2021年2月4日木曜日

一眼レフ:最初のカメラ選び

どのカメラを買うのか





 昔からカメラ撮影を好む(あるいは趣味とする)日本人は海外と比較して多いと言われています。フィルム写真の時代から、欧米では、「日本人はカメラ好き」というイメージが定着しています。海外旅行のツアーなどで訪米した日本人のほとんどがカメラを首からぶら下げ、写真を撮りまくる図というのが、しばしば揶揄を込めて紹介されています。観光名所に来ても目で見て回るより、立ち止まって写真を撮ってる時間の方が多いと言われる日本人です。メジャーなカメラメーカーが日本製ということもあり、「カメラ・イコール・ジャパン」みたいなイメージを持たれているのかもしれません。
 とはいえ、カメラの性能に関しては間違いなく誇るべきものがあり、その可能性は日々躍進している最中です。
 そんな中、これからカメラを購入しようという方に向け、そもそも論的な事を書いてみようと思いました。そもそも初心者はどのカメラをもつのがよいのか? 原点に立ち返って、いくつかの観点から考察してみました。カメラ購入の際のガイドとなれば幸いです。


ブランド選び。ニコン? キヤノン? それとも・・・

 フィルム時代からの老舗メーカーでライバルと言えばニコンとキャノンです。ニコンかキヤノンを買うべきか?それともそれ以外か?

 どのような機能を備えたカメラがエントリーレベルのデジタル一眼レフカメラとして最適なのでしょうか?

 コンパクトカメラに比べて、デジタル一眼レフカメラを購入する際には、その先のことを考慮しておかなければなりません。カメラメーカー各社で、レンズマウントの規格が異なるため、一度あるメーカーのカメラを購入すると、そのメーカーおよびメーカーに準拠したサードパーティ製のレンズやアクセサリーで揃えることになり、容易に他社に乗り換えることはできなくなるのです。勿論、どうしてもというならすべての機材をまとめて下取りに出して、総入れ替えすることは可能です。

 いずれにせよ、ブランド選びはなかなか重要なことです。どちらかのブランドが他のブランドよりも優れているということではありません。それぞれにメーカーの特徴があり、それに慣れてしまうと、どうしても他社製に批判的になるか、逆に「隣の芝生は青い」じゃないですが、実力以上の幻想を覚えてしまうことがあります。

 カメラを選ぶときは、ブランドではなく、その機能に基づいて選びましょう。買う前に、いろいろなレンズやアクセサリーを調べてみることです。例えば、野生動物の写真の撮り方を学びたいのであれば、選ぶカメラに対応した望遠レンズが用意されているかを確認してください。ニコンやキヤノンが優れているのは、人気が高く定着しているからであり、またレンズやフラッシュなど、カメラ本体にプラスして選べるアクセサリーが豊富にあるからです。

センサーサイズとデザインの選択は、デジイチカメラ選びの最初の一歩です。

 デジタルカメラで写真を撮ると、光はレンズから入り、センサーに当たります。センサーにはさまざまな大きさのものがあります。スマートフォンのカメラのセンサーは非常に小さく、デジタル一眼レフカメラのセンサーははるかに大きくなっています。
 センサーが大きい方が良いのには、さまざまな理由があります。まず、より大きなセンサーで撮影された画像は、より高い解像度を持っています。また、より大きなセンサーは、低照度下での撮影にも適しています。カメラに入射する光の量が変わらない場合でも、表面積が大きいほど、カメラはより多くの光を集めることができます。また、センサーが大きくなると、柔らかいボケ味の背景も簡単に撮れるようになります。

 デジタル一眼レフカメラでは、センサーサイズには2種類の選択肢があります。APS-Cは小型のタイプで、一般的にエントリーレベルのデジタル一眼レフ写真家に最適なオプションです。APS-Cセンサーは、初めての方には十分な大きさで、使いやすく手頃な価格のカメラに搭載されていることが多いです。

 フルフレーム・センサーはそれより少し大きく、こちらは通常、プロ用のデジタル一眼レフカメラと考えられています。解像度が高くなり、価格も高くなります。カメラの予算が1,500ドルを超える場合は、こちらのカメラも選択肢の一つになるかもしれません。

センサーサイズも重要ですが、センサーのデザインも重要です。裏面照射センサーは、ほとんどのギアと回路が後ろにあるように設計されているので、光がセンサーに届きやすくなっています。
裏面照射型のセンサーは、通常のセンサーよりも低照度下での性能が優れています。

 多くのメーカーは現在、光学ローパスフィルターやアンチエイリアシングフィルターと呼ばれるものを廃止しています。このフィルターは、モアレと呼ばれるパターンの歪みを防ぐのに役立ちます。最も一般的な例は、撮影したときに曲がったり渦を巻いたりする細かい縞模様のシャツです。
 しかし今はセンサー技術の進歩により、このフィルターを使わなくても、一部の歪みを除去できるようになってきています。フィルターはセンサーと光の間にあるもう一つの層です。光学ローパスフィルターを使用しないカメラは、よりダイレクトで詳細で、豊かな色を持つ傾向があります。
 多くのカメラメーカーは、ニコンの最新のデジタル一眼レフカメラのほとんどがそうであるように、フィルターを完全に廃止しています。一方キヤノンの手法は、同じカメラでもフィルター付きとフィルターなしの2種類のモデルを用意することです。どちらがより売り上げに貢献するかは、いましばらくの実績報告を待つべきでしょう。


高画素神話
 エントリーレベルのデジタル一眼レフカメラにとって、メガピクセルは本当に重要なのでしょうか?

 初心者は高画素を第一理由にカメラを購入する人が多いです。むろんメガピクセルが重要でないということではありません。
高画素はカメラの解像度を決定します。一方の面のピクセル数にもう一方の面のピクセル数を掛け合わせたものがメガピクセル数です。メガピクセル数が多いカメラは、より高い解像度の画像を生成するので、大きな写真をプリントしたり、写真を台無しにすることなくトリミングしたりすることができます。

 しかしメガピクセル数は、画質を決定する上でセンサーサイズほど重要ではありません。たとえデジタル一眼レフが1600万画素しかなくても、42メガピクセルのスマートフォンがデジタル一眼レフに勝てるわけではありません。しかし、本稿では初心者向けのデジタル一眼レフを考察しているので、とりあえずすべてのセンサーがAPS-Cサイズだと仮定してみます。そうすると、メガピクセル数の多いカメラの方が解像度が高いことになります。解像度が高いからといって、必ずしも良い画像が撮れるわけではないことを覚えておいてください。最近のカメラの多くは、ノイズリダクションに優れた高メガピクセルカメラを搭載していますが、高いメガピクセル数のカメラは高ISOでもノイズが発生しやすくなっています。

 もう一つ考慮すべきことは、メガピクセル数が多いということは、画像ファイルが大きいということです。これ自体が問題ということではありません。しかし、高メガピクセルカメラには、より大きなSDカードが必要になることと、それを保存するためのかなり大きなハードドライブが必要になることを覚えておいてください。


連写スピード

 どのくらいの速さで写真を撮ることができるか、ということです。スピード性能の良いカメラを選ぶことはスポーツ写真家には欠かせません。連写に興味のある写真家にはスピードのスペックに注目するのが良いでしょう。親が子供の成長写真を撮るにも、動きを重視する連射スピードの性能は欠かせません。またポートレート写真を撮りたいと思っている人は、十分なスピードがあれば最高の表情を撮ることができます。

 しかし、カメラのスピードは紙の上では測りにくいものです。カメラの全体的な速度の目安となるのが、バーストスピード、つまりシャッターを押し続けた場合の1秒間に撮影できる写真の枚数(またはfps)です。

デジタル一眼レフカメラには、写真を撮るたびに移動しなければならないパーツがたくさんあります。デジタル画像、特にメガピクセル数の多い画像を処理するためには、カメラの処理に時間がかかります。このような理由から、ほとんどのデジタル一眼レフカメラのバーストスピードは約5fpsで、1秒間に5枚の画像を撮影することができます。もし10 fpsのバーストスピードのあるカメラなら、デジタル一眼レフカメラとしては非常に優れたスピードといえます。

 1秒間に撮影できる写真の枚数が多いほど、完璧なタイミングで撮影できる可能性が高くなります。しかし、バーストスピードは、カメラが一般的にどれだけ速く動作するかを示す良い指標でもあります。
 どのくらいの速度が必要なのでしょうか?
 バーストスピードが10fpsのデジタル一眼レフカメラは、スポーツだけでなく、野生動物や小さな子供のように素早く動くものを撮影するのに適しています。バーストスピードが速ければ、完璧な瞬間を撮影できる可能性が上がりますが、5fpsでも多くのスポーツ撮影に対して有効です。
 考慮すべきもう一つの速度は、最大シャッター速度です。シャッタースピードというのは、写真を撮影するためにカメラのシャッターが開いたままになる時間を決定します。低価格のデジタル一眼レフカメラは、通常1/4000のシャッタースピードを持っています。これは、動きを止めるのに十分な速さで、ほとんどの種類の写真撮影に対応します。より高度なモデルでは、1/8000または1/16,000の速度になります。しかし、それだけ速いシャッタースピードは、多くの光を必要とすることを覚えておいてください。



エントリーレベルのデジタル一眼レフカメラの価格

 カメラを買うということは、市場に出回っている最高のカメラを見つけることではなく、自分のスタイルと予算に合った最高のカメラを見つけることです。中には小型車と同じくらいの価格で、最高の機能を満載したデジタル一眼レフカメラがありますが、数万円で購入できる、初心者に最適な機能を備えたものもいくつかあります。

 エントリーレベルのデジタル一眼レフカメラは、古いモデルであれば300ドル程度で購入できますが、6万から10万円はもう少し現実的です。そこから高速化やメガピクセル数の増加などの機能を追加すると、価格は上昇していきます。

 また、現行モデルではないデジタル一眼レフカメラを購入することで、少し節約することもできます。古いデジタル一眼レフカメラは今でも素晴らしいカメラであり、新しいエントリーレベルのデジタル一眼レフカメラと同じ価格で、より多くの機能を備えた古いミッドレベルのデジタル一眼レフカメラを見つけることもあります。ただし機能を慎重に比較するように注意してください。1年前のモデルでは、通常はあまり差がありませんが、2年以上前のモデルでは、画質に顕著な差が出ることがよくあります。



キットレンズかカメラ本体のみか?

 デジタル一眼レフカメラを決めたら、次はキットレンズを買うか、カメラ本体のみを買うかの選択です。ほとんどの初心者は、キットレンズ付きのデジタル一眼レフカメラを購入しています。キットレンズは、通常18mmから55mmまでの最も一般的なズーム範囲をカバーしていることが多いので、非常に優れています。キットレンズは安価で、写真撮影を始めるには良い方法です。目の肥えたハイアマチュアあたりからは、キットレンズを卑下する意見もよく目にしますが、メーカーとしては、そのカメラの最初に相応しいレンズとして厳選するわけですから、決して恥じるような選択ではありません。

 厳密に言えば、たしかにキットレンズは多くの場合、少しスペックは落ちます。ほとんどのキットレンズの最大絞りはF3.6前後です。絞りは、F1.8のような広い方が、限られた光の中で写真を撮ったり、背景を柔らかく、ボケ味のあるものにしたりするのに適しています。より限定された狙いの写真を撮りたくなった時に、そちらに進めばいいと思います。



初心者向けデジタル一眼レフカメラの選び方

 初心者のためのデジタル一眼レフカメラ選びは、自分のスタイルに合ったカメラを選ぶことです。例えば、スポーツなどのアクションを撮るのであれば、スピードを重視します。風景などの静止画を撮る場合は、センサーサイズやメガピクセル数からの解像感を重視します。デジタル一眼レフカメラを選ぶ前に、センサーサイズ、ピクセル数、スピード、価格を理解しておきましょう。
 メカが苦手だとか、写真撮影を学ぶことに不安があるなら、カメラのカタログを見て、カメラを使うことにそれほど圧倒されないように、ボタンやダイヤルが少ないモデルを選びましょう。 これらの機能を理解して自分に合ったカメラを選ぶことが重要です。ここでは、今市場に出回っている初心者向けでおすすめのデジタル一眼レフカメラをいくつかご紹介します。


ニコンD3400


 ニコンD3400は、写真撮影に入るのに最適で、ニコンが作る最も安価なモデルです。つい最近ニコンのサイトで旧機種扱いとなりましたが、まだ市場には出回っているので、今が買い時かもしれません。Bluetoothを介してスマートデバイスとの接続を確立するSnapBridgeアプリが動作します。

総画素数 2472万画素
シャッタースピード:1/4000
連続撮影:最高 5.0 コマ/秒
センサー 23.5×15.6mm CMOSセンサー



キヤノン Rebel EOS Kiss 9i

画素数:約2420万画素
連続撮影速度が最高約6.0コマ/秒
最大シャッター速度:1/4000 
常用ISO感度:ISO100~25,600
センサー:APS-C、光学ローパスフィルター搭載




ニコンD5600
 

 ニコンD5600はD3400の兄貴分であり、チルト液晶画面、Wi-Fi、より優れたオートフォーカスシステムを備えています。こちらも旧機種となりましたが、長らく後継機が出ていないので、ビギナー向けとして最後の一眼レフ機になるかもしれません。

画素数:約2478万画素
シャッタースピード:1/4000~30秒
連写速度: 5 fps
撮影感度:ISO100~25600
センサー:APS-C、光学ローパスフィルターなし



まとめ

 どのエントリーレベルのカメラを購入するにしても、変わらない定理があります。それは、カメラのダイヤル、ボタン、機能、メニュー(バッテリー残量から電子ビューファインダー、内蔵のWi-Fiやローライトまで)を時間をかけて理解しなければ、どんなカメラもその最高の性能を引き出すことができない、ということです。
 マニュアルを一から終わりまで読む必要はありません、しかし実際にすべてのファンクションをいじってみて、どれがどのような働きをするのか、逐一知っておくことは大切です。高価なものですから、その性能を余さず引き出すことで、そのカメラの真価は発揮されます。どうかよく吟味したうえで、ご自分の愛着がわくとびきりの一台を選んで末永く愛用してください。




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