2021年2月9日火曜日

キャノンのカメラ

カメラ:世代交代の早さ




 かつてフィルムカメラが主流だったころ、その王様として長きにわたって君臨していたカメラがあります。言わずと知れたニコンのFシリーズです。このカメラはニコンはもとよりカメラ界のフラッグシップ機で、長きにわたってプロ写真家やカメラ愛好家から親しまれてきました。もちろん今も愛用しておられる方はたくさんいらっしゃいます。今の時代からみると、このカメラの歴史は実に悠々たるものです。なにせ、1959年に初号機が出て以来、ずっとベストセラーを続け、F2が出たのは12年後だったのです。F3はそれからさらに9年後。以降、F4、F5、F6までそれぞれ8年ずつかけてバージョンアップされてきています。
 じつに堂々たる進み具合。王様の貫禄を感じさせます。いまのタイムスパンからみると信じられない余裕ですね。

 昨今、カメラの技術革新は目覚ましいもので、毎年のように新しく出る機種が、1世代前のカメラのスペックを易々と更新し続けています。

 例えば、私が愛用していたキャノンのフルサイズカメラ、CANON EOS 6D。
 2014年の購入当時はまさに最新技術を駆使した、ミドルクラスのフルサイズカメラの決定版だと思っていました。事実、このカメラはキヤノンの一眼レフカメラで初めてWiFiとGPSを搭載した機種でした。しかも当時35mmフルサイズ機で最軽量、連写速度は4.5コマ/秒とまさに新時代を予感させるハイスペックだったのです
 ところが時の流れは速いもので、あれからまだたった6年半しかたっていないのに、すでに旧機種扱いで、中古販売でしか手に入らない代物となってしまいました。私も去年新しいカメラの資金にするため売却しましたが、びっくりするような安値になってしまいました。    購入当時はレンズキット付きで24万円ほどしましたから、6年という長さはカメラの価値をごっそり落とすに十分な時間となってしまったようです。

 ちなみに発売時のキャノンのサイトでは、以下のようなコピーで本機を紹介していました。


 ・・・“EOS 6D”は、入門機からのステップアップやハイアマチュアユーザーのサブ機として、35mmフルサイズセンサーが実現する高画質を手軽に楽しみたいユーザーに向けて開発された、軽量で小型なデジタル一眼レフカメラです。


■ 35mmフルサイズセンサーならではの高画質と豊かな表現力
新開発の35mmフルサイズCMOSセンサー(約2,020万画素)を搭載しています。フルサイズならではの美しいボケ味に加え、映像エンジンDIGIC 5+との組み合せにより、広いダイナミックレンジや美しい色再現、豊かな階調性を実現しています。また、常用ISO感度を最高ISO25600※2まで拡大したことで、暗所でもノイズを抑えた撮影が可能です。

■ 携帯性に優れる世界最軽量ボディー
シャッターユニット、ミラー駆動モーター、CMOSセンサーパッケージの小型化などにより、APS-Cサイズのセンサー搭載機「EOS 60D」(2010年9月発売)とほぼ同等の質量と大きさを実現しています。これにより、手軽に持ち運ぶことを可能にし、撮影領域を広げることに貢献します。

■ EOSシリーズ初、Wi-Fi対応の無線LAN機能・GPS機能を本体に内蔵
Wi-Fi対応のスマートフォンを使えば、静止画の撮影や、カメラ内のメモリーカードに記録された静止画(JPEG画像)のスマートフォンへの取り込みを遠隔操作※3で行えます。さらに、撮影地点の位置情報や、移動経路を記録するGPS機能も備えています。・・・

 

 当時としては最新のスペックも、今出ている新しいミラーレスの入門機にさえ、負けてしましそうな差となっています。ちなみに昨年入門機としてよく売れたCANON EOS KISS Mと比べてみました。

 2018年2月に発売されたCANON EOS KISS Mが24.0MPのAPS-Cセンサーを搭載したエントリーレベルのミラーレスカメラであるのに対し、2013年2月に発売されたCanon 6Dは20.0MPのフルフレームセンサーを搭載した中級デジタル一眼レフカメラです。ご覧の通り、KISS Mよりも6Dの方が5年古いだけです。この2台のカメラの年齢差がどれほど大きな違いになるかどうかを見てみました。

 これら2機種にはボディタイプの基本的な違いはあるものの、ミラーレスカメラは、サイズや重量の優位性と最近のフォーカススピードの向上により、デジタル一眼レフカメラの代替として真剣に考えられるようになってきています。

ここでは、私たちのより詳細な比較に入る前に、
EOS KISS MとEOS 6Dの主な機能を簡単に見てみました。


Canon Kiss M
発売日: 2018-02-26
映像エンジンDIGIC 8
24MP - APS-C CMOS Sensor
ISO 100 - 25600 ( expands to 51200)
Canon EF-M Mount
3インチ バリアングル・モニター
236万ドット電子ビューファインダー
連写速度10.0 fps 
4K (UHD) - 3840 x 2160 video resolution
Built-in Wireless
116 x 88 x 59 mm
390g. 

Canon EOS 6D
発売日: 2013-02-12
映像エンジンDIGIC 5+
20MP -フルフレーム CMOS Sensor
ISO 100 - 25600 ( 拡張 50-102400)
Canon EF Mount
3インチ固定モニター
オプティカルビューファインダー
連写 4.5 fps
Full HD - 1920 x 1080 video resolution
Built-in Wireless
Built-in GPS
防塵防滴ボディ
145 x 111 x 71 mm
770g. 

 明らかに差が出ているのは、まず映像エンジンの更新。これはもう致し方ないのですが、デジタルカメラの時代では、このセンサー性能に直結する映像エンジンの刷新はほかのどのポイントより重要と言われている部分なのです。それが5+から8ですからこの差は否定できません。次にサイズ。もちろんフルサイズ機とAPS-C機なので直接比較はできませんが、KISS Mの小型軽量化は画期的な差と映ります。また連写速度も毎秒4.5から10と大きく進歩しました。くわえてモニターが固定式からバリアングルへと飛躍しました。フルサイズと大きな開きがあるだろうと思っていたISO最高感度も25600と入門機がついに追いついてしまいました。これで価格もEOS KISS Mはレンズキット付きで、6万ちょいですから驚きです。

 このようにカメラが6年の歳月で、いかに目覚ましい進化を遂げるのか、まざまざと思い知らされます。もちろんこれはスペック上の違いだけで、実際の写真はまた改めて較べる必要はあります。EOS 6Dの描写力は今でも現役で通用する素晴らしいものですし、ボディの堅牢性などでは、今のカメラよりずっとしっかりしていると思います。なにより手に取ったずっしり感が頼もしく、じっくり撮るタイプの人にとってはこれほど相応しいカメラはあまりないものだと思っています。
 最新のカメラは確かに機能や性能でその実力は更新されるのですが、どうもツールの一部と化す感があり、愛着という面では昔のカメラの方が強かった気がします。
 これからもいいカメラは次々誕生するでしょうが、昔のニコンFシリーズのような持つだけでその価値がある、みたいなカメラは今後なかなか出てこないような気がします。



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