2021年8月24日火曜日

ミラーレスカメラ選び:Micro 3/4編

サムズアップ・アメリカ!
マイクロフォーサーズ最適説




私のようにコンデジからフルサイズ一眼まで色々と節操もなくいろんなカメラに手を出していると、大きいカメラと小さいカメラの長所と短所について、色々比較しがちになってしまいます。
以前は画質重視で、とにかくスペック至上主義的な風潮に迎合していたきらいがあります。しかし昨今は、若いころ気にならなかった重さやサイズがだんだん重要なウェートを占めるようになり、かつまたカメラ性能もレンズ性能も20年前とは見違えるような進歩を示している今の状況で、携帯性こそがとにかく優先されるマイブームが来ているなと感じています。


近頃思うのは、写真を撮るスタート地点によって、その後のカメラ歴の進路も変わってくるものだということです。
以前は多くの人にとって、それはフィルムから始まり、デジタル一眼レフへ、そしてミラーレスへという段階だったのですが、昨今は違います。

撮影歴がいきなりiPhoneから始まる例が普通になってきたのです。
そこから写真の魅力に取り憑かれ、どのカメラを選ぶのかと考える思考法は、それまでのカメラの進化に合わせて買い替えてきた者たちの考え方とは違うのだと気づきました。
スマホ世代がカメラに移行するとき、どんなカメラ選びをするのでしょうか。

いずれにしても、写真の世界はSNSの発展とともに爆発的に広がっており、老若男女を問わず、信じられないような数の人々が写真を世間に広げつつあります。一説によると1日に18億枚以上の写真が、何らかの形で写真共有サイトにアップロードされているそうです。
ミレニアル世代の多くは、スマートフォンで撮影できる写真のクオリティを高めたいと考えています。一方、団塊の世代は、より小さく、より軽く、より簡単に持ち運べるシステムに興味を持っています。
そんな中にあって、多くの人がマイクロフォーサーズシステムカメラに興味を持つのは理にかなっています。
表向きはフルサイズミラーレスが注目されがちですが、実質、趣味カメラの裾野を広げるのは、マイクロフォーサーズが適任だと思います。
もちろん高画質高性能なフルサイズカメラがよりいい写真が撮れるのは言うまでもありませんが、現段階ではプロかハイアマチュアに相応しいスペックや価格設定だと思います。
大半のカメラユーザーにとって、日常にそこまでのクオリティは不要なのです。その点マイクロフォーサーズはちょうどいい。APS-Cでもいいいのですが、よりコンパクトで品揃えが豊富なのがマイクロフォーザーズ。レンズも迷うほどたくさん揃っています。






今の世の中、良い写真とはその場にいて、それを記録し、共有する方法があることです。そのために、私はパナソニックとオリンパスのマイクロフォーサーズカメラのフットワークはビギナーに最も相応しいと考えます。これらのカメラは、より小さく、より軽く、より移動しやすく、ワイヤレス機能を持ち、老若男女誰もが使える多機能性に優れているのです。

因みに、私が仕事で最初に手にしたNIKKOR 600mm ƒ/4の重さは5キロを超えていました。個人で買ったニコンのの300mm、ƒ/2.8のレンズも
3キロに迫る重さでした。仕事でもしこの2本のレンズと、最小限の広角、単焦点レンズ、三脚、ストロボ等の周辺機器をバッグに詰め込んだ時の重さは軽く20キロを超えてたはずです。当時はそれで標準的な装備でした。いやこれでも軽いくらい・・・。

でも今はマクロフォーサーズがあります。
撮影は、仕事ではなく趣味になりましたが、当時の半分以下の重量で出動頻度は増しましたし、行動範囲もグッと広がりました。これにより、より良い写真を取れるチャンスが広がったことはいうまでもありません。最初のマイクロフォーサーズはオリンパスのPENでした。レンズも付属の標準ズーム一本から始めましたが、ニコンの一眼レフと並行使用していた時期もクオリティ面で気になったことはありません。むしろセカンドカメラとして全く邪魔にならず、うまく使い分けができてよかったです。
その後、パナソニックのG7、G8といくつかの単焦点、ズームレンズを揃えると、互換性も問題なく、このマイクロフォーサーズ陣営がいかに多様性、と可能性に富んでいるかわかってきて、撮るのがより楽しくなってきたのです。
この撮る楽しみこそ、趣味カメラを続けていく1番の原動力だと思っています。

最近はさらに中華性のレンズメーカーが、安価で高性能なレンズを量産するようになり、ますます選ぶ楽しみが増えています。レンズはもともとフルサイズなどと比べて、価格も半分以下でしかもハイクオリティなものが豊富です。これからカメラを始める人にとって、かなり敷居が低くてなおかつ広い選択肢が揃っているのです。

私もかなりフルサイズへの移行を検討しましたが、システム全体を考えると、現時点ではマイクロフォーサーズに留まる利点の方が大きいと判断しました。無論これは個々人で判断基準も違ってきます。将来的にはフルサイズが値段もこなれて、ラインアップも増えていくでしょうから、再考もありえます。しかし先のことを云々するより、今使えるカメラ、レンズが重要です。
もしこれからカメラを始めようとする方は、マイクロフォーサーズで初めてもまず後悔することはないでしょう。






マイクロフォーサーズを試す

MFTカメラに興味を持たれた方には、いくつかの注意点があります。すべてのMFTカメラは、35mmフルサイズのセンサーよりも小さいセンサーを搭載していることを覚えておいてください。
このため、すべてのMFTレンズの焦点距離は、従来の35mmカメラで見慣れたものと同等になるように2倍に設定されます。したがって、MFT 12-35mm ƒ/2.8は、フルサイズの24-70mm ƒ/2.8レンズと同等と思って結構です(厳密な話はここでは置いときます)。これは望遠撮影に最も適しています。パナソニックの新製品「ライカDGバリオ・エルマー100-400mm F4.0-6.3 ASPH」では、200-800mm相当となっています。
確かに、センサーがはるかに小さいため、画像は800mmに見えますので、公平に言えば、トリミングされた画像と言えるのですが、その写り自体に遜色あると言う人はあまりいません。せっかくフルフレームカメラを購入したのに、パソコンに取り込んだ途端に画像をトリミングしてしまう人もいるくらいですし。

先述の通りレンズの選択肢でマイクロフォーザーズが問題になることはありません。
MFTの世界は協力的なので、数社の中から最適な光学系を選ぶことができます。カメラメーカー一社に依存するこれまでの体制がいかに窮屈だったかがわかります。



マイクロフォーサーズの限界

低照度問題

間違いなく、低光量撮影に関しては、キヤノン、ニコン、ソニーに匹敵するMFTボディは存在しません。一言で言えば、センサーが小さいということは、暗い場所ではノイズが多いということです。私は、MFTカメラはフルフレームのニコンに比べて、低光量に対する感度が1.5~2段ほど低いと感じています。それでも、私はパナソニックのLUMIXカメラでISO1600で定期的に撮影し、時にはISO3200まで上げるて問題なく撮れています。




AFスピードと精度

最近まで、MFTカメラのAF速度と精度は、最上位のデジタル一眼レフカメラに匹敵するものではありませんでした。しかし、オリンパスOM-D E-M1やLUMIX GH4、GX8のようなカメラでは、その差は急速に縮まっています。私の所有するOM-D E-M1Mark IIではオートフォーカスが実用全く問題なく、精度も明らかに向上しているのがわかります。今後もその性能は決して劣るものにはならないと思います。




マイクロフォーサーズのメリット


革新的な技術

私たちが日々目にしているように、技術は猛烈なスピードで進歩していますが、MFTカメラはこれらの技術をいち早く提供してきました。顕著なのはカメラ内手ブレ補正。これはレンズをコンパクトに設計できる利点が生きています。率直に言ってこの分野はフルサイズが後追いの現状なのです。
またタッチパネル液晶、4K動画、4Kフォトモード、ポストフォーカス、フォーカススタッキング、パノラマモード、サイレントシャッター、ワイヤレスアップロードなど、MFTカメラには数多くの素晴らしい新機能がいち早く搭載されきました。





カメラ内手ブレ補正

繰り返しになりますが、これはもう一度強調しておきます。カメラ内手ブレ補正は、コニカミノルタが「Anti-Shake(AS)」と呼ぶ技術を開発し、オリンパスが「EVOLT E-510」で完成させたものです。カメラ内ISとは、撮影者の動きに合わせてカメラボディ内のイメージセンサーを動かし、その動きをキャンセルすることで、よりシャープな画像を得ることができるシステムです。MFTシステムに限ったことではありませんが、オリンパスもパナソニックもこの素晴らしい先進の技術を持ち、業界をリードし続けています。




タッチスクリーンLCD、カスタムファンクションボタン

パナソニックのLUMIXカメラは、私がこれまで撮影してきたカメラの中で、最も使いやすいインターフェースとエルゴノミクスを備えています。その使いやすさは、主にカメラの背面にある優れたタッチスクリーン液晶のおかげです。カメラを目に当てたまま親指でAFポイントを動かすと、これまで経験した中で最も素早くAFセンサーの位置を変更することができます。素早く簡単にAFを操作できることは、構図の良い写真を撮るための重要なポイントですまたタッチパネルは素晴らしいものですが、人によってはボタンやダイヤルの代わりにはならないと言う人もいます。スマホに慣れた世代にはむしろ評判が良いようですが。
さらにLUMIXでもオリンパスでも、カスタムファンクションボタンが豊富に用意されており、必要に応じてあらゆる設定が可能です。




4K動画

私たちのほとんどは、現在テレビが使用している最も一般的なフォーマットである1080 HDのテレビ画像に慣れ親しんでいます。私のように、1080のハイビジョンテレビを見ていると、まるで窓越しに見ているような感覚に陥ります。さて、同じ映像を4倍の解像度で見てみましょう。それが4Kビデオです。この分野でもパナソニックがパイオニアであり、まだまだ先進技術が生まれつつある得意分野です。



4Kフォトモード

プロ仕様のニコンやキヤノンのデジタル一眼レフカメラでも、秒間12コマや14コマでしか撮影できません。しかし、パナソニックの新しい4Kフォトモードでは、動画ファイルでは毎秒30フレームで撮影でき、その後、その動画から800万画素の静止画を個別のフレームとして引き出すことができるのです。そう、毎秒30フレームで8メガピクセルのJPEGを撮影できるスチルカメラのことです。
オリンパスのOM-D E-M1 Mark IIからは、20Mの高画素のままAF/AE追従で最高18コマ/秒、AF/AE固定なら最高60コマ/秒で高速連写できるようになりました。







ポストフォーカス

写真を撮るときに、フレームが撮影された後で、ピントを合わせたい場所を選択できることを想像してみてください。この技術はLytro社が開発したものですが、パナソニックはこのコンセプトを一般の人にも広めようとしています。
LUMIXカメラの4Kビデオキャプチャーを使用すると、4Kビデオを撮影し、ソフトウェアを使って後から重要なフォーカスを選択することができます。また、カメラのLCDで個々の画像を選択し、その画像を8メガピクセルのJPEGとして保存することもできます。



フォーカススタッキング

撮影者がフォーカス開始点と終了点を選び、その間の画像をカメラが連続して撮影することで、驚異的なマクロ写真を実現する優れた新技術です。
撮影終了後、カメラは自動的にフレームを合成し、被写界深度が深く、手前から奥まで完璧にフォーカスされた画像を作成します。



パノラマモード

携帯電話でパノラマ画像を撮影する楽しさは、誰もが経験していることでしょう。パナソニックLUMIXのカメラでも、同じことができます。たくさんのフレームを撮影して、コンピュータで合成して結果を見る必要はありません。カメラがすべての画像のつなぎ合わせを行ってくれるのです。この分野でもマイクロフォーサーズは新しい映像表現をいち早く開発してきたのです。




周囲に圧をかけないサイズ

最後に、MFTカメラの利点として過小評価されているのが、写真家が目立たないように撮影できることです。例えば、公園やストリートで、バズーカ砲のような大口径のレンズを構えていると、被写体はそれだけで威圧感を受け警戒されてしまいます。コンパクトなマイクロフォーサーズならお店の中での撮影でも違和感を与えることはありません。





以上が大まかなマイクロフォーサーズの利点と特徴です。これからカメラを始める方にとって、このシステムがいかに素晴らしいものか、わかっていただけたらば幸いです。
MFT写真家仲間のアメリカ人S君は、スケボーやストリートキッズの生態を撮るのが趣味ですが、よく口癖で「Small camera, Big picture」と言っています。軽くて機動力があり、従来のデジタル一眼レフカメラの何分の一かのコストで、しかもほとんど注目されずに撮影できる。まさに「カメラの夢が叶った」と言って喜んでいるのです。
少しでも多くのビギナーが、このマイクロフォーサーズの魅力に触れてくださることを願っています。


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