簡単

背景はシンプルに

 どんな可愛い猫ちゃんでも、写真となると、なかなかいい瞬間をとらえるのは難しい、そう思われている方は多いと思います。その一つの原因は、背景にあります。せっかくいいポーズをとってくれた猫ちゃんでも、背景に人の生活感が出ているとダメダメな写真になることがあるのです。ましてやごちゃごちゃした部屋の様子が映りこんでいると、それだけで写真の魅力は半減いやそれ以下になってしまいます。猫に限らずですがペットを部屋で撮りたい場合は、まず背景をすっきりさせましょう。できれば猫と背景の距離をなるべく離して明るいレンズで撮ってみてください。「くっきり焦点のあった猫にふんわりボケの効いた背景」これだけでも以前とは見違える印象になるはずです。



最適な照明を選ぶ

 柔らかい自然光が理想的です。屋内では大きな窓のある場所が最適です。ただし直射日光はバツ。曇りの日は最高の写真になりますが、明るい太陽は変な影をつけたり、背景を明るくしすぎたりします。明るい日に撮影している場合は、朝方夕方、太陽が低いときに最高の写真がよく撮れます。



快適な環境を選ぶ 

 特定の場所に長時間いることを強いると、猫は落ち着きがなくなることがあります。撮影する場所をリラックスして静かな場所にすると、猫がじっとしていられる可能性が高くなります。猫用の家具など、猫がすでに慣れている場所を選びましょう。



猫目線で対応

 つまり猫写真を撮るためには、撮影者は猫の目の高さに合わせて撮ることが必要です。例えば床に寝そべって写真を撮るとか。あるいは猫がくつろげるソファやテーブルなど、二人の目の高さが同じになるような場所で写真を撮ると良いでしょう。
 猫にカメラを見てもらうためには、奇妙な音を出すのもよくある手です。猫の注意を引くためには、だれかに後ろに立ってもらい、紙袋をガサガサさせたり、音の出るおもちゃで注意を引くと良いでしょう。
 猫が’安心できる高さの場所を見つけましょう。繰り返しますが、猫と目線の高さにレンズを置くのが秘訣です。猫と対面することで、猫の表情を捉えやすくなり、写真を見ている人も絆を感じることができます。また猫よりやや低いカメラ目線も新鮮なアングルになることが多く、いろんな角度を変えて、猫の特徴を捉えるようにしてください。



 それでは次に、以上の基礎の基礎を心得たうえで、一歩進んだ猫対応、ペット撮影術をご紹介いたしましょう。






より可愛さを引き立てましょう

光を味方に

 室内で猫を撮るとき、まずフラッシュは控えましましょう。直接フラッシュを当ててしまうと、毛並みは反射で見るに堪えない白飛びをします。猫の目も変な光り方をしてしまいまます。コントラストの少ない自然な明るさは、猫の写真をソフトで美しく見せるための重要な鍵です。

 家の中で一番日が当たる時間帯を中心に撮影しましょう。家の明かりをつけていてもいいですが、単一の強い光源は不快な影を作りがち。撮影場所はできるだけ日中の自然光を取り込みやすい環境を選びましょう。

 光を増やすとカメラのピント合わせがしやすくなるので、光を入れるとより鮮明で精細な写真が撮れるようになります。ただし、光を当てすぎると、写真が白っぽくなってしまうので注意しましょう。
 デジタル一眼レフカメラで撮影している場合、バウンス撮影と言って、外部フラッシュを壁や天井に当てて撮影する方法を使うと、写真スタジオっぽいの美しい写真が撮れます。絶対にフラッシュを直接被写体に向けないようにしましょう。



猫に焦点を当てる

 プロが撮った猫写真の中には、猫が浮き立つような
臨場感で迫ってくるものがあります。それらの写真に共通しているのは、極力シンプルに徹した背景の演出です。アマチュアのペット写真でも、理想的には背景の雑然としたものは避けたいものです。せっかくのゴージャスな猫の写真も、背景に洗濯物の山や汚れたカーペットがあると台無しになってしまいますからね。写真を撮り始める前にまず周辺のお片付けです。
 猫ちゃんお気に入りのカーペットやおもちゃもごてごてしたりカラフル過ぎるものは避けた方が無難です。背景の色や質感が少ないほど、猫の細部に焦点を当てることができるということを念頭に置いて、配置やフレーミングを賢く選びましょう。
 デジタル一眼レフカメラで撮影している場合は、絞りを大きくすることで美しい被写界深度を得ることができます。これはまた、背景の一部をぼかすのに役立ち、主役の猫は一層引き立つことになります。






的を絞った写真を

 素人の猫写真でよくある問題として、手ブレやシャッタースピード不足で、画像がぼやけてしまうことがあります。猫の顔の繊細な部分があいまいになって残念な写真になるのですね。これは子猫や非常に活発な猫の写真によく見られますが、そのせわしない動きは、スマホやコンデジの自動設定で撮影するには速すぎるのです。

 マニュアル設定で撮影している場合を除いて、被写体、撮る側両方の動きを少なくして、ピントの合った写真が撮れるようにしましょう。手元が安定していることを確認するか、それが難しい場合は、カメラを丈夫な場所に置いて動きを少なくしましょう。被写体を鮮明に写すには、お昼寝の直後やゆったりと座っている時など、静止している時間を選ぶとよいでしょう。また、活動的な猫が写真を撮るときには、次の注意を引くヒントを参考にして、ポーズを取ることもできます。
 動きのある猫の鮮明な写真を撮りたい場合は、オートより手動設定の方が柔軟性があります。デジタル一眼レフカメラを使用している場合、シャッタースピードを上げて、連写モードにしてみてください。数撃ちゃ当たるですが、プロも利用する手法です。



ノイズやおもちゃを使う

 気まぐれな動物ーー猫はいつも思い通りに動いてくれるわけではありませんよね。人間の幼児などはまだコントロール可能ですが、猫に限って言えばそれは不可能に近い。でも手はあります。見慣れない猫用のおもちゃをぶら下げたり、音の出る猫のおもちゃで気を引くことによって、レンズに焦点を当てる時間を稼ぐことができます。
それもぐずぐずしている暇はないかもしれません。猫はすぐに飽きてしまったり、一度音源を知ってしまうと興味を失ってしまうことが多いのです。紙を用意してカシャカシャと音を立てたり、猫のおやつの袋の音を出したり、さまざまな音源を試してみるのも必要です。奇妙な音を提供できれば、戸惑いや困惑のかわいい表情が撮れるかもしれません。

 ただし無理強いをして猫を怖がらせないように気をつけてくださいね。本当にいい猫写真は、猫が最もリラックスしている時に撮られた写真だと言います。緊張と緩和。ねこが猫らしく振舞う、自然な姿を狙うように心がけましょう。



編集:フィルターは控えめに

 ソーシャルメディアでは、フィルターを使って写真を編集したくなるかもしれませんが、やりすぎには注意しましょう。手を加えれば加えるほど、本来の自然さから離れがちになります。写真の自然さを引き立たせるために最低限の編集で済ませてください。編集ソフトウェアは、少し薄暗い写真の露出を上げたり、暖色系の画像にクールなトーンを加えたりするのに適していますが、目立つ目的でエフェクトに頼りすぎないようにしましょう。過剰な編集は、写真を安っぽいものにしたり、奇抜なものにしたりして、見ている人が被写体とのつながりを感じにくくしてしまいます。その代わり、猫の自然な美しさを生かして、思わず画面から手を伸ばしてペットを飼いたくなるような写真を目指してください。



相応しいカメラを選ぶ

 カメラ技術は日々急速に向上しているので、素晴らしい瞬間をキャッチし、良い写真を撮ることはひと昔前よりずっと簡単になりました。複数のプログラム、様々な機能、デジタル技術を備えた最新のデジタルカメラのおかげで、ペットの高品質な写真をだれでも撮影することが可能になりました。おススメのカメラはと聞かれれば、エントリーレベルの最新のもの、ということにます。

 キャノンで言えば、EOS Kiss シリーズで十分カワイイ動物写真が撮れます。取説に従って動物モードで撮ってもいいのですが、順にステップアップしてマニュアルで撮るようになっても、昔のカメラよりはずっといい写真が撮れるようになりました。最新のカメラ・テクノロジーがしっかり撮影者を支援してくれるようになっていますよ。



ペットを撮るうえでの注意点

 鳥瞰図とも呼ばれる上から撮影した写真は、動物が小さくて無力に見えることが多いです。頭は通常よりも大きく表示され、体のプロポーションは少しおかしいように見えます。人間目線のショットは赤ちゃん猫だけにしましょう。




機材と設定

正しい装備の選び方とは? 

 改めて付け加えますが、猫撮影にはシャッタースピードのコントロールが非常に重要です。決定的瞬間はそう幾度もやってくるわけではありません。素早く数多くのショットを得る、これは基本です。
 動きのある写真のために、カメラは高速オートフォーカスを使う必要があります。
 またペットの写真撮影には、焦点距離も考慮しなければなりません。焦点距離が大きいと手ブレの原因になりますし、手ブレ補正機能が付いていない限り、焦点距離に応じてシャッタースピードを考慮する必要があります。焦点距離が長ければ、おそらくより速いシャッタースピードが必要になるでしょう。焦点距離は80mmから200mmの間に収めるのがベストです。
 焦点距離が長い場合は、カメラを完全に静止させるのは難しいので、三脚を使用する必要があります。また、地面やテーブルの上にカメラを置いても良いでしょう。
 走ったり遊んだりしているペットの写真を撮りたい場合は、シャッタースピードは1/500秒以上、場合によっては1/1000秒以上の超高速シャッターを使う必要があります。
 またカメラのISO設定を変更すると、カメラ内部のイメージセンサーの光に対する感度が変わります。一般的には、粒状感のない滑らかな写真を撮るためには、できるだけ低いISOを選ぶべきですが、ISOを上げると、写真の「ノイズ」や「粒状感」も増えてきます。基本的な事なので覚えておきましょう。
 周囲が少し暗い場合は、シャッタースピードを変えながら撮っていくのも良いでしょう。



写真に最適な照明を選ぶ

 原則として、光に逆らって写真を撮るのではなく、常に太陽を背にして順光で撮影するようにしましょう。ただしコントラストには注意を払ってください。せっかくのキュートな一瞬がガチガチな一枚に変わり果てます。

 夏の光の条件としては、早朝か夜遅く、日の出直後か日没直前が最適です。春と秋は、太陽が空高く昇らないので、日中の多くの時間帯に良い光を見つけることができます。もちろん、天候にもよります。
 冬もまた、写真撮影、特に風景、ポートレート、野生動物などに美しい環境を提供してくれます。


愛猫にカメラを好きになってもらうために

忍耐力を身につける

 あなたの猫ちゃんに、撮影に慣れるための時間を与えましょう。猫はあなたが何をしようとしているのか理解することはできません。カメラ、撮影の概念がないので、何かいっしょに遊んでいるような楽しい雰囲気をつくるよう心掛けてください。


ご褒美をあげましょう

 猫ちゃんのおやつは、上手く撮影出来たご褒美として用意しておきます。カメラがなんなのかわからなくても、ご褒美をもらえるパターンは学習可能です。いい写真が出来上がったら、たっぷり愛情を注ぎ、感謝の気持ちでなでなですることを忘れないでくださいね。



2021年1月20日水曜日

写真をデザインするツール

CANVA 対 FOTOR





 今や百花繚乱、数多くのオンライン・グラフィック・デザイン・アプリやソフトなどのツールがある中で、どれが自分に最適なものか、探すのも一苦労です。このレビューでは、2つの全く異なるオンライン・グラフィックデザイン・ツールと画像処理プラットフォームをチェックし、インターネット上でデザインがどれだけ可能なのか、また限界や制限があるのか、それぞれの長所と短所を見て行こうと思います。


 今回は欧米で今もっとも人気のある画像デザイン・プログラム、CANVAとFOTORです。


CANVA



 多くの人が「デザイナー御用達」と考えているCanvaの洗練されたHTML5ベースのインターフェイスと多数のテンプレートは、デザインの素人でもわかる、一般大衆向けの優しい操作法が人気の秘訣です。
 デザインに悩んだらスグ使える簡易テンプレートに加えて、制作のヒントになる膨大な数のテンプレートを提供しており、直接使用することができます。
 ここではもうゼロからデザインする必要はありません。これらのプリセットされたデザインはプロが作った素晴らしいものです。ただ注意していただきたいのは、すべてが無料ではないことです。よりによってこれが有料? とがっくりくることもありますが、それは商売ということで、あきらめましょう。ていうか、有料に入るのも悪くない、と考えさせられるほど、有料の利点は多いので、ある程度使い慣れたら、潔く有料版に乗り換えるのも十分アリ、そう思えるほどテンプレートは充実しています。
 無料であらかじめ用意されたテンプレート以上に、有料版にはユニークなオーバーレイやカスタマイズ可能なクリップアートがたくさん用意されています。これらの追加機能は幅広いテーマをカバーしており、デザインのオプションやスタイルを提供してくれます。Canvaを使えば、ソーシャルメディアのカバーやその他のデザインを簡単に作成することができるオンです。


FOTOR



 シンプルな写真編集スイートとHDRエミュレータとしてスタートしたFotorは、2012年の発売以来、大きく成長しました。豊富なデザイン機能、国際的な写真コンテストのプラットフォームと包括的なユーティリティ機能を備えたFotorの強みは、そのダイナミックな性質にあります。
 デザインの観点からは、Fotorには直接フォーマットして作品を印刷する機能こそありませんが、プラットフォームに組み込まれている豊富な編集とカスタマイズオプションはその欠点を補って余りある充実度です。
 Canvaは特定の機能を強調し、オプションを制限することで「デザイン体験」を洗練させてきましたが、Fotorは編集オプションやコンテンツの数が非常に多く、その豊富さゆえにはじめは戸惑うかもしれません。
 Fotorには、フォトエディタに必要な「ベル&ホイッスル」機能はもちろんのこと、世界をリードするHDRアルゴリズムなど、興味深い機能がいくつも搭載されています。これらの要素を組み合わせることで、Fotorは「グラフィックデザイナー」の座を勝ち取るための強力な候補となります。実際、もはやAdobe Photoshopの代用品から、独立した別の座を獲得したかにも見えます。


 成功しているオンライン・デザイナーやエンハンサーの最も重要な特徴の一つは、ユーザーフレンドリーなUIと直感的なインターフェイスではないでしょうか。
 Canvaの洗練されたHTML5インターフェイスは、ほとんどの部分で非常にユーザーフレンドリーで見栄えが良いのですが、最初はとっつきにくいと感じる場合があります。
 Canvaのインターフェイスには膨大な量のチュートリアルやコンテンツ、その他の機能が隠されており、それらを見つけるのに苦労します。
 対照的にFotorでは、いつでもアクセスできる非常にシンプルで機能的なメニューが用意されています。さらに使いやすくカスタマイズしたい場合は、Fotorには「お気に入り」機能があり、よく使う機能や効果をすぐにアクセスできるカスタマイズメニューがあります。  
 先輩格のCanvaの洗練されたプレゼンテーションほど魅力的ではないかもしれませんが、Fotorを使っていて迷うことはあまりないでしょう。



長所と短所

 この2つの優れたプラットフォームの長所と短所を理解してもらうために、Fotorの「編集」機能とデザインとイメージアップの関係を無視することはできません。一般デザイナーの理解では、Fotor は最近まで、Adobe Photoshop と同等の機能やアプリを無料でオンラインで提供するユーティリティー・サイトとアプリでした。
 デザイン機能をリリースした後、Fotor は両方の機能を同じ場所で効率化し、写真や画像を修正したり強化したりしてから、デザインページに直接インポートすることができるようになりました。その一点で、この分野では、Fotorは本当に傑出していると思います。
 使いやすさ、Photoshopスタイル編集機能の数の多さと相まって、平均的なユーザーは実質的に無制限のコントロールが可能です。さらにユーザー層の拡大を受けて、Fotorチームが提供する無料のチュートリアルやブログで豊富な知識を得ることができるようになったのは嬉しい限りです。

 比較してみると、FotorとCanvaには明確な強みと弱みがあります。最近では「プレミアム」コンテンツは「無料ではない」という意味で使われていますが、この点でこの2つのプラットフォームは最も差別化されています。
 Canvaは編集ページから直接オーバーレイ、デザイン、クリップアートを購入できる「従量課金」方式で運営されていますが、Fotorは一括更新されたコンテンツの「プレミアム」プランがあります。
 この支払い方法に加えて、Cavaには「Canva for work」として知られる法人向けの支払いソリューションもあります。年間購読料はアメリカで約120ドルで、このプレミアムプランは、仕事やアイデアを共有したい企業やグループのために設計されています。
 Fotor専用の支払いオプション「Fotor Pro」は年間39ドルとかなり安くなっていますが、社内のビジネスコミュニケーション・プラットフォームはありません。
 もしあなたが素晴らしいデザインやカバーを作るのが好きなソーシャルメディア愛好家なら、Canvaのシンプルなシステムが最適だと感じるでしょう。
 欲しい機能だけを購入できるというシステムには明らかなメリットがありますが、「クリエイティブ志向」のデザイナーはよりオープンなプランを好むだろうというのがCanva側の見方でしょう。
 厳密には金銭的な観点から見ると、Fotorは2つのプラットフォームの中で最も費用対効果が高いと言えます。現状、Canvaで2つ以上のコンテンツを購入した場合、Fotorの月額プランとほぼ同額となります。


 Canvaのコンテンツ主導型の支払いスキームとは対照的に、Fotorはすべてのコンテンツを1つのオプションにまとめることで支払いプロセスを簡素化しています。またFotorの機能は頻繁に更新されるので、この支払い方法を利用するのは理にかなっていますが、私たちは使い始めるまで機能の有用性が分からないことが多いので、Canvaの代替案の方が良いと感じるかもしれません。要するに、オンラインデザイナーに全く慣れていない場合、Canvaは素晴らしい選択肢ですが、プロにとっては、Fotorの無数の機能を見過ごす手はないということです。


モビリティ(機動性)

 このレビューの最後に、特に重要な要素として、モビリティについて触れておきたいと思います。
 誰もが知っているように、スマートフォンからアクセスできないのであれば、おそらく存在意義はないのが現代です。実際、統計によると、大半の人がモバイルデバイスからこの記事を読んでいると思われます。では、CanvaとFotorはモバイルグラフィックデザイナーやフォトグラファーの領域で何を提供しているのでしょうか?
 Canvaは、iPadとアンドロイドタブレットには限定的なサポートを提供していますが、デザイン・プラットフォームはデスクトップ向けに合理化されており、可視性とスケール感が自由自在です。
 一方、Fotorはスマートフォン用にAndroidとiOSのバージョンを更新し、写真エディター、デザイナー、エンハンサーと同期させて合理化しています。この分野では、FotorはCanvaの上に立ってると言えるのではないでしょうか。
 またアプリのサポートに加えて、Fotorには「コミュニティ」機能があり、写真やデザインを共有したり、自分だけのギャラリーを作成したりすることができます。こういったクリエーターの遊び心をくすぐるアイデアも人気の秘密だと思います。



結局どちらがいいの?

 この2つの素晴らしいプラットフォームを比較するのは簡単なことではありません。どちらも急速に変化するデジタルの世界で独自の場所を作ることに成功しており、ユーザーの要求が高まる中で優れたサービスを提供しており、どちらも革新的であると言えます。
 グラフィックデザインや広告のすべての要素を、細部まで修正したいと考えているダイナミックなデザイナーは、Fotorを使用することで明らかな利点を見つけるでしょう。
 同様に、数分で見栄えの良い投稿を作成したい、ソーシャルメディアの愛好家は、Canvaの合理化された仕上がりを好むでしょう。
 しかし、敢えて現時点での勝敗の行方を見るならば、Fotorのダイナミックで柔軟な性質は、グラフィックデザインのプラットフォームとしてCanvaに取って代わる可能性を秘めています。その多様な機能を利用して、より良い作品を作るために、Fotorがますます使われるようになると予想します。期待を込めて。

2021年1月19日火曜日

フード・フォトグラフィーの楽しみ

食べ物を美味しく撮る




 レシピの写真を撮りたいけど、何から始めたらいいかわからないという方はいませんか? フードフォトは、インスタグラム、レストラン紹介、ポスター、カレンダーなどの商品写真、など多くの需要が見込まれています。また、クリエイティブな作品作りでもあり、カメラを使って自分のスタイルを表現する楽しい趣味にもなります。このフードフォトグラフィーという魅惑の世界をご案内しましょう。



使用するカメラ

 まずはカメラ選びです。これから始める方は、安価で使い勝手も良いので、まずはコンパクト・デジカメから始めてみるのも良いかもしれません。料理のためのコンデジの基本的な撮影法はすぐ覚えられます。ていうか、ほとんどのデジカメに「料理」という設定があるはずです。それに従うのが初心者には無難でしょう。
 また一眼レフほどの設定項目はありませんが、絞り、スピード、ISOなどのマニュアル設定は、コンデジにもありますので、積極的に自分で操作して、写り具合を確認してみてください。



明るい画像を作る

 シャッタースピード、絞り、ISOは画像の明るさを左右する3つの要素です。ここでは、もう少し詳しく説明します。


シャッタースピード

 シャッターの開く速度を遅くすることで、光が少ない状況でもセンサーに多くの光が当たるようにすることができます。私は、暗くて暗い日や秋の暗くなるのが早いときにこれを行います。ただし、シャッターを長く開けると、ブレが大きくなるので、三脚が必要になるかもしれません。私の経験則として、私は1/125秒で手持ち撮影をします。


絞り

 絞りとは、レンズの開口部の幅のことです。絞りを開けると、より多くの光を取り込むことができ、被写界深度が浅くなり、背景のボケが発生しやすくなります。この効果により、カメラの焦点がどこにあるのか、見る人の目を引きつけることができます。数字が小さいほど、絞りは広くなります。そのため、背景ボケの多い一箇所にシャープなピントを合わせたい場合は、3.2や3.5などの低い数字を選ぶとよいでしょう。背景の被写体にピントを合わせたい場合は、11や14などの高い数値を選択することができます(これでは光が入らないので、シャッタースピードやISOを調整する必要があります)。



ISO

 ISOとは、光に対するカメラの感度のことです。ISOが高いと画像の品質に影響を与え、特に写真の暗い部分に「ノイズ」を発生させてしまうからです。私はISOを500以下に保つようにしていますが、暗い状況では、三脚を持っておらず、絞りがすでに開放になっている場合は、ISOを高くします。


光の使いかた

 食べ物の撮影には、可能な限り自然光を使いたいです。プロ用の照明は自然光を模倣することができますが、その前にカメラに慣れて自然光を使うことをお勧めします。

 屋内の照明は、そのまま撮影すると被写体が黄色の光をかぶることが多いです。これではせっかくの美味しい食事が台無しです。屋内照明を使用する必要がある場合は、ホワイトバランスをオンにします。これは青を追加し、黄色を少し中和する目的で使われます。

 また周囲の光源を意識することは非常に重要です。レストランでは、パティオや窓際で自然光を取り入れた撮影をしてみましょう。自宅で撮影する場合は、時間帯を変えて光の加減を変えてみましょう。折りたたみ式のバウンス反射板という小道具も役立ちますのでぜひ検討してみてはいかがでしょうか。




被写体を選ぶ

 食べ物を撮ってもなかなか「すごい」という実感まで行かないのはなぜでしょうか?
もしかしたら、間違ったものを撮影しているかもしれません。写真をより魅力的なものにするためには、色や質感の異なる食べ物を選びましょう。茶色い食べ物ばかりのお皿では意味がありませんし、あなたが求めている「感動」の要素が欠けているのは間違いありません。

 食物には、カラフルな野菜の緑や、深みのあるチーズの黄色、ニンジンのオレンジ色など、豊かな色彩で写真を引き立てる素材がたくさんあります。そういったものから被写体を選ぶのもフード写真をうまく見せるコツと言えます。



テーブルを整理する

 卓上にあるものや、背景が乱雑だと、食べ物に焦点が集まりません。撮影前に周囲を片付けて、近くの雑然としたものをすべて取り除きましょう。シンプルな背景がベストですが、背景に花瓶や食器などを入れても、見た目がすっきりしていれば、被写体に邪魔にはなりません。



寄って撮る

 すべての色と詳細を捉えるためにマクロレンズで近く寄って撮影してください。撮った写真は、決してぼやけたものではなく、鮮明でクリアなものでなければなりません。いろいろな角度から撮影してみましょう。 1つの料理に20枚以上撮ってみましょう。一般的に料理自体は、全体の一部だけにピントが合っている状態がベストです。



三脚を使う

 暗い食卓では、遅いシャッタースピードが必要になることがよくあります。手ブレで写真が台無しになることもままあるものです。三脚を使ってカメラを安定させることで、写真を最高の状態で撮影することができます。三脚は、お皿の配置を変えたり、食材をぴったりの場所に配置したりと、料理を素早く調整したいときにも便利です。



過剰な編集を省く

 プロのカメラマンは必ずRAWで撮影します。初心者は必ずしもRAWに固執することはありませんが、RAWフォーマットで写真を撮影した場合、あとの編集がしやすくなり、結果的にいい写真を残すことができます。 jpgを卒業したらRAWフォーマットにチャレンジしてみてください。



作品を共有する

 食べ物の写真を撮影して編集したら、オンラインで共有しましょう。Flickrは、オンラインで写真を保存したり共有したりするのに最適な場所です。他にもいくつかのサイトが楽しいコミュニティを提供しています。こういった場で写真を共有することは、あなたの写真の腕を向上させるためのいいステージとなります。




スマホのカメラで撮る場合



 もしあなたがインスタグラムなどソーシャルメディア向けの気軽なフード写真を撮りたいのであれば、スマホ・カメラでもいい写真は撮れます。いくつかの心得がありますので、ご参考にしてみてください。


グリッド設定

 ほとんどのスマートフォンには、撮影したすべての写真にグリッドを重ね合わせることができるツールが搭載されています。これを使えば、写真の線がまっすぐになっていることを確認したり、フレームを3分の1に分割したりすることができます。iPhoneでは、写真とカメラの設定で「グリッド」のトグルを見つけてください。Android/Galaxyの場合は、カメラアプリの設定を確認してください。グリッドの切り替えが見つからない場合は、カメラ360のようなサードパーティ製のアプリをダウンロードして、グリッドをオンにすることができます。



露出スライダーを使う

 デジタル一眼レフカメラ同様に、スマホで露出をコントロールできることをご存じでしょうか。カメラアプリを開いたら、指で被写体にピントを合わせてみましょう。すると、太陽の小さな画像が表示されるはずです。表示された小さなバーを指で上下にスライドさせれば、写真を撮る前から光の量をコントロールすることができます。



アングルを知る

 ダイナミックな写真を撮るのに最適なアングルは、目線の高さや被写体の少し下からの撮影と、俯瞰での撮影の2つが効果的です。後者を使う場合は、椅子に座って被写体全体がフレームに収まっていることを確認し、ラインが完全にまっすぐになるようにしましょう。上から写真を撮るのは、一枚の写真で食卓の全体像を撮るための簡単な方法ですが、アップで撮ると、テーブルの上からの写真を見ることができます。アップ撮影は水分や質感、色などのディテールが出しやすいです。



自然光を利用する

 被写体が窓の前にある場合は、窓からの光を利用できます。しかし、カメラ側に窓(強い光源)がある場合は、食べ物が光にさらされ過ぎて魅力を失いがちです。食べ物の陰影を狙って撮る事によって、被写体にコントラストと質感を与えられます。

 もし、レストランで照明が弱い場合は、小型の照明器具を持参するのも手です。ない場合は友人のスマホのライトを使ってもいいでしょう。ただしフラッシュは避けましょう。フラッシュは食べ物のイメージを崩し、どんなに美味しい料理でも見栄えが悪くなります。被写体の上や後ろではなく横からの光を利用すること、これがポイントです。



構図の工夫

 お皿に盛った料理をフレームいっぱいにとって独占するのは避けましょう。そうしたい気持ちは分かりますが、あまりにも芸がなさすぎます。というより、より料理を引き立たせたいなら、シンプルな背景をたっぷり取り込んで、柔らかなボケを作ることです。そうすることによって料理は一層引き立ちます。よりアートな感じを出したいなら、大きな背景を選んで、主題を小さくすることを恐れてはいけません。



小道具でひと工夫

 フードスタイリストの演出方法を見ていると、他のオブジェクトをフレームに持ち込むことが重要なようです。ユニークな調理道具や厨房の一部、キッチンテーブルや椅子の飾りを使って、構図をより面白くすることを意識してください。ちょっとお皿の角度を変えたり、盛り付けを工夫するだけでも、写真に命を吹き込むことができます。



人も効果になる

 フード写真を美味しくするもう一つの方法は人を使うことです。グラスを握っている人の手や、食器を持つ人の手先など、シンプルなものでも、料理の写真をより引き立てることができます。暗い色、特に黒やグレーなどの落ち着いた色の服は料理の引き立て役として最適です。逆に明るい服だと、料理がさえなく映る場合があります。




写真をたくさん撮る

 一つの料理に対して、角度、距離、背景、明るさなどを変えた、十数パターンの写真を撮るといいでしょう。あとで後悔してデジタル編集しても、その場の空気感はなかなか再現されにくいものです。とにかくいろんなパターンを撮りまくることで、次回への対策にもなりますし、多くの場合、レストランでのフード写真は一回きりのチャンスしかないと思って、ふんだんに作例を作るつもりで、撮りまくってください。


まとめ

 フード写真は撮りためていくと、食べ物のコレクターになった気分にしてくれます。あのときあんなものを食べた、あのレストランは素敵だったなど、優れた写真を見返して、食にまつわるたくさんの思い出が蓄積されます。改めて見返すと、自分の偏った食事傾向も分かりますし、他人のフードフォトを見ることで、自分が見たこともない食事に興味をそそられ、新たなチャレンジが生まれることもあります。
 写真の腕は未熟でも、時として料理を実際以上に美味しそうに撮れる瞬間があります。そんな写真を撮れた日には、満腹以上の喜びを感じられるでしょう。ぜひあなただけの絶品料理と言える最高の一枚を写してみてください。

2021年1月18日月曜日

最強の初心者カメラ

小さな巨人:SONY a7C 




 昨年は魅力的なミラーレス・カメラが続々と登場しました。とくにフルサイズのカテゴリーではソニー、キャノン、ニコンが競ってラインアップを充実させてきたので、買う側はオプションが豊富で、うれしい悩みが増えた形です。
 そんな中で、初心者が買える(あるいは買うべき)フルサイズ機はあったでしょうか? いやフルサイズ機は経験を積んだ上級者のためのカメラだと思っている方もいるようですが、必ずしもそうではありません。今回ご紹介するソニーのa7Cはまさにビギナーにうってつけのフルサイズ・ミラーレス・カメラなのです。


SONY a7C
 いつも思うのですが、ソニーaシリーズと書くときに、アルファはaじゃなくて斜体時のαなんだよな、と思ってしまいます。元々はミノルタから受け継いだ看板みたいなものなので、変えようがないのでしょうが、書くときはちょっと面倒です。
 ともあれ2006年、ソニーから初のaを冠したカメラが発売されて以来、たゆまぬ研究と開発の結果、同社はいまやデジタルカメラのトップメーカーとして君臨するようになりました。
 その最新の成果がa7Cに凝縮されていると思うのです。いまこのカメラのボディを見てみると、改めてフルサイズ・センサーを積んだカメラでもここまでコンパクトになるのかと、感慨ひとしおです。
 中にはAPS-C機の a6000シリーズをちょっと分厚くしただけじゃないかという人もいますが、やはりここまで軽量小型にこだわった作りは大変なものだと感じます。
 
 たしかにデザインはa6000シリーズとほとんど同じで、機能や外観は非常に似通っています。
 しかし大きなフルフレームレンズを装着した状態では、全く違う感覚になるのはなぜでしょう。大きなレンズとは不釣り合いかもしれませんが、そもそもこのa7Cはそういったレンズを選ぶタイプのカメラではありません。
 明らかに動画撮影を意識した作りはバリアングル・モニターとその周辺のポート類の細かな配置具合で分かります。ポートの開閉部は小さなドアのように精巧にできています。マイクポート、オーディオジャック、USB-C、SDカードスロット、そしてマイクロHDMIポートが絶妙に配置されているのです。
 また、バッテリーとSDカードが別々のスロットに入っていて、一つのフラップの下で一緒に なっていないところも細かいけど気配りが感じられます。これにより、カメラを三脚から取り外さなくても、SDカードを素早く交換することができます。そのSDスロットを1つではなく2つにしたのも正解。これは、a7Cの記録時間を増やすだけでなく、同時バックアップを行う必要性から待望されていたスペックです。



 いろいろいい点を述べていきますが、忘れないうちに、問題点も指摘しておきましょう。多くの人から指摘されていますが、モニター上のメニューの配置がわかりづらいのです。一つの設定にたどり着くまで数回層のタッチ操作が必要で、もとに戻るのにも手間がかかりすぎます。慣れるまでとっさの操作は難しと思ってください。初めてカメラを手にする人には慣れが必要でしょう。ベストはグリップを握った状態で、親指一つで、タッチスクリーン操作ができることですが、現状これは不可能なようです。この問題はa7Cに限ったことではなく、ソニーのカメラ全体に言えることですが、なかなか改善されません。そろそろ抜本的なインターフェースの置き換えが必要ではないかと感じています。

 しかしそれを補って余りある性能を実感できるのがこのa7Cの素晴らしいところ。
 フルサイズカメラでありながら、別売のシューティンググリップを付けて、片手で動画撮影ができるんです。軽量化に加えて5軸手振れ補正ユニットが内蔵されているからできる業です。
 またフルサイズのレンズ特性を生かした高いISO性能が圧巻です。感度は100~51,200、さらに204,800まで拡張できます。APS-Cでは目立つノイズも最小限に抑えられ、5軸手ブレ補正と相まって、夜間でもほとんどオートISOで破綻のない写真に仕上がります。
 全体の性能に関しては、多くの点で大人気機種ソニーa7 IIIによく似ています。それでいて世界で最も軽く、最も小さいフルフレームカメラとして完成させたのは素晴らしいことです。
 カメラ愛好家からはSony a7cには目を見張るようなスペックはないと言われますが、個人的にはSony a7cのハンドリングがこの軽視を補って余りあると思っています。




スペック

 スペック自体は、言われるようにかなり基本的なものです。

24MPフルフレームセンサー

30pの4Kビデオ機能

100〜51,200のISO範囲

10fpsバーストモード

693点AFシステム

ファインダーカバー率100

2.36mドットEVF

3" 921kドットの多関節タッチスクリーン

Wi-FiとBluetoothを内蔵

本体424グラム

740ショットのバッテリー駆動時間


 ソニーa7cのバッテリー駆動時間は、このカメラの特筆すべき機能の一つです。これほど小型のフルフレームカメラで、1回の充電で750枚近くの撮影が可能。これはすごい。



ボディとデザイン

 このカメラはマグネシウム合金で作られています。ボディのグリップは良いですし、タッチスクリーンは、すばやく精密に反応します。バリアングル画面は、垂直方向の撮影と垂直方向へ軽快に動き、ビデオブロガーにとって最良のハンドリングが期待されます。 


 実際、ソニーのa7 IIIよりも容積は2割ほど小さく、動画には最適な取り回しができるよう設計されています。これが可能になった理由の一つは、EVFがボディ上部ではなく、カメラ背面の左側に配置されていることでしょう。ソニーのa600シリーズのカメラを使ったことがある人なら、このファインダーもすぐに慣れるでしょう。

ビデオ性能

 本機は30pまたは24pで4Kビデオを撮影できます。より良いフレームレートを必要とする場合は、最大120fpsでフルHDビデオを撮影することができます。30分以上の撮影が可能で、これからビデオブログをやる人にとっては非常に頼もしいスペックです。
 またS-LogやHLG/HDRで記録することも可能です。動画撮影中でも高速ハイブリッドAFが作動しますし、リアルタイムアイAFやAIによるリアルタイム追尾AFなども搭載されています。
 前述したように、このカメラは明らかにブロガーを意識して作られているので、のちのちレンズ選びにもそれほど困ることはないでしょう。




まとめ

 ソニーa7cは出て間もないので、当分値下げは期待できません。アメリカでa7cの価格は現在Amazonで1,800ドル程度(本体のみ)。標準キットレンズ付きで2,100ドルが相場です。個人的にはもうちょっとスペックを下げてでも、CANON EOS RPと競合するくらいの価格を期待していたのですが、それは今後の下位機種に期待するべきでしょう。価格相場は当分変わらないと思われるので、買い時は今。次のバージョンアップを待つ利点はないと思ってください。
 とにかくこのカメラはフルサイズ・デビューしたい人、高品質な動画を撮りたい人に最適なカメラです。本文では省きましたが、他の追随を許さないソニー自慢の超高速瞳オートフォーカス、リアルタイムトラッキング、最高約10コマ/秒のAF/AE追随高速連写、撮像領域の約93%をカバーする693点の像面位相差検出AFセンサー、コントラストAF枠425点、野外撮影に頼もしい防塵防滴仕様など、上位機と並ぶ機能が満載です。ぜひ店頭で手に取ってそのポテンシャルを確かめてみてはいかがでしょうか。