2021年3月4日木曜日

カメラはブランドごとに

 カメラメーカーの強み:ソニー編


 2010年、家電メーカーのソニーがカメラ界の名門ミノルタからaの称号とともに受け継いだデジタルカメラの伝統はわずか十年のうちに驚くべき進歩を遂げ、いまやミラーレスカメラのトップブランドとして、世界中に知れ渡っています。

 ソニーのミラーレス開発事業は早い時期にフルサイズを中心としたものにシフトしていました。この選択は実に的を射たもので、まさに先見の明が社運さえ変えて行きました。

 ミラーレスが世に知られはじめたころは、一眼レフカメラの簡易版のような扱いで、よもやカメラ業界の主流にのし上がるとはだれも予想していなかったはずです。ソニーは2013年10月に、Eマウントという新しい企画を立ち上げ、初のフルサイズ機としてα7及びα7Rが発表されました。ミラーレス初のフルサイズ機の誕生です。

 ここからソニーの怒涛のフルサイズ開発ラッシュがはじまり、2018年発売のα7IIIはその完成度の高さからプロからアマまで大好評をもって迎えられ、「フルサイズ・ミラーレスはソニー」と言われるほどの不動の地位を獲得したのです。

 ではなぜそれほどまでにソニーのミラーレスは優れていると言われているのでしょうか?




センサー

 ソニーのセンサーは並外れている。私の経験では、同じイベントや撮影で複数のカメラメーカーのカメラを使った場合、必ずと言っていいほど、ソニーのボディが最高の画質を実現しています。センサーの大きさが35mmフィルムの枠と同じになるフルフレームと、APS-Cが主流のクロップセンサーの2種類から選ぶ必要があります。フルフレームセンサーは、どのメーカーもそうですが、色や解像度が高く、ダイナミックレンジが広いため、幅広い照明条件の中でディテールを捉えることができ、より高品質な画像を生成します。APS-Cセンサーは、よりコンパクトで安価ですが、レンズを「クロップ」し、最終的な画像は、レンズがそうでなければ生成することができるものに対して、本質的に相対的にズームインされることを意味します。



ピント

 顔認識から人の瞳、そして次は動物瞳フォーカスと、ソニーは常にこの分野で最先端を走っています。他社が背中まで追いついてきた瞬間、突き放すように驚くべき革新的なピント合わせを見せてくれるのです。
 その最も最近の技術革新の中で、4Dフォーカシングと呼ばれるものがあります。特定のカメラモデルの能力を向上させ、スポーツ選手や乗り物などの動く物体に追従してフォーカスを維持することができるものです。この機能は、デジタル一眼レフカメラA99、フルフレームミラーレスカメラA9、A7 III、APS-CミラーレスカメラA6500に搭載されています。そもそもポートレートで瞳にフォーカスするテクニックなどはプロの世界だけの話だったのを、初心者にさえ与えてしまうこの技術は、もはやカメラ撮影の常識と化してしまったようです。



ボディ

 広がるニーズをベースに、独自のニッチに向けて作られたプロ仕様のボディ。ソニーは、複数のカメラボディを購入してもらうために技術やスペックを抑えず、個人のニーズを絞り込みながら、マスマーケットへのアプローチを目指してαミラーレスカメラのラインナップを構築してきました。a7Rシリーズの高メガピクセル数のカメラを見てみましょう。
 基本的には、野生動物や野鳥を撮影するカメラボディにポートレートとランドスケープを掛け合わせたカメラを持っていることになります。それは両方の機能を同時に持つということ。低照度下での撮影やビデオ撮影も可能です。a7Sシリーズのカメラボディは、星空の下での4K映画のような夢を叶えてくれます。最高のオートフォーカス、4Kビデオ、最高20フレーム/秒の動画と至れり尽くせりです。



レンズ

 充実したレンズラインナップももはや強み、魅力の一つとなりつつあります
。ソニーはレンズ開発にも怠りなく、マーケティングに従って、真に使えるレンズに絞って開発を続けてきています。今や市場での存在感は必要十分と言え、プロ、プロシューマー、ホビーリストが活用できるようなレンズラインナップを揃えるに至りました。


SONY a9


 これらの強みを踏まえて、さらなる飛躍を果たし、絶賛を浴びたのがa9です。ソニーの数あるフルサイズラインアップの中でも上位機種に属するこのカメラからも、ソニーの行くべき道が明確に刻み込まれています。

 最初に2017年4月に導入されたソニーα9は、フルフレーム(35.6×23.8mm)サイズのBSI-CMOSセンサー、内蔵画像を搭載した24.0MPプロ志向の高いミラーレスカメラです。
  ソニーa9は、過酷なプロの撮影環境を想定した防塵防滴ボディを採用しております。あなたが屋外での写真撮影が好きで、極端な条件であなたのカメラを使用できるようにしたい場合は、ソニーA9は全幅の信頼を置けるカメラです。

 ソニーa9は24.0MPフルフレーム(35.6 x 23.8ミリメートル)サイズのBSI-CMOSセンサーと最新のエンジン、BIONZ Xプロセッサを持っています。それは3:2と16:9のアスペクト比で6000×4000ピクセルの最大解像度で撮影することができます。a9は100のネイティブISO範囲を持っています。さらに50-204800まで拡張することができます。

 ソニーa9はソニーEレンズマウントを搭載しており、現在このマウントで利用可能なネイティブレンズが137本あります。その非常に短いフランジ焦点距離のおかげで、他のマウントからレンズを適応させる選択肢はほぼ無限大です。ソニーはまた、アダプター(ソニーLA-EA4)を販売しており、AマウントレンズをEマウントカメラのAFを含む機能で使用することができます。
 また、a9にはセンサーベースの5軸手ブレ補正システムが搭載されており、これらのレンズはすべてa9で使用すると手ブレ補正されます。ソニーは、a9の手ぶれ補正は5.0段まで有効だと謳っています。センサーベースの手ぶれ補正は、ILCに搭載されている最も便利な機能の1つです。また、a9用のウェザーシール付きレンズも59本用意されており、防塵防滴処理されたボディと組み合わせ使用できます。
 またソニーa9は、1,440kドットの解像度を持つティルティング3液晶画面を搭載しています。画面サイズ、画面解像度ともにこのクラスの基準に達しています。
 液晶はタッチパネル式なので、指先で設定を変更したり、フォーカスポイントを設定したりすることができます。
 a9は電子ビューファインダーを内蔵しているので、直射日光の下など液晶モニターが見えにくい状況でも撮影がしやすくなっています。ファインダーの解像度は3,686kdots、カバー率は100%。100%のカバー率は、撮影中にファインダーで見たものと、後から見たものが正確に一致することを保証し、正確なフレーミングをサポートし、後から画像をトリミングする必要性を最小限に抑えることができます。ファインダー倍率は0.78倍(35mm換算)。

 ソニーa9では、3840×2160の最高解像度で30p,25p,24pfpsで動画を記録し、MPEG-4,AVCHD,H.264形式で保存することができます。つまり、ソニーa9は4K(Ultra-HD)の動画を提供しています。一部の稀な6Kや8Kのビデオ録画カメラを除いて、4Kはコンシューマービデオの世界では一般的な標準となっています。

ハイスピードビデオ

 a9は、スローモーション動画の作成に役立つ120fpsで動画を撮影するハイスピードモードを搭載しています。120fpsのフレームレートで動画を撮影し、24fpsで再生すると、通常よりも5倍遅く長くなります。
 a9にはステレオマイクとモノラルスピーカーが内蔵されています。また、外部マイク用のポートや外部ヘッドホンを接続するためのヘッドホンポートも備えており、ソニーa9は高品質なビデオ撮影に非常に適したカメラとなっています。

最大シャッタースピード

 ソニーa9は最高速度20.0fpsの連続撮影が可能で、最大シャッター速度は1/8000秒。a9には電子シャッターも搭載されており、最高速度1/32000秒の無音撮影が可能です。注意点としては、電子シャッターの場合、ローリングシャッターやジェロ効果が発生したり、人工光の下ではバンディングの問題が発生することがありますので、注意が必要です。

フラッシュ

 残念ながらa9にはフラッシュは内蔵されていませんが、外部フラッシュを取り付けるためのフラッシュシューが付いています。


フォーカシング
 
 ソニーa9には、コントラスト検出と位相差検出の両方のAFシステムが搭載されており、ほとんどの状況でスピードと精度の高いピント合わせが可能です。AFシステムは693点の中から選ぶことができます。
 また、ソニーa9は、フレーム内の顔をインテリジェントに検出し、自動的にフォーカスをロックする「顔検出AF」を搭載しています。顔検出AFに加えて、a9にはアイトラッキングAFと呼ばれるより高度な機能が搭載されており、フレーム内の人物の選択した目を正確に検出してフォーカスをロックし、被写体の動きに合わせて追尾します。ソニーa9のアイトラッキングAFはポートレート撮影に最適な機能で、高速レンズを使用して被写界深度が非常に狭い場合に特に有効です。

 以上のように、a9はソニーのデジタルカメラに対する、理想像を詰め込んだもので、当然のように、プロからアマチュアまで非常に高い評価を得ています。



まとめ

 ソニーは昔から、様々なガジェットを世に送り出し、そのたびにわくわくする経験をユーザーに与え続けてきました。古くはウォークマン、,ビデオのベータカム、プレイステーション、ラップトップのVAIOなど、新しいものを出すたびに、みんなを夢の世界へと運んでくれたのです。そのエンターテイメント性はカメラでも存分に発揮され、カメラを持つ喜びを満喫させてくれます。そのような、心ときめく新機能を発表し続ける限り、ソニーのミラーレスは不動のトップランナーの地位を守り続けていくでしょう。

 

2021年3月3日水曜日

ブランド別カメラの特徴

カメラメーカーの強み:ニコン編



 ニコンのカメラのカラー再現能力はとても高く忠実だと定評があります。まさに見たままを余さず写しとる技術に長けているというのです。その正確さはとりもなおさず、プロおよび上級者にとっては必須の要求であります。余計な装飾のない分、入門者にはそのすごさがわかりづらいところもあります。しかしこの「人が見た景色をそのまま映す」という再現性は欧米でもとても好まれる傾向があり、アメリカ人に訊いてもニコンの一眼レフが最高だと答える人は多いです。

 次にニコンの良さはボディやレンズの作りの堅実性です。ぱっと見には他社製との違いはなさそうですが、手にしてファインダーを覗く、ダイヤル設定をする、シャッターを押すという一連の動作を繰り返していると、その質実の良さがじんわり伝わってきます。実際のつくりも頑丈そのもので、とくに上位機種はずっしりとしています。しかしいくら重くても戦場に持っていくカメラにニコンが選ばれる理由がわかる気がします。壊れる気がしないのです。


 ニコンが長年多くの人に支持されてきた理由は他にもたくさんあります。順番に見ていきましょう。
 

手頃な価格のレンズ

 ミラーレスカメラの世界に移行したとき、キヤノンとニコンは、レンズの初期ラインナップを開発する際に、まったく異なるアプローチをとっていました。

 キヤノンは、最初から高品質のガラスを使ったレンズを発売し、超シャープで信じられないほど高いレスポンスのレンズを作り、それ相応の価格で売り出しました。
 ニコンの誇るニッコールレンズも高価だという印象がありますが、実はミラーレス市場においては、キャノンより買いやすい価格設定だったりします。キヤノンのプライムは主にf / 1.4とf / 1.2ですが、ニコンから登場した
f / 1.8レンズは価格設定を超える上玉だと言われ、現在極めて好意的なレビューを集めています。



ダイナミックレンジ

 
ダイナミックレンジと低照度性能もニコンの独壇場です。一般の人は、その差は無視できるほどのものだというかもしれませんが、こういう細部を妥協しないところがニコンの職人気質な社風を表しています。ニコンのカメラから生成されるRAWファイルは、極めて汎用性が高く、気難しい写真編集者にも扱いやすい素材となります。
 とくに暗い光で撮影が必要な人や、ダイナミックレンジの量を最大化したい場合は、ニコン一択という人もいるほど、光の繊細な扱いにかけては図抜けたメーカーであります。

 信頼度の高さで知られるDXOMARKでも、様々なセンサーの比較を確認することができます。センサーランキングを見ると、ニコンが上位を占め、数値的にもその優位性は証明されています。



将来を見据えたシステム

 ニコンがAPS-Cセンサーのミラーレス機ニコンZ50を出したとき、DXフォーマットだったことで、ニコンとキャノンの違いが浮き彫りになりました。キャノンのAPS-CはMマウントという独立した企画でフルサイズとの互換性はありません。その点ニコンは今後、フルサイズとAPS-C双方でレンズが交換、共有できる仕様になったのです。これは将来を見据えたニコンの的確な選択で、今はDXレンズの少なさを指摘されていますが、今後この共有システムのおかげでニコンは有利な展開をみせる可能性が大であります。



4Kビデオ

ニコンとキヤノンのフルフレームミラーレスカメラの4K動画の違いは、ニコンがクロップなしで差撮影できるのに対し、キャノンは大きくクロップされる仕様です。動画で後れを取っていると言われてきたニコンにとって、現時点では大きなアドバンテージとなっていです。



永遠のライバル:ニコン対キャノン


ビギナーはどちらを選ぶべきか?

 初めてのカメラを買うときには、ミラーレスを選ぶのはいまや素晴らしい選択です。一般的に、同等のデジタル一眼レフカメラよりも小さくて軽いので、スマートフォンからのジャンプアップはそれほど大きなステップには感じません。

 キヤノンもニコンも、写真撮影に慣れていない人には素晴らしい選択肢がありますが、デジタル一眼レフと違って、ミラーレスは少し値段設定が高くなっています。

 2021年現在、ニコンとキヤノンのエントリーレベルのミラーレスカメラと言えば、キヤノンEOS M50とニコンZ50です。

 2019年後半にデビューしたニコンZ50は、その驚くべき高性能でカメラ通から初心者まで幅広く評価されています。先述のようにフルフレームの兄弟機と同じZマウントを共有しているのが特徴です。またZ50のキットレンズ16-50mm F3.5-5.6が非常に高精細できれいな発色で、多くの人から称賛の声を浴びています。
 Z50のスクリーンとファインダーは、前者は下向きと前向きに傾けることで、自撮りやブログを撮影するのに便利ですが三脚使用時には使えないという弱点もあります。

 画質は20.9MPセンサーを使用し、非の付けどころのない良さがウリです。また4Kビデオでも有利なパフォーマンスとなる209ポイントのAFシステムもあります。コンパクト持ち運びにも優れ、本質的にはZ50は上位機種のZ6/Z7を小型化したものを使っているようなものだとも言われています。

 キヤノンのEOS M50は3年前のものですが、センサーは24.1MPの解像度で、4Kビデオも撮れますが、残念ながらそれはトリミングされてしまいます。ここはブロガーらには不都合と受け止められるでしょう。一方ビューファインダーと背面のバリアングルタッチスクリーンは好評で、初めてカメラを扱う人でも直感的に操作を覚えていける工夫がたくさん施されています。

 また極めて軽量な本体の優れた造形は、合理化されたコントロールと直感的なユーザーインターフェイス、キヤノンにすぐれ、EOS M50を使用する喜びを生みだします。





まとめ

 永遠のライバルであるこの二社のカメラは、時に対照的に、またある時はシンクロするように、同時期に新しい機能を追加させてきました。今後は主戦場をミラーレスに移しての展開が予想されますが、同時に今後の一眼レフの扱いにも注目したいところです。個人的には必ず一眼レフが再評価される時期が来ると思っています。そのときどちらのカメラメーカーがどんな一眼レフを出しているのか、とても興味があります。
 時代は移り変わり、カメラの形や内容も変化していきますが、まだまだ両社の終わりなき戦いは続きます。両社の切磋琢磨によって進化し続けるカメラの世界から決して目を離すことはできません。

2021年3月2日火曜日

カメラはメーカーで選ぶ?

カメラメーカーの強み:キャノン編



 カメラは使っていると愛着が湧き、そのメーカーの良さに惚れこんで、次も同じ会社のカメラを買おうと思ったりします。逆に期待していたカメラでないと、どうしても次は別のメーカーで、などと思ってしまうのがユーザーの心理です。

 特に一眼レフ・ミラーレスのようにフォーマット別に使えるレンズが違う独立したシステムの場合は、ひとたび購入すると、以降続けてカメラ本体の買い替えや交換レンズが同メーカーで引き継がれていきます。売る方にとってはカメラ初心者に最初の一台として買ってもらうために、いかに魅力的なエントリーモデルをアピールできるかが勝負の分かれ道な分けです。

 各カメラメーカーもそこはよく心得ていて、いかに新規顧客を取り込むか、得意分野の性能面や使い勝手を前面に押し出して良さをアピールしています。

 ではどのメーカーがどいういった分野でそれぞれの商品を宣伝しているのでしょうか。メーカー別に、それぞれの強み、良い点を見ていきたいと思います。



今回は第一弾:キャノン




 キャノンはカメラ入門者への配慮がよく表れたメーカーです。

 十数年にわたって、一眼レフの入門機としてEOS Kissシリーズはベストセラーを独走してきました。インターフェースはとにかくわかりやすいことを前面に押し出しています。いまでこそどこのメーカーも背面モニターを利用してわかりやいグラフィック表示で、絞りやスピードを解説していますが、これはキャノンが初心者に配慮して発案したものです。カメラを初めて持つパパをはじめ、学生から主婦層まで広く想定した大衆性抜群のファースト・カメラであると言えるでしょう。

 デザイン面でも柔らかい曲線を多用し、軽量で手に馴染むエルゴノミックな形状にこだわった作りで、どこにでも持ち出せるカジュアルな感覚が多くの人に受け入れられら要因の一つでしょう。

 性能面でキャノンに定評があるのは、色の鮮やかさです。とても華やかな発色で、明るい太陽のもとで、生き生きとした躍動感ある描写が得意です。

 これらのことを踏まえて、キャノンという巨大なカメラメーカーの特徴を見てみましょう。


1. オートフォーカス

 キヤノンが独自に開発したデュアルピクセルCMOSオートフォーカスは、高速で滑らかなオートフォーカスを実現し、業界随一の評価を獲得してきました。これは広いオートフォーカスエリアで、素早く高精度なピント合わせが可能なシステムで、特にスポーツなど動きの激しい被写体に強い能力を発揮します。


2. 瞳オートフォーカス

 キヤノンの初期の試みであるアイオートフォーカス(同社のミラーレスカメラでのみ利用可能な機能でした)は少し限定的でしたが、状況は変わりました。
 少し前まではソニーがオートフォーカス分野のリーダーでしたが、今ではキヤノンが確実に追いつき、一連のファームウェアアップデートをリリースして、首位の座に返り咲いた感があります。

 キヤノンは、この機能を最も高価なカメラのためだけに維持しているわけではありません。ソニーやニコンと同様に、キヤノンもエントリーレベルのフルフレームミラーレスカメラ、キヤノンEOS RPに瞳オートフォーカスを搭載しています。この分野での技術競争はまだまだ余談がなりません。


3. 高品質で豊富なレンズ群

 多くの人が賛同する意見ですが、レンズ設計の先駆者として、キヤノンはニコンだけでなく、おそらく他のすべてのカメラメーカーに先んじています。
 キヤノンのRFレンズは、そのミラーレスフルフレームカメラのために特別に設計されており、画質で可能と考えられていたものの限界を押し広げてきた牽引者です。
 しかし、これらのRFフルフレームレンズはまだ非常に高価であり、RFレンズがじっくりと開発されている今は、まだ大きな選択肢はありません。

 現在RF 35mm F1.8 ISマクロSTMは、最初のプライムとして、低価格で優れたオプションを提供しています。




4. サードパーティのレンズメーカー

 キヤノンだけでなく、
シグマやタムロンなどはEOSデジタル一眼レフカメラのための膨大なレンズのラインアップを生産してきました。
 サードパーティのメーカーは、多くの場合、より高価なキヤノンのバージョン、そのようなキヤノンと同等の3分の2以下の価格であるタムロンSP 24-70mm F/2.8 Di VC USD G2のようなより安価な代替品を生産しています。
 このようにレンズ資産の豊富さにかけては業界随一であり、将来的に見てもこの優位性は揺るぎそうにありません。

 キヤノンのRFマウントは数年前始まったものですが、サードパーティ製のオートフォーカスレンズも登場し始めており今後のレンズ展開にも余裕を感じさせます。
 


5. コンパクトAPS-Cセンサーレンジ:EOS M

 かさばるクロップセンサーのデジタル一眼レフカメラがあなたのためではない場合(パナソニックのマイクロフォーサーズシステムが魅力的ではない場合)、コンパクトなAPS-Cセンサーのキヤノンカメラの範囲もあります:EOS Mシリーズ。

 EOS M50は、小型で、手ぶれ補正機能と完全にアーチ型のスクリーンを備え、1.6倍のクロップではありますが4K撮影が可能であるため、どこのブロガーにもお勧めできるカメラです。
 また、24メガピクセルのセンサーを搭載し、優れた画質を実現し、コンテンツ制作者にとって非常に柔軟なツールとなっている強力なスチルシューティングカメラでもあります。

 キヤノンはフルフレームミラーレスカメラではソニーに追いつくのが遅れていましたが、クロップセンサーのミラーレスボディでは、EOS Mシリーズは良い選択肢となっています。


6. 顧客サービスと専門家のサポート

 キヤノンの顧客サービスやプロカメラマンへのサポートは、誰が見ても業界随一。世界中の数え切れないほどのプロが、写真を撮り続けるために必要なものを提供してくれています。


7. EOS Ra

 キヤノンはニコンよりも会社規模が大きく、顧客基盤も大きいため、世界的にカメラ全体の販売台数が激減していることを考えると、最近になってこの天体写真専用カメラ
EOS Raを発売したのは、新たな分野への先行投資かもしれません。

 EOS Raはキヤノン初の天体用フルフレームミラーレスカメラで、656nmの波長で4倍の水素アルファ線の透過率を受け入れるように調整されています。これにより、遠くの星雲からの深部赤外線をより多く受信できるようになりました。まだまだ未知数のジャンルですが、このようなチャレンジができるキャノンというメーカーの懐の深さを感じさせられます。



8. インスタントクラウドストレージ

 これはまだ様々な問題を抱えている真新しい機能ですが、画像の転送やバックアップの方法を変えるという意味では、キヤノンが先駆者になるかもしれません。
 image.canonはメーカーの新しいクラウドストレージシステムで、互換性のあるカメラを設定すると、撮影した写真をキヤノンのサーバーにアップロードすることができます。
 理論的には、撮影した画像をすべてのデバイスで同期させることができるようになると言われています。



 以上のように、キャノンはさすが業界トップだけあって、様々な分野で最新のカメラ技術とサービスを駆使し提供しています。一度キャノンに馴染んだら、他のメーカーに目がいかなくなるくらい顧客の抱え込み方が上手な印象があります。これからも盤石の戦略でカメラの世界をけん引していくことに疑いはありません。






2021年3月1日月曜日

中古カメラの選び方

アメリカで中古カメラを買う


 新品のカメラを買うのは心ときめくものです。ネットのない時代はそれこそカメラ一台買うにも何度も店頭に行き、手に取って確かめ、パンフレットを集めてスペックを確認したものです。今は様々な情報源があり、レビューが氾濫しているので、判断材料には事欠きません。

 中古カメラも同様で、いまや世界中いたるところから情報発信され、購入の壁も低くなりました。日本に居ながら中国や欧米の商品が簡単に手に入るように、アメリカに住む日本人でも、世界中から情報を集めて希望のカメラを探し出すことができます。

 アメリカ人にとっても、カメラと言えばまず日本の製品の購入を考慮します。そしてアメリカでカメラを買う場合は、まず日本の販売店で海外送品オーケーの店を探します。

 そんな中でもっとも購入先として人気が高いのMap Cameraです。



 日本人にもおなじみのこのカメラ店はここニューヨークにおいても、私の知人の間でかなり有名で、中古カメラが安いと評判でリピーターとなっている人が多いのです。

 理由のその一は、まず品質の保証です。

 アメリカにも無数の中古カメラ店がネット販売を行っていますが、その品質にはかなり差があります。いい商品を売っている店もありますが、中には信用のおけない、インチキまがいの不良品を売っている店もあります。けっこう高いレイティング(評判)がネットに記載されている店でも、トラブルになることはあるので、カメラ店選びには注意が必要です。

 その点Map Cameraは海外向けに英語表記のサイトがあります。それも商品のディテールが写真とともに細かく表記されたものなので、その信頼性は高く評価されているようです。

 じっさいマップカメラは品質管理が行き届いており、これまで私が購入したカメラや機材で問題になったことはありません。レイティングも的確で、「良品」なら思った以上にいいものが手に入ることもあります。海外なら間違いなく「Mint」扱いのものがMap Cameraで並み」扱いで、買ってみて驚いたこともあります。ほんのちょっとした表面の傷でも見逃さないのが日本らしいきめ細かさです。

 在庫が豊富なのも強みで、定期的にサイトをチェックしていれば、望みの品を見つけることは容易でしょう。価格面でも海外のリセーラーに負けないくらいの額を提示しており、見つけた者勝ちと言えるほど、いい商品もよく出回っています。

 なお現在Map CameraはeBayの中にあるストアがすべて英語表記でインターナショナル販売用となっています。ドルと円の相場によってかなりお得な買い物ができるのも魅力一つです。

 アメリカで他に中古カメラで信頼のおける店はどこでしょうか?

 カメラファンならだれでもまず挙げるのが、B & Hでしょう。


 新品から中古まで、カメラとその周辺機材の豊富な品ぞろえには定評があり、かつ品質管理においてもアメリカ随一と言ってもいいほどで、私もいままでハズレはなかったです。   B&Hはマンハッタンの中心部にある、写真に関するあらゆるものを扱う巨大なスーパーストアです。多くのプロカメラマン、写真家が、カメラ機材のオンラインショッピングで最初に訪れる場所です。スタッフは非常に知識が豊富で、よく訓練されています。

 ウェブサイト上にはライブチャット機能があり、中古品部門もあります。B&Hでは、中古カメラやその他の中古電子機器の幅広い品揃えをしています。サウンドシステム、スマートフォン、ビデオ機器なども揃っています。

 中古品には90日間の保証が付いています。また、ビンテージグッズやアンティーク機器をミントコンディションで提供しています。

 米国にお住まいの方は、ほとんどの商品を標準送料無料でサービスしています。また、ほとんどの国に発送可能で、30日間の返品ポリシーを設けています。

 B&Hでは、この返品ポリシーをさまざまな中古機器にも適用し、欠陥の有無を独自にテストしています。


B&Hと並んでニューヨーカーに親しまれているのがAdoramaです。

 このニューヨークを拠点とする小売店は、数十年の歴史があります。カメラやビデオ機器、電子機器の総合的なサービスを提供しています。アマチュアからプロの人にまで人気のあるオンラインショップの一つです。

 Adoramaでは、新品の機材だけでなく、中古のカメラや写真機材も豊富に取り揃えています。これらはテストと検査済みで、30日間の返金保証が付いています。

 また、低価格でVIP360ロイヤリティプログラムという保証オプションがあり、1年間の「落としたりこぼしたりした場合」の保証が付いています。また、60日間の返品ポリシーや、割引やセールへの早期アクセスなどの特典もあります。

 またAdoramaは当日配送を提供しています。カナダをはじめ、世界中の多くの国に発送しています。お住まいの国の税金や関税については、それぞれの国の規定があることを覚えておいてください。

 さらに付け加えると、AdoramaはラーニングセンターやAdormaTVのビデオでも知られています。ニューヨーク市のスペースでは、プレゼンテーション、デモ、クラスを開催しており、顧客やコミュニティーとのつながりも重視したショップとして親しまれています。


世界の中古カメラ業界で最大手と言えばKehです。



 Kehは創業40年近くの世界最大級の中古カメラ店です。カメラをアップグレードする必要がある場合や、高額な予算をかけずに新しいカメラを購入したい場合におすすめです。

 デジタルカメラやフィルムカメラ、レンズ、アクセサリーなどの幅広い品揃えで、小売価格より最大40%も安い価格で販売しています。

 ここでは専門の技術者が10点満点の評価システムを使用して機材の検査とランク付けを行っています。購入しようとしているものがどの程度の状態であるかを的確に判断できます。

 Kehは180日間の保証と14日間の返品ポリシーを提供しています。彼らはPayPalを含む様々な支払い方法を用意しています。ただし、KehはPayPalで確認されたアドレスにのみ出荷されます。KEHの配送先住所はPayPalの住所と一致しなければなりませんが、それは信頼性を高めるために有効です。

 またKehは価格一致保証を持っています。顧客がより低価格で全く同じ製品を見つけた場合、彼らはあなたに差額を返金します。実際はいくつかの制限はありますが、理論的には世界で最安の中古カメラが買える計算です。

 またカメラや機材をを売りたい場合は、インスタント見積もりを取得することができます。多くのカメラファンやプロはそれを利用し、中古のギアを購入することで機材を随時アップグレードしています。とてもいいシステムですね。

安いカメラ機材を効率的に探すならAbe's of Maineも見逃せません。

 Abe's of Maineは、カメラや写真用アクセサリー、テレビ、家電製品、スピーカー、その他のオーディオ機器など、新品、工場出荷時の製品や再生品(準新品)を販売する家電量販店です。同社はオンラインと店頭で様々なブランド名の製品を販売していますが、いくつかのブランドの認可を受けていないため、製品に保証が付いていない場合があることに注意が必要です。

 Abe'sではカメラをはじめ電子機器のバーゲンハントを行っています。在庫の一部は新品ですが、その多くはメーカーの工場でリファービッシュ(再生修理)されたものです。ウェブサイトを閲覧する際には、商品の状態や保証の有無を確認するために、説明文をよく読むようにしましょう。

 Abe'sは競合他社の価格から最大50%オフの割引を誇り、ウェブサイトでは、既存の製品割引に加えてクーポンやリベートを提供しています。また、ほとんどの製品について送料無料と分割払いオプションを提供しており、ニュージャージー州以外では消費税はかかりません。

 ときおり他社では見られないバーゲン品が出ますので、カメラファンならずとも、要チェックなお買い得ショップであります。


2021年2月28日日曜日

伝統のRICOH一眼レフ

PENTAX:一眼最後の牙城か




 猫も杓子もCANONもNIKONもミラーレスカメラへと製造販売の主力を移しつつある中、PENTAXは頑なに、一眼レフカメラの生産を続ける宣言をしました。

 素晴らしいことです。 

 フィルムからデジタルへする時代にも、各メーカーはカメラがどんなにデジタル化されてもフィルムカメラが無くなるなることはないというスタンスで、並行して出し続けようとしました。しかし今、大半のカメラメーカーはフィルムカメラを廃止、あるいは事業全体のほんの一部へと縮小されていきました。

 今置かれているデジタル一眼レフからミラーレスへの移行期は、あの時に匹敵するカメラの大変動期だと思います。

 このご時世で、PENTAXは自身の作ったペンタプリズムを捨てる選択肢は「ない」と断言します。人の目が直接ペンタプリズムを通して視野に入る光景こそ、なにより正直な撮影情報であるというスタンスはPENTAXにとって大前提。これを廃止することはありえない、という事でしょう。

 じっさい多くのカメラファンが、ファインダーの見え具合を撮影の重要ポイントとして挙げています。今後ミラーレスのEVFがどのように進化しても、実際に見える被写体の手ごたえは違うんだと、多くの一眼レフ支持者は信じているのでしょう。

 ペンタックスの一眼レフの優れた点はそれだけではありません。最近のほとんどの機種がとてもタフな作りになっています。

 まず防塵防滴防寒処理のボディ。暗所に強いケタ違いのISO設定。ボディ内手振れ補正といった野外のいたるところで役に立つフィールド性能に長けています。

 ペンタックスはもともと野山の緑を綺麗に再現するカメラとして定評がありましたが、さらに星空も鮮やかに写せたり、真冬の雪の中でも使える頑丈な作りで、まさにアウトドアカメラとしての評価が非常に高いものとなっています。

 そんなペンタックスが、年初にいよいよ勝負の最新フラッグシップ機を発表するというアナウンスがありました。PENTAX K-3 Mark IIIという名です。残念ながら現時点ではまだ開発発表のみでその中身がどんなものなのかは明らかにされていません。ただ噂などから総合的に判断すると、現行のキャノンやニコンの一眼レフ最上位機種に匹敵する製品になるようです。いまからそのカメラの公開が待ち遠しいところであります。

 ではいまペンタックスのカメラはどの機種が「買い」なのか。ここは初心者目線でお買い得品はなにかと考えてみました。すると浮かび上がるのはやはり人気のあの機種。そう、PENTAX K-70という事になります。




ペンタックス K-70



 ペンタックスの一眼レフカメラは、エントリーモデルからミッドレンジまで、プレミアムモデルにしかない機能を搭載していることで知られています。K-70(649.95ドル)も例外ではなく、フルウェザーシール、ガラスペンタプリズムファインダー、ボディ内手ブレ補正を搭載しています。オートフォーカスは、高解像度のピクセルシフトイメージングを採用。ソニーの持つトップレベルのオートフォーカスではないけれど、スチル撮影では十分なレベルです。画質はセンサーに位相差検出機能を追加し前機種K-50から進歩しています。



デザイン

 コンパクトでしっかりとした作りの一眼レフカメラです。3.7×4.9×2.9インチの本体は、628gの重量があります。これはRebel T8sよりも少し小さく、すこし重めです。

 このカメラのハンドグリップは、深く大きく快適なものを採用しています。中指用のくぼみがあり、ワイヤレスリモコン用の赤外線センサーも搭載しています。レンズレリーズボタンは、レンズマウントの横の正面の普通の場所にあり、左側にはフォーカスモードスイッチ、RAW/Fx1ボタン、フラッシュレリーズボタンがあります。

 トップコントロールはすべてホットシューとポップアップフラッシュの右側に位置している。標準のモードダイヤルとWi-Fi/Fn2、EV、グリーンの3つのボタン、シャッターボタンを囲むようにオフ、オン、ビデオの3段階の電源スイッチが配置されています。前方の操作ダイヤルは、シャッターの前にあり、ハンドグリップの上部に角度をつけています。

 ライブビューボタンは後方、アイカップの左にあります。右側には、リアコントロールダイヤルとAF/AE-Lボタンがあります。リアディスプレイの右には再生、情報、メニューボタン、中央にOK/フォーカスセレクトボタンを備えた4ウェイコントローラー(ISO、ドライブ、ホワイトバランス、フラッシュ)があります。

 背面ディスプレイはバリアングルで約270度の可動範囲を確保しています。3インチの液晶は921kドットとそれなりに鮮明ですが、タッチスクリーンではないので、ライブビューでの操作性はまずまずです。

 Wi-Fiを内蔵。RICOH Image Syncアプリを使って、AndroidやiOSデバイスに画像や動画を転送することができます。1枚の画像をスマホにコピーするのに約15秒かかり、転送速度は最速とは言えません。Raw+JPGモードで撮影した場合、ファイル形式ごとに個別のサムネイルが表示されますが、サムネイルビューからどれがどれなのかを見分ける方法はありません。

 リモートコントロールはWi-Fi経由です。撮影モードに応じて、レンズからのライブ映像をアプリで表示したり、フルマニュアルで機能を操作したりすることができます。ただし、モードの切り替えはK-70の物理的なダイヤルで行う必要があります。また、ピントを合わせたい部分をタップするだけでオートフォーカスが作動します。

 メモリーカードスロットは1基で、SD、SDHC、SDXCの3種類のカードに対応し、UHS-Iにも対応しています。メモリーカードの扉はカメラ側面にあり、底面のバッテリー収納部とは別になっています。ゴム製のフラップがマイクロHDMIとマイクロUSBポートをカバーしており、どちらもメモリーカードドアの下の右側にあります。同様のフラップは、左側にある3.5mmのマイクジャックをカバーしています。



性能と画質

 K-70は電源オン、ピント合わせ、発光に少し時間がかかり、初期設定では約2.4秒かかります。初期設定では、イメージセンサーを振ってホコリを除去するための処理が行われるため、この処理に時間がかかります。これを無効にすることで、1.4秒に短縮することができます。電源を切っても、K-70はセンサーを振ってホコリを取り除きます。
 リコーの発表によると、K-70は最大6コマ/秒での撮影が可能とのこと。画質は、AF-Sモードで4.8コマ/秒となっています。

 このカメラは11点オートフォーカスシステムを搭載しています。ファインダーでピントを合わせても、明るい光の下では0.1秒以内に被写体にピントを合わせることができます。暗い室内では約1.5秒でピントを合わせて撮影することができます。

 ミラーレスカメラとしては、α6000はライブビューでフルタイムでピントを合わせます。K-70と同様にセンサー上の位相差検出機能を搭載しています。しかし、ライブビューでのピント合わせの速さは、K-70にはかないません。リアディスプレイを使って撮影した場合、フォーカスをロックして画像をキャプチャするのに約0.7秒かかります。

 K-70は24メガピクセルのセンサーを搭載しています。基本的には手ブレを補正するために撮像素子が動くので、どのレンズを装着しても手ブレしません。ペンタックスの レンズに手ぶれ補正が搭載されていないのは、この機能がカメラ本体で処理されているからです。

 K-70では、ノイズリダクションの設定を調整することができますが、箱から出した状態ではJPGの撮影で十分な仕事をしてくれます。イメージはISO 800までは細部のきりっとした心地よい写りであり、それ以上のISO 12800などはAPS-C他機種よりややノイズを抑えているなという程度です。スペックに謳っている超高ISOは緊急時の設定としてのみ考えるべきでしょう。

 ノイズリダクションを自分でコントロールしたい場合は、画像を撮影した後にRawフォーマットで撮影することができます。(Raw形式での撮影には他の利点があり、特に露出や色の調整の幅が広がります)。画像を処理するには、Adobe Lightroomのようなソフトウェアを使用する必要があります。

 ボディ内手ぶれ補正は、画像をシャープに保つだけでなく、いくつかの利点があります。光学ローパスフィルターの効果をシミュレートして、写真に色のモアレが出てきた場合に、わずかなボケを加えることができます。センサーには物理的なフィルターがないため、特定の布地を撮影すると虹色効果が発生することがあります。
 もう一つの大きな特徴は、リアル・レゾリューション・システムです。手ぶれ補正機構SRを応用し、イメージセンサーを1画素ピッチずつ動かしながら4枚を連続撮影。1画素ごとにRGB各色の情報を得ることで、1枚の超高精細画像を生成する技術です。通常撮影では表現できない解像力と色再現性が得られ、拡大表示や大判プリントでなくても、ひと目で分かるほど画質に違いがあらわれます。動体補正をオンにすると撮影中に動いた領域を検出し、その影響を低減する合成処理を行います。なお
リアル・レゾリューション・システムで撮影した画像はRAW保存が可能です。



結論

 ペンタックスK-70は、動画撮影に見るべき進歩はありません。が、スチル写真に関しては、同レベルのAPS-C一眼カメラの中でトップレベルの性能です。まさにビギナーから中級の写真家にとって魅力的な一眼レフカメラなのです。その全天候型のデザインは、ピクセルシフトの解像度機能と組み合わされた場合は特に威力を発揮します。自然や風景を撮るなら間違いなく魅力的な一台です。









                                                                   


2021年2月27日土曜日

マクロ撮影入門

クローズアップの醍醐味



マクロ写真とは?

 マクロ写真とは、クローズアップ写真とも呼ばれ、小さなものを大きく見せる技術のことです。専門用語では、カメラのセンサーに写っている画像が実物と同じ大きさかそれ以上の大きさになるように、被写体を1:1以上の倍率で再現したものがマクロ写真です。マクロ写真家は、昆虫や花、水滴などの小さなもの、あるいはミニチュアの風景を撮影して、それらを大きく見せたり、実物大に見せたりすることが楽しくなります。


 またマクロ写真の醍醐味は、人が普通に目で見ているものをより拡大してディテールを表現する面白さでもあります。これによりどこにでもある何気ないものが違った存在に見えてきます。例えば飼っている猫の顔をマクロで撮ると、「この子の鼻の周りってこんな形だったんだ」などと再認識できます。もちろん、野外で蝶をマクロで上手に撮ると、羽の鱗粉までがくっきり見えてその美しさに見とれてしまったりします。

 このタイプの写真撮影は、あなたの撮影技術を伸ばすことになります。被写体の持つ本来の複雑さと美しさなど、見えているようで見ていなかった細部のすべてをクローズアップして撮影するのですから、より繊細な撮影テクニックが必要なのです。でもそれはチャレンジし甲斐のある楽しいカメラ技法です。



マイクロ対マクロ写真

 「マクロ」は大きくすることを意味し、「マイクロ」は小さくすることを意味しますが、実はこの2種類の写真撮影は同じ技術のことを指しています。マクロもマイクロも、被写体をクローズアップして等身大で撮影することを指します。しかし、マイクロとマクロの違いは、被写体にかける倍率です。マイクロ撮影では、20:1以上の倍率で撮影しますので、実物の20倍の大きさに見えるように被写体を拡大して撮影します。マクロ写真では、20:1以下の倍率になります。

 マイクロフォトグラファーは、このような高い倍率を実現するために、顕微鏡にカメラを接続して撮影しますが、多くの場合、肉眼では見えないほど小さな微生物を撮影します。このような理由から、マイクロフォトグラフィーは一般的ではなく、写真の専門分野と言ったほうが妥当でしょう。それに比べて、マクロ写真家は、カメラの設定、レンズ、延長管、その他の機器など、より身近なツールを使って、実物大のクローズアップ効果を得ることができます。


 マクロ写真を撮影するために必要な機材を詳しく見てみましょう。



マクロ撮影に必要な機材

 マクロ撮影には専門的な機材は必要ありませんが、効果を得るためには適切なタイプの機材を選ぶ必要があります。マクロ撮影に必要なキーアイテムは以下の通りです。


デジタルカメラ


 マクロ撮影は特定のレンズを持つことで実現するので、レンズ交換できるカメラが必要になります。ポイント&シュートカメラは、ほとんどの機種にチューリップの図で示される「マクロモード」という設定があります。これを使えば、クローズフォーカスをして被写体をマクロで撮影することができるのです。

 マクロ撮影を本格的にやりたい方は、デジタル一眼レフカメラを選びましょう。デジタル一眼レフカメラを持つことで、様々なマクロ写真を撮影し、マクロ効果を得るために様々なレンズを試すことができます。デジタル一眼レフカメラは、フルフレームまたはクロップドセンサーを搭載しているため、焦点距離が長くなり、より被写体にズームインすることができます。

 もう一つのオプションは、ミラーレスカメラです。多くのミラーレスカメラには、被写体のどの部分にピントが合っているかを表示するフォーカスピーキング機能があり、マクロ撮影には便利なツールです。ミラーレスカメラを選ぶ場合は、電子ビューファインダーが付いていることを確認してください。



レンズ

 カメラを決めたら、マクロ写真を上手に撮るためのレンズを探す必要があります。あなたのレンズは、あなたの画像がどのようにマクロで表示されるか、機器の重要な部分を決定します。


マクロレンズの運用


 マクロ写真専用のレンズを用意して、このテクニックを素早く簡単に撮影できるようにしましょう。標準的なマクロレンズは、90~105mmで1対1の焦点距離を持っていますが、いくつかのレンズは、最短撮影距離と最短焦点距離が別々にあります。焦点距離が短ければ短いほど、被写体に近づく必要があることは覚えておいてください。



 60mmマクロは、植物、花、および無生物(近い距離でより小さいもの)を対象として撮影するといい絵が撮りやすいと言われています。しかし、昆虫や野生動物を撮影する場合は、100mm以上の焦点距離の長いマクロレンズが相応しいとされています。

 キヤノンもニコンも、ほとんどのデジタルカメラのボディに合うマクロレンズを販売しています。また、これらのレンズは通常マニュアルフォーカスでこそいい結果をもたらす設計であり、撮る側の個性も浮き彫りにされます。完全マニュアルでマクロレンズを試すことが上達への近道です。マクロレンズは、ポートレートから食べ物の撮影まで、さまざまなタイプの写真に使用することができるのが魅力です。



エクステンションチューブ(接写リング)

 デジタル一眼レフカメラをお持ちの方は、エクステンションチューブを使ってマクロ撮影ができます。エクステンションチューブとは、レンズとカメラマウントの間に取り付けて、レンズの拡張能力を高めるために使用する、中空の円筒形のスペーサーのことで、接写リングとも呼ばれています。その主な目的は、レンズの最小焦点距離を変更したり、被写体に近いことができ、ぼやけた不明瞭な画像を避けることができます。

 安くてより基本的な
接写リングは、レンズとカメラのボディとの間に電気的接続がないスペーサーとして機能します。高価なバージョンでは、レンズとカメラの間の通信を維持する電気的接続を持っているので、それらを使用しながら、絞りの設定と露出を調整することができます。
 
接写リングは通常、さまざまなサイズの3本セットで販売されており、価格はブランドやタイプに応じて20ドルから100ドルまで異なります。



三脚

 マクロ撮影では、手ぶれや段差があると画像が乱れてしまうので、カメラを安定して持つ必要があります。特に遠くの被写体を撮影する場合は、マクロ撮影用の三脚に投資して、画像のブレを防ぎましょう。カメラのボディにフィットするマウントと安定した脚を備えた標準的な三脚に投資しましょう。三脚を使えば、風景やポートレートなど、他の写真撮影にも活用できます。



その他のマクロ撮影用アクセサリー

 マクロ撮影のために投資を検討することができる他の2つのアクセサリーは、リモートシャッターレリーズとリングライトです。

 リモートシャッターレリーズは、カメラのボディに取り付けて、カメラに触れることなくシャッターを切ることができるツールです。マクロ撮影の際にカメラが揺れたり、揺れたりしないようにするには最適な方法です。

 リングライトは、カメラのレンズの上に取り付けるシンプルで安価なライトです。マクロ撮影時に必要な狭い絞りの設定を打ち消すために、被写体に十分な光を当てることができる便利な方法です。



撮影距離を確認する

 マクロ写真を撮るには、カメラを三脚の上に置き、被写体を見つけて、あまり動かない場所が理想的です。ピントを合わせる前に、撮影距離を確認しておきましょう。
撮影距離とは、レンズの前部から被写体までの距離のことです。もし撮影距離小さすぎる場合は、あなたがあまりにも近くにいるため、被写体が生き物だった場合は怖がらせたり、影ができたりしがちなので注意が必要です。

 一般的に、作業距離は、少なくとも6インチ、または15センチ、被写体を撮影し、良いショットを得るために十分なスペースを持っていることをつねに確認してください。


バランスの良い被写界深度を作る

 被写界深度とは、レンズにピントを合わせたときに最もシャープなピントが合う部分のことです。マクロ撮影では、被写体に近づけば近づくほど被写界深度が浅くなります。その結果、マクロ撮影では、被写体全体にピントを合わせるのが難しくなります。

 マクロ撮影にポイント&シュートを使用している場合、被写界深度の浅さを調整するには、被写体からの距離を調整する以外にできることはあまりありません。

 デジタル一眼レフカメラの場合は、絞りを小さくすることで被写界深度を大きくすることができますが、F値を大きくすることで被写界深度を大きくすることもできます。マクロ撮影では、一般的にF8からF16の間のF値が使用されます。また、カメラのISO感度を上げてシャッタースピードを上げ、より鮮明な画像を得ることもできます。ISOを上げると画像にノイズが入ることがありますので、ゆっくりと注意して調整してください。

 マクロ撮影の被写界深度のジレンマを解消するには、たくさん撮影して、カメラの設定や機能を熟知しておくのが一番の近道でしょう。絞り、被写界深度、ISOの組み合わせがマクロ撮影に最適なのか、よく撮影し、さまざまな被写体を撮影することで、より良い感覚を得ることができるようになります。



カメラではなく被写体を動かす

 マクロ撮影では、レンズを被写体の近くに置き、三脚や平面で安定させることが多いです。カメラを動かしたり、被写体を撮り直すのではなく、被写体を移動させて撮影を効率化しましょう。花やコインなど、被写体を面の上に置き、左右に少し動かして撮影角度を変えてみましょう。その後、ピントを合わせて撮影します。

 マクロ初心者の方の多くは、最初は被写体と平行に撮影し、自信がついてきたら被写体を移動させて撮影します。特に被写体を移動させる際には、被写体の周りがきれいに整頓されていることを確認しましょう。マクロ撮影では、小さな髪の毛や糸でもフレームに写り込んでしまうことがあるので要注意です。

 被写体を少しずつ左右にずらして、いろいろな角度から撮影してみましょう。マクロ撮影では、被写体のちょっとした動きでも、全く違った写真になることがよくあります。



シャッタースピードを管理する

 マクロ撮影をする場合、通常よりも遅いシャッタースピードで撮影する必要があります。三脚を使用することで、遅いシャッタースピードで起こる手ぶれやブレを防ぐことができます。また、野外では風などの動きがないか、背景にも注意を払う必要があります。屋外で植物や昆虫を撮影していると、撮影時に風が植物や木に当たって背景がぼやけてしまうことに気づくかもしれません。スクリーンで風を遮るか、誰かに植物を固定してもらうなどの工夫をしましょう。

 また、昆虫などの生物をマクロで撮影する場合、生物は自分で動くことが多いです。シャッタースピードを遅くしてブレないようにするには、虫の動きが止まる瞬間を我慢して待つことが必要かもしれません。
 

光を拡散させる


 マクロ写真のライティングは、特に屋外で撮影している場合、自然光を利用して行うことができます。カメラのフラッシュを使用すると、カメラやレンズの影が写り込んでしまうことがあるので注意が必要です。フラッシュを使う場合は発光を間接的に当てます。壁や背景の物体に跳ね返る光で、拡散させ柔らかい光を作り出します。


マニュアルフォーカスを使う

 マクロ撮影にマニュアルフォーカスを使うのは古いと思われるかもしれませんが、最高の写真を撮るために必要な経験と思いましょう。実際ここの試行錯誤を経ることで、撮影の感覚を養うことができます。コンデジのユーザーにはこのオプションはありませんが、デジタル一眼レフカメラを使用している場合は、カメラのオートフォーカス設定に頼るのではなく、自分で被写体にピントを合わせてみてください。カメラのオートフォーカスは、被写体目の前に近づいて撮影した場合、なかなか動きを追尾することができません。マニュアルで素早く露出等を設定し失敗を繰り返して腕は上達します。

 とくにデジタル一眼レフカメラを使用している場合は、カメラのオートフォーカス機能に頼るのではなく、自分でピントを合わせることで、最高のマクロ写真を撮ることができます。


フォーカススタッキング(多焦点合成)

 被写界深度が浅く、ピントの合った被写体が撮れないと悩んでいる場合は、フォーカススタッキングと呼ばれる方法を試してみてください。これは焦点位置を少しづつずらしながら撮影した写真から、焦点の合っている部分をつなげて1枚の写真に合成する技術のことです。例えば、昆虫の写真を撮るとき、頭、翼、体の3つの別々の焦点のあった写真を取って合成すると、全体の蜂がフォーカスされた1つの画像になります。

 「スタックフォーカサー」や「CombineZ」など無料で、クリアなショットを複数画像を組み合わせることができるソフトウェアがあります。また、目的の画像を得るためにAdobe Photoshopで画像を組み合わせることもできます。


まとめ

 マクロ撮影は、近年インスタグラムなどで注目を集めやすい写真を大量に生み出しています。被写体がすぐ目の前にあるので、撮ってその場で出来具合を確認しましょう。はじめイマイチだと思っていても撮り続けることで、腕は磨きやすい撮影ジャンルです。
 挑戦の価値あるマクロ撮影にぜひ挑んでみてください。

2021年2月26日金曜日

Nikonで始めるミラーレス

Z6かZ5か? ニコン入門の選択肢

 


 現在フルサイズ・ミラーレスカメラを購入する選択肢として有力なのは、ラインアップが豊富で人気も上々のソニーです。強みは何といってもオートフォーカスの早さと精度。こればかりは他メーカーを常に一歩も二歩もリードし続けているので、オートフォーカス重視の人なら、ソニーの一択は揺るがないでしょう。ソニーを追いかける形でキャノンのRシリーズも人気です。こちらもどこと言って欠点のないオールラウンドプレーヤーが揃っており、実力は折り紙付き。
 では三大フルサイズカメラ・メーカーのあと一つ、ニコンはどうでしょうか? 
 2018年、キャノンRシリーズと同時期に誕生したニコンZシリーズ、実力はプロも認める本格派カメラなのに、人気、評判という面では今ひとつライバル2社のそれより、声が小さいという印象です。

 最初に出たZ6とZ7はともに前評判も高く、大いに期待を浴びたのですが、まさかのシングルスロット問題で、プロやハイアマチュアからネガティブな印象を持たれてしまいました。これ自体、これからカメラを始める人にとっては、??な事柄ですが、ことはハイエンド機で今後の製品ポリシー全体にもかかわる事と受け止められ、Nikonはいきなり苦戦を強いられることになったのです。
 しかしそれ以外、ミラーレスカメラとしての出来具合、性能は文句なく一級品であり、総合力としてライバル機になんら遅れをとるものではありませんでした。
 そういう経緯から、ニコンはフルサイズミラーレス競争に出遅れた感は否めません。
 それからようやく二年後に発売されたZ6 II 、Z7 IIともにダブルスロットになりみんなの要求に応えてくれました。同時にエンジン「Expeed 6」もダブルにして強化。ほかにもバッテリーの持ちがよくなったり、連写速度が速くなったり順当に進化しました。
 そんな流れから最初に出たZ6、さいきん市場の価格相場がぐっと下がってきました。ライバル機とおぼしいソニーa7 IIIやキャノンRがあまり値下がりしないのと対照的です。
 とくに中古だと日本で10万円台になっています。これはフルサイズミラーレス機のなかでは飛びぬけた安値です。キャノンのRPはもう少し安いのですが、こちらはエントリー機です。ではニコンのエントリー機Z5はどうでしょうか。こちらは発売後まだ半年ですので、中古はあまり出回っていません。たまに出ていても上位機種Z6よりやや高めです。

 いずれにしてもNikonのフルサイズミラーレス機は実力はありながらも、ライバルメーカーの同レベル機よりもお買い得な傾向が明るみになってきました。ここはちょっと掘り下げて、購入を検討してもいいのではないでしょうか。

というわけで、いまニコンZ5とZ6どっちがお買い得か? 




 ここアメリカでもカメラファンの間で、ニコンZ5とZ6、買うならどっちだ、そんな質問がネットでも飛び交っています。どちらもフルフレームの24MPカメラで、多くの類似点がありますが、また多くの違いも存在します。

 はじめてミラーレスを買う人はどこに着眼すればいいのでしょうか? 

 まずはセンサーです。どちらのカメラも24MPセンサーを搭載しており、Z5とZ6の解像力はほぼ同じです。45.7MPのニコンZ7のような高画素数のカメラは確かにありますが、ほとんどの人は、それだけの解像度を必要としません。むしろデータ量としても多すぎるのは負荷がかかりすぎます。プロ以外の用途であれば24MPで十分です。

 Z5のセンサーは24.3MPであるのに対し、Z6は24.5MPと僅差。Z6のセンサーは裏面照射型(BSI)を採用しており、これは光量の少ない状況で優位な画質となります。そのため、スペック上ではどちらのカメラも同じようなISO性能を持っていますが、Z6の方がわずかに優れた結果が得られるように設定されています。



いくつかのチェックポイント

オートフォーカス

 どちらのカメラも、ニコンの堅牢な位相差/コントラスト検出ハイブリッドAFシステムを採用し、同一のオートフォーカス設定を共有しています。標準で-3.5EVまでのAFが可能で、低照度AFを有効にすると-6EV(キャンドルの明かりだけで照らされた真っ暗な部屋に相当)までAFが可能です。

 ハイブリッドAFシステムは、両機とも273点のフォーカスポイントを誇り、被写体追尾や瞳検知、動物検知オートフォーカスなどの技術を有しています。どちらのカメラを使っても、ほとんどの被写体を、おなじ照明条件で撮影できることに違いはありません。

 どちらのカメラもISO100~51200のネイティブ感度範囲を共有しており、これは誰が見ても日必要十分な余裕のスペックです。さらにZ5はISO50-102,400まで、Z6はISO50-204,800まで拡張感度を上げることができます。

 
Z6は感度を上げなくても、裏面照射型センサーを採用しているので、低照度下での撮影では技術的な優位性を発揮します。BSIセンサーは、フォトダイオードを光の方向に向けて配置しているため、ほぼ100%の照度を確保することができます(非BSIセンサーでは、電子機器や配線の下にダイオードを配置しているため、30~80%の照度を確保することができないのに対し、BSIセンサーでは30~80%の照度を確保することができます)。

 理論的には、Z6はISO範囲全体で、特に高感度でよりきれいな画像を生成することができるでしょう。その差がどれほどかは、いくつかのレポートがネットで示されています。控えめに言っても
Z6は実用的に問題なし。Z5は裏面照射型でない分だけ、少し暗所性能は劣るというのが一般的な結論です。

 動画に関しては、Z5がISO100-25,600に制限されているのに対し、Z6はISO100-51200の全感度を使用することができます。もしあなたが厳しい光環境の中でビデオを撮影することを計画している場合は、ニコンZ6を選択する方が幸せなようです。



バースト撮影

 ニコンZ6は、毎秒12フレームでバースト撮影することができ、連続撮影の部門賞があれば一位を撮れる速さです(これは、当然のことながら、フラッグシップミラーレスモデルの高解像度化に起因するニコンZ7の9fpsを上回ります)。
 対照的に、ニコンZ5は毎秒4.5フレームの連写速度です。 スポーツ、野生動物や他の高速アクションの多くを撮影するつもりなら明らかに、Z6の圧倒的な速度は明らかなアドバンテージです。

 両方のカメラは、外部マイク用の接続を用いて、30fpsまでの4K UHDビデオを記録することができます。




同様にZ5とZ6上の素晴らしいサウンドで鮮明な映像をキャプチャすることができます。しかし、動画に関して細かいスペックを見ていくと、ニコンのカメラはまだソニーやキャノンには追い付いていないのが現状です。

 ビデオグラファーにとっての最大の注意点は、4K録画がZ5ではクロップされているのに対し、Z6ではフルワイドになっていることです。ニコンZ5は、はるかに詳細な結果を生成し、オーバーサンプリングされた6KをキャプチャするZ6のそれよりも低い解像度です。その結果、4K映像に1.7倍のクロップを要することとなっています。

 さらに、その1.7倍のクロップは、有効被写界深度とレンズの視野の両方に影響を与えます。つまりレンズは、はるかに大きな被写界深度を生成することになります(つまり背景はボケにくいことになります)。

 しかし、1080p / FullHDモードでは、そのようなクロップファクターがないので、レンズは正常に動作します。Z6は最大120fpsにすることができますが、Z5は60fpsまでの撮影にとどまります。

 各カメラは、フォーカスピーキング(マニュアルフォーカスを支援するための視覚的なオーバーレイ)、ゼブラ(露出オーバーを防ぐのに役立つ視覚的な補助)、および高度なビデオグラファーのためのタイムコードを生成します。どちらもウェブカメラとして機能し、タイムラプス動画モードを搭載していますが、Z6のみN-Log記録が可能です。

 上級者向けの動画撮影では、Nikon Z6の方が断然お勧めですが、カジュアルで日常的な撮影では、Z5の方が選択肢が豊富です。



メモリーフォーマット

 ここまでのところ、Nikon Z6は多くのカテゴリで優位に立っていましたが、ここでZ5の利点を紹介します。
 XQDカードはまだ業界での実績が少ないわけで、安定性があると言われても、どれだけのものかまだ分かりません。CFexpressカードは広く将来のメモリフォーマットとして見られています。
 しかし、この技術には価格がつきもので、CFexpressカードを採用するには余分な費用を費やすことになります。CFexpressは信じられないほど堅牢なフォーマットといわれていますが、万が一でもカードが故障すると画像をすべて失うことになります。

 そこでZ5です。誰もがすでに何十枚も持っている手頃な価格のSDカードを使用するだけでなく、一度に2枚のSDカードを使用することができ、両方のスロットにRawとJpegを一度に記録することができるので、万が一カードが故障しても画像を安全に保存することができます。


ファインダー
 
 どちらのカメラも同じ0.5インチ、369万ドットの有機EL電子ビューファインダーを搭載しており、視野率は水平・垂直ともに100%、倍率は0.8倍(アイポイントは同じ21mm)。

 ただし、両者とも約45度に傾く3.2インチのタッチスクリーンを搭載していますが、Z5の液晶は104万ドット、Z6の方が210万ドットの高精細なディスプレイを搭載しています。これは明らかに、背面スクリーンで撮影した写真を確認したり、ライブビューで構図を決めたりする際に、細かい部分を確認するのに非常に便利です。



ボディとバッテリーの寿命


 ニコンZ6は、表面的には似ているように見えて、操作系ダイヤルの配置に違いがあります。どちらも最小限のコントロール操作を特徴としていますが、Z6のボディには、デジタル一眼レフスタイルのトップ有機ELディスプレイ(露出のチェックと設定用)を備えています。Z5はこのトップ画面を省き、露出モードダイヤルを配置しています。

 人間工学的には2つのボディは非常に似ていますが、Z5の134 x 100.5 x 69.5 x 590gに対し、Z6は134 x 100.5 x 67.5mm、585g(ボディのみ)と、驚くほどスリムなカメラです。

 どちらも最上位のニコンZ7と同等である防塵防滴仕様という同じ程度のシーリング性能を持っており、両方が同じ5軸のボディ内手ブレ補正システムを持っています。

 バッテリー駆動時間は、最新のEN-EL15cバッテリー(旧バッテリーとの下位互換性はありますが)を搭載し、EVFのみの動画撮影で390枚/115分、液晶のみの動画撮影で470枚/120分となっています。旧型バッテリーのEN-EL15bを使用した場合、ニコンZ6では310枚、85分の動画撮影が可能です(モニターは明記されていません)。

 ニコンZ5は、その後、バッテリーが切れる前にはるかに多くの静止画やビデオをキャプチャすることができます。バッテリーが切れたら、カメラに電源を供給するためにUSB接続を使用することができます。

 多くの点で、ニコンZ5は、低価格化のため機能をそぎ落とし、簡素化したニコンZ6の新バージョンという印象です。確かにZ6は、より包括的な撮影体験を提供していますが、フルフレームイメージングへの第一歩を踏み出そうとしている愛好家の写真家にとっては、やりすぎかもしれません。(特にスマホやエントリーレベルのデジタル一眼レフカメラから来ている人の場合。)

 でもニコンZ5にも多くの利点があります。24.3MPセンサーは、豊かで詳細な写真だけでなく、4Kビデオ(1.7倍のクロップとはいえ)のための解像度のための十分な解像度を提供しています。そのデュアルメモリカードスロットは、プロ写真家のためのプラスとソロスロットZ6以上の明確な利点です。 静止画やビデオのための優れたバッテリー寿命も大きな選択基準です。

 つまり、ニコンZ6は、他のすべてのカテゴリで利点を持っています。最高のスポーツカメラとしての価値。バースト撮影、より高いISO感度とその裏面照射センサーのおかげで優れた低照度性能、フルリードアウト4Kビデオと120fpsまでの1080p、および高解像度の液晶画面。これら多くの素晴らしい仕様を誇っています。

 ローライト撮影や本格的な動画撮影をしない方には、Z5はカメラに必要な機能をすべて備えています。もしあなたがもう少し高性能なカメラが欲しいと思うなら、実際にはそれほど高価ではないZ6は選ぶべき意義の高いカメラです。




まとめ

 以上でニコンZ5とZ6の特徴的違いがはっきりしてきました。総合性能として、一歩リードする兄貴分Z6。あとから来た利点で兄貴を部分的に追い越してしまったZ5。現時点で価格面ではZ6の値下がり幅が大きいものの、Z5はまだ中古の在庫が十分でなく、価格もそれほどこなれていない(とはいえ他メーカーよりは買いやすい値段)そんな現状です。
 どちらを選ぶにせよ、間違いなくあのニコンの美しい描写力は特筆ものです。買った人は必ず幸せなカメラライフを送ることができます。とくにフルサイズビギナーにとってはこれほどのお買い得品はいまのところ他にないでしょう。どちらがあなたに相応しいか、いま一度よく検討し、ご購入を決断してくださいね。