2020年8月31日月曜日

日米クルマ対決

Cadillac VS Subaru


  現在、私がリムジン業務で最もよく使用しているのはキャディラックのSRX、2016年型です。6シリンダー、3.6リッター、308hp@6800rpmとこのクラスでは申しぶんないスペック。走行は静かでスムーズ、特に時速50−80キロ前後での加速性能は素晴らしく、特筆に値します。仕事柄、大人三人にスーツケース4個ほど詰め込んだ状態で長距離を走ることもよくあるのですが、粘り強い走りで、制動力もほとんど落ちることはありません。底力のある車といいましょうか、アクセルを踏み込んだときの加速する手応えは、勾配のあるのぼり坂などでこそ発揮され、後続のクルマを置いてきぼりにするのはお手の物です。乗客からの評判も上々で、バックシートの座り心地もよく褒めていただきます。内装は至って堅実な作りで、日本車のちゃちなものとは素材が違います。ゆったりとした座り心地は日本の中型車にはない高級感が漂っています。

 そんなどっしりした実力派のキャデラックSRXにも注文をつけたい点はいくつかあります。ステアリングの遊びがやや大きめで、ヘアピンカーブが連続する山道や、タイトな高速道路、たとえばマンハッタンの西側を走るFDRなどで(ちょっとしたハンドルさばきのミスが前後左右のクルマとの接触を招きかねない道です)、このアメ車はコンマ数秒ハンドルの取り回しが甘いのです。ほんの僅かキモチ的な誤差ですが、運転者の意図より遅れて反応するので、今ではそれを見越した運転をするのが癖になってしまいました。

 あと、これは設計上の誤算だと思うのですが、後部座席のみ窓を開けて走行すると、入ってくる空気が必要以上に振動をもたらします。速度を上げるほどその振動はバタバタと大きくなり、高速では運転者の鼓膜に圧迫感を覚えるほどに、空気の振動をモロに受けてしまいます。解決策は前の窓を開けるとおさまる、と知っているのですが、冬の寒い日などは外気をモロに受け、厳しい状況となります。このような欠点もあるキャデラックSRXですが、概ね故障やトラブルもなく、3年余り気に入って使用させてもらっています。

 これ以前に主力で使っていた車はリンカーンのMKTや、MKXでした。今使っているキャデラックと並び、いずれもアメ車の高級車のラインアップからの車です。格で言うとベンツやBMWのミドルクラスに対抗すべく作られたものすが、正直人気、実力ではヨーロッパ車に一歩譲るような立ち位置だと思います。総合的な評価ではレクサス、インフィニティあたりの主力SUVと張り合う立場ですが、売上はいまのところ日本車に軍配が上がりそうです。

 そんな仕事周りの車事情ですが、個人で今移動に使っているのは2014年のスバル・アウトバックです。古くから北米で大人気のSUVで、東海岸では広くマイカーとして使用され、その性能の良さには定評があります。

 私もかれこれこのアウトバックを5年以上使用していますが、目立った故障はありません。おもに娘が大学の通学に使っていたのですが、今学期はオンライン授業ということで、スバルの活躍の場は減りそうです。家内も買い物にこのアウトバックを愛用します。

 このアウトバック、スバルだから当然4WDで雪道にも強く、CVTの安定した無段階ギアチェンジが使うだに気に入ってきます。アメ車の多くはギアチェンジ時にガクンと、いかにもギア変わりましたよ的なリアクションがあるのですが、スバルの場合、じつに加速もスムーズで、時速90キロ前後でも、高級車に引けを取らない走りを見せてくれます。毎日キャデラックを運転する私が、アウトバックに乗り換えてもパワー感以外はまったく遜色なく、むしろ総合力ではスバルに軍配が挙がるのではとさえ思っています。もちろん内装のコストのかけ方は一目瞭然ですが、車にとっていちばん大事なのは、運転全体でいかにストレスが少ないかが重要です。その点スバル・アウトバックは秀逸で、アメリカのいかなる道を走っても、堂々胸を張って運転できる素晴らしい車だと思います。

 そういうわけで、日米それぞれの車を公私それぞれ使い分けて運転しています。ミニバンもアメ車と日本製を交互に乗り変えたりするのですが、改めて日本車の優秀さを再確認することが多いです。その上で、アメ車も乗り続けていて感じるのですが、性能はどんどん良くなってきています。じわじわと日本車との差は減ってきているというのが実感。車種によって開きはありますが、年々良くなっていくアメ車も多いです。

 もはやアメ車だからってナメてる時代ではありません。日本勢も引き締めていかないと、今後アメリカのメーカーからも、どんどんいい車が出てくる、そんな予感がしています。

 

0 件のコメント:

コメントを投稿