2021年1月3日日曜日

2021のカメラ予想

 来たるべきカメラ


マイクロフォーサーズ

 昨年オリンパスがカメラ部門を切り離し、事業を他社に譲渡するという衝撃的な出来事がありました。「オリンパス・カメラはなくなるの?」という不安がファンの間でも吹き荒れ、カメラ業界全体へも暗雲が立ち込めました。

 現状ではバトンタッチする日本産業パートナーズ株式会社JIPが、オリンパスから映像事業を承継させたうえで、2021年1月1日付で映像新会社を発足するとのことです。カメラのブランド名がどうなるか等は不明ですが、とりあえずは、オリンパスのカメラは今年も昨年からのロードマップをもとに開発、販売が続けられていく模様です。JIPはソニーのパソコンVAIOを受け継いでいまも事業を継続中の企業なので、オリンパス・ユーザーの期待を裏切るようなことはしないと思います。順調に行けば、今後もOM-Dシリーズのカメラはバージョンアップを、好評の高性能コンパクトなズイコーレンズは、より幅広いラインアップを展開させてくれるはずです。

 もう一方のマイクロフォーサーズ陣営の雄、パナソニックは今年新たな展開が期待されています。アナウンスではハイエンド機を優先的に出していく予定だそうで、おそらくフォーサーズよりフルサイズのマーケットに的を絞っているようです。
 とはいえYouTuberの間で長らく絶対王者として支持されてきたLUMIX GH5の後継機がいよいよ発売されるという噂も現実的ではあります。長らく待たれてきたこの次世代機への期待は大きいのですが、時代はすでにフルサイズ・ミラーレス。ここ数年で多くのYouTuberはメインのカメラ機材をフルサイズにシフトしていきました。果たして一時代を築いたパナソニックのフォーサーズ・ミラーレスが市場に返り咲くことができるのでしょうか? 


AI技術を導入するカメラ

 カギを握るのはオートフォーカス。これまでずっとソニーの爆速オートフォーカスの後塵を拝してきたパナソニックですが、Lumix S5で示した被写体自動認識AFはカメラの新たな未来像を示すものでした。AIのディープラーニング技術によって、被写体を予測するカメラ。これはもはや「考えるカメラ」の嚆矢となるものです。今後カメラはAIを搭載し、撮影状況を把握、判断し、なにをどう撮るべきかを判断していくものとなるはずです。 
 これはパナソニックだけでなく、各カメラメーカー、さらにはAppleやGoogle等もすでに着目し、新たなデバイス作りを模索していると聞きます。
 カメラユーザーとしては、どこまで人の領域に取って代わるのか、それも気になるところ。今後は急速にカメラの自動化が進んでいくような予感がします。


原点回帰からその先へ

 今最も目を離せないカメラ・メーカーと言えば富士フィルムです。
 カメラのトレンドがすっかりフルサイズへと移行する中、フジは一貫してAPS-Cフォーマットに固執しています(正確には中判機からチェキまで幅広いですが)。気が付けばカメラ本体、レンズともに結構なラインアップが出そろい、今後も後継機を続出させる様相を呈しています。昨年11月に発売されたX-S10は新たなシリーズの幕開けで、カメラ入門者からミドル・ユーザーまで幅広く親しまれる、撮る楽しみにあふれたAPS-C機です。
 富士フィルムの強みは何といっても、フィルムシミュレーションでしょう。長年フィルム製造に携わってきたフィルムメーカーならではのフィルムのよさ、それが今日の富士フィルム製カメラのよさに直結しています。年配のカメラユーザーには懐かしく、若い世代にはデジタルにない暖かさ、つややかさを感じさせる富士フィルムのカメラは他社と一線を画する独自性を感じます。人とは一味違う写真を撮りたい方には、ぜひ注目していただきたいブランドです。


カメラのトレンド

 今年は去年よりさらに動画撮影を強化したVlogger向けのカメラが増えるとみています。これもスマホで簡単に撮れるビデオ映像が世界に溢れ、動く映像を見たいという需要が急成長しているためだと思われます。また影響力のあるビデオ・ブロガーの映像制作技術やセンスの向上が目覚ましく、より美しい映像を提供する必要に迫られています。
 昨年ソニーから発売されたZV-1は水準を超える美しい映像を気軽に楽しめる扱いやすさがウケています。ここアメリカでもしばしばストリート・ビデオグラファーがこのカメラ片手にスケボーの映像を撮ったりするのを見かけています。パナソニックからも同様のVloggingに特化したカメラが出ましたし、今年はどのカメラにも動画の質、操作性の良さなどが組み込まれるでしょう。昔は動画機能などオマケ程度のものでしたが、これからはカメラ単体に対する評価も動画機能の充実が大きなポイントになる時代なのです。

 
初心者にふさわしいカメラ

 最新の各メーカーのラインアップを見ると、上級者よりの高級機に力を入れているのは明白です。しかしそれに乗っかる必要はありません。はじめてカメラを手にされる方には、ずばり使いやすさ中心で選ぶことをお勧めします。多機能、高性能はいいに決まっていますが、カメラを習い始めるのに、読むのも難しいカメラマニュアルを必要とするような機種は不要です。
 各社から出ているエントリー機の最新機種を選ぶ、これがいいカメラを購入するコツです。なによりビギナーの使い勝手を第一に設計しているはずなので、操作に迷うわずらわしさもありません。新しい機種は最新の映像エンジンですし、上位機種から受け継ぐ優れた機能も期待できます。メーカーや販売店のキャンペーンの対象となることも多いので、お買い得であることも間違いありません。
 技術進歩の著しい業界ですから、どの入門機でも、5,6年前の上位機種を凌ぐ性能を得ることができます。各メーカーから出る最新情報をキャッチし、よりアップデートされたカメラの実機を店頭で確認しましょう。


ポイントは

1 手にして馴染むかどうか。
2 操作系のボタンや液晶の配置、デザインがわかりやすいか。
3 自分の求める機能を優先する。
 例えば、オートフォーカス、暗所性能、シャッタースピード、レンズの明るさ、モニター、ファインダーの認視性、バッテリーの持ちなど。
4 最後にビギナーが見落としがちなのが、メーカーの将来性です。特にレンズ交換式のカメラの場合は、選択で将来のレンズ、周辺機器の揃え方も違ってきます。どのメーカーのどのフォーマットでいくのか、今後のカメラとの付き合いを視野に入れながら、慎重に選んでください。


おススメの入門機

個人的にはいま使っているパナソニックのLumix G8はビギナーにとって普通に名機と呼べる万能型ミラーレスです。マイクロフォーサーズはフォーマットが小さめなので、不安視する方もいるようですが、パソコンモニターで見る程度なら十分に美しい写真です。操作性もシンプルですし、ソフト的なバグも少ない。マイクロフォーサーズの利点で言えば、望遠、手ブレに強く、コンパクトでどこにでも持ち歩ける気軽な高性能機です。価格もフルサイズ機の半分以下で買えるので、その分で広角や単焦点レンズを買う方が、撮影の幅を広げることになります。
 APS-C機ならフジフィルムのエントリー機、X-T200がおススメです。小型軽量で暗所にも強く、オートフォーカス性能も水準以上です。豊富なレンズ資産も選べる楽しさがあり、今後のステップアップにも役立つ一台です。
 それでもやっぱりフルサイズが夢という方には、キャノンの EOS RPがお手頃です。上位機種譲りのスペックはビギナーに必要十分。それでいて文字通り破格のお値段でフルサイズが楽しめます。アメリカでは日本よりも安い、レンズキットが出ています。本体に24-105mmのRFズームレンズがついて$1299。クリスマスセールではそこからさらにディスカウントもあったようで、飛ぶように売れたそうです。


  
 いずれのカメラであれ、最初の一台は、大げさに言えば人生を左右するかもしれない大切なもの。ぜひ検討を重ね、自分に合う最高の一台をお選びください。









 
 

2021年1月2日土曜日

カメラ業界今年の展望と期待

 2021年のカメラ予測



 新しい年を迎え、カメラの世界もいよいよ新時代に突入しようとしています。あなたは今年どんなカメラに期待していますか。

 ニコン、キャノン、ソニー、三つ巴のフルサイズ・ミラーレス競争に拍車がかかるのか、それともAPS-C機に新展開があるのか。はたまたパナソニックやオリンパス、富士フィルム、ペンタックスらがどのような戦略で上位に挑むのか、興味は尽きません。

 時代の流れから、これまで4半世紀にわたってカメラ業界を引っ張ってきた一眼レフ機が急速に開発、製造ペースを落とすとみられています。それに伴い、旧機種の販売価格も一部を除いて大幅な下落も囁かれています。決まったメーカーで一眼レフのレンズ資産が豊富な方は、機種交換のチャンスだと思います。

 一方でこれからカメラを趣味で始めようという方は、安くなったからと言って、一眼レフ機に飛びつくと後悔するかもしれません。時代はミラーレス主流へと確実に進んでおり、ミラーレスならではのビギナー向け利点もこれからどんどん発展していく時期です。最新テクノロジーの恩恵を受けるなら、やはりミラーレスで決まりでしょう。

 かねてから私の主張は「カメラは軽量小型にすべし」です。これは業務用も含め、すべてのカメラに言えることです。それに尽きると言ってもいいくらいです。いくら性能がいいカメラでも重く大きいカメラを扱えるユーザーは少数派です。ただでさえスマホにシェアを奪われて減少する一途のカメラユーザーを少しでも取り戻すには、カメラのコンパクト化しかほかにすべはないと思うのです。

 限られたプロやハイアマチュア相手に事業規模を縮小してでも、今の路線(重たい、大きい、でも高画質)を貫くというならそれも結構です。しかしもし、より多くの写真好きを取り戻したいなら(あるいは増やしたいなら)小型軽量化に路線を進めるべきです。


フルサイズ・ミラーレス

 フルサイズ一眼は確かにとても魅力的なものが多く、プロカメラマンや評論家、ユーチューバーらがこぞって絶賛するのは当然です。でもその割には売れ行きに反映されていません。むしろカメラ全体のバランスが崩れ、高額高性能のフルサイズ一辺倒、頭でっかちの販売体制が気になります。

 以前キャノンは上位機種から下位まであらゆるラインアップを全方位で揃える戦略でしたが、もはやそこまでの体力はないようです。ドル箱だったパワーショット・シリーズには欠番が増え、売れてる順にかろうじてバージョンアップしたものが数種存続している、そんな現状です。

 ミラーレスはここ数年、注目度は抜群ですがそれほどカメラ市場を活性化させたかというと、そうでもありません。CIPAによると、2019年デジカメの総出荷台数は、前年比およそ78%で約15万台。内訳はレンズ一体型が前年比78%、676万台です。レンズ交換式も同様で、前年比約78%の846万台と下降気味です。レンズ交換型では一眼レフが前年比68.0%と大きく縮小したものの、ミラーレスはなんとか95.6%と1桁減といった有様です。ちなみに交換レンズは前年比83.6%の1424万本だったとのことです。

 決算は出ていませんが、2020年の出荷見通しでは、デジタルカメラ総出荷台数を前年比76.7%の1167万台としたものの、それをやや下回る見込みです。そうなると高価格帯のフルサイズ中心でカメラ業界を回してゆくのに疑問を抱く関係者も少なくないようです。カメラ全体の発展のためにはフルサイズ機のトップエンドを発展させる必要はあります。しかしこの現状で行くと、2021年22年には息切れするメーカーも出る可能性があり、極めて危うい舵取りが続いていくのではないかと思われます。


小型フルサイズへの期待

 去年ソニーが出したa7Cはフルサイズとしては画期的なコンパクト化を図ったとして話題になりました。しかしこの記録は早晩塗り替えられるでしょう。これ以前に出ていたSIGMA fpが今のところ最小サイズのフルサイズ機(外形寸法112.6×69.9×45.3mm、質量はボディ単体370g)ですが、今後さらに小さいのが出る可能性が大です。



カメラマーケットの裏事情

 スマホカメラとフルサイズカメラの最大の違いはレンズです。カメラメーカーの重要な収益源はカメラ本体より交換レンズにあります。それぞれ特性を持ったレンズをとっかえひっかえすることで、違った写真表現ができる。この醍醐味が写真ファンを引き付けてきたわけですから、この一定数の顧客を切り捨てるわけにはいきません。カメラメーカーの矜持をもってこのレンズ制作は今後も続けられるとは思います。ただ生産コストと労力が需要に見合うかというとそれは苦しい未来が待っている現実も否めないでしょう。

 そういった見方から、カメラメーカーの中には大きく路線変更に踏み切るところも出てくるかもしれません。

 ありえないことでしょうが、個人的にはカシオあたりがカメラ事業を復活させて、スマホカメラのデジタル的特性を活かした、コンパクトな高性能機を出してくれたら面白くなるかもしれません。あるいはこれもないでしょうが、アップルが映像事業を拡張させ、iPhoneと連動させた、より高度なビデオ兼カメラ機器を開発すると、面白いものが出てくるような気がします。

 こうなってくるとカメラメーカーはますます変革を余儀なくされますね、間違いなく。

 個人的にはカメラメーカーに頑張って欲しいのですが、光学技術がソフト的処理技術に凌駕されることはないと思っていた数年前とは、もう事情が違います。あと10年、いや数年でカメラは想像もしないものに変わっているかもしれません。たとえばAI技術の導入で、素人がファインダーを覗いていても、カメラのなかに組み込まれたプロ・フォトグラファーの撮影手法がオートで作動し、プロ並みの写真が撮れてしまう、とか。


市場活性化の条件

 カメラは今後ソフト的な技術開発で差が出てくるでしょう。ソニーのAI技術、とくにオートフォーカスの進化は大方のカメラファンの予想を良い意味で裏切り、驚異的な発展を遂げました。世界最速0.02秒ってもうそれ以上要らないでしょってレベル。さらに瞳フォーカスは人から動物まで領域を拡げ中。こうなると、特定のモノ撮りにも対応し、撮影者の狙いを予測して、その物体に最適なフォーカスや明度、被写界深度で撮ってくれるカメラも出てきそうな気がします。

 さらに考えられるのは、複数レンズの搭載。これやると今度はカメラの方が、あとからスマホを追いかける形になりますが、利点があるなら、出てきても不思議ではありません。複数のカメラを連動させることによって、より目的に叶った合成写真がカメラ内で生成されるのです。問題はソフトによる処理によって生じる電力消費、熱問題などでしょうか。でもこれも技術的に不可能ではないので、少しづつクリアしていけると思います。

(注:開発担当さんゴメンナサイ。外野で言うのは簡単ですが、実作業では難関山積み、そんな簡単にはいくはずありませんよね。業種は違いますが、音響メーカーでスピーカーなどを開発している知人に夢のような未来型ヘッドフォンの話をしたら、「そんなのできるわけねーだろ!」と怒鳴られました)


PENTAXの矜持

 このようなデジタルが全盛に向かうさなか、PENTAXが打ち出した一眼カメラの原点回帰とも言える光学ファインダー維持の宣言は注目に値します。

 ペンタックスは今後もペンタプリズムを通した撮影にこだわり、「現実の光を見て、感じながら撮る」そういったカメラを作り続けることを約束してくれました。

 確かに初めて一眼レフカメラのファインダーで見た世界は本当に正直で、見たままの映像を残してくれました。昨今のデジタル処理されたカメラの写真は、実際目で見たものより、鮮やかすぎたり、逆に抑えすぎた演出が目につく傾向があります。それに慣らされると、みんなきれいな写真ばかりになって、撮る側が甘やかされてしまいます。

 昔は撮っても撮っても失敗が続き、やっと満足に撮れた一枚がやけに誇らしく感じたものです。そんな人とカメラの付き合い方が少なくなった昨今、マニュアルでアナログな撮り方を楽しむカメラはずっと存続していただきたいものです。

 ペンタックスの一眼は使ったことがありませんが、ファインダー撮影独特の臨場感を追求する姿勢は好感をもてました。今後が楽しみです。

まとめ

 さて今年期待される各社のカメラの予想はどうなっているのでしょうか。


SONY

 今年のソニーで確定しているのは、最初の四半期に新しいハイエンドカメラを発表するってことです。巷では「a9ナントカ」となるはずの新型機で、目玉はオーバーヒートなしで8k30pの動画が撮れるということ(らしい)です。4kが成熟する前にもう一足飛びで8K!

 そして第2四半期で待望のa7 IVの登場が予想されています。より高画素化が図られ、画像処理エンジンも最新、より高精細な動画性能、EVFやインターフェースもより良いものに改良されるとのことです。


CANON

 フルサイズではR5の好評を受け、よりリーズナブルな下位機種にも期待が高まります。ソニーに奪われているシェアをえぐり取るには、さらに戦略的な新機種が望まれるところです。たとえば、ハイレゾショットなどを組み込んだ初心者向けの超小型フルオート機。徹底した軽量化を図りカラーバリエーションも豊富な普及型フルサイズ・ミラーレスなんかが出るとグッドです。

 キャノンの懸念は、今後EOS Mのラインナップをどうするのでしょうか。存続か、廃止か。大方の見方は遠からず新しいAPS-Cレンズ規格が出ると予想しています。そうなると昨年末にでたEOS KISS M50 IIはどうなるんだって話です。もうこれで打ち止めでしょうか。新たなランズが出ていない現状を見ると、どうしても購入をためらってしまいそうです。


NIKON

 ミラーレス化で一番遅れを取ったニコン。去年はZ7 II、Z6 IIと同時に出したので、上位機は一休み。今はレンズのラインアップを充実化することが急務と見られています。今年はZマウント用のレンズが自社以外からも数種以上が出されるという話です。レンズを揃えるのと同時に期待されるのは、キャノン、ソニーを上回るハイエンド機もさることながら、同じマウントのレンズを共用できるDXフォーマットのAPS-C機に期待がかかります。Z50が好評だっただけに、これに連なる上位、下位両機種をぜひ見てみたいものです。


 以上、フルサイズ・ミラーレスでしのぎを削る三社の今年を展望しました。次回はそれ以外のメーカー各社の動向を見ていきたいと思います。



 

2021年1月1日金曜日

冬こそいい写真を撮る

 冬景色を楽しむ

 


 アメリカではクリスマスが過ぎると、町は急激に華やかさが失われ、新年を過ぎると、ただただ長いモノトーンの冬が続く・・・。そんなイメージがあります。日本ではお正月が控えており、またひときわ新年を祝う華やかさが、町を賑わせるのですが、アメリカはそうじゃありません。新年の祝いなんて1月1日だけで、翌日からみんな何事もなかったかのような日常に戻ります。アメリカの1月はホントに味気ないのです。

楽しかったクリスマスはあっという間に過ぎ・・・

 

 写真を撮るにしても、日本のようなあでやかな着物姿もないし、商店の新年の祝賀気分もまったく見られません。

 そのような理由から写真撮影も新年以降は撮影機会ががたっと落ちる。それがアメリカでの現状です。いずこも似たようなものでしょうが、一般的にだれでも1月半ばから二月いっぱいまで写真を撮影をする量は減るようです。でも一部のカメラ好きの人はむしろ積極的に外に出て冬景色に面白さを見出します。そこには普段見慣れない風景が現れるかもしれないからです。

突風で雪が壁を超えるシーンに遭遇!


 写真を撮る人はとにかく日頃外を出歩いていても、ものの見方が違います。常になにか面白い素材はないかと見てしまうのです。カメラに興味のない人が素通りする場面でも足を止め、ファインダーを想定して、あ、これ面白いかもと考えてしまいます。

 カメラ片手にそういった視点を持って外出すると、冬という季節は格好の素材があちこちに転がっていることに気づくのです。

 かく言う私も昔は冬が嫌いでした。冬というと野や山もモノトーンのイメージが強くてあまり綺麗な写真が撮れないだろうと思い込んでいたのです。はやく春が来て色とりどりの世界を撮りたいと、家に閉じこもっていました。しかしある時、ナショナル・ジオグラフィック誌に冬景色の特集があって、そこに掲載されていた写真の数々にいたく感銘しました。それらは氷山から吹雪の山野、氷の芸術まで様々な冬の側面を切り取っていて、冬はなんと豊かな表情があるのだろうと思いました。そして普段目にできない冬ならではの一瞬をとらえる醍醐味に魅せられたのです。

たとえばこんな写真(私に撮れるわけないです!)


 とはいえ、写真を見るのは簡単でも、いいシーンに巡り合い、じょうずに撮るのはそうたやすいものではありません。いろんなところに赴き、寒さに耐えて歩き回る覚悟も必要です。でもあくまでアマチュアの趣味です。そんなきばって芸術的な写真を撮ろうなんて思わず、氷や雪を楽しむスキーヤーやスケーターの気分でカメラを持ち出せばいいのです。悪天候で寒くなったら帰ればいい。もっと気楽に冬景色を撮ろう。アマチュアはそんなゆとりある心構えでいいと思います。


 そんな軽いノリで撮った最近の写真が以下のものです。


 え? なにこれ、と思われませんか。川辺に垂れ下がる木の枝に氷がまといついたものです。川面につくすれすれの部分が円錐状に丸くなっているのが面白いです。これも自然が作り出した天然のアートですね。



 こちらは川の上に横たわった倒木から滴り落ちる水がつららになったものです。



  普通のとんがったつららではなく、先へ行くほど太くなるバットのような形状の氷も見られました。


 氷にくるまれた木の枝が朝日でまるで宝石のように輝いていました。


 氷の張った何気ない石ころだらけの地面も、撮り方によってはこんな不思議な写真になるのが面白いです。みなさんも外に出て冬ならではの風景をカメラに収めてみませんか?

 








 

 

2020年12月31日木曜日

Powershot Zoomが面白い

新しいカメラ体験


 キャノンの PowerShot ズーム、なかなか面白い発想のカメラが登場しました。 筒型のとてもシンプルな構造で、モニターなどもついていません 。 スマホやカメラで被写体を見るという行為ではなく、覗き見るという感覚でしょうか。この発想は現代においてはむしろ新鮮に感じる世代も多いと思います。

 軽くてポケットにも収まる小ささ、オシャレなデザインなので、どこにでも持ち歩けます。カメラのように構えて撮るのではなく、ちょっと面白い光景を直感的に切り取る、そんな使い方に適しているのではないでしょうか。

 レンズの焦点距離は35mm換算で100mmと400mmそしてデジタルズームの800mmの3種類をZOOMボタンで切り替えるようになっています。

 三つのズーム倍率が固定で瞬時にそれぞれの倍率に飛ぶことができるというのは潔い設計ですね 。 望遠鏡としても使えるし 遠くのものをグッと近くに引き寄せて写真に収めることができます。画質の方はあまり期待できませんが、このカメラは一瞬の決定的瞬間を観るということに主眼を置いているようです。

 もとから高画質など目論んでいないし、ユーザーもそれを承知で使うことになると思います。それはそれで結構なことだと思います。

 画質至上主義に凝り固まることなく、自由な切り口のカメラがいろいろ登場するのが好ましいと思います。たとえばこのカメラのようにズームに特化したカメラはどんどん出てくるべきだと思います。これはアメリカでも一部で人気だった商品ですが、双眼鏡タイプのデジカメが流行ったことがあります。バードウォッチャーにはうってつけのガジェットで、野鳥の生態を人の手で極力邪魔しないように双眼鏡とカメラを合体させたガジェットです。

 スマホカメラが技術を向上させてきていますけれども、ズームに関してはなかなか難しいようです。デジタルズームは劣化が激しく、拡大すればするほど見た目が悪くなります。

 かといって光学的に10倍以上のズーム機能を持つものは物理的に大きくならざるを得ません。必然的にこのPowershot Zoomのように筒形の形状にならざるを得ないので、スマホに組み込むことは、不可能に近いのです。

 カメラ市場では、このようなニッチな製品がこれからさらに求められてきます。多様性は人生に色どりを与えます。コンパクトカメラ存続するためには、スマホとは何か違うことをする必要があるのです。

 今回のPowerShotはカメラとしての性能に期待するのではなく、日常スナップ写真が撮れるデジタル単眼鏡として理解したほうがいいかもしれません。

 まず断っておきますが、画質はコンデジ並みです。しかし、GoProなどのように、独自のスタンスでシェアを伸ばす分野も今後に期待できるので、こういったカメラが脚光を浴びるのは悪くないことだと思います。ポケッタブルと軽量手ぶれ補正デジタル単眼鏡として、PowerShot Zoomは独自の進化を続けてほしいと思います。

 ボタンを押すだけで、その3段階ズームは100mmから400mmの設定にジャンプし、デジタル的に800mmまで拡張します。236万ドットのビューファインダーを介してスムーズで安定した視聴体験を得ることができます。


 キヤノンPowerShot Zoomは、白一色の販売でスタートしましたが、 今後第二弾、三弾と続くようなら当然カラーバリエーションも検討されることになるでしょう。日本では2020年12月に出荷されましたが、数量が限られていたため、アメリカでも入手できるところはそうありませんでした。アメリカでは実機に触れられるところが少ないので、これからが期待されることろです。キヤノンのウェブサイトで買うなら299ドルからの販売となるそうです。



2020年12月30日水曜日

カメラ三脚を選ぶ

あると便利な三脚



 写真撮影をより良いものにするために、様々な機材がカメラの周辺にあります。勿論カメラとレンズがあればとりあえず撮影はできますが、あなたがもしその上を目指すなら、まず三脚を用意することをお勧めします。三脚は写真撮影のための最も重要な機材の一つであり、どのカメラマンに訊いても三脚は必須だと答えるはずです。
 初心者の方は、三脚と聞くと撮影を安定させるものとして必要なものだとはわかるけど、どうしても必要とは思わないでしょう。重いしかさばるし、セットアップや収納にも時間がかかり、手間がかかる厄介者と思われる方もいるでしょう。
 今どきのカメラは手振れ補正も優れていて、光さえあればほとんどのシーンは手持ちでOKと謳われています。事実その通りですが、三脚があればさらに撮影の幅が広がることも事実です。

 自宅やスタジオでポートレートを撮る、旅先での風景撮影、スポーツ観戦やライブショーなどでも、三脚があればより安定した撮影ができます。特に光源の乏しい暗所や夜間では、手振れが起きやすいので三脚を立ててシャッタースピードを稼ぐことができます。
 その他、定点観測や長時間露光の撮影、星空撮影など撮影時にカメラを所定の位置にしっかり保つためには、より良い三脚を使うことがいい写真を撮る条件となってきます。従って三脚はただ単に人の代わりにカメラを支える道具というよりは、よりよい写真撮影のためのカメラの延長だと思って、ひとり一台はいいものを持っておくことをお勧めします。
 


三脚を選ぶポイントとは?

 では、どうやって自分に合った三脚を見つけるのでしょうか?何でもかんでも撮影する初心者の方で、どの分野の写真撮影を目指すのかまだ決まっていない方のために、三脚を選ぶ際に考慮すべきいくつかの要素をご紹介します。


バランスと安定性
 どんな写真を撮るにしても、三脚を選ぶ際に最も重要なのは、カメラをしっかりと固定できるかどうかです。カメラ初心者の方は、一般的に標準サイズのカメラとレンズを使用しますが、安全のために、三脚の耐荷重や積載量がカメラをしっかりと固定できるかどうかを前もってに確認しておく必要があります。
 将来、より重い機材を手に入れることも考慮すれば、そういったカメラとレンズの総量、バランスなどを見込んで、より幅広い用途で使える大きめのものを推奨します。信頼できるブランドの大型三脚は、一般使途なら大抵のシーンをカバーできます。


素材
 アルミかカーボンファイバーが主流です。ほとんどの経験豊富なカメラマンは簡単に後者を選ぶでしょうが、ともに利点があります。アルミ三脚は、カーボンファイバーのそれより安価です。
カーボンファイバー製は一般的にアルミ製に比べて約20%~40%の軽量化が図られています。また、カーボンファイバー三脚のもう一つの利点は、腐食しにくく長持ちするとされています。


重量
 一般的に、三脚は軽い方が好まれます。長期の旅行やトレッキングの際の持ち運びが少なくて済みますし、現地での移動も楽になります。しかし、三脚の軽さには限界があります。あまりにも軽すぎる三脚は、重いカメラとのバランスが悪くなります。風の強い日や足場の悪い傾斜地で撮影する場合によく当てはまります。三脚が軽すぎると、風で倒れたり、カメラが揺れて写真がぼやけたりすることがあります。三脚は、持ち運びに十分な軽さと、環境に耐えうる重さのバランスが取れたものを選びましょう。


高さ
 もし、あなたが撮影するすべてのものに一台の三脚を使うとしたら、三脚の高さは絶対に考慮すべきことです。理想的には三脚の高さはより長い方が撮影に有利です。自分の身長よりも高い三脚なら撮影の幅が広がります。人垣の後ろから撮れたり、俯瞰に効果的な印象を与えることができます。三脚の最大高さが、自分の身長より30センチほど高いものであれば、ほとんどのニーズをカバーできるはずです。
 もしそんな状況で撮ることがないよという方、その時は割り切ってコンパクト最優先で選ぶものもちろんありです。


ロック機構
 三脚の関節ともいえるこの接合部は、安全のためロック機構が付いています。このシンプルな機能をめぐって議論するカメラマンもいます。多くの人は、脚のロックとロック解除を素早く行えるクリップタイプを好みます。一方ツイストタイプは、一度のひねりで三脚の脚のすべての部分のロックを解除できるので、使いやすいと言う人もいます。
 また、ツイストロックを使用するもう一つの利点は、一般的にツイストの方が薄く、特に折り畳んだ状態では三脚の全幅が小さくなるということです。これらはすべて好みの問題です。もしあなたが初めての三脚を購入するのであれば、実際に両方の三脚を触ってみて、どちらがより快適に使えるかを確認するのが一番です。

雲台
 ボールタイプの自由雲台が最も一般的なのは、非常にシンプルな理由からです。それは、使い勝手が良く、操作が簡単だからです。自由雲台は一般的に、ボールのロックを解除し、ショットの構図を決める際にカメラの位置を決めるためのメインノブが1つあるだけで済みます。高速な調整を必要とする写真撮影には非常に適しています。

 一方、3WAY雲台は、縦横斜めの軸上で調整を行いたい場合に適しています。ボール雲台で精密な調整をする場合、ボールのロックを解除すると、どの方向にも動くようになるので、かなり厄介なことになります。ギヤード式の精密ヘッドは
3WAY雲台のようなものですが、非常に小さく正確な調整ができるように調整された精密なノブが付いています。初心者にはまず必要のないものです。これらのヘッドの欠点は、もちろん調整に時間がかかることです。


目的に応じて
 三脚を使ってどのような写真撮影をするか、前提を考えて購入しましょう。スタジオでポートレートや商品を撮影するのであれば、シンプルで頑丈な三脚がベストです。また、旅行先での撮影が多いのなら、軽くて十分な高さのある三脚が良いでしょう。異常に高いアングルや異常に低いアングルで撮影する場合は、90度の支柱を持つ三脚の方が柔軟に対応できます。また、過酷な環境で風景を撮影する場合は、頑丈なカーボンファイバー製の三脚を使用することで、機材の安全性を確保することができます。

 ニーズに合ったカメラを見つけるのと同じくらい、適切な三脚を見つけることが重要です。三脚を適切に選ぶことは、写真家にとって最高の必要投資の一つです。適切なメンテナンスと取り扱いをすれば、何十年もの間、交換する必要がなくなることはありません。





 太くて頑丈なカーボン素材でできており、大型カメラに対応し21kgもの耐荷重を有します。デザインもどっしりしていながら見た目以上の軽量化を果たしています。これ一台で末永く汎用三脚として使い倒せます。






 トラベル三脚としても人気のあるシリーズです。40センチほどにたたんで持ち運びますが、最長150センチまで伸びるので、大抵の用途に十分な高さを確保しています。高級感あふれる作りで、可動部分はどれも滑らかで正確に動かすことができます。フルサイズの巨大な望遠レンズには不向きですが、他の用途ならば必要十分な使い勝手で安心してカメラを乗せることができます。

 ちなみに私は今、GEEKOTOというメーカーの高さは最大77インチまで伸びるスリムな三脚を使っています。別段欠点はないのですが、作りがやや華奢で、強度が低い方なのであまり強くおすすめはしていません。(GEEKOTO 77'' Tripod)選んだ理由は、なんと分離すると一脚にもなるスグレもだからです。野山を散歩しながら撮影することの多い私には重宝しています。トラベル用としてもコンパクトで持ち運びには便利だと思います。

GEEKOTO 77'' Tripod




2020年12月29日火曜日

これからのカメラ

未来のカメラを予測する

 


 今年もあとわずかですが、カメラ業界にとっても試練と変革の一年だったと存じます。それでも確実に前進し続けるカメラの進歩には驚嘆と尊敬の念をいだきます。特に今年はフルサイズ・ミラーレスカメラにおいて、意義深い里程標となるようなカメラが次々と発表されました。いずれも手に取って撮影したくなるワクワク感そそるものばかりでした。

 2021年のカメラ事情は今年以上に急加速が予想されます。いくつかの技術的ブレークスルーがうまく行けば、これまでにない画期的なカメラが出る可能性もあります。そこで今後の展開として、どんなカメラが登場するか、期待を込めて予測してみました。

 

 まず私的に期待しているのは、

1 ボディ内手振れ補正とレンズの手振れ補正の相乗効果がより向上し、暗所でも手持ちで撮影できるようになること。

 これは数年以内に実現可能でしょう。ISOの画像処理能力では’もうすでにソニーが近未来に到達しています。a7Sというフルサイズカメラで最高ISO感度ISO409600という圧倒的な数値をたたき出しているのです。ダイナミックレンジも広く豊かな階調を表現できるので、暗闇でさえシャッターチャンスに変えてしまいます。これはもう未来に先駆けたスーパーカメラというべきでしょうね。

2 APS-C、あるいはマイクロフォーサーズ機がさらにレンズ構成で小型化が進み、ポケットに入るカメラとしてコンデジに取って代わる。

 これももはや実現可能です。現に、5年前に出たマイクロフォーサーズ機例えばパナソニックのGH5より今年出た同じパナ機LUMIX 5Sの方が軽く小さいですから。この伝で行くと、マイクロフォーサーズ機はさらに小型化ができて、1インチセンサーのコンデジ程度の大きさまで縮小できると考えられます。いやもう少し未来を見据えれば、300ページの文庫本程度のAPS-C機もできないはずはありません。レンズは単焦点になるでしょうが、パンケーキレンズのサイズ感を考えれば十分作れるカメラだと思います。

3 通信5G技術との連携が進み、ROWで撮ったものをリアルタイムでパソコンやYouTubeなどの媒体へリアルタイムで送れるようになる。

 今後カメラで撮った写真はSDカードなしでも逐次自宅のパソコンやクラウド上に無制限で送信していくようになるでしょう。ファイルサイズを気にすることなく、撮って撮って撮りまくって後で写真を整理するのです。

 またその面倒な写真整理ですが、これもAIがその人にあった編集システムを構築し、GPS情報による地図別編集や、または被写体のカテゴライズを自動で整理整頓してくれるようなアプリも出るはずです。

4 撮った写真をカメラ内で加工する技術が多様化し、各社で特性を競うようになる。

 この辺りも実現可能範囲と言っていいでしょう。富士フィルムあたりは、プロレベルの写真シミュレーションが進み、一枚一枚撮影者のイメージ通りの作品に仕上げてくれる技術なんか生み出すのではないでしょうか。


 これだけではありません。私的にはさらにその先があります。

5 一回のシャッターで数十通りの異なる効果の写真を合成するとか、カメラ内により高性能なAIが搭載され、ユーザーの趣味、嗜好を分析し、その人の狙いに合った微調整ができるカメラ。あるいは一流のプロカメラマンの写真特性を搭載したファームウェアが販売され、篠山紀信スタイルとか、森山大道スタイルとか自在に切り替えたりできる・・・。とここまで行くと、もはやカメラを操作する醍醐味まで奪われてしまい、逆に味気なくなってしまうかもしれませんね(笑)。


 こんなカメラの未来予想をしていたら、ネットでもいろいろ考察しているサイトがありました。私だけではないのですね。将来実現可能な未来のカメラを想像するのは楽しいものです。以下は「LifeWire」というサイトに掲載された「未来のカメラの技術的進歩:最高のカメラはまだ来ない」という記事です。ちょっとツッコミどころもあるので、これに私はいちいち反論やコメントを書き加えてみました。

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「デジタルカメラは常に進化し、新しい機能を追加したり、古い機能を改良したりしています。ここでは、近い将来にデジタルカメラ技術にもたらされるであろう、最も興味深く有望な変化をいくつか紹介します」

その1

「未来のカメラは、シャッターボタンすら必要としないかもしれません。その代わりに、写真家がウインクをしたり、音声コマンドを使ってカメラに画像を記録するように指示することができます」

 いやいやこの記事の方はカメラマニアのツボをわかっていません。カメラのシャッター音は撮影者にとって心震わせるものなのです。各メーカーによりシャッター音は伝統として受け継がれているものも多く、その一音一音が撮影のリズムや心身統一にまでつながっているのです。音声シャッターは技術的に数年前でも可能でしたが、いま生まれていないところを見ると、カメラファンからはそっぽを向かれるのをメーカーが見越しているのではないでしょうか。

その2

「カメラは、Google Glassのようなスマート・メガネのように日常的なアイテムに組み込まれるかもしれません。カメラがメガネに内蔵されていれば、カメラの照準を合わせるのも簡単です」

 これはその通りでしょうが、それはもはやカメラというよりガジェットの部類に入るものでしょう。通常のカメラのカテゴリーには入れられず、GoProとか車載カメラだとかのジャンルで勝負する商品としては十分ありですが。

その3

「超小型カメラとは、通常、厚さが1インチ以下のものを指します。ズボンのポケットや財布にすっぽり入るので便利です。しかし、未来のカメラは「超小型」を再定義する可能性があります。メーカーは、厚さ0.5インチのカメラを作ることができます。現在のカメラよりも小さいサイズになるかもしれません」

10年前のデジタルカメラは現在の小型モデルよりもはるかに大きく、内部のハイテク部品は縮小し続けているため、この予測は理にかなっています。タッチスクリーンを搭載したカメラが増えれば、スマートフォンのように、他のすべてのコントロールやボタンを排除して、ディスプレイ画面の大きさでサイズが決まるようになるかもしれません。

 これは私が先述した文庫本サイズAPS-C機のコンセプトと一致しますね。まさに同感。早くポケットAPS-C機が出てほしいものです。

その4

「写真は視覚的なメディアですが、これからのカメラは写真に嗅覚を加えたものになるかもしれません。

視覚以外の感覚を刺激する写真は面白いアイデアです。例えば、撮影者がカメラに命令して、その場の匂いを記録し、撮影した映像に埋め込むのです。しかし、画像に匂いを付加する機能はオプションである必要がある。食べ物や花畑の画像に匂いを追加するのは素晴らしいが、動物園のサル小屋の写真に匂いを追加するのは好ましくないかもしれません」

 あはは。ここまでくると的外れというか、映像的再現の芸術である写真から外れ、まったく別の概念の再生マシンになってしまいます。ドラえもん的と言いますか、発想はおもしろく、できそうな気もしますが、あまり購入欲をそそる商品にはならない気がします。


その5

「現在のデジタルカメラの充電池は強力で、1回の充電で数百枚の写真を撮ることができますが、もし、コンセントに接続しなくても、カメラを使っている間に自動的に充電できるとしたらどうでしょうか?

未来のカメラには、太陽エネルギー電池が組み込まれていて、バッテリーは太陽エネルギーのみで動作するか、太陽電池を使って充電することができるようになっているかもしれません。

太陽電池がカメラのサイズにどのくらいの影響を与えるのかなど、いくつかの疑問に答える必要があります。それでも、無制限のバッテリーパワーを持ってショットを逃すことを心配しなくなるのはいいことだ」

 バッテリー問題は確かに将来の懸念事項です。最近もCANONのフルサイズ機の熱処理問題が話題になりましたが、バッテリーを根本的に見直して、べつのエネルギー源を考えることは重要だと思います。

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 以上、未来のカメラへの展望と疑問でした。

 カメラの性能はこれからも間違いなく日進月歩の道を行くでしょう。そうしなければ勝ち残れませんから。そういった意味でこれからカメラを始める方は、いろいろ楽しめる未来が待っていると思います。またそうあって欲しいです。そのためにも、最初の一台は慎重に選び、末永く使えるよう基礎からしっかり腕を磨いていっていただきたいと存じます。

 また次回、別の切り口から面白いカメラとの付き合い方をご紹介していけたらと存じます。

2020年12月28日月曜日

初心者のための写真機選択2

 変わりつつあるカメラの売れ筋



 先日の続きです。今回は本格志向のカメラ初心者はどのカメラを選ぶかです。

 結論から言って、フルサイズ・カメラはミラーレスであろうと一眼レフであろうと初心者には不向きです。いちばんの理由はレンズ・システムの大きさです。フルサイズのレンズ規格はそれ以外のカメラと比べけた違いに大きく重いので、これからカメラを始めようという方には、文字通り荷が重くなります。大きなカメラ・システムの取り回しには相応の技術も要求されるので、これは間違いないです。

 後述しますが仮にかなり軽量ボディのフルサイズであったとしても、現行のどのメーカーのレンズシステムもAPS-Cとは比べ物にならないほど重く大きいです。これはセンサー・サイズ上致し方ない問題で、そう簡単に解決できるものではありません。

 私が初めてAPS-Cセンサーの一眼カメラを手にしたのは、11年前に発売された、CANON EOS KISS X3でした。ガイド本まで買って気合を入れて使い始めたのですが、どうにもフォーカスがうまく合わず、何度撮ってもなんだかぼんやりした写真しか撮れませんでした。付属したキットレンズを疑い、友人の単焦点で試しましたがやはりイマイチ明瞭ではありません。結局カメラ本体の不具合であろうと思い、保証期限の切れる一か月以内に販売元に送り返してしまいました。それ以来、高額なカメラは通販やネット販売ではリスク高しというイメージが付きまとい、遠ざかるようになりました。

 しかしその翌年には出て間もないCANON EOS 60Dというカメラを運よく入手できました。今度は店の展示品で、軍艦部に目立つ傷のあるものでしたが2割引きで購入できました。万が一不具合があったら新品と交換してくれるというので、処分品ではありますが思わず手を出してしまいました。

 購入の決め手はEOSシリーズではじめてバリアングルが搭載されたから。しかも宣伝媒体では口をそろえて、ミドルクラスなのに軽量小型化に成功した、と大絶賛で宣伝されていたカメラです。今思うと、本体重量675g、ズームレンズを付けると軽く1.5キロを超えてしまいます。当時はこれでも軽くなった小さくなったと称えていたのですから隔世の感があります。

 でもEOS 60Dは当時としては新しいライブビュー機能がついて、ファインダーに慣れていない初心者にも本当に扱いやすいものが出たという感じでした。はじめはカメラ任せのオート設定ばかりで撮っていましたが、それでもその艶と立体感のある写りにいたく感激したのを覚えています。ちょうどうちの子供が幼い頃だったので、このカメラで成長記録を撮れたのは幸いでした。

 EOSシリーズはファミリーフォトだけではもったいないくらいよく撮れるのですが、一方で持ち出す機会は徐々に減ってきました。もとより「作品」を撮る意識に欠けていたので、家族以外を撮るのには持ち出しやすいコンデジが楽という考えに傾いていったのです。コンデジは少しでも新しい機能を搭載したものが出ると、飛びつきました。買い求めやすい価格というのも理由の一つでした。

 EOS入門から早や10年。今やミラーレスカメラの時代です。最新のEOS Kiss M IIは本体重量が387g。もう笑っちゃうほど軽くなりました。付属のEF-M15-45mm F3.5-6.3が重さ130gですから合わせてもたった517gという軽さです。写真撮影時の機動性というのは撮る側のメンタル、ひいては作品の出来に関わりますから、決して軽視できないのであります。

 

 ではミラーレスでフルサイズのカメラはどうかというと・・・。

 代表的なところではいま一番売れに売れているSONY a7III。本体重量556g。これはよく健闘している方でしょう。このシリーズ初代機からこの辺りのスペックでスタートしているのですから、さすがミラーレスのパイオニア、SONYといったところです。

 しかしレンズに目を向けると、これはさすがに軽いとはいいがたいです。キットレンズとして付属してくる焦点距離16-35mm標準ズームレンズにしてすでに518g。本体との総合で1.7kgを超えるわけですから、いかにフルサイズの重量が突出しているかわかります。

 最近出たソニーのフルサイズ・ミラーレスa7Cは確かに常識破りの計量小型化を果たしました。本体重量509gは私のAPS-C機EOS 60Dの755gよりはるかに軽くて小さいです。しかしレンズシステムは変えられません。最近出た評判のいいソニーのEマウントレンズFE 12-24mm F2.8 GMは847gで定価は345364円です。重さもお値段もビギナーには不釣り合いなのです。

 プロのカメラマン、ハイアマチュアならいざ知らず、趣味でこれから写真を楽しもうという人にとって、重さは最初の壁になります。カメラを持ちだす頻度も重量と比例するように変わってきます。少しでも多く写真を撮りたいのであれば、迷わず軽量小型のカメラを選ぶべきでしょう。APS-C機はこれから軽量小型がどんどん出るはずなので、期待していいと思います。

 そういった観点から、いま一番初心者にお勧めできるミラーレス・カメラはどれかと考えました。以下がその候補です。


1 Nikon Z50


 今のところ、新マウント・システムのZシリーズ唯一のAPS-C機です。ニコンとしてはかなり小型の部類に入るサイズ感です。コンパクトなのにニコンのフルサイズ・カメラと同じマウント径なので、レンズを共用できるのが強みです。今はレンズの数も乏しいのですが、これからサード・パーティも加えてたくさん出るであろうレンズ群には期待できます。それにZ50のキットレンズも評判がすこぶる良いです。初心者向けにわかりやすいインターフェースも導入されており、このキットレンズと本体だけで当分腕を磨けるようになっているようです。唯一疑問なのはチルト式モニターを下向きにしたこと。ファインダーが上部にあるのでこうしたのでしょうが、他社は軒並みバリアングルにシフトしているだけに、ちょっと惜しい気がします。



2 Fujifilm X-S10

 APS-Cミラーレスの開発で、私が今一番注目しているのが富士フィルムです。フジはここ数年のSONY、CANON、NIKONによる三つ巴の熾烈なフルサイズ戦争をしり目に、着々とAPS-C機の開発に焦点を当ててきました。独自のインターフェース、操作性にこだわって一時はガラパゴス化を懸念しましたが、最近はユーザーの入り口を意識した親しみやすいものに変わってきました。その最新の成果がX-S10です。
 26M X-Trans CMOSセンサー(X-T4と画質は同じ)、最大6.0段ボディ内手ブレ補正搭載、メカシャッター8コマ/秒連写、最大30コマ/秒連写(電子シャッター&クロップ使用時)と上位機種の勝るとも劣らないフジの技術をふんだんに盛り込んだ意欲作です。もちろんフジお得意のフィルム・シミュレーションも満載で、他社には出せない色味の強みを前面に押し出してきています。加えてグリップを大幅に持ちやすくして、安定性も確保しました。今後出るであろう次世代機次第では、APS-C機の天下はフジフィルムになるかもしれません。



3 Panasonic G99

 マイクロフォーサーズ勢ではオリンパスのOM-D E-M5シリーズの売れ行きが好調ですが、PanasonicのGシリーズも侮れません。軽量小型はもちろんのこと、マイクロフォーサーズの望遠に強い特性を生かして、レンズも小さく廉価なものがたくさん出回っています。同じレンズ沼にハマるのでも、フルサイズと比較すると予算は10分の一くらいで済みます。

 G99の良いところは、独特の連射性能。LUMIXシリーズのお家芸である「4Kフォト」モードが初心者にとても便利です。この機能を使えば4K画質の静止画が30コマ/秒で記録できるため、動きのある被写体もピタッと止めて描写するのはうってつけです。本体に手振れ補正機能も付いていて、どんな被写体にも慌てることなく追従できる機動性が魅力の一台です。



4 Canon EOS M6 Mark II


 近年キャノンが独自性を打ち出してきたEF-Mマウントですが、本機が出るまで少し足踏み状態が続いたようです、本来ならあと数本は出ていてもおかしくないレンズのラインアップが滞りがちで、そんな中発売された最新機EOS KISS M2も目新しい性能の進化がイマイチです。それならば少し前にでたm6 Mark IIの方がより携帯性に優れ、コンパクト・デジカメ並みの扱いが可能です。それでいて定評あるキャノンの描写性能や色再現を堪能できます。エントリー層からミドルクラスまで末永く使えるカメラとしておすすめの一台です。



5 SONY a6400


 SONYのカメラの特徴と言えばなんといってもオートフォーカス性能でしょう。世界最速0.02秒を謳っているだけあってとにかく爆速。しかもAIを搭載したリアルタイム・トラッキングで瞳オートフォーカスが心地よいくらいうまく追従してくれます。

 これはSonyのここ数年に出たどの機種にも共通していますが、このハンディなサイズ感で人物撮影を中心とするなら、これ以上ふさわしカメラはありません。大きさ軽さだけでなく、フルサイズ機のフラッグシップα9と同じ画像処理エンジンが搭載されているのも頼もしいですね。

 もう一つ言うなら、425点像面位相差AFとコントラストAFによる広いAFカバー範囲。これも他社を引き離す精度抜群の高性能ですので、もはや向かうところ敵なしのカメラと言ってよろしいでしょう。あとは好みの問題で、操作性がイマイチだとか、デザインが気に入らないとか言われているようですが、相性もありますので、一度店頭で手に取って試してみるのがいいでしょう。とにかくいま一番案的にはいったド定番のAPS-Cミラーレス機です。


 今回は以上のカメラを希望を託すような気持で推薦させていただきました。いずれも現時点で、ビギナーにとってすこぶる扱いやすく、機能面においても過不足の少ない「よく撮れる」カメラばかりだと思います。ご購入の参考にしていただければ幸いです。


まとめ

 これからのカメラはどうしてもスマホを意識したものにならざるを得ないでしょう。逆に言えばスマホのカメラとどれだけ差異化、優越性をアピールできるかです。そいういった意味では私の拘る豆粒センサーのコンデジは不利に違いありません。かといって圧倒的な性能を誇るフルサイズでは、そもそもユーザー層、使用目的など、根本的な土俵が違います。そうなるとカメラメーカーがスマホに打ち勝つゾーン、落としどころはAPS-C(あるいはマイクロフォーサーズ)の更なる小型化、高性能化しかないと思います。

 そういった視点から来年以降、出てくるカメラを見て行けば、その先のカメラの未来もおのずと見えてくるのではないでしょうか。次回はそういった観点から、カメラの未来を占っていきたいと存じます。