2020年9月4日金曜日

アメリカで肩こり

 簡易マッサージ機のオススメ

 


 日々の暮らしの中で、疲労が溜まったり、肩が凝った時、どうされていますか?

 私は数年前に酷い腰痛に悩まされ、病院に行ったり、鍼治療を行なったり、カイロプラクティックやリバビリセンターに通ったりしました。病院では、レントゲンやMRIで検査し、坐骨神経痛と診断されました。脊椎間狭窄症とも言われましたし、背骨が曲がっていることも指摘されました。それぞれ一理ある診断だと思いますが、ではどうすれば治るのかと言うと、なかなかこれです! というような決定打は出ませんでした。

 リハビリセンターは異なる場所で二期通いました。初めの方はマッサージ中心でした。固くて柔軟性を失った腰部の筋肉をほぐし、足と腰の接合部の血流の循環を良くし、関節の可動部を大きくするよう努めました。二度目は機器を使った機能回復、強化のプログラムを組んでもらいました。腰を中心に柔軟性を高めるストレッチや自転車漕ぎ、ボールでのバランス運動などの指導を受けますた。

 通算三ヶ月ほど続けて、ある程度腰への負担が軽減された実感がありました。しかし依然しぶといほどの腰痛は残り、自宅でできるヨガ運動などを伝授されて、以後自宅療養となりました。その後も、中国人の指圧の先生に診てみもらい、電気マッサージ療法と合わせた施術をしてもらいました。

 発症から六年以上経った今、腰の直接的な激痛からは開放されました。しかしまだ後遺症と言うか、根本的な治療はなされていない(主治医には手術を勧められました)ので、いつまたぶり返すかは不明です。今は腰の神経を圧迫する椎間板ヘルニアのせいで、足裏からつま先にかけてずっとしびれの症状が続いています。我慢できないほどではありませんが、肩こりとも密接につながっており、体全体の問題として受け止めています。しびれがヘビーになると、就寝中にふくらはぎが攣って、激痛で眠れなくなることもしばしばです。

 こういった症状と戦いながら、日々仕事を続けているわけですが、今日はそんなときに頼りになる器具を、数点ご紹介します。

1 指圧 ネック バック マッサージャー

Comfier Shiatsu Neck & Back Massager - 2D/3D Kneading Full Back Massager with Heart & Adjustable Air Compress, Massage Chair Pad for Shoulder Neck and Back Waist Hips, Full Body Pain Relief  :  $199.99


 これははじめウォルマーターのわたしが類似品をWakmartで買ってがっかりした経験から、本当に効き目のあるマッサージ機を探し求めて、見つけた決定版です。

 ポイントは、背中のぐりぐりがあるかないかです。ぐりぐりというのは、シートの中に仕込まれたボール状の回転する部分で、これがモーターで強力に動くものほどマッサージ効果が高いとされているのです。ぐりぐりがないものは、電気刺激であたかもぐりぐりのような感覚を作り出すのですが、やはり物理的に患部を押し揉む影響は大です。はじめにウォルマートで購入したものは、シートの素材自体が薄っぺらでチープで、電気振動と温熱のみ。腰の奥深くにあるコリや血流に影響を与えることはできなかったのです。

 その点、探し求めて行き着いた本機は私の腰痛の緩和に役立ってくれました。仕事で長時間車の座席に座るので、帰宅したあとは体がカチカチになります。まず入浴で体を温めてから本機を利用すると、一層の効果が期待できます。様々なマッサージモードが用意されており、自分に適したレベルを細かく調整できるのがうれしいです。首、背中、臀部の三箇所を同時にマッサージできるので、全身に心地よいリラクゼーションが期待できます。本機はソファの上に乗せて、テレビを観ながらくつろいでマッサージをしてもよいのですが、より効果を求めたいなら、硬めで傾斜のある椅子の上でやることをオススメします。振動がよりダイレクトに体に伝わり、心地よいマッサージを体感することができます。

 日本の実家には10数万円する本格的な全身マッサージ・チェアがありますが、そこまで必要ない、場所をとれないというのであれば、本機は十分要求を満たすポテンシャルを持っていると思います。買って損はないので、ぜひお試しください。


2 RENPHO Shiatsu Neck and Shoulder Back Massager with Heat, Electric Vibration Deep Tissue 3D Kneading Massage Pillow for Relief on Waist, Leg, Calf, Foot, Arm, Belly, Full Body, Muscles : $39.99


 さいきん最も活用しているのが、このベルト型マッサージ機です。上記の椅子乗せ型との違いは、広い範囲を一度にマッサージするか、ピンポイントで患部に集中するかです。本機は一番コリをほぐしたい場所に直接当てて自分で力加減を調節し、最適な圧力で施術ができるのがいいです。とくに肩こりが酷いときは、首や肩に集中してまんべんなくマッサージができるので助かります。こちらもボール状のぐりぐりがゆっくり暖かく熱をもって回転するため、血流を促し、筋肉の緊張を和らげてくれるので、使いだすと癖になる心地よさです。背中や腰、ふとももに巻きつけるようにして、優しく押し引きできるので、からだの至るところに施術できます。他のタイプの肩もみ機なども試しましたが、現状これがベストだと感じています。

3 FDA cleared OTC HealthmateForever YK15AB TENS unit with 4 outputs, apply 8 pads at the same time, 15 modes Handheld Electrotherapy device | Electronic Pulse Massager for Electrotherapy Pain Management : $29.99


 3つ目は電気刺激によるマッサージ機です。この種のものも、私は十数年来、かれこれ何機種も買い替えてきましたが、今アマゾンで手に入るものの中でこれがピカイチでしょう。私のは同じメーカーで少し前のバージョンですがもう在庫切れのようです。

 最新のこの電気マッサージ器は、機能がますます追加され、刺激の種類、強さ、テンポなどが増え、さらにそれらの組み合わせで何十パターンものマッサージができるようになりました。症状別により効果的な電気信号がプリセットされており、いつでもどこでも患部にパッドを貼り付け速攻で痛みやコリを和らげてくれます。

 ちょっとした旅行にもこれならかさばらないし、バッグのなかから取り出して、さっと数分びりびりやるだけでだるさも取り除いてくれます。びりびりと言いましたが、最近の電気刺激はより高度になって、本当に指で指圧してもらっているような錯覚に陥るものもあります。とくにこのメーカーで作られた電気信号は体感がリアルで、肩たたきモード、指圧モードなどは、背中に人がいるんじゃないかと思うほど実在感があります。肩こりのひどい人は、ぜひお試しください。

 以上、私が使って納得いったマッサージ用具をご紹介しました。実際に人のやるマッサージには及びませんが、自宅で開いた時間にテレビを観たり音楽を聞きながら、気兼ねなくできるのが簡易マッサージ機のいいところです。症状に合わせて、ご自身の体に合うものを選ぶことが肝心かと存じます。


2020年9月3日木曜日

アメリカの食を支える"Deli"

美味いデリを探せ



 アメリカのデリカテッセンがいま熱い注目を浴びています。個人的に。

 コロナの時代になってから食の安全が脅かされています。レストランは一時閉鎖を経て、いま半分は店の外にテーブルを置き、残りの半分は店内で大幅に席数を減らして営業しています。ソーシャルディスタンディングの基準に照らして、各店いろいろ工夫を凝らし始めていまるようです。店の内装如何で、客の入り方も違ってくるのでしょう。日本ではすでに一人焼肉のような、一席一席が仕切りで半個室化している仕様に店を改装しているところが出始め、顧客の呼び戻しに懸命です。こういうのはアイデア次第で、いかに低コストで顧客に安全をアピールできるか、その発想が問われます。うまくいったらやったもん勝ちです。

 店の体制を変えることは各店考え方それぞれですが、一時しのぎの簡易措置か、長期戦を見据えての投資型改装かでその成果も変わってくるでしょう。店舗によっては、もはやウィズ・コロナが当分続くと見越して、大幅な改装に取り組むところも出始めています。

 ニューヨーク近辺のレストランを何軒か見てきましたが、四角いテーブルをアクリル板で4つに仕切っているレストランが多いようです。カウンター式の長いテーブルも仕切りを設置するのは比較的容易なので、バーや寿司屋でも主流になりつつあります。それでも店内での食事に不安を残す客は少なくないようです。そのうち完全個室型のレストランも出てくるかもしれません。「会食」なんて言葉が死語になる日が来るのでしょうか。

 昨今、そんなレストランから遠ざかった人たちが頼りにしているのが、デリカテッセンです。

 アメリカの庶民がデリと呼んで昔から親しんできた、いわゆるお惣菜屋さん。日本で言えばコロッケや揚げ物が出来上がった形で売っているお店のイメージでしょうか。今日は家に帰って夕食を一から作るのは疲れるな、手間だな、と思ったときこそデリが頼りになります。こちらの国にアジの開きや佃煮を売る店はありませんが、ミートボールやシーフードサラダ、チキンテリヤキなどはあります。ハムなどの加工肉も豊富で、デリに寄っていけばとりあえず今夜の夕食には間に合う、そんな付き合い方をアメリカ人はするのです。

 私もランチは外食が多いのですが、マクドナルドやKFC、タコベルばかりだと飽きるし、まず健康によろしくない。なので極力野菜などを付けてもらえるデリカテッセンを探すことにしています。

 地元のデリならなんども足を運んでいるので、決まったものを選びがちですが、他の市町村でふと立ち寄るデリには未知のワクワク感があります。

 デリは一国一城の主が作るオリジナル・レシピによるメニューなので、おなじサンドイッチを頼んでも、チェーン店では味わえない美味しさが期待できます。いい店に当たれば、本当にラッキーです。逆に「なんだこれは」みたいなときもあります。以前見知らぬ町で立ち寄ったデリは、店の外にカラフルな幟のサインがたくさんはためいていて、いかにも繁盛してます的な雰囲気を醸していました。でもいざ入ってみると、ガランとしていて空調さえ利いていません。座席は椅子もテーブルも全部とっぱらわれ、後ろに無造作に積み上げられていました。

 とりあえず、絵も写真もないメニューだけ見て、定番のBLTサンドイッチを注文しました。野球帽をかぶった双子のような店員が愛想笑いもせず、黙々とサンドイッチをつくります。いちおうこの店は客からカウンター越しにキッチンが見えて、それは良かったです。店員はビニール手袋をつけて食材を扱い、パン切り包丁も清潔に見えました。コロナの時代以前から、私はこのデリのように、作る過程が見える店が第一志望でした。まったく見えない店舗だとどんなプロセスでレシピを扱うのか疑ってしまうのです。

「ああ、これなら食えるな」その日もそう思ってサンドイッチをを持ち帰りました。しかしロールパンの端からはみだしたレタスがやけにしなびています。取り出してみると、水気を失い半ば茶色がかったレタスの切れ端が出てきました。ついでにトマトも白いヘタの端っこがそのまま入っており、食べられたものではありませんでした。こういう事があるからデリは要注意です。しかし「当たり」に遭遇することもあるので、やめられません。

 ずっと前には贔屓にしていたデリに裏切られたこともあります。そこは自家製のチリスープがめちゃくちゃ美味しい店で、みんなにも推薦していたのです。あるとき子供同士が仲良しで、家族ぐるみのお付き合いしている一家を招いて庭でバーベキューをしました。そのとき贔屓のデリで仕入れたスープやサンドイッチなどをシェアしたのですが、その時のコールスローが発酵寸前だったのです。みんなが口々に味がおかしいと言い出し、子供は皿ごと庭に投げ出す始末。もう赤っ恥もいいところです。招いておきながら腐ったものを提供するなんてありえないことです。本当に思い返しても恥ずかしく、申し訳なく、泣けてきたことを思い出します。それ以来その店には行っていません。人の良さそうな老夫婦の経営するデリでしたが、すっかり足が遠のいたのです。

 こう書くとアメリカのデリって酷いという印象を与えてしまいますが、これは稀有な例。普段はとても満足していて、アメリカでの食生活には欠かせないくらい重宝しています。

 フォローになるかどうかわかりませんが、私の好きなオススメのデリのメニューをご紹介します。

ドーナツ型の特大サンドイッチが豪快でうまい!


ビーアンドエル・デリという地元の店ですが、ランチ時にはいつも満員になる人気店です。いまは電話で注文を出して、客が取りに行くピックアップ方式のみ対応です。近隣のレストランやピザ屋がデリバリーに注力しているのとは対照的ですが、売れる店は黙っていても馴染みや常連客が支えてくれるものなんですね。

パーティー用のグリルド・サラダ。盛り付けがきれい。


 私はここのフライにしたナスや、チーズ・ステーキが好きです。特製サラダドレッシングのかかったシーザー・サラダも絶品です。近くの学校御用達で、なにかお祝いごとがあると、学校がこの店に特注メニューを依頼します。そのせいで地域の子どもたちは、この店の味が幼い頃から馴染みとなり、末永く愛される店として定着しているのです。

 地元民の胃袋を満たす店には、これからも変わらず頑張り続けてほしいものです。

2020年9月2日水曜日

ペットを守れ

 アメリカンで自由な猫たち


 お隣の悪戯猫フレディの姿をしばらく見ないと思っていたら、先々週、天寿を全うしたと飼い主ご本人から、さきほど伺いました。とてもタフな雄猫ちゃんで、近所ではちょっとした問題児でもありました。彼は庭から庭へ我が物顔で出入りし、あちこちに彼の存在を示す引っ掻き跡を残すのが特徴でした。彼はうちの玄関口にも日常的に出没し、ポーチのど真ん中でよくゴロゴロ寝そべっていたものです。

「きみの家はここじゃないよ、そこどいて」とジェスチャーで追いやっても、我関せずです。

「ほら、動きなさい」と背中を押すと、ゴロンと裏返り「お腹なぜてにゃー」のポーズでマッサージをおねだりするのです。初めの頃は可愛いと思って、相手してやってましたが、だんだんズに乗ってきて、足にまとわりついたり、靴に顔すりすりとやたらと慣れなれしくなってきたのです。このフレディくん、とても世間上手で、誰に対しても上辺だけの愛想を振りまくのが’常套手段です。「わあ、この猫すごいワタシになついてる」と錯覚させて、しゃあしゃあと他人の家に上がり込んでくるのです。

 あるときも、私が帰宅すると、キッチンで娘とフレディが遊んでいました。娘はフレディの文字通りの猫なで声にすっかり魅了されていたのです。彼女はフレディにクッキーをあげたいなどというので、「駄目だよ、よその猫を家に入れては」と叱りフレディを連れ出そうとしました。うちは別室で二匹のウサギを飼っているのです。ウサギたちが怯えるので猫はぜったい家に入れたくなかったのです。するとそのとき、フレディが一気に豹変したのです。

「しゃーッ」と牙を向き、目を剥いて私の腕をひっかきに来たのです。出血はわずかですが手の甲がミミズ腫れになりました。恐ろしほどの速攻攻撃力。それはまさに「エルム街の悪夢」のフレディ・クルーガーでした。それ以来私は勝手に彼をフレディと呼んでいます。飼い主がつけた名前は違うのです。

 フレディは他人の家の柱も平気でひっかくので困惑する人も多かったでしょう。一番参ったのは、彼が捕らえた獲物のネズミを散々なぶった挙げ句、他人の家の前に置き去りにすることです。多くの住人が被害にあったことを伝え聞き、うちもその例外ではなかったのです。

 フレディはその後もうちのみならず、隣近所を自分の庭のように行ったり来たりして、我が物顔でした。みんなは半ば呆れ顔で、飼い主の放任ぶりをカゲで批判していました。

 飼い主の女性は一人暮らしで、マンハッタンのアパートに仕事場を持つ映画編集者です。車で猫を連れ歩くことも多いのですが、家に残したまま数日帰ってこないこともあります。必然的に近所の誰かがフレディの世話をしているものと思いますが、どういう状態なのかは不明でした。

 そんなこんなで10年ちかくフレディは近所の名物猫でした。あまり見かけなくなったのはここ1年ぐらいのことです。久しぶりに見たのは去年のクリスマスまえ。家の周りの飾り付けをしているときにフレディがふらっと現れました。

「’ひさしぶりー」懐かしさに抱き上げようとしたのですが、ぷいとそっぽを向いて逃げていきました。そのことを家内に言ったら、最近、近所の悪ガキたちが、猫をいじめている、という噂を教えてくれました。中学生ぐらいの数人のグループが、猫狩りと称する遊びをするのだそうです。うちの半径2キロ圏内には少なくとも十匹前後の飼い猫がいて、その殆どが野放し状態です。朝も夜も路上駐車の車の下にたむろしたり、自由し放題なのです。直接耳にしたことはありませんが、快く思わない住人もいたはずです。

 そんななか、子供のグループが遊びで猫を追いかけ回し、虐待に近いことをしていたらしいのです。私の推測に過ぎませんんが、人懐っこいフレディもそのキッズに追いかけ回され、ひどい目にあったのかもしれません。それで人間不信になって、引き込まってしまったのでは・・・。冬に再会したフレディはあのゴロゴロと人懐っこいごますり猫ではなくなっていたのです。ひどく怯えて、うちの娘すら避けて逃げ去りました。

 可愛そうなフレディ。近隣のみんなから愛憎半ばで親しまれてきた問題児。しかし最後は飼い主の腕の中でひっそりと息を引き取ったといいます。老衰だったとのことです。私が彼を邪険に扱ったのは数回ですが、今となっては後悔しています。もっと寛容であればよかった。隣人としてより深い信頼関係を築いて、マナーなども教えてやれたのに、そんなことを思ってしまいます。

 その後、子どもたちによる猫いじめは治まったようですが、私は目を光らせています。飼い主の放し飼いがどうにも気になるのです。どうして愛するペットをこうも一日中放し飼いにできるのでしょうか。中にはちゃんと大事に家の中だけで暮らしている猫もいます。その猫が自由を奪われたと悲しんでいるでしょうか。そういうふうには見えません。悪ガキよりも飼う側のモラルが問われるべきじゃないでしょうか。アメリカは自由な国だから、ペットも自由にさせるのがいいと言うなら、まず安全を確保してあげてと言いたいです。人の子同様、外の世界は猫にとっても危険がいっぱいと知るべきです。

 お節介かも知れませんが、もし顔見知りの飼い猫にちょっかいを出すような人を町で見かけたら、ためらわず注意を促すつもりです。めんどくさいオッサンと思われるかもしれませんが、それがペットに対する愛情だと思うのです。たとえ他人の猫ちゃんであったとしても。

ありし日のフレディ:「そちらの世界でお幸せに♥」



 



2020年9月1日火曜日

安倍辞職:アメリカ庶民は

 トランプ支援者の感想



 安倍総理が持病の悪化を理由に辞職することが決まりました。この発表を受けて、アメリカ人はどういう反応を示しているのでしょうか。

 大メディアはいずれもミスター・アベの長期安定政権と経済対策アベノミクスに言及し、加えてトランプ大統領との良好な関係に政治手腕のしたたかさを付け加えています。笑ってしまったのは、多くのメディアが辞任会見時の引用写真で、泣きそうな安倍さんのしょんぼり顔を扱っていたことです。これではまるで「情けないけどボク体調悪いので辞めます」と凹む高校の生徒会長みたいです。こういうところは日米で解釈が違ってきて興味深かったですね。

 この日本では大ニュースである出来事、アメリカのメディアはそれなりに大見出し扱いのニュースとして報じてはいましたが、一般市民の反応はどうだったでしょうか。

 うちの家内の最初の反応は「え? 二度目なの? 同じ病気で?」もう10年前の突然の辞職なんて記憶にないのです。ああそんなものか、日本の政治の動向なんて関心ないだろうな。暮らしに何の関わりもないし・・・。おそらくコレが一番一般的な感想でしょう。

 もともとアメリカで、日本の安倍総理が何をしようがどうしようが、報道されるのをほとんど見たことがありません。中国とどういう関係なののか、北朝鮮と何がどれほど揉めているのかも知りません。

 私の住む町は民主党の支持者が大半を占めるのですが、私の知り合い十数人のなかで、安倍晋三の名前はかろうじて知っていても、何をした人かは誰も知りませんでした。

 というのも昨年うちの娘の通う公立高校の授業で、好きな国を選んで、国家元首のことをレポートする課題があったのです。うちの娘は日本を選び、授業で発表したのですが、プライム・ミニスター・アベのことは先生も娘の友人の家族も知らなかったそうです。ほかの数人からも日本の政治のことを聞かれた事があるのですが、日本の国政がイギリスにみならった議院内閣制であることすら初耳のようでした。

 ようするに日本の国家元首のことなんか誰も知らないのです。知る必要もなし。なんの関心もないというのが常識なのです。あ、ひとり例外がいた。近所のアルベルトさん、辞任ニュースをテレビで観て「アベ・マリオ!」と笑いながら言うのです。なんのコッチャと思いましたが、あとでやっと思い出しました。リオ・オリンピックの閉会式で安倍さんスーパーマリオのコスプレで登場したんですね。ブラジル出身のアルベルトだからこそ気付いたのでしょう。しかしそんなことでしか覚えられてないなんて、なんか情けない・・・。

 ですから安倍さんが体調不良で辞職と言われても、寝耳に水どころか、遠い島国の小さな出来事ぐらいにしか捉えられないのです。こういうことは運転手としてお客さんと会話するときにも、うんざりするくらい経験しました。日本は天皇がどれだけ政治権限を持つのかとか、自民党は右翼なのかとか、とにかくまったく偏った思い込みしかないので困ります。運転しながら一から日本の政治機構を説明しなければならないのは苦痛でしかありません。そういう理由で仕事中は極力政治の話題は避けるようにしています。それでなくてもうちの町は民主党寄りの人が多数を占めるので、現政権のトランプにはことさら辛辣です。ちょっとトランプ氏の話題が出ようものなら、蜂の巣をつついたように、罵詈雑言が飛び出します。

 私はアメリカ国民ではありませんから、ことさらどちらの政策に与せず、中立を装っているのですが、それでもトランプ政権のことを軽く擁護しようものなら、「あなたは何もわかっていない」というふうな言われ方をします。とにかくトランプは酷い大統領で、アメリカが悪い方に向かっていると断定的なのです。

 もちろん私もトランプ大統領のツイッターなどを読んでいて、ほんとうにこの人、一国の大統領なの? と目を疑う虚言を撒き散らしてはいます。しかしそれでも彼に一片でもこの国を良くしようというキモチがないのかと問われれば、あるかもね、ぐらいの感想は持ちます。この3年半の間に残してきたものも、なくはないです。国境の壁などは論外ですが、対中国の姿勢や、米国内の雇用対策や税制などに関しては一定の評価も得てはいるのです。

 トランプは政治家じゃない。ビジネスマンだ。という人は多く、たしかにこれまでの政治家にはないものの考え方をします。とりわけ損得勘定には長けているという世評には納得できます。相手を忖度せず、平気で敵を作ってしまう性格はいかんともし難い性根と言うべきでしょう。とにかく何をさせても毀誉褒貶の激しい大統領で、支持不支持も両極端。これは致し方ないところでしょう。

 トランプ支持派の市民に会うことは極めてまれなのですが、常連のお客さんの一人M氏が熱烈なトランプ支持者です。彼は小さな建築関連の経営者ですが、ことあるごとにトランプ支持を熱く語ります。私の顧客の九割九分がアンチ・トランプの中で稀有な存在です。

 ところがこのM氏が「シンゾー・アベがやめるのは残念なことだ」と漏らしたのです。アベは諸外国の指導者の中で、もっともトランプとうまくやってきた。彼を通じて日米同盟が強化されればアメリカももっとグレートになれたのに」と勇退を惜しんでやまないのです。M氏は敵対する民主党支持者よりはるかに日本の情報を知っていました。安倍氏は、トランプが大統領になったとき最初に会談した国家元首であることを覚えていました。ゴルフを通じてトランプと信頼関係を築いていったことはもちろん、トランプが大統領になる以前に、安倍総理が一度辞任していることも知っていました。さらに驚いたことに、カケ、カケと言うので何かと思えば、日本で政界を揺るがした加計問題まで知っていたのです。また昭恵夫人の行動がたびたび問題視されたことにさえ触れ、私が答えに窮したこともありました。

 このように熱烈なトランプ支持者は、けっこう彼がらみのできごとをよく勉強しているようです。この間のテレビ討論会でも、トランプ支持派のほうが、細かい数字やデータを出したり理論中心で話していました。いっぽう民主派の言論はともすると、ヒューマ二スティックな感情論に走りがちで、政治問題を道徳で語るような物言いに違和感を覚えたものです。

 現時点で、大統領選はバイデン圧勝などという見方をするメディアもありますが、いやいやトランプ氏自身はともかく、彼の思想を支える一群は、野卑一辺倒ではなく、かなり先進的で理知的な人もいることを忘れてはならないと思います。ともするとトランプシンパはバカのあつまりだと断定する人たちは用心しておくべきです。

 今の段階で共和党、民主党のキャンペーンは水と油のように対照的です。共和党はマスクもつけず、群衆が集まってトランプ支持をツバ飛ばして連呼しています(大丈夫かな)。対するバイデン率いる民主党は、リモートで演説を流し、オンラインを活用したソーシャルディスタンディング尊重でキャンペーンを進めています。

 どちらが正しいかは、結果がすべてということになるのでしょう。いずれにしても、トランプ政権にとって、安倍総理は利用価値の高い存在であったことは明白。日本の首相交代が米国の大統領選に微妙に影を落とすことになるかもしれないと思うと、今後の動向は目の離せないものになりそうです。

2020年8月31日月曜日

日米クルマ対決

Cadillac VS Subaru


  現在、私がリムジン業務で最もよく使用しているのはキャディラックのSRX、2016年型です。6シリンダー、3.6リッター、308hp@6800rpmとこのクラスでは申しぶんないスペック。走行は静かでスムーズ、特に時速50−80キロ前後での加速性能は素晴らしく、特筆に値します。仕事柄、大人三人にスーツケース4個ほど詰め込んだ状態で長距離を走ることもよくあるのですが、粘り強い走りで、制動力もほとんど落ちることはありません。底力のある車といいましょうか、アクセルを踏み込んだときの加速する手応えは、勾配のあるのぼり坂などでこそ発揮され、後続のクルマを置いてきぼりにするのはお手の物です。乗客からの評判も上々で、バックシートの座り心地もよく褒めていただきます。内装は至って堅実な作りで、日本車のちゃちなものとは素材が違います。ゆったりとした座り心地は日本の中型車にはない高級感が漂っています。

 そんなどっしりした実力派のキャデラックSRXにも注文をつけたい点はいくつかあります。ステアリングの遊びがやや大きめで、ヘアピンカーブが連続する山道や、タイトな高速道路、たとえばマンハッタンの西側を走るFDRなどで(ちょっとしたハンドルさばきのミスが前後左右のクルマとの接触を招きかねない道です)、このアメ車はコンマ数秒ハンドルの取り回しが甘いのです。ほんの僅かキモチ的な誤差ですが、運転者の意図より遅れて反応するので、今ではそれを見越した運転をするのが癖になってしまいました。

 あと、これは設計上の誤算だと思うのですが、後部座席のみ窓を開けて走行すると、入ってくる空気が必要以上に振動をもたらします。速度を上げるほどその振動はバタバタと大きくなり、高速では運転者の鼓膜に圧迫感を覚えるほどに、空気の振動をモロに受けてしまいます。解決策は前の窓を開けるとおさまる、と知っているのですが、冬の寒い日などは外気をモロに受け、厳しい状況となります。このような欠点もあるキャデラックSRXですが、概ね故障やトラブルもなく、3年余り気に入って使用させてもらっています。

 これ以前に主力で使っていた車はリンカーンのMKTや、MKXでした。今使っているキャデラックと並び、いずれもアメ車の高級車のラインアップからの車です。格で言うとベンツやBMWのミドルクラスに対抗すべく作られたものすが、正直人気、実力ではヨーロッパ車に一歩譲るような立ち位置だと思います。総合的な評価ではレクサス、インフィニティあたりの主力SUVと張り合う立場ですが、売上はいまのところ日本車に軍配が上がりそうです。

 そんな仕事周りの車事情ですが、個人で今移動に使っているのは2014年のスバル・アウトバックです。古くから北米で大人気のSUVで、東海岸では広くマイカーとして使用され、その性能の良さには定評があります。

 私もかれこれこのアウトバックを5年以上使用していますが、目立った故障はありません。おもに娘が大学の通学に使っていたのですが、今学期はオンライン授業ということで、スバルの活躍の場は減りそうです。家内も買い物にこのアウトバックを愛用します。

 このアウトバック、スバルだから当然4WDで雪道にも強く、CVTの安定した無段階ギアチェンジが使うだに気に入ってきます。アメ車の多くはギアチェンジ時にガクンと、いかにもギア変わりましたよ的なリアクションがあるのですが、スバルの場合、じつに加速もスムーズで、時速90キロ前後でも、高級車に引けを取らない走りを見せてくれます。毎日キャデラックを運転する私が、アウトバックに乗り換えてもパワー感以外はまったく遜色なく、むしろ総合力ではスバルに軍配が挙がるのではとさえ思っています。もちろん内装のコストのかけ方は一目瞭然ですが、車にとっていちばん大事なのは、運転全体でいかにストレスが少ないかが重要です。その点スバル・アウトバックは秀逸で、アメリカのいかなる道を走っても、堂々胸を張って運転できる素晴らしい車だと思います。

 そういうわけで、日米それぞれの車を公私それぞれ使い分けて運転しています。ミニバンもアメ車と日本製を交互に乗り変えたりするのですが、改めて日本車の優秀さを再確認することが多いです。その上で、アメ車も乗り続けていて感じるのですが、性能はどんどん良くなってきています。じわじわと日本車との差は減ってきているというのが実感。車種によって開きはありますが、年々良くなっていくアメ車も多いです。

 もはやアメ車だからってナメてる時代ではありません。日本勢も引き締めていかないと、今後アメリカのメーカーからも、どんどんいい車が出てくる、そんな予感がしています。

 

2020年8月30日日曜日

アメリカ観光:トレイル編

 壮大なるアパラチアン・トレイル


 この季節、たくさんのハイカーがうちの近くの山野を訪れます。ハドソン川に沿ったこの界隈の自然は美しく雄大で、観るものを魅了します。全米各地から老若男女のハイカーたちが集って来るのですが、中でもゴリゴリのプロ級ハイカーが挑むのが、世界最大級の自然遊歩道、Appalachian Trailです。

 このスケールのトレイルは大陸でなければ体感できません。アメリカ東部にあるアパラチア山脈という長大な山々に沿ってつないだ長距離自然歩道です。北はメイン州から南はジョージア州まで全長3529キロメートルの山道です。あまり長くて実感がわきませんね。北海道北端の稚内駅から鹿児島駅まで車とフェリーで走ると最短2721キロだそうです。そうですこのトレイルは日本列島よりはるかに長いのです。それはもう気の遠くなりそうなほど。

 


 当然大半の人はこのトレイルの部分部分を半日ほど歩いて満足しています。ところが中には猛者がいて、このトレイルを全部歩き通すスルー・ハイカーという人達がいるのです。彼らは一日50キロから100キロ前後歩きます。起伏の激しい山道が多いので、容易なことではありません。それを嬉々として楽しむのが筋金入りのハイカーというわけです。こんな人がアメリカにはたくさんいて、毎年2000人ほどがこのスルー・ハイキングに挑むそうです。しかしその殆どが途中リタイア。完全踏破できるのは年に20人に満たないといいます。

 宿泊は自前のテントとか山小屋やロッジがあればいいのですが、なければ山を降りて近隣の宿泊施設を使う事になります。けっこうその行ったりきたりに手間と時間がかかります。私は依頼があれば4輪駆動車でハイカーの待つところまで行き、B&Bなどにお運びします。ほかにもこの壮大なスルー・ハイカーを支援する人たち(道案内や食料、物資の調達係など)が地域ごとにいて、こういったサポーターはトレイル・エンジェルと呼ばれています。全行程歩くには半年から一年かかると言われていますから、単独で全て成し遂げるのは不可能に近いのです。

 私はこのアパラチアン・トレイルに属する山道の一部を何度か歩き回りました。デイ・ハイクといって、すべて日帰り旅なので30キロが限界です。これ以上歩くと次の日の仕事に差し障ります。これはごく一般的ライトなハイキングになりますが、それでもそれなりの装備で行かないと、泣きを見ることになります。しっかりしたトレイル・シューズはもちろんのこと、GPSが利用できない場所に備えて、紙の地図も現地で手に入れてから望むべきです。うちの近隣でも夏場はしょっちゅう道に迷ってレンジャーに救助される人が絶えません。スマホも役に立たないと思っておきましょう。電波おn届かないところのほうが多いです。予備の水や食料、救急用具一式や発煙筒、虫除けの薬などもあったほうがいいでしょう。ひたすら山を歩くのは苦痛のほうが多いのです。

 しかしときおり、たどり着いた場所で思わぬ感動の風景を目にすることがあります。ああ、なんて美しい景色なんだ、と。それは苦労して歩かなければ観ることにできない感動です。おそらくスルー・ハイカーもそんな感動との出会が忘れられないから、挑み続けるのだと思います。

 先日ハイカーからの電話で、駅まで迎えに来てくれとの依頼があったので行くと、30代のカップルがフル装備で待っていました。行く先を聞くと、二人は先回途中まで歩いたアパラチアン・トレイルの地点まで行ってくれとのこと。彼らは目的地をGPSで示しました。山の中なので住所番号などないのです。彼らはあくまで地球上の座標ありきで行動するのです。今回は幸い指示された地点までカーナビが案内してくれました。というか、その地点まで車では行けないので、トレイルの入り口ポイントまでご案内しました。

 二人はこれから明日にかけて120キロ歩く予定だとか。山中で一泊し、翌日終日歩いて、夕方また近郊のトレイル・エンジェルの助けを借りて、最寄りの駅まで戻り、帰宅するのだそうです。マンハッタンからきたこの二人は、こうして休暇を利用したり、週末を活用して、少しずつこの長大なアパラチアン・トレイルを歩きつないでいるのです。こういったハイカーは結構多く、以前出会った高齢のハイカーは、3年越しでこのトレイルを行ったり来たりしているとおっしゃっていました。なんとも気の長い、壮大な趣味です。

 私も地元ばっかりうろうろしないで、いつか全行程のいいとこだけをピックアップして歩きまわりたい、などと虫の良いことを目論んでいます。アパラチアン・トレイルはそれくらい魅力に満ちたハイキングの王道なのです。皆さんにも一度はこのグレートなハイキングにチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

   


2020年8月29日土曜日

B級スナック選手権

 ジャンクスナックの王様


 

 突然ですが、数あるアメリカのスナック菓子の中で、どれが一番なのか、決めるための選考食事会を開催します。

 え? 一番って何が? と思われた方、聡明です。

 実はまだ決めていません。味なのか、人気なのか、健康に一番最悪なのか、はたまた売上が最高なのか。基準はいくらでもありそうです。強いて言えば、ジャンクらしさの際立っているやつが勝ちってことになるかもしれません。

 なぜそんなことをするのか。それは近頃、うちの子供達に何かお菓子でもと買ってきたものがことごとく却下されるのに業を煮やしたからです。

 きみたち、小さい頃はダディが買ってくるお土産には、何だって大喜びではしゃぎまわっていたじゃないか。なんだよその無言のダメ出しはぁ! ってな感じです。

 実はうすうす感づいてはいます。娘たちも年頃になり、ダイエットや体型を気にする年頃です。花より団子の時代は過ぎ行き、美と健康への意欲が勝ってくるのは当然の生理です。

 でもそれだけではありません。私は最近気づいたのですが、うちの子どもたち、世の中にもっと美味しく麗しい食べ物がたくさんある事実に目覚めてしまったのです。何ということでしょうか。ひたすら隠してきた上級上品な菓子の存在がネットや口コミのよって漏洩してしまったのです。ああ、もはや隠しけれないマカロンの味ってところでしょうか。

 私の幼い頃で例えるなら、かりんとうばかり食べていた幼稚園児がはじめてプリンを食べたときの衝撃ってところやね。

 と言うくらい、我が家は昔からずっとB級のおやつばかりを与え続けてきました。うちは家内が甘いものを敵視する傾向が強く、子供の幼い頃から与えたがらなかったのです。私はその反動から買い物に行く度に不憫な子どもたちに糖分たっぷりのお菓子を持ち帰っては与えていました。当然、家内とは口論が絶えませんでした。

 とりわけウォルマートで買ってきた超巨大ロリポップなどは「そんな毒を与えて虫歯になったらどうするの!」と家内が吠えたものです。

「しっかり歯を磨けば問題ない」と突っぱねる私。菓子袋を取り上げて持ち去ろうとする子どもたちが恨めしそうに家内を見ます。

「ほうら、こんなんだから、いつも私が悪者役にされるのよ」家内は怒りをあらわに私をにらむのでした。

 そんなこんなで、ジャンク菓子にはいろいろ思い出があります。楽天的な私も健康のことを考えてそろそろジャンク菓子とは決別しなければいけない、と漠然と考えます。

 そいういった思いも込めて、過去を振り返りながら、我が家が食してきたジャンク菓子を再考し別れを告げようというのが今回の企画です。

 前置きが長くなりました。

 さて数あるアメリカのジャンク菓子の王様はどれになるのでしょう。これは全くの独断と偏見によるものです。系統立てた調査もしません。いきあたりばったり、思いついたものを取り上げて類似品と比較して、段階的にフルイをかけるがごとくに、最高のジャンク菓子を模索先行していきたいと思います。

 で第一回のエントリーは、

LIttle Debbie

出た。いきなりジャンク菓子界のキング・ブランド出しちゃりました。アメリカ在住の人はこのブランド名を聞いただけで「うわ」と思うでしょう。やはり最初はコレくらいのインパクトがなけりゃ駄目です。実はLIttle Debbie、今年でちょうど創業60年なのです。この偉業に敬意を評して一番バッターとして登場していただきました。

グロッサリーストアー最大手のウォルマートからガソリンスタンドまで、アメリカじゅうどこへ行っても売ってます。トレードマークの女の子のイラストは、可愛いんだかどうだか微妙な田舎っぽさを醸し出していますね。長方形の紙でできたパッケージがたいてい売り場の目立つ棚に並んでいます。この置き場所からもメーカーの実力、人気、力関係が読み取れます。LIttle Debbieがいかにジャンク菓子界で中心的存在であるのかがわかります。

商品は多彩。

 代表的なものに、DEVIL CREAMS、STRAWBERRY SHORTCAKE ROLLS、CHOCOLATE CUPCAKES、SWISS ROLLSなどがあります。いずれも味は似通っていて(こう言うと身も蓋もないな)ほとんど共通の原材料でつくられていることがわかります。

 これに対抗するのが、Drake's Cake、Hostessです。こちらもアメリカぐらしの長い人なら、ああ、あのチョー甘の体壊しそうなジャンクフードね。と反射的に思うでしょう。中には忌まわしいものを見るように避けて通る(失礼な)人もいるかもしれません。自慢じゃありませんが、うちの子達は小さい頃からこんなおやつを食べて育ってきたんです。あ、あんまり憐れまないでください。そこそこ素直で健康に育っていますから。(念の為)

 それにしてもDrake's CakeなんてLIttle Debbieの商品と告示し過ぎだよな、訴えられないのかな、と思って調べたら、親会社がおんなじなのですね。McKee Foodsという、たくさんの食品メーカーを傘下に抱える、巨大企業。日本で言えば、グリコやロッテみたいなもんでしょうか。ああ、だから似たような商品が多いのですね。DEVIL DOGSなんてまんまDEVIL CREAMSそっくりですわ。ついでに味の違いもわかりません。ただ甘いだけ? ええそんなモンですこの世界は。

 対抗馬のHostessは2013年に既存の旧ケーキ・ブランドを買い取って再出発しました。先行するジャンク菓子界を追い落とすような勢いで急成長を遂げています。Twinkies、CupCakesなど誰もが知るヒット商品が多々あります。が、私は溶けて固めた砂糖をこってり塗りたくったJumbo Honey Bun。この一品をみるたび、「ああこれ食べ続けたらぜったい命ないな」と思ったものです。

 ええ、この業界のお菓子に「健康」とか「栄養」などのワードはタブーです。ひたすら甘く、ひたすら思考停止でその味に溺れるのが正しい食べ方なのです。だから売れ続けるのです。

 まさに現代のヘルシー志向一辺倒の風潮のさなか、真逆を突っ走り奈落に向かう潔さです。

 食の安全? どんな成分で出来てるの? そんなのパッケージ見て腰抜かせ。ええ、もうどうにでもなれ、の業界なのです。今だからこそ敢えて讃えましょう。ジャンク菓子バンザイ。

 そういうわけで、このシリーズこれからしばらく思いついたときに続きます。アメリカにあまたあるアブナイお菓子の世界にネタは尽きません。

 ではまた次回お会いしましょう。