2021年2月7日日曜日

デジカメで夜景をキレイに撮る

夜間撮影の基礎知識



 スマホのカメラで夜景を撮ってみて、どうもイマイチ綺麗に撮れない、思ったような絵にならない、そう思ったことはありませんか? スマホでもナイトショットなどの夜景に特化した設定があるなら問題なさそうですが、それでも人とちょっと違った表現をしたいなら、やはり写真専用のデジタルカメラをお勧めします。


 夜景撮影は思いのほか、技量の優劣で差が出やすいものですし、端的に言ってフルサイズのカメラはセンサーサイズの大きさで有利なのは間違いありません。またレンズの明るさに依存することも確かで、そういった装備の良しあしで違いが出るのは致し方ありません。しかし、基本を押さえておくだけで、いままでよりずっといい夜景が撮れるというのも事実です。いま手持ちのカメラでどこまで魅力的な夜景が撮れるのか、以下を読んだ上でもう一度チャレンジしてみてください。きっと今までとは違う夜の風景をおさめることができるはずです。
 

まずは大前提
 夜の写真を撮るための基本的なルールは、どのジャンルでも同じです。速いレンズ(一般的にはF2.8以下の絞り)、頑丈な三脚やカメラを固定するもの、そしてセルフタイマーが必要です。


夜景を撮るためのコツ

1:まずはしっかりした三脚を用意しましょう
 暗い場所ではわずかな手ブレが写真を台無しにします。三脚がない場合は動かない土台を探しましょう。

2:マニュアルモードで撮影しましょう
 暗さ対策はカメラの露出を一つ一つ操作することで体感して覚えるのがいいです。マニュアルモードが苦手な方は、絞りやシャッター優先モードを使っても構いません。その場に応じて最短で操作できる必勝手順をパターン化し確立しておくと慌てることはなくなります。

3:暗いところでのカメラの使い方を覚えましょう
 手元が暗すぎると、ボタンや設定を探すのに苦労することがあります。小さなペンライトなどでカメラのボタンが見えるよう用意しておくと便利です。

4:RAWで撮影しましょう
 RAW画像ファイルにはJPGよりも多くのデータが含まれています。数あるデータの中からその夜景に最適な効果を引き出すことができます。

5:リモート撮影を試しましょう
 スマホとの通信機能でリモートで撮影することで、手ブレもなくなるし、自然なフレーミングで自分を撮ることもできます。

6:カメラをF/16に設定しましょう
 街灯などの小さな明るい光で何かを撮影している場合、F値を絞って周囲の状況を精細に伝えることができます。すべてを余さず伝えたい場合に有効です。





夜の写真の異なるタイプ


ナイトポートレート
 夜間の撮影でも、素晴らしいポートレートのルールは同じです。私が昼間のポートレートに求めるものは、ピントを合わせる目、被写体に均等な光を当てること、そしてシャープなディテールを得ることです。夜にポートレートを撮影するときも、同じコンセプトで撮影していますが、昼にはできない効果を狙うこともできます。
 夜間撮影では、外部フラッシュ、店先のネオン、車のライトなど、別の光源を使って撮影することがあるのです。背景のディテールが前面に出るようなシルエットを作ることも可能です。

天体写真
 夜空を撮影するときに使用するいくつかのポイントを簡単に説明します。

・カメラをマニュアルフォーカスに設定してください。

ピントを合わせるときには、レンズの無限遠マークを信用しないでください。

空に焦点を合わせるには、最も明るい星を選び、星の点ができるだけ小さくなるまで焦点を合わせます。

外部シャッターを使用するか、カメラをセルフタイマーモードに設定してください。

頑丈な三脚を使用し、カメラバッグなどの重いもので三脚を固定します。


露出の設定
 これが何より重要です。いろんなパターンがありますが、基本は以下の通りです。

カメラをISO1600に設定します。

カメラの絞りをできるだけ小さくする。

シャッターを5秒に設定する。

 いかがですか。この設定でとりあえず写真を撮ってみてください。そこから試行錯誤が始まります。

 5秒露光が終わった後の結果を見てみましょう。写真が暗すぎる場合は、露出が合うまでシャッタースピードを上げてください。写真が明るすぎる場合は、適正な露出になるまでシャッタースピードを下げます。



夜の街並み写真
 昼間の街並みは最高です。普段通りの街並みを見せることができます。青い空と白いふくらんだ雲がある晴れた日に出かけることがほとんどでしょう。太陽が沈むと、街はまったく違った装いを見せてくれます。建物からの光が空に新しい色を描き、建物の前の被写体に焦点を合わせると、美しいボケ味が出てきます。
 撮影後の編集も昼以上に様々なアイデアを出すことができます。


しばしば思ったよりも効果的な演出を作り出すこともあります。

夜の街頭撮影
 ストリートフォトは、夜になるとそれぞれの町のカラーが出やすくなります。活気ある街、アートな町、猥雑な街、ちょっとホラーな空気感さえも生み出すことができます。写真の粗ささえ味方につけて、とにかくアクティブにいろんな角度から撮ってみましょう。


 夜間、ストリートフォトを撮るときには、知っておくべきことがいくつかあります。

・シャッタースピードは動きを止めるのに十分な速さが必要。

・ときに三脚は機動性をそぎ、チャンスを失うこともある。

F2.8以下の開放で撮影しましょう。

明るい光源を探しましょう。



夜の風景写真
 自然を描写するような風景写真は正直、昼間がベストです。夜間での撮影は乏しい光源のなかから限られた構図でしか撮れません。もし夜間でコントラストやディテールが欲しい場合は、少しでも明るい光源が必要です。私は夜景を撮るときは月を使います。一点物の光源ということになるので、構図は限られてきますが、ムーンライトマジックとも言うべき、不思議な雰囲気を出す可能性を秘めています。


ネオンサイン
 ネオンサインの数は年々減少しています。都会の夜景でこれを見つけたら、超クールでノスタルジックな写真を撮れるチャンスです。最近よくある整い過ぎたLEDなどのデジタル光源とは波長が違う光なので、効果的な発色を活かしたレトロな写真表現ができます。
 まだネオンサインが残っている地域を見つけたら、ぜひ一度足を運んで、このユニークな光を撮影してみてください。



夜の写真を撮るための条件

 カメラによって夜間の許容ISO感度
は異なり、あなたのカメラで何ができるかを学ぶことは、夜の写真をマスターするための第一歩です。たとえばソニーa7S IIIは、夜景撮影に適した強力な基本性能を備えています。
 まず光をたくさん取り込めるフルフレームサイズのセンサーであり、なおかつISO感度が優れています。
 有効約1210万画素の裏面照射型CMOSイメージセンサー、拡張最高ISO感度はなんと409600と破格のスペックです。これならほんのわずかな光でも味方につけて、味わいのある描写が可能になります。



なぜフルフレームセンサーが夜の撮影に向いているのか?

 フルフレームセンサーが夜の写真に向いている理由は、APS-Cセンサーの2倍の大きさのセンサーを搭載しているからです。2倍の大きさは2倍の光を意味します。夜の写真は光がすべてです。

 しかしご心配なく。APS-Cセンサーのカメラでも、ISO性能のすぐれたカメラはいろいろあります。また明るいレンズと組むことによって、夜景描写の広がりは大きく変わります。レンズやカメラの限界を知ることは重要なステップです。
 目安として、三脚を使用してISO3200を超えないことが、クリアでシャープな夜の写真を撮るためのボーダーラインです。それだけでも頭に入れて夜景撮影にチャレンジしてみてください。



夜写真のためのカメラの設定

 夜間のピント合わせは、十分な光がないと難しい場合があります。そのためには、カメラをマニュアルフォーカスに設定する
ことをお勧めします。夜間の露出の仕方を理解するためには、露出の知識が役立ちます。あなたがスローシャッター、低ISO、平均的な被写界深度を望むならば、状況をコントロールできるようになるでしょう。


絞りの役割
 絞りを低くすることで、センサーに多くの光を取り込むことができ、三脚の使用を制限するためにシャッタースピードを高く保つことができます。また、絞りを低くすることで、センサーのホコリが写真に写り込むのを防ぐことができます。F1.8まで絞り込んでも、被写界深度は非常に浅くなります。ピントが合っていない写真が多いので、シャッタースピードを遅くすることで、絞りを大きくすることができます。


シャッタースピードの役割
 シャッターを開けたままにしている限り、センサ ーは画像を露光します。シャッタースピードを上げるということは、ISOを上げるか、絞りを小さくすることを意味します。
 光の軌跡や星の写真を撮るとき、低いシャッタースピードで撮影したい場合は、ISOを低く、絞りを高くしておけば、より多くの光を取り込むことができます。

ISOの役割
 簡潔に言うとISOが低いほど、写真はきれいになります。ISO100では、写真のノイズはほとんどありません。ISO 128000では、雪が降っているように見えるほどのノイズがあります。ただしカメラによっては、様々な理由でISO感度が高い方が良いものもあります。

 いくつかのテストショットを撮影して、カメラの限界を知りましょう。最大ISOで撮影してみて、ISO1600かISO3200になるまで絞り込んでみてください。Lightroomや同様のエディタで写真を見ると、結果を比較して自分の快適なISO最大値を理解することができます。
 ISOは、シャッタースピードを上げたり、絞りを上げたりする能力を調節するので、露出の重要な部分です。



夜景写真の編集

 写真は編集で生き返ることができます。RAW設定で夜の撮影をすると、青、紫、赤、黄色などの色調を使って作品を作りこむことができます。一見、黒く潰れたような残念な描写も、RAWデータの場合は光を取り込んで、新たな息吹を与えることができます。色調や全体のトーンやちょっとしたエフェクト次第で、夜の情景は様々な顔を見せることがあります。加工のやりすぎはともすると、本来の狙いから外れた人工的なものになってしまいますが、様々な変化を見ることで、次の撮影の参考とすることができます。いろいろ試して、写真の可能性を拡げてみてください。

 日が暮れると、ほとんどの人が撮影をあきらめる時代が続きました。しかしミラーレスの新時代は夜にも使えるツールとしてカメラを進化させていきます。今後は「闇」を活かした新たな夜景写真が次々と登場してくることでしょう。






0 件のコメント:

コメントを投稿