2021年2月5日金曜日

ミラーレスカメラの基礎

ミラーレスカメラとは?



 
 カメラが好きな人にとっては自明のことでも、これまで関心のなかった方にとってミラーレスカメラ? デジカメとどう違うの? といった素朴な疑問が出てきても無理はありません。ですから最初にはっきりと申し上げておきます。ミラーレスカメラとは、デジタルカメラの一種です。デジタルカメラには、デジタル一眼レフカメラやコンパクトカメラ、さらにはスマートフォン用のカメラ、アクションカメラ、車載カメラ、ホームセキュリティ・カメラなど、さまざまな種類が販売されています。

 これらのカメラは、違いというよりは共通点のほうが多いです。カメラの基本的な仕組みは、写真が発明されてからほとんど変わっていません。

 カメラという物体の核心は、辞書的に言うと、「光の情報を記録して写真と呼ばれる出力を作る装置」ということです。光を記録する媒体は、当初は化学的に感光性のあるフィルムでしたが、現在のほとんどのカメラではデジタルセンサーに取って代わられています。
 どのタイプのデジタルカメラも、シーンから光を取り込み、レンズでピントを合わせ、センサーに記録しています。
 それぞれののデジタルカメラの違いは、主にカメラを構成するいくつかのコンポーネント周りにあります。主な違いは以下の通りです。

・カメラ内部のセンサーのサイズ

・レンズ内の絞りの大きさ

・手動制御レベル

・レンズに互換性があるかどうか


 ミラーレスカメラは、おおむねデジタル一眼レフカメラに似ています。ほとんどのミラーレスカメラは、比較的大きなセンサーを持ち、高品質の画像を生成し、フルマニュアルコントロールを持ち、交換可能なレンズ・マウントを持っています。

 違いはその名が示すように、ミラーレスカメラにはミラーが内蔵されていないことです。デジタル一眼レフカメラでは、ミラーはレンズを通過した光を光学ファインダーに導くために使用されます。つまり、撮影者はファインダーを覗いているときに、実際のシーンを見ることになります。

 ミラーレスカメラにはこのミラーがないため、光学ファインダーがありません。撮影者が構図を決める際に使用する画像は、カメラの背面にあるスクリーンに表示されますが、ミラーレスカメラの場合は電子ビューファインダーに表示されます。

 どちらの場合も、カメラのセンサーに当たった光が、カメラの電子機器で処理され、デジタル画像として画面に出力されます。

 これはスマホやコンパクトカメラでも同じで、ミラーがないものがほとんどです。しかし、ミラーレスカメラはデジタル一眼レフカメラの直接のライバルとして生まれたものであり、ミラーがないことが大きな違いであることから、ミラーレスカメラという名前が定着しました。

 ミラーレスカメラには、デジタル一眼レフカメラよりも多くの利点があります。ミラーレスカメラは、同じような画質を実現しながらも、軽量で小型化されやすいです。シャッターボタンを押したときに、画面に表示される画像が正確なものであるため、使い勝手は容易です。

 さらに、交換可能なレンズ、RAW撮影のサポート、フルマニュアルコントロールなど、デジタル一眼レフカメラが持っているのと同じ利点があります。

 主な欠点は、ほとんどのミラーレスカメラは、同等のデジタル一眼レフカメラよりも少し高価になる傾向があります。また、処理のために、現実と画面上で見た画像との間に非常にわずかな遅延がある。これはほとんどのユーザーにとっては目立たないし、重要な要素ではないでしょう。ただハイエンドのスポーツ写真家などは、この理由からデジタル一眼レフカメラにこだわる向きがあります。
 また、デジタル一眼レフカメラのレンズは、使用可能な期間が長く、バッテリーの寿命もミラーレスカメラよりも長くなっています。


ミラーレスカメラの操作方法

 ミラーレスカメラを箱から出してみると、おそらく多くのボタンやコントロールがあり、よくわからないラベルやマークが並んでいると思われるでしょう。

 「いろいろあるけどよくわからん」と言ってオートモードのままにしておきたくなるかもしれません。これはごく自然な反応です。しかし、カメラを最大限に活用するためには、少なくともいくつかのボタンが何をするのかを学んでおいて損はありません。



シャッター

 シャッターボタンは、写真を撮るときに押すボタンです。これは通常、右手の人差し指で操作するカメラの右上にあります。私の知る限りでは、左利き用にシャッターボタンが配置された左利き用のカメラはありません。


モードダイヤル
モードダイアル:出典 Nikon Home Page


 デジタル一眼レフカメラや一部の先進的なコンパクトカメラと同様に、ミラーレスカメラにも操作できるさまざまなモードがあります。これらのモードは、一般的にカメラをどの程度までマニュアルで制御するかを定義するために使用されます。

それらは、すべてカメラ任せのフルオート・モードから、完全マニュアルモードまでいろいろあります。

 カメラのモードを変更するには、モードダイヤルを回転させて希望のモードにするだけです。これにより、カメラのモードが瞬時に変更され、操作モードを変更すると、通常、新しいモードが画面上に表示されます。

 利用できる正確なモードは、カメラのモデルによって異なりますが、以下のようなものです。


オートモード
 これは、ほとんどのカメラで設定されているデフォルトのモードです。自動モードでは、シャッタースピード、絞り、ISOの設定など、カメラがすべてを処理してくれます。また、フォーカスポイントを選択し、フラッシュがあれば発光させることもあります。オートは、被写体にカメラを向けてシャッターボタンを押すだけで撮影できるように設計されています。

シーンモード
 デフォルトのオートモードと同様に、今どきのほとんどのカメラには通常「シーン」モードと呼ばれるテーマ別のオートモードがいくつか搭載されています。カメラによって様々ですが、例えば、風景オートモード、ポートレート・モード、夜景モード、マクロモードなどが代表的なものです。これらのモードは、主に初心者のためのもので、シーン別に最適な設定をプリセットで用意されているわけです。

Pモード
 これはプログラムオートの略です。自動モードの少し高度なバージョンといえます。露出補正による画像の明るさの増減、ISOの調整、ホワイトバランスの変更などが可能になります。より多くのマニュアルコントロールへの足がかりになります。

A (または AV)モード
 これは絞り優先モードです。絞りを主体に設定することができ、カメラはシーンの光を評価し、適切なシャッターを設定します。また、ISOの調整や露出補正で明るさを調整することもできます。絞りでは被写界深度をコントロールすることができ、このモードはポートレート撮影でも風景撮影でも威力を発揮します。

S、T
、または Tvモード
 シャッター優先モードです。シャッターを設定すると、カメラがシーンの光を評価して適切な絞りを設定します。また、ISOを調整することもできます。このモードは、シャッターを制御する以外は、基本的には絞り優先と同じです。露出補正を使って明るさを調整することもできます。シャッター優先は、動きの速い被写体を止まって見せるなど、ショットの動きをコントロールしたい場合に最適です。

Mモード
 フルマニュアルモードです。このモードでは、絞り、シャッタースピード、ISOをコントロールします。カメラは露出計を使って、画像の露出が不足しているか、あるいは過剰になっているかを教えてくれます。このモードでは、露出を完全にコントロールできるので、露出補正は使えません。また、このモードではISOを調整することもできます。

 初心者は、カメラの感触をつかむためにオートで撮影を始めたいかもしれませんが、最終的には絞り優先、シャッター優先、マニュアルモードでの撮影を目指すことをお勧めします。これらのモードは、画像や構図の最終的な外観を最も制御することができます。


 マニュアルモードはビギナーには敷居が高く感じられるでしょう。でも無理に移行する必要はありません。マニュアルモードは長時間露光写真や天体写真のような特定の写真撮影には便利ですが、趣味でさっと撮りたい人には向いていません。ビギナーを卒業した人でも大抵は絞り優先かシャッター優先モードで撮影するものです。



コントロールホイール
 カメラによっては、1つまたは複数のコントロールホイールが用意されています。これらのコントロールホイールは、カメラのさまざまな場所に設置されています。コントロールホイールの一般的な場所はシャッターボタンの近くで、人差し指で簡単に調整できます。

 コントロールホイールはまた、しばしばカメラの背面またはカメラの上部に見つけることができます。例えば、私が使っているパナソニックのLUMIX G8では、シャッターボタンの周りにコントロールホイールがあり、シャッターボタンの後ろのカメラ上部にもコントロールホイールがあります。

 通常、コントロールホイールは特定の設定を調整するために使用されます。それが何を変えるかは、カメラのモードによって異なります。
 例えば、絞り優先モードでは、通常、コントロールホイールを使用して絞りを上げたり下げたりすることができます。シャッター優先モードでは、通常、コントロールホイールはシャッタースピードを増減させます。

 カメラに複数のコントロールホイールがある場合、マニュアルモードでは、1つのホイールで絞りを調整し、もう1つのホイールでシャッタースピードを調整します。

 カメラによっては、各コントロールホイールの内容を別の設定に割り当て変更できる場合があります。例えば、露出補正やISOの設定、ホワイトバランスの設定などを管理するように設定できるものも多いです。
 デフォルトの設定でも問題はありませんが、自分のニーズに合わせて自由に調整してみてください。


ISOボタン
 ほぼすべてのミラーレスカメラには、カメラの背面または上部に専用のISOボタンがあるはずです。このボタンを押すと、ISO設定に直接アクセスできます。多くの場合、ISOボタンを押すと、コントロールホイールがISOを調整することになります。

 ISOを上げた場合の副作用として、画像にノイズが多くなることがあります。最近のミラーレスカメラのほとんどは、ISO100~800の範囲(日常的に使用する場合は100~400の範囲をお勧めします)で十分な性能を発揮しますが、ISO1600以上になるとノイズが入るのが普通です。
 ノイズは、画像に粒状感や色の滲みとして現れます。カメラの画面ではわかりにくいかもしれませんが、コンピュータ画面で100%にして見ると一目瞭然です。
 ノイズの問題があるため、ISOは画像の明るさを調整するための最後のコントロールとなります。理想的には、絞りとシャッタースピードを調整して、ISOを低く設定することで、正しい露出を得ることができます。

 もちろん、これが常に可能というわけではありません。低光量で撮影しているときは、ISOを上げる必要があるかもしれません。しかし、これを100~400の通常の範囲に戻すことを忘れないようにしましょう。ISOを高くしすぎると、撮影した画像がノイズの多いものになってしまう危険性があります。


露出補正ボタン (+/-)
 露出補正は、スマートフォンやコンパクトカメラなど、ほとんどのカメラに共通する機能です。基本的には、設定を弄ることなく画像を明るくしたり暗くしたりすることができるクイックオーバーライドボタンです。

 ほとんどの状況では、明るすぎず、暗すぎず、正しく露出された画像が求められます。カメラは、この適正露出を計算するために様々な方法を使っていますが、常に正しいとは限りません。そのため、露出補正ボタンを使って、画像の明るさを上げたり下げたりするようにカメラに指示することができます。通常、これには+/-ボタンが付いています。

 ボタンを押すと、露出補正の値を上げたり下げたりすることができます。これは、画面上で行うこともできますし、露出補正が選択されているときにコントロールホイールを使って行うこともできます。
 カメラによっては、ボタンではなく、専用の露出補正ホイールが付いているものもあります。これも同じ効果が得られます。

 ミラーレスカメラでは、露出設定の変更により画像が明るくなったり暗くなったりするので、その変化は画面上ですぐにわかるはずです。

 露出補正の設定を変更すると、カメラが絞りやシャッタースピード、ISOを調整して、実際に画像を明るくしたり暗くしたりしているのがわかります。画面上にこれらの設定の数字が表示されます。

 ISOと同様に、使い終わったら露出補正をゼロに戻すことを忘れないようにしましょう。この設定戻し忘れは、よくある写真撮影の失敗例です。



フォーカスモード
 写真を撮るとき、被写体をきれいでシャープにしたいと思います。このシャープさは、ピントを調整することによって達成されます。ピントの合った画像はシャープに、ピントの合っていない画像はぼやけてしまいます。
 現在市場に出回っているほとんどのミラーレスカメラには、さまざまなフォーカスモードが搭載されており、フォーカスを調整することができます。カメラのフォーカスモードボタンは、ダイヤルやトグルでもあり、モードを素早く切り替えることができます。

 カメラのボタンを探している場合は、通常、オートフォーカスの略である「AF」のようなラベルが貼られています。ボタンからアクセスできない場合は、カメラの設定メニューで「フォーカスモード」のようなものが表示されます。
 カメラに搭載されている正確なモードはメーカーによって異なりますが、通常は少なくとも3つのモードがあり、素早くアクセスすることができます。

第一のモードは、標準のフォーカスモードで、通常オートフォーカス・シングルと呼ばれています。これは、動きのない被写体に使用するフォーカスモードです。このモードでは、カメラは被写体にピントを合わせ、その後フォーカスをロックします。


次のモードは、オートフォーカス連写と呼ばれるものになります。このモードでは、一度被写体があると、動いていてもカメラが自動でピントを合わせてくれます。つまり、被写体が動いていても、何枚も撮っているうちにシャープな写真が撮れるということです。連続フォーカスは、野生動物の写真、スポーツイベントの写真、人が動いている写真など、動いている被写体に適しています。

 3つ目のモードはマニュアルモードです。これはフォーカスを完全に手動で制御していることを意味します。通常、レンズ自体にフォーカスリングがあり、それをひねることでフォーカスを変更することができます。

 最近のカメラには、上記のモードからの追加バージョンがあることを付け加えておきます。例えば、多くのカメラは、フォーカスのために何らかの顔や目の検出を提供していますが、これはカメラが自動的に被写体の顔や目を検出してフォーカスを追跡することを意味します。これは、動いている人の写真を撮るのに特に便利です。


ズーム/焦点距離リング
 ミラーレスカメラは、デジタル一眼レフカメラのように、撮影するものによってレンズを変えることができます。レンズには2種類の種類があります。ズームがない「プライム」レンズと、シーンに合わせて拡大・縮小できる「ズーム」レンズです。

 写真用語では、この「ズーム」のことを「焦点距離」といいます。これはmm単位の数字です。数字が小さければ小さいほど、撮影範囲が広くなり、より多くのシーンを見ることができます。数字が大きいほど、撮影範囲が狭くなり、被写体が大きくなります。

ほとんどのレンズには専用の焦点距離/ズームリングが付いていて、それを回すことでズーム量を増減させることができます。いくつかのレンズは、電子的にレンズをズームインとアウトするために使用することができます。


測光モード
 多くの場合カメラの背面にあるもう一つのボタンで、測光モードを素早く変更することができます。前述のように、実際に写真を撮る前に、カメラはシーンの光量を測定して正しい設定を計算します。これは正しい露出を得て、画像が明るすぎたり暗すぎたりしないようにするためです。

カメラが光を測定する方法は、測光と呼ばれるプロセスを介して行われます。
分割測光        中央重点測光       スポット測光



 デフォルトでは、ほとんどのカメラはフレーム内のシーン全体を評価してバランスのとれた露出を作成するように設定されています。しかし、暗い部分と明るい部分のコントラストが非常に強いシーンなど、これでは最良の結果が得られない場合もあります。

 このような難しい状況でも良い結果を得るために、カメラを異なる測光モードに設定することで対処します。これにより、カメラはあなたが露出を正しく設定したいシーンの部分に焦点を合わせることができるのです。

 カメラによって異なる測光モードがあります。ほとんどのカメラは、画像の中心部の光情報のみを使用するスポット測光モードを持っています。他のカメラでは、測光ポイントをフォーカルポイントに設定できる場合がありますが、これも多くの場合、有効なオプションです。
 カメラによって測光モードボタンはありませんが、この機能はメニューシステムからアクセスする場合があります。


シューティング・モード
 カメラには撮影したい状況に応じて、単発モード、連写モード、タイマーモードなどが用意されています。
 単発モードでは、シャッターボタンを押すと1枚の写真が撮影されます。別の写真を撮るには、シャッターボタンから指を離して、もう一度シャッターボタンを押さなければなりません。
 連写モードは、シャッターボタンを押している間、カメラが撮影を続けます。激しい動きのアクションショットを撮影するのに適しています。すべての写真をシャープでピントの合ったものにするためには、連続撮影モードとの組み合わせで使用する必要があることに注意してください。
 またこれはご存じかもしれませんが、ほとんどのカメラにはタイマーモードが搭載されています。シャッターボタンを押すと、一定時間(多くの場合は10秒か2秒)後にカメラが画像を撮影します。これは、自撮りやグループショットの撮影に便利です。



まとめ

 以上でミラーレスカメラの概要説明は終わりです。まずは実際にカメラを手に取ってみて、どのボタンがどういう働きをするのか、ひとつひとつ試してみてください。多くの設定は複合的に機能しますので、最初わからなくても、操作と撮影を繰り返すことで、自然に理解できてきます。
 フィルムカメラの時代は一枚満足する写真を撮るために、フィルムの現像の繰り返しという、手間と時間のかかる作業が必要でした。デジタル・カメラのいいところは結果がすぐに目に見えることです。数をこなし体験を積めば、必ずいい写真が撮れるようになります。ぜひお持ちのカメラを自在に操れるようトレーニングを繰り返してくださいね。


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