2021年2月7日日曜日

デジカメで夜景をキレイに撮る

夜間撮影の基礎知識



 スマホのカメラで夜景を撮ってみて、どうもイマイチ綺麗に撮れない、思ったような絵にならない、そう思ったことはありませんか? スマホでもナイトショットなどの夜景に特化した設定があるなら問題なさそうですが、それでも人とちょっと違った表現をしたいなら、やはり写真専用のデジタルカメラをお勧めします。


 夜景撮影は思いのほか、技量の優劣で差が出やすいものですし、端的に言ってフルサイズのカメラはセンサーサイズの大きさで有利なのは間違いありません。またレンズの明るさに依存することも確かで、そういった装備の良しあしで違いが出るのは致し方ありません。しかし、基本を押さえておくだけで、いままでよりずっといい夜景が撮れるというのも事実です。いま手持ちのカメラでどこまで魅力的な夜景が撮れるのか、以下を読んだ上でもう一度チャレンジしてみてください。きっと今までとは違う夜の風景をおさめることができるはずです。
 

まずは大前提
 夜の写真を撮るための基本的なルールは、どのジャンルでも同じです。速いレンズ(一般的にはF2.8以下の絞り)、頑丈な三脚やカメラを固定するもの、そしてセルフタイマーが必要です。


夜景を撮るためのコツ

1:まずはしっかりした三脚を用意しましょう
 暗い場所ではわずかな手ブレが写真を台無しにします。三脚がない場合は動かない土台を探しましょう。

2:マニュアルモードで撮影しましょう
 暗さ対策はカメラの露出を一つ一つ操作することで体感して覚えるのがいいです。マニュアルモードが苦手な方は、絞りやシャッター優先モードを使っても構いません。その場に応じて最短で操作できる必勝手順をパターン化し確立しておくと慌てることはなくなります。

3:暗いところでのカメラの使い方を覚えましょう
 手元が暗すぎると、ボタンや設定を探すのに苦労することがあります。小さなペンライトなどでカメラのボタンが見えるよう用意しておくと便利です。

4:RAWで撮影しましょう
 RAW画像ファイルにはJPGよりも多くのデータが含まれています。数あるデータの中からその夜景に最適な効果を引き出すことができます。

5:リモート撮影を試しましょう
 スマホとの通信機能でリモートで撮影することで、手ブレもなくなるし、自然なフレーミングで自分を撮ることもできます。

6:カメラをF/16に設定しましょう
 街灯などの小さな明るい光で何かを撮影している場合、F値を絞って周囲の状況を精細に伝えることができます。すべてを余さず伝えたい場合に有効です。





夜の写真の異なるタイプ


ナイトポートレート
 夜間の撮影でも、素晴らしいポートレートのルールは同じです。私が昼間のポートレートに求めるものは、ピントを合わせる目、被写体に均等な光を当てること、そしてシャープなディテールを得ることです。夜にポートレートを撮影するときも、同じコンセプトで撮影していますが、昼にはできない効果を狙うこともできます。
 夜間撮影では、外部フラッシュ、店先のネオン、車のライトなど、別の光源を使って撮影することがあるのです。背景のディテールが前面に出るようなシルエットを作ることも可能です。

天体写真
 夜空を撮影するときに使用するいくつかのポイントを簡単に説明します。

・カメラをマニュアルフォーカスに設定してください。

ピントを合わせるときには、レンズの無限遠マークを信用しないでください。

空に焦点を合わせるには、最も明るい星を選び、星の点ができるだけ小さくなるまで焦点を合わせます。

外部シャッターを使用するか、カメラをセルフタイマーモードに設定してください。

頑丈な三脚を使用し、カメラバッグなどの重いもので三脚を固定します。


露出の設定
 これが何より重要です。いろんなパターンがありますが、基本は以下の通りです。

カメラをISO1600に設定します。

カメラの絞りをできるだけ小さくする。

シャッターを5秒に設定する。

 いかがですか。この設定でとりあえず写真を撮ってみてください。そこから試行錯誤が始まります。

 5秒露光が終わった後の結果を見てみましょう。写真が暗すぎる場合は、露出が合うまでシャッタースピードを上げてください。写真が明るすぎる場合は、適正な露出になるまでシャッタースピードを下げます。



夜の街並み写真
 昼間の街並みは最高です。普段通りの街並みを見せることができます。青い空と白いふくらんだ雲がある晴れた日に出かけることがほとんどでしょう。太陽が沈むと、街はまったく違った装いを見せてくれます。建物からの光が空に新しい色を描き、建物の前の被写体に焦点を合わせると、美しいボケ味が出てきます。
 撮影後の編集も昼以上に様々なアイデアを出すことができます。


しばしば思ったよりも効果的な演出を作り出すこともあります。

夜の街頭撮影
 ストリートフォトは、夜になるとそれぞれの町のカラーが出やすくなります。活気ある街、アートな町、猥雑な街、ちょっとホラーな空気感さえも生み出すことができます。写真の粗ささえ味方につけて、とにかくアクティブにいろんな角度から撮ってみましょう。


 夜間、ストリートフォトを撮るときには、知っておくべきことがいくつかあります。

・シャッタースピードは動きを止めるのに十分な速さが必要。

・ときに三脚は機動性をそぎ、チャンスを失うこともある。

F2.8以下の開放で撮影しましょう。

明るい光源を探しましょう。



夜の風景写真
 自然を描写するような風景写真は正直、昼間がベストです。夜間での撮影は乏しい光源のなかから限られた構図でしか撮れません。もし夜間でコントラストやディテールが欲しい場合は、少しでも明るい光源が必要です。私は夜景を撮るときは月を使います。一点物の光源ということになるので、構図は限られてきますが、ムーンライトマジックとも言うべき、不思議な雰囲気を出す可能性を秘めています。


ネオンサイン
 ネオンサインの数は年々減少しています。都会の夜景でこれを見つけたら、超クールでノスタルジックな写真を撮れるチャンスです。最近よくある整い過ぎたLEDなどのデジタル光源とは波長が違う光なので、効果的な発色を活かしたレトロな写真表現ができます。
 まだネオンサインが残っている地域を見つけたら、ぜひ一度足を運んで、このユニークな光を撮影してみてください。



夜の写真を撮るための条件

 カメラによって夜間の許容ISO感度
は異なり、あなたのカメラで何ができるかを学ぶことは、夜の写真をマスターするための第一歩です。たとえばソニーa7S IIIは、夜景撮影に適した強力な基本性能を備えています。
 まず光をたくさん取り込めるフルフレームサイズのセンサーであり、なおかつISO感度が優れています。
 有効約1210万画素の裏面照射型CMOSイメージセンサー、拡張最高ISO感度はなんと409600と破格のスペックです。これならほんのわずかな光でも味方につけて、味わいのある描写が可能になります。



なぜフルフレームセンサーが夜の撮影に向いているのか?

 フルフレームセンサーが夜の写真に向いている理由は、APS-Cセンサーの2倍の大きさのセンサーを搭載しているからです。2倍の大きさは2倍の光を意味します。夜の写真は光がすべてです。

 しかしご心配なく。APS-Cセンサーのカメラでも、ISO性能のすぐれたカメラはいろいろあります。また明るいレンズと組むことによって、夜景描写の広がりは大きく変わります。レンズやカメラの限界を知ることは重要なステップです。
 目安として、三脚を使用してISO3200を超えないことが、クリアでシャープな夜の写真を撮るためのボーダーラインです。それだけでも頭に入れて夜景撮影にチャレンジしてみてください。



夜写真のためのカメラの設定

 夜間のピント合わせは、十分な光がないと難しい場合があります。そのためには、カメラをマニュアルフォーカスに設定する
ことをお勧めします。夜間の露出の仕方を理解するためには、露出の知識が役立ちます。あなたがスローシャッター、低ISO、平均的な被写界深度を望むならば、状況をコントロールできるようになるでしょう。


絞りの役割
 絞りを低くすることで、センサーに多くの光を取り込むことができ、三脚の使用を制限するためにシャッタースピードを高く保つことができます。また、絞りを低くすることで、センサーのホコリが写真に写り込むのを防ぐことができます。F1.8まで絞り込んでも、被写界深度は非常に浅くなります。ピントが合っていない写真が多いので、シャッタースピードを遅くすることで、絞りを大きくすることができます。


シャッタースピードの役割
 シャッターを開けたままにしている限り、センサ ーは画像を露光します。シャッタースピードを上げるということは、ISOを上げるか、絞りを小さくすることを意味します。
 光の軌跡や星の写真を撮るとき、低いシャッタースピードで撮影したい場合は、ISOを低く、絞りを高くしておけば、より多くの光を取り込むことができます。

ISOの役割
 簡潔に言うとISOが低いほど、写真はきれいになります。ISO100では、写真のノイズはほとんどありません。ISO 128000では、雪が降っているように見えるほどのノイズがあります。ただしカメラによっては、様々な理由でISO感度が高い方が良いものもあります。

 いくつかのテストショットを撮影して、カメラの限界を知りましょう。最大ISOで撮影してみて、ISO1600かISO3200になるまで絞り込んでみてください。Lightroomや同様のエディタで写真を見ると、結果を比較して自分の快適なISO最大値を理解することができます。
 ISOは、シャッタースピードを上げたり、絞りを上げたりする能力を調節するので、露出の重要な部分です。



夜景写真の編集

 写真は編集で生き返ることができます。RAW設定で夜の撮影をすると、青、紫、赤、黄色などの色調を使って作品を作りこむことができます。一見、黒く潰れたような残念な描写も、RAWデータの場合は光を取り込んで、新たな息吹を与えることができます。色調や全体のトーンやちょっとしたエフェクト次第で、夜の情景は様々な顔を見せることがあります。加工のやりすぎはともすると、本来の狙いから外れた人工的なものになってしまいますが、様々な変化を見ることで、次の撮影の参考とすることができます。いろいろ試して、写真の可能性を拡げてみてください。

 日が暮れると、ほとんどの人が撮影をあきらめる時代が続きました。しかしミラーレスの新時代は夜にも使えるツールとしてカメラを進化させていきます。今後は「闇」を活かした新たな夜景写真が次々と登場してくることでしょう。






2021年2月6日土曜日

初心者に最適:フジフィルム・カメラ

おすすめミラーレス:X-T200




 数あるミラーレス・カメラの中から、いま初心者に最高なカメラはどれか?

 いくつも候補が上がる中、自分が使ってみてやっぱり「これは」と思えたのが、フジフィルムのミラーレスX-T200でした。このカメラがなぜビギナーに最適なのか、今回はその魅力に迫ります。



 まずなぜ富士フィルムなのか。
 初心者クラスのミラーレスカメラのなかで、まずその利点は、フィルムシミュレーションというフジ独自の色再現能力にあります。

  最近のほとんどのデジタルカメラには、フィルターとして知られる機能が搭載されており、RAWファイルを撮影する場合でも、画像の色をコントロールすることができます。
 キヤノンのカメラではこれを「ピクチャースタイル」と呼んでいます。ニコンは「ピクチャーコントロール」、オリンパスには「ピクチャーモード」で、ソニーは「クリエイティブスタイルモード」とそれぞれ呼び名が違います。
 これらのフィルター・モードは、全体的な彩度の向上から、青や緑などの特定のトーンをターゲットにしたものまで、色と範囲を高めるように設計されています。

 富士フイルムの「フィルムシミュレーションモード」と呼ばれるものはこの一種でありながら、他と一線を画する精妙なフィルムの再現能力を突き詰めたものになっています。富士フイルムが長年培ってきたフィルムの色にこだわり、他のメーカーにはない独特の味わいを表現することが可能になっています。

 フジフィルムの各カメラで微妙に搭載されるフィルムシミュレーションの種類は異なります。基本はプロビア(スタンダード)、ヴェルビア(ビビッド)、アスティア(ソフト-より控えめな色とコントラスト)、クラシッククローム、プロネガハイ&スタンダード、アクロス(白黒)、モノクローム、セピアなどで、これは最近のほとんどの富士フィルムカメラに入っています。

 フィルムシミュレーションモードは、ほとんどの場合、カメラのメニュー設定の最初のページにあります。使いたいモードに移動して、有効にするだけで準備完了です。初めての人でも、プロ写真家のような写真が撮れることに驚くはずです。

 それでは数ある富士フィルムのミラーレスカメラの中から、エントリーモデルのX-T200をピックアップしてみていきましょう。

 

FUJIFILM X-T200

概要

 X-T200は大きなバリアングル・モニターと、そのタッチスクリーン上でほとんどの操作ができる簡便性が特徴です。ボディは小型で、ミラーレスカメラの中でももっとも軽量な部類に入ります。カメラの軍艦部のカラーはシルバー、ダークシルバー、シャンパンゴールドの三種類を用意しています。



発表:2020年1月23日

センサー:24.2Mp APS-Cフォーマット、
原色フィルターアレイ搭載CMOSセンサー

レンズマウント:富士フイルムXマウント

ISO
感度: 100-51,200(拡張ISO 200-12,800)

ファインダー:0.39型2,360Kドット有機EL電子ビューファインダー(視野率100%)搭載

モニター:16:9 のアスペクト比の 3.5inch、 2,760K 点の可変角度 TFT LCD

オートフォーカス:位相差・コントラスト検出機能を備えたインテリジェントハイブリッド

最大連写速度: 8fps

最大動画解像度:4K(3840×2160)29.97P/25P/24P/23.98Pで最大15分

ストレージ:SD/SDHC/SDXC UHS-I

寸法(WxHxD):121.0 x 83.7 x 55.1mm / 4.8 x 3.3 x 2.2inch

重量:370g(バッテリーとメモリーカードを含む)、321g(本体のみ)




いいところ
・ワイドな3.5インチバリアングル・タッチスクリーン
ファインダーはこのクラス最高の質と認視性
軽くてコンパクト
上位機種に迫る高品質の写真
家族、ブログ、ウェブカメラに適したビデオ機能
使いやすいタイル型アイコンのタッチスクリーン


イマイチなところ
電源ボタンとビデオ録画ボタンやや押しにくし
富士フイルムのX-Trans CMOSチップではなく、通常のCMOSセンサーを搭載
ダイヤル、ボタン類の不足
やや信頼性の低いビデオトラッキング性能

注意点
モニター保護フィルムを貼ると、モニターが閉じにくくなることがあります。
レンズフードは付属せず、専用のもの販売していません。



スタイルと基本性能

 富士フイルムX-T200は、言わばミニDSLRスタイルで、電子ビューファインダー(EVF)、3.5インチの大型バリアングルタッチスクリーンを搭載し、スチル写真とビデオの両方に適したカメラとして設計されています。
 Xマウントを採用し、すべてのXマウントレンズに対応しています。35mm換算で23~68mm相当のコンパクトなXC 15-45mm OISパワーズームレンズが付属しており、多くのキットレンズよりも広めの範囲を撮影できます。超音波振動センサークリーニングが付属しており、レンズ交換時にセンサーに付着したホコリを自動で除去します。エントリー機でこれがついているのはありがたいです。

 24.2mp APS-C CMOSセンサー(銅配線)があり、他のXマウントカメラに見られるX-Transフィルター配列ではなく、ベイヤーフィルターを搭載しています。初心者の方はこの違いや仕様は気にすることはありません。このカメラにはボディ内手ぶれ補正(IBIS)は搭載されていませんが、動画撮影用の電子手ぶれ補正は搭載されています。静止画撮影には、光学式手ブレ補正(OIS)付きのレンズがあればさほど手振れの心配はありません。

 このカメラには多くのデジカメ同様、P、S、A、Mの撮影モードがあり、マニュアル操作が可能です。

 フィルムシミュレーションは、クラシッククロームを含む11種類のフィルムシミュレーションが用意されており、撮影前にその違いを確認することができます。

 シーンモードは、スポーツ、ナイト、ランドスケープ、SP(追加のシーンモードから選択可能)、パノラマがある。ADV.オプションは、「HDRアート」、「トイカメラ」、「ミニチュア」、「ポップカラー」などの高度な(デジタル)フィルターを搭載しています。   SR+は、シーン認識を利用して写真に最適なモードを設定するアドバンスドシーン認識「オート」モードの事です。

 Wi-Fiと低消費電力のBluetoothを内蔵しており、スマートフォンやタブレットに簡単に画像を転送でき、カメラを遠隔操作できるほか、スマートフォンのGPSから画像に位置情報を付加することも可能です。


動画の特徴とオプション

 このカメラはビデオ機能を重視しており、3.5インチの大型バリアングルスクリーンを搭載しているので、ブロガーには最適なカメラだと思います。実際、富士フイルムはX-T200を「Vloggers Kit」として提供しており、RODE VideoGo Mic、ジョビー三脚、メモリーカードなど、高品質の動画コンテンツを制作するために必要なものがすべて含まれています。

 ビデオの面では、このカメラは以下の機能を備えています。
 30,25,24,23.98fpsの4Kビデオ。画像は繊細で高レベルな6Kからダウンサンプリングされ、これはクロップなしでセンサーの全範囲を使用しています。カメラ側面にはマイク端子を備えており、付属のUSB-C→3.5mmジャックアダプターでヘッドホン端子を追加できます。

 内蔵のジャイロセンサーを使用して、フレームにクロップすることで映像を安定させるデジタル "ジンバル "機能があります。ただしこれはFullHD解像度のビデオ録画のためにのみ利用可能であり、4Kビデオ録画には利用できません。高速動画撮影のほか、HDR動画撮影もあり、いずれもFullHD解像度での撮影が可能です。



ハンドリング

 カメラ上部にはいくつかのダイヤルがあり、カメラを持っているときに右手で簡単にアクセスできる右側に2つあります。これらはモードに応じて設定を変更するためのものです。カメラの左側にもファンクションダイヤルがありますが、こちらは手が届きにくく、やや余計なものに感じますが、機能をカスタマイズすることができます。カメラの背面にはラベルの付いていないカスタマイズ・ボタンが2つあり、Fn1とFn2として使えます。初期設定では、左のボタンで表示を切り替え、右のボタンでAFロックに設定されています。

 ジョイスティック・コントロールは非常に小さく、その位置は使いやすいとは言えないところにあります。

 X-T200の重量はバッテリーとメモリーカードを含めて370g、15-45mmレンズと合わせても131g程度と軽量で、これは大きな利点です。

 三脚ソケットはバッテリー/メモリーカード収納部のすぐ横にあるので、カメラを三脚に取り付けたままバッテリーやメモリーカードを交換することはできません。ビデオ撮影にカメラを使用している場合、メモリーカードを交換する必要があるときなどは、問題になるでしょう。

AF-EVレンジとは?
 薄暗い場所でも-2.0EVまでピントを合わせることができます。顔と目の検出フォーカスは人物の写真を撮るのに役立ちますが、時折ピントの合っていない人物の写真を撮ることもあります。
 カメラの左側にはマイクソケットがあります。付属のアダプターを使ってUSB-C接続し、3.5mmのヘッドフォンソケットに変換して音声モニターとして使用することができます。

 3.5インチのバリアングルタッチスクリーンは高解像度で、アスペクト比は16:9なので、動画撮影にも最適です。マイクソケットにマイクケーブルを接続した状態でも「自撮り」のために傾けることができます。ただし、4:3のスチール写真を撮影する場合は、視野の左右にバーがあるため、画面サイズは実質的に小さくなります。画面は見栄えが良く、簡単に調整して最適な表示にすることができます。

 電子ビューファインダー(EVF)は高解像度で、色再現性が良く、シーンをよく見ることができます。視線検知センサーがあるので、画面とEVFを自動的に切り替えてくれるほか、ジオトレ補正も用意されています。

 画面上にはタッチ操作が多数用意されており、撮影モードに応じて、明るさや背景ボケ、フィルムシミュレーション、画像のアスペクト比などを簡単に調整することができます。初心者の方や、変更の仕方をあまり気にしない方には使いやすいと思います。
 絞りやシャッタースピードを手動で変更することに慣れている人は、これらのコントロールをスキップして、通常の撮影用コントロールにこだわるのもいいかもしれません(SR+などのオートモードでない限り)。

メニューシステム
 明確にレイアウトされており、色分けされたセクションにより、探しているものを見つけやすくなっています。下部のMyMenuセクションを使用して、お気に入りのオプションを追加して、より迅速にアクセスできるようにすることができます。

連写
 8fpsで撮影できますが、速度が遅くなるまでに16枚までしか撮影できません。撮影速度を遅くすることで、より多くの写真を撮影することができます。

バッテリー駆動時間
 フジフイルム/CIPA試験結果によると、通常設定で270枚。エコノミー設定では、約450枚の撮影が可能です。充電は、付属のUSB Type-Cケーブルを使用してカメラ内で行います。

キットレンズ性能
 XC 15-45mm F3.5-5.6 OIS PZレンズは、35mm換算で23mm~68mm相当の撮影が可能です。PZとはPower Zoomの略で、カメラの電源を入れると自動的にレンズが伸びる仕組みになっています。ズームもモーターで制御されており、レンズリングを回すことでズームをコントロールできる。パワーズームレンズなので、その感覚に慣れるのに時間がかかるかもしれません。
 レンズの性能はそれなりに良く、特に広角端では中央部のシャープネスが良い。レンズの広角端でレンズを使用すると、角がいかに柔らかいかがよくわかる(エッジもそれほどではないが)が、光学ズームをフルに使用すると、角のシャープネスが改善される(中央のシャープネスはわずかに減少する)。

 鏡筒歪曲収差は、カメラ内で自動的に補正されているため、最小限に抑えられている(ワイド側では1%未満、望遠端ではさらに少ない)。色収差はよく制御されているが、広角端を使用しているときにいくつかのスポットがありました。ケラレはカメラ内で自動的に補正されるので、最小限に抑えられています。

 クローズアップ性能は、キットレンズなりによく健闘しています。またこのレンズはフレアに比較的強く、フレーム内に明るい光源を配置しても、完全ではありませんがフレアをよく抑えた効果を見ることができます。総体的にこの15-45mmは比較的良いキットレンズであり、多くのユーザーのニーズに合うでしょう。



まとめ

 X-T200は、X-T100をいくつかの点でアップデートしています。4K動画撮影が大幅に改善され、30,25,24fpsの動画撮影が可能になり、側面にマイクソケットが追加されました。カメラには、より大きく改良されたグリップが追加され、新しく大きくなった高解像度3.5インチのバリアングルタッチスクリーンがこのカメラの目玉です。顔と目のオートフォーカス検出機能も進化しており、ほとんどの状況で良好なフォーカス性能を発揮できます。

 野生動物や高速スポーツ撮影には、X-T30やX-T3/X-T4のような他の富士フイルムのXシリーズカメラの方が、連写速度がはるかに速いです。しかし、それ以外のすべての面では、X-T200は一般的な写真撮影に最適なオールラウンドカメラです。ビデオでは、X-T200は見栄えの良い4Kビデオ映像を提供し、クラストップレベルの動画を撮影できます。

 ここまで高性能で低価格なAPS-Cミラーレスカメラは、ほかにほとんど見当たりません。
 強いてあげるなら、同等の性能を有するSONY a6100、6400や、CANON EOS M6、Kiss Mなどがあげられますが、フィルムシミュレーションで高品質な個性を出せる分、富士フィルムのX-T200は一歩リードしているように思われます。

2021年2月5日金曜日

ミラーレスカメラの基礎

ミラーレスカメラとは?



 
 カメラが好きな人にとっては自明のことでも、これまで関心のなかった方にとってミラーレスカメラ? デジカメとどう違うの? といった素朴な疑問が出てきても無理はありません。ですから最初にはっきりと申し上げておきます。ミラーレスカメラとは、デジタルカメラの一種です。デジタルカメラには、デジタル一眼レフカメラやコンパクトカメラ、さらにはスマートフォン用のカメラ、アクションカメラ、車載カメラ、ホームセキュリティ・カメラなど、さまざまな種類が販売されています。

 これらのカメラは、違いというよりは共通点のほうが多いです。カメラの基本的な仕組みは、写真が発明されてからほとんど変わっていません。

 カメラという物体の核心は、辞書的に言うと、「光の情報を記録して写真と呼ばれる出力を作る装置」ということです。光を記録する媒体は、当初は化学的に感光性のあるフィルムでしたが、現在のほとんどのカメラではデジタルセンサーに取って代わられています。
 どのタイプのデジタルカメラも、シーンから光を取り込み、レンズでピントを合わせ、センサーに記録しています。
 それぞれののデジタルカメラの違いは、主にカメラを構成するいくつかのコンポーネント周りにあります。主な違いは以下の通りです。

・カメラ内部のセンサーのサイズ

・レンズ内の絞りの大きさ

・手動制御レベル

・レンズに互換性があるかどうか


 ミラーレスカメラは、おおむねデジタル一眼レフカメラに似ています。ほとんどのミラーレスカメラは、比較的大きなセンサーを持ち、高品質の画像を生成し、フルマニュアルコントロールを持ち、交換可能なレンズ・マウントを持っています。

 違いはその名が示すように、ミラーレスカメラにはミラーが内蔵されていないことです。デジタル一眼レフカメラでは、ミラーはレンズを通過した光を光学ファインダーに導くために使用されます。つまり、撮影者はファインダーを覗いているときに、実際のシーンを見ることになります。

 ミラーレスカメラにはこのミラーがないため、光学ファインダーがありません。撮影者が構図を決める際に使用する画像は、カメラの背面にあるスクリーンに表示されますが、ミラーレスカメラの場合は電子ビューファインダーに表示されます。

 どちらの場合も、カメラのセンサーに当たった光が、カメラの電子機器で処理され、デジタル画像として画面に出力されます。

 これはスマホやコンパクトカメラでも同じで、ミラーがないものがほとんどです。しかし、ミラーレスカメラはデジタル一眼レフカメラの直接のライバルとして生まれたものであり、ミラーがないことが大きな違いであることから、ミラーレスカメラという名前が定着しました。

 ミラーレスカメラには、デジタル一眼レフカメラよりも多くの利点があります。ミラーレスカメラは、同じような画質を実現しながらも、軽量で小型化されやすいです。シャッターボタンを押したときに、画面に表示される画像が正確なものであるため、使い勝手は容易です。

 さらに、交換可能なレンズ、RAW撮影のサポート、フルマニュアルコントロールなど、デジタル一眼レフカメラが持っているのと同じ利点があります。

 主な欠点は、ほとんどのミラーレスカメラは、同等のデジタル一眼レフカメラよりも少し高価になる傾向があります。また、処理のために、現実と画面上で見た画像との間に非常にわずかな遅延がある。これはほとんどのユーザーにとっては目立たないし、重要な要素ではないでしょう。ただハイエンドのスポーツ写真家などは、この理由からデジタル一眼レフカメラにこだわる向きがあります。
 また、デジタル一眼レフカメラのレンズは、使用可能な期間が長く、バッテリーの寿命もミラーレスカメラよりも長くなっています。


ミラーレスカメラの操作方法

 ミラーレスカメラを箱から出してみると、おそらく多くのボタンやコントロールがあり、よくわからないラベルやマークが並んでいると思われるでしょう。

 「いろいろあるけどよくわからん」と言ってオートモードのままにしておきたくなるかもしれません。これはごく自然な反応です。しかし、カメラを最大限に活用するためには、少なくともいくつかのボタンが何をするのかを学んでおいて損はありません。



シャッター

 シャッターボタンは、写真を撮るときに押すボタンです。これは通常、右手の人差し指で操作するカメラの右上にあります。私の知る限りでは、左利き用にシャッターボタンが配置された左利き用のカメラはありません。


モードダイヤル
モードダイアル:出典 Nikon Home Page


 デジタル一眼レフカメラや一部の先進的なコンパクトカメラと同様に、ミラーレスカメラにも操作できるさまざまなモードがあります。これらのモードは、一般的にカメラをどの程度までマニュアルで制御するかを定義するために使用されます。

それらは、すべてカメラ任せのフルオート・モードから、完全マニュアルモードまでいろいろあります。

 カメラのモードを変更するには、モードダイヤルを回転させて希望のモードにするだけです。これにより、カメラのモードが瞬時に変更され、操作モードを変更すると、通常、新しいモードが画面上に表示されます。

 利用できる正確なモードは、カメラのモデルによって異なりますが、以下のようなものです。


オートモード
 これは、ほとんどのカメラで設定されているデフォルトのモードです。自動モードでは、シャッタースピード、絞り、ISOの設定など、カメラがすべてを処理してくれます。また、フォーカスポイントを選択し、フラッシュがあれば発光させることもあります。オートは、被写体にカメラを向けてシャッターボタンを押すだけで撮影できるように設計されています。

シーンモード
 デフォルトのオートモードと同様に、今どきのほとんどのカメラには通常「シーン」モードと呼ばれるテーマ別のオートモードがいくつか搭載されています。カメラによって様々ですが、例えば、風景オートモード、ポートレート・モード、夜景モード、マクロモードなどが代表的なものです。これらのモードは、主に初心者のためのもので、シーン別に最適な設定をプリセットで用意されているわけです。

Pモード
 これはプログラムオートの略です。自動モードの少し高度なバージョンといえます。露出補正による画像の明るさの増減、ISOの調整、ホワイトバランスの変更などが可能になります。より多くのマニュアルコントロールへの足がかりになります。

A (または AV)モード
 これは絞り優先モードです。絞りを主体に設定することができ、カメラはシーンの光を評価し、適切なシャッターを設定します。また、ISOの調整や露出補正で明るさを調整することもできます。絞りでは被写界深度をコントロールすることができ、このモードはポートレート撮影でも風景撮影でも威力を発揮します。

S、T
、または Tvモード
 シャッター優先モードです。シャッターを設定すると、カメラがシーンの光を評価して適切な絞りを設定します。また、ISOを調整することもできます。このモードは、シャッターを制御する以外は、基本的には絞り優先と同じです。露出補正を使って明るさを調整することもできます。シャッター優先は、動きの速い被写体を止まって見せるなど、ショットの動きをコントロールしたい場合に最適です。

Mモード
 フルマニュアルモードです。このモードでは、絞り、シャッタースピード、ISOをコントロールします。カメラは露出計を使って、画像の露出が不足しているか、あるいは過剰になっているかを教えてくれます。このモードでは、露出を完全にコントロールできるので、露出補正は使えません。また、このモードではISOを調整することもできます。

 初心者は、カメラの感触をつかむためにオートで撮影を始めたいかもしれませんが、最終的には絞り優先、シャッター優先、マニュアルモードでの撮影を目指すことをお勧めします。これらのモードは、画像や構図の最終的な外観を最も制御することができます。


 マニュアルモードはビギナーには敷居が高く感じられるでしょう。でも無理に移行する必要はありません。マニュアルモードは長時間露光写真や天体写真のような特定の写真撮影には便利ですが、趣味でさっと撮りたい人には向いていません。ビギナーを卒業した人でも大抵は絞り優先かシャッター優先モードで撮影するものです。



コントロールホイール
 カメラによっては、1つまたは複数のコントロールホイールが用意されています。これらのコントロールホイールは、カメラのさまざまな場所に設置されています。コントロールホイールの一般的な場所はシャッターボタンの近くで、人差し指で簡単に調整できます。

 コントロールホイールはまた、しばしばカメラの背面またはカメラの上部に見つけることができます。例えば、私が使っているパナソニックのLUMIX G8では、シャッターボタンの周りにコントロールホイールがあり、シャッターボタンの後ろのカメラ上部にもコントロールホイールがあります。

 通常、コントロールホイールは特定の設定を調整するために使用されます。それが何を変えるかは、カメラのモードによって異なります。
 例えば、絞り優先モードでは、通常、コントロールホイールを使用して絞りを上げたり下げたりすることができます。シャッター優先モードでは、通常、コントロールホイールはシャッタースピードを増減させます。

 カメラに複数のコントロールホイールがある場合、マニュアルモードでは、1つのホイールで絞りを調整し、もう1つのホイールでシャッタースピードを調整します。

 カメラによっては、各コントロールホイールの内容を別の設定に割り当て変更できる場合があります。例えば、露出補正やISOの設定、ホワイトバランスの設定などを管理するように設定できるものも多いです。
 デフォルトの設定でも問題はありませんが、自分のニーズに合わせて自由に調整してみてください。


ISOボタン
 ほぼすべてのミラーレスカメラには、カメラの背面または上部に専用のISOボタンがあるはずです。このボタンを押すと、ISO設定に直接アクセスできます。多くの場合、ISOボタンを押すと、コントロールホイールがISOを調整することになります。

 ISOを上げた場合の副作用として、画像にノイズが多くなることがあります。最近のミラーレスカメラのほとんどは、ISO100~800の範囲(日常的に使用する場合は100~400の範囲をお勧めします)で十分な性能を発揮しますが、ISO1600以上になるとノイズが入るのが普通です。
 ノイズは、画像に粒状感や色の滲みとして現れます。カメラの画面ではわかりにくいかもしれませんが、コンピュータ画面で100%にして見ると一目瞭然です。
 ノイズの問題があるため、ISOは画像の明るさを調整するための最後のコントロールとなります。理想的には、絞りとシャッタースピードを調整して、ISOを低く設定することで、正しい露出を得ることができます。

 もちろん、これが常に可能というわけではありません。低光量で撮影しているときは、ISOを上げる必要があるかもしれません。しかし、これを100~400の通常の範囲に戻すことを忘れないようにしましょう。ISOを高くしすぎると、撮影した画像がノイズの多いものになってしまう危険性があります。


露出補正ボタン (+/-)
 露出補正は、スマートフォンやコンパクトカメラなど、ほとんどのカメラに共通する機能です。基本的には、設定を弄ることなく画像を明るくしたり暗くしたりすることができるクイックオーバーライドボタンです。

 ほとんどの状況では、明るすぎず、暗すぎず、正しく露出された画像が求められます。カメラは、この適正露出を計算するために様々な方法を使っていますが、常に正しいとは限りません。そのため、露出補正ボタンを使って、画像の明るさを上げたり下げたりするようにカメラに指示することができます。通常、これには+/-ボタンが付いています。

 ボタンを押すと、露出補正の値を上げたり下げたりすることができます。これは、画面上で行うこともできますし、露出補正が選択されているときにコントロールホイールを使って行うこともできます。
 カメラによっては、ボタンではなく、専用の露出補正ホイールが付いているものもあります。これも同じ効果が得られます。

 ミラーレスカメラでは、露出設定の変更により画像が明るくなったり暗くなったりするので、その変化は画面上ですぐにわかるはずです。

 露出補正の設定を変更すると、カメラが絞りやシャッタースピード、ISOを調整して、実際に画像を明るくしたり暗くしたりしているのがわかります。画面上にこれらの設定の数字が表示されます。

 ISOと同様に、使い終わったら露出補正をゼロに戻すことを忘れないようにしましょう。この設定戻し忘れは、よくある写真撮影の失敗例です。



フォーカスモード
 写真を撮るとき、被写体をきれいでシャープにしたいと思います。このシャープさは、ピントを調整することによって達成されます。ピントの合った画像はシャープに、ピントの合っていない画像はぼやけてしまいます。
 現在市場に出回っているほとんどのミラーレスカメラには、さまざまなフォーカスモードが搭載されており、フォーカスを調整することができます。カメラのフォーカスモードボタンは、ダイヤルやトグルでもあり、モードを素早く切り替えることができます。

 カメラのボタンを探している場合は、通常、オートフォーカスの略である「AF」のようなラベルが貼られています。ボタンからアクセスできない場合は、カメラの設定メニューで「フォーカスモード」のようなものが表示されます。
 カメラに搭載されている正確なモードはメーカーによって異なりますが、通常は少なくとも3つのモードがあり、素早くアクセスすることができます。

第一のモードは、標準のフォーカスモードで、通常オートフォーカス・シングルと呼ばれています。これは、動きのない被写体に使用するフォーカスモードです。このモードでは、カメラは被写体にピントを合わせ、その後フォーカスをロックします。


次のモードは、オートフォーカス連写と呼ばれるものになります。このモードでは、一度被写体があると、動いていてもカメラが自動でピントを合わせてくれます。つまり、被写体が動いていても、何枚も撮っているうちにシャープな写真が撮れるということです。連続フォーカスは、野生動物の写真、スポーツイベントの写真、人が動いている写真など、動いている被写体に適しています。

 3つ目のモードはマニュアルモードです。これはフォーカスを完全に手動で制御していることを意味します。通常、レンズ自体にフォーカスリングがあり、それをひねることでフォーカスを変更することができます。

 最近のカメラには、上記のモードからの追加バージョンがあることを付け加えておきます。例えば、多くのカメラは、フォーカスのために何らかの顔や目の検出を提供していますが、これはカメラが自動的に被写体の顔や目を検出してフォーカスを追跡することを意味します。これは、動いている人の写真を撮るのに特に便利です。


ズーム/焦点距離リング
 ミラーレスカメラは、デジタル一眼レフカメラのように、撮影するものによってレンズを変えることができます。レンズには2種類の種類があります。ズームがない「プライム」レンズと、シーンに合わせて拡大・縮小できる「ズーム」レンズです。

 写真用語では、この「ズーム」のことを「焦点距離」といいます。これはmm単位の数字です。数字が小さければ小さいほど、撮影範囲が広くなり、より多くのシーンを見ることができます。数字が大きいほど、撮影範囲が狭くなり、被写体が大きくなります。

ほとんどのレンズには専用の焦点距離/ズームリングが付いていて、それを回すことでズーム量を増減させることができます。いくつかのレンズは、電子的にレンズをズームインとアウトするために使用することができます。


測光モード
 多くの場合カメラの背面にあるもう一つのボタンで、測光モードを素早く変更することができます。前述のように、実際に写真を撮る前に、カメラはシーンの光量を測定して正しい設定を計算します。これは正しい露出を得て、画像が明るすぎたり暗すぎたりしないようにするためです。

カメラが光を測定する方法は、測光と呼ばれるプロセスを介して行われます。
分割測光        中央重点測光       スポット測光



 デフォルトでは、ほとんどのカメラはフレーム内のシーン全体を評価してバランスのとれた露出を作成するように設定されています。しかし、暗い部分と明るい部分のコントラストが非常に強いシーンなど、これでは最良の結果が得られない場合もあります。

 このような難しい状況でも良い結果を得るために、カメラを異なる測光モードに設定することで対処します。これにより、カメラはあなたが露出を正しく設定したいシーンの部分に焦点を合わせることができるのです。

 カメラによって異なる測光モードがあります。ほとんどのカメラは、画像の中心部の光情報のみを使用するスポット測光モードを持っています。他のカメラでは、測光ポイントをフォーカルポイントに設定できる場合がありますが、これも多くの場合、有効なオプションです。
 カメラによって測光モードボタンはありませんが、この機能はメニューシステムからアクセスする場合があります。


シューティング・モード
 カメラには撮影したい状況に応じて、単発モード、連写モード、タイマーモードなどが用意されています。
 単発モードでは、シャッターボタンを押すと1枚の写真が撮影されます。別の写真を撮るには、シャッターボタンから指を離して、もう一度シャッターボタンを押さなければなりません。
 連写モードは、シャッターボタンを押している間、カメラが撮影を続けます。激しい動きのアクションショットを撮影するのに適しています。すべての写真をシャープでピントの合ったものにするためには、連続撮影モードとの組み合わせで使用する必要があることに注意してください。
 またこれはご存じかもしれませんが、ほとんどのカメラにはタイマーモードが搭載されています。シャッターボタンを押すと、一定時間(多くの場合は10秒か2秒)後にカメラが画像を撮影します。これは、自撮りやグループショットの撮影に便利です。



まとめ

 以上でミラーレスカメラの概要説明は終わりです。まずは実際にカメラを手に取ってみて、どのボタンがどういう働きをするのか、ひとつひとつ試してみてください。多くの設定は複合的に機能しますので、最初わからなくても、操作と撮影を繰り返すことで、自然に理解できてきます。
 フィルムカメラの時代は一枚満足する写真を撮るために、フィルムの現像の繰り返しという、手間と時間のかかる作業が必要でした。デジタル・カメラのいいところは結果がすぐに目に見えることです。数をこなし体験を積めば、必ずいい写真が撮れるようになります。ぜひお持ちのカメラを自在に操れるようトレーニングを繰り返してくださいね。


2021年2月4日木曜日

一眼レフ:最初のカメラ選び

どのカメラを買うのか





 昔からカメラ撮影を好む(あるいは趣味とする)日本人は海外と比較して多いと言われています。フィルム写真の時代から、欧米では、「日本人はカメラ好き」というイメージが定着しています。海外旅行のツアーなどで訪米した日本人のほとんどがカメラを首からぶら下げ、写真を撮りまくる図というのが、しばしば揶揄を込めて紹介されています。観光名所に来ても目で見て回るより、立ち止まって写真を撮ってる時間の方が多いと言われる日本人です。メジャーなカメラメーカーが日本製ということもあり、「カメラ・イコール・ジャパン」みたいなイメージを持たれているのかもしれません。
 とはいえ、カメラの性能に関しては間違いなく誇るべきものがあり、その可能性は日々躍進している最中です。
 そんな中、これからカメラを購入しようという方に向け、そもそも論的な事を書いてみようと思いました。そもそも初心者はどのカメラをもつのがよいのか? 原点に立ち返って、いくつかの観点から考察してみました。カメラ購入の際のガイドとなれば幸いです。


ブランド選び。ニコン? キヤノン? それとも・・・

 フィルム時代からの老舗メーカーでライバルと言えばニコンとキャノンです。ニコンかキヤノンを買うべきか?それともそれ以外か?

 どのような機能を備えたカメラがエントリーレベルのデジタル一眼レフカメラとして最適なのでしょうか?

 コンパクトカメラに比べて、デジタル一眼レフカメラを購入する際には、その先のことを考慮しておかなければなりません。カメラメーカー各社で、レンズマウントの規格が異なるため、一度あるメーカーのカメラを購入すると、そのメーカーおよびメーカーに準拠したサードパーティ製のレンズやアクセサリーで揃えることになり、容易に他社に乗り換えることはできなくなるのです。勿論、どうしてもというならすべての機材をまとめて下取りに出して、総入れ替えすることは可能です。

 いずれにせよ、ブランド選びはなかなか重要なことです。どちらかのブランドが他のブランドよりも優れているということではありません。それぞれにメーカーの特徴があり、それに慣れてしまうと、どうしても他社製に批判的になるか、逆に「隣の芝生は青い」じゃないですが、実力以上の幻想を覚えてしまうことがあります。

 カメラを選ぶときは、ブランドではなく、その機能に基づいて選びましょう。買う前に、いろいろなレンズやアクセサリーを調べてみることです。例えば、野生動物の写真の撮り方を学びたいのであれば、選ぶカメラに対応した望遠レンズが用意されているかを確認してください。ニコンやキヤノンが優れているのは、人気が高く定着しているからであり、またレンズやフラッシュなど、カメラ本体にプラスして選べるアクセサリーが豊富にあるからです。

センサーサイズとデザインの選択は、デジイチカメラ選びの最初の一歩です。

 デジタルカメラで写真を撮ると、光はレンズから入り、センサーに当たります。センサーにはさまざまな大きさのものがあります。スマートフォンのカメラのセンサーは非常に小さく、デジタル一眼レフカメラのセンサーははるかに大きくなっています。
 センサーが大きい方が良いのには、さまざまな理由があります。まず、より大きなセンサーで撮影された画像は、より高い解像度を持っています。また、より大きなセンサーは、低照度下での撮影にも適しています。カメラに入射する光の量が変わらない場合でも、表面積が大きいほど、カメラはより多くの光を集めることができます。また、センサーが大きくなると、柔らかいボケ味の背景も簡単に撮れるようになります。

 デジタル一眼レフカメラでは、センサーサイズには2種類の選択肢があります。APS-Cは小型のタイプで、一般的にエントリーレベルのデジタル一眼レフ写真家に最適なオプションです。APS-Cセンサーは、初めての方には十分な大きさで、使いやすく手頃な価格のカメラに搭載されていることが多いです。

 フルフレーム・センサーはそれより少し大きく、こちらは通常、プロ用のデジタル一眼レフカメラと考えられています。解像度が高くなり、価格も高くなります。カメラの予算が1,500ドルを超える場合は、こちらのカメラも選択肢の一つになるかもしれません。

センサーサイズも重要ですが、センサーのデザインも重要です。裏面照射センサーは、ほとんどのギアと回路が後ろにあるように設計されているので、光がセンサーに届きやすくなっています。
裏面照射型のセンサーは、通常のセンサーよりも低照度下での性能が優れています。

 多くのメーカーは現在、光学ローパスフィルターやアンチエイリアシングフィルターと呼ばれるものを廃止しています。このフィルターは、モアレと呼ばれるパターンの歪みを防ぐのに役立ちます。最も一般的な例は、撮影したときに曲がったり渦を巻いたりする細かい縞模様のシャツです。
 しかし今はセンサー技術の進歩により、このフィルターを使わなくても、一部の歪みを除去できるようになってきています。フィルターはセンサーと光の間にあるもう一つの層です。光学ローパスフィルターを使用しないカメラは、よりダイレクトで詳細で、豊かな色を持つ傾向があります。
 多くのカメラメーカーは、ニコンの最新のデジタル一眼レフカメラのほとんどがそうであるように、フィルターを完全に廃止しています。一方キヤノンの手法は、同じカメラでもフィルター付きとフィルターなしの2種類のモデルを用意することです。どちらがより売り上げに貢献するかは、いましばらくの実績報告を待つべきでしょう。


高画素神話
 エントリーレベルのデジタル一眼レフカメラにとって、メガピクセルは本当に重要なのでしょうか?

 初心者は高画素を第一理由にカメラを購入する人が多いです。むろんメガピクセルが重要でないということではありません。
高画素はカメラの解像度を決定します。一方の面のピクセル数にもう一方の面のピクセル数を掛け合わせたものがメガピクセル数です。メガピクセル数が多いカメラは、より高い解像度の画像を生成するので、大きな写真をプリントしたり、写真を台無しにすることなくトリミングしたりすることができます。

 しかしメガピクセル数は、画質を決定する上でセンサーサイズほど重要ではありません。たとえデジタル一眼レフが1600万画素しかなくても、42メガピクセルのスマートフォンがデジタル一眼レフに勝てるわけではありません。しかし、本稿では初心者向けのデジタル一眼レフを考察しているので、とりあえずすべてのセンサーがAPS-Cサイズだと仮定してみます。そうすると、メガピクセル数の多いカメラの方が解像度が高いことになります。解像度が高いからといって、必ずしも良い画像が撮れるわけではないことを覚えておいてください。最近のカメラの多くは、ノイズリダクションに優れた高メガピクセルカメラを搭載していますが、高いメガピクセル数のカメラは高ISOでもノイズが発生しやすくなっています。

 もう一つ考慮すべきことは、メガピクセル数が多いということは、画像ファイルが大きいということです。これ自体が問題ということではありません。しかし、高メガピクセルカメラには、より大きなSDカードが必要になることと、それを保存するためのかなり大きなハードドライブが必要になることを覚えておいてください。


連写スピード

 どのくらいの速さで写真を撮ることができるか、ということです。スピード性能の良いカメラを選ぶことはスポーツ写真家には欠かせません。連写に興味のある写真家にはスピードのスペックに注目するのが良いでしょう。親が子供の成長写真を撮るにも、動きを重視する連射スピードの性能は欠かせません。またポートレート写真を撮りたいと思っている人は、十分なスピードがあれば最高の表情を撮ることができます。

 しかし、カメラのスピードは紙の上では測りにくいものです。カメラの全体的な速度の目安となるのが、バーストスピード、つまりシャッターを押し続けた場合の1秒間に撮影できる写真の枚数(またはfps)です。

デジタル一眼レフカメラには、写真を撮るたびに移動しなければならないパーツがたくさんあります。デジタル画像、特にメガピクセル数の多い画像を処理するためには、カメラの処理に時間がかかります。このような理由から、ほとんどのデジタル一眼レフカメラのバーストスピードは約5fpsで、1秒間に5枚の画像を撮影することができます。もし10 fpsのバーストスピードのあるカメラなら、デジタル一眼レフカメラとしては非常に優れたスピードといえます。

 1秒間に撮影できる写真の枚数が多いほど、完璧なタイミングで撮影できる可能性が高くなります。しかし、バーストスピードは、カメラが一般的にどれだけ速く動作するかを示す良い指標でもあります。
 どのくらいの速度が必要なのでしょうか?
 バーストスピードが10fpsのデジタル一眼レフカメラは、スポーツだけでなく、野生動物や小さな子供のように素早く動くものを撮影するのに適しています。バーストスピードが速ければ、完璧な瞬間を撮影できる可能性が上がりますが、5fpsでも多くのスポーツ撮影に対して有効です。
 考慮すべきもう一つの速度は、最大シャッター速度です。シャッタースピードというのは、写真を撮影するためにカメラのシャッターが開いたままになる時間を決定します。低価格のデジタル一眼レフカメラは、通常1/4000のシャッタースピードを持っています。これは、動きを止めるのに十分な速さで、ほとんどの種類の写真撮影に対応します。より高度なモデルでは、1/8000または1/16,000の速度になります。しかし、それだけ速いシャッタースピードは、多くの光を必要とすることを覚えておいてください。



エントリーレベルのデジタル一眼レフカメラの価格

 カメラを買うということは、市場に出回っている最高のカメラを見つけることではなく、自分のスタイルと予算に合った最高のカメラを見つけることです。中には小型車と同じくらいの価格で、最高の機能を満載したデジタル一眼レフカメラがありますが、数万円で購入できる、初心者に最適な機能を備えたものもいくつかあります。

 エントリーレベルのデジタル一眼レフカメラは、古いモデルであれば300ドル程度で購入できますが、6万から10万円はもう少し現実的です。そこから高速化やメガピクセル数の増加などの機能を追加すると、価格は上昇していきます。

 また、現行モデルではないデジタル一眼レフカメラを購入することで、少し節約することもできます。古いデジタル一眼レフカメラは今でも素晴らしいカメラであり、新しいエントリーレベルのデジタル一眼レフカメラと同じ価格で、より多くの機能を備えた古いミッドレベルのデジタル一眼レフカメラを見つけることもあります。ただし機能を慎重に比較するように注意してください。1年前のモデルでは、通常はあまり差がありませんが、2年以上前のモデルでは、画質に顕著な差が出ることがよくあります。



キットレンズかカメラ本体のみか?

 デジタル一眼レフカメラを決めたら、次はキットレンズを買うか、カメラ本体のみを買うかの選択です。ほとんどの初心者は、キットレンズ付きのデジタル一眼レフカメラを購入しています。キットレンズは、通常18mmから55mmまでの最も一般的なズーム範囲をカバーしていることが多いので、非常に優れています。キットレンズは安価で、写真撮影を始めるには良い方法です。目の肥えたハイアマチュアあたりからは、キットレンズを卑下する意見もよく目にしますが、メーカーとしては、そのカメラの最初に相応しいレンズとして厳選するわけですから、決して恥じるような選択ではありません。

 厳密に言えば、たしかにキットレンズは多くの場合、少しスペックは落ちます。ほとんどのキットレンズの最大絞りはF3.6前後です。絞りは、F1.8のような広い方が、限られた光の中で写真を撮ったり、背景を柔らかく、ボケ味のあるものにしたりするのに適しています。より限定された狙いの写真を撮りたくなった時に、そちらに進めばいいと思います。



初心者向けデジタル一眼レフカメラの選び方

 初心者のためのデジタル一眼レフカメラ選びは、自分のスタイルに合ったカメラを選ぶことです。例えば、スポーツなどのアクションを撮るのであれば、スピードを重視します。風景などの静止画を撮る場合は、センサーサイズやメガピクセル数からの解像感を重視します。デジタル一眼レフカメラを選ぶ前に、センサーサイズ、ピクセル数、スピード、価格を理解しておきましょう。
 メカが苦手だとか、写真撮影を学ぶことに不安があるなら、カメラのカタログを見て、カメラを使うことにそれほど圧倒されないように、ボタンやダイヤルが少ないモデルを選びましょう。 これらの機能を理解して自分に合ったカメラを選ぶことが重要です。ここでは、今市場に出回っている初心者向けでおすすめのデジタル一眼レフカメラをいくつかご紹介します。


ニコンD3400


 ニコンD3400は、写真撮影に入るのに最適で、ニコンが作る最も安価なモデルです。つい最近ニコンのサイトで旧機種扱いとなりましたが、まだ市場には出回っているので、今が買い時かもしれません。Bluetoothを介してスマートデバイスとの接続を確立するSnapBridgeアプリが動作します。

総画素数 2472万画素
シャッタースピード:1/4000
連続撮影:最高 5.0 コマ/秒
センサー 23.5×15.6mm CMOSセンサー



キヤノン Rebel EOS Kiss 9i

画素数:約2420万画素
連続撮影速度が最高約6.0コマ/秒
最大シャッター速度:1/4000 
常用ISO感度:ISO100~25,600
センサー:APS-C、光学ローパスフィルター搭載




ニコンD5600
 

 ニコンD5600はD3400の兄貴分であり、チルト液晶画面、Wi-Fi、より優れたオートフォーカスシステムを備えています。こちらも旧機種となりましたが、長らく後継機が出ていないので、ビギナー向けとして最後の一眼レフ機になるかもしれません。

画素数:約2478万画素
シャッタースピード:1/4000~30秒
連写速度: 5 fps
撮影感度:ISO100~25600
センサー:APS-C、光学ローパスフィルターなし



まとめ

 どのエントリーレベルのカメラを購入するにしても、変わらない定理があります。それは、カメラのダイヤル、ボタン、機能、メニュー(バッテリー残量から電子ビューファインダー、内蔵のWi-Fiやローライトまで)を時間をかけて理解しなければ、どんなカメラもその最高の性能を引き出すことができない、ということです。
 マニュアルを一から終わりまで読む必要はありません、しかし実際にすべてのファンクションをいじってみて、どれがどのような働きをするのか、逐一知っておくことは大切です。高価なものですから、その性能を余さず引き出すことで、そのカメラの真価は発揮されます。どうかよく吟味したうえで、ご自分の愛着がわくとびきりの一台を選んで末永く愛用してください。




2021年2月3日水曜日

上手に雪を撮る方法

スマホで雪景色を撮る




 雪はとてもロマンチックなので、記念に残したいと思っている人も多いと思います。
スマホで簡単に撮れる雪景色、ちょっとしたアイデアをご紹介させていただきます。




1. 適切な時間を選ぶ

 多くのプロ写真家がおっしゃることをまとめてみました。まずは初歩的常識ですが、アサイチで場所を選ぶ。これが基本だそうです。
 雪のシーンをより重層的で美しい写真にするためには、晴れた朝を選ぶことです。
 あるいは、太陽が沈んで照明が上がる夕方に撮影することで、光を利用して冬空の雰囲気をより良く表現することができます。


2. 露出を上げる

 曇りの日に撮影していると、画調がぼんやりした状況に陥ることがよくあります。そもそも曇りの日に撮影した雪のシーンは、一般的に暗いですよね。

2つ目は、曇りの日の雪景色は青っぽくなりがちです。カメラが勝手に判断してしまうのですが、これは地面に白い雪が積もっていると、鏡面反射効果が出るからです。地上で反射する雪面の特徴は、次のような特徴があります。
 明るさが高い、コントラストが低い、反射率が高い、グラデーションがない、色が単調。
その結果、スマホで撮影した雪景色は、人間の目で見た実際の雪景色とは誤差が生じやすいのです。
 このような状況の場合、撮影時に露出を上げてみましょう。角度を変えて太陽が射すであろう方向に被写体を向けて、光を多めに取り込むと写真が明るくなり、雪景色がグレーにならないようになります。


3. ホワイトバランスを補正する

 画面の青さについては、雪景色を撮影するときにスマホ画面にもっと注意を払えばいいだけです。
撮影した写真を見たときにスマホの画面が青っぽく見えた場合、まずスマホカメラをオフにして再度フォーカスを当てることで、ホワイトバランスの問題を解決できることが多いです。
 あるいは、ノートなど白い紙を使って、雪景色を設定する前に、スマホのカメラでホワイトバランスをはかることで、よりリアルなイメージを再現することができます。


4. 写真に色を加える

 雪を撮りたいからと言って、雪だけ狙っていては単調な写真ばかりになってしまいます。
こんな時は、あえて写真に明るい色を入れて雪景色を浮かび上がらせると、より目を引きます。例えば雪景色に赤のコントラストを加えると、より鮮やかな絵になります。
 あるいはカラフルな着物を写し込んで、画面に演出を加味します。そうすることで、ただの雪風景写真が華やいだトーンを獲得できるのです。





5. ガイドラインの構図

 雪写真の構図としては、「線」を使って視線を誘導し、ピントを合わせる「ガイドライン構図」がおすすめです。
例えば道路、川、塀などの線上になるものを構図の斜めに走らせるのです。その視線の先に主題となる雪風景を持っていけばオーケーです。
工夫次第でいろんなガイドラインを利用することができます。雪の場合は足跡までもが目安の線になります。


6. 前景の追加

 雪のシーンを撮影するときに、何か物足りなく感じることがあると思います。カラーのワンポイント意外に、前景を大胆に取り込む手法があります。
 草の茂みや、枝のようなものを加えることで、重層的な奥行きを持たせているように見せることができます。


7. シャッタースピードを調整する

 撮影中、もし雪
ふわふわ飛んでいるのを見つけたら、シャッタースピードを調整して雪の結晶を撮影してみましょう。
 雪片が飛んでいる様を捉えたい場合は、だいたい1 / 60秒から1 / 125秒ぐらいにシャッタース ピードを遅くしてみましょう。
1 / 2000秒ほどまで高速にシャッタースピードをあげると、斑点のようになった雪片を撮影することができます。


8. 部分的なクローズアップ

 植物のクローズアップは、白い雪の下でより美しくなります。春先につぼみが膨らんだ樹木の実は格好の素材です。冬の余韻を残しつつ春を予感させるワクワクする瞬間です。
 もしあなたのスマホがデュアルレンズであれば、より立体感のある被写界深度効果を出すことができます。


 以上がスマホでの雪撮影のヒントでした。次は、主に一眼レフかミラーレスを使っての雪写真のアイデア集に移ります。


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デジカメで雪景色を撮る



 冬に写真を撮るのは難しいことです。寒さでレンズが曇ったり、バッテリーがすぐに消耗したりすることがあります。冬場の太陽や雪は露出の問題を引き起こす可能性があります。冬の写真撮影を改善し、少しでも快適に撮影するために、以下のヒントを試してみてください。初心者の方は、まず撮影の前段階から留意してお読みいただけると幸いです。



1:保温性、防水性のある服装

 冬空の下での服装は非常に重要です。あまり寒さを感じていたりすると、撮影に集中できません。その結果、シャッターチャンスを逃したり、設定判断を誤ったりしがちです。雪の写真を撮影する場合は、低温、冷たい風、雪と戦うための着こなしが重要です。寒さ対策にまず重ね着をしましょう。一番上の層は防水素材のものがよいです。手袋、帽子かフード、それに冬用のブーツを着用してください。



2: 電池を暖かく保つ

 雪や寒冷地での撮影で忘れていけないのは、気温が低いとバッテリーの消耗が早くなるということです。雪の写真を撮影する場合は、バッテリーが完全に充電されていることを確認してください。また、予備のバッテリーも持っておきましょう。またバッテリーの保温にも気をつけましょう。ポケットに入れておくことで、バッテリーを保温することができます。
 カメラの電池が消耗したら、ポケットに入れておいた電池と交換しましょう。使った電池は別のポケットに入れておきましょう。その電池は温めることで再利用できることもあります。



3:カメラの設定を変更

 カメラの設定は、冬の写真撮影において非常に重要な役割を果たします。以下の手順でカメラの設定を更新してください。

RAWで撮影するようにカメラを設定する
 雪に埋もれた環境の正しい色を、正しい露出で撮影するのは非常に難しいことです。これを克服するには、RAWフォーマットで写真を撮影しましょう。そうすれば、編集中に色を調整したり、ハイライトを回復したりする自由度が高まります。

評価測光を選ぶ
 正しい露出を得ることは、冬の写真撮影で最も難しい部分です。すべてのカメラのメーターシステムは、ニュートラルグレーとニュートラルトーンをベースとした露出に調整されています。雪の写真では、周囲の白がカメラのメーターの露出値に影響を与える傾向があります。そのため、カメラのメーターに完全に頼ることはできません。評価測光がベストな選択でしょう。でも適正露出を得るためには、パーシャル測光やスポット測光に切り替える必要も考慮に入れておくべきです。

露出補正
 前述したように、雪景色は露出が適切でないと、すべてが灰色に見えてしまうことがあります。雪を白っぽく見せたい場合は、露出補正を+1か+2にしておきましょう。 露出補正は編集時に調整することもできます。



4:機材を守る
 

 悪天候からカメラを守ることは非常に重要です。カメラが悪天候に対応できるようなモデルでも、慢心は禁物です。融けた雪がレンズマウントやカメラの内部の隙間や亀裂から入り込むことがあります。このような状況に長時間さらされていると、カメラの故障の原因になります。

 寒い天候で撮影している場合、メモリカードを暖かく、乾燥した状態に保つこともカメラ本体と同じくらい重要です。SanDisks ExtremeシリーズやSamsungのEvoのカードは極端な温度に耐えることができますが、すべてのカードが同様に保護されているわけではありません。メモリーカードケースにカードを入れて、ポケットの中に入れておくことをお勧めします。



6:三脚を断熱する

 アルミ三脚の断熱は必須です。極端に低温になると、アルミ製の三脚は極端に冷たくなり、手に触れることさえ難しくなります。そのような状況を避けるためには、三脚を断熱材で覆うことが有効です。三脚の脚部を発泡パイプで覆うことで、簡単に保温を行うことができます。発泡パイプは、工具店などでも購入できます。


7: コントラストを活かす


 すべてが雪に覆われている場合、オートフォーカスモードで特定の被写体にピントを合わせるのはかなり難しいです。オートフォーカスは、コントラストがある場合に効果を発揮します。それでもオートフォーカスのモードを使いたい場合は、カメラのシャッターを半押しにして、木の皮のような暗いものにピントを合わせてみてください。そうすれば、コントラストの基準を満たすことができ、美しい風景を撮影することができるかもしれません。



8:ヒストグラムで露出を補正

 露出が合っているかどうかを確認する良い方法は、ヒストグラムを使って確認することです。ヒストグラムを使えば、必要なディテールが撮れているかどうかを確認することができます。ヒストグラムの見方は下記のサイトを参照してください。

photografan.com




9:被写界深度とシャッタースピードを試す

 適正なシャッタースピードを得るためには、いろいろな速度を使って実験する必要があるかもしれません。
 遅いシャッタースピードでは画像がぼやけてしまい、速いシャッタースピードではあらゆる動きが止まってしまいます。 落ちてくる雪を撮りたい場合は、シャッタースピードを調整する必要があります。速いシャッタースピードの場合は、雪の結晶が点のように見えます。遅いシャッタースピードの場合、雪の結晶は白い筋のように見えます。

 美しい雪景色を撮りたいなら、冒険心と創造力を発揮してみましょう。天候に左右されないように。自分自身とカメラの安全を守りましょう。撮影中に写真を削除してはいけません。モニターでは確認できない現像時の発見もよくあるものです。家に帰ってから選択した方が良いでしょう。





まとめ
 
 冬場の撮影は慣れないと、指がかじかんでカメラの操作さえままならなくなります。かといってスキー用の分厚い手袋だとカメラ操作は満足にできません。お勧めは薄めの手袋を二重に装着することです。一枚目と二枚目の手袋の間、手のひらあたりに使い捨てカイロを挿入することで指の動きも容易になります。
 また撮影に行く前にプランを練って、効率的に撮影できるよう行程時間まで計算していくことをお勧めします。とくに日没を狙っての撮影はときに危険も伴いますので、十分な計画で撮影に臨んでください。

2021年2月2日火曜日

野鳥にネオ一眼を選ぶ

鳥を追うカメラとは




 野鳥を趣味程度で撮るなら「ネオ一眼」と呼ばれるカメラが最適です。特にカメラが趣味ではなく、野鳥観察を主体とした鳥や野生動物が好きな方なら、ネオ一眼カメラを第一にお勧めします。



 その理由を結論から言いますと、

1:素晴らしいズーム性能。これは、一眼レフなら300mm程度の望遠レンズでは及ばない超遠距離の被写体(ここでは鳥)を撮影できるという利点です。もし仮に一眼レフで100mm-400mmのズームレンズを付けたとすると、下のようなサイズになり、価格も安くて10万円前後となります。

2:スマホカメラにない特性。1と被りますが、いくらスマホカメラの性能が向上しても、どうしても追いつけないのが、光学ズームです。デジタルズームならいくらか倍率は稼げますが、鑑賞に堪えられるのはせいぜい8倍程度。それ以上はネオ一眼の光学性能に及ぶべくもありません。

3:すぐれた安定性。ほとんどのネオ一眼は大きなグリップで、しっかりホールドでき、撮影に集中できるよう大きめのファインダーと背面モニターを備えています。加えてほとんどの機種には手振れ補正機能が内蔵されているので、遠距離の被写体でも極力ブレずに撮影することができます。

4:高機能。欧米でブリッジカメラと呼ばれるように、コンデジと一眼レフの間をつなぐ役目のカメラです。一眼には及ばないものの、コンデジよりはるかに様々なマニュアル操作ができる設定の豊富だがウリとなっています。

5:優しい操作性。カメラやメカが苦手なネイチャー派の方でも、直感的に操作できる簡易性を備えており、光量が十分な環境であれば、すべてカメラ任せで満足にたる写真を撮ることができます。


高価で重くてかさばるフルサイズ・ズームレンズ





ネオ一眼 対 コンパクトカメラ

 コンパクトカメラとは多くの共通点がありますが、重要な違いもあります。
 まず、共通点です。ブリッジカメラもコンパクトカメラもセンサーサイズは似ています。低価格のコンパクトカメラやブリッジカメラには1/2.3インチのセンサーが搭載されていますが、高級なブリッジカメラやコンパクトカメラには1インチの大きなセンサーが搭載されています。
 違いという点では、主な違いはサイズです。ほとんどのブリッジカメラには、さまざまなマニュアルコントロールが搭載されていますが、より高級なコンパクトカメラにはマニュアルコントロールが搭載されているものもあります。
 コンパクトカメラとブリッジカメラの最大の違いは、ズーム機能です。ブリッジカメラの方が物理的に大きいので、より大きなズームを搭載することができます。コンパクトカメラの中には、より長いズームを搭載しているものもありますが、ブリッジカメラは、より高画質なロングズームを搭載することができ、遠くの被写体を撮影するのに有利です。



ネオ一眼
 対 ミラーレスカメラ

 様々な意味でミラーレスカメラの前身といえます。デジタル一眼レフカメラのように内部にミラーがなく、ミラーレスカメラのように光学ファインダーがありません。
ミラーレスカメラと
ネオ一眼の大きな違いは、ミラーレスカメラはレンズを交換できることです。ミラーレスカメラには交換可能なレンズがあるため、カメラのセットアップの柔軟性と選択の幅が広がります。

もう一つの主な違いはセンサーサイズです。ミラーレスカメラは
ネオ一眼よりも大きなセンサーを持っています。ネオ一眼は、1/2.3インチセンサーまたは1インチセンサーを搭載していますが、一般的なミラーレスカメラはAPS-Cサイズのセンサーまたはフルフレームセンサーを搭載しています。



ネオ一眼 対 デジタル一眼レフ

ネオ一眼は、もともとデジタル一眼レフカメラへの足がかりとして発売されました。その意図は、デジタル一眼レフカメラと同じ機能のいくつかを提供しながら、コンパクトカメラのような使いやすさを実現することでした。
 そのため、ブリッジカメラとデジタル一眼レフカメラの間には、いくつかの類似点と、重要な違いがあります。
 似ている点は、ほとんどのブリッジカメラはデジタル一眼レフカメラとほぼ同様の操作が可能であり、マニュアルからフルオートまでの幅広い撮影モードが用意されていることです。シャッタースピードやISO、絞りなどの主要な設定を調整することもできますし、必要に応じてオートに設定してコンデジのように使うこともできます。
 形状やサイズも似ており、ほとんどの
ネオ一眼は、一眼レフカメラに近い形をしています。
 いくつかの違いがあります。デジタル一眼レフのようにレンズを交換することができません。そのため、付属のレンズの性能に制限があります。
 また、
ネオ一眼にはミラーがないので、光学ファインダーがなく、その代わり電子ビューファインダーを備えています。
 最大の違いはセンサーサイズです。一眼レフカメラはネオ一眼よりも大きなセンサーを持っています。これはミラーレスカメラも同じです。ネオ一眼は、1/2.3″センサーまたは1インチセンサーが、消費者用デジタル一眼レフカほとんどで、一眼レフ機は、APS-Cまたはフルフレームのセンサーを持っています。



                                   PowerShot SX70 HS | 光学65倍ズーム



ネオ一眼の利点

 ほとんどの
ネオ一眼は、光学40倍以上のズーム機能を備えています。中にはもっと高いものもあり、光学ズームは120倍を超えるものもあります。デジタル一眼レフカメラやミラーレスカメラで同等の光学ズームを得るには、3000mmのレンズが必要となります。
 
 また、デジタル一眼レフカメラやミラーレスカメラの焦点距離の長いレンズは、重くてかさばる傾向があります。それに比べて
ネオ一眼は、はるかに軽く、コンパクトで、持ち運びも簡単です。

 冒頭に書いたように、多くの
ネオ一眼には手ぶれ補正が搭載されています。ただしこれはビデオカメラ技術からの応用で、必要に迫られた対策と言ってよく、レンズ側で補正するものが多いです。

 ネオ一眼のもう一つの利点は、フルマニュアルコントロールができるということです。このこだわりは、一眼レフに通ずるものがあり、コンデジよりは多くの機能で露出や色味、エフェクトを施すことができます。

 また、ほとんどの
ネオ一眼はRAWで撮影できるので、写真を編集する際には、最終的な画像をより自由にコントロールすることができます。

それからもうひとつ、嬉しいことに
ネオ一眼は、デジタル一眼レフカメラやミラーレスカメラよりもかなり手頃な価格帯で販売しています。



ネオ一眼のデメリット

 主な欠点は、センサーのサイズです。センサーの物理的なサイズは、カメラの性能に直接影響を与えます。ミラーレスカメラやデジタル一眼レフカメラに搭載されているような大型のセンサーは、シーン内の光をより多く取り込むことができるため、光が少ないときにはより良い画像を生成することができます。
 つまり、夕方や夜間、屋内では、一般的に
ネオ一眼ではミラーレスカメラやデジタル一眼レフカメラほどの画像は得られません。

 センサーが小さいため、長いズームを搭載することができますが、光量が少ない場合には性能が低下します。
ネオ一眼は一般的なコンデジとセンサーサイズは同じなのです。

 ネオ一眼のもう一つの問題は、ズームインすればするほど画質が落ちることです。センサーが受け取る画像の質にリンクしているオートフォーカスの速度も、ズームインすると遅くなることがあります。

 
ネオ一眼に限らず、どのカメラシステムにも、重量、価格、画質、機能など、何らかの妥協点があります。大切なのは、写真家として何が重要かを決め、自分に合ったカメラシステムを見つけることです。
 


画素数

 カメラのセンサーは光に敏感な画素で構成されており、それぞれのセンサーは一定の画素数を持っています。この画素数は通常メガピクセルと呼ばれ、「メガ」は百万を意味します。
 例えば、12メガピクセルのカメラセンサーは1200万画素です。アスペクト比を4:3と仮定すると、画像ファイルは幅4000ピクセル、高さ3000ピクセルになります。高さと幅を掛け合わせると、合計数になり、カメラが生成する画像ファイルは1200万画素になります。

 ほとんどのSNSやウェブサイトで使用する場合は、12メガピクセル以上のファイルサイズであれば問題ありません。A3までの印刷サイズであれば、2000万画素で十分です。より大きな画像を印刷したい場合に限って、より大きなメガピクセル数が必要になります。

 カメラセンサーのメガピクセル数も性能に影響します。同等のサイズのセンサーの場合、メガピクセル数が少ないほど、各ピクセルが大きくなり、より多くの光を取り込むことができます。これが近年、多くのスマートフォンメーカーが12メガピクセルを適正な数値としている理由です。

 
Nikon CoolPix P1000 / 125倍ズーム


光学ズーム/焦点距離

 ネオ一眼の本当に興味深い特徴は、ズーム機能です。

 レンズには焦点距離と呼ばれる仕様があります。これはmm単位で測定されます。焦点距離がmm単位で大きいほど倍率が高くなります。焦点距離が小さいほど、倍率は低くなります。

 レンズが「ズーム」レンズの場合、これはある焦点距離から別の焦点距離に倍率を変えることができることを意味します。例えば、24mm~70mmのズームレンズであれば、比較的広角の24mmからやや拡大した70mmまで撮影することができます。

 参考までに、フルフレームセンサーを搭載したカメラでは、35mmの焦点距離は人間の視力とほぼ同じです。デジタル一眼レフのフルフレームカメラを35mmレンズで覗いてみると、カメラを使っていない時と同じような光景になります。35mm未満に「ズームアウト」すると、シーンは遠くに見え、35mm以上に「ズームイン」すると、被写体は近くに見えます。


光学ズームとは、最も広い焦点距離と最も狭い焦点距離の差のこと

 例えば、ニコンのCoolpix P1000は24mm~3000mmのレンズを搭載しています。3000を24で割ると125になります。つまり、このレンズは光学125倍ズームということになります。
 これは被写体が125倍大きくなることではありません。あくまで最小の焦点距離と最長の焦点距離の差が125倍であることを意味します。カメラの最大倍率を比較する場合は、レンズの最大焦点距離を参考にしてください。

 

選択のポイント

 もちろんズーム倍率が大きいほど被写体を拡大して撮影できるわけですが、そこだけにこだわると、自分が必要とする大事なポイントを見失うかもしれません。現在各メーカーから出ているネオ一眼はぱっと見、どれも似たりよったりにいつるかもしれません。しかし人によっては広角端のわずかな違いで、撮れる写真の範囲が大きく違うと感じる人もいるでしょう。
 お勧めは、少なくとも焦点距離600mm、倍率12倍相当のカメラです。ただ、レンズの明るさや、マニュアル操作の限度など、どのメーカーの機種を選ぶにも妥協点があります。とくに多くのネオ一眼では、極端な焦点距離になると画像のシャープネスが低下する傾向があることは留意してください。

Panasonic Lumix FZ1000-II / 16倍ズーム




最大絞り

 絞りとは、光をセンサーに通すためのレンズ内部の開口部のことです。目の中の瞳孔のようなものと考えることができます。利用可能な光が少ない場合、目の中の瞳孔は大きくなり、利用可能な光が多い場合、瞳孔は小さくなります。

 レンズも目と同じで、利用可能な光に応じて開口部が拡大縮小し、被写体がどれくらいの明るさかを調整する、主要なコントロールの1つです。ネオ一眼を選ぶ際には、少なくとも広角でF2.8以上の開放絞りのカメラを選ぶことをお勧めします。

 また、同じようなスペックのカメラを比較する際には、ズーム全開時の開放絞りにも注目してみてください。焦点距離全体で絞りが広ければ広いほど、より多くの光がセンサーに届き、最終的にはより良い結果を得ることができます。

 

サイズと重量

 ネオ一眼は各社とも似たような大きさと形をしていますが、すべて同じではありません。大きな1″センサーと大口径レンズを持つカメラは、通常、大きく重いです。

 大きなネオ一眼の中には、小型ミラーレスカメラやデジタル一眼レフよりも大きな機種もあります。重量は様々ですが、600g前後から1100g前後が目安です。明らかに、軽いカメラの方が持ち運びやバッグへの収納が簡単ですが、重いカメラは一日中持ち歩くにはかさばるし、重くなってしまいます。

 

RAW 現像

 ほとんどのネオ一眼では、RAWで撮影することもできます。これは、すべての画像情報がメモリーカードに保存されるファイル形式で、JPGに比べて写真を編集することに長けています。


 以上のように、ネオ一眼カメラは野鳥や遠くの物体を写すのに有利な点の多いカメラです。ただし先述のように、画質云々では一眼レフと同一に語ることはできません。あくまでコンパクト・カメラの延長と考えるべきで、そこを割り切れば、これほど野鳥を撮るのに適したカメラは他にありません。
 一眼レフ機で鳥を撮ろうとしたら、レンズ、三脚も含め十キロ近いカメラ機材を抱えて森の中を歩くことになります。投資額もネオ一眼なら十分の一以下で済みます。
 撮った写真の扱い方にもよりますが、プリントならA4で十分すぎるほど美しく、パソコンのモニターで見る程度なら、鳥の美しさを再現するのに全く問題ありません。

 カメラ購入の際のオプションとして、ネオ一眼も考慮に入れてみてはいかがでしょうか。


















2021年2月1日月曜日

鳥の撮影ガイド:カメラ編

おススメの鳥を撮るデジカメ




 ストリートフォト、子供の成長、料理写真、ポートレート、自然風景、動物、スポーツ、鉄道写真・・・。カメラ選びは撮る対象によって変わってきます。今回は、鳥を撮ることに適したカメラを考察してみました。

 デジタルカメラのオートフォーカス性能は、ここ数年で飛躍的に進歩してきました。ひと昔前は顔認識だけですごい凄いと喜んでいましたが、今どきの新機種は軒並み瞳認識が搭載されるようになりました。しかもその精度はますます向上し、動体でもしっかり食いついて追従しながらフォーカスを維持できるようになりました。さらにその差は暗所性能と、測距性能とも連動し、かなり遠くの薄暗いところで動く被写体の瞳さえ捉える機種が出ています。とくにこのオートフォーカスの分野でソニーはダントツの性能と先進性を誇り、常に他社を一歩リードし続けています。
 しかも人間だけでは収まり切らず、最新機種にはAIのアルゴリズムを取り込んでより学習性能を向上させた動物瞳フォーカスが搭載されました。キャノンも同様の機能をハイエンド機に積み始めており。このトレンドは今後下位機種へも波及していく流れとなるでしょう。
 現状では犬、猫、鳥を対象に撮れると謳っているものが多いのですが、ユーザーの実証レポートの中には、動物園の動物でもかなりの確率で瞳を捉えることが報告されています。今後、これらの後継機種はより精度の高い瞳フォーカスを搭載してくるに違いありません。
 私の予想では近い将来、カメラは高度な空間認識センサーとコンピュータ端末を内蔵した機種が出るはずです。これが5G通信技術と連動し、カメラがとらえた被写体の状況を即時に撮影解析するコンピューターに送信、秒を待たずに最適な露出設定をカメラに送るようになるのです。ようするに次世代のカメラは、人間の判断で設定した露出等を超える総合判断能力を備え、カメラの設定を最高の状態に持っていくことができるようになるのです。それじゃあ、みんな同じ写真しかできないのかというとそうではなく、そこはユーザーがそれぞれ好みの補正を加えるマニュアル操作コマンドを用意しておけばよいだけなのです。こうすることによって、できるだけ失敗は少なく、狙ったとおりの写真ができやすくなる、ということなのです。
 こういった技術が一般化されるには少し時間がかかるかもしれませんが、現行のテクノロジーで十分可能な未来のデジタルカメラなのです。

 話がそれてしまいました。
 それではおススメの鳥撮影用カメラをご紹介していきたいと思います。





キヤノン PowerShot SX70 HS

 いわゆるブリッジカメラは、より正確には「スーパーズーム」と呼ぶべきカメラで、見た目は一眼レフに似ていますが、固定式の長尺ズームレンズが特徴です。こちらキヤノンの
パワーショットSX70 HSは、65倍ズームを搭載し、前モデルよりも高解像度のイメージセンサーを搭載しています。特に見やすくなった電子ビューファインダーは、一眼レフカメラに匹敵するものとなっています。このクラスの中で最も安価なカメラですが、明るくて静止した被写体なら文句なく鮮明な画像を捉えることができます。鳥の場合、左右に動いているときの撮影には向いています。言い換えると、前後に動く動体にピントを合わせ続けるのはやや苦手な傾向があります。正直、動きの多い鳥は追いにくいのですが、じっとしてくれる鳥なら65倍ズームの威力を存分に体感できるでしょう。



ニコンCoolpix P1000

P1000は、ニコンのロングランシリーズであるCoolpixシリーズの最新モデルです。2018年9月に発表され、そのモンスター級のズームスペックゆえに大きな話題を呼びました。35mm換算で24mmから3,000mmまでの焦点距離を実現する、驚異的な光学125倍ズームを搭載しています。発売当時多くの野鳥観察者たちからも、P1000を2018年の「最高の新しいコンパクトカメラ」と称賛されました。ただこのカメラは重さが1415gとけっこうかさばるので、万人向けではないし、うまく使うには多少の練習が必要です。しかしとにかくけた違いの拡大写真が撮れますので、その点に関しては他機の追随を許しません。遠くの野鳥の画像を捉える能力一点に絞れば、じゅうぶん検討する価値のあるカメラです。



ソニー Cybershot RX10 IV



クラス最高クラスのプレミアムブリッジカメラです。1インチのイメージセンサーには位相差フォーカスが搭載されており、毎秒24コマまでの撮影が可能です。光学25倍ズームは600mmの範囲をカバーし、鳥などの被写体を遠くまで近づけることができます。3インチの液晶ディスプレイはタッチ操作に対応しており、画面をタップしてピントを合わせることができます。RX10 IVの重さは1095gですがグリップの形状がよくできていて、持ち歩いても快適にバードウォッチングを楽しめます。



ニコン D7500

D7500は入門機の位置づけながら、APS-C機のフラッグシップ、D500と同じセンサーを搭載しており、軽量ボディに高い性能が詰め込まれています。連写速度は8コマ/秒と一眼レフの中でもかなり早めの連写性能を持ちます。連写可能枚数は14bitRAWで50枚、JPEGで100枚。連写性能が高い利点は、野鳥撮影など動きのある被写体を撮るときにチャンスを逃さない、ということです。チルト式のタッチパネルを備え、なおかつボディは防塵防滴処理がされているので、野鳥を追って森でにわか雨に会っても、心配せずに撮影を続けることができます。



パナソニック Lumix GH5

GH5はマイクロフォーサーズ・フォーマットのミラーレスカメラであり、プロレベルの4K動画撮影ができるという定評を得ていますが、静止画撮影のクリエイティブツールとしてもまた、他の高性能APS-Cカメラと比べて遜色のない評価を得ています。GH5は、20.3MPのファイルサイズで12FPS、8MPのファイルサイズで最大60FPSの連続撮影が可能です。また、防滴・防塵機能を備えたウェザーシールを採用し、過酷な環境下でもカメラの生命線をしっかりと保護します。さらに、GH5はPanasonic-Lumix 100-400mmレンズとの相性も抜群です。




富士フイルム X-T30

富士フイルムのX-Tシリーズの最新モデルは、ネイチャーフォトを目指す人たちの注目を集めています。X-Tシリーズは、新ボディに富士フイルムの望遠ズーム「XF 100-400mm」を組み合わせることで、高性能で汎用性の高い鳥類撮影機材となります。第4世代のセンサーと画像処理プロセッサを搭載し、毎秒30コマのキャプチャーエンジンと位相差オートフォーカスを搭載しています。ボディは、フラッグシップ機「T-3」の小型・軽量化・低価格化を実現しています。実際、X-T30はT-3と同等の画質とプロセッサー性能を実現しています。さらに、AF性能が前モデルの1.5倍の速さであるという事実を加えれば、堅牢で信頼性の高い本機は鳥撮影に相応しい能力の持ち主であると言えます。





ソニー a7 III

言わずと知れたフルサイズ界のベストセラー機種です。このフルフレーム・ミラーレスモデルは、2400万画素のBSI CMOSセンサーと693点の位相差AFポイントを搭載し、毎秒10コマの撮影が可能です。カメラの性能も大型のデジタル一眼レフカメラに比べほとんどの部分で上回り、なおかつ重さも約650gなので、バードウォッチャーやネイチャーフォトグラファーに最適です。




キヤノン EOS 7D Mark II

デジタル写真の歴史の中で、キヤノンの7D Mark IIのように市場力学の進化の圧力に耐えてきたカメラはほとんどありません。それは2014年の秋に登場し、今なお多くのユーザーに愛され続けるロングラン・デジイチ。とりわけあまたの野鳥愛好家から熱い支持を受け、いまなお世界中で素晴らしい鳥の写真を生み出し続けています。これには正当な理由があります。デュアルDIGICプロセッサを搭載し、1,000以上のJPEG画像と31枚のRAW写真の連続撮影を可能にする傑出した連写能力です。その信頼性の高い位相差AFシステムは、鳥撮影にもってこいであり、今日でも十分その期待に応える画力を有する稀有な一台なのであります。




ニコン D500


















ニコンのDXフォーマットのフラッグシップモデルです。卓越したオートフォーカスと10コマ/秒のシャッタースピードを実現しました。定評のあるニコン画質は誰もが納得の一台。クイックAFトラッキングシステムの基盤となるのは、153ポイントのAFモジュールがほぼエッジからエッジまでをカバーしていることです。動いている被写体をしっかりと捉えてロックするので、シャッターを切る前に完璧な瞬間を待つことができます。長年にわたり多くのファンを獲得し、その卓越した評判を固めています。ニコンの汎用性の高い200-500mmズームレンズを装着すれば無敵の野鳥撮影カメラとなります。




ニコン D850

シャッタースピードのスペックはニコンのD500には及ばないものの、D850の毎秒7コマ(高価なバッテリーグリップを使用した場合は9FPS)は、信頼性の高い、有能なパフォーマンスを提供してくれます。とりわけD850の45.7メガピクセルのRAWファイルサイズに興味はそそられます。無駄なく光を吸収するように設計された巨大なセンサー。これによってもたらされる極限の解像度は、写真家の能力を最大限に引き出してくれます。遠くにいる鳥でもフレームの中に捉えれば、ものの見事にキャプチャーに成功します。高画素の強みを生かした鳥へのアプローチは今後もこのカメラがリードし続けるでしょう。




オリンパス OM-D E-M1X

E-M1Xは、マイクロフォーサーズの世界ではプロレベルのボディであり、あらゆるフォーマットで上位機種と肩を並べる存在です。毎秒15コマのメカニカルシャッターバーストから毎秒60コマの電子シャッターキャプチャレートまで備え、動きの多い鳥にも十分対応可能な高性能カメラです。
カメラ内の5軸手ブレ補正システムは、手ブレをほぼ完璧に補正します。コントラストと位相差オートフォーカスを組み合わせることで、ターゲットを固定し、不規則な動きの画像を鮮明にキャッチすることができます。プロキャプチャーモードは、シャッターボタンを半押ししている間、背景に35フレームの連続ループを記録し、シャッターを切った瞬間に最新の35フレームを保存します。プロキャプチャーを使えば、飛び跳ねる猛禽類の象徴的なショットを見逃すこともないのです。




キヤノン EOS-1D X Mark II

2016年に発売されたキヤノンのフラッグシッププロ用カメラです。例えば動く鳥の連続撮影では、フルAF/AE追従で毎秒14コマ、ライブビューモードでは16fpsの撮影が可能です。2020万画素のフルフレームCMOSセンサーと、デュアルDIGIC 6+イメージプロセッサにより、信じられないほどのディテールのある画像を生成します。また、優れたダイナミックレンジとカラーノイズの低減にも成功しています。望遠レンズやズームレンズと組み合わせれば、最高の野鳥写真を撮影するためのツールを手に入れることになります。ただしお値段も相応。使い勝手もコワモテで、熟練の写真家でないと使いこなせない部分も多々あります。




ソニー a9















ソニーのフルフレームミラーレスカメラのフラッグシップモデルであるソニーa9のオートフォーカスシステムは、693点のAFポイントを採用し、画像領域の約93%をカバーし、1秒間に最大60回のフォーカスと露出計算を行うことができます。信じられないほど高速で正確で、電子シャッター使用時のシャッターブラックアウトや振動がなく、ミラーレスシステムにあった多くの欠点を克服しています。またa9はサイレント撮影モードを搭載していますので、シャッター音で野生動物を怖がらせることはありません。このカメラの電子ビューファインダーはきわめて明るく、120 fpsの速度で更新され、光学ファインダーに負けない映り具合を保証しています。まさにa9は鳥の写真を撮るためのカメラといっても過言でないほどハイレベルなネイチャー系カメラなのです。


 以上、野鳥撮影を念頭に置いたらどんなカメラが相応しいのか、と考察した結果をリストアップさせていただきました。理想を追えばキリがないし、どのカメラにも一長一短があります。そんな中で自分に適したカメラ選びの一助にしていただければ幸いです。