2020年8月24日月曜日

ジョン・レノンを聴きたくて

ニューヨークで日本語 

 



 私が車で送迎するお客さんの八割はいわゆるリピーターで、昔から馴染みという人が多いです。そういった方は、気軽に世間話をしながら、目的地まで移動できるのですが、初乗りのお客さんの中には、どういった性格や習慣があるかわからないので、会話は少なめです。はじめこちらが話しかけて、あまり乗ってこないようだと、話したくないのだと判断し、ずっと目的地まで寡黙を通します。この日初めて乗車された初老の紳士は、地元の町からマンハッタンのミッドタウンまで行くよう依頼されたのですが、最初からむすっとした感じで、ミラー越しにみても腕を組み「話しかけるな」オーラを発しているように見えたので、こちらも言葉を発しないままマンハッタンまで1時間20分ほど走りました。

 目的地の10分ほど手前で、私が住所を確認すると、その紳士はいきなり私にどこからきたのかと聞いてきました。日本だと答えると、その人は片言の日本語で「ああ、やっぱりそうですか」と言いました。片言とはいえ、十分伝わるレベルです。彼は続けて「チャイナ人かもしれないと思いました。失礼しました」そう言うのです。

 私が「日本語が上手ですね」と褒めると、彼は昔日本に住んでいたと言いました。東京と軽井沢に数年滞在していたそうです。もう30年以上前のことだそうです。

「ワタシは、和菓子の勉強で日本にいました。生活費を稼ぐため、日本人にジャズ・ピアノを教えていました」彼はそう言いました。日本は大好きだと話は続き、次第に日本での思い出を語りだしたのです。しかしあいにく目的地はもう目の前に迫っていました。もっと早く彼の日本語に気付いて、話し相手になれれば良かったのにと思っても後の祭りです。

 ところが彼も話し足りなかったのか、急遽行く先を変えて、数ブロック先のとあるビルディングに行くよう指示してきました。私がそれに従うと、着いた先はあの有名なダコタハウスでした。

「ここにジョン・レノンが住んでいた」彼が言いました。もちろん私も知っています。

「そうですね」私が答えました。彼はマスク越しになぜかふふふと笑い、

「私はね、軽井沢で彼を見かけたんだ」紳士はそう言いました。「ヨーコ・オノも一緒だった。ふたりは仲良くコーヒーを飲んでいたね」

 彼が懐かしそうにそう言いました。

「へえ、そうですか」私が聞き耳を立てていると、「その先で下ろしてください」といきなり言われました。

 まだ話がありそうだったのに、あっけなくそう言われたのです。

「久しぶりに日本語を使いました」彼は微笑んで下車しました。

 私はなんだかコニュニケーションが尻切れトンボのようでバツが悪かったのですが、にっこり笑って「ありがとうございます」と丁寧に言いました。

 ニューヨークで日本語を話す人と会ったのは久しぶりだったので、なんだか名残惜しくなりました。もっと話せばよかった。そう思いながら、ひと仕事終えた私は、何の気なしにハンドルをとある場所に向けて走り出しました。

 ジョン・レノンという思いがけない名前を聞いて訪れたのは、セントラルパークにあるストロベリー・フィールドという記念碑のある場所でした。

 もう夕暮れ時だったので樹々の下は薄暗く、人気も少なかったのですが、敷地の歩道を歩いているとどこからともなく「パワ~トウーザ・ピーポ~!」とジョン・レノンの歌声が聞こえて来ました。おりしも止んでいた雨が小振りになり、周囲にふいに静けさが訪れました。

「幽霊? ばかな。ま、まさか、そんな」ちょっとビビりながら進んで行くと、その先にファンの聖地、ストロベリーフィールドの記念碑が現れました。碑にはきれいに花が飾られていました。
 その周囲には数人の若者がいて、スマホでビートルズの曲を流して聴いていたのです。なんというか、彼らも旅行者らしくて、ちょっとしんみりしめやかな雰囲気でした。気軽に「ハーイ!」なんて挨拶できる空気じゃありません。
 私は申し訳無さげに腰を低くして写真を1枚撮り、そろそろとその場を通過しました。
 どういう人たちか知りませんが、きっとジョンとその音楽をこよなく愛する人たちなのだと思いました。没後30数年たっても未だに愛され続けるジョン・レノン。さぞかしアーティスト冥利につきるでことでしょう。

 日本語を話すお客さんに導かれるように、十数年ぶりに来てみたストロベリーフィールド。そこは相変わらず、永遠の愛を歌うように、人々の心を惹きつけてやまない場所でありました。

2020年8月23日日曜日

ロング・ビーチ・アイランドを観光

 住んでみたい島

 

 ニュージャージー州随一の観光スポット、ロング・ビーチ・アイランド。地元の人達はこの島を、親しみを込めて頭文字で「LBI」エルビーアイと呼びます。

 起伏の殆どないフラットな陸地は平均海抜わずか数メートルに過ぎず、かつて幾度か訪れたハリケーンによって壊滅的な打撃を受けています。数年前のハリケーン・サンディでは多くの住居が床まで浸水し、家を失った人も少なくありません。私の家内の姉も一階のアパートが膝上までの浸水で家具や冷蔵庫、調度品などすべて使い物にならなくなったといいます。それ以降、州の条例で島のすべての建物を底上げするよう改革がなされました。その結果、数年かけて島内の95%以上の家屋が高床式住居のようになりました。一階部分は住居に割り当ててもよいのですが、多くの家が二階を中心に生活設計されたユニークな町並みとなりました。メインストリートの商店は一階を店舗にしていますが、それ以外非常時の被害を最小限になるよう準備されています。レジャーと非常時を兼ねたボートをほとんどの住人が所有しています。住む人達の災害に対する意識は、地震大国の日本も見習うべきだと思いました。

 

 車で島の北から南まで巡りましたが、どこもとても風光明媚で、住みよい別荘地のようです。一度は住んでみたいと思ってしまう島ですね。

 太平洋に面した延々と続く白砂のビーチ。この眺めは圧巻の一言。北も南も遥かに霞んで見えなくなるまでビーチが続いています。大西洋の波はけっこう荒くて、サーフィンにもってこいです。サメの出没も珍しくないのですが、このシーズンは比較的平穏に経過しているとのこと。代わりに、アザラシやクジラを目撃したという、微笑ましいレポートも耳にしました。地元のお年寄りでしょうか、早朝からビーチチェアとパラソルを用意して、砂丘の上から海を眺める姿が印象的でした。


 島の北端にはこの島の名物、ランドマークと言える、赤と白ツートンカラーのバーネガット灯台があります。訪れてみると、ここはけっこう観光客で混み合っておりました。すかさすマスクを着用して駐車場から灯台へ。あいにくというか、予想通り灯台内部は一時閉鎖されていました。以前登ったときは強風でしたが、展望台からの眺望は一見の価値ありです。360度見渡す限り水平線と地平線だけしか見えず、アメリカの広大さを実感したものです。灯台の周りにはヨットハーバー、自然公園、そして沿岸を歩ける堤防が長々と伸びており、たくさんの観光客で賑わっていました。

 そのあと島の中ほど、大西洋の逆側に行ってみました。そこは大陸と島の間の海で、波の少ない穏やかな海辺です。ちょうど瀬戸内海の湾岸沿いを思い浮かべれば良いと思います。


 そこかしこに柵で囲われた小さな砂浜があり、小さな子どもたちも安全に遊べる浅瀬となっています。潮の干満にもよりますが、プールより浅い浜辺では幼児を連れた家族がたくさん訪れてにぎわっていました。私達家族は時間をずらして夕暮れ時に行ってみたのですが、ほとんどひと気はなく、まるでプライベートビーチのように、のびのびと遊泳を楽しめました。

 翌日は島の南端へドライブ。ここもマイカーで駐車場は満杯でしたが、なんとか隅っこに駐車しました。その先の浜に出ると、はるか水平線の彼方、あたかも蜃気楼か、海に浮かんでいるようなアトランティック・シティを見ることができました。この一体の砂丘は、野生保護区となっており、遊泳はもちろん草一本抜いてはいけない決まりがあるので注意が必要です。とはいえ、平気で浜辺で遊び回る人たちがいて、ライフガードや見回りもおらず、セキュリティ緩すぎないかー、などと思ってしまいました。

遥か彼方に見えるアトランティック・シティ


 午後には島を出て、親戚の家の庭でソーシャルディスタンスで控えめな食事をいただきました。いつもなら気軽に親戚同士、こどもたちもハグし合うのですが、今年はちょっと寂しい再会となってしまいました。

 とはいえこのささやかな一泊旅行、敢行してよかったです。不安視された観光地での混雑にもほとんど遭遇せず、安全確保しつつ、見るべきところはしっかり見て回り、海水浴も堪能。なにより雄大な海と景色が、長らく続いたステイホームのフラストレーションを洗い流してくれました。

 これでうちの子供達も心置きなく新学期を迎えることができるのではないかと存じます。

ニュージャージーの海にて

 アメリカで海水浴

 

 ニュージャージー州にあるロングビーチアイランドに行って来ました。ここはよくニューヨークのロング・アイランドと間違えられるのですが、全く別の島です。ニュージャージー州の沖合に浮かぶ棒のように細長い島です。南北の全長が30キロメートルに対し、横幅が平均400メートルしかないのです。人口9000人余りのこの島の産業の9割が観光で保っています。しかも冬シーズンは信号も停止するほど、閑散とし人がいなくなります。

 多くの住居が州外に住む人達の別荘で、観光シーズンをすぎるとぱたっとひと気が途絶えるのです。しかし例年6月下旬から9月上旬までは大変な人手で賑わいます。もちろん目当ては大西洋に面した雄大なビーチ。島の東側ほぼ全部が延々と続く砂浜です。日本本土のビーチのように芋を洗うような混雑にはなりませんが、最盛期で一日数万人がこの砂浜に押し寄せます。今年は例外中の例外で、かなり観光客は少なめ。それでもビーチ沿いの宿泊施設は8割がた埋まっていたといいます。

 今回この地を訪れるにあたって下調べをし、滞在や遊泳に問題の無いことを確認していきました。これまでほぼ毎年行っていた場所なので土地勘はありました。隣町のマナホーキンに親戚が住んでいるので、情報収集には事欠きません。検討の結果、今年は義母や従兄弟の世話をかけないように、ホリデーインに滞在することにしました。

 全米各所にあるホリデーインは格安でかつシンプルな簡易宿泊施設。ホテルとしてはサービス十分とは言えないかも知れませんが、必要最低限の設備はあり、評判も悪くありません。


 しかしいざ到着して見たマナホーキンのホリデーインは、既存の概念を覆す充実ぶりでした。やはりここが観光地だとということでしょう。都会のただ宿泊するだけのホテルではありませんでした。エンターテイメント施設がかなりアップグレードされていたのです。

 まず敷地に入って誰もが目を見張るのが、高さ10数メートルのフィールド•アスレティックス•ジムです。昔ながらのデザインを踏襲し、木製でできたりっぱなものです。こういうのはプラスチックぽい作りだと興が冷めるもの。あえてクラシカルなジムにしたのは正解でしょう。安全ハーネスを装着して塔を登り、綱渡りする本格的なアスレチック•ワークが楽しめます。そばにはゴーカート•コースがあり、有料でゴーカートを走らせることができます。


 一般的なジムや屋内プール、バスケットコートも清潔に管理されています。南洋を意識した屋外レストランも上品で、きれいに植え込みされた花とみどりのガーデンもなかなか目に麗しい出来です。

 ロビーは閑散としており、目につくのは従業員だけ。ソーシャルディスタンシングは十分に保たれ、エレベーターも家族だけで行き来できました。当初は人の接触を避けるべく、階段で部屋までスーツケースを運ぶことも覚悟していたので、やや拍子ぬけでした。地理的にアイランドの外だということで、今年の客足は例年の六割り程度と案内係の人が話しておりました。混み合う島内のホテルより、こちらを選んで正解のようです。ここから島までは10分そこそこで行けるので問題ありません。

 部屋はいたってシンプルで、一通りのものは揃っています。ベッドの寝心地は家のそれを超えており満足。窓からの景色は、海こそ見えないものの、遊泳ビーチのある湖が見える見晴らし良好の部屋でした。

 ここまでは良かった。

 ところが部屋で一休みし寛いであたところ、テレビの横のデスクにあったスナック菓子のまわりに二匹のアリを発見。ニューヨークではあまり見かけない、ちっちゃな焦げ茶色のアリです。すぐに排除したのですが。その後、壁を這うもう一匹を発見。嫌な予感がしていたのですが、結局翌日チェックアウトするまで、20匹あまりのアリを潰す羽目になりました。おかげでうかうか食事もできず、外へディナーを食べに行くことになりました。

 当然コレはクレーム案件です。朝チェックアウトの際、厳重に抗議したら、お詫びにと、次回の宿泊一泊分が無料になる、メンバーシップ・カードを作ってくれました。滅多に無いことでしょうが、こういうハプニングも旅の思い出の1ページになるのかな、などと思った次第です。

 


2020年8月22日土曜日

なんでもある便利さ

 

家具を買うなら


 なんでも屋と呼ぶとちょっと語弊があるかもしれませんが、一つの店で、いろんな種類のものが買える店が好きです。一箇所で日常品の大半をカバーし、割安で買える店は時間の節約になります。今日はその代表格、アメリカで躍進の著しい小売店舗「BIG LOTS!」のご紹介をいたします。

「BIG LOTS!」の店舗カンバンは最近都市部から地方にかけて交通の要所要所で目につきます。ここ6,7年のことだと思うのですがこの会社は急成長遂げてきたように思います。日本で言えばドンキホーテかな? いやなんか違う。店内展示方針は真逆で、ちょっとだだっ広い感があります。 

 この小売店の特徴は食料品から雑貨まで様々なジャンルの商品を格安で取り揃えているところにあります。でもそれって競合他社もけっこうあるので、特徴とはいえないな。しいていえば店舗も大きすぎず小さすぎず、中規模で広々としたスペースを使った明るい店舗が特徴かな。とにかくぎすぎすしてなくて、ゆっくり品探しできる感じ。中でも最も力を入れているのは家具関係のようで、店舗によっては売り場面積の半分を占めているところもあります。

 ベッドやソファー、テーブル、キッチン棚、アウトドアキャンプ用品など。ビーチチェアや折りたたみの万能テーブルなど様々な商品が取り揃えられています。まだクリスマスの季節にはクリスマスの飾り付けや、様々なディスプレイを展示します。ハロウィンの季節にはハロウィングッズ、夏には夏のバーベキュー用品などなど。その他キッチン、ガーデニング、掃除グッズ、ベビーカーや大型の玩具ほか育児グッズ。日用雑貨その他もろもろ日常に必要な商品は大抵揃っています。

 私も暇があれば、ついふらっと立ち寄ってしまう入りやすい店舗です。特に自分がよく行くコーナーは電化製品のコーナーです。そこにはスマホに必要なケーブルやチャージャーやケースやバッテリーなどが、とても安価な値段で手に入るようになっています。気をつけなきゃいけないのは、いわゆる有名メーカーのブランド品ではなく、それらしい類似品が多いということ。たとえばヘッドフォンなどは一見「beats」かな?と思った商品がよく見たらぜんぜん無名の海外品だったりします。値段も10分の一程度。音質の差は聞く前から明らかです。音にこだわらなければ全然問題ないのですけどね。

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家具ならお任せの品ぞろえ

 私が先日「BIG LOTS!」に立ち寄ったのは、我が家でとてもボロボロになっているソファーのセットを買い替えられないかと言うことで下見に来たときのこと。いろいろ取り揃えられていて結構デザインのほうも新しいタイプのものがありました。価格はまずまず。他の店でも同じような値段で売ってるところもあります。IKEAなどよりは2、3割位安い感覚でしょうか。

 思い切って買ってみようか、そう思ったソファーセットがあったのですが、なんとこれがSOLDと書いていたんです。これは残念至極。おそらく店員さんに聞けば取り寄せられると答えるのでしょうが、このタイミングを失ったのは何か意味があるのではないかと思い、その日のは買うの取りやめにしました。いずれにしても家のソファーはミシミシと壊れかけの感触が凄いので、早晩買い換えることになるでしょう。その時はやはり第一にこの「BIG LOTS!」に立ち寄ってみることにするつもりです。

2020年8月19日水曜日

オススメ節約カーライフ

 評価の分かれるMavisさん

 

 アメリカに住んでいる人で、車の修理はどこでやっも同じで出費がかさむ、とお悩みの方。Mavis Discount Tireを利用したことがありますか。Mavisさんはアメリカ東海岸を中心に全米規模700店舗以上を誇るタイヤ販売&車修理チェーンです。タイヤを格安で販売することから始まったお店ですが、各店舗にエキスパート・レベルのメカニックを配置し、修理サービスをするようになってから、業績は矢のごとく伸びていきました。ニューヨーク界隈では幹線道路上、どこへ行ってもMavis Discount Tireの看板を見ない日はありません。

 この店の良いところは、

1 土日でも開いていて、作業は手早い。

2 車全体の簡易チェックを無料でしてくれる、とくにタイヤ周り。

3 予約無し、飛び込みで修理依頼できる。

4 店舗同士、横のつながりがあってパーツ等の調達が迅速。

5 サーピス体系がシステム化されていて、課金内容の透明性が良好。

6 修理データはシステムを通じて全店共有なので、他支店に行っても自車の記録がわかる。

7 見知らぬ町で車がパンクしたり故障しても、最寄りのMavisにレッカー移動できる。

8 交渉により修理期間中の代車を提供してくれる。

などの利点があります。

 私の所属するリムジン会社も全車の管理をMavisさんに委託しており、どの車がいつどんなメンテをしたか、全履歴が保存されています。一般のローカルな自動車修理所ではけっこうデータ的なものが杜撰なところがあったりしがちです。とくに飛び込みで入った修理屋さんでひどい扱いを受けた、と泣き言を言うカー・オーナーは珍しくありません。その点、フランチャイズ制のMavisはお客の足元を見ることはなく、車知識の乏しい人にも優しく説明してくれます。

 そして最大の利点は、Mavisのメンバーシップに加入し、専用のカードをつくることによって、上限1000ドルの分割払いが可能になることです。個人営業のショップでは一括払いが基本なので、法外な修理代に泣かされることがあります。でもMavis Discount Tireのメンバーなら条件により六ヶ月あるいは十二ヶ月分割で無利子も可能です。支払いの負担が軽減されることは、とても助かるので、私個人もメンバーに加入しています。大掛かりな修理など、いざというときの選択肢としてあって損はないと思います。

 こう書いてくるといい事づくめのようですが、公平を期すため、ネガティヴ寄りの評判も記しておきます。よく聞くのはメカニックの技術にムラがあるという点です。各支店には必ず熟練のメカニックが一人はいますが、ほかは習いたてとか、見習いのような工員がいます。もちろんチェック体制はしっかりマニュアル化されており、マネージャーが最終確認をするので、問題はまずないでしょうが。

 また大規模なチェーン店なので、しょっちゅう顔ぶれは変わり、新しいメカニックをトレーニングしながら修理するという話も聞きます。さらに込み入った修理は嫌がる傾向があり、できないと言われ、ディーラー行きを勧められることもあります。また、やはりタイヤを売る店なのでタイヤのチェックには熱心で、早めの交換を勧められることも多いです。

 最寄りにMavisがない場合、一番いいのはプライマリー・ドクターのように、行きつけのオート・ショップを決めることです。何軒か試してみて、信頼できるメカニックを見つけることが大事。一度いい仕事をしてもらったら懇意にして、末永くテイクケアしてもらえるようにしましょう。 

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 話は変わりますが、夏の行楽シーズンもあと僅かになってきました。今年は思わぬパンデミックで、世界中どこへも逃げ場がなくなってしまいました。それでも、状況が少しでもマシになったらどこかへ行きたい、という欲求は多くの人にあるようです。

 先日、行きつけのオートショップに、車のオイル交換に行ったら、予約がいっぱいと門前払いされそうになりました。ここのオートショップは10年来の付き合いで、車が不調のときはよくお世話になります。

 オーナーに「繁盛してますね」と言ったら、いま予約中の車の半分はトラブルとか、故障ではなく、メンテナンスやチューンナップの依頼だというのです。だいたい毎年夏が始まる頃、こういうお客が増えるのだが、今年は先週頃からこうなったというのです。

 ああ、ニューヨークのみんなはコロナ感染が下降線をたどっている今、どこかにエスケープしようということか。そう思いました。わたしもこの一般的な庶民の意識はわかります。いままで数ヶ月、我慢し続けてきた「コロナひきこもり」のストレスがものすごく鬱積しているのです。このまま夏を終わらせていいのか?

 夏休みシーズンが終わる前に、ちょっとでも郊外へ出て、開放感を味わいたい。

 そう思ってしまうのも仕方ありません。かく言う私の家族も、毎年夏休みには、おばあちゃんのいる、ニュージャージーの浜辺に泊まり込みで行っておりました。毎年7月の恒例行事だったのですが、さすがに今年は断念しました。でも感染状況が収まり気味な今(ニューヨーク州)になって、やっぱり行こう、行きたい、行かなきゃ! ということになり、決行の判断に至りました。

 もちろん万全の注意を払い、ソーシャル・ディスタンスは守ります。絶対人混みは避け、マスク、手洗いは徹底します。それでももし目的地が混み合っていたら、予定変更も視野に入れています。とにかくこのまま夏は終わらせられない。

 そんな家族の願いを背負って、わずか一泊の夏休み旅行に望むのであります。

2020年8月18日火曜日

ベスト・メンズ・バッグ:USA

どこでも仕事ができるバッグが欲しい


 

 長らく愛用してきたTIMBUK2のバックパック、The Authority Packが引退の時を迎えました。バッグ上部の把手が外れ、ジッパーが開きにくくなったり、バッグの底に穴が空き始めてきました。まだ使える、まだ行けると言い聞かせてきましたが、そろそろ限界です。買い替えを決意しました。

 思えばこのバッグ、けっこうベビーにこき使ってきました。毎日仕事に持ち歩き、休みの日にも車に入れっぱなしで、買い物袋代わりにも活用してきました。ちっちゃなカメラと三脚を詰め込んで趣味のハイキングというか、野歩きにもつき合わせてきました。

 もともとTIMBUK2はどのバッグも作りがしっかりしていて定評があります。私はバッグに限らず、何でもまず使い勝手と機能美を優先します。ブランドとかは二の次か三の先ですが、TIMBUK2のバッグは一般におしゃれ感が支持されてるのだと思います。見た目すっきりしていて無駄がないです。ニューヨーカーや近隣のビジネスマンたちの間でもよく見かけますからね。とりわけ都会で映えるメッセンジャーバッグが人気で、前の会社の上司もTIMBUK2の革製バッグの愛用者でした。確かにかっこよかったです。


 私もお気に入りだったこのバッグに、Macbookと必要最低限のモノを詰め込んで街を歩き回っていました。これさえあれば、どこへ行っても仕事ができる気分になります。マンハッタンで働いていたときは、地下鉄やバスを乗り継ぐことが多かったので、バックパックが便利です。かといってあまりアウトドアっぽいスタイルのバッグは着るものにそぐわなくなるので、こいつが一番無難ということになります。

 家には趣の異なるThe North Faceやノーブランドのショルダーバッグも数種類備えてはおります。しかし使用頻度ダントツはこのTIMBUK2でした。シンプルな機能美とスマートな見栄えがとても気に入っていたのです。気がつくと購入からもう7年越しになりますが、よく頑張ってくれたものです。その間仕事も変わり、マンハッタン通勤も終わったので、そろそろ別のスタイルに買い替えどきだと思います。

 近頃は腰痛不安もあるので大きいバッグは控え、小さくコンパクトに纏められるメッセンジャー・バッグを一つ買い足しました。当面はこれと、山歩き用のThe North Faceバックパックを使い分けていこうと思います。

XINCADA Mens Bag Messenger Bag Canvas Shoulder Bags Travel Bag Man Purse Crossbody Bags for Work Business



 このちっちゃな肩掛け型のバッグ、まったく無名の商品ですが、かなり自分の要求に近いものです。アマゾンでまず形状、そして大きさありきで選びました。内部の寸法を調べて、自分のiPadが入るかどうか。内側に4っつ以上のポケットないし仕切りがあるかどうか。それだけです。品質等は来てのお楽しみということにしました。

 三日後に送られてきたこのバッグ、サイズ感といい、肩にたすき掛けしたときのフィット感といい、申し分ありません。iPadにキーボード・ケースを装着した状態でもすっぽり収まり、コンパクトカメラや文庫本、スマホ、手帳類をいれても余裕でスペースがあります。

 ちょっと街に出るときや、図書館やカフェで書き物したりiPadで簡単な作業をするにも便利です。当面はこれをサブバッグとし活用したいと思っています。これにアウトドア用のノースフェイス製バックパックと使い分ければ当面バッグはこと足りそうです。


参考までに:いまアメリカで人気のメッセンジャー・バッグ

1 Carhartt D89:このタイプ、数年前から大人気で、類似品も山のように出ています。レジャーに仕事にと、多目的用途で重宝する万能型バッグです。


2 Topo Designs Commuter Briefcase:スーツが映える独特のフォルムが人気のビジネスマン用バッグ。しなやかな手触りにもこだわり、毎日使ったら肌身離せなくなる心地よさです。


 

3  Samsonite Columbian Leather Flapover Case:アメリカ人はサムソナイト好きが多いかも。通勤電車や地下鉄で見かけることもままあります。無難にまとめたシンプルなデザイン、高級志向のレザー製で、縫製もしっかりしていて、タフな使い方にも耐える頑丈さには定評があります。



他にもいろいろありますが、それらはまたの機会に。

 日本のメンズ・ファッション雑誌などをみると、かなり高級志向のバッグばかり紹介されています。ヨーロッパは知りませんが、少なくともアメリカの一般的な成人男子でそこまで本格路線のバッグ持ってる人、あまり見かけません。ブランド云々よりパット見、その人に似合っっているかどうかが評価の分かれ目だと思います。そういった意味で、服の着こなし同様、バッグもその人にフィットしていれば、いいのではなかと思っています。 

2020年8月17日月曜日

アメリカ・学校再開の是非

 子供を学校に送るべきか


 アメリカでは9月の新学期を控え、学校再開の是非に関し、賛成派、反対派が激しく議論を展開しています。コロナウィルスへの対応を巡っては、感染状況の推移に伴って、賛否の優劣も変化します。州によっても対応はバラバラで、それぞれの州議会による決定に注目があつまります。現時点、全米の感染者数は500万人を突破、南部、中西部にかけ多くの州がきびしい感染状況です。

 近郊に3つの国際空港があるマンハッタンは、全米で最初にパンデミック対応を迫られた都市の一つです。4月、5月の強力な市内ロックダウンを敢行したニューヨーク市、それに呼応する対応をした、近隣地域は大幅な感染減少に成果を上げています。このまま行けば、9月の学校再開は可能なのでは、と期待感を滲ませています。

 そんな中、一貫して厳しい厳戒態勢を主張してきたクオモ州知事が、ついに学校再開の許可を公言しました。財政の逼迫が限界域に達しているニューヨークでは、子供を家において仕事に出られない親が多いのが実情。しかし学校が安心してこどもを預けられる体制を準備できるのか、いまだ不透明な点も多いのが現実です。学校だけでなく、下校後アフタースクールの子どもたちへ安全管理ができないと、感染の再拡大にも繋がりかねません。

 学校再開に向けては、いくつかのオプションが提示されました。子供の登校を強く求める保護者のために、毎日登校もOK。あるいは学生数を半分にする登校&自宅学習の半々、そして感染を懸念する人のために全部自宅でのオンライン授業も可というオプション制です。

 生徒側にとっては選択肢があっていいようには見えますが、多くの教師が反発しています。授業内容にばらつきが出るし、とにかく教育現場が混乱して、教師側の負担と感染懸念が倍増されるというのです。

 ランチの食べ方にも、問題点を指摘する声があります。マスクを外した状態で、室内で子どもたちが食事をするのは、危険を伴うという意見です。事実、大人の世界でも飲食店からの感染率が最大であることを想定すると、学校において教師の目の行き届かないランチ時間は、もっとも脅威にさらされる時間帯だということです。給食は控えてカフェテリアも閉鎖し、自前のランチを子どもたちが背中合わせで食べるいう意見も出ました。

 なんとも切ない、肩身の狭いスクールライフになりそうです。仮にこういった厳戒態勢で授業に臨んでも、一人でも感染者が確認されると、そのクラスあるいは学級全体が2週間の自宅待機となります。現状、この可能性は大であると警告する識者が多くいます。

 さらにこどものいない家庭、とくに高齢者たちは、コロナに無自覚な子どもたちが放課後、感染を拡大するのではないかと懸念を示しています。

 人口密度の高いニューヨーク市のデブラシオ市長は、コロナウィルスの感染率が3ヶ月連続で1%台を維持していることを根拠に、学校再開に前向きです。しかし1000人規模のマンモス校が多いこの地域のことを懸念する医療関係者も少なからずいます。

 ニューヨークにしてからがこの状態。依然高い感染者数を出し続ける他州では、学校再開の議論はもっと高まって行くでしょう。

 ちなみにうちの娘が通うニューヨーク州の公立大学でも、授業の自由選択制を導入しました。ところが各教師の判断で、それぞれの学習スタイルを決定することになったため、娘の取得科目は全部オンライン一択となりました。5人の先生が揃ってオンライン講義一本に絞ってしまったのです。娘は喜ぶのかと思いきや、授業は教室での対面が一番だと主張。画面越しのオンライン授業では、まったく身につかず、試験に受かるか不安で仕方がないというのです。 生徒側、教える側双方の意見もそれぞれで、なかなか明るい見通しが見いだせないが現状であります。

 教師・生徒にとっても保護者にとっても、不安を抱えたままの新学期を迎えることになりそうです。