2021年1月12日火曜日

2021 入門カメラ購入のヒント

今おススメのカメラ選び


 今回は、新しくカメラを買おうという方に向けたカメラ購入ガイドです。

 カメラが欲しいという人にもいろいろ理由があるでしょう。例えば、子供ができたので成長記録を撮りたい。趣味の鉄道写真にいいカメラが必要だ。インスタグラムなどネットで写真を見たり発表するのが楽しそうで自分もやってみたくなった。中には仕事で撮影する必要に迫られて、という人もいるでしょう。

 カメラの種類や機種も全くの素人向けからプロ御用達まで幅広く存在します。今回は、私が考えるカメラの存在意義を根底に、これからカメラを始めようという方に向け、タイプ別にどのような人にどんなカメラが相応しのか、考察しておススメをあげてみたいという企画です。

 特にこれまでカメラをあまり意識しなかった人に向けての記事となります。なぜなら、すでにカメラに対しある程度の造詣を持つ方は、人に言われるまでもなく、自分がどんなカメラが必要なのか心得ているからです。ここで対象とさせていただくのは、あくまでもカメラに対してこれからという人向けですので悪しからず。


 それではタイプ別カメラ購入ガイドの始まりです。Q and A 方式で行きます。


Q1 スマホカメラに限界を感じ、よりよく写せる気軽なカメラが欲しい方。

A1 Pansonic DC-TZ95



スマホカメラにないコンパクトカメラの利点。その筆頭はズームです。TZ95は高精細ファインダー&180度チルト対応タッチパネルモニター搭載。 光学30倍ズーム 高倍率コンパクトカメラです。同タイプのコンパクトカメラとして取り立てて小さいわけではありませんが、スーツのポケットや女性のショルダーバッグなどには楽勝で収まります。なんといっても光学30倍ズームはスマホにはできない芸当です。はるか遠くのものをぐっと引き寄せる快感はこのクラスのデジカメならではのもの。その豪快さをぜひとも味わっていただきたいです。

コメント:日頃ちょっと気になった情景をスマホで撮る、という習慣はホントにここ10年ほどで拡がった新しい文化です。スマホの強みはいつでもほとんど持ち歩いている、ということ。昔は外出中、面白い発見があっても手元にカメラがないので撮りようがありませんでした。そこでカメラメーカーはより身近に写真を撮ってもらおうと、小型化に取り組み、胸ポケットに入るくらいのコンパクトデジタルカメラが大流行しました。機能に制限はありますが、それを補ってあまりある携帯性には捨てがたいものがあります。このカテゴリーのカメラは今後も縮小化の恐れがあります。店頭から消える前に、手に取って試していただきたいものです。



Q2 スマホもコンデジもイマイチ不満。なんでも簡単にきれいに撮れる写真が欲しい。

A2 Canon PowerShot G7 X Mark III



いつもソニーのサイバーショットRX100シリーズを推しているのですが、キャノンのライバル機 PowerShot G7シリーズも負けていません。コンパクト機の中では大きめの1インチセンサーを採用し、ズーム全域で明るく、鮮鋭に描写するF1.8-F2.8レンズを備えています。RAWバーストモードで最高約30コマ/秒の高速連写ができ、4K動画にも対応。キャノンお得意のピクチャースタイル、シーンモードも豊富で、あれこれ操作しなくても、印象的な一枚が気軽に撮れる高性能な一台に仕上がっています。

コメント:キャノン対ソニーの熾烈な首位争いはフルサイズの上位機種から、こちらの高級コンパクトと言われるカテゴリーのカメラまで丁々発止の状態。どちらかを選ぶのも好み、相性の問題で、いずれも甲乙つけがたい性能のよさです。カメラをあまりいじりたくはないが、簡単に人とちょっと差のある写真を撮りたいのなら、このクラスに踏み込むのがよろしいかと存じます。



Q3 カメラのことはよくわからないが、自分の趣味・興味を写真に収めたい。

A3 Panasonic DC-G99


ローパスフィルターレスの20.3M Live MOSセンサーにより、高解像画質での鮮明な描写を実現。LUMIXの絵作り思想「生命力・生命美」を継承し、空と雲が織りなす繊細なグラデーション、水平線まで続く大海原の奥行き感までも忠実に表現。そこにある息吹、空気、歴史といった「感性」がとらえたものまで、しっかりと描き出します。とメーカーの公式ページにあるように、はフィールド一眼というコンセプトを明確に打ち出したパナソニックのど直球カメラです。ボディ内手ブレ補正5軸とレンズ内手ブレ補正2軸を連動して制御するDual I.S.2を搭載し初心者の不安を払しょくするブレない写真が撮れます。

コメント:スマホ、コンデジからのステップアップを図るなら、マイクロフォーサーズは格好のネクストステップとなります。パナソニックは4K撮影の新時代の皮切り役を務めたパイオニアであり、小型軽量の利点を生かして、いつでもどこでも家族みんなが手にして撮れるユーザーフレンドリーなカメラとなりました。またマイクロフォーサーズは望遠側にも強く、旅カメラとしても最適のサイズ感で好評です。



Q4 アートな写真に興味はない。記録用に利便性高い機種を探している。

A4 SONY DSC-HX99

有機ELファインダーと24-720mmの高倍率ズームレンズを搭載した本機は、数あるコンパクトカメラの中でも、ひときわ汎用性の高いカメラです。この小さいボディにマニュアルフォーカス時のピント合わせやステップズームなど、さまざまな機能を割り当てて、こだわりのマニュアル操作を可能にするコントロールリングが付きます。さらにポップアップ式の有機ELファインダーが内蔵し、タッチパネル式のモニターは180度チルト可動式で自撮りも自由。上位機種譲りの高速精密なオートフォーカス、10コマ高速連射と至れり尽くせりの多機能カメラです。

コメント:ガジェット好きならたまらないコンパクトなボディになんでも撮れる万能感満載のカメラです。ソニーカメラのいいとこどりをしたような多機能ですが、決して画質を重視しないわけではなく、お任せオートで撮っても、たいがいのスマホカメラよりは優位点が多く、さらにさまざまなマニュアル機能で、思い通りの写真が撮れるところがさすがソニーです。どの機種を買うか迷うなら、本機を手始めにカメラの基礎を学ぶのが最適化と思われます。



Q5 おしゃれでセンスの良さがひかり、かつ本格志向のカメラが好き。

A5 OLYMPUS PEN E-PL10


女性が手にして素敵、カワイイと評価されるカメラはまだそんなに多く世にでていません。そんな中、オリンパスのPENシリーズは発売以来、そのスタイリッシュなフォルムとそれに負けない高性能で多くのファンを生み出したベストセラー機です。コンパクトカメラ並みのボディでレンズ交換ができ、ふんわりとしたボケ味たっぷりの写真も簡単に撮れます。すっぽりてに収まる小ささなのに、本格的なボディ内手振れ補正、フラッシュまで内蔵し、さらに豊富なアートフィルターでプロ顔負けの印象的な写真が撮れます。

コメント:黒、シルバー、ピンクとカラーバリエーションも揃え、手にした質感までこだわったオリンパスならではの個性が光るカメラです。ストラップで肩に掛けて街や海山を軽快に撮れる、遊び心満載のミラーレス機です。


 日頃、写真の細部にこだわり、シビアな見方をするマニア的な人は、コンデジなど最初から眼中にないでしょう。それはそれでフォトグラフィーの文化を向上させるためにも必要なご意見ですが、それらはカメラを手にする人の中のほんの一握りです。8割以上のカメラユーザーはオートでさっと簡単に済ませたいというタイプの人たちです。そういった人はそもそも自分の希望や主張を発信することもなく、いい写真をとれれば満足なのです。カメラの性能にきびしい意見を言う人の声は強く大きくて影響力がありますが、カメラメーカーさんは、一方のサイレントユーザーの声なき要望にも応えて頂きたいのです。

 率直に申しあげて、スマホに負けないような、もっとキレイに簡単に撮れるカメラはできるはずです。技術云々ではなく、使い勝手の良さ、利便性などはまだまだ発展の余地があると思えるのです。高性能、高機能をウリにしてスマホとの差異化を図る戦略は理解できます。でも同時により広く間口を広げて、子供から主婦層、趣味なき高齢者まで幅広くアピールし、買いたくなるようなカメラを作っていただきたいのです。下降線をたどるカメラ販売実績の裏には、まだ必要とされるカメラが登場していないせい、そんな裏側ととれるのではないでしょうか。

 このたび改めて各カメラメーカーのカタログを見回しましたが、コンパクトカメラのラインアップがあまりにも寂しくなっているのを知って寂しくなりました。かつては各社競って様々なコンデジを出していました。あのころが懐かしいです。なので私は世の中のカメラにかかわるすべての人に訴えたい。

 コンデジの復活を!

 いやあ、なんとも思わぬ考察となりました。今回、初心者のカメラ購入を選抜していて強くそれを感じた次第です。

2021年1月11日月曜日

写真撮影の基礎知識

初心者のためのカメラ撮影術

 


 写真撮影は初心者にとってわからないことばかりです。絞り? 焦点距離? 被写界深度・・・。いずれも基礎的な事柄ですが、スマホ写真やフルオートに近いコンデジしか触ったことのない人にとっては、何のことやらさっぱりです。
 これからデジイチ(デジタル一眼レフ、あるいはミラーレス・カメラ)を趣味や仕事で必要とする人にとっては避けられない基本要綱です。でも身構えることはありません。写真というものの本質を理解すれば、それらはいずれもまったく光学的な理にかなったものばかりで、取り立てて専門知識に頼る類のものではありません。
 本当はこれらの基礎知識をわきまえた先にある、実践現場での撮影の方が、はるかに奥深く、難しいことに満ちているのです。
 
 まずは現場に出る前に、家の中でカメラ片手にいろいろと試写してみると、見えてくるものがあります。その時に、以下の記事が多少なりとも理解の助けになる思いますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。



知れば上手くなる写真撮影の法則


写真の基礎は「絞り・シャッタースピード・ISO」

 露出をコントロールする3つのカメラの設定は、絞り、シャッタースピード、そしてISOです。

 それぞれの機能を簡単に説明します。
絞りをコントロールするダイヤフラム


  絞り: レンズに入る光の量をコントロールします。絞りは、使用されているF値に基づき、その幅を調整するレンズのダイヤフラムによって制御されます。F値が高いほど、絞りの開きは小さくなり、レンズに入る光は少なくなります。絞り開放というのはそのレンズの窓を最大に開いた状態のことで、数字は2.8、2、1.4などと小さくなっていきます。

シャッタースピード: レンズに到達する光の持続時間を制御します。これは、カメラのセンサーの前にあるシャッター幕によって制御されます。シャッタースピードが速いと、幕の開閉が早くなり、センサーが光にさらされる時間が短くなります。遅いとその分、光を多く取り入れることになります。動きの速い被写体を捉えるには、高速なシャッター値の設定が必要となります。

ISO: 
International Organization for Standardization(国際標準化機構)の略ですが、そんなことは覚えなくても結構です。センサーに入った光に対して、カメラが感じる度合いを表すものがISOとなります。ISOが高いほど、センサーの感度が高くなります。日中ではISO100や200で程よい感度になりますが、夜間や暗所の場合、暗さに応じてISO値を400、800、1600と上げていくのですが、上げ過ぎると通常ノイズが発生しやすくなり、画質が荒れてくる特性があります。

 もちろん、これら3つの設定はそれほど単純ではありませんし、それぞれが互いに影響し合う関係なので、その調整次第で結果は大きく差が出ることになります。



 つまり、それぞれの設定には責任分担があり、適切な露出を得るために、すべての設定に気を配る必要があります。設定次第で、全くの同じ被写体が見違えるように変わった印象のものになります。そこが写真の面白いところです。


 まずは絞りから始めましょう。多くの入門書や解説では絞りモードを最初にマスターすることを推奨しています。絞りは被写界深度を制御するものであるため、被写体をより際立てて撮影することができます。いわゆる主体のわかりやすい「絵」になるのです。
(被写界深度:ピントの合う立体的範囲のことをさすことば)






 上の写真のように、被写界深度を浅くして背景をぼかしたい場合は、絞りを大きくする必要があります。
 多くの人が戸惑うのは、絞りの大きさとF値が反比例していることです。つまり、F/2は非常に大きな絞りで、F/16は非常に小さな絞りということになります。



 つぎにシャッタースピードは、写真の中でどのように動きを捉えるかをコントロールします。シャッタースピードは、1/30秒、1/100秒、1/500秒などのように、1秒単位で計測されます。


 
 当然のことながら、シャッタースピードが速くなればなるほど(たとえば1/250秒、1/500秒)、上記のように動いている対象の動きをフリーズさせてしまう可能性が高くなります。
 逆にシャッタースピードを遅くすると、写真に動きのブレが出てくるようになります。




 最後の要素であるISOは、デジタルノイズの量をコントロールします。

 デジタルノイズはフィルムの粒のようなもので、下の写真のように画像にざらざら感を与えることがあります。


ISO 800
ISO 12800



 ISOは、ほとんどのエントリーレベルのカメラでは約100~6400の範囲で測定されていますが、概して新しいカメラほどより高い数値でノイズを抑えられるようになっています。ただしISOの上限が大きい数字だからと言ってそこに頼ると、見るに堪えない写りになることがあります。最大値より数段低めのISOを設定した方が安全と言えます。



カメラの設定で撮りやすくする

 以上の三つの要素を知るにはそれぞれのモードを試すわけですが、最初からマニュアルモードで撮影する必要はありません。

 最初はフルオートで試し撮りを繰り返し、そのカメラの色合いや光の捉え方などのクセを掴むことです。ひと口にオートモードと言ってもカメラやメーカーにより、色調や設定される数値も変わってきます。ある程度オートモードの特性がつかんでから、
絞り優先、シャッター優先、プログラムへと自分で数値を調整しながら、さじ加減を理解していきましょう。フルマニュアルでの撮影に移行する前に、絞り具合など各位の特性を把握しておくことで、マニュアル時の微調整がやりやすくなります。  


 絞り優先モード(カメラのダイヤルのAまたはAv)では、絞りが優先され、その設定をコントロールすることができます(ISOもコントロールできます)。そのさいカメラは
自動的にシャッタースピードをコントロールするので、絞りの変化に応じてカメラはシャッタースピードを調整して、適正な露出が得られるようにしてくれます。これは、ポートレートのように被写界深度を重視する場合に有利です。

 シャッター優先モード(カメラのダイヤルのSまたはTv)では、カメラが絞りを制御している間にシャッターとISOを制御します。シャッタースピードを変更すると、こんどはカメラは自動的に絞りを変更して、露出の高い画像を撮影します。

このモードは、先ほどのように動体の動きを止まらせたり、川の流れをぼかしたりするなど、動きをコントロールするのに適しています。

 最後に、プログラムモード(カメラのダイヤルのP)では、カメラの設定をさらに細かくコントロールできます。
 このモードでは、ISOが優先されるので、ISOを設定すると、カメラはそれに応じて絞りとシャッタースピードを適正に調整します。



 上の写真のような夕暮れ時の撮影の場合、まずISO設定を念頭に低照度撮影するといいでしょう。プログラムモードだと、絞りやシャッタースピードの選択は、カメラに依存しますが、そのあとに露出補正をかけてより適切な写りのバランスをとってみましょう。
 プログラムモードは、実際にはマニュアルモードではなくても、マニュアルモードに一歩近づいた自由度の高いモードと思えばわかりやすいでしょうか。



 露出の基本、露出の三要素、そして様々な撮影モードについて学ぶことで、段階的にオートからマニュアルモードに移行していきましょう。違いを体感するために、各モードでの違い、自分がマニュアル設定したものと、オートとの撮り比べで、その違いがだんだん分かってきます。必ずしもオートが最善であることはなく、あなたの狙い、好みに絞って、オートより味のある写真をどれだけ多く撮れるようになるか。自己チェックを怠らないようにしてください。
 そういった意味で、写真の修練は撮影時だけではなく、撮った後にいかに自分の写真を分析するかが重要です。まずは撮影枚数をこなし、自分とカメラの距離を近づけていきましょう。カメラが自分の目の一部となるくらいまで深く付き合っていくと、撮影の面白みが深まっていきます。

 次回は撮影時にありがちな疑問について考えていきます。



2021年1月10日日曜日

今年出るカメラ

2021カメラ未確認情報




 昨年はカメラ業界においては、大打撃、大誤算の年でした。はやり病のおかげで、ただでさえ縮小傾向だったマーケットはさらに追い打ちをかけられた格好です。
 本来は2018年から始まった高級路線、つまりフルサイズ・ミラーレスカメラの新製品攻勢が加速して、一定の成長株として指針を示せる年のはずでした。各社それぞれにいい製品が発売されたにもかかわらず、残念ながら爆発的なヒットに至る商品は出ませんでした。
 観光業が壊滅状態だったのは、カメラ販売にとっても大きな影響があったのです。かろうじてソニーが販売実績を維持しながら、業界全体を引っ張ってきましたが、一社だけではいかんともしがたく、今年は他メーカーの更なる追い上げが必須となってくることでしょう。

 まだまだハイエンド機の需要は十分に開拓されていませんが、ある見方によると、スマホカメラもひとわたりエンドユーザーに行き渡った昨今、スマホ画質に飽き足りなくなった写真好きが、よりよく撮れるカメラにステップアップしてくる流れを予測しています。すぐ来るとは限りませんが、その人たちが一気に最上級機に流れるとは考えられず、より入門者向けに工夫した、それでいて優れた描写性能、連射性能、オートフォーカスなどをぶち込んだ魅力的なカメラが出てこなければなりません。

 よって各メーカーがどのような新機種を打ち出してくるのかが、勝負の分かれ目となるのではないでしょうか。とはいえ規模縮小の流れの中、限られた予算でどこまで健闘できるメーカーがあるのか、今のところ不透明な要素が多すぎます。

 ひとつ確実なのは、2021年は事実上キヤノン対ソニーの戦いが激化するだろうということです。ニコンはかなり厳しい状況が続きそうですが、製品自体は高いクオリティなので、工夫次第では好結果をもたらすことは十分可能と見ています。一昨年フルサイズに参戦したパナソニックも同様で、追う側としては正攻法で攻めるだけではその差は埋まらないでしょう。それよりマイクロフォーサーズ陣営の足場を固める方が賢明だと思うのですが・・・。

 ソニー対キャノンで興味の一つは動画性能の強化です。ソニーファンは、8K Eマウントカメラを発売すると多くの人が期待しています。しかし、キャノン信者の噂によると、キヤノンは、300MPのピクセルシフト・モードというのを使って90メガピクセルのEOS-R5s(であろう)カメラをリリースすると予想しています。
 ソニーは他にも、2021年に超高解像度の新機種(これはa7RVとなるらしい)がリリースするかもという噂が飛び交っています。ソニーのこの新機種はどうやら102メガピクセルのセンサーで、6K対応のビデオ機能付きになると言われいます。ただこのセンサーのスペックはすでに2019年にリークされていたので、次世代機のa7RVはさらに8Kまでグレードアップされたバージョンになる可能性があります。

 ソニーの今年の攻勢はそれだけにとどまりません。みんなが待ちに待ったa7IV、これがどのタイミングで出てくるのかに注目が集まっています。さらには最高位機種A9III(またはA9Rもありか)も投入が十分予想されるところがソニーのすごいところ。これらがすべて実現したら、今年のソニーも安泰かもしれませんね。


 一方の、追い上げるキャノンはどうでしょう?

 2021年には、キヤノンも当然いくつかの新しいカメラが予想されています。そのほとんどがRFマウントのカメラになるでしょう。

 その筆頭がキヤノンEOS R5S。高メガピクセルのRFマウント・ミラーレス機です。

 最新の噂によると、キヤノンはEOS R5の少なくとも2倍のメガピクセルを持つRFマウントボディのEOS R5Sを発売するといわれているのです。新しいセンサーは、これまでとは違う次世代の技術を利用するととのことで、期待は大ですが詳細は明らかになっておりません。

 またAPS-Cセンサー搭載のEOS R7(仮)が本当に出るとすれば
、スポーツや野生動物、ビデオ撮影を直接ターゲットにした、APS-C RFマウントのミラーレスカメラになるはずです。これが名機EOS 7D Mark IIの後継機となればいいのにと思います。

 次にキヤノンは、EOS RとEOS RPに代わる新しいRFマウント・ミラーレスカメラ2機種を発売すると予想されています。

 そのうちのひとつは、キヤノンの最も手頃な価格のフルサイズ・ミラーレスカメラになる可能性があります。EOS RPより下位のベーシックモデルになるなら、こちらは戦略的な価格の普及機として、カメラファンのすそ野を広げる起爆剤となるかもしれません。

 もう一台のカメラも、EOS RPの後継機とEOS R6の間に位置するミッドレベルの普及機となり、こちらの価格は1,500ドル前後が見込まれています。


 そしてある意味、今年の目玉と目されるのがキヤノンEOS-R1です。このカメラはキャノンの新たなフラッグシップ機との期待を集める最上位機種。プロ機1EOS-1D X Mark IIIを超えるすごいスペックが予想されていますが、公式の発表で詳細はまだ記されておりません。

 キヤノンは動画性能に特化したシリーズも今年半ばには出してきそうです。昨年Cinema EOS C70はユニークな形状でも話題になりましたが、その後継機としてCinema EOS C50およびCinema EOS C90が連続してリリースの予定です。ビデオクリエーターのすそ野が広がる時代を見越して、新たなるマーケットを切り開く強い意欲の表れではないでしょうか。

 このように今年も昨年同様、ソニーとキャノンが熾烈な主導争いを続ける模様です。

フルサイズ機ではありませんが、今年もう一社、攻勢を強めてくると予想されているのがフジフィルムです。フジはここ数年APS-Cセンサー機に集中した新製品展開が活発ですが、フルサイズのさらに上を行く中判機にも力を注いできます。あえてフルサイズという主戦場を避けて展開する富士フィルムの今年はどうなるのでしょうか?
 本年早々、第一弾として間もなく発表されると言われている中判機GFX 100Sに期待が高まります。同時期に新レンズや新たなAPS-C機も発表されるとのアナウンスがあったので、今年はフジフィルムを皮切りにカメラ業界は生き残りをかけた熾烈な戦いが幕を開ける模様ですね。








2021年1月9日土曜日

おすすめカメラ用ガジェット2021

 便利で使えるカメラ機材


 カメラで撮影していると、あんな時、こんな場合、こういうものがあったらいいのにと、いろんな欲求が出てくるものです。そういったものは集めだすとキリがないので、本当に自分に必要なものか、問いただしてみる必要があります。ミニマリストになるつもりはありませんが、できるだけシンプルにカメラだけで撮影出来たらそれに越したことはありません。よって大抵は我慢して極力ガジェットなしでの撮影を心がけているのですが、ここぞという時に用意しておくと便利なものだけは少しづつ買い集めていくのもいいでしょう。

 ここでは買って後悔しない、カメラの周辺機材をいくつかご紹介していきます。アメリカ在住なもので、日本にないものもあるかもしれませんが、そこはご了承ください。


1 おすすめ:カメラバッグ

CADEN DSLR Camera Shoulder Messenger Bag


 本格的な撮影に適したバッグとなると、バックパック・タイプから選ぶのが本道でしょう。ただ私的には被写体を見つけた瞬間に、さっと取り出して素早く撮影体制に入れる、そんなバッグが一番役に立つと思うのです。いろいろ試した中で、今一番使えるなと思えるのがこのバッグです。
 多くの機材を持ち出さないならこれで十分です。基本的にレンズを装着したカメラ一台と交換レンズ一本だけしか入りません。写真の紹介文にはiPadも収納できると記されていますが、重くなるので私は持っていきません。私がこのバッグを選んだ最大の理由は、三脚をくっつけて持ち歩ける点です。三脚は、アウトドア撮影では大抵トラベル用の小型三脚しか持ち出さないので、こういったバッグにぶら下げられるのはとてもありがたい。三脚をどのように持ち歩くかいつも悩んでいただけに、見つけて本当に役に立ったバッグです。
 サイドには水筒も収納できるポケットがあるし、最低限の必需品がこれ一個に収まるのはありがたいです。肩からたすき掛けにしても邪魔にならず、長距離を歩いても負担を感じません。バッグの表面は防水加工が施されているので、不意の雨でもしっかりカメラを守ってくれます。デザインもシンプルで好感がもてますし、内装も厚めのクッションを使っているので、しっかり衝撃からガードしてくれます。アクティブに撮影を楽しみたい方には格好のバッグです。


2 おすすめ:ジンバル

FeiyuTech AK2000 3-Axis Camera Stabilizer Gimbal

 近ごろの一眼ミラーレス・カメラは軽量化が進み、動画もスムースに撮れる環境が整ってきました。ひと昔前の重たい一眼レフには不向きですが、本体とレンズを合わせても一キロ前後にしかならないミラーレス・カメラなら、ジンバル片手に自撮りや風景撮影に行くのも楽しくなってきます。

 とはいえスマホ用のジンバルとは違い、カメラ対応で作りのしっかりしたものを買おうとすると、日本では6円台が基本ラインでしょう。それがアメリカではなんと200ドル台からあるのです。大半が中華製のジンバルですが、思いのほか作りはしっかりしています。スタビライザーも普通によく効くし、使い勝手もよく初めての人でも簡単に乱れのない動画が撮れます。プロ用を使う人からはレスポンスが遅いとか、ペイロードが1.2kgしかないことを指摘される本機ですが、私がパナソニックのG8で使用してもストレスフリーで使えています。軽めのカメラには最適の入門ジンバルです。



3 おすすめ:リングライト

AFI 8" Ring Light with Tripod Extendable Stand 3 Color Modes Dimmable




 YouTuber
の影響で爆発的に需要が高まっているリングライトは今や商品ラインアップも百花繚乱でどれにすればよいのか迷ってしまうほど。家電量販店の方に訊いたら、どれもそう大差ないが、光量だけは多めの方がいいとのことでした。タイプ別ですと、スタンド式やクリップ方式のものも出ていますが、アメリカでは三脚式が圧倒的に主流です。高さや角度で自由度が高く、様々な上々に対応できるからでしょう。スマホ写真の方は直径10インチタイプのものでいいのですが、カメラ用となると、基本ラインが18インチ、55ワットのクラスがいいとのことです。わたしはたまにブツ撮りに使う程度なので、小型で済ませました。人物には小さすぎますが、食事のお皿や一つの商品にスポットを当てるには十分です。用途に合わせて光の量多めのものをお選びください。



4 おすすめ:一脚

Neewer Extendable Camera Monopod with Removable Foldable Tripod Support Base


 野山を歩きながら写真を撮るわたしにとって一脚はとてもありがたい便利グッズです。カメラ用というよりは私自身のストックがわりで重宝しています。撮影というと、通常は大きめの三脚でどっしりと撮るのが理想ですが、私の場合、もともと手持ちで撮影するという縛りでやってきたため、三脚ありきの撮影条件の時しか登場しません。

 かわりにこの一脚が旅の友です。当然三脚より軽くてコンパクト。しかもこの一脚は写真にあるようにミニ三脚のような三点支持ができるので、いざという時には三脚代わりにもなるのです。過信は禁物ですが、低めに設定すればけっこう安定的な写真が撮れます。一脚はあくまで手ブレ軽減のサポート程度ですが、それでもないよりはずっと成功率は高まります。三脚が億劫な人でもこれなら持ち歩けます。



5 おすすめ:カメラ・ホルスター

Movo MB800 Waist Camera Holster with Quick Release



 腰にカメラをぶら下げるためのベルトとアタッチメントのセットです。これがあると両手が開くのでなにか両手でつかみたいとき、手を洗う時などでも便利です。また複数のカメラを持ち歩け、カバンに入れたもう一台と使い分けるなんてこともできます。
 この便利さ、簡便性が使いだすとやめられなくなるグッズです。まるで西部劇のガンマンみたいな出で立ちになってしまいますが、写真を撮っれます、という意思表示がはっきり出せるのはいいかと。落下防止の命綱もついているので安全ですよ。




2021年1月8日金曜日

ペット写真の撮り方:入門編

我が家のペットを可愛く撮る:犬編




 動物写真の撮影は楽しいものです。特に自分が飼っているペットに対しては思い入れが強いので、いかに魅力的に撮ってやれるか、みんな苦心惨憺しています。我が家にも二匹(二羽?)のウサギと一匹のヤドカリくんがいますが、なかなか思うように撮影させてくれません。

 その点、ワンちゃんや猫ちゃんは表現が豊かで、動きも千変万化。いろんな状況から思わぬハプニングで奇跡の一枚が撮れる瞬間もあるでしょう。

 最近のスマホカメラや入門機にはシーン別設定の中で動物に特化したモードも普通に用意されています。それでも時や場所によって対応できず、けっきょくマニュアルで撮った方がうまく行く場合もあるでしょう。とはいえ、初心者にとってのみならず、動きの予想できない動物の一瞬をとらえるのはけっこうな忍耐も必要。人間の子供なら言い聞かせて、動きを抑えることもできますが、動物にはなかなかむつかしいことです。


 そこで今回はペット写真を撮影するときに、知っておくと役立つ(かもしれない)アイデア集をまとめてみました。必ずしもこれが正解、というものではありませんが、私が実践してみて、なるほどと思ったものを中心に並べてみました。ご参考にしていただければ幸いです。





今回は「犬編」です

犬の写真を撮ることは、カメラの前でペットを快適にさせる方法と、高品質の写真をクリエイティブに撮る方法を理解すれば、それほど難しいことではありません。以下にヒントをご紹介します。




撮るタイミングを計る

写真ビギナーがあなたのワンちゃんを一番撮影しやすいのはいつでしょうか。ずばり愛犬が眠たい時です。動きが単調で、優しい表情になるので、ゆったりした環境下で撮るのが良いです。ただし寝るのはだいたいケージにいるときなので、背景や前景が邪魔になりやすい弱点もあります。縁側やベランダがあれば日向ぼっこするお昼寝時にシャッターチャンスはやってきます。撮影は被写体だけに注目せず、背景のごちゃごちゃしていない場所を選ぶ方がいい写真になります。



自然光を利用する

犬の写真を撮るときは、必ずしもフラッシュや複雑な照明設定を心配する必要はありません。まるで人間のモデルさんを撮るような、ライティングに凝る人もときおりみかけます。十分すぎる光量はたしかに犬の毛並みを際立たせたり、あいまいな部分をしっかり描写する手助けになりますが、時としてあざとい作りに見られがちです。ペットを主人公にしたカレンダーを作るのならそれもよいかもしれません。しかし慣れない人工灯で落ち着きを失うワンちゃんもいます。ときには怖がったり、赤目になったりすることもあるので、できれば自然な光を使うのがベストです。なにより太陽の光が動物を一番生き生きとさせるエネルギーをもっています。

細かいことですが、被写体に十分なキャッチライト(目の中の白い光の反射)があるとないでは印象がかなり違ってきます。この光を入れ込むよう何度も試してみてください。写真が変わりますよ。




シャッタースピードが肝

さて、ここでペットの写真を撮るのが非常に難しい理由が一つあります。多くの場合、アクションをフリーズさせるためには、速いシャッタースピードを提供するカメラを使用する必要があります。つまり、マニュアルモードでのカメラの設定方法も知っておく必要があります。


動物写真で一番肝心な要素の一つがシャッタースピードであることはお判りいただけると思います。写真を知らない人が生き物を撮るとほとんどこの被写体ブレに躓きます。
シャッタースピードの使い方次第ではしゃぎまわる子犬もぴアリと止めることができます。

1/500以上のものはシャッタースピードが速いとされていますが、本当に素早いワンちゃんのためには1/1000以上が求められます。この速度で十分な絞りをマスターできれば、ペットが躍動する瞬間をクリアなストップモーションで撮ることができます。ただ成功のためには、ひたすら愛犬をファインダーで追い続けることとなるでしょう。


カメラ任せもあり

デジタルカメラの中には、プログラムされたペットモードを提供しているものもありますが、通常はそれだけでは露出の高いシャープな画像を撮影することはできません。デジタル一眼レフカメラやミラーレスカメラ、または少なくともマニュアル設定を調整できる専用アプリを使用するのが最善の方法です。



目線を工夫する

普通に立った位置から愛犬を撮っただけではなんだか味気ない写真になりがちです。欠けているのはカメラのアングル、レンズ位置の工夫です。
よりよい効果を出すためには、犬の世界を低い位置から撮影してみましょう。膝の高さから地面すれすれまで、角度によって思わぬ愛らしさに出会うかもしれません。バリアングルやチルト式のモニターを活用して、普段見たことのないワンちゃんの表情を捉えましょう。







ワンちゃんの注意を引く

静かに遊ばせてあげて、カメラを構えてシャッターを切る準備ができたら、犬の注意を呼びましょう。「ほらこっち見なさい」声をかけると飼い主のあなたの顔にレンズがくっついている、と興味を覚えるのです。丸く光るレンズで一瞬ワンちゃんの注目を集めることができます。カメラ目線のつぶらない瞳は時に愛くるしい表情をもたらします。そのチャンスをお見逃しなく。



瞳フォーカスは正しい


最新のカメラは人への瞳フォーカスから動物への瞳フォーカスまでオートでできるようになってきました。ふわふわした体毛の中で、きらりと光るワンちゃんの瞳をぴたりと捉えることはとても重要な事と言えます。犬だけでなく、これはどんな生きている被写体にも当てはまります。犬をフレーミングするときは、目にオートフォーカスをして、目がシャープであることを確認し、犬の表情が画像のフォーカルポイントになるようにしましょう。犬がカメラ目線であろうがなかろうが、このポイントは押さえておいてください。



犬の性格をとらえる

可愛いクローズアップ写真もいいですが、そのワンちゃんの性格が伝わる写真を心がけましょう。遊び好きなタイプなら、多少ぶれても躍動感を大事にした方がいいショットのなります。愛犬がおっとりしたタイプなら、ベッドに寝そべってあくびをしているところなどがそのワンちゃんのセールスポイントをとらえたものになるでしょう。百匹いれば、百匹の個性があります。あなたのワンちゃんがどんなキャラクターか想像しながら撮ると、その個性がにじみ出てくるものです。



様々な視点のフル活用

フィルムカメラの時代は枚数に制限がありましたが、デジタルの時代ですから数を気にせず余裕のあるメモリーカードで、好きなだけ写真を撮ってみましょう。それこそ360度いろいろな角度から撮影を試みるのです。上から撮ったり、目線の高さから撮ったり、下から撮ったり、横から撮ったり、後ろから撮ったり。さらには顔のアップや肉球、尻尾だけなど、あなたの創造力を活かして、クローズアップしてみてください。動物園の動物やよそ様のペットでは不可能な撮影も、あなたのバディならOKしてくれるはずです。




忍耐強く

カメラ機材や写真撮影のノウハウはさておき、犬の写真撮影に必要なもう一つの重要なことは、忍耐力です。ペットはプロの訓練を受けていないと、具体的な指示に従うことができません。同時に、ペットは人間のエネルギーを吸収することでも知られているので、あなたがストレスを感じたり、イライラしたりすると、ペットはそれを察知して、あなたの感情を反映し始めます。逆に
あなたがリラックスしていればいるほど、良い写真が撮れる可能性が高くなります。犬にはカメラの概念は分かりませんが、不思議と撮りたいという飼い主の意思をくみ取る瞬間を感じることがあります。ワンちゃんに無理強いはせず、我慢強く、長い目で撮り続けて行ってください。




ペットへのご褒美

撮ったら撮りっぱなしは慎んでください。モデルへの支払いを忘れるのは失礼です。撮影中、ワンちゃんのモチベーションを維持し、協力を促すために、ご褒美のおやつは用意しておきましょう。食べ物以外もアリです。新しいおもちゃをあげたり、よしよしとお腹をこすったり、感謝の気持ちを伝えるのです。ご褒美を使って、撮影をより楽しいものにしましょう。


いかがですか。要はカメラを介して、主人とペットとのコミュニケーションを楽しむことです。撮る側の一方的な行為に終始せず、触れ合いの一手段としても写真撮影のひと時はいっしょに楽しむ気分で付き合ってくださいね。
撮影に慣れてくると、ワンちゃんんもカメラに心を許し、本当にモデルさんのように優雅なポーズをとってくれたりします。(いやそうならないやんちゃなワンちゃんもたくさんいますが、それはそれでカワイイもんですよね)







2021年1月7日木曜日

ストリート・フォトの撮り方

初心者でも撮れる街並み




 カメラを手にすると、腕がうずいてついつい外に飛び出したくなります。ところが出たはいいけど、いったいなにを撮ればよいのか、わからなくなるのがストリート・フォトです。単に路地に蹲る猫を撮ったり、なじみの駅前の一角を切り取るのもいいでしょう。はじめはこういった何気ない身の回りの風景を撮影するところから始まります。
 ある程度、試し撮りを続けていくと、数は少ないがなんとなく面白い写真と大量のイマイチな写真つみあげられてきます。

 徐々にですが、自分が何を撮りたいのかおぼろげながら、浮かんでくるわけです。でもそこから一歩先のいわゆる「絵」になる写真を撮るには、様々な工夫が必要になってきます。
 ここではちょっとマシになるかもしれない、ストリート・フォトのアイデアと言いますか、チップを初心者限定で記事にしてみました。自分の経験をもとに、プロの方から教わった知恵をかき混ぜで羅列したものです。ご自分で納得した事柄があれば、ぜひ撮影にご活用ください。

街並みを撮る心得

 いきなり大上段ですが、ストリートフォトの本質は、カメラで市井の日常生活や社会を記録することだと思います。ストリートフォトこそ写真撮影の原点であり、腕を磨くための格好の舞台であります。いい写真はなにも遠くの異国に行かなければ撮れないものではありません。
一般的には、通常許可なしで、自然体の被写体を撮るのが理想です。もちろんマナーとして許可を得てから撮る必要のケースはたくさんあります。が、被写体がカメラを意識し役者になっては、台無しになってしまうケースもあります。とはいえストリートフォトグラフィーは、キャスティングされた写真を全否定するものではありません。相手に撮影を知らせておいて、自分がいいと思った瞬間をキャッチし、面白いキャラクターに作り上げるのもアリだということです。
 ストリートフォトで最も重要なことは、あなたの心の好奇心を躍らせることです。やみくもにいい被写体を漁るような姿勢はやめ、自然体で景色を楽しんでください。そうするとおのずと格好の絵になる状況が向こうからやってきます。
 テクニック以前の、感性の問題ですが大切なことです。撮影する側のエモーションはカメラの写りに影響を与えるんです本当に。とにかくわくわくする気分で街に出てください。



カメラを常に持ち歩く習慣

 当たり前のことですが、どんな名写真家でもカメラなしに傑作は生まれません。皮肉なことにカメラが手元にない時に限って面白い素材に巡り合うものです。少しでも多くシャッターチャンスをものにするためには、カメラの常時持ち歩きを心がけましょう。
とくにストリート写真の場合は瞬発力が命です。さっとだしてパッと撮る。簡単なようでなかなかできるものではありません。そういう観点から、私は少しでも携帯性に優位な小型カメラを推奨しています。オリンパスのPENシリーズなどは、普段使いにも気軽に持ち歩けるコンパクトさと高性能を両立させています。肩からぶら下げて歩いてもファッショナブルでかつ軽快に被写体を追うことができます。


レンズを選ぶ

 使用するレンズを決定することは、ストリート写真のための最も重要な要因の一つです。初心者はつい、望遠レンズを使用するように誘惑されるかもしれませんが、それはあまりいい成果をもたらすものではありません。あなたは見知らぬ人から巨大なズームレンズを向けられたくないでしょう。撮られる側の身になると、バズーカ砲のような巨大レンズは威圧感ありすぎで、つい身構えてしまうものです。
 実は多くのストリートフォトグラファーは、大型のデジタル一眼レフカメラよりもコンパクトなカメラを選びます。機動性もありますが、一番の理由は被写体への影響を考慮して、装備をコンパクトにする事、なのです。
 そういった意味で私はマイクロフォーサーズで街並みを撮ることをお勧めしています。レンズも高層ビルを丸ごと撮れる広角から、ピタッとぶれない超望遠まで、軽量小型のレンズが揃っていますので、マイクロフォーサーズ機は身軽に行動するにはうってつけのサイズ感なのであります。


カメラ設定

 カメラをA設定(絞り優先モード)に切り替えて、F値(絞り)とISOを手動で選択するのが、ストリート撮影設定で最も簡単な方法です。その後、カメラが適切なシャッタースピード(露出)を決定します。晴れた日には、F値16、ISO200~400の間で撮影を開始するのが良いでしょう。カメラが1/200秒以上のシャッタースピードを表示していれば、撮影準備完了です。

 カメラが表示しているシャッタースピードをメモして、それに応じて絞りとISOを調整するといいでしょう。カメラのシャッタースピードが1/80以下の場合は、写真がぼやけてしまう可能性がありますが、それも逆に味わいに転じる効果になったりします。
 ボケを克服するには、ISOを上げたり、絞りを広くしたりするだけでいいでしょう。写真撮影に慣れていない場合は、カメラをPモード(プログラムまたはオート)に設定して、カメラが正しい設定を選択するようにしてください。家に帰ってその時の最良の設定を覚える癖をつけるといいですね。あなたの好みに合わせて露出を上げたり下げたりしたい場合は、EVで調整することができます。

 オートは時間がなくて急ぎの撮影している場合に便利ですが、カメラが何をしているかをほとんど制御できないので、これは常に最良のオプションではありません。今どきのカメラはプログラムモードでかなりいい仕事をしてくれますが、ただし暗い場所での判断は人間と違い、大ミスをすることもあるので、頼り切ることは禁物です。



被写体に近づく

 広角レンズを使用することで、被写体に近づいて撮影することができます。広角の利点は、見る人にその場にいるような臨場感をもたらすことです。また長筒のレンズで通りの向こう側に立つのではなく、環境の一部として群衆の中に溶け込むように撮影することができます。
 大抵の成功したストリートフォトは、立ち位置から数メートル、時には数センチの距離で撮影されています。人通りの多い通りや市場、公園などを歩いていても、観察力があり、面白い被写体を探すために目を開けていれば、実りある写真を撮ることができます。もしイメージと違う写真が撮れたなと感じたら、次はもっと近くで撮影することをお勧めします。臨場感を意識してファインダーを覗きましょう。



羞恥心と戦う

 始めの頃は、街中でカメラを構えることには勇気がいります。誰かにどう見られているか気になって、被写体に集中できません。とくに大型カメラでファインダーを覗くと、目立つことは避けられません。焦って設定ミスを繰り返し、大事なシャッターチャンスも見逃してしまいがちです。必要なのは繊細な観察眼と厚かましい好奇心の両方です。ならば撮影に徹するために開き直って、カメラマンっぽいファッションで臨むのも手です。
 隠し撮りと疑われないためにも、かえって「私カメラで撮影してます」と意思表示しているような、撮影モードのファッションがグッドです。カメラバッグや三脚を装備し、撮影者であえる自覚と意思表示を兼ね備えるのです。私はよく背中に「STAFF」と書かれたカメラマン・ベストを着て町を歩いたものです。なんのスタッフかわからないが、とにかく仕事で撮影してるんだろうと思わせるためのカモフラージュです。

 もう一つ、ストリート写真は立って歩きながら撮るものだという潜入感はありませんか? 意外に多くの傑作は座った位置からも生まれています。旅先などでは野外のカフェやレストランに座って景色を楽しみながら、面白いハプニングを待ったりします。居心地の良い場所で観察すれば、リラックスしてゆとりある写真を撮ることができます。気合入れ過ぎて通りの真ん中に立っているよりも、カメラを持ってゆったりカフェに座っている方がチャンスはやってきやすいものです。



早朝・夜間に撮影する

 早朝は人影がまばらで、普段見慣れない印象的なシーンを撮るのに格好のシチュエーションです。通りの安全を確保したうえで、大胆な画角や俯瞰、カメラ目線を試せます。昼間の雑踏では見えなかった面白い素材が見つかるもの早朝ならではの楽しみであります。
 また街中での夜の撮影は、ユニークな写真を撮る絶好のチャンスです。日中の撮影ほど簡単ではありません。ボケを避けるためにシャッタースピードを遅くしたり、ISOと絞りを使って低照度を補正したりする必要があります。でもやればやるほど経験値が上がり、絞りをコントロールする腕を磨くことができます。夜の街はカメラを学ぶ先生の役目を果たしてくれると思ってください。
 長時間露光撮影をする場合は、三脚を忘れずに。また、開放絞りのレンズを使えば、低照度のシーンを撮影しても、動きを静止させたまま撮影することができます。夜間の撮影では、面白いラインや影、構図を見つけて、画像に大胆な視覚効果を与えてみてください。シルエットになっている被写体も面白いですし、モノクロを強調して印象的な一枚に仕上げるもの面白い試みです。




脱:画質至上主義

 基本的にストリートフォトというものは、風景写真や商業写真に比べれば、画質を気にするジャンルではありません。確かに高画質に越したことはありませんが、それほど気にすることではありません。一般のフォトコンテストにおいても、ラフな画質であっても発想や瞬間の描写が優れているものが上位に受賞しています。画質よりも構図、光、ドラマ、伝えようとしているストーリーが重要だということでしょう。綺麗に収めようとはせず、感情のこもった撮り方がベストなのです。(雑に撮ってよいという意味ではありませんよ念のため)



まとめ

 ストリート写真は自由な発想が命。普通の人が見過ごしがちな小さなものから、肉眼ではとらえきれない巨大な町の空気感までさまざまな切り口があります。カメラの性能云々より、撮影者のスピリットみたいなものが、個性を際立たせ、人を魅了する写真になります。
 ぜひあなた自身の心のときめきを信じで自由な発想で街を切りとってください。




2021年1月6日水曜日

カメラの購入基準を考える

 どんなタイプのカメラを選ぶか

 



 カメラを選ぶ基準はたくさんありますが、まず第一に決めたいのは、使う目的です。何のためにカメラを買うのかによって、機種はかなり違ってきます。

 かりに人物をスマホよりきれいに撮りたいというのなら、フルサイズ・カメラと単焦点レンズの組み合わせを推す人もいるかもしれません。旅カメラとして風景中心に使いたいなら、軽量小型のマイクロフォーサーズは選択の筆頭にあげてもいいでしょう。

 このように使用目的によって、まずカメラ選定をするのが常道かと思います。

 でも意外に多いのが、「いや私は被写体を選ばず、とにかく写真を趣味としてやっていきたい。でもビギナーとして、また予算の制限も考慮しながら、できるだけ入門機としてオールマイティな、使いやすいカメラが欲しい」、そんなタイプの人です。

 なかなか贅沢な欲求ですが、カメラメーカーさんはそういったゾーンの人こそ取り込みたいと考えているはずです。カメラ人口が減少していく中で、カメラを趣味として継続的に購入してくれる新規の顧客は得難い希望の星です。そのようなビギナーが満足できるカメラをどのように選ぶのか、それが問題です。

 とりわけ重視したいのは将来性です。特に一眼レフ、ミラーレスなどのレンズ交換式のカメラは、レンズマウントがメーカーによってそれぞれ異なるので、メーカーごとに互換性がありません。(厳密には近年マウント・アダプターの発達でかなり互換性がひろがりましたが、それでも買ってみなけりゃわからない、相性などというものもあります)

 ニコンの一眼レフ、フルサイズカメラ対応のFマウントは1959年発売以来ずっとカメラの歴史を支えてきましたが、現在はフルサイズ・ミラーレス用のZマウントの開発・販売に注力しています。長年のニコンユーザーでFマウントのレンズ資産が豊富な方ならいざ知らず、これからニコンを使っていこうとする方なら、迷わずZマウントのカメラを選ぶことをお勧めします。

 とくにニコンのミラーレスはフルサイズとAPS-Cが共通のマウントなので、将来レンズやカメラを買い替えたり買い足したりしても、レンズの互換性に困ることはありません。今のところZマウントのレンズ・ラインアップは正直乏しいのですが、キットレンズでも評判が高く、今後出るレンズにも期待を寄せていいいと思います。

 キャノンのマウント・システムはちょっと複雑です。EFレンズ、EF-Sレンズ、RFレンズ、EF-Mレンズと現在4種類のマウントに分かれていて、同じキャノンでも互換性がないものがあります。たとえばEF-SレンズはAPS-C機のレンズなので、フルサイズ機には使えません。なのでレンズ購入時には注意が必要です。いま開発、生産に最も注力しているのはフルサイズミラーレス専用に開発されたRFレンズです。いまサードパーティ製も含め、様々なラインアップを構築中で、数年後にはキャノンレンズの主流となる規格です。そのあおりを受けてAPS-Cミラーレス用のEF-Mレンズの開発が停滞しているのは、ユーザーにとって誤算だったでしょう。今後の動向が注目されます。

 このようにカメラ・メーカーごとにレンズ仕様の違いがあるので、とくにこれから本格的なカメラを買おうという方は、先を見据えて、どのカテゴリーのカメラではじめるか、よく検討されることをお勧めします。

 まとめてみますと、レンズ交換式のカメラを選ぶ場合、下のような区分でカメラを選ぶことができます。

1 マイクロフォーサーズ

2 APS-Cの一眼レフ

3 APS-Cミラーレス

4 フルサイズの一眼レフ

5 フルサイズ・ミラーレス


 1から5、それぞれ敢えて一台入門機を選ぶとすると、2021年現在では、以下のようになりました。

1 Olympus OM-D M5 mark III


 小型軽量で上位機種譲りの最新センサーや手振れ補正機能が内蔵されています。定評あるコンパクトなM.ZUIKOレンズとの組み合わせでちょっとしたバッグにも納められ、常時携帯も可能な軽快さです。本体同様、レンズもリーズナブルな価格で揃えることができ、入門機としては一番扱いやすい部類のカメラです。



2 Pentax KP


 とにかくカッコいいのです。ガッツリボタンやダイアルが装備されていて、いじっているだけでも愛着がわいてきます。入門機には珍しいマグネシウム合金製で、しかも防塵防滴設計。さらに5軸5段分のボディ内手振れ補正機構内蔵。そして何といっても目玉は最高ISO 819200というけた違いの超高感度撮影が可能な事。



3 Fujifilm X-S10

 昨年は年の前半にでたX-T200を一押ししてきましたが、今年の富士フィルムはこのクラス並みいるライバル機を抑えて、いま一番アツイ本機をご推薦いたします。まず富士フィルムミラーレスとしての転換点となるであろうインターフェース&外見の大幅刷新。本体の小ささはそのままにグリップが大型化し、ダイアル類も他メーカー同様の一般的なコマンドダイアル導入となりました。さらにボディ内手振れ補正も付き、フィルムシミュレーションも上位機X-T4などと同等の充実ぶりです。



4 CANON EOS 6D Mark II



  2017年発売のフルサイズ一眼ですが、値段もこなれてきたので、今が買い時です。フルサイズならではの圧倒的描写性能を初心者でもすぐに体感できる完成度の高いスタンダード機。2620万画素で最高ISO感度40000。大きなファインダーで生の被写体を見ながら撮るというカメラの基本を体感できるフルサイズ入門機です。豊富なレンズ・ラインアップはシグマやタムロンからも買いやすい価格で出ています。



5 SONY a7C 


  フルサイズ・カメラの常識を覆した本格コンパクト・タイプのフルサイズ・ミラーレスカメラ。兄弟機にしてベストセラーのa7 III譲りのオートフォーカス性能、シャッタースピード、低照度撮影、そして多彩な動画フォーマットが扱えるビデオ撮影機としても最優秀の部類に入る小さな巨人、それがa7Cです。本機にはコンパクトな単焦点レンズや明るい標準ズームが似合い、街中でも自撮り動画が容易に撮影できます。


カメラの特徴から選ぶ

 いっぽうカメラのプロフィールを重視する選び方もあります。

1 スナップショットに強いカメラ

2 オートフォーカスの高性能なカメラ

3 暗所性能が強いカメラ

4 手振れ補正の効くカメラ

5 動きのあるものに強いカメラ

6 野外環境に強いカメラ

7 動画性能の高いカメラ

 などです。これ以外にも操作性の高さや、軽さ、小ささを判断基準にする選び方もあるでしょう。カメラによっては通信機能の強みを謳ったり、マニアックなユーザーならシャッター音の相性で最終決断する人もいます。

 以上のカメラも個別に、また別の機会で随時ご紹介していけたらと存じます。


まとめ

 カメラの全世界総合の出荷台数は2010年の一億二千万台を超えたのが頂点でした。その年を境に出荷台数は毎年大幅に下降を続け、昨年はついに一千五百万台を切りました。これはスマホ・カメラの発達で、カメラはもういらないという一般認識が広がったためです。ゆえに若い世代には、カメラ自体使ったことがない人が急増しています。

 しかしアメリカでは複数のアナリスト、企業統計の専門家らは2020年がカメラにとってのどん底期であり、今年からわずかではあるが、業績は持ち直し、年々微増が期待されるとしています。その要因としてまず挙げられるのが、中国におけるカメラの需要です。中国では若い世代を中心に、初めてカメラを使ったのがスマホ経験という人が多く、そこからステップアップするカメラ購入者が増えるだろうというのです。輸出入の貿易規制などが緩和されるとさらに普及は拡がり、特にフルサイズ・ミラーレスの上位機種を中心にマーケットが活性化される可能性を指摘しています。

 また各社ミラーレスカメラを中心に据えた開発・販売展開で足並みがそろうのが、これから数年ということで、マーケットとしての安定期に入ると見られています。試行錯誤だったここ数年間に得たノウハウから、これから出されるカメラはかつての欠点、弱点を克服してより良いものになっていくでしょう。私が期待するポイントは、

1 画像処理エンジン

 各社の画像処理エンジンは数年ごとにバージョンアップされてきました。そのたびにISO性能が上がってノイズが減ったり、オートフォーカスの精度が向上したり、さらには色の再現加工技術ががカメラ内できたりと、これまでにない発展性が求められています。

2 インターフェース

 使い勝手の良しあしは、とくにユーザーからのフィードバックで改善されます。今もずっと議論され続けているチルトかバリアングルかもモニター問題。これはさらに両方のいい面を折衷した新スタイルの可動モニターが期待されます。

 またタッチスクリーンが標準になりつつある現在、さらなるユーザーフレンドリーなグラフィック表現が可能になったので、メーカーそれぞれのセンスが試される部位となりそうです。

3 ファームウェア

 これからのアフターケア、サービスはファームウェアが主流になってくるでしょう。これまでにない大胆な機能向上、バージョンアップが、ファームウェア上で施されていくように期待しています。数年前に技術的には難しかったことも、今はカメラにプリインストールされるコンピュータチップ次第で、いくらでも機能拡張が可能になります。あまりやりすぎると新しいカメラを買ってもらえないので、メーカー側は今は控えめですが、そのうち堰を切ってファームウェアの充実化が図られる時代が来るでしょう。

 ほかにも様々なカメラの進化、改革の可能性があります。上級機の最初搭載され、数年後に下位機種にそれが反映されるパターンが早くなり、あるいは上位から下位まで同時に新機能搭載、というような流れもできるかもしれません。

 願わくば今年はより多くの入門者がカメラを手にして、その楽しさを体験していただきたいものです。