ワイルド・ウォッチングの楽しみ
今回はちょっと変わり種のカメラをご紹介します。双眼鏡とデジタルカメラを合体させたDigital Camera Binocularsです。
このカメラは、というより双眼鏡ですね。双眼鏡主体で、それにデジタルカメラの機能を加えたものです。アメリカでは牧場管理、野生観察、あるいはハンティング用に双眼鏡を利用する人口が一定数あり、様々なメーカーにより、高性能なものから子供向けの入門的なものまで、いろいろ出回っています。
その背景には日本にない広大な土地柄があります。とにかく田舎はどこへ行っても延々と広がる平地ばかりで、遠くを見る機会がすごく多いのです。もちろん野外イベントなども日本とはけた違いのスケールで行われますので、双眼鏡は必須のアイテムなのです。
そんな中で私がかねがね注目してきたのが、カメラおよびビデオ機能のついた双眼鏡です。数年前、アメリカで話題になって日本にも輸出されたのですが、当時は日本のカメラメーカーとは比較もできない低クオリティのカメラしか内蔵されておらず、普及には至りませんでした。
アメリカでも双眼鏡ファン(特にバードウォッチャー)からは野生動物観察の本道から外れるらしくてあまり歓迎されず、排他的な見方をされる向きもありました。しかし潜在的に一定層のファンはいたようで、その後も各メーカーからニューモデルが出続けています。
2013年にはソニーからもDEV-50Vというハイスペックな双眼デジカメも出ていたのですが、2000ドルもする上、使い勝手が悪くて不評のまま消えてしまいました。以降、この分野は日本のブランドはどこも手を出さなくなったカテゴリーです。ちなみにNikon、Canon、 Olympusは欧米でトップクラスの双眼鏡メーカーでもあります。
ではこの双眼鏡兼デジカメ、どのような特徴があるのでしょう。
今一番注目されている機種、「KINGEAR FS608」を見ればその特徴が分かります。
ーーまずKINGEARは、今日の業界では数少ない評判の良い双眼鏡会社の一つです。その中でも特にKINGEAR FS608は注目に値します。
KINGEAR FS608の最大の特徴は、プロ用のデジタル一眼レフカメラに搭載されているようなハイエンドのカメラ技術を搭載していることです。他の機種が低レベルなスペックに安住している中、FS608は720PのHD画像を取り入れました。また、130万画素の超大型センサーを搭載しているのも特徴のひとつです。このイメージセンサーのおかげで、双眼鏡はどんな照明条件でも素晴らしい写真を撮ることができます。
このユニットの2インチディスプレイは、様々な条件でのコントロールを提供するLCD技術を導入しています。これにより高品位な写真や高解像度のビデオをキャプチャできるようになりました。
倍率は32ミリメートル開口部の双眼鏡システムと相まって12倍の倍率を実現。かつてない優れた画像をキャプチャすることができるようになりました。
写真も動画もそれぞれJPEGとAVIの一般的なフォーマットで保存されます。本機は32ギガバイトまでの拡張可能なメモリスロットが付属しています。PCへの写真やビデオの転送を容易にするために2.0 USBインタフェースが付属しています。ーー
ところでなぜ双眼鏡にデジカメなのでしょうか?
デジカメ付き双眼鏡の利点 ーー対象物を見失いにくい
高倍率デジカメの場合、いちど遠くの被写体を捉えても、ちょっと設定に目をそらしたすきに、対象を見逃してしまうことがよくあります。しかし両目で見る双眼鏡の特性で、ひとたび双眼鏡を通して捉えた標的はそう簡単に見失うことはありません。目をそらす隙もなく、相手に集中したまま撮影の操作を行うことができるのです。
このさい、写真の画質云々に固執するのはやめましょう。ポイントは写真のクオリティではなく、遠くにある存在をいかにきっちり観察するか、その記録として内蔵のデジカメで視覚情報を残す、そういった趣旨の写真なのです。
ようするにそんなに高画質、ハイクオリティの写真は期待しないということです。そう割り切って使ってみると、思ったより楽しい野生観察ができます。ネイチャー系のみならず、スポーツやイベントにも使えますし、建設現場などでは仕事にも使われています。
何よりカメラと比べて携帯性に優れ、ストラップで首から下げてすぐ使えます。瞬時に観察ー撮影という一連の作業を一括で行えるところが便利なのです。
あるいは、ネイチャー系カメラマンの場合、一眼カメラ撮影の前哨としてまずこの双眼鏡デジカメで標的を探し歩き、最初の一枚を撮る。ーーその後本格的撮影に入る、というプロセスを活かすのです。
私の場合も山野などのフィールドを歩く際、この双眼鏡をよく水先案内人に用います。対象は主に野鳥、鹿、リスといった身近な野生動物です。うちの付近には、ほかにもキツネやアライグマ、オポッサムといった興味を惹かれる動物たちが多く生息し、たまには危険なコヨーテなどにも遭遇する機会があります。そんな時にも双眼鏡デジカメはとっさの一枚を残すことができるので重宝しています。
私のはやや旧型ですが、それでもほとんどの状況で満足のいく仕事をしてくれています。
画面サイズは2インチ、写真はJPEG、ビデオは標準AVI形式で撮影されます。イメージセンサーは1280×960の解像度を持つ1.3メガピクセルです。ここがちょっと懸念されるところです。1.3メガピクセルは、最近のライバル製品比較してやや見劣りします。購入時には画像を保存するための無料の8GB TFカードが付属しています。
これはなかなかのスグレモノです。夜間ほとんど光のないところでも、本機は高感度で被写体を捉えられます。宣伝用ビデオを観たのですが、本当に真っ暗闇でも、クマやフクロウの動体を捉えていました。シカのハンティングなどにも使用する人が多いようですが、使い方次第では悪用もできてしまいそうな高性能です。もともとが軍事用途で開発されたものでその技術転用で生まれた商品ですが、撮影の領域をぐっと広げてくれるものとして期待が寄せられます。
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