2021年2月22日月曜日

見直される一眼レフ

今が買い:CANON EOS 80D




 カメラ業界はここ数年の動向からみて、ミラーレスカメラ中心のマーケットに徐々に移行するかに見えました。ところがどっこい、ここへ来て一眼レフがまた見直され始めているようです。というのは特にアメリカで顕著なのですが、昨年のクリスマス商戦でもっとも売れたのはCANON EOS KISSシリーズでした。最新のEOS Kiss X10iとEOS Kiss X9iがツートップで相変わらずカメラ入門機として幅広い層から支持を受けているようです。さらに上位機種ではEOS 90Dも高い支持を得て、並みいるミラーレス機の新鋭に勝る売り上げを続けています。

 注目すべきはこのEOS 90Dの一世代前の80Dの中古市場もまた人気が復活してきたという点です。2019年に90Dが発売されて以来、80Dは旧機種扱いとなって、中古市場でも価格が急落していきました。去年の3月ごろからじょじょに価格が下がり始め、本体価格が日本円にして10万円前後から8万5千程度まで下がったのです。それが昨年の春ごろから落ち続け、以来今年の初めごろまでずっと底値が続く傾向だったのですが、今年に入って価格が急上昇し始めました。

 アメリカでも一般にミラーレスカメラが浸透してきたにも関わらず、実際の売り上げでは話題になったほどミラーレスのフルサイズカメラは売れなかったようです。いやまったく振るわなかったのではないですが、それ以上に一眼レフへの関心がまだまだ根強いアメリカだと判明してきたのです。

優等生EOS 80D

 数あるキャノンの一眼レフの中でも二けたDシリーズはラインアップの中軸を担うミドルクラスのカメラとして定評のあるシリーズです。その中でもEOS 80Dはオールラウンドプレーヤーで、アマチュア写真家が次のステップに進む本格的撮影が可能な高性能機です。またハイアマチュアにとってもフルサイズのサブ機としてそれらに引けを取らない高性能がウリとなっております。

 ここでちょっとその性能を見ましょう。

 キヤノン80Dは2016年に発売されたミッドレンジのデジタル一眼レフカメラで、エントリーレベルのキヤノンRebelシリーズよりもさらに進化したカメラを求める写真家を対象としています。2018年登場と比較的新しいこともあって、新技術を導入しつつ非常に堅実なカメラとなっています。

概要

 80DはISO性能を向上させた2400万画素センサーを搭載しています。前機種70Dの19点オートフォーカス(クロスタイプ)から、80Dは45点のオートフォーカスシステムに進化しており、より広いオートフォーカス範囲と被写体追従性を備えています。

 2つのモードダイヤル、カスタム設定バンク、プロレベルのボタンレイアウトなど、マニュアルコントロールなど本格的撮影に必要な基本機能が充実しています。



キヤノン80Dの仕様

センサー解像度:2400万画素

センサータイプ:CMOS

センサーサイズ:22.5×15mm

センサーピクセルサイズ:3.7μ

ローパスフィルター:あり

センサーダスト処理機能:あり

画像サイズ:6000×4000ピクセル

画像処理装置:DIGIC 6

ファインダータイプ: ペンタプリズム

ビューファインダーの適用範囲:


100%

ファインダー倍率:0.95×

内蔵フラッシュ: あり

ストレージメディア:SD

連続撮影速度:7FPS

バッファサイズ(RAW):25

最高シャッタースピード:1/8000~30秒

シャッター耐久性:100,000回

露出計センサー:7560ピクセルRGB+IR

ベースISO:100

ネイティブISO感度範囲:
ISO 100-6400

増強ISO感度:ISO 25,600まで

フォーカスポイント:45点、オールクロスタイプ

フリッカー検出:あり

ビデオの最大解像度:1920 × 1080 最大 60 fps

LCD のサイズ: 3 "

LCDタイプ:バリアングル

タッチスクリーンLCD:あり

内蔵GPS:なし

Bluetooth:なし

内蔵Wi-Fi/NFC: あり

バッテリー:LP-E6N リチウムイオン電池

電池寿命:960ショット(CIPA

防塵防滴処理:あり

USBバージョン:2.0マイクロB

重量(本体のみ):730g

外形寸法:139×105.2×78.5mm



 ご覧のように、CANON 80Dはこのクラスのデジタル一眼としては過不足のない機能で固められています。毎秒7コマはデジタル一眼レフカメラとしては非常に立派であり、デュアルピクセルオートフォーカスのような機能はミラーレスカメラの最高の特徴といえます。バッテリー駆動時間も、1回の充電で960枚の写真が撮影できるという優れものです。

 一方でBluetoothや4Kビデオなど、出せる技術の一部を保留しているような気もします。また、80Dはメモリーカードスロットが1つしかないので、一部の写真家(結婚式など一生に一度のイベントを撮影する人など、1つのスロットでは安心できない人)には敬遠されてしまうかもしれない。


ハンドリングと人間工学

 全体として、キヤノン80Dの操作性は非常に良いです。特に上級者向けのカメラとしては、非常に機能的で使いやすく、重厚感がありデザインにも配慮されています。このクラスのカメラに見られるようなボタンの欠落もなく、キヤノンのメニューシステムは今でも最高のカメラの一つだと言えます。

 敢えて難を言うならバリアングルのため画面が横に反転し、カメラの左側にボタンを配置するスペースが少なくなっています。そのため、カメラの右側と上部に操作部が密集してしまい、レイアウトに慣れていないと間違ったボタンを押してしまうことがあります。また、ボタンの形状や大きさ、操作感が同じなので、80Dのレイアウトに慣れていない人は、ファインダーから目を離してどれを押しているのか確認する必要があるかもしれません。

 ボタンやメニューオプションが著しく不足している低価格のデジタル一眼レフカメラやミラーレスカメラと比較しても、圧倒的にCanon 80Dの方が有利です。80Dでは、重要な設定を調整するために頻繁にメニューを入力する必要はありません。




造りの質

 総じてCanon 80Dはよくできています。比較的軽量なポリカーボネート/マグネシウムのボディは、手に持ったときに非常に頑丈に感じます。キヤノン80Dは、競合するD7500を含む多くのニコンのカメラよりも優れていると言っても過言ではありません。これは主にグリップ素材の質の高さと、カメラボディ自体のより湾曲した仕立ての良さによるところが大きいでしょう。

 80Dの画面は、液晶はもちろんシャープですが、撮った写真を見直すときに写真が格別に良く見える不思議な能力を持っています。これは単にキヤノンのJPEG設定などのせいではなく、画面自体がニコンのものとは異なるよりよいキャリブレーションがなされており、彩度色調が増し、実際よりきれいに見えるのだと思います。
 
 80Dの18-55mmキットレンズは、品質が非常に良いです。小型軽量で、2つのスイッチ(手ぶれ補正とオート/マニュアルフォーカス)がついています。キヤノンの18-55mmはオートフォーカス時にマニュアルフォーカスができるのも優れています。



EOS 80Dのいい所

 敢えて言いますが、このカメラは特に「最高」というわけではありません。でもオートフォーカスやISO性能では定評あるニコンD7500さえ凌駕していると思います。

 洗練されたメニューレイアウトとプロレベルのボタンレイアウトが快適ですし、(タッチスクリーン、色、チルトフリップの柔軟性の点で)先進的なLCDも見逃せません。また、作り込みの良さと手触りの良さもトップレベルです。いずれにしても、より高いスペックとテスト数値を誇るカメラが多い中で、キヤノン80Dはそれに負けていません。それは、キヤノンが長年にわたって現場で使えるように製品を磨いてきた証でもあります。


キヤノン80Dの長所

使いやすいメニューシステム

シャープで鮮やかな液晶

高品質なバリアングルとタッチスクリーン

便利で高度な機能のカスタム設定モード

デュアルピクセルのオートフォーカス

低照度条件でも動作するオートフォーカス

頑丈な機体品質とカメラ本体のデザイン

高画質キット18-55mmレンズ


 全体的に見て、Canon 80Dは非常に優れたカメラであり、Canonのラインナップの中では最高の価値を持つカメラの一つです。最新機種の90Dはさらに洗練された機能が搭載されていますが、中級クラスかそれ以前の腕のカメラマンなら、価格のこなれた今、
80Dがベストの選択です。驚くべきことに、発売当初アメリカで本体価格$12000だったものが、いま$840前後で買えます。これは性能と照らし合わせると超お買い得と言えます。中古ならこの間eBayで18-135mm EF-S f/3.5-5.6 IS USMのレンズ付きで$678.89などというものも出ておりました。いままた一眼レフが見直され、Canon 80Dの相場価格が上がりつつあります。ミラーレスはまだちょっとという方には、またとない選択肢がCanon 80Dなのであります。


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