2021年2月2日火曜日

野鳥にネオ一眼を選ぶ

鳥を追うカメラとは




 野鳥を趣味程度で撮るなら「ネオ一眼」と呼ばれるカメラが最適です。特にカメラが趣味ではなく、野鳥観察を主体とした鳥や野生動物が好きな方なら、ネオ一眼カメラを第一にお勧めします。



 その理由を結論から言いますと、

1:素晴らしいズーム性能。これは、一眼レフなら300mm程度の望遠レンズでは及ばない超遠距離の被写体(ここでは鳥)を撮影できるという利点です。もし仮に一眼レフで100mm-400mmのズームレンズを付けたとすると、下のようなサイズになり、価格も安くて10万円前後となります。

2:スマホカメラにない特性。1と被りますが、いくらスマホカメラの性能が向上しても、どうしても追いつけないのが、光学ズームです。デジタルズームならいくらか倍率は稼げますが、鑑賞に堪えられるのはせいぜい8倍程度。それ以上はネオ一眼の光学性能に及ぶべくもありません。

3:すぐれた安定性。ほとんどのネオ一眼は大きなグリップで、しっかりホールドでき、撮影に集中できるよう大きめのファインダーと背面モニターを備えています。加えてほとんどの機種には手振れ補正機能が内蔵されているので、遠距離の被写体でも極力ブレずに撮影することができます。

4:高機能。欧米でブリッジカメラと呼ばれるように、コンデジと一眼レフの間をつなぐ役目のカメラです。一眼には及ばないものの、コンデジよりはるかに様々なマニュアル操作ができる設定の豊富だがウリとなっています。

5:優しい操作性。カメラやメカが苦手なネイチャー派の方でも、直感的に操作できる簡易性を備えており、光量が十分な環境であれば、すべてカメラ任せで満足にたる写真を撮ることができます。


高価で重くてかさばるフルサイズ・ズームレンズ





ネオ一眼 対 コンパクトカメラ

 コンパクトカメラとは多くの共通点がありますが、重要な違いもあります。
 まず、共通点です。ブリッジカメラもコンパクトカメラもセンサーサイズは似ています。低価格のコンパクトカメラやブリッジカメラには1/2.3インチのセンサーが搭載されていますが、高級なブリッジカメラやコンパクトカメラには1インチの大きなセンサーが搭載されています。
 違いという点では、主な違いはサイズです。ほとんどのブリッジカメラには、さまざまなマニュアルコントロールが搭載されていますが、より高級なコンパクトカメラにはマニュアルコントロールが搭載されているものもあります。
 コンパクトカメラとブリッジカメラの最大の違いは、ズーム機能です。ブリッジカメラの方が物理的に大きいので、より大きなズームを搭載することができます。コンパクトカメラの中には、より長いズームを搭載しているものもありますが、ブリッジカメラは、より高画質なロングズームを搭載することができ、遠くの被写体を撮影するのに有利です。



ネオ一眼
 対 ミラーレスカメラ

 様々な意味でミラーレスカメラの前身といえます。デジタル一眼レフカメラのように内部にミラーがなく、ミラーレスカメラのように光学ファインダーがありません。
ミラーレスカメラと
ネオ一眼の大きな違いは、ミラーレスカメラはレンズを交換できることです。ミラーレスカメラには交換可能なレンズがあるため、カメラのセットアップの柔軟性と選択の幅が広がります。

もう一つの主な違いはセンサーサイズです。ミラーレスカメラは
ネオ一眼よりも大きなセンサーを持っています。ネオ一眼は、1/2.3インチセンサーまたは1インチセンサーを搭載していますが、一般的なミラーレスカメラはAPS-Cサイズのセンサーまたはフルフレームセンサーを搭載しています。



ネオ一眼 対 デジタル一眼レフ

ネオ一眼は、もともとデジタル一眼レフカメラへの足がかりとして発売されました。その意図は、デジタル一眼レフカメラと同じ機能のいくつかを提供しながら、コンパクトカメラのような使いやすさを実現することでした。
 そのため、ブリッジカメラとデジタル一眼レフカメラの間には、いくつかの類似点と、重要な違いがあります。
 似ている点は、ほとんどのブリッジカメラはデジタル一眼レフカメラとほぼ同様の操作が可能であり、マニュアルからフルオートまでの幅広い撮影モードが用意されていることです。シャッタースピードやISO、絞りなどの主要な設定を調整することもできますし、必要に応じてオートに設定してコンデジのように使うこともできます。
 形状やサイズも似ており、ほとんどの
ネオ一眼は、一眼レフカメラに近い形をしています。
 いくつかの違いがあります。デジタル一眼レフのようにレンズを交換することができません。そのため、付属のレンズの性能に制限があります。
 また、
ネオ一眼にはミラーがないので、光学ファインダーがなく、その代わり電子ビューファインダーを備えています。
 最大の違いはセンサーサイズです。一眼レフカメラはネオ一眼よりも大きなセンサーを持っています。これはミラーレスカメラも同じです。ネオ一眼は、1/2.3″センサーまたは1インチセンサーが、消費者用デジタル一眼レフカほとんどで、一眼レフ機は、APS-Cまたはフルフレームのセンサーを持っています。



                                   PowerShot SX70 HS | 光学65倍ズーム



ネオ一眼の利点

 ほとんどの
ネオ一眼は、光学40倍以上のズーム機能を備えています。中にはもっと高いものもあり、光学ズームは120倍を超えるものもあります。デジタル一眼レフカメラやミラーレスカメラで同等の光学ズームを得るには、3000mmのレンズが必要となります。
 
 また、デジタル一眼レフカメラやミラーレスカメラの焦点距離の長いレンズは、重くてかさばる傾向があります。それに比べて
ネオ一眼は、はるかに軽く、コンパクトで、持ち運びも簡単です。

 冒頭に書いたように、多くの
ネオ一眼には手ぶれ補正が搭載されています。ただしこれはビデオカメラ技術からの応用で、必要に迫られた対策と言ってよく、レンズ側で補正するものが多いです。

 ネオ一眼のもう一つの利点は、フルマニュアルコントロールができるということです。このこだわりは、一眼レフに通ずるものがあり、コンデジよりは多くの機能で露出や色味、エフェクトを施すことができます。

 また、ほとんどの
ネオ一眼はRAWで撮影できるので、写真を編集する際には、最終的な画像をより自由にコントロールすることができます。

それからもうひとつ、嬉しいことに
ネオ一眼は、デジタル一眼レフカメラやミラーレスカメラよりもかなり手頃な価格帯で販売しています。



ネオ一眼のデメリット

 主な欠点は、センサーのサイズです。センサーの物理的なサイズは、カメラの性能に直接影響を与えます。ミラーレスカメラやデジタル一眼レフカメラに搭載されているような大型のセンサーは、シーン内の光をより多く取り込むことができるため、光が少ないときにはより良い画像を生成することができます。
 つまり、夕方や夜間、屋内では、一般的に
ネオ一眼ではミラーレスカメラやデジタル一眼レフカメラほどの画像は得られません。

 センサーが小さいため、長いズームを搭載することができますが、光量が少ない場合には性能が低下します。
ネオ一眼は一般的なコンデジとセンサーサイズは同じなのです。

 ネオ一眼のもう一つの問題は、ズームインすればするほど画質が落ちることです。センサーが受け取る画像の質にリンクしているオートフォーカスの速度も、ズームインすると遅くなることがあります。

 
ネオ一眼に限らず、どのカメラシステムにも、重量、価格、画質、機能など、何らかの妥協点があります。大切なのは、写真家として何が重要かを決め、自分に合ったカメラシステムを見つけることです。
 


画素数

 カメラのセンサーは光に敏感な画素で構成されており、それぞれのセンサーは一定の画素数を持っています。この画素数は通常メガピクセルと呼ばれ、「メガ」は百万を意味します。
 例えば、12メガピクセルのカメラセンサーは1200万画素です。アスペクト比を4:3と仮定すると、画像ファイルは幅4000ピクセル、高さ3000ピクセルになります。高さと幅を掛け合わせると、合計数になり、カメラが生成する画像ファイルは1200万画素になります。

 ほとんどのSNSやウェブサイトで使用する場合は、12メガピクセル以上のファイルサイズであれば問題ありません。A3までの印刷サイズであれば、2000万画素で十分です。より大きな画像を印刷したい場合に限って、より大きなメガピクセル数が必要になります。

 カメラセンサーのメガピクセル数も性能に影響します。同等のサイズのセンサーの場合、メガピクセル数が少ないほど、各ピクセルが大きくなり、より多くの光を取り込むことができます。これが近年、多くのスマートフォンメーカーが12メガピクセルを適正な数値としている理由です。

 
Nikon CoolPix P1000 / 125倍ズーム


光学ズーム/焦点距離

 ネオ一眼の本当に興味深い特徴は、ズーム機能です。

 レンズには焦点距離と呼ばれる仕様があります。これはmm単位で測定されます。焦点距離がmm単位で大きいほど倍率が高くなります。焦点距離が小さいほど、倍率は低くなります。

 レンズが「ズーム」レンズの場合、これはある焦点距離から別の焦点距離に倍率を変えることができることを意味します。例えば、24mm~70mmのズームレンズであれば、比較的広角の24mmからやや拡大した70mmまで撮影することができます。

 参考までに、フルフレームセンサーを搭載したカメラでは、35mmの焦点距離は人間の視力とほぼ同じです。デジタル一眼レフのフルフレームカメラを35mmレンズで覗いてみると、カメラを使っていない時と同じような光景になります。35mm未満に「ズームアウト」すると、シーンは遠くに見え、35mm以上に「ズームイン」すると、被写体は近くに見えます。


光学ズームとは、最も広い焦点距離と最も狭い焦点距離の差のこと

 例えば、ニコンのCoolpix P1000は24mm~3000mmのレンズを搭載しています。3000を24で割ると125になります。つまり、このレンズは光学125倍ズームということになります。
 これは被写体が125倍大きくなることではありません。あくまで最小の焦点距離と最長の焦点距離の差が125倍であることを意味します。カメラの最大倍率を比較する場合は、レンズの最大焦点距離を参考にしてください。

 

選択のポイント

 もちろんズーム倍率が大きいほど被写体を拡大して撮影できるわけですが、そこだけにこだわると、自分が必要とする大事なポイントを見失うかもしれません。現在各メーカーから出ているネオ一眼はぱっと見、どれも似たりよったりにいつるかもしれません。しかし人によっては広角端のわずかな違いで、撮れる写真の範囲が大きく違うと感じる人もいるでしょう。
 お勧めは、少なくとも焦点距離600mm、倍率12倍相当のカメラです。ただ、レンズの明るさや、マニュアル操作の限度など、どのメーカーの機種を選ぶにも妥協点があります。とくに多くのネオ一眼では、極端な焦点距離になると画像のシャープネスが低下する傾向があることは留意してください。

Panasonic Lumix FZ1000-II / 16倍ズーム




最大絞り

 絞りとは、光をセンサーに通すためのレンズ内部の開口部のことです。目の中の瞳孔のようなものと考えることができます。利用可能な光が少ない場合、目の中の瞳孔は大きくなり、利用可能な光が多い場合、瞳孔は小さくなります。

 レンズも目と同じで、利用可能な光に応じて開口部が拡大縮小し、被写体がどれくらいの明るさかを調整する、主要なコントロールの1つです。ネオ一眼を選ぶ際には、少なくとも広角でF2.8以上の開放絞りのカメラを選ぶことをお勧めします。

 また、同じようなスペックのカメラを比較する際には、ズーム全開時の開放絞りにも注目してみてください。焦点距離全体で絞りが広ければ広いほど、より多くの光がセンサーに届き、最終的にはより良い結果を得ることができます。

 

サイズと重量

 ネオ一眼は各社とも似たような大きさと形をしていますが、すべて同じではありません。大きな1″センサーと大口径レンズを持つカメラは、通常、大きく重いです。

 大きなネオ一眼の中には、小型ミラーレスカメラやデジタル一眼レフよりも大きな機種もあります。重量は様々ですが、600g前後から1100g前後が目安です。明らかに、軽いカメラの方が持ち運びやバッグへの収納が簡単ですが、重いカメラは一日中持ち歩くにはかさばるし、重くなってしまいます。

 

RAW 現像

 ほとんどのネオ一眼では、RAWで撮影することもできます。これは、すべての画像情報がメモリーカードに保存されるファイル形式で、JPGに比べて写真を編集することに長けています。


 以上のように、ネオ一眼カメラは野鳥や遠くの物体を写すのに有利な点の多いカメラです。ただし先述のように、画質云々では一眼レフと同一に語ることはできません。あくまでコンパクト・カメラの延長と考えるべきで、そこを割り切れば、これほど野鳥を撮るのに適したカメラは他にありません。
 一眼レフ機で鳥を撮ろうとしたら、レンズ、三脚も含め十キロ近いカメラ機材を抱えて森の中を歩くことになります。投資額もネオ一眼なら十分の一以下で済みます。
 撮った写真の扱い方にもよりますが、プリントならA4で十分すぎるほど美しく、パソコンのモニターで見る程度なら、鳥の美しさを再現するのに全く問題ありません。

 カメラ購入の際のオプションとして、ネオ一眼も考慮に入れてみてはいかがでしょうか。


















2021年2月1日月曜日

鳥の撮影ガイド:カメラ編

おススメの鳥を撮るデジカメ




 ストリートフォト、子供の成長、料理写真、ポートレート、自然風景、動物、スポーツ、鉄道写真・・・。カメラ選びは撮る対象によって変わってきます。今回は、鳥を撮ることに適したカメラを考察してみました。

 デジタルカメラのオートフォーカス性能は、ここ数年で飛躍的に進歩してきました。ひと昔前は顔認識だけですごい凄いと喜んでいましたが、今どきの新機種は軒並み瞳認識が搭載されるようになりました。しかもその精度はますます向上し、動体でもしっかり食いついて追従しながらフォーカスを維持できるようになりました。さらにその差は暗所性能と、測距性能とも連動し、かなり遠くの薄暗いところで動く被写体の瞳さえ捉える機種が出ています。とくにこのオートフォーカスの分野でソニーはダントツの性能と先進性を誇り、常に他社を一歩リードし続けています。
 しかも人間だけでは収まり切らず、最新機種にはAIのアルゴリズムを取り込んでより学習性能を向上させた動物瞳フォーカスが搭載されました。キャノンも同様の機能をハイエンド機に積み始めており。このトレンドは今後下位機種へも波及していく流れとなるでしょう。
 現状では犬、猫、鳥を対象に撮れると謳っているものが多いのですが、ユーザーの実証レポートの中には、動物園の動物でもかなりの確率で瞳を捉えることが報告されています。今後、これらの後継機種はより精度の高い瞳フォーカスを搭載してくるに違いありません。
 私の予想では近い将来、カメラは高度な空間認識センサーとコンピュータ端末を内蔵した機種が出るはずです。これが5G通信技術と連動し、カメラがとらえた被写体の状況を即時に撮影解析するコンピューターに送信、秒を待たずに最適な露出設定をカメラに送るようになるのです。ようするに次世代のカメラは、人間の判断で設定した露出等を超える総合判断能力を備え、カメラの設定を最高の状態に持っていくことができるようになるのです。それじゃあ、みんな同じ写真しかできないのかというとそうではなく、そこはユーザーがそれぞれ好みの補正を加えるマニュアル操作コマンドを用意しておけばよいだけなのです。こうすることによって、できるだけ失敗は少なく、狙ったとおりの写真ができやすくなる、ということなのです。
 こういった技術が一般化されるには少し時間がかかるかもしれませんが、現行のテクノロジーで十分可能な未来のデジタルカメラなのです。

 話がそれてしまいました。
 それではおススメの鳥撮影用カメラをご紹介していきたいと思います。





キヤノン PowerShot SX70 HS

 いわゆるブリッジカメラは、より正確には「スーパーズーム」と呼ぶべきカメラで、見た目は一眼レフに似ていますが、固定式の長尺ズームレンズが特徴です。こちらキヤノンの
パワーショットSX70 HSは、65倍ズームを搭載し、前モデルよりも高解像度のイメージセンサーを搭載しています。特に見やすくなった電子ビューファインダーは、一眼レフカメラに匹敵するものとなっています。このクラスの中で最も安価なカメラですが、明るくて静止した被写体なら文句なく鮮明な画像を捉えることができます。鳥の場合、左右に動いているときの撮影には向いています。言い換えると、前後に動く動体にピントを合わせ続けるのはやや苦手な傾向があります。正直、動きの多い鳥は追いにくいのですが、じっとしてくれる鳥なら65倍ズームの威力を存分に体感できるでしょう。



ニコンCoolpix P1000

P1000は、ニコンのロングランシリーズであるCoolpixシリーズの最新モデルです。2018年9月に発表され、そのモンスター級のズームスペックゆえに大きな話題を呼びました。35mm換算で24mmから3,000mmまでの焦点距離を実現する、驚異的な光学125倍ズームを搭載しています。発売当時多くの野鳥観察者たちからも、P1000を2018年の「最高の新しいコンパクトカメラ」と称賛されました。ただこのカメラは重さが1415gとけっこうかさばるので、万人向けではないし、うまく使うには多少の練習が必要です。しかしとにかくけた違いの拡大写真が撮れますので、その点に関しては他機の追随を許しません。遠くの野鳥の画像を捉える能力一点に絞れば、じゅうぶん検討する価値のあるカメラです。



ソニー Cybershot RX10 IV



クラス最高クラスのプレミアムブリッジカメラです。1インチのイメージセンサーには位相差フォーカスが搭載されており、毎秒24コマまでの撮影が可能です。光学25倍ズームは600mmの範囲をカバーし、鳥などの被写体を遠くまで近づけることができます。3インチの液晶ディスプレイはタッチ操作に対応しており、画面をタップしてピントを合わせることができます。RX10 IVの重さは1095gですがグリップの形状がよくできていて、持ち歩いても快適にバードウォッチングを楽しめます。



ニコン D7500

D7500は入門機の位置づけながら、APS-C機のフラッグシップ、D500と同じセンサーを搭載しており、軽量ボディに高い性能が詰め込まれています。連写速度は8コマ/秒と一眼レフの中でもかなり早めの連写性能を持ちます。連写可能枚数は14bitRAWで50枚、JPEGで100枚。連写性能が高い利点は、野鳥撮影など動きのある被写体を撮るときにチャンスを逃さない、ということです。チルト式のタッチパネルを備え、なおかつボディは防塵防滴処理がされているので、野鳥を追って森でにわか雨に会っても、心配せずに撮影を続けることができます。



パナソニック Lumix GH5

GH5はマイクロフォーサーズ・フォーマットのミラーレスカメラであり、プロレベルの4K動画撮影ができるという定評を得ていますが、静止画撮影のクリエイティブツールとしてもまた、他の高性能APS-Cカメラと比べて遜色のない評価を得ています。GH5は、20.3MPのファイルサイズで12FPS、8MPのファイルサイズで最大60FPSの連続撮影が可能です。また、防滴・防塵機能を備えたウェザーシールを採用し、過酷な環境下でもカメラの生命線をしっかりと保護します。さらに、GH5はPanasonic-Lumix 100-400mmレンズとの相性も抜群です。




富士フイルム X-T30

富士フイルムのX-Tシリーズの最新モデルは、ネイチャーフォトを目指す人たちの注目を集めています。X-Tシリーズは、新ボディに富士フイルムの望遠ズーム「XF 100-400mm」を組み合わせることで、高性能で汎用性の高い鳥類撮影機材となります。第4世代のセンサーと画像処理プロセッサを搭載し、毎秒30コマのキャプチャーエンジンと位相差オートフォーカスを搭載しています。ボディは、フラッグシップ機「T-3」の小型・軽量化・低価格化を実現しています。実際、X-T30はT-3と同等の画質とプロセッサー性能を実現しています。さらに、AF性能が前モデルの1.5倍の速さであるという事実を加えれば、堅牢で信頼性の高い本機は鳥撮影に相応しい能力の持ち主であると言えます。





ソニー a7 III

言わずと知れたフルサイズ界のベストセラー機種です。このフルフレーム・ミラーレスモデルは、2400万画素のBSI CMOSセンサーと693点の位相差AFポイントを搭載し、毎秒10コマの撮影が可能です。カメラの性能も大型のデジタル一眼レフカメラに比べほとんどの部分で上回り、なおかつ重さも約650gなので、バードウォッチャーやネイチャーフォトグラファーに最適です。




キヤノン EOS 7D Mark II

デジタル写真の歴史の中で、キヤノンの7D Mark IIのように市場力学の進化の圧力に耐えてきたカメラはほとんどありません。それは2014年の秋に登場し、今なお多くのユーザーに愛され続けるロングラン・デジイチ。とりわけあまたの野鳥愛好家から熱い支持を受け、いまなお世界中で素晴らしい鳥の写真を生み出し続けています。これには正当な理由があります。デュアルDIGICプロセッサを搭載し、1,000以上のJPEG画像と31枚のRAW写真の連続撮影を可能にする傑出した連写能力です。その信頼性の高い位相差AFシステムは、鳥撮影にもってこいであり、今日でも十分その期待に応える画力を有する稀有な一台なのであります。




ニコン D500


















ニコンのDXフォーマットのフラッグシップモデルです。卓越したオートフォーカスと10コマ/秒のシャッタースピードを実現しました。定評のあるニコン画質は誰もが納得の一台。クイックAFトラッキングシステムの基盤となるのは、153ポイントのAFモジュールがほぼエッジからエッジまでをカバーしていることです。動いている被写体をしっかりと捉えてロックするので、シャッターを切る前に完璧な瞬間を待つことができます。長年にわたり多くのファンを獲得し、その卓越した評判を固めています。ニコンの汎用性の高い200-500mmズームレンズを装着すれば無敵の野鳥撮影カメラとなります。




ニコン D850

シャッタースピードのスペックはニコンのD500には及ばないものの、D850の毎秒7コマ(高価なバッテリーグリップを使用した場合は9FPS)は、信頼性の高い、有能なパフォーマンスを提供してくれます。とりわけD850の45.7メガピクセルのRAWファイルサイズに興味はそそられます。無駄なく光を吸収するように設計された巨大なセンサー。これによってもたらされる極限の解像度は、写真家の能力を最大限に引き出してくれます。遠くにいる鳥でもフレームの中に捉えれば、ものの見事にキャプチャーに成功します。高画素の強みを生かした鳥へのアプローチは今後もこのカメラがリードし続けるでしょう。




オリンパス OM-D E-M1X

E-M1Xは、マイクロフォーサーズの世界ではプロレベルのボディであり、あらゆるフォーマットで上位機種と肩を並べる存在です。毎秒15コマのメカニカルシャッターバーストから毎秒60コマの電子シャッターキャプチャレートまで備え、動きの多い鳥にも十分対応可能な高性能カメラです。
カメラ内の5軸手ブレ補正システムは、手ブレをほぼ完璧に補正します。コントラストと位相差オートフォーカスを組み合わせることで、ターゲットを固定し、不規則な動きの画像を鮮明にキャッチすることができます。プロキャプチャーモードは、シャッターボタンを半押ししている間、背景に35フレームの連続ループを記録し、シャッターを切った瞬間に最新の35フレームを保存します。プロキャプチャーを使えば、飛び跳ねる猛禽類の象徴的なショットを見逃すこともないのです。




キヤノン EOS-1D X Mark II

2016年に発売されたキヤノンのフラッグシッププロ用カメラです。例えば動く鳥の連続撮影では、フルAF/AE追従で毎秒14コマ、ライブビューモードでは16fpsの撮影が可能です。2020万画素のフルフレームCMOSセンサーと、デュアルDIGIC 6+イメージプロセッサにより、信じられないほどのディテールのある画像を生成します。また、優れたダイナミックレンジとカラーノイズの低減にも成功しています。望遠レンズやズームレンズと組み合わせれば、最高の野鳥写真を撮影するためのツールを手に入れることになります。ただしお値段も相応。使い勝手もコワモテで、熟練の写真家でないと使いこなせない部分も多々あります。




ソニー a9















ソニーのフルフレームミラーレスカメラのフラッグシップモデルであるソニーa9のオートフォーカスシステムは、693点のAFポイントを採用し、画像領域の約93%をカバーし、1秒間に最大60回のフォーカスと露出計算を行うことができます。信じられないほど高速で正確で、電子シャッター使用時のシャッターブラックアウトや振動がなく、ミラーレスシステムにあった多くの欠点を克服しています。またa9はサイレント撮影モードを搭載していますので、シャッター音で野生動物を怖がらせることはありません。このカメラの電子ビューファインダーはきわめて明るく、120 fpsの速度で更新され、光学ファインダーに負けない映り具合を保証しています。まさにa9は鳥の写真を撮るためのカメラといっても過言でないほどハイレベルなネイチャー系カメラなのです。


 以上、野鳥撮影を念頭に置いたらどんなカメラが相応しいのか、と考察した結果をリストアップさせていただきました。理想を追えばキリがないし、どのカメラにも一長一短があります。そんな中で自分に適したカメラ選びの一助にしていただければ幸いです。

2021年1月31日日曜日

SONY HX80に起きた異常

 売れ筋のコンデジが変


 コンパクトカメラが好きで、長年いろいろ使ってきましたが今回、その一つに異常事態が発生したので記録として残しておきます。ある日突然、あなたのカメラがこんな映像を残したらどう感じますか?


 え? なにこれ。絵? と思われますよね。いいえ、これれっきとしたカメラで撮った写真なのです。もう一枚、お部屋の中で撮ったものがコレです。


 ごちゃごちゃとっ散らかっていて申し訳ないのですが、うちの仕事場です。どこかの漫画家が描きそうなイラストの一部みたいでしょう? さらに外で出てみると・・・。


 
 去年ハロウィンの終わったころ、面白い家を見つけたので撮ったのですが、ずっとパソコンにアップしたまま見ずにいました。最近になってこの時期撮った写真の10枚に一枚ぐらいが、勝手にこんなエフェクトかけて記録されるようになったのです。まるでフォトショップか何かでアート調に加工した写真のようです。でも私は何ら特別なことはしていません。カメラが勝手にランダムに、ときどきいたずらのようにこんなエフェクト写真を撮るようになったのです。長年カメラをいじってきましたが、こんなのは初めてです。

 これまでこのHX80はスナップシューターとして申し分ない機能を備えていて、購入直後から目に入る面白いものは記録としてなんでもこれに収めてきました。
 基本性能はとても優れているのです。とりわけズーム好きの私としては、ポケットに入るサイズで30倍600mm相当の画角が撮れるということで、ほぼほぼ満足していました。ところが購入一年あまりで上記掲載のような写真で出るようになって、さあどうしたことかと、いささいあ困惑しているわけであります。

 もう数枚、ご覧ください。


 池の前の木の実を撮ったつもりが、なんかポップなイラストレーターが描いた絵のようになってました。


 カモメなんぞはこれこの通り、ディテールが大胆に省かれ、ずいぶん大雑把な漫画調になってしまいました。これはこれである種のスタイルのイラストとも取れそうな雰囲気です。




 川向こうの街並みを300mmほどのズームを使って撮ったのですが、やはり細かいところはべったり塗り絵のようになっています。色調は抑えめですが、それなりの統一感が出ているので、不釣り合いな絵でもないようです。でも本当に誰かが意図的にこういうエフェクトかけて作ったような写真なので笑ってしまいます。


 極めつけはコレ。


 とある森林公園の散歩道で見かけた風景なのですが、いざ家に帰ってパソコンで見たら、まるでファンタジー漫画か何かのような絵になっていました。木を積み上げてテントのような家があったのですが、これが見事に映画の絵コンテのみたいに仕上がっているのには驚きました。うーん、じつにカッコよい。ということでもう一枚。


 いかがですか。まるで一服の絵画といってもよさそうな味わいがあります。枯れ葉の輪郭と言い、なんともよくできたペン画と水彩の合体作品のようで、じつにいい雰囲気を醸し出しているのです。(むろんコンデジのJPEGなので、拡大すると描写は荒れてしまいますが、このタッチで高画質化できれば作品として成り立ちそうです)
 でもこれいつも狙ってこうなるのではなく、十数枚に一枚の割合で入ってくるのです。これがなんとも厄介。いったいどうなっているのでしょうか?


 使用したのはSONY HX80。ポケットに入るコンパクトさに30倍ズームという超望遠機能がはいった便利なカメラです。ここ1年ほどはどこへ行くにもこのカメラだけは肌身離さず、持ち歩いていました。私はスマホのカメラがイマイチ納得いかなくて、何を撮るにもコンデジが一番撮りやすく感じます。

 これまで使ったコンデジは数知れず、カシオ、キャノン、フジフィルム、そしてこのソニーといろいろポケットサイズのカメラは見てきました。しかしこのHX80には参りました。買って半年たたないうちに、ポップアップ式のフラッシュが効かなくなり、異常を知らせるアラートがしょっちゅう画面上に点滅するようになりました。そのあと、これまたポップアップ式のビューファインダーが出にくくなり、いちいち手でつまみ出さなくてはならなくなりました。さらに数か月後、ボディ右側のグリップ部分がぎゅいぎゅいと音をきしませる事態に・・・。去年の暮、ですから買ってまだ1年チョイの頃には、起動ボタンが鈍くなり、3秒ほどまったりと時間をかけて動き出す始末。ときおり思いついたように勝手に起動することも起きるようになりました。

 そしてとうとう最近は、モニター上でモード操作すると、かってに違うモードに飛ぶようになり、撮りたい設定が困難になってきました。例えば連射モードに行こうとすると、画面がぱかぱか点滅し、頼んでもいないのに10秒のセルフタイマー設定になってしまうのです。(これじゃもう撮りたいときになんにも撮れません!) 

 これらと前後して、以上のような奇妙な写真効果を出すようになったわけで、もうこいつはどうやらカメラ内部の電気系統がイカれてきているのだなと思わざるをえなくなりました。

 それでもまだ愛着があるのでしつこく使い続けているのですが、だんだんあのイラスト調の写真の出る比率があがってきたような気がします。それならもういっそのことぜんぶあの画調で統一して欲しいとさえ思います。狙った被写体があのように写ったなら、それはそれでアートの一表現と割り切れますからね。というわけで、この奇妙なカメラとの付き合いはもうしばらく続きそうです。

 ではもう一枚おまけ。



 このように人物でもなんでもみーんなイラストタッチの写真に早変わり。これはこれで異能力を持つカメラとして、ぶっ壊れるまで使い倒していきましょう。そのうちなんかの使い道が思いつくかもしれませんし。

 というわけでソニーさんには、こんな不具合が生じましたがどういうことでしょうか。と質問状を送りたいところですが、まあ今のところ真剣に考えるほどでもなく放置状態の案件です。みなさんはこんなカメラに出会ったことありますか?



2021年1月30日土曜日

フジフィルムのカメラ

 進撃の富士フィルム



 フジフィルムから中判センサー搭載のフラッグシップカメラ「GFX-100S」が発表されました。有効約1億200万画素の大型センサーを搭載するミラーレスカメラです。税別約70万円ですがアメリカでは$5.999あたりの予価が提示されましたが、実売はもう少し下がるようです。

 つい先日、ソニーからフルサイズのフラッグシップ機「a1」が発表されたばかりですが、畳みかけるように、カメラ業界のトップレベルのカメラがフジフィルムからアナウンスされました。フルサイズの中でもプロ納得の頂上スペックだったソニーa1、一方富士フィルムははるかに上回るセンサーサイズの中判でてっぺんを狙ってきました。どちらもスペック的には現時点での頂点を極めんとするもので、文句を言わせぬ迫力があります。大まかなスペックは以下の通り。


FUJIFILM GFX-100S


- 有効102MPベイヤーセンサー

- AF:コントラストと位相差のハイブリッドAF

- シャッター速度:電子1/4000秒、メカ+電子で1/16000秒

- 連写:メカシャッター5.0コマ/秒、電子シャッター2.9コマ/秒

- ISO範囲(スチル):ISO100-12800、拡張でISO50-102400

- 手ブレ補正:6.0段分の効果

- EVF:0.5型有機EL、369万ドット、0.77倍、アイポイント23mm

- モニタ:3.2インチチルト式、タッチパネル、236万ドット、4:3

- 低照度AF:コントラストで-2.5EV、位相差で-5.5EVまで

- 動画:DCI4K 30fps、4K 30fps、フルHD60fps

- ピクセルシフトマルチショット機能搭載

- フィルムシミュレーション:19モード

- シンクロ:1/125秒

- メディア:SD/SDHC/SDXC

- サイズ:150 x 104.2 x 87.2mm

- 重さ:821グラム(ボディのみ)


 フジフィルムは数年前からAPS-C機の開発に力点を置きつつも、フルフレームには見向きもせず、それをすっ飛ばして中判センサー機の開発に並々ならぬエネルギーを割いてきました。今回のGFX-100S」はその最高の成果ともいえるもので、予想するに、ここから富士フィルムの快進撃が始まる。そんな予感がします。

 フジフィルムはご存じのようにフィルムメーカーとして名を成した会社ですが、カメラ機の歴史も連綿と続いてきました。60年代には8ミリフィルムの映写機「フジカシングル8」が大ヒットしました。1986年に発売開始した使い捨てフィルムカメラ「写ルンです」は爆発的ヒットとなり、カメラ文化を若年層にまで拡げました。ここ20年は、インスタントカメラ「チェキ」がロングラン・ヒットを続けてフジフィルムのドル箱となりました。2000年台からはFinePixシリーズといういわゆるコンデジの量産が始まり、低価格で簡単に扱えるデジカメの浸透に大きな役割を果たしました。

 そして2011年、大きな転換点となるFUJI FILM Xシリーズが始まります。独自のXマウントを導入してからは、このAPS-Cサイズに主力を置き、ミラーレスカメラとしては、カメラメーカーのなかでもっとも豊富なラインアップを構築するに至りました。

 ペンタミラーを積んだ既存の一眼レフ全盛の時代は過ぎました。現在、APS-C機で主要各メーカーのカメララインアップを見ていくと、

SONY:a6000、a6100、a6400、a6600の4機種。

CANON:EOS M6 Mark II、EOS Kiss M2、EOS Kiss M、EOS M200の4機種。

NIKON:Z50 のみ。

一方、フジフィルムは、

FUJIFILM GFX100、FUJIFILM GFX 50R、FUJIFILM GFX 50S、FUJIFILM X-H1、

FUJIFILM X-Pro3、FUJIFILM X-Pro2、FUJIFILM X-T4、FUJIFILM X-T3、

FUJIFILM X-S10、FUJIFILM X-T30、FUJIFILM X-T20、FUJIFILM X-T200、

FUJIFILM X-T100M、FUJIFILM X-E3、FUJIFILM X-A7、FUJIFILM X-A5

 このように現行機種が17機というと圧倒的な数を誇っています。

 2021年はここからさらに攻勢をかけて、まさにAPS-Cミラーレスの天下を取る勢いになるのではと予測しています。とかくフルサイズの頂上決戦にカメラファンの耳目は集まりがちですが、長年支持されてきたAPS-Cサイズのセンサーはアマチュアに程よい性能を与えてくれます。値段もこなれてきた富士フィルムのカメラこそ、いま一番注目されるべきカメラだと思います。


富士フイルムXシリーズ 

 富士フイルムのミラーレスカメラXシリーズは、伝統的なスタイルと高度な技術を融合させています。このシリーズのモデルは、レンズ交換式カメラシステムで構成されており、非常にコンパクトなサイズで大型のAPS-Cサイズのデジタル一眼レフカメラのすべての機能を提供しています。また長年レンズ開発にも注力してきた富士フィルムのレンズには定評があり、豊富な高品質のXレンズは、あらゆるレベルの写真家にとって魅力的なシステムとなっています。

 マニアやプロ向けには、静止画と動画の両方に優れたハイブリッドX-Tモデル、またはX-Proシリーズのような静止画中心のモデルが用意されています。ミラーレスボディには、耐久性に優れたマグネシウムやチタンなどの高品質な素材が随所に使用されています。

 フジフィルムのカメラには、非常に高速なXプロセッサーエンジンという物が搭載されており、システム全体の応答性が高く、AFや画像処理も素早く行えます。アウトドアフォトグラファーやストリートフォトグラファーは、優れた耐候性と革新的なハイブリッドビューファインダーにより、光学式またはEVFでの撮影が可能になります。

 富士フイルムは85年以上にわたる映像研究のパイオニアであり、カメラの色を迅速かつ正確に調整するための様々なフィルムシミュレーションモードを生み出してきました。フジの色彩技術は、ほとんど編集を必要としない美しい画像が記録され、それゆえ非常に人気があります。
 百聞は意見に如かずーー、まずは富士フイルムのウェブサイトで、Xシリーズ御用達の世界的な写真家たちにインスピレーションを受けてみてはいかがでしょうか。

 Xシリーズは、4K/60PのSDカード記録が可能なため、ビデオ撮影者に人気があります。また、外部レコーダーを使用して10bitの高画質で撮影することも可能です。180度チルトするタッチスクリーン液晶モニターの追加は、コンテンツ制作者やVloggersにもアピールしています。また、富士フイルムのミラーレスカメラは、高度な位相差検出技術を用いて被写体の捕捉と追尾を行うことで、業界で最も優れた部類のAF性能を誇っています。軽量なボディとレンズの組み合わせは、スポーツやアクションフォトグラファーに適しており、特にクロップファクターが1.5倍になっているため、レンズの到達範囲が広がります。


初心者にお勧めのXシリーズ

 現在もっとも注目され、売れ行きも好調なXカメラは「X-S10」です。





 富士フイルムX-S10は、Xシリーズの新たな兄弟分であり、X-Tシリーズのパワーと品質を共有する一方で、より親しみやすいコントロールシステムを採用しました。これまでの富士フィルム独自でレトロなスタイルのシャッターダイヤルを廃止し、より一般的なPASMモードコントロールを採用することで、初めて富士フイルムを使う人にも使いやすくなりました。
 X-S10のグリップは、X-T30よりも大きく持ちやすく、幅広いレンズでより実用的なものとなっています。
 X-S10は上位機種と比較して最もコンパクトなモデルとなっており、内蔵手ぶれ補正機能を搭載したことで大きなアドバンテージを得ました。
 X-T4のシステムのほうが一部のレンズでは若干優れていると考えられていますが、X-S10のIBISは手ぶれ補正なしのレンズの使用も容易にしました。ビデオグラファーは、標準マイク入力、30分4Kクリップ、ヘッドフォン用のUSB-Cポートに対応していることも評価できるでしょう。
 個人的にはX-T30の外観が好きですが、X-S10の方がはるかに実用的で柔軟性があり、最終的にはX-T30よりもX-S10を選ぶ人が多いのではないでしょうか。本体に防塵防滴処理がないのが唯一の欠点ですが、それ以外は上位機種とそん色のない性能を有しています。アメリカでの店頭価格が16-80mmの標準ズームレンズ付きで1499ドルとかなりこなれたお値段となっております。
 客観的に見て、X-S10は価格の割に非常に強力なカメラであり、キヤノンM6 IIやソニーA6600よりも説得力があります。

基本スペックは以下の通りです。

 26.1MP APS-C X-Trans BSI CMOS 4センサー
 X-Processor 4 イメージプロセッサ
 5軸ボディ内手ぶれ補正
 DCI/UHD 4K 30fps、フルHD 240fps
 425点ハイブリッドAFシステム
 2.36mドット0.62倍有機EL EVF
 3.0" 1.04m-dot の変化角度のタッチスクリーン
 ISO 160-12800、最大8fps撮影
 BluetoothとWi-Fi接続
 XF 16-80mm f/4 R OIS WRレンズ


まとめ

 フジフィルムのカメラは発色に一番の特徴があり、その精妙なバランス感は誰もが認めるところ。異なるふたつのメーカーで比較したいなら、一つはどこであれ、もう一つは絶対富士フィルムだと思います。それくらい、写りに違いが出るメーカーなのです。もしまだ富士フィルムのカメラに手を出すか迷っているなら、X-S10は買って後悔しない鉄板のフジ製カメラですので、ぜひお試しください。

2021年1月29日金曜日

美味しい風景写真の撮り方

景色をきれいに撮影する 後編




風景写真のカメラのセットアップのヒント


露出をコントロールする

 風景写真を始めたばかりの方は、カメラの自動露出モードに頼っている可能性が高いでしょう。確かにこれはシンプルな解決策でありますが、思い通りの写真にならずイライラすることも多いです。構図に焦点を当て撮影したい場合は助かりますが、オートモードは常に一貫性があるわけではなく、写真の見え方をコントロールすることはできません。

 本気で風景写真を進歩させたいと思っているなら、プリセットされた自動モードはやめ、マニュアルモードで撮影を開始することです。もしそれが難しすぎると感じたら、絞り優先やシャッタースピード優先などのセミマニュアルモードを試してみてください。慣れればコツはつかめてきます。



 適正露出を設定するための基本的なことは、重要なポイントは以下の通りです。

1:ISO感度を低くして、よりきれいな画像を撮る

2:動きがない場合は低いシャッタースピードを使用し、動きがある場合は高いシャッタースピードを使用する。

3:背景をぼかしたい場合は絞りを大きく(F値を低く)し、画像内のすべてにピントを合わせたい場合は絞りを小さく(F値を高く)する。

4:ホワイトバランスを手動で設定する。

 良い露出を得るためには、明るすぎず、暗すぎずのイメージをつかむことです。ISO、シャッタースピード、絞りの設定は、それぞれ相互に影響を与え合います。またホワイトバランスは、カメラが自動的に設定するものと、手動で設定するものがあります。

 ホワイトバランスの話を別にしたのは、ホワイトバランスが画像の色をコントロールするからです。

 極端に言えば、ホワイトバランスは画像を非常に青っぽくしたり、オレンジ色にしたりすることがあります。ほとんどの場合、実際の風景を正確に反映したホワイトバランスを設定したいと思うはずです。
 でもその前にホワイトバランスを適切に設定するためには、ケルビンスケールで色温度をよく理解しておく必要があります。

 おおまかにでも、以下の数字を覚えておくと便利です。

 色温度の指標 

  日の出、日の入り:2500-2800K

  室内:2800-4000K

  月夜:4000-5500K

  晴れの日:5500-62800K

  曇り:6200-7000K

  影の下:7000-9000K

  暗所:9000K以上





被写界深度を大きく使う

 被写界深度が大きい(または最大、深い、大きい、狭い)のは、カメラのF/16~F/22のような高いF値を使用した結果です。この設定では、画像内のオブジェクトの分離を制限し、すべてにピントを合わせることができます。これはすべてのショットに適用する必要はありませんが、基本はそこから始まります。


シャープな風景

 多くの風景写真家の目標の一つは、透き通るような美しい画像を撮ることです。私はこれが他のどのスタイルよりも風景写真家にとってもっとも重要であると思います。
 シャープな画像を得ることは、何をすべきかを知っていれば、さほど難しいことではありません。狭い絞り(高F値)を使用します。これでフレーム内のすべてのものがピントを合わせられるようになります - 画像の鮮明さを得るための最初のステップです。


カメラを安定させる

 手ブレを減らすことは、鮮明な画像を得るための重要な要素です。これを実現するためには、三脚や一脚を使用するのが最良の方法で、これらは文字通りカメラを安定させるために設計された機材です。さらに、最近のレンズは、優秀な手ぶれ補正機能がついているものがあります。かなり手振れの軽減が期待できますが、それでもブレる可能性はついて回ると思った方がいいでしょう。
 より高価なレンズはシャープになりますが、ほとんどのキットレンズは少しソフトになります。性能も値段相応ということですね。



風景写真のためのアイテム


三脚を使う

 風景写真を撮るための最も貴重なツールの一つが三脚です。

 写真機材のほとんどの部分とは異なり、三脚は(全くの初心者でも)理解しやすいものです。
 三脚は、カメラを固定して安定させるためのものです。しかし、それ以外の方法では、可動域が非常に限られ、構図の選択肢が限られてしまいます。ほとんどの三脚は調整が可能なので、欲しい風景ショットを撮るために欠かせないカメラの相棒です。カメラを安定させることで、クリアな長時間露光の写真を撮ることができ、カメラを手に持っていた場合には不可能なカメラの設定(低シャッタースピードや低ISOのコンボのような)を利用することもできます。

 超シンプルな(そして超安価な)三脚には、AmazonBasicsの60インチ軽量三脚をお勧めします。これはほとんどの風景写真の状況に適しています。


円偏光フィルターを使用する

 正直なところ、ほとんどのレンズフィルターはお金の無駄です。最大の例外は、偏光フィルター(または略して偏光板)です。要するに、偏光フィルターは画像のためにいくつかの仕事をしてくれます。

1.眩しさを軽減する

2.反射を減らす

3.コントラストと彩度を上げる



青空にポジティブな効果

 偏光フィルターは本当に風景写真家のためのカメラのレンズとして理想的です。
 このタイプのフィルターは風景意外、あまり使う頻度が少ないので、AmazonBasicの偏光フィルターで十分です。市場に出回っている他のフィルターと比較して、コストを考慮すると非常に高品質なものです。間違いなく買って損はありません。


NDフィルターを使う

 もうひとつ持っていて役に立つのは、中性密度フィルター(または略してNDフィルター)です。
 このタイプのフィルターはシーンを暗くしてくれるので、日中でも短いシャッタースピードで撮影することができます。通常、NDフィルターは2段、4段、6段、16段など、それぞれの「段数」で販売されていますが、このフィルターを使いたい場合は、2段、4段、6段、16段などの「段数」で販売されているものを使います。
 NDフィルターを使いたいと思う場面は、以下のような場合です。

1.カメラで画像を暗くする(希望の設定を調整する必要はありません
2.水の動きをぼかす
3.明るい光の下での被写界深度の拡大
4. 長時間露光撮影




広角レンズ



 全体の風景全体を広く捉えるために広角レンズは欠かせません。
 広角レンズの正確な定義はありませんが、フルサイズカメラでは40mm前後、APS-Cカメラでは25mm、マイクロフォーサーズカメラでは20mm程度までの焦点距離が含まれます。ズームレンズの中には、一端が広角から望遠までの焦点距離をカバーするものがあるため、定義が曖昧です。


 広角レンズは初心者にはいささか敷居が高いと思われがちですが、使い慣れると手放せなくなる魅力的なレンズが豊富にあります。まずはメーカー別にそれぞれよく売れている入門用広角レンズがありますから、それで十分効果は期待できます。


 広角レンズは、「風景写真のレンズ」として非常によく知られています。そのため、最初のうちは使い方を把握するのが少し難しいかもしれません。ここでは5つのヒントを掲載しておきます。
 広角レンズは、一般にフルフレームカメラの35mmよりも小さい(または広い)焦点距離を持つレンズとされています。16mmで撮影するのと35mmで撮影するのとでは大きな違いがあることは誰もが知っていると思いますが、35mmよりも短いものであれば問題ありません。


フォーカルポイント

 必ずしも必要というわけではありませんが、私は個人的にフォーカルポイントを写真に入れたいと思っています。フォーカルポイントとは、一般的に写真の中で目が休まる場所、または「移動する場所」であり、一般的にはメインの被写体を配置したい場所のことです。


奥行き

 広角が本当に得意なのは、世界を「歪める」ことです。この広角レンズの非日常なゆがみをどう扱うかで、写真の出来不出来がはっきり露になってしまいます。広角レンズは人間の目よりも広い視野で世界を見るので、その結果、前景が背景よりも大きく見え、奥行きが強調されます。下手に使えばどうしようもない絵になりますが、レンズの特性をうまく活かすと、実力以上の出来栄えを生み出してくれるものになります。


前景

 広く撮ったからといって、自動的に奥行き感が強くなるわけではありません。前景のようなものが重要です。前景に印象的な素材を配置することで、メインの風景がより存在感を際立たせることができます。


設定

 前景の強い写真の場合、一般的には、シーンのすべてにピントを合わせたいものです。つまり、絞りを絞ると被写界深度が大きくなるので、できるだけ絞る必要があります。シャープネスと被写界深度のバランスが最も良いので、この種の写真では通常F/16で撮影します。通常、レンズの3つの最小絞りは、光がレンズを介してより多く散乱されている光学現象である「回折」のために、よりソフトな写真になります。
 前もって、ご自身のレンズのしきい値をテストする必要があります。あるいは、お使いのレンズの最もシャープな絞りで撮影し、写真を重ねてフォーカスを合わせることもできるでしょう。
 いずれにせよどちらの場合も、私は三脚をお勧めします。絞り以外にも、基本ISOで撮影して、シャッタースピードを可変露出にすることをお勧めします。光が足りない場合は、露出補正、またはISOを少し上げる必要があるかもしれません。




最高の瞬間を見つける

 風景写真家にとって最高の光は、日没前のゴールデンアワーと日の出後のゴールデンアワーの時に起こるといわれます。
 ゴールデンアワーは、太陽が地平線上で最も低くなる時間帯で、光が自然に拡散されます。このわずかな時間帯は空の鮮やかな色のため風景が見違えるように変化します。


風景写真のポストプロダクション(編集)

 風景写真の編集は、簡単なものから複雑なものまであります。画像を明るくしたいという方もいるし、よりリッチでカラフルなものを好む人もいます。
 また、色、影、ハイライト、その他多くの要素を調整したい方もいるでしょう。アマチュア写真家は、自分の写真に映画のようなクオリティを加えて、ドラマチックな写真にしたいと考えがちなため、そのような傾向に陥ることがよくあります。
 端的に言って、初心者が犯しうる最大の失敗は、編集をやりすぎることです。彩度を11まで上げるのは、その一例です。シャドウとハイライトのスライダーを使って深みを出すことで、最大の効果を得ることができます。色の調整は全く問題ありませんが、くれぐれもやりすぎないように注意してください。せっかくのオリジナリティを損ねないよう大事に扱ってください。

まとめ

 
だれでも一度は、雑誌やサイトの写真で息を呑むような素晴らしい風景を見たことがあるでしょう。思わず引き込まれ、その場所へ行ったみたいと思うはずです。そのような心揺さぶる一枚の写真に挑むのはやりがいのあるものです。そのためには数々の修練と幾多の失敗を繰り返さねばならないでしょう。でもそれだけに、これぞという一枚に出会えた時の感慨はひとしおです。

 初心者が最初に挑むべきは、ずばり「夕景」です。遠くへ行かずとも、誰もが比較的容易に、かつドラマチックな情景を写せる、まさにマジックアワーです。ぜひ何度もチャレンジして、素晴らしい自分だけの夕日をモノにしてください。

2021年1月28日木曜日

風景写真の撮り方

景色をきれいに撮影する 前編




 風景写真は、写真の中で最も人気のある分野の一つです。その目標は、見る人を写真の中に引き込みながら、私たちがいかに素晴らしい環境の中で生きているかを伝えることです。

 カメラの前にあるものは何でも風景です。抜けるような青い空、紺碧の海、オレンジ色に燃える紅葉、凍てつくような白雪の森などばかりでなく、きらめく都会の夜景や人々の息づく街並みもフレームに収め得る風景の素材です。

 このガイドでは、風景写真を撮るため知っておくべき基礎的な知識をご紹介します。
 自分なりに最高の風景写真を撮るためのヒントをまとめてみました。いくつかのことはすでに知っているかもしれませんが、これらのいくつかは私自身の経験からきたものです。



計画を立てる

 風景写真を撮る動機は様々ですが、行きありばったりでは、なかなか思うような写真は撮れません。ナショナル・ジオグラフィックの写真のような目を見張る素晴らしい風景にはそう簡単に出会えるものではありませんよね。でもそこまで高望みしなくても、近所の坂道だったりビル群でも面白い素材は結構あるものです。ちょっと郊外に出ると、夕日や名もない丘でも切り取り方次第で素敵な風景に化けたりします。そこはあなたの美的センスかつ写真撮影のちょっとしたテクニックで差が出るものです。

 風景という一種漠然としたものは、あなたが完全にコントロールすることは決してできません。だからこそ偶発的な出会いも期待できるし、撮った後に見なおして意図せず面白い結果が得られてラッキーと思える時もあります。

 でも、それでも計画は必要なのです。一定レベルの計画を立てることで、あなた写真の主題が浮かび上がってくるでしょう。とりとめのない無数のゴミ写真を生むより、的を絞ったあなただけの特選写真集を編むつもりで、目的を明確にしてみましょう。

 たとえば夕日を撮ろうと決めた時は、早めの時間に決めた場所に到着し、日が傾く前に撮りたい位置関係の確認をお勧めします。ベストポイントは一点とは限りません。日の沈む前、最中、日没後、それぞれもっとも効果的な場所をあらかじめ想定しておきましょう。また構図のパターンをイメージしていくつか準備しておくといいでしょう。

 計画は、このように簡単なものから、あなたが狙いたいショットの詳細に応じて、より複雑なものまで、準備しておくことが重要です。

 もっと上のレベルにいくと、たとえば氷河の真ん中など、よりエキゾチックな場所で写真を撮りたい場合は、より綿密な計画、それに伴う装備が必要になるでしょう。他の人のサポートも必要になるかもしれません。


感動的な場所

 最終的には、自分にインスピレーションを与えてくれる場所を選ぶべきです。そうすれば、あなたの風景写真はすぐに上達します。

 これはある種の理想ですが、重厚なデジタル一眼レフカメラと三脚、ライト、反射板などを脇に置いて、コンパクトカメラの一発ショットで完了。などというぐらいのフォトジェニックな場所に行けたら最高です。地球にはたくさんの「すごい風景」があってそこでは究極的になんの撮影テクニックもいらなくなるほどの風景があります。いつかそんな場所に行きたいという壮大なゴールを持つのは素敵なモチベーションになります。あなたの撮りたい最終目的地を想定してください。



駄作と傑作の違い

 大多数の初心者の風景写真がつまらなく映るのはなぜでしょうか。
 写真撮影の多くのことがそうであるように、同じ立ち位置でいくら露出やスピードを弄り回しても、大差ない退屈な写真が量産されるだけです。


視点を変えてみましょう

:身をかがめ低い位置で撮影する

:前後左右動き回る

:風景とポートレートの合体で撮影

:天と地の比率を変える

 などなどその場でできることはたくさんあります。エフェクトに頼らず、まずは見たままの風景がどれだけ忠実に撮れるかに、集中してください。




マクロ風景写真は過小評価されている

 出来の良いマクロレンズは、小さなことを探るのがとても楽しくなります。もしいままでマクロ撮影をしたことがなければ、近所に咲いているシンプルな花を撮影するだけでも新鮮な体験になります。ぜひチャレンジしてください。写真の世界が広がります。それは風景写真にも生かせることに気付くはずです。


「小さなもの」への集中

 マクロ写真は、実際には私たちの周りの小さな世界を撮影することになりますが、たとえワイドレンズで広大な景色を撮影していたとしても、シーンの中にある「小さなもの」は、深みと興味をそそることができます。

 ただ小さな被写体に焦点を当てればいいという意味ではありませんが、写真に多様性を持たせることが大事です。

 例えば、山脈の写真を撮っているときに、小さな植物や人物を強調することを考えてみてください。このようなアプローチは、画像を通して見る人の目を惹きつけます。おそらく、彼らは声に出しては言わないでしょうが、「わぁ、本当に素敵な花だなぁ...」「わぁ、なんて素晴らしい山なんだ!」と思ってくれるはずです。

 目の前の小さなものに気を配る風景写真は、見る人の心をつかむことができるのです。



さまざまなテクニックを試してみよう

 風景写真は、あなたが見ているものを正確に表現することも、イマジネーション溢れる、シュールなバージョンを提供することもできます。

 人によって理想化された幻想的な風景ではなく、あるがままの世界を写真に収めたいと思う人もいます。彼らは、写真を目の前の(すでに美しい)風景を引き立てるための手段としてカメラを捉えています。




風景写真の大先輩に学ぶ

 風景写真家アンセル・アダムスが有名になり、尊敬されるようになったのには理由があります。彼らはカメラの操作に関する優れた技術的知識を持っているだけでなく、自然に対する深い理解の結果、より美しい写真撮影を可能にしているのだと思います。
 著作権の関係でここではご紹介できませんが、アンセル・アダムス著『40枚の写真の作り方』をご覧になれば、その風景写真に対する向き合い方がよくわかると思います。


風景写真の構図のヒント


 あなたのお気に入りの風景写真のいくつかを考えることから始めましょう。何がそんなに素晴らしいのでしょうか?



導線(リーディングライン)

 風景写真の最も基本的なルールの一つは、リーディングラインを作品に取り入れることです。
 丘を上る風の強い道を思い浮かべてみてください。下の方に立って上を見上げると、山頂に着くまで道がどのようにカーブしているかがわかります。私たちは通常、自然に山頂に着くまで道に沿って進んでいきます。写真の導線も同様に機能します。時には直線的に、時には風の強い線で、私たちの目をイメージの中へと導いてくれるのです。
 上手に使えば、導線は写真に深みを与え、見る人にショットとの関わり方を与えることができます。



 写真は3D空間を2Dで表現したもの

 では...導線にはどんなものがあるのでしょうか?
 風の強い道の例えに戻ると、丘のふもとに立って写真を撮ったとしたら、その道が導線になるので、それは素晴らしいショットになります。
 また、一般的に導線として機能する他のいくつかのものが含まれています。

:川

:海の波紋

:低く横たわっている壁やフェンス

:行列を作る人の群れ



三分割の法則を適用する

 写真撮影で最も一般的なルールの一つですが、素晴らしい写真を撮るためには非常に重要です。
 3分割ルールとは、フレーム内のすべてのものがグリッドの中にあるという考えで構図を決めることです。通常、グリッドは9つの正方形があるように設定されています。これらの正方形は互いに交差し、イメージの3つの主要なセクションを作成します。三分の一の法則を適用すると、これらの交点が最も重要な部分であることがわかります。



水を鏡にする

 水の中の山や他の自然の特徴の反射を利用することは、風景写真の構図の美しいトリックの一つです。奥行きを作るだけでなく、すでに美しいと思われる被写体の複製することができます。
 このミラーイメージはまた、あなたの写真にバランスとシンメトリーをもたらします。これは非常にシンプルなテクニックですが、強力です。


 前半はここまでです。次回後半は風景のためのカメラの設定についてご紹介する予定です。



2021年1月27日水曜日

SONY a1発表:海外の反応

本気を出したSONY a1の衝撃

 


「THE ONE NEVER SEEN」
 まだ見たことのない一つのもの。そんな意味深な広告で多くのカメラファンの注目を浴びた新製品がついにベールを脱ぎました。いろんな憶測が出ていましたが、今思えば、「THE ONE NEVER SEEN」のONEこそソニーのフラッグシップ「a1」登場を示唆するヒントだったんですね。
 ほとんど正確なリーク情報もなく、いきなり堂々と登場したソニーの新たなフラッグシップ機「SONY a1」に世界中のカメラファンがどよめいています。おそらくは東京オリンピックを標的に周到に準備してきたであろうソニーのしたたかな戦略が垣間見られます。
 このカメラ界のビッグニュースに多くのメディアがいち早く飛びつき、プロからセミプロ、ガジェット好き、ユーチューバーまで巻き込んで、早くも賛否両論が湧き上がっています。
 第一報を知ったアメリカでの反応はどうだったのでしょうか。ここでは発表初日の第一印象の中で象徴的なリアクション報道、レビューをまとめてみました。


テックリーダー(ハイテクやガジェットの紹介、レビューサイト)

最新のソニーα1は、ソニーの「見たことのないもの 」イベントの中で正式に発表されたばかりで、この最新のフルフレームカメラは、我々が今まで見た中で最も強力なミラーレスカメラである。
(中略)・・・カメラファンにとっては大々的な発表となる。要するに、写真界のマクラーレン・スーパーカーになりそうな予感がする。
ソニーα1は、50メガピクセルのフルフレームセンサーと30fpsのバースト撮影を初めて組み合わせた。ライバル機キヤノンEOS R5、または8K動画撮影とソニーA7S IIIと同様の放熱性を備え、非常に有能な動画ツールになることを約束している。
本機はソニーA9 IIと似たような筐体をベースに、これまでハイブリッドカメラでは見たことがないような技術や機能を詰め込んでいる・・・ 
 とかなり期待値の高い記事となっています。


Fストッパーズ:(カメラ・写真に関するレビューやチュートリアルのサイト)

Sony Just Destroyed the Competition With New Sony a1 Mirrorless Cameraとタイトルが既に過激です)

 曰く、ソニーは長い間ミラーレス市場をリードしてきましたが、ここ1年はキヤノンとニコンがトップ争いに参戦し混沌としてきました。しかし今日、ソニーは彼らの追撃を完封しました。 
 Fストッパーズはここである記事を引用して言います。
「(ミラーレス)カメラの技術革新はこのところ停滞していた。それはソニーの一人勝ちのせいである。長い間、競合他社がなかなか追い付かないため、ソニーは革新的というよりはむしろ反復的な機能をリリースしていた。少し良くて速いAFや少し高いメガピクセルセンサーといった具合に。最近ようやくライバルのニコン、キャノンがミラーレスに本腰入れだしたので、突き放すために本気を出した」。それが今回のSONY a1」だというのです。
 いわば「競争相手がまだゴーカートのレースをしているのに、なぜ時速300マイルで走れるレースカーを出すのか」という問いへの回答がこのSONY a1」だと言っているのです。
 それほどまでに、他社を引き離すと言われるSONY a1」はどのようなカメラなのでしょうか。




SONY a1

 「新しいソニーa1カメラのリリースで、ソニーは多くの技術の壁を押し広げただけでなく、これまで不可能だった技術を私たちにもたらしてくれました。これらの技術革新の最初のものは、センサーに属するものです。
 ソニーa1は、8倍以上の強力な新しいBIONZ XRイメージングプロセッサとペアの50.1MPセンサーを取り入れました。これは何を可能にするのか。ソニーa1はブラックアウトフリーで30fpsの撮影が可能。文字通り、従来のビデオフレームレートよりも高速でフル解像度のRAW画像を撮影することができます。これはすべて電子シャッターを使用して完全に静粛に行われ、バッファは155枚の圧縮されたRAWまたは165枚のJPEGを保持することができます。

 a1の電子シャッターも、
ローリングシャッターを最小限に抑えている。実際、我々が使っていたSony a9では、静止画撮影時のローリングシャッターを気にすることがありませんでしたが、この新しいSony a1では、ローリングシャッターをさらに1.5倍減らしているといいます。
 AFについては、イメージセンサーの92%をカバーする759点の位相差検出ポイントを搭載。リアルタイムAFトラッキングも前モデルのa9 IIより30%性能が向上しており、人、動物、鳥などに対応したアイAFも搭載しています。新しいイメージプロセッサーを搭載したことで、1秒間に120回のAF/AE計算が可能になり、これはa9 IIの2倍になり、30FPSでの撮影でも動作するようになった。


ストロボ好きにはたまらない

ソ ニーa1の革新性を飛躍的に高めているのは、フラッシュの使い方だ。ほとんどのカメラは、フラッシュの同期速度が1/250秒以下に制限されています。それだけでなく、サイレントシャッター時にはフラッシュが全く使えません。しかし、ソニーa1は世界初のメカニカルシャッターを実現し、1/400秒のシンクロスピードを実現しました。また、電子シャッター使用時には1/200秒のシンクロスピードを実現しています。つまり、サイレントシャッターを使用しても、新型のキヤノンR5/R6やニコンZ 7IIのメカニカルシャッターと同等の同期速度が得られるということです。a1でメカニカルシャッターを使えば、競合他社の2倍の速度が得られることになります。

動画性能

 ソニーa1は、10ビットで印象的な8k/30pを提供しており、10ビットで4k/120pを15ストップ以上のダイナミックレンジ(静止画では15ストップ)で撮影することができます。また、FX9やFX6と同じS-シネトーンカラーマトリックスを採用しているので、誰もがいつも求めている映画のような素晴らしい映像を撮影することができます。
 また、内蔵の手ぶれ補正機能を使って、5.5段のシャッタースピードで5軸手ぶれ補正をかけて記録することもできます。また、ソニーa1は独自の放熱構造を採用しており、他のソニーのフルフレームミラーレスカメラに見られるような小型ボディのフォルムはそのままに、8K/30pで最大30分間の撮影が可能となっています。


その他の特徴

 他にも注目すべき機能をいくつか。ソニーa1は、0.64型944万ドットの有機EL Quad-XGAで、世界初の240fpsのリフレッシュレートを実現した電子ビューファインダーを搭載しています。
 またメカニカルシャッターと電子シャッターの両方で世界初のアンチフリッカー撮影を実現。
 さらに画像への高速アクセスを必要とする人のために、a1は業界最速の内蔵Wi-Fi、SuperSpeed USB 10Gbps、1000BASE-Tイーサネットを搭載しています。
 その上、メニューシステムの見直し、多様な画像出力(圧縮、ロスレス、HEIF、"ライト "JPEG/HEIFなど)、ホコリ取り機能の向上、防塵・防湿性の向上などの記載があります。また、レンズ交換時にほこりからセンサーを守るために、電源オフ時にメカニカルシャッターを閉じる新機能も搭載されているとのこと。

 6,500ドルでソニーa1を予約注文することができます。これは多くの写真家に値札ショックを与えるかもしれない(高額すぎ?)。しかし、大量の技術革新と 世界初の技術を考えると、彼らは値札を正当化する以上のものを持っていると思います。」




 以上のように、このソニーa1に対する感想は、「すごいかもしれないが高すぎ」などのコメントが多く寄せられているようです。確かに公式サイトのスペック表示だけ見ると、革新的な内容満載のようです。はたして実力のほどは?
 今後出回るであろうデモ機のレビュー等々の正直な報告が待たれるところですね。