2021年3月25日木曜日

カメラの未来

加速する開発競争



去年あたりからミラーレス市場におけるハイエンド機への期待と注目度が高まりつつあります。カメラの歴史を見てもかつてないほど、ハイレベルな技術開発競争が水面下でなされており、あのメーカーがこんなもの出してきた、こっちのはこんなすごいスペックで開発発表してきた・・・とわずか半年余りの間に次々とビッグニュースが飛び出してきます。

カメラ市場自体が収縮している中で、敢えて各社は強気で、最新テクノロジーの粋を集めたカメラを発表し続けていく模様です。

 ここ一年以内に発表もしくは発売されたハイエンド機は以下のものです。

SONY a1


まさにソニーのフラグシップ機。それまで同社の最高峰と目されていたa9 IIをも凌ぐ超絶スペックでファンを驚かせました。

海外のカメラファン、レビュアーらのファーストインプレッションも絶賛の声が大きいです。たとえば批評家のブライアン・カーナサンは、

「まず、私はこのソニーa1の名前が大好きです。簡潔で、最高の機能と妥協のないデザインを反映していると思います。
ソニーのミラーレス一眼「α1」は、どのような被写体に適しているのでしょうか?すべてです。このカメラはすべてにおいて "The One "です。
ソニーはa1を発表する前のティーザーで「The One」と言っていましたが、a1はあらゆるニーズに対応する「1」のカメラです。現時点では、a1よりも少しでも優れたカメラはほとんどありません。レンズ交換式カメラの最高峰と言っても過言ではありません。
究極のカメラの地位を得るためには、プロや本格的な愛好家に相応しい高額な価格が必要です。この価格を支払うことで、究極の画像キャプチャツールを手にすることができるのです。」とべた褒めの状態。

一般のカメラファンからもかなり興奮気味、かつ好意的な賛辞が目立ちます。


このソニーa1直後に発表されたのが、

Fujifilm GFX100Sです。



こちらはフルサイズよりも大きなラージフォーマット、つまりいわゆる中判サイズのセンサーを使用した最新機です。こちらも発表と同時に、そのインパクトが世界中に伝えられました。いわく、

「新時代を先取りする未来型カメラのスタンダード機」

「フルサイズが小さく見える、巨人のようなセンサーをコンパクトな筐体に詰め込んだ意欲作」

「モンスター級の解像度とそれを支えるメカニカルな凝縮性、普遍性が明日のカメラの形を変える」

などなど、こちらも絶賛する声が多きく、メーカーの予想を超える注文が殺到したそうです。どうやらカメラ人口そのものは減ってはいるものの、下支えするコアなファンがこういった上昇志向のカメラを歓迎し、業界の熱量を保っているようです。

その次に手を挙げたのはカメラの老舗、ニコンです。

ニコンのフルサイズ・ミラーレスカメラ、Zシリーズのフラッグシップの制作発表です。

こちらはNIKON Z9と、数字が大きくなるほどステータスが上がるような序列です。




プロ志向の強いNikonの最高峰Z9。本機の噂されているスペックを見ると、ニコンもいよいよ本気でミラーレス市場のてっぺんを狙いに来たようです。このフラッグシップのフルフレームミラーレスカメラは、45MPセンサー、20fpsの連写、8K動画機能などを搭載すると言われています。

このスペックはNikon Rumorsが発表したもので、その出所として「信頼できるソース」を挙げています。NR社によると、いわゆる「ニコンZ9」は、ニコンD6スタイルのボディ(縦グリップ内蔵の可能性あり)、キヤノンEOS R5レベルの画像処理能力、ソニーa9IIレベルのオートフォーカスで構成されたカメラの合体版のようなものになるといいます。

このカメラには、46メガピクセルのセンサーと新しいEXPEEDプロセッサーが搭載され、フルスピードで最大20コマ/秒の撮影と8K/30pビデオの撮影が可能になると言われています。また、物体検出機能付きAFの向上、高精細なブラックアウトフリーEVF、XQD/CFExpressデュアルカードスロット、ギガビットLAN、「新しいユーザーインターフェース」なども搭載される予定ですが、この点に関する詳細は明らかにされていません。
これらはすべて、「2021年秋」に登場し、価格は6,000~7,000ドルになると言われています。


EOS R1

あくまで予想イメージです

これらに対抗して、大本命と目されるCANONのフラッグシップ機。公式発表はまだないのですが、噂ではR1の名称で、今年後半か来年早々にデビューするのではないかと噂されています。
その全貌はいまだ明らかにされていませんが、ソニーやニコンが既成のカメラの水準をはるかに超えるスペックで発表されましたので、キャノンはそれらに比肩する、いや凌駕するくらいの超絶マシンを出す可能性があります。

以下は噂の段階ですが、海外で取り沙汰されている「R1」はすごい内容だそうです。

「次期高画素機EOS Rには、100MP以上のイメージセンサーが搭載されるのではないかという新しい噂です。
これまでのところ、80MPから90MPの間のセンサー解像度が、噂の間でのトレンドとなっていました。この噂の情報源たちは、キヤノンがセンサーの解像度を100MPをはるかに超えて抑制すると確信しています。その理由は、「EOS R5の45MPと新しい高画素センサーとの間に、さらに大きな隔たりを設ける」ためだそうです。噂によると、この次期高解像度EOS Rカメラは、風景写真家やスタジオ写真家向けで、EOS R5とは異なるフォームファクタになるようです。このカメラは、EOS 5DsおよびEOS 5Ds Rの後継機との位置づけとなるでしょう。」引用:Canon Watchより

あくまでもまだ噂レベルですが、各社が毎回驚きの性能を打ち出してきているので、キャノンさんも、きっとなにかしらビッグサプライズをもたらしてくれるのではないかと、期待が膨らみます。
いっぽうで、価格も性能に見合うように天井市知らずに上がってきていますので、こちらは職業写真家でない限り、かなり厳しい財政検討を余儀なくされそうです。
とはいえ、カメラ業界が活発に新機軸を打ち出してくれるのは、明るいニュースですので、今後とも前向きに、より使いやすく、高性能なカメラを作っていってほしいと願うばかりであります。










2021年3月24日水曜日

野生動物の撮影

 ハドソン渓谷の野生探訪:ビーバー編



北米の春先はまだ肌寒い日が多いのですが、この日はポカポカと陽気が野や山を覆い、絶好のハイキング日和となりました。週の半ばですが、時間があればこういう日は近隣のちょっとした森の入り口に立ち入って、野生動物との遭遇を楽しみに散歩します。早朝が一番野生動物を見つける機会が多いのですが、仕事との兼ね合いで今日は午後4時ごろ、近くの沼沢地を散策しました。

そこで見つけたのは、大きな樹木の削られた痕跡です。

  


遠くから一見すると、誰かがノミやカンナで樹木の表皮をキレイに削り取ったかのように見えます。もう少し近づいて撮影すると、


厚さ2-3センチもの木の皮を丁寧に削り取ったような跡が見えました。

いったいだれが何の目的で、こんな森の中で奇妙な真似をするのでしょう。

はい、その正体は、


ビーバーです。この水の上をすいすい泳ぐモグラのような奴が、「歯」で森の木を噛み削り、あのような痕跡を作るのです。

ビーバーには木や枝を集めて、川の上流に住処をつくる習性があります。時としてそれはテリトリーを示す大規模なものとなり、川をふさぐダムと化すこともあります。非常に勤勉で小さな枝から大きな木までせっせと集めては持ち帰り、住処の材料にするのです。

私の住むニューヨーク州ハドソン渓谷界隈の川周辺には、ノースアメリカン・ビーバーという種類のやつがたくさん生息していて、時たまこういった樹木を齧りまくった痕跡を見つけることができるのです。下のもう一枚の写真もすぐそばで見つかりました。



すごくありませんか? 歯だけでここまで巨大な樹木を齧りまくっているんです。やばいですね。もうちょっと齧り進めていたら、この大木は倒れていたでしょう。これも拡大してみました。


どうですビーバーの歯の力、半端ないでしょう? 彼らは夜行性なのでこれらは大抵、暗い間に行われるようです。一夜明けたら、木が一本倒されていたなんて話も聞きます。木こりも真っ青ですよね。このビーバー地元にいてもなかなか直にはお目にかかれないのですが、目撃例もあります。私は一度だけ遠くの沼沢地で泳いでいるのを見ただけですが、いつかは写真に収めてみたいと思っています。

この下の写真は以前どなたかが、地方の写真フォーラムに投稿したものです。

PM.Scramble Photo CIrcle: Quorted

すごいっすよね。人の歯じゃ数回噛んだだけでボロボロになりそうです。

今回訪れた沼沢地は、West Point Foundry Preserveという自然遊歩道もある緑豊かな森林地帯の一部です。かつてはアメリカ政府肝いりの製鉄工場があったところとしても知られていますが、当時の建物等はほとんど解体され、わずかなレンガ造りの工場跡だけが残されています。沼地に隣接するので、多くの野生生物が生息しており、自然観察にはもってこいの場所です。


時節柄と言いましょうか、森の入り口にはこんな看板も立てかけられておりました。

絵のようなリスやシマリスもこの森ではよく見かけます。



野鳥も水やエサを求めて近くの木の枝で周囲を伺っています、これからの時期、巣作りのために鳥たちはこの辺りで格好の住処を探すことになります。


話をビーバーに戻しますが、彼らは本当に熱心に住処を作るのですが、時として川のせき止めが度を越して川の流れさえ変えてしまうことがあるそうです。



こんな風にめったやたらと木や木の枝をかき集めて川をせき止めちゃいます。

見かけはとてもずんぐりむっくりしていて愛らしいのですが、木を倒したり、川を堰き止めたりと、森の中で土木工事をやるお騒がせものなので、土地の住民からは煙たがられる存在なのでそうです。

とっても面白い奴なので、一度アメリカの森林、とくに川のある場所に来たときは、その爪痕をさがしてみるものいいいです、運が良ければその仕事を観られるかもしれませんね。




北アメリカのビーバーの情報、写真、生息地と事実

ビーバーは半水生の動物で、大きく平らな尾と長く鋭い歯を持つ滑稽な姿をしています。しかし、魅力的な生き物であり、環境の中で素晴らしい働きをしています。

北アメリカのビーバー(Castor Canadensis)は、いつも何かを企んでいるような「忙しい人」として有名です。ビーバーほど自然環境を変えることができる動物は他にはいません。American Expeditionでは、ビーバーの情報や興味深い事実、写真を紹介しています。


北アメリカのビーバー情報

北アメリカのビーバーは大型の半水生の齧歯類です。長くて濃い茶色の毛を持ち、後ろ足には網目があります。尻尾は平らなパドル状で、長さは14インチにもなります。ビーバーの体長は約29~35インチ、体重は約25~70ポンドです。ビーバーのまぶたは透明で、水中での視界を確保します。ビーバーの歯は、木やその他の植物を切り倒すのに使われますが、長くてとても鋭いです。

ビーバーはダムを作って洪水を起こし、食料や身を守るために利用しています。ビーバーは環境の中で重要な役割を果たし、環境の繁栄に貢献しています。しかし、農家などの土地所有者からは迷惑な存在とみなされることもあります。

ビーバーは冬に交尾し、4月から6月にかけて山小屋で出産します。平均的な出産数は通常4匹ですが、最大で9匹になることもあります。ビーバーのペアは1年に1回しか子供を産みません。子供たちは2年ほど母親と一緒に過ごした後、独立します。野生のビーバーの平均寿命は24年です。


北アメリカ・ビーバーの豆知識

・ビーバーは、北アメリカで最大の齧歯類です。

ビーバーのグループは、コロニーと呼ばれています。

ビーバーの下半身には匂い腺があり、毛皮を覆う液体を分泌して防水性を高めます。

ビーバーは一夫一婦制で、同じビーバーと一生を共にする。

ビーバーは15分ほど水中に潜ることができます。

泳ぎが得意なげっ歯類です。

危険を知らせるために、ビーバーは尾を水面に叩きつけます。

ビーバーは時速5マイルで泳ぐことができます。

ビーバーの家は "ロッジ "と呼ばれています。

ビーバーはダムを作って洪水を起こし、そこから食料や身を守ることができます。

ビーバーは夜行性です。

ビーバーの鳴き声は、ヒスノイズと尾を水に叩きつける音です。

ビーバーは優れた嗅覚を持っています。

ビーバーは視力と聴力が劣ります。

ビーバーの門歯は一生伸び続けますが、木をかじることで体を維持します。


北アメリカ・ビーバーの生息地

ビーバーは北アメリカとカナダの全域に生息しています。ビーバーは水源に近い場所に生息する傾向があります。湖や川、小川、池などの近く(または中)に住むことを好みます。


ビーバーの食事

北米のビーバーは草食動物なので、葉、根、水生植物、樹皮などを食べます。木を切り倒すとき、ビーバーは幹の樹皮を食べますが、主に上部の柔らかい枝を食べます。


2021年3月23日火曜日

ニューヨーク郊外:春の旅 1

ミネワスカ州立公園を行く



気候もいよいよ春らしくなってきて、どこか郊外へと行きたくなる季節です。いまだコロナの影響で外出には格段の注意が必要ですが、人の密集しない森林地帯なら大丈夫だろうと、今回ハイキングに選んだ場所は、ミネワスカ州立公園です。

ニューヨーク州アルスター郡に位置するミネワスカ州立公園保護区は、海抜2,000フィート以上のドラマチックなシャワンガンク山の尾根に位置し、周囲は険しい岩場に囲まれています。この公園には、数多くの滝、3つのクリスタル・スカイ・レイク、鬱蒼とした広葉樹林、切り立った断崖や美しい景色に面した岩棚、谷間を流れる清流があり、35マイルの馬車道と50マイルの歩道があり、サイクリング、ウォーキング、ハイキングなどを楽しむことができます。これらはすべて、ニューヨークから車で1時間半以内の場所にあります。

また、ハイキング、サイクリング、水泳、ピクニック、スキューバダイビング、ロッククライミング、ボルダリング、ボートなどを楽しみ、景色を眺めることもできます。乗馬やクロスカントリースキーのコースもあります。テクニカルロッククライミングが可能です。




広大な自然を満喫できる場所

ミネワスカ州立公園保護区は、22,275エーカーの広さがあり、季節を通して全米からハイキング客が訪れ行楽を満喫しています。ニューヨーク州アルスター郡のシャワンガンク・リッジに位置するこの岩場は、海抜2,000フィート以上の高さがあり、25マイルのフットパスと35マイルのキャリッジ・ロードが整備されていて、あらゆるレベルの人が楽しむことができます。ニューヨーク市から車で約90分の距離にあり、都会暮らしの人が大自然の癒しを求めて集まる人気のスポットのひとつで、毎年約25万人の観光客が訪れています。

この日は日中18度まで上がったのですが、湖はまだ一面氷でした。



公園の保護区は毎日午前9時に開園し、閉園時間は年間を通じて日没とともに変化します。入口は国道44/55号線沿いにあり、入場料は車1台につき10ドル。62歳以上のシニアの方は、有効なニューヨーク州のIDがあれば、平日は無料です。山のふもと、メインゲートの近くに駐車場があり、Lower Awosting Carriage Roadや近くのAwosting Fallsへのアクセスが可能です。また、上部の駐車場からは、ミネワスカ湖、ピクニックエリア、保護区内の多くのフットパスやキャリッジロードに簡単にアクセスすることができます。この地図は、冒険の計画や公園内の移動に役立ちます。犬は許可されていますが、6フィート以上の鎖につながれていなければなりません。ただし、クロスカントリースキーのコースが整備されている場合は、犬を連れて入ることはできません。




ミネワスカという名前は、アメリカ先住民の言葉で "良い水 "という意味です。3つの空の湖があり、雨水で補充されています。ミネワスカ湖は最もアクセスが良く、最も人気のある湖です。 約3マイル離れたところにあるアウォスティング湖には、大きな平らな岩のビーチがあります。砂浜以外のビーチが存在するのはここへ来て初めて知りました。どちらも夏季には、指定されたビーチとスタッフ付きのライフガードがいて、泳ぐことができます。マランタンザ湖は3つ目の湖で、サムズポイント保護区の南西の方角に位置しています。




ハミルトンポイント、キャッスルポイント、ガートルードの鼻、ミルブルック山、マレーヒル、バーキーダーキル滝、マーガレットクリフ、アウォスティング滝、ストーニーキル滝、ビーコンヒル、リッチフィールドレッジ、レインボー滝、ハイピーターズキルなどの人気の高い景勝地があります。これらの特徴は、ニューヨーク州に特有の地質学的、生態学的特徴を公園内に数多く構成しています。散策中はすべてのエリアで注意を払い、崖の端には近づかないようにしましょう。本当に崖っぷちがそこかしこにあります。




ガンクスの愛称で親しまれているこれらの山々は、ロッククライマーにとって世界的な人気を誇っています。ミネワスカとその周辺のシャワンガンクスは、アメリカで最も賑やかなロッククライミングの名所のひとつで、毎年5万人のクライマーが訪れると言われています。2000年に国家歴史登録財に登録されたトラップス・マウンテン・ハムレット歴史地区は、この保護区とモホンク・プレスティヴに存在し、人気の高いアンダークリフ-オーバークリフ・トレイル・ループも含まれています。

ミネワスカの敷地内には、ユニークで広範な多様性を持つ珍しい植物や野生動物が生息しています。尾根沿いのピッチパインは、樹齢の割には小さく見えますが、樹齢は300年を超えることもあります。また、下層部には栗の木の森が広がっており、敷地全体が鳥類保護区となっています。ティンバーガラガラヘビ(Crotalus horridus)やボブキャット(Lynx rufus)も生息していますが、人間の存在を比較的気にしています。敷地内の一部では、申請書を提出し、一定の狩猟規則に従うことで狩猟が許可されています。

秋には紅葉が一面に広がる雄大なパノラマが




歴史

ミネワスカ州立公園は、もともと19世紀には個人の私有地で、アルバート・スマイリーとアルフレッド・スマイリー兄弟のモホンク・マウンテン・ハウスの敷地の一部でした。兄弟は、この土地のユニークで自然な美しさを強調した、ゲストのための自然の隠れ家を作ろうとしました。1875年に操業を開始した彼らは、クエーカー教徒としてのライフスタイルを反映して、アルコール、カード、ダンスを禁止し、宗教行事を頻繁に行うようにしました。


自宅から40分余りの景勝地ですが、植物相は全く違い、9割がエバーグリンの常緑樹。地面のいたるところにごつい岩がむき出しになっており、まるで別世界です。春夏秋冬いつ来ても大自然の息吹に触れられる素晴らしい憩いの場所であります。


2021年3月22日月曜日

初心者の鳥撮りカメラ

 カメラ選び:野鳥用


アメリカでも人気の趣味の一つである、野鳥観察、および撮影。こちらの人はどのようなカメラを使っているのでしょうか。日本とそれほど変わらないと思われるでしょうが、ここ10年ほどの売れ筋をみていくとその相違が見えてきます。ただし昨今、ミラーレスが主流になりつつある中では、野鳥用カメラの志向も似てきているようです。

今回はこれから野鳥を撮影してみようかなと思われている方に向け、大きく三つの推薦カテゴリーに分けてみました。この中からあなたに合った野鳥撮影カメラがかならず見つかるはずです。


1 とにかく簡単に野鳥を撮ってみたい。

このジャンルではいわゆるブリッジカメラがおススメです。

特徴は広角から超望遠まで一台でカバーできる便利さに尽きます。ひところは人気機種としてほとんどのカメラメーカーからこのタイプは出されていました。ブームが去った今が買いごろで、ディスコンになる前に一台持っておくと、野鳥のみならずなにかと撮影に役立ちます。例えば学校の運動会や発表会、ライブイベント、スポーツ観戦などです。

一見すると大ぶりで、ゴテゴテいろんな機能がついていて、とっつきにくいと感じるかもしれませんがご安心を。使い方は簡単で、特段カメラの知識がなくても、フルオートでしっかりした写真が撮れます。特にこの手のカメラは20倍、30倍以上の超ズームが特徴なので、手振れ補正は大抵ついています。三脚なしでもそこそこの写真が撮れ、三脚を構えて撮れば、本格的な野鳥撮影にも肉薄する絵が撮れます。

その代表格が、NIKON P1000です。

ニコン「COOLPIX P1000」は、デジタル一眼レフスタイルのスーパーズームで、世界最高水準の125倍ズームを実現しています。このカメラの特徴は、なんといってもレンズにあります。広角24mmからスタートし、3000mm相当までズームできるので、月面の極部をトリミングして撮影することも可能です。身近なところでは、P1000は1cmまで近づいて撮影できるので、マクロ撮影も可能です。開放値は、広角側でF2.8、ズームアップするとF8になります。レンズには光学式手ブレ補正機能が搭載されており、動画撮影時には電子式手ブレ補正機能を追加することができます。

レンズ以外の部分では、比較的小型の1/2.3インチセンサーを搭載しており、解像度は1600万画素で、JPEGだけでなくRAWファイルの保存も可能です。フル解像度のフレームを1秒間に7fpsでバースト撮影することができます。また、VGA(640×480)の解像度ではあるが、120fpsまでの低解像度の連写も可能だ。P1000では、1080p、720pに加えて4K動画の撮影も可能で、2倍(720p)、4倍(480p)で再生するハイスピード(スローモーション)モードも搭載しています。

P1000は、フル可動式の3.2インチ大型液晶ディスプレイと、0.39インチ230万ドットの有機EL電子ビューファインダーを搭載しています。内蔵フラッシュに加え、ホットシュー、外部マイク用ソケット、ミニHDMIポート、カメラ内のバッテリーを充電するためのUSBポートを装備しています。

ちょっと高すぎ、大きすぎ、オーバースペックだと思われる方には、


CANON SX70



SX70 HSは、3インチ92万ドット液晶バリアングルスクリーンを採用しています。このスクリーンは、サイドヒンジで折りたたんでどの方向にも向けることができ、難しいアングルからの撮影や、静止画や動画のセルフィー撮影に非常に役立ちます。また、内蔵の電子ビューファインダーは236万ドットの有機ELパネルに更新され、明るい環境での撮影時には明るく大きな視野が得られ、長い焦点距離にズームした場合には被写体をフレーム内に収めることができます。また、新しいファインダーには近接センサーが搭載されており、カメラを目に近づけると自動的に画面とファインダーが切り替わります。この点では、ビューファインダーを搭載していないだけでなく、従来のフリップアウトスクリーンから固定式パネルに変更されたCOOLPIX B600よりもSX70 HSの方が優れています。

SX70 HSは、センサーとプロセッサーのアップデートにより、2,000万画素のCMOSセンサーとキヤノンのDigic 8プロセッサーを組み合わせ、JPEGおよびRAW画像(キヤノンの圧縮RAWフォーマットを含む)、10fpsの高速連写、4K動画を実現しています。4K動画は、SX70 HSのセンサー中央部を1:1でクロップしているため、レンズの焦点距離が長くなり、より近づいて撮影することができます(ただし、広角側の撮影範囲は狭くなります)。SX70 HSは、3.5mmのマイク入力を備えており、動画撮影に適した仕様となっています。ただし、キヤノンは前モデルのホットシューを廃止したため、ショットガンマイクを装着する場合にはブラケットを使用する必要があります。また、接続性について言えば、カメラ内でのUSB充電はまだありません。

 

2 野鳥を綺麗に撮りたい。

今回はビギナー向けという事で、バズーカ砲のようなレンズを付ける一眼レフはご紹介しません。その代わり1インチセンサーで、仕上がりはAPS-Cセンサー機に匹敵する1台をお勧めとします。

それは、SONY RX10 IVです。




RX10 IVは、RX10 IIIで指摘されていたオートフォーカス性能の不満という主旨にソニーが耳を傾け、優れたブリッジカメラを実現させました
特に24コマ/秒の高速連写をしたい場合には、野鳥はもちろん野生動物やアクションの撮影に有効な選択肢となります。

ブリッジカメラの多くは、28mmから500mmまでの光学的に長いズームレンズを搭載しています。しかし、最大焦点距離でF6.5またはF8以下の小口径レンズを搭載しています。

しかし、RX10 IVは違います。焦点距離24mmから600mmまでの非交換式レンズでありながら、600mmでF4という大口径を実現しています。さらに、最短焦点距離での開放F値はF2.4と、他社よりも1〜2段高い数値を実現しています。

このため、RX10 IVは野鳥撮影に適しており、遠くの小鳥に素早くズームインし、迷わず撮シャッターを切ることができます。

RX10 IVは、315点の位相差AFを搭載しています。撮影速度は、従来の14コマ/秒から24コマ/秒に向上し、解像度144万ドットのタッチパネルディスプレイを搭載しています。

デザイン面では、RX10 IVは先代モデルと大きな違いはありません。左上にはモードダイヤル、右上には露出補正ダイヤルが配置されています。絞りは鏡筒リングで素早く変更でき、マニュアルモードでは背面ダイヤルでシャッタースピードを調整できます。焦点距離の調整は、シャッター周りのズームレバーや、レンズのステップズーム鏡筒を回すことで簡単に行えます。

1インチセンサーの静止画と動画の画質は素晴らしく、操作性も非常に良好です。タッチスクリーン機能が搭載されたことは歓迎すべきことですが、これをさらに統合することができるでしょう。

3 記録としてたくさんの野鳥を撮りたい。

Panasonic TZ95 がおススメです。


こちらはポータビリティを最重視しつつ、じゅうぶんなズーム性能で、いつどんな時でもバッグやポケットからさっと取り出して、構えるだけでいい写真が撮れるスグレモノです。

パナソニックのTZシリーズは、ポケットサイズのカメラとして長年親しまれてきたシリーズです。TZ90の最大の特徴は、チルトアングルスクリーンを搭載したことで、手のひらサイズのカメラでありながら、腰の高さや正面からの自撮りが可能になりました。
さらに、内蔵ビューファインダー、チルト式タッチスクリーン、4Kビデオ・フォトなどの魅力的な機能を搭載しており、Wi-FiとBluetooth接続が可能なことで、より充実したパッケージとなっています。

パナソニックLumix TZ95(北米での呼称はZS80)は、30倍(24-720mm F3.3-6.4)のレンズを搭載したポケットトラベルズームです。2019年4月に発売されたこの製品は、初期のTZ90 / ZS70に代わるもので、ビューファインダーをより詳細に見えるように更新し、既存のWifiに加えてBluetooth接続を追加し、撮影中にバックグラウンドで画像を転送できるようにしました。

大規模なアップデートではありませんが、TZ95 / ZS80には、先代モデルやそれ以前のTZ / ZSモデルを大ヒットに導いた多くの機能が受け継がれています。3インチの1040万ドットのチルト式タッチスクリーン、露出設定用の独立したモードダイヤル、プログラム可能なレンズリング、10コマ/秒の連続撮影、30コマ/秒の8メガピクセル4Kモード、4Kビデオ、RAW撮影などです。野鳥撮影に必要十分な倍率ですので、十分な光のある条件ならば、記録として保存するに足るキレイな写真が撮れるでしょう。


ライバルとしてもう一台挙げるなら、SONY HX90



サイバーショットDSC-HX90Vは、発売当時、世界最小のスーパーズームカメラでした。24-720mm相当の30倍ズーム、光学式手ブレ補正機構、18.2MP BSI CMOSセンサーを搭載しています。RX100 IIIと同じポップアップ式有機EL電子ビューファインダーと、上方向に180度傾く3型液晶を搭載しています。また、RX100と同様に、レンズの前面にはカスタマイズ可能なリングが付いています。HX90Vは、XAVC Sコーデックによる1080/60pの動画撮影が可能で、最大50MBpsのビットレートを実現しています。また、NFC付きWi-FiやGPSも内蔵しています。ソニーの技術が凝縮された一台として、野鳥撮影にも活躍できる一台です。


2021年3月21日日曜日

野鳥をカメラで撮る

野鳥撮影初心者の入門編その1



まずは練習

野鳥撮影という新しい趣味を始めるのに最も重要なことは、一に練習、また練習です。鳥の写真を撮るには、鳥がたくさんいる場所を探さなければなりません。これは当たり前のことです。しかし、多くの鳥好きのカメラ初心者は、有名な鳥類保護区みたいなところまで行って撮ろうとします。最初の意気込みとしては結構なのですが、まず自分の近所で練習するところから始めましょう。一刻も早く希少な鳥を撮りたいとはやる気持ちは分かりますが、野鳥を撮るのは思いのほか難儀です。


まずは自分の家の周りを見てみましょう。都会じゃ鳥はいないという人は、スズメやカラスに失礼です(笑)。身近な鳥は格好の練習台です。とくにすばしっこく動き回るスズメはあなたの野鳥撮影トレーナーです。数か月、あのスピードに慣れるほどに、ファインダーで追い続けていると、他の鳥が止まって見えます。と言えば大げさですが、間違いなく小鳥の動きに順応できるようになります。
我が家の近くには大きな川がありヨットハーバーがあるので、カモメがたくさん集まってきます。芝の野球場にはカナダ鴨が群れ、近くの沼沢地にはトンビも舞っています。野鳥を探すにはけっこう贅沢な土地なのですが、それでもいざ鳥を撮るとなると、日中丸一日鳥探しに終始して収穫ナシの日もあるものです。
すこしでも効率よく野鳥を撮るには鳥の生態を下調べし、どんな場所にどんな鳥がいるのか、どのような行動をするのか、ある程度知っておくべきです。ただやみくもに森に分け入っても時間が過ぎていくばかりなのです。
そうしてようやくやってきたシャッターチャンスに、カメラの腕が追い付かず、失敗写真の山を築くというのが初心者のあるあるです。




観察者になることが野生写真撮影の肝です。身近なものから観察していきましょう。


ほとんどの動物園には鳥がいますし、多くの動物園には地域の鳥やエキゾチックな鳥がいっぱいの鳥小屋があります。経験豊富な写真家は動物園での撮影を嫌がることがありますが、それは無視してください。動物園での試し撮りは、多くのアマチュア写真家が通う場所です。私たちは裏庭から動物園まで、どこから始めるのも自由です。ただ高いハードルを課し遠征してまで野鳥を探すのは待ってください。腕前が上がるのを待ってからでも遅くありません。



構図

写真撮影のコツとして、構図についての説明が必要です。構図と光は、写真撮影に欠かせない2つの要素です。風景写真から人物写真まで、どのようなスタイルの写真を撮るにしても、この2つの要素をしっかりと把握する必要があります。

どこに行くにもカメラを持ち歩く習慣をつけましょう。自分の周りの世界を、写真家になった気分で見てみましょう。繰り返しますが、鳥に限らず、撮影は観察力が命です。さまざまな色や光の陰影に注目してください。曖昧なシーン、皮肉なシーン、逆説的なシーンを探してみましょう。

初心者の方が陥りがちなのが、被写体がきれいに撮れているのに、背景が汚くなってしまうことです。被写体の向こうに何があるのか、特に鳥の場合は鋭い観察力が必要です。逆に鳥の後ろに美しい環境があったとしても、被写体を台無しにするような構図はあってはなりません。

構図についての最終的な考えはいろいろあるでしょうが、まずはフレームいっぱいに鳥を入れること、自然でない環境を避けること、そして鳥の目を捉えることです。ボケた背景を余白として大きく取ることもありますが、やはり基本は鳥を大きく撮ることです。



撮影機材

野鳥撮影の旅ほど、ワクワクと緊張するものはありません。初心者には二通りあって、カメラ一台レンズ一本だけで勝負するタイプ。もしくは大きなリュックサックに三脚、双眼鏡、カメラ、レンズ数本に雨合羽、折りたたみ椅子、食料などを詰め込んで、野営も辞さないタイプです。でもそれらはだいたい


足手まといになるだけです。さらに、自分が何をしているのか、何が本当に必要なのかがわかるまでは、高価なツールはレンタルすることをお勧めします。

現在のデジタル社会では、スマホのカメラでも多くの写真を撮ることができます。しかし鳥の写真はスマホに向かない被写体の代表格です。鳥は小さくて、速くて、臆病です。グリップさえないスマホでは、うまく撮れないことがほとんどです。

野鳥撮影の初心者には、最低でも2,000万画素、マニュアル設定、200mm以上のズームを備えたカメラが必要です。ブリッジカメラ(ポイント・アンド・シュートとフルデジタル一眼レフの中間のようなもの)の多くは、お金をかけずにこれらの資格を備えています。

また、三脚とシャッターレリーズも必要です。鳥は小さく、遠くにいることが多いので、シャープな写真を撮るためには、カメラをできるだけ静止させる必要があります。そのために、三脚とシャッターが必要なのです。必然的にレリーズの代わりにカメラのタイマーを使うこともできます。

もっと高度な話になると、ズームレンズ、カメラのセンサーサイズ、秒間コマ数、ミラーレスとデジタル一眼レフの違いなどが出てきます。



撮影後の処理

今日、ほとんどの写真家は、すべての画像に編集を施しています。中には、画像の修正を嫌う「純粋主義者」もいますが、近年それは稀です。今日のデジタル機器では、写真家はRAWフォーマットで撮影することが常です。これについては、また別の機会にご紹介したいと思います。RAWファイルは、より多くのデータを扱うことができますが、常にカメラの外での調整が必要です。

フィルム時代には、本格的な写真家は暗室で結果をコントロールすることを学びました。Adobe PhotoshopやLightroom、Affinity PhotoやCapture Oneなどの編集は、暗室での作業に匹敵するものだと思います。

後処理について包括的に論じると、何十ものブログ記事が必要になります。今回は、いくつかの簡単なヒントを紹介します。

照明
写真編集で一番時間をかけるのがこのパートです。ハイライト、シャドウ、全体の光を調整します。私たちは皆、カメラで完璧な照明を撮ろうと努力します。しかし、実際にはいくつかの調整が必要な場合が多いのです。実際に自分でみた光景を思い起こし、どのような光のトーンであったか、思い出しながら、自分の心に正直に微調整をかけていきます。

分析
画像は、カメラの背面にある小さな液晶画面ではよく見えます。しかし、撮影した画像のクオリティやシャープネスをコンピューターのモニターで評価することは重要です。鳥の写真はディテールが命。編集ソフトを使って、画像の足りない部分を補うのはいいことです。次回の撮影のためのデータとして役立てましょう。

写真を整える
鳥が飛んだり跳ねたりするのを追っていると、思いがけず電柱や建物、壁、車、フェンスなど、余計なものが映り込んできます。後処理ソフトはこれらを除去したり柔らかくぼかしたりする魔法のようなものです。不自然な加工にならない程度に調整するセンスが必要です。



おまけ



グラフィカルな紙の本で、野鳥ハンドブックはいろんな種類が出回っています。これは野鳥探しのために非常に頼りになるので、ぜひ一冊は持っていて欲しいものです。
洋書ですが、National Geographic Field Guide to the Birds of North Americaはアメリカでバードウォッチングする人は大抵持っている必携のガイドブックです。どの季節にどんな鳥がどこにいるのか一目でわかり、とても便利な一冊です。
あとThe Sibley Field Guide to Birdsというシリーズの野鳥ハンドブックが大人気で、この本も鳥の生態を知りたい方には必携のものとなっております。



2021年3月20日土曜日

SONYビギナー:カメラの選び方

豊富な選択肢のソニーデジカメ



人気のソニー、ミラーレスカメラを使う人が増えています。特に最近はVlog用途でソニーを選ぶ人が多いようで、アメリカのカメラ小売店でも、ソニー独自のディスプレイブースに人が立ち止まっているのをよく見かけます。


実際大いに売れているソニーカメラですが、選択肢が多すぎで、これからカメラを始める人にはなにがなんだか、わからないかもしれません。

さすがミラーレスの先駆者だけあって、種類も豊富です。特にフルサイズミラーレスの分野では、特性別に様々なモデルに枝分かれしつつも、基本形状はかなり似ています。しかもソニーの方針でしょうか、古いモデルも併売し続けるので、ちょっとした注意が必要です。
いずれのカメラもセールスポイントがあって、撮る対象によって買う機種を選ぶ必要があります。今回はソニーのカメラが持つ特徴を中心にどのような機種があり、何に向いているのかに注目したいと思います。

ではソニーのフルサイズミラーレスカメラを順を追って見ていきましょう。あなたに最適なソニーのカメラがきっと見つかるはずです。(なお本文では便宜上、大文字でA7などと記載していますが、本当はa(アルファ)が正解です)  



A7Rシリーズ、イコール
高解像度カメラと覚えましょう

有効画素数6,100万画素のフルフレームセンサーを搭載したソニーA7R IVは、A7シリーズの中で最も高精細なモデルです。膨大な量のディテールを捉えることができ、ソニーの素晴らしいセンサー製造のノウハウとBSI設計により、ノイズが非常によく抑えられています。とはいえ、可能であればISO12,800を上限とすることをお勧めします。それでも並みのカメラとは次元が違いますよね。

一方、その前身である42.4Mpの「A7R III」は、「A7R II」と同じセンサーを搭載しています。どちらも36.4Mpのセンサーを搭載した初代A7Rよりも細部まで解像していますが、A7R IVにはかないません。ここまでくるとプロやハイアマチュアの判断レベルなので、一般撮影にその差を考慮することはまずないでしょう。

A7R IIIがA7R IIよりも画質面で優れているのは、低感度設定時のダイナミックレンジが改善されている点です。しかし、ここでは0.5EVの話をしているに過ぎません。風景写真では重要ですが、NDグラッドや合成画像を使用する場合には、それほど大きな問題ではありません。

また、A7R IIIは、これまでのモデルよりも丸みを帯びた印象を受けます。オートフォーカスシステムも素晴らしいので、スポーツ撮影にも適しています。




ソニーは機種ごとに操作性を向上させてきました。その結果、A7R IVのハンドリングは、A7Rよりもかなり良く、A7R IIIよりも少し良くなっています。A7R IIIと同様、最近のカメラにはタッチスクリーンが搭載されていますが、ソニーはそれをやり過ぎてはいません。(ソニーの弱点はタッチスクリーンを含む操作性と言われています。がこれも徐々に改善されつつあります)。ただ本機では残念ながら、画像の拡大・縮小やAFポイントの設定にしか使えません。

A7R III、A7R IV(およびA7 III)には、AFポイントの設定を簡単にするジョイスティックもあります。もちろん、静物やマクロ、風景写真を撮る人にとっては、それは大きな問題ではないかもしれません。これは
A7R IIIのカメラよりもA7R IVの方が少し太く、見つけやすいです。



最高のソニーA7Rシリーズのカメラは?

もし、ソニーA7Rがお買い得な価格で手に入るなら、検討する価値はあります。しかし、A7Rシリーズの中で最初に選ぶカメラではありません。A7RのAFシステムは最新のものではなく、操作性にも問題があります。A7R IIIとA7R IVに搭載されている瞳AF(人間と動物)は素晴らしいものですが、動画で人間に対応させたいのであれば、最新のモデルを選ぶ必要があります。

素早いAFポイントの選択や最速のフォーカシング、改善されたダイナミックレンジを必要としないのであれば、A7R IIは良い意味で堅実な提案に見えます。また、A7R IIIよりも大幅に節約できます。しかし、余裕があれば、A7R IIIは確実なアップグレードになります。



ソニーA7Sシリーズが動画に最適

「A7S」「A7S II」「A7S III」はビデオカメラとしての位置づけですが、ソニーは「A7R II」「A7R III」「A7R IV」「A7 III」の動画機能にも手を抜かずに開発しています。しかし、A7Sモデルが勝っているのは、低照度での撮影能力です。これは今のところ他社では及ばない強みです。いずれのモデルも、最高でISO 102,400のネイティブ感度を持っています。
また、画素数が12Mpと少ないため、ノイズへの対応も非常に優れています。

しかし、A7SとA7S IIが低照度下で苦手とするのは、フォーカスです。日常的にマニュアルでピントを合わせている多くのビデオグラファーにとっては問題ではありませんが、時代には少し遅れをとっています。ありがたいことに、ソニーA7S IIIはこれに対応しています。ソニーA7S IIIは、759個の位相差検出ポイントと425個のコントラスト検出ポイントを持つハイブリッドAFシステム、静止画と動画のためのリアルタイムアイAF(人間と動物)を搭載しています。そのAFシステムは、-6EVまで動作することも謳われています。




当然、A7Sシリーズを検討している方は、動画が第一の関心事だと思います。A7SとA7S IIはこの分野で実績があり、素晴らしい品質の結果を出しています。A7S IIIはまだ発表されたばかりなので、ソニーの主張を検証することはできませんが、紙面上では、これまでのソニーの4Kカメラの中で最も高性能なカメラとなっています。

フルセンサーリードアウトを搭載し、ピクセルビニングを行わず、ハイブリッドオートフォーカスシステムを作動させた状態で、最大120pの4Kビデオまたは最大240pのフルHD映像を撮影することができます。

また、すべての記録フォーマットにおいて、10ビットの色深度と4:2:2のカラーサンプリングが可能です。

さらに、XAVC S-I 4K (All-Intra)、XAVC HS 4K (Long GOP)、XAVC S 4K (Long GOP)などの新/改良コーデックの導入に加え、S-Log2、S-Log3、改良されたS-Gamut3、S-Gamut3.Cineカラーサイエンスを搭載しています。まさに動画に関しては至れり尽くせりの設定。これさえあれば大抵の動画撮影条件に対応できます。

また、ソニーはA7S IIIのデュアルカードスロットをアップグレードし、SD/SDHC/SDXC UHS-IIメディアに加えて、新しいCFexpress Type Aカードにも対応しました。強化されたS&Q(Slow and Quick)モードで最高の画質を得るためには、これらのカードが必要です。

また、「A7S III」に寄せられた最大の要望の一つであったバリアングル方式のタッチスクリーンを採用しました。これにより、頭上や頭下からの撮影でもシーンが見やすくなり、多くの方にとって外部モニターが不要になります。

バリアングルスクリーンを使ったビデオ撮影に興味があるが、A7S IIIの価格が気になるという方には、ソニーのA7Cをお勧めします。昨年9月に発表されたこのカメラは、24Mpのフルフレームセンサー、Bionz X処理エンジン、優れたオートフォーカス機能に加えて、相応の動画スペックを備えています。Rawビデオ機能はありませんが、S-Log2またはS-Log3で高品質な4K映像を撮影できます。




ただし、A7CにはA7S IIIのようなメニュー構造の見直しや、優れたタッチコントロール機能は搭載されていません。また、0.39インチタイプのA7Cのファインダーも、フルサイズのカメラとしてはかなり小さめです。それさえ気にならなければ、携帯性と言い性能と言い申し分のないカメラです。



ソニーA7Sシリーズのベストカメラはどれ?

ソニーA7S IIIが発表されたばかりなので、A7S IIの立場が微妙です。店頭では新機種発売のタイミングで、展示品も入れ替えるので、前の機種が展示品価格で安く出ることもあります。それに連動してネット上でもオープンボックス品やリファービッシュ(再調整品)も出回りやすくなります。
現在中古市場では、A7S IIの価格がこなれてきており、予算に応じて中古のそれを選んでも後悔はしないでしょう。
このカメラは多くのビデオグラファーにとって素晴らしい仕事をしてきており、手入れのいいものなら買って損はありません。
A7S IIIは、解像度はアップグレードこそしていませんが、操作性と機能が改善されており、素晴らしい4Kビデオの作成がより簡単になるはずです。



ソニーA7シリーズ :手頃な価格の選択肢

A7 IIは非常に優れていましたが、A7 IIIはそれよりもはるかに優れています。しかも、発売時のソニーの価格は、1,998ドル(ボディのみ)、28-70mmレンズ付きで2,198ドルと、フルフレームカメラとしてはかなり積極的なものでした。しかし、発売後ゆっくりとですが価格は下がっています。
A7 IIIは間違いなく、A7やA7 IIをしのぐ高性能なAFシステムを持っています。これだけでもこちらを選ぶ価値はあります。先代、先々代機種にしようかと迷っているなら、断然A7 IIIがおススメです。また、ミニジョイスティックコントロールによる操作性の向上、タッチスクリーン、2つのカードポートも搭載されているのも見逃せない進化です。

A7 IIIのフルフレームセンサーの画素数は2,420万画素で、人気の高い数字であると同時に、細部の解像度、ファイルサイズ、ノイズコントロールのバランスが取れています。さらに、S-Log付きの4K(3840×2160)動画撮影機能と、A7 IIよりもはるかに長い寿命を持つバッテリーを加えれば、Mark IIIを購入するのは簡単なことのように思えます。

ソニーには現在、A7Cという「手頃な価格」のフルフレームカメラがあります。以前記事にも書いたように、このカメラはフルサイズでありながら、ボディ筐体はソニーのAPS-Cシリーズの流れをくむコンパクトなものです。それでいて
A7 IIIと同等の性能プラス、バリアングルモニターでセルフィ―の行けてしまうスグレモノ。現在ソニーのラインアップの中でも同時の位置を占めて今後の展開が楽しみな機種ではあります。
ただ、現在の市場価格はA7 IIIよりも高く、バリアングルスクリーンを搭載しているものの、その他の点ではそれほど充実しているとは言えません。どうしてもバリアングルスクリーンが欲しいという方以外は、操作性のいいA7 IIIをお勧めしますが、ソニーA7 IVの発表がそう遠くないことは念頭に入れておいてください。



ソニーA7シリーズのベストカメラはどれ?

米国では、ソニーA7 IIはボディのみで約899ドルで購入できます。これは、A7 IIIの現在の希望価格1,699ドルを下回る魅力的な価格です。しかし、新しいカメラは多くのことを与えてくれるので、その価格差は納得のいくものです。


で結局ソニーのA7カメラシリーズの中でどれを選ぶべきかって事です


ええ、はっきり言いましょう。現段階で、どのソニーA7がベストなのか迷っているのであれば、A7 IIIを選択してください。マニアックな写真家を視野に入れて設計された、素晴らしいオールラウンダーです。ソニーが「ベーシックなフルフレームカメラ」と呼んでいることに惑わされないでください。ベーシックとはかけ離れています。本当にすごいカメラです。ソニーは、このジャンルを再定義したいと考えているのかもしれません。

A7 IIIでは、動きの速いスポーツやアクションなど、さまざまな被写体を撮影することができます。また、ノイズもよく抑えられており、画像のディテールも期待を裏切らないレベルにあります。

より高い解像度を求めるのであれば、A7R IVが最適で、そのAFシステムは素晴らしいものです。動画を重視するのであれば、ソニーA7S IIIをお勧めします。

もちろん、高解像度の静止画撮影と、高速で素早いAF、16ビットのRAW動画撮影を両立させる必要があるとお考えの方には、50MpのソニーA1がお勧めです。現在、予約受付中ですが、スポーツ、ウェディング、ジャーナリストなど、多くのプロフォトグラファーがミラーレス写真に移行するきっかけとなるカメラになりそうです。



次はA9と
A9 IIをまとめて紹介します




A9 IIはA9のアップデート版というべきカメラですが、A9 IIにはより良いカメラにするためのいくつかの調整(バッテリー駆動時間の若干の改善、USB Type-C接続など)が施されています。このカメラは確かに高速度撮影が可能で、見栄えのする画像を生成しますが、さらに使いやすくするための調整があればと思います。

例えば、別のメモリーカードを入れたときに「画像データベースの作成」が必要になるなど、使い勝手の面で不満が残る(あるいは我慢しなければならない)ことがあります。もちろん、動画のフレームレートを変更するために必要なNTSC/PALの切り替えや、それに伴うメモリーカードのフォーマットの "必要性 "にもイライラさせられます。また、長大なメニューシステムのため、設定項目を探すのに苦労することもあります。

すでにソニーA9をお持ちの方は、今回のアップデートが特に必要でない限り、A9 IIにはアップグレードを正当化するだけの十分な機能はないと思われます。しかし、もしあなたがA9を持っていて、それを交換しなければならないのであれば、A9ではなくA9 IIを選ぶのは理にかなっていると思います。人工的な照明の下で撮影することが多い場合、アンチフリッカー機能が役に立ちますし、メカニカルシャッターを使って10fpsで撮影することもできます。

A9 IIは、キヤノンやニコンのプロ用デジタル一眼レフカメラ(1DX/D6など)よりも小型で安価ですが、高級レンズをいくつか追加すると、すぐに重量が増えてしまいます。A9 Mark IIは、新しい望遠レンズ(400mm F2.8、200-600mm F5.6-6.3、600mm F4)を導入したことで、スポーツや野生動物への対応がさらに強化されており、ブラックアウトのない20fpsの連写は多くの人が望むものです。初心者向きではありませんが、予算に余裕があって、将来長く付き合うカメラが欲しいなら、本機はベストチョイスです。


そして最後にフラッグシップラメラ、A1

初心者がこの機を選ぶという事はまずないでしょうから、そのすごさと特徴を述べるにとどめましょう。
ソニーA1は、高解像度センサー、超高速バースト撮影、光速AF、プロ仕様の接続性、8K rawビデオなどにより、ほぼすべての写真のニッチをカバーする、本当に万能カメラです。とても魅力的なカメラで、その画質は他の追随を許さないものですが、価格が高いため、多くの写真家には手が届きません。




ソニーA1は、ソーシャルメディアの用語で言うと、「フレックス」に相当するカメラです。スピード、高解像度の静止画、8K動画という稀有な組み合わせで、究極のミラーレスカメラ、ソニーの紛れもないフラッグシップ機を目指しています。

このカメラの最大のセールスポイントは、おそらくこれまでに作られたプロ用カメラの中で最も多機能なカメラであるということです。1つの写真分野に特化することなく、A1(またはα1)は、スタジオでも、プロスポーツイベントのタッチラインでも、セレブの撮影でも、ジャングルで野生動物を撮影しても、ハリウッド映画のセットでビデオを撮影しても、同じように能力を発揮します。

ソニーA1の最も近いライバルはキヤノンEOS R5で、こちらも8K動画を撮影できます。しかし、静止画の分野では、A1が複数の分野でR5に勝っていると言ってもいいでしょう。例えば、連続フレームレートはR5の20fpsに対してA1は30fps、解像度は45MPに対して50.1MPとなっています。しかし、現実的には、どちらのカメラも、どちらかのシステムに投資しているフォトグラファーやビデオグラファーを誘惑するようなものではありません。

ソニーA1の唯一の問題点はその価格で、米国ではボディのみで6,500ドルと、非常に高価なカメラです。高解像度の静止画が必要な場合は、61メガピクセルのSony A7R IVを選ぶことができます。また、スピードとプロ仕様の接続性を求めるのであれば、24.2MPの「Sony A9 II」が4,500ドル/4,800ドル/AU$7,299で、最大20fpsの連写が可能です。


まとめ

ソニーのカメラ戦略はとにかくアグレッシブで、他社を突き放すように、惜しげもなく次から次へと新しい機能を盛り込み、新機軸を打ち出してきます。とりわけ得意のオートフォーカスの分野など、ライバル機が追い付いたかと思うと、さらに早く精度の高いオートフォーカス性能を投入します。レンズのラインアップも、先駆者としての利点で、すでに多くの選べるレンズを揃っているのも強みです。
やり方として、フルサイズセンサー機を前面に押し出したのも先見の明がありました。スマホカメラが高性能化しつつある中で、圧倒的なセンサーサイズで、カメラとしての別の土俵を作った功績は、ソニーあってのことです。
ソニーがこれからどんな魅力的なカメラを出すのか、興味は尽きないところです。

購入のタイミングは、新機種が出た時です。キャッシュバックなどのキャンペーンが展開されるので、最新のものが割安で入手できます。あるいは一歩譲って、先代の機種が値下がりするのを待つのも手です。ただしソニーは新しい機種が出ても、前のを旧機種扱いしない場合も多いので、そこは見極めが必要です。

2021年3月19日金曜日

花の写真の撮り方

美しく感じた花を選ぶ




春の陽気が近づいてきて、いよいよ花も待ちわびたように咲き出す季節がやってきます。私が写真撮影の中で好きなもののひとつが、花の写真です。風景写真に比べると、遠くに行かなくてもユニークで美しい写真を撮ることができるので、少し気軽に楽しむことができます。自宅の庭や公共の庭園に足を踏み入れるだけで、そこには美しい花々の世界が広がっています。しかし、本当に美しい花のポートレートを撮影するには、技術とプラスアルファの要素が必要です。この記事では、花の撮影に興味のある方に向けて、私の撮影方法をご紹介したいと思います。


レンズ

私が花に最も適していると思うレンズのタイプを紹介します。それは、ズームレンズです。カメラ初心者の方は、「え?」と思われるかもしれません。花は普通マクロレンズが最適なのではと思われがちです。確かにそれは間違いではありません。ていうか世間的にはむしろ常道でしょう。私もマクロは使います。でも一番よく使って、納得がいくのは圧倒的にズームレンズなのです。

私はこれまでに、16-85mm、24-70mm、24-120mm、28-300mmを使ってきました。どのズームでも、とても良い結果が得られます。私のお気に入りはニッコール28-300で、人呼んで便利ズームと呼ばれるものです。これ一本で本当に何でも撮れちゃいます。レンズ交換の手間が省け、シャッターチャンスが激増します。
なのでこのレンズはほとんどすべての撮影に使用しています。ズームが好きなのは、構図を決めるときに自由度が高いからです。ズームアウトして花以外の部分を撮影したり、ズームインして花だけを撮影したりすることができ、一か所に立ってファインダーの中で何が一番良いかを確認することができます。

目的に応じて、専用のマクロレンズを使うこともできます。私は105mmマクロで花を撮影したことがあります。花の葯や雄しべ、花粉などを、マクロでは非常にクローズアップして詳細に撮ることができる。花についている虫も、毛の一本一本や足の切り込みなどを強調して、細かく撮影することができます。これを私は冗談で「花の顕微鏡観察」と呼んでいます。エンタメ的な要素の写真になるので、面白いことは間違いありませんが、ズームレンズほど魅力のある写真にはならないと思います。なので私はマクロを花用レンズのベストチョイスとは考えていません。

基本、花の撮影に使うレンズは、細部までよく写るものを選ぶ必要があります。私は50mmレンズで花を撮影したことがありますが、300mmまでの焦点距離を使っても成功しています。ズーム効果で背景もきれいにぼかせます。

私がこれまで花の撮影で試してきて最良のものは、マニュアルフォーカスの「ニッコール50mm F1.2」です。このF1.2で花を撮影するのは、非常に魅力的です。ニコンD500で使ってみました。私の経験では、F1.2では花の撮影には非常に使いにくいレンズです。被写界深度が非常に浅く、マクロレンズを使って極端に拡大してピントを合わせるのと同じくらい浅いのです。50mm F1.2で撮影した花のポートレートには、霧のような幽玄な雰囲気が漂う美しいものもありましたが、私の結論としては、忍耐と挫折を強いられることから、一般的な花のレンズとしてはあまりお勧めできません。





絞り

絞りは、直感的には開放側を選ぶのが一般的です。一般的には、手持ちのレンズの最大絞りで撮影するのが常道で、結果的にはそれが良い結果をもたらします。しかし、注意しなければならないことがあります。絞りを大きくすると被写界深度が狭くなるため、最大値でどれだけ花にピントが合うかを見極めるのが難しいのです。せっかくいい構図で撮れたのに、花の正面にしかピントが合っていないということもあります。このような場合には、少し後退して撮影し直すことで対応できます。被写界深度の範囲内に花が入るようになりますが、多くの場合、思ったような精細な写真にはなりません。

次に試したいのは、絞りを1~2段絞ることです。先ほどのF1.2の話を思い出してください。F1.4やF1.8にしてみると、より良い結果が得られました。F1.4やF1.8にしてみると、花のディテールやボケ味はそのままに、より多くの花にピントを合わせることができます。また、多くのズームレンズのように、最大の絞りがF3.5やF4の場合は、絞りを開放にすれば同じ結果が得られます。

ここで、いくつかのテストが必要です。自分のレンズがどのように扱われるのか、そして様々な設定でどのように画像が見えるのかを知る必要があります。何事もそうですが、花の撮影では好みの絞りがあります。このジャンルを続けていると、自分の選んだレンズとの相性がわかってくるものです。



シャッタースピード

ディテールを鮮明にするには、速いシャッタースピードが必要です。そこで必要となるのが、ご存知、ISOです。レンズを開放にしても十分なシャッタースピードが得られない場合は、ISOを上げて余裕を持って撮影します。

花の撮影では、一般的に1/250程度のシャッタースピードで十分な描写が得られます。ただし、1/5000という極端な値にする必要はありませんが、速いに越したことはありません。これはちょっと大げさな表現ですね。でも、花の写真で1/1000のシャッタースピードなら、もっと遅くても大丈夫です。良い範囲は1/200〜1/800です。この範囲であれば、どのシャッタースピードでもディテールをしっかりと表現することができます。

もちろん、写真の明るさ、ハイライト部分の白飛び、撮りたくない背景なども考慮して、シャッタースピードを決めていきましょう。これらを考慮して、シャッタースピードを設定します。絞りについても同様です。狙い通りの効果を得るためには、様々な設定を行う必要があります。



手持ち撮影と三脚撮影

私は手持ちで撮影する派です。三脚の有効性は十分理解します。でも大きく重い三脚を持ち歩くたびに思うのですが、機動性が著しくそがれ、結果的に行動範囲、撮影範囲を狭めてしまいます。なので明確な目的がない限り、私は撮影に三脚を持ち出すことはありません。そういうわけでゴメンナサイ、三脚を使うべきかどうかの議論には参加できません。三脚を使うかどうかは、撮る人それぞれが決めてください。私はここでは何のアドバイスもできません。しかし、花の撮影では、特にマクロレンズや持ちにくい大型のズームレンズでは、三脚が非常に有効であることは認めます。





構図

構図がすべてです。構図が良くないと、花の写真は悪くなってしまいます。構図の取り方は、技術的にも重要です。花を気持ちよくフレーミングしたいものです。花が茂みに咲いている場合は、邪魔になる枝を避けるのが無難です。場合によっては、後処理でクローンを作るしかありません。

手が器用な方は、片手で余分な枝を抑えながら撮影することもできます。ただし、自分の影には注意してください。また、枝の隙間から明るい光が差し込むのも避けたいところです。枝の隙間から明るい光が差し込むと、ハイライトが飛んでしまい、せっかくの写真が台無しになってしまうことがあります。視点を少し変えるだけで、明るい部分をなくすことができるので、それが一番の解決策です。

時々、私は完璧な花を撮影せずに捨ててしまうことがあります。それは、枝の小さな隙間から太陽が顔を出してしまうからです。そのような明るい部分は、せっかくの写真を殺してしまいます。しかし、茂みの上にない花を撮影する場合は、花への光が比較的均一になるので、このような問題は発生しません。





また、花の背後にあるものにも注意が必要です。醜い壁やフェンス、歩道、植木鉢の縁などがあると、せっかくの美しい花の写真が台無しになってしまいます。また、背景が混雑している場合も同様です。このような場合には、ズームインして撮影するとよいでしょう。時には写真の中の醜い部分と格闘、あるいは付き合っていかなければなりません。

写真を撮っているときの空も気になるところです。空が明るすぎると、写真が台無しになってしまいます。また、日差しが強すぎると、色が悪くなったり、花がキツくなったりします。逆もまた然りで、影が多すぎると、コントラストが足りず、くすんだ写真になってしまいます。

ちょっと大げさと思われるかもしれませんが、厳密な事を言うと、花の写真をきれいに撮れる時間は、日中限られています。花の写真を撮るときには、太陽の光に気をつける必要があるのです。正午は庭の花を撮るのに適した時間帯ではありませんし、雲が多すぎる日も同様です。

また、花を撮影するときに気をつけたいのは、枯れた葉や垂れ下がった花びら、花の汚れ、花の中のアリ、黒や茶色の斑点など、見苦しい部分がないかということです。これらの欠点の多くは、クローンスタンプを使った編集で取り除くことができますが、最初から含まれていないのがベストです。クローンスタンプを使って花を完璧に仕上げるには、また別の勉強が必要です。ずさんな編集は、悪い写真を撮ったのと同じことです。





アート性

花の写真にはもうひとつ、「芸術性」という要素があります。それは、花の写真を撮るときの「もうひと工夫」です。花は生き物であり、撮影者が関わりを持つことができるものです。触れ合うことができなければ、ただのスナップショットになってしまいます。意図的に撮影することで、その花の本質を捉えることができるのです。

より科学的な言葉で言えば、「意図」です。私は、優れた写真家は皆、自分が撮影しているものと対話していると思います。それが意図的な撮影です。それが花の写真には必要な要素だと思っています。私が自分に言い聞かせているのは、「花があなたを受け入れなければならない」ということです。花が心を開いてくれない日もありますが、そんなときこそスナップショットを撮るのです。次の日には、花はあなたに心を開いてくれて、あなたの写真は息を呑むような美しさになるでしょう。花の写真にはフィーリングが大切です。



まとめ

ニューヨークに移住してからある時期まで、毎週のように写真やアートの個展を見て回りました。その中で、南米の植物をテーマにした写真展が印象に残っています。その無名の写真家は「花との相性が大切だと言っていました。魅力的な花は時にカメラでは収めきれないオーラを持っていて、それを写真でとらえるのは至難の業だというのです。
花の写真を本当に上手に撮るには時間がかかると思いました。構図やテクニックを見極める目を養うには、何年もかかるのでしょう。しかし、その道のりはとても楽しいものです。わたしも今その旅の途上を楽しんでいます。あなたも花から花へ、鳥や蝶になった気分で楽しく撮影してみてください。