2021年2月1日月曜日

鳥の撮影ガイド:カメラ編

おススメの鳥を撮るデジカメ




 ストリートフォト、子供の成長、料理写真、ポートレート、自然風景、動物、スポーツ、鉄道写真・・・。カメラ選びは撮る対象によって変わってきます。今回は、鳥を撮ることに適したカメラを考察してみました。

 デジタルカメラのオートフォーカス性能は、ここ数年で飛躍的に進歩してきました。ひと昔前は顔認識だけですごい凄いと喜んでいましたが、今どきの新機種は軒並み瞳認識が搭載されるようになりました。しかもその精度はますます向上し、動体でもしっかり食いついて追従しながらフォーカスを維持できるようになりました。さらにその差は暗所性能と、測距性能とも連動し、かなり遠くの薄暗いところで動く被写体の瞳さえ捉える機種が出ています。とくにこのオートフォーカスの分野でソニーはダントツの性能と先進性を誇り、常に他社を一歩リードし続けています。
 しかも人間だけでは収まり切らず、最新機種にはAIのアルゴリズムを取り込んでより学習性能を向上させた動物瞳フォーカスが搭載されました。キャノンも同様の機能をハイエンド機に積み始めており。このトレンドは今後下位機種へも波及していく流れとなるでしょう。
 現状では犬、猫、鳥を対象に撮れると謳っているものが多いのですが、ユーザーの実証レポートの中には、動物園の動物でもかなりの確率で瞳を捉えることが報告されています。今後、これらの後継機種はより精度の高い瞳フォーカスを搭載してくるに違いありません。
 私の予想では近い将来、カメラは高度な空間認識センサーとコンピュータ端末を内蔵した機種が出るはずです。これが5G通信技術と連動し、カメラがとらえた被写体の状況を即時に撮影解析するコンピューターに送信、秒を待たずに最適な露出設定をカメラに送るようになるのです。ようするに次世代のカメラは、人間の判断で設定した露出等を超える総合判断能力を備え、カメラの設定を最高の状態に持っていくことができるようになるのです。それじゃあ、みんな同じ写真しかできないのかというとそうではなく、そこはユーザーがそれぞれ好みの補正を加えるマニュアル操作コマンドを用意しておけばよいだけなのです。こうすることによって、できるだけ失敗は少なく、狙ったとおりの写真ができやすくなる、ということなのです。
 こういった技術が一般化されるには少し時間がかかるかもしれませんが、現行のテクノロジーで十分可能な未来のデジタルカメラなのです。

 話がそれてしまいました。
 それではおススメの鳥撮影用カメラをご紹介していきたいと思います。





キヤノン PowerShot SX70 HS

 いわゆるブリッジカメラは、より正確には「スーパーズーム」と呼ぶべきカメラで、見た目は一眼レフに似ていますが、固定式の長尺ズームレンズが特徴です。こちらキヤノンの
パワーショットSX70 HSは、65倍ズームを搭載し、前モデルよりも高解像度のイメージセンサーを搭載しています。特に見やすくなった電子ビューファインダーは、一眼レフカメラに匹敵するものとなっています。このクラスの中で最も安価なカメラですが、明るくて静止した被写体なら文句なく鮮明な画像を捉えることができます。鳥の場合、左右に動いているときの撮影には向いています。言い換えると、前後に動く動体にピントを合わせ続けるのはやや苦手な傾向があります。正直、動きの多い鳥は追いにくいのですが、じっとしてくれる鳥なら65倍ズームの威力を存分に体感できるでしょう。



ニコンCoolpix P1000

P1000は、ニコンのロングランシリーズであるCoolpixシリーズの最新モデルです。2018年9月に発表され、そのモンスター級のズームスペックゆえに大きな話題を呼びました。35mm換算で24mmから3,000mmまでの焦点距離を実現する、驚異的な光学125倍ズームを搭載しています。発売当時多くの野鳥観察者たちからも、P1000を2018年の「最高の新しいコンパクトカメラ」と称賛されました。ただこのカメラは重さが1415gとけっこうかさばるので、万人向けではないし、うまく使うには多少の練習が必要です。しかしとにかくけた違いの拡大写真が撮れますので、その点に関しては他機の追随を許しません。遠くの野鳥の画像を捉える能力一点に絞れば、じゅうぶん検討する価値のあるカメラです。



ソニー Cybershot RX10 IV



クラス最高クラスのプレミアムブリッジカメラです。1インチのイメージセンサーには位相差フォーカスが搭載されており、毎秒24コマまでの撮影が可能です。光学25倍ズームは600mmの範囲をカバーし、鳥などの被写体を遠くまで近づけることができます。3インチの液晶ディスプレイはタッチ操作に対応しており、画面をタップしてピントを合わせることができます。RX10 IVの重さは1095gですがグリップの形状がよくできていて、持ち歩いても快適にバードウォッチングを楽しめます。



ニコン D7500

D7500は入門機の位置づけながら、APS-C機のフラッグシップ、D500と同じセンサーを搭載しており、軽量ボディに高い性能が詰め込まれています。連写速度は8コマ/秒と一眼レフの中でもかなり早めの連写性能を持ちます。連写可能枚数は14bitRAWで50枚、JPEGで100枚。連写性能が高い利点は、野鳥撮影など動きのある被写体を撮るときにチャンスを逃さない、ということです。チルト式のタッチパネルを備え、なおかつボディは防塵防滴処理がされているので、野鳥を追って森でにわか雨に会っても、心配せずに撮影を続けることができます。



パナソニック Lumix GH5

GH5はマイクロフォーサーズ・フォーマットのミラーレスカメラであり、プロレベルの4K動画撮影ができるという定評を得ていますが、静止画撮影のクリエイティブツールとしてもまた、他の高性能APS-Cカメラと比べて遜色のない評価を得ています。GH5は、20.3MPのファイルサイズで12FPS、8MPのファイルサイズで最大60FPSの連続撮影が可能です。また、防滴・防塵機能を備えたウェザーシールを採用し、過酷な環境下でもカメラの生命線をしっかりと保護します。さらに、GH5はPanasonic-Lumix 100-400mmレンズとの相性も抜群です。




富士フイルム X-T30

富士フイルムのX-Tシリーズの最新モデルは、ネイチャーフォトを目指す人たちの注目を集めています。X-Tシリーズは、新ボディに富士フイルムの望遠ズーム「XF 100-400mm」を組み合わせることで、高性能で汎用性の高い鳥類撮影機材となります。第4世代のセンサーと画像処理プロセッサを搭載し、毎秒30コマのキャプチャーエンジンと位相差オートフォーカスを搭載しています。ボディは、フラッグシップ機「T-3」の小型・軽量化・低価格化を実現しています。実際、X-T30はT-3と同等の画質とプロセッサー性能を実現しています。さらに、AF性能が前モデルの1.5倍の速さであるという事実を加えれば、堅牢で信頼性の高い本機は鳥撮影に相応しい能力の持ち主であると言えます。





ソニー a7 III

言わずと知れたフルサイズ界のベストセラー機種です。このフルフレーム・ミラーレスモデルは、2400万画素のBSI CMOSセンサーと693点の位相差AFポイントを搭載し、毎秒10コマの撮影が可能です。カメラの性能も大型のデジタル一眼レフカメラに比べほとんどの部分で上回り、なおかつ重さも約650gなので、バードウォッチャーやネイチャーフォトグラファーに最適です。




キヤノン EOS 7D Mark II

デジタル写真の歴史の中で、キヤノンの7D Mark IIのように市場力学の進化の圧力に耐えてきたカメラはほとんどありません。それは2014年の秋に登場し、今なお多くのユーザーに愛され続けるロングラン・デジイチ。とりわけあまたの野鳥愛好家から熱い支持を受け、いまなお世界中で素晴らしい鳥の写真を生み出し続けています。これには正当な理由があります。デュアルDIGICプロセッサを搭載し、1,000以上のJPEG画像と31枚のRAW写真の連続撮影を可能にする傑出した連写能力です。その信頼性の高い位相差AFシステムは、鳥撮影にもってこいであり、今日でも十分その期待に応える画力を有する稀有な一台なのであります。




ニコン D500


















ニコンのDXフォーマットのフラッグシップモデルです。卓越したオートフォーカスと10コマ/秒のシャッタースピードを実現しました。定評のあるニコン画質は誰もが納得の一台。クイックAFトラッキングシステムの基盤となるのは、153ポイントのAFモジュールがほぼエッジからエッジまでをカバーしていることです。動いている被写体をしっかりと捉えてロックするので、シャッターを切る前に完璧な瞬間を待つことができます。長年にわたり多くのファンを獲得し、その卓越した評判を固めています。ニコンの汎用性の高い200-500mmズームレンズを装着すれば無敵の野鳥撮影カメラとなります。




ニコン D850

シャッタースピードのスペックはニコンのD500には及ばないものの、D850の毎秒7コマ(高価なバッテリーグリップを使用した場合は9FPS)は、信頼性の高い、有能なパフォーマンスを提供してくれます。とりわけD850の45.7メガピクセルのRAWファイルサイズに興味はそそられます。無駄なく光を吸収するように設計された巨大なセンサー。これによってもたらされる極限の解像度は、写真家の能力を最大限に引き出してくれます。遠くにいる鳥でもフレームの中に捉えれば、ものの見事にキャプチャーに成功します。高画素の強みを生かした鳥へのアプローチは今後もこのカメラがリードし続けるでしょう。




オリンパス OM-D E-M1X

E-M1Xは、マイクロフォーサーズの世界ではプロレベルのボディであり、あらゆるフォーマットで上位機種と肩を並べる存在です。毎秒15コマのメカニカルシャッターバーストから毎秒60コマの電子シャッターキャプチャレートまで備え、動きの多い鳥にも十分対応可能な高性能カメラです。
カメラ内の5軸手ブレ補正システムは、手ブレをほぼ完璧に補正します。コントラストと位相差オートフォーカスを組み合わせることで、ターゲットを固定し、不規則な動きの画像を鮮明にキャッチすることができます。プロキャプチャーモードは、シャッターボタンを半押ししている間、背景に35フレームの連続ループを記録し、シャッターを切った瞬間に最新の35フレームを保存します。プロキャプチャーを使えば、飛び跳ねる猛禽類の象徴的なショットを見逃すこともないのです。




キヤノン EOS-1D X Mark II

2016年に発売されたキヤノンのフラッグシッププロ用カメラです。例えば動く鳥の連続撮影では、フルAF/AE追従で毎秒14コマ、ライブビューモードでは16fpsの撮影が可能です。2020万画素のフルフレームCMOSセンサーと、デュアルDIGIC 6+イメージプロセッサにより、信じられないほどのディテールのある画像を生成します。また、優れたダイナミックレンジとカラーノイズの低減にも成功しています。望遠レンズやズームレンズと組み合わせれば、最高の野鳥写真を撮影するためのツールを手に入れることになります。ただしお値段も相応。使い勝手もコワモテで、熟練の写真家でないと使いこなせない部分も多々あります。




ソニー a9















ソニーのフルフレームミラーレスカメラのフラッグシップモデルであるソニーa9のオートフォーカスシステムは、693点のAFポイントを採用し、画像領域の約93%をカバーし、1秒間に最大60回のフォーカスと露出計算を行うことができます。信じられないほど高速で正確で、電子シャッター使用時のシャッターブラックアウトや振動がなく、ミラーレスシステムにあった多くの欠点を克服しています。またa9はサイレント撮影モードを搭載していますので、シャッター音で野生動物を怖がらせることはありません。このカメラの電子ビューファインダーはきわめて明るく、120 fpsの速度で更新され、光学ファインダーに負けない映り具合を保証しています。まさにa9は鳥の写真を撮るためのカメラといっても過言でないほどハイレベルなネイチャー系カメラなのです。


 以上、野鳥撮影を念頭に置いたらどんなカメラが相応しいのか、と考察した結果をリストアップさせていただきました。理想を追えばキリがないし、どのカメラにも一長一短があります。そんな中で自分に適したカメラ選びの一助にしていただければ幸いです。

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