2021年2月11日木曜日

初心者のマイクロフォーサーズ

マイクロフォーサーズという選択



 デジタルカメラの話題の中心はいまやフルサイズ・ミラーレスです。ソニー、ニコン、キャノンという世界のトップカメラメーカーが競って最新の機種を発表し、そのたびに話題になっています。しかし、もちろんいま世の中で活躍しているカメラは


フルサイズ・ミラーレスだけではありません。これまでのデジタル一眼レフでは20年以上APS-Cサイズのセンサーカメラが主流でした。販売数でいえば、1/2.3インチセンサー搭載のコンパクト・デジカメが圧倒的シェアでした。時代の流れ、技術開発の流れとともに、より高性能、高機能のカメラを求めて、フルサイズへと流れは移行しているようですが、カメラすべてが一方向に集約するわけではありません。適材適所、それぞれのニーズや用途によって使われるカメラは変わってくるものです。
 そんな中で、マイクロフォーサーズ・カメラが担う役割というものについて考えてみたいと思います。




マイクロフォーサーズについて

 この記事では、マイクロフォーサーズとは何か、なぜこのシステムが存在するのか、他のカメラシステムとどう違うのかを説明します。私自身、マイクロフォーサーズ機を所有していますので、その良さや利点、弊害なども考えていきたいと思っています。

 この記事が終わる頃には、マイクロフォーサーズのだいたいの特徴や必要性はお判りいただけると思います。カメラの選択肢として、マイクロフォーサーズ機を選ぶのもきっと悪くはない選択だと思っていただけると存じます。


 この記事の最初の部分は少し技術的なものですが、マイクロフォーサーズを適切に説明するためには、このようなものを通過する必要があります。

マイクロフォーサーズとは?

 マイクロフォーサーズは、2008年にオリンパスとパナソニックから発売されたカメラシステムです。マイクロフォーサーズは、2008年にオリンパスとコダックが作ったフォーサーズシステムを進化させたものです。

 マイクロフォーサーズには、オリンパス、パナソニック、コダックというビッグネームが関わっています。発足当時からこのシステムには、デジタル一眼レフカメラとミラーレスカメラの両方のボディにユニバーサルレンズマウントが含まれていました。




 フォーサーズはデジタル時代に生まれたもので、デジタル一眼レフは一眼レフと呼ばれるフィルムカメラの進化形です。

 マイクロフォーサーズはフォーサーズの進化形ですが、ペンタミラーがありません。

ペンタミラーを収納するミラーボックスは、デジタル一眼レフカメラのレンズを通してファインダーを覗くことができるようになっています。ミラーボックスを取り外すと、ミラーレスカメラになります。
 しかし、ミラーボックスを外すと、画像を見るために何か他のものが必要になります。

 そこで登場するのがEVFです。EVFは電子ビューファインダーの略です。光学ファインダーを外した後は、これを他のものと交換するか、カメラの背面にあるスクリーンだけに頼らなければなりません。

 マイクロフォーサーズカメラのセンサーはAPS-Cやフルフレームカメラよりも小さくなっています。
 基本的に、マイクロフォーサーズカメラは他のシステムよりも小さく、デジタル時代に合わせて設計されています。ミラーはなく、その代わりにEVFがあり、カメラはより小さなセンサーを持っています。

 ここでちょっと既存のカメラ規格についておさらいしてみましょう。現状どのような種類のカメラがあるのでしょうか。
 カメラには2つの基本的なグループがあります。他にもありますが、主にこの2つのグループがあります。

デジタル一眼レフカメラ
 デジタル一眼レフカメラには、カメラ上部にミラーが付いています。これにより、ユーザーはミラーを通して、レンズを通して撮影されたシーンを見ることができます。これは、フィルムカメラである一眼レフを進化させたものです。

ミラーレスカメラ
 写真の用語の中には紛らわしいものもありますが、ミラーレスは良い用語です。ミラーレスカメラには、デジタル一眼レフカメラのようなミラーがない。実にシンプルな命名ですね。


他にどんな種類のカメラがありますか?

デジタル一眼レフとミラーレスは、さらに次の3つのカテゴリーに細分化されます。

フルフレーム

APS-C

マイクロフォーサーズ


 理論的には、これらのすべてのフォーマットでミラーレスカメラを作るることができますが、現状DSLRSはAPS-Cとフルフレームフォーマットでのみで使用されています。

 

センサーの役割


 センサーは写真を記録する部分です。センサーはフィルムと同じ仕事をしていると考えてください。

センサーのサイズ
 ここには、主に3つのセンサーサイズがあります。他にも中判、大判、そしてもちろんスマートフォンのセンサーもあります。ここでは、主なカメラシステムについて説明します。


フルフレーム
 フルフレームとは、幅36mm×高さ24mmのセンサーを搭載したカメラのことを指します。これは35mmフィルムのネガがデジタル化される前の時代にはあったサイズです。

APS-C

 APS-Cは、汎用性の高いいちばん一般的なフォトシステムです。ここでのポイントは、APS-Cセンサーはフルフレームセンサーよりも二回りほど小さいということです。APS-Cセンサーの大きさは約23.5mm×16mmです。


マイクロフォーサーズ

 マイクロフォーサーズのセンサーはさらに小さくなり、約17.3mm x 13mmとなっています。

センサーの値段
 センサーは作るのに高価なものです。そのため、大きなセンサーよりも小さなセンサーの方が製造コストが安くなります。小さなセンサーを搭載したカメラは、大きなセンサーを搭載したカメラよりも一般的に安く作れるわけです。

 APS-Cカメラに50mmレンズを装着した場合、センサーが小さいので、クロップファクター(35mm換算)と呼ばれるものを適用しなければなりません。APS-Cカメラの場合、クロップファクターは1.5(キヤノンAPS-Cカメラの場合は1.6)です。なぜ違いがあるのかはわかりません。


 レンズの焦点距離にセンサーのクロップファクターを掛ける - 50 x 1.6 = 80。

 APS-Cカメラの50mmレンズは、実際の焦点距離は80mmです。

 同じ原理をマイクロフォーサードカメラにも適用してみましょう。

 マイクロフォーサーズカメラの同じ50mmでも、実際には100mmになります。


マイクロフォーサーズのレンズ

 クロップファクターについて説明してきました。このことは重要です。すなわちレンズについて少し違った考え方をしなければならないということです。2倍のクロップファクターは望遠撮影には最適ですが、広角撮影にはもっと広い焦点距離が必要になることを意味します。
 私は12-40mmのレンズを持っていますが、これはフルフレームで24-80mmに相当します。これは私の標準レンズです。

 マイクロフォーサーズカメラ用のレンズは、APS-Cやフルフレームカメラ用のレンズよりもはるかに小さいのが利点です。
 しかも、あなたはオリンパスのカメラにパナソニックのレンズを置くことができます。逆もまた同様に可能です。

マイクロフォーサーズの利点
 異なるカメラの種類とサイズは、利用者のさまざまなニーズに対応できます。例えば、スポーツ写真家と風景写真家では使用するカメラ構成がが異なります。カメラにも多様性があるのは利用者にとってありがたいことです。
 マイクロフォーサーズの利点の一つは、まず軽量小型という点。旅行やちょっとした外出に持ち出しやすく、より多くの機会で使用することができます。また生産コストの面でも抑えることができ、作る側にとってもあらゆる面で負担を抑えることが可能です。
 マイクロフォーサーズの機能面では、望遠に強いということが挙げられます。コンパクトなレンズサイズで、より遠距離の対象をターゲットにできます。下の写真のように、APS-Cだとバズーカ砲みたいにデカくなる600mmズームレンズが、マイクロフォーサーズではこれくらいコンパクトに抑えられます。野鳥やスポーツ観戦などにも最適な選択と言えるでしょう。

 またパナソニックとオリンパスが同じ規格でカメラ=レンズを共有できるというメリットもあります。これにより互いのレンズ資産を合計すると、かなり充実したラインアップであることが分かります。


マイクロフォーサーズ生みの親
 マイクロフォーサーズカメラの主なメーカーはオリンパスとパナソニックです。ウィキペディアによると、マイクロフォーサーズカメラのボディはBlackmagic、DJI、JVC、Kodak、Sharp Corporation、Xiaomiからも入手できるそうです。交換レンズは、ライカ、シグマ、タムロンなどからう優豊富に出ています。中にはAPS-C互換レンズより比較的廉価で優秀なものもあります。今後は単焦点を中心に中華製交換レンズも選択肢に加わるも見込みです。


フルフレームカメラとの差
 昨年、スナップ撮影でCanon 6DとパナソニックLumix G8の両方を使って撮影しました。同じカメラの設定と構図を使い、両方のカメラでそれぞれのショットを撮影しました。
 キヤノン17-40mm F4 Lレンズに対してピッチのオLumix 12-40mm F2.8レンズを使用していました。結果はいずれも誤差範囲内の互角の戦いであったと認識しております。

 ただし大きく
プリントを刷ってみると、マイクロフォーサーズカメラで撮影した画像では、フルフレームのデジタル一眼レフカメラで撮影した画像よりも若干ディテールが失われていることは分かります。しかしそれはインスタグラムやSNS上で情報交換をするには十分なクオリティといえます。

 では、小さなセンサーは本当に問題ないのでしょうか? はいそれは大丈夫です。特殊な用途でもない限り、マイクロフォーサーズ機は少なくともAPS-Cと比べて何ら遜色のない好結果を出すことができます。それはおもにISO能力と画像処理エンジンの向上によるものと見られています。


マイクロフォーサーズに未来はあるか?
 昨年はオリンパスの売却問題が取りざたされ、パナソニックはフルサイズ機を発売したため、マイクロフォーサーズの行く末に疑問を抱く向きもあったようです。
 が、昨年以来オリンパスもパナソニックも入門機種が好調で、フルサイズやAPS-Cよりも大きな売り上げ実績を誇っています。私は、今後ますます
マイクロフォーサーズの需要は高まっていくだろうと予測します。
 

まとめ
 あなたが写真撮影に入りたいと思っていたり、スマホから実際のカメラにアップグレードしたいと思っているのであれば、マイクロフォーサーズは良いスタート地点だと思います。近年は画像処理エンジンの向上もあいまって、極めて高画質であらゆる被写体を余すことなく撮れるようになりました。値段も手ごろでかつ一般的に小さくて軽くて便利。こんな素敵なカメラを選ばない手はありません。一度その魅力に触れてみることをお勧めいたします。




2021年2月10日水曜日

大切なカメラを守ろう

カメラのセルフメンテナンス




 写真を撮るのは楽しいけれど、使ったら次使うまでバッグの中にそのままって事、ありませんか? 私もそれは他人事ではなく、昔ついついやりがちな事でした。以前勤めていたビデオ制作会社で、業務用のビデオカメラの保管が徹底されたいたことを受け、私も考えを改めるようになりました。今回は、あなたの大切なカメラを守るために必要ないくつかのチップスを書き記しておきたいと思います。

 
デジタルカメラのメンテナンスとケア


 わずかな時間の日常的なケアで、あなたのカメラは、末永く新鮮な輝きを保ち続けられます。あまり高価なメンテナンスは必要ありません。以下の項目を日頃心がけるだけで、カメラの寿命はぐっと延びること請け合いです。中には当たり前じゃん、と思われる事項も含まれていますが、人によっては本当に基本的なルールさえ無視することもあるのです。(まあそれはカメラに限ったことではありませんが。)


1. レンズキャップ

 カメラを使用していないときは、常にレンズにキャップをつけておきましょう。大事なレンズを保護し清潔に保ち、傷をつけず、レンズの内側と外側を安全に保つのに役立ちます。レンズキャプの付けはずしが面倒な方は、ひも付きのレンズキャップをお勧めします。レンズキャップの端っこにつけたヒモはカメラボディかレンズに結び付けられ、撮影の際はカメラにぶら下がる形となります。いちいちレンズキャップを外してなくす、見失うという弊害を回避できます。


2. レンズクリーナー

 レンズを綺麗に保つためには、こまめなクリーニングが欠かせません。とはいえ毎回撮影の後に、丹念に磨き込む必要はありません。撮影後のルーティーンとして、軽くほこりなどの汚れをふき取るわずかな時間さえあれば結構です。使うのはレンズに優しい専用のクリーニングクロスがいいでしょう。レンズ表面を傷つけないよう優しく拭くだけなので、習慣化しやすいのが良いです。次に使い捨てのティッシュタイプのクリーナーとウェットタイプのクリーナーが使いやすいです。ただしこちらはなくなると継続しなくなるため、現在私は使っていません。またレンズクリーニング溶液を使っての掃除はアウトドアのヘビーユーザーに最適です。カメラをアクティブに使ったあと、ごみやほこり、水滴の乾いた奴がレンズにこびりついたりします。専用のクリーニング溶液ならレンズの輝きを保ったまま綺麗によごれを落としてくれるので、いざという時のためにも用意しておくと助かります。
 その際面倒がらずに、同時にファインダーとモニター画面を拭くことも忘れないでください。一瞬で済む作業です。


3. ブロワー


 
 保管していても、自然とレンズやカメラにはホコリが溜まっていくものです。バッグからレンズを取り出すとき、レンズのフロントキャップを外した後、それぞれブロアーを使ってホコリを吹きとりましょう。隙間に詰まりやすい埃は放っておくとしつこく付着するので、早めにこまめにブロワーで吹き飛ばしてください。ブロアーはちょっとかさばりますが、バッグの中に常備していることが望ましいです。

 ブロアーを使うもう一つの場所をご存じですか? カメラからレンズを取り外す前にレンズの溝部分を吹きましょう。日頃目届かないところだけに、意外と汚れがたまりやすいものです。レンズ交換のすきをついてゴミはセンサーを脅かします。特に埃や砂地の多い場所に行った場合には、レンズ交換前に必ずその溝を吹くことが大事です。

 センサーにホコリがたまりすぎた場合は、軽いホコリの場合はハンドブロワーでシュッとやってください。(注意:缶タイプの圧縮空気は絶対に使用しないでください!) またブロワーも汚い部屋でセンサーに向けるとかえってホコリを付けることがあるので、注意してください。
 もしブロワーでセンサーの汚れが取れない場合は、専門業者のメンテナンスを検討してください。センサーの損傷は、あなたのカメラの命とりです。


4. カメラバッグ

高品質なカメラバッグやバックパックには、形やサイズ、色、構造が異なるものがたくさんあります。特に機材のコレクションが増えてくると、自分に合ったカメラバッグやバッグを見つけるのに時間がかかります。カメラを守るに十分なパッドが入っていて、クッション処理がなされているか、よく確かめてください。
 また撥水性や耐久性に優れた丈夫な素材であって欲しいです。レンズを複数持ち歩く人はマルチコンパートメントバッグを選びましょう。バッグの中で互いの機材がぶつかり合うリスクを抑えることができます。日常的なハイキングでは、バックパックやデイパックがあれば、カメラを保護しながら背中に負担をかけずに済みます。




5. カメラバッグの掃除

 意外と気が付かないのがバッグ内の汚れです。長く使い続けていると、バッグの中は小さなゴミや汚れ、バクテリアで満ちてきます。これではいくらカメラを掃除しても意味がありません。定期的にバッグは空にして、内側を掃除しましょう。掃除機などで吸引して些細なゴミなどは除去しておきましょう。


6. レインカバー



 雨の日撮影用としてレインカバーも用意しておきたい一品です。
アメリカでは、18インチのレインスリーブスの2パックがAmazonで6.50ドルで売られています。私は念のためにカメラバッグに常時入れています。雨の日に撮影することは少ないですが、川や海、公園の噴水などの他に、にわか雨など予期せぬ時にこれは威力を発揮します。一時的な代用品としては大きめのジップロックバッグも雨雪、水しぶき対策には有効です。



7. 湿気対策

 カメラのレンズは常に湿気の侵入に脅かされています。幸い私はやられたことがありませんが、高価なレンズにカビが生えて使い物にならなくなったという話はたびたび耳にします。一番良いのは専用の防湿庫を用意することですが、高価な機材を使うプロやハイアマチュアでなければそこまで投資はしにくいかもしれません。 
 そんな時はカメラの収まる大きさのタッパーウェアにシリカゲルなどの防湿材を入れて保管する手があります。シリカゲルの小袋は何かの購入の際によく入っていますよね。あれすぐに捨てる人が多いけれど、カメラユーザーは取っておくべきです。そう長持ちしないので、あのシリカゲルはできるだけ用意しておいて、カメラの防湿に役立ててください。



 カメラ、レンズ、三脚などのアクセサリーは高価な資産です。ほんのわずかなクリーニング習慣でカメラは長持ちしますのでくれぐれもケアをお忘れなく。また将来中古品として売りに出す場合も、美観の面で大きな差がつきます。美品として少しでも高値で売りたい場合は、きれいなカメラが有利ですよね。レンズだけでなく、ボディ本体や、三脚、フラッシュなどもこまめに磨きを入れてあげてください。

2021年2月9日火曜日

キャノンのカメラ

カメラ:世代交代の早さ




 かつてフィルムカメラが主流だったころ、その王様として長きにわたって君臨していたカメラがあります。言わずと知れたニコンのFシリーズです。このカメラはニコンはもとよりカメラ界のフラッグシップ機で、長きにわたってプロ写真家やカメラ愛好家から親しまれてきました。もちろん今も愛用しておられる方はたくさんいらっしゃいます。今の時代からみると、このカメラの歴史は実に悠々たるものです。なにせ、1959年に初号機が出て以来、ずっとベストセラーを続け、F2が出たのは12年後だったのです。F3はそれからさらに9年後。以降、F4、F5、F6までそれぞれ8年ずつかけてバージョンアップされてきています。
 じつに堂々たる進み具合。王様の貫禄を感じさせます。いまのタイムスパンからみると信じられない余裕ですね。

 昨今、カメラの技術革新は目覚ましいもので、毎年のように新しく出る機種が、1世代前のカメラのスペックを易々と更新し続けています。

 例えば、私が愛用していたキャノンのフルサイズカメラ、CANON EOS 6D。
 2014年の購入当時はまさに最新技術を駆使した、ミドルクラスのフルサイズカメラの決定版だと思っていました。事実、このカメラはキヤノンの一眼レフカメラで初めてWiFiとGPSを搭載した機種でした。しかも当時35mmフルサイズ機で最軽量、連写速度は4.5コマ/秒とまさに新時代を予感させるハイスペックだったのです
 ところが時の流れは速いもので、あれからまだたった6年半しかたっていないのに、すでに旧機種扱いで、中古販売でしか手に入らない代物となってしまいました。私も去年新しいカメラの資金にするため売却しましたが、びっくりするような安値になってしまいました。    購入当時はレンズキット付きで24万円ほどしましたから、6年という長さはカメラの価値をごっそり落とすに十分な時間となってしまったようです。

 ちなみに発売時のキャノンのサイトでは、以下のようなコピーで本機を紹介していました。


 ・・・“EOS 6D”は、入門機からのステップアップやハイアマチュアユーザーのサブ機として、35mmフルサイズセンサーが実現する高画質を手軽に楽しみたいユーザーに向けて開発された、軽量で小型なデジタル一眼レフカメラです。


■ 35mmフルサイズセンサーならではの高画質と豊かな表現力
新開発の35mmフルサイズCMOSセンサー(約2,020万画素)を搭載しています。フルサイズならではの美しいボケ味に加え、映像エンジンDIGIC 5+との組み合せにより、広いダイナミックレンジや美しい色再現、豊かな階調性を実現しています。また、常用ISO感度を最高ISO25600※2まで拡大したことで、暗所でもノイズを抑えた撮影が可能です。

■ 携帯性に優れる世界最軽量ボディー
シャッターユニット、ミラー駆動モーター、CMOSセンサーパッケージの小型化などにより、APS-Cサイズのセンサー搭載機「EOS 60D」(2010年9月発売)とほぼ同等の質量と大きさを実現しています。これにより、手軽に持ち運ぶことを可能にし、撮影領域を広げることに貢献します。

■ EOSシリーズ初、Wi-Fi対応の無線LAN機能・GPS機能を本体に内蔵
Wi-Fi対応のスマートフォンを使えば、静止画の撮影や、カメラ内のメモリーカードに記録された静止画(JPEG画像)のスマートフォンへの取り込みを遠隔操作※3で行えます。さらに、撮影地点の位置情報や、移動経路を記録するGPS機能も備えています。・・・

 

 当時としては最新のスペックも、今出ている新しいミラーレスの入門機にさえ、負けてしましそうな差となっています。ちなみに昨年入門機としてよく売れたCANON EOS KISS Mと比べてみました。

 2018年2月に発売されたCANON EOS KISS Mが24.0MPのAPS-Cセンサーを搭載したエントリーレベルのミラーレスカメラであるのに対し、2013年2月に発売されたCanon 6Dは20.0MPのフルフレームセンサーを搭載した中級デジタル一眼レフカメラです。ご覧の通り、KISS Mよりも6Dの方が5年古いだけです。この2台のカメラの年齢差がどれほど大きな違いになるかどうかを見てみました。

 これら2機種にはボディタイプの基本的な違いはあるものの、ミラーレスカメラは、サイズや重量の優位性と最近のフォーカススピードの向上により、デジタル一眼レフカメラの代替として真剣に考えられるようになってきています。

ここでは、私たちのより詳細な比較に入る前に、
EOS KISS MとEOS 6Dの主な機能を簡単に見てみました。


Canon Kiss M
発売日: 2018-02-26
映像エンジンDIGIC 8
24MP - APS-C CMOS Sensor
ISO 100 - 25600 ( expands to 51200)
Canon EF-M Mount
3インチ バリアングル・モニター
236万ドット電子ビューファインダー
連写速度10.0 fps 
4K (UHD) - 3840 x 2160 video resolution
Built-in Wireless
116 x 88 x 59 mm
390g. 

Canon EOS 6D
発売日: 2013-02-12
映像エンジンDIGIC 5+
20MP -フルフレーム CMOS Sensor
ISO 100 - 25600 ( 拡張 50-102400)
Canon EF Mount
3インチ固定モニター
オプティカルビューファインダー
連写 4.5 fps
Full HD - 1920 x 1080 video resolution
Built-in Wireless
Built-in GPS
防塵防滴ボディ
145 x 111 x 71 mm
770g. 

 明らかに差が出ているのは、まず映像エンジンの更新。これはもう致し方ないのですが、デジタルカメラの時代では、このセンサー性能に直結する映像エンジンの刷新はほかのどのポイントより重要と言われている部分なのです。それが5+から8ですからこの差は否定できません。次にサイズ。もちろんフルサイズ機とAPS-C機なので直接比較はできませんが、KISS Mの小型軽量化は画期的な差と映ります。また連写速度も毎秒4.5から10と大きく進歩しました。くわえてモニターが固定式からバリアングルへと飛躍しました。フルサイズと大きな開きがあるだろうと思っていたISO最高感度も25600と入門機がついに追いついてしまいました。これで価格もEOS KISS Mはレンズキット付きで、6万ちょいですから驚きです。

 このようにカメラが6年の歳月で、いかに目覚ましい進化を遂げるのか、まざまざと思い知らされます。もちろんこれはスペック上の違いだけで、実際の写真はまた改めて較べる必要はあります。EOS 6Dの描写力は今でも現役で通用する素晴らしいものですし、ボディの堅牢性などでは、今のカメラよりずっとしっかりしていると思います。なにより手に取ったずっしり感が頼もしく、じっくり撮るタイプの人にとってはこれほど相応しいカメラはあまりないものだと思っています。
 最新のカメラは確かに機能や性能でその実力は更新されるのですが、どうもツールの一部と化す感があり、愛着という面では昔のカメラの方が強かった気がします。
 これからもいいカメラは次々誕生するでしょうが、昔のニコンFシリーズのような持つだけでその価値がある、みたいなカメラは今後なかなか出てこないような気がします。



2021年2月8日月曜日

スポーツ映像の最先端

スーパーボウルを面白くするカメラ



 
 アメリカの国民的スポーツの祭典「スーパーボウル」は、全国ネットのテレビで放映され毎年1億人以上が視聴するオバケ番組です。今年はパンデミックのために、観客数を極端に制限した異例の措置での開催となりますが、お茶の間での視聴は今まで以上の記録が期待されています。
 勿論スポーツの祭典として見所は満載ですが、カメラに関心ある方にとっても、非常にエキサイティングな催しであることが知られています。この放送に使われるカメラ撮影技術はそのたびごとにアップデートされ、視聴者はハイテク技術の最先端を見ることになります。
 目を見張るようなクローズアップでの選手の表情、スーパーリアルでクリアなスローモーション再生、鳥の目で見たような空からの俯瞰。
 10年前では考えられなかった美麗で繊細なスポーツ観戦がお茶で見られるようになったのです。
 後述しますが、そのハイテク映像の中には日本の優れたカメラテクノロジーも重要な役割を担っているのです。


メインカメラ
 試合撮影全体の主役を担うのが「Eye Vision 360」というカメラおよびそのシステムです。
 この新しいリプレイカメラは、任意の瞬間にフリーズし、プレーを中心に回転させて、フィールド上の任意のプレーヤーの一人称視点を随時ピックアップすることができます。これはスーパーボウルの撮影に使用された史上最高の解像度である5Kのカメラで撮影されます。

 Eye Vision 360 は、スタジアムのトップデッキに沿って並べられた 36 台のカメラをコントロールし動作します。通常、カメラは25ヤードライン付近のレッドゾーンに向かって配置されます。これはフィールド全体を見るためもっとも重要なカメラシステムとなります。

 このカメラのもう一つの強力な機能は、透明なガラスのような仮想ラインをプレーの中に重ね合わせることです。このグラフィックを追加する機能は、まるでそこに実在するかのような画像を自由に作り出せるという技術で、映像はますますビデオゲームを見ているのかと錯覚するほどのリアルさです。

EyeVision360



パイロンカメラ
 近年スーパーボウルに登場したもう一つの新しいカメラがパイロンカメラです。フットボールのフィールドの設定にあまり馴染みのない方のために説明すると、パイロンとはエンドゾーンの隅に置かれたオレンジ色の長方形のマーカーで、選手やファンがゴールラインの境界線を確認するのに役立ちます。

 ゲームのために特注改造された8台のパイロンカメラには、それぞれ2台の高解像度カメラが取り付けられ、2Kの解像度で試合をフィールドレベルで見ることができます。これらのカメラにはマイクも搭載されており、フィールドの自然な音を捉えるのにも役立ちます。
 パイロン・カムは、ライン際やゴール付近の際どい判定にも大きく影響を及ぼすと言われ、近年ますます注目されています。


スカイカムの登場
 上空から鳥のように選手を追うSkyCam。空中カメラ技術は意外にもそれほど新しいものではありません。1984年に初めてスーパーボウルのファンに紹介されて以来、様々な改善が行われてきましたが、第 50 回スーパーボウルで使用されたSkyCam システムは、新時代を予感させる画期的なものでした。それはこれまでにないくらいきれいな描写で、ブレずに選手を追いかけました。
 さらに近年SkyCam制作チームは、ほぼ 2 倍の速度で移動することができる「ワイルドキャット」と呼ばれるフライング カメラ システムの新バージョンを発表しました。ワイルドキャット・スカイカムは時速25マイルを超える速度で宙を飛ぶことができます。そのスピードは、カメラが選手を追い抜くに十分な速さです。

SkyCam


 
 スカイカムはワイヤーの網の上で動作し、フィールドの上でしっかりとハーネスで固定されています。おかげで選手に極力接近して、素晴らしいショットを撮ることができます。
 猛スピードで空を飛び回る空中カメラの最大の課題の1つは、手ぶれ補正でした。SkyCamは完全にアクティブな4軸スタビライゼーションシステムを使用しており、その課題を見事に克服しています。


 さてスーパーボウルは放送局が毎年変わる約束になっているので、カメラシステムもそのつど変わってきます。今年のCBSの第55回「スーパーボウル」のカメラもまた、映画のようなエンドゾーンのショットやトロリーカムなどがふんだんに使用される予定です。

 CBSは、2020年のNFLシーズン中にソニーのデジタル一眼レフカメラを追加しました。主にメインの撮影ではなく、フィールド外で試合を見る控え選手やコーチのリアクションに使われていたようですが、そのシネマチックな描写性能は、関係者の注目を浴びたようです。
 今日行われるスーパーボウルでもおそらく活用されると見られます。


CBS の新しい NFL用カメラ
 CBSが使うカメラシステムは「メガラドン」と呼ばれる、撮影コンポーネントの総称です。そのコンポーネントは、ハイエンドのソニーの民生用カメラ、対応するジンバル 、映像を送信するバックパック送信機などで構成されるものす。

 注目のカメラですが、なんと「SONY VENICE CAMERA」を使用する予定だそうです。これはもちろんガチのプロ用機材で、一台400万円ほどするものです。

 まさにソニーの技術を結集した最先鋭のビデオカメラです。
 このカメラがユニークなのは、被写界深度をかなり浅くすることができ、背景ボケを自在につくり、フォーカスする選手をめちゃくちゃクリアに撮影することができることす。映画のような効果を編集なしでリアルタイムに表現できるので、視聴者へのアピールは絶大と期待されています。
  特に新しいカメラ技術ということではありませんが、ライブイベント中にその高度な描写性能を発揮できるのは、ソニーの最新デジタルテクノロジーのなせる業でしょう。

  今後この
「SONY VENICE CAMERA」は、より多くのスポーツ中継やイベントに使用されることが予想されます。映画や企業のPRにもかなり需要が高まってくるでしょうね。というか、ジェームス・キャメロン監督などはすでに映画製作にこのカメラを使っているそうです。スーパーボウルはアメリカのトップイベントなので、その効果は計り知れません。今後このカメラの需要はますます高まっていくのではないでしょうか。


その他の新しいスーパーボウル用カメラ
 CBSは2台のソニー・ベニスのカメラだけではなく、新しい方法でスーパーボウルを撮影すると伝えられています。CBSネットワークによると、タンパのレイモンド・ジェームズ・スタジアム周辺には120台以上のカメラが設置されるそうです。その中には前述の2台のソニー・ベニスカメラ以外に、トロリーカムと呼ばれるものが採用されます。(CBS によると、それはスタジアムの一方の端から他方に、ワイヤーに沿ってジップライニングし、スタンドの 8 列目のファンの視野角を提供するために配置される、とのこと。なんか実感が湧きませんね)。とにかくすごいのは、カメラは時速65マイルものスピードで移動することができ、スーパーボウル史上、見たこともない視点で選手を見せると豪語しています。
 それから映画用バードクレーン。(CBSによると、このカメラは伝統的に大作映画のために確保されていたが、スーパーボウルではアッパーコンコースに設置され、番組「THE SUPER BOWL TODAY」の試合前のセットや試合の様子をドラマチックに撮影します。さらにはスタジアムの至る所に戦略的に設置される、多くの拡張現実エンコードされたカメラの1つとして機能するのだということです。
 さらにはCBSによると、4Kと8Kの機能を備えた12台のカメラがスタジアムの至る所に設置され、制作チームは試合の重要な瞬間をクローズアップして撮影することができる、ということです。
 4Kカメラはスタジアムのコンコースの高い位置からロボットで制御され、2台のソニー製8Kカメラはスタジアムの下部フィールドに吊り下げられたロボットジンバルに固定されます。
 過去のスーパーボウルでは、スタジアムのインフラの高い位置に8Kカメラ技術が導入されていましたが、CBSはこのアングルで、フィールドの近くの高さからのユニークな景色をお届けする、と自信満々に語っています。
 アメフトを見ない人にはイメージしにくいかもしれませんが、テレビで観ればそのすごさは伝わるはずです。というわけで、今夜のゲームがとても待ち遠しいです。アメリカンフットボールに関心の薄い人でも、カメラ好きなら一見の価値ある番組となるはずです。

2021年2月7日日曜日

デジカメで夜景をキレイに撮る

夜間撮影の基礎知識



 スマホのカメラで夜景を撮ってみて、どうもイマイチ綺麗に撮れない、思ったような絵にならない、そう思ったことはありませんか? スマホでもナイトショットなどの夜景に特化した設定があるなら問題なさそうですが、それでも人とちょっと違った表現をしたいなら、やはり写真専用のデジタルカメラをお勧めします。


 夜景撮影は思いのほか、技量の優劣で差が出やすいものですし、端的に言ってフルサイズのカメラはセンサーサイズの大きさで有利なのは間違いありません。またレンズの明るさに依存することも確かで、そういった装備の良しあしで違いが出るのは致し方ありません。しかし、基本を押さえておくだけで、いままでよりずっといい夜景が撮れるというのも事実です。いま手持ちのカメラでどこまで魅力的な夜景が撮れるのか、以下を読んだ上でもう一度チャレンジしてみてください。きっと今までとは違う夜の風景をおさめることができるはずです。
 

まずは大前提
 夜の写真を撮るための基本的なルールは、どのジャンルでも同じです。速いレンズ(一般的にはF2.8以下の絞り)、頑丈な三脚やカメラを固定するもの、そしてセルフタイマーが必要です。


夜景を撮るためのコツ

1:まずはしっかりした三脚を用意しましょう
 暗い場所ではわずかな手ブレが写真を台無しにします。三脚がない場合は動かない土台を探しましょう。

2:マニュアルモードで撮影しましょう
 暗さ対策はカメラの露出を一つ一つ操作することで体感して覚えるのがいいです。マニュアルモードが苦手な方は、絞りやシャッター優先モードを使っても構いません。その場に応じて最短で操作できる必勝手順をパターン化し確立しておくと慌てることはなくなります。

3:暗いところでのカメラの使い方を覚えましょう
 手元が暗すぎると、ボタンや設定を探すのに苦労することがあります。小さなペンライトなどでカメラのボタンが見えるよう用意しておくと便利です。

4:RAWで撮影しましょう
 RAW画像ファイルにはJPGよりも多くのデータが含まれています。数あるデータの中からその夜景に最適な効果を引き出すことができます。

5:リモート撮影を試しましょう
 スマホとの通信機能でリモートで撮影することで、手ブレもなくなるし、自然なフレーミングで自分を撮ることもできます。

6:カメラをF/16に設定しましょう
 街灯などの小さな明るい光で何かを撮影している場合、F値を絞って周囲の状況を精細に伝えることができます。すべてを余さず伝えたい場合に有効です。





夜の写真の異なるタイプ


ナイトポートレート
 夜間の撮影でも、素晴らしいポートレートのルールは同じです。私が昼間のポートレートに求めるものは、ピントを合わせる目、被写体に均等な光を当てること、そしてシャープなディテールを得ることです。夜にポートレートを撮影するときも、同じコンセプトで撮影していますが、昼にはできない効果を狙うこともできます。
 夜間撮影では、外部フラッシュ、店先のネオン、車のライトなど、別の光源を使って撮影することがあるのです。背景のディテールが前面に出るようなシルエットを作ることも可能です。

天体写真
 夜空を撮影するときに使用するいくつかのポイントを簡単に説明します。

・カメラをマニュアルフォーカスに設定してください。

ピントを合わせるときには、レンズの無限遠マークを信用しないでください。

空に焦点を合わせるには、最も明るい星を選び、星の点ができるだけ小さくなるまで焦点を合わせます。

外部シャッターを使用するか、カメラをセルフタイマーモードに設定してください。

頑丈な三脚を使用し、カメラバッグなどの重いもので三脚を固定します。


露出の設定
 これが何より重要です。いろんなパターンがありますが、基本は以下の通りです。

カメラをISO1600に設定します。

カメラの絞りをできるだけ小さくする。

シャッターを5秒に設定する。

 いかがですか。この設定でとりあえず写真を撮ってみてください。そこから試行錯誤が始まります。

 5秒露光が終わった後の結果を見てみましょう。写真が暗すぎる場合は、露出が合うまでシャッタースピードを上げてください。写真が明るすぎる場合は、適正な露出になるまでシャッタースピードを下げます。



夜の街並み写真
 昼間の街並みは最高です。普段通りの街並みを見せることができます。青い空と白いふくらんだ雲がある晴れた日に出かけることがほとんどでしょう。太陽が沈むと、街はまったく違った装いを見せてくれます。建物からの光が空に新しい色を描き、建物の前の被写体に焦点を合わせると、美しいボケ味が出てきます。
 撮影後の編集も昼以上に様々なアイデアを出すことができます。


しばしば思ったよりも効果的な演出を作り出すこともあります。

夜の街頭撮影
 ストリートフォトは、夜になるとそれぞれの町のカラーが出やすくなります。活気ある街、アートな町、猥雑な街、ちょっとホラーな空気感さえも生み出すことができます。写真の粗ささえ味方につけて、とにかくアクティブにいろんな角度から撮ってみましょう。


 夜間、ストリートフォトを撮るときには、知っておくべきことがいくつかあります。

・シャッタースピードは動きを止めるのに十分な速さが必要。

・ときに三脚は機動性をそぎ、チャンスを失うこともある。

F2.8以下の開放で撮影しましょう。

明るい光源を探しましょう。



夜の風景写真
 自然を描写するような風景写真は正直、昼間がベストです。夜間での撮影は乏しい光源のなかから限られた構図でしか撮れません。もし夜間でコントラストやディテールが欲しい場合は、少しでも明るい光源が必要です。私は夜景を撮るときは月を使います。一点物の光源ということになるので、構図は限られてきますが、ムーンライトマジックとも言うべき、不思議な雰囲気を出す可能性を秘めています。


ネオンサイン
 ネオンサインの数は年々減少しています。都会の夜景でこれを見つけたら、超クールでノスタルジックな写真を撮れるチャンスです。最近よくある整い過ぎたLEDなどのデジタル光源とは波長が違う光なので、効果的な発色を活かしたレトロな写真表現ができます。
 まだネオンサインが残っている地域を見つけたら、ぜひ一度足を運んで、このユニークな光を撮影してみてください。



夜の写真を撮るための条件

 カメラによって夜間の許容ISO感度
は異なり、あなたのカメラで何ができるかを学ぶことは、夜の写真をマスターするための第一歩です。たとえばソニーa7S IIIは、夜景撮影に適した強力な基本性能を備えています。
 まず光をたくさん取り込めるフルフレームサイズのセンサーであり、なおかつISO感度が優れています。
 有効約1210万画素の裏面照射型CMOSイメージセンサー、拡張最高ISO感度はなんと409600と破格のスペックです。これならほんのわずかな光でも味方につけて、味わいのある描写が可能になります。



なぜフルフレームセンサーが夜の撮影に向いているのか?

 フルフレームセンサーが夜の写真に向いている理由は、APS-Cセンサーの2倍の大きさのセンサーを搭載しているからです。2倍の大きさは2倍の光を意味します。夜の写真は光がすべてです。

 しかしご心配なく。APS-Cセンサーのカメラでも、ISO性能のすぐれたカメラはいろいろあります。また明るいレンズと組むことによって、夜景描写の広がりは大きく変わります。レンズやカメラの限界を知ることは重要なステップです。
 目安として、三脚を使用してISO3200を超えないことが、クリアでシャープな夜の写真を撮るためのボーダーラインです。それだけでも頭に入れて夜景撮影にチャレンジしてみてください。



夜写真のためのカメラの設定

 夜間のピント合わせは、十分な光がないと難しい場合があります。そのためには、カメラをマニュアルフォーカスに設定する
ことをお勧めします。夜間の露出の仕方を理解するためには、露出の知識が役立ちます。あなたがスローシャッター、低ISO、平均的な被写界深度を望むならば、状況をコントロールできるようになるでしょう。


絞りの役割
 絞りを低くすることで、センサーに多くの光を取り込むことができ、三脚の使用を制限するためにシャッタースピードを高く保つことができます。また、絞りを低くすることで、センサーのホコリが写真に写り込むのを防ぐことができます。F1.8まで絞り込んでも、被写界深度は非常に浅くなります。ピントが合っていない写真が多いので、シャッタースピードを遅くすることで、絞りを大きくすることができます。


シャッタースピードの役割
 シャッターを開けたままにしている限り、センサ ーは画像を露光します。シャッタースピードを上げるということは、ISOを上げるか、絞りを小さくすることを意味します。
 光の軌跡や星の写真を撮るとき、低いシャッタースピードで撮影したい場合は、ISOを低く、絞りを高くしておけば、より多くの光を取り込むことができます。

ISOの役割
 簡潔に言うとISOが低いほど、写真はきれいになります。ISO100では、写真のノイズはほとんどありません。ISO 128000では、雪が降っているように見えるほどのノイズがあります。ただしカメラによっては、様々な理由でISO感度が高い方が良いものもあります。

 いくつかのテストショットを撮影して、カメラの限界を知りましょう。最大ISOで撮影してみて、ISO1600かISO3200になるまで絞り込んでみてください。Lightroomや同様のエディタで写真を見ると、結果を比較して自分の快適なISO最大値を理解することができます。
 ISOは、シャッタースピードを上げたり、絞りを上げたりする能力を調節するので、露出の重要な部分です。



夜景写真の編集

 写真は編集で生き返ることができます。RAW設定で夜の撮影をすると、青、紫、赤、黄色などの色調を使って作品を作りこむことができます。一見、黒く潰れたような残念な描写も、RAWデータの場合は光を取り込んで、新たな息吹を与えることができます。色調や全体のトーンやちょっとしたエフェクト次第で、夜の情景は様々な顔を見せることがあります。加工のやりすぎはともすると、本来の狙いから外れた人工的なものになってしまいますが、様々な変化を見ることで、次の撮影の参考とすることができます。いろいろ試して、写真の可能性を拡げてみてください。

 日が暮れると、ほとんどの人が撮影をあきらめる時代が続きました。しかしミラーレスの新時代は夜にも使えるツールとしてカメラを進化させていきます。今後は「闇」を活かした新たな夜景写真が次々と登場してくることでしょう。






2021年2月6日土曜日

初心者に最適:フジフィルム・カメラ

おすすめミラーレス:X-T200




 数あるミラーレス・カメラの中から、いま初心者に最高なカメラはどれか?

 いくつも候補が上がる中、自分が使ってみてやっぱり「これは」と思えたのが、フジフィルムのミラーレスX-T200でした。このカメラがなぜビギナーに最適なのか、今回はその魅力に迫ります。



 まずなぜ富士フィルムなのか。
 初心者クラスのミラーレスカメラのなかで、まずその利点は、フィルムシミュレーションというフジ独自の色再現能力にあります。

  最近のほとんどのデジタルカメラには、フィルターとして知られる機能が搭載されており、RAWファイルを撮影する場合でも、画像の色をコントロールすることができます。
 キヤノンのカメラではこれを「ピクチャースタイル」と呼んでいます。ニコンは「ピクチャーコントロール」、オリンパスには「ピクチャーモード」で、ソニーは「クリエイティブスタイルモード」とそれぞれ呼び名が違います。
 これらのフィルター・モードは、全体的な彩度の向上から、青や緑などの特定のトーンをターゲットにしたものまで、色と範囲を高めるように設計されています。

 富士フイルムの「フィルムシミュレーションモード」と呼ばれるものはこの一種でありながら、他と一線を画する精妙なフィルムの再現能力を突き詰めたものになっています。富士フイルムが長年培ってきたフィルムの色にこだわり、他のメーカーにはない独特の味わいを表現することが可能になっています。

 フジフィルムの各カメラで微妙に搭載されるフィルムシミュレーションの種類は異なります。基本はプロビア(スタンダード)、ヴェルビア(ビビッド)、アスティア(ソフト-より控えめな色とコントラスト)、クラシッククローム、プロネガハイ&スタンダード、アクロス(白黒)、モノクローム、セピアなどで、これは最近のほとんどの富士フィルムカメラに入っています。

 フィルムシミュレーションモードは、ほとんどの場合、カメラのメニュー設定の最初のページにあります。使いたいモードに移動して、有効にするだけで準備完了です。初めての人でも、プロ写真家のような写真が撮れることに驚くはずです。

 それでは数ある富士フィルムのミラーレスカメラの中から、エントリーモデルのX-T200をピックアップしてみていきましょう。

 

FUJIFILM X-T200

概要

 X-T200は大きなバリアングル・モニターと、そのタッチスクリーン上でほとんどの操作ができる簡便性が特徴です。ボディは小型で、ミラーレスカメラの中でももっとも軽量な部類に入ります。カメラの軍艦部のカラーはシルバー、ダークシルバー、シャンパンゴールドの三種類を用意しています。



発表:2020年1月23日

センサー:24.2Mp APS-Cフォーマット、
原色フィルターアレイ搭載CMOSセンサー

レンズマウント:富士フイルムXマウント

ISO
感度: 100-51,200(拡張ISO 200-12,800)

ファインダー:0.39型2,360Kドット有機EL電子ビューファインダー(視野率100%)搭載

モニター:16:9 のアスペクト比の 3.5inch、 2,760K 点の可変角度 TFT LCD

オートフォーカス:位相差・コントラスト検出機能を備えたインテリジェントハイブリッド

最大連写速度: 8fps

最大動画解像度:4K(3840×2160)29.97P/25P/24P/23.98Pで最大15分

ストレージ:SD/SDHC/SDXC UHS-I

寸法(WxHxD):121.0 x 83.7 x 55.1mm / 4.8 x 3.3 x 2.2inch

重量:370g(バッテリーとメモリーカードを含む)、321g(本体のみ)




いいところ
・ワイドな3.5インチバリアングル・タッチスクリーン
ファインダーはこのクラス最高の質と認視性
軽くてコンパクト
上位機種に迫る高品質の写真
家族、ブログ、ウェブカメラに適したビデオ機能
使いやすいタイル型アイコンのタッチスクリーン


イマイチなところ
電源ボタンとビデオ録画ボタンやや押しにくし
富士フイルムのX-Trans CMOSチップではなく、通常のCMOSセンサーを搭載
ダイヤル、ボタン類の不足
やや信頼性の低いビデオトラッキング性能

注意点
モニター保護フィルムを貼ると、モニターが閉じにくくなることがあります。
レンズフードは付属せず、専用のもの販売していません。



スタイルと基本性能

 富士フイルムX-T200は、言わばミニDSLRスタイルで、電子ビューファインダー(EVF)、3.5インチの大型バリアングルタッチスクリーンを搭載し、スチル写真とビデオの両方に適したカメラとして設計されています。
 Xマウントを採用し、すべてのXマウントレンズに対応しています。35mm換算で23~68mm相当のコンパクトなXC 15-45mm OISパワーズームレンズが付属しており、多くのキットレンズよりも広めの範囲を撮影できます。超音波振動センサークリーニングが付属しており、レンズ交換時にセンサーに付着したホコリを自動で除去します。エントリー機でこれがついているのはありがたいです。

 24.2mp APS-C CMOSセンサー(銅配線)があり、他のXマウントカメラに見られるX-Transフィルター配列ではなく、ベイヤーフィルターを搭載しています。初心者の方はこの違いや仕様は気にすることはありません。このカメラにはボディ内手ぶれ補正(IBIS)は搭載されていませんが、動画撮影用の電子手ぶれ補正は搭載されています。静止画撮影には、光学式手ブレ補正(OIS)付きのレンズがあればさほど手振れの心配はありません。

 このカメラには多くのデジカメ同様、P、S、A、Mの撮影モードがあり、マニュアル操作が可能です。

 フィルムシミュレーションは、クラシッククロームを含む11種類のフィルムシミュレーションが用意されており、撮影前にその違いを確認することができます。

 シーンモードは、スポーツ、ナイト、ランドスケープ、SP(追加のシーンモードから選択可能)、パノラマがある。ADV.オプションは、「HDRアート」、「トイカメラ」、「ミニチュア」、「ポップカラー」などの高度な(デジタル)フィルターを搭載しています。   SR+は、シーン認識を利用して写真に最適なモードを設定するアドバンスドシーン認識「オート」モードの事です。

 Wi-Fiと低消費電力のBluetoothを内蔵しており、スマートフォンやタブレットに簡単に画像を転送でき、カメラを遠隔操作できるほか、スマートフォンのGPSから画像に位置情報を付加することも可能です。


動画の特徴とオプション

 このカメラはビデオ機能を重視しており、3.5インチの大型バリアングルスクリーンを搭載しているので、ブロガーには最適なカメラだと思います。実際、富士フイルムはX-T200を「Vloggers Kit」として提供しており、RODE VideoGo Mic、ジョビー三脚、メモリーカードなど、高品質の動画コンテンツを制作するために必要なものがすべて含まれています。

 ビデオの面では、このカメラは以下の機能を備えています。
 30,25,24,23.98fpsの4Kビデオ。画像は繊細で高レベルな6Kからダウンサンプリングされ、これはクロップなしでセンサーの全範囲を使用しています。カメラ側面にはマイク端子を備えており、付属のUSB-C→3.5mmジャックアダプターでヘッドホン端子を追加できます。

 内蔵のジャイロセンサーを使用して、フレームにクロップすることで映像を安定させるデジタル "ジンバル "機能があります。ただしこれはFullHD解像度のビデオ録画のためにのみ利用可能であり、4Kビデオ録画には利用できません。高速動画撮影のほか、HDR動画撮影もあり、いずれもFullHD解像度での撮影が可能です。



ハンドリング

 カメラ上部にはいくつかのダイヤルがあり、カメラを持っているときに右手で簡単にアクセスできる右側に2つあります。これらはモードに応じて設定を変更するためのものです。カメラの左側にもファンクションダイヤルがありますが、こちらは手が届きにくく、やや余計なものに感じますが、機能をカスタマイズすることができます。カメラの背面にはラベルの付いていないカスタマイズ・ボタンが2つあり、Fn1とFn2として使えます。初期設定では、左のボタンで表示を切り替え、右のボタンでAFロックに設定されています。

 ジョイスティック・コントロールは非常に小さく、その位置は使いやすいとは言えないところにあります。

 X-T200の重量はバッテリーとメモリーカードを含めて370g、15-45mmレンズと合わせても131g程度と軽量で、これは大きな利点です。

 三脚ソケットはバッテリー/メモリーカード収納部のすぐ横にあるので、カメラを三脚に取り付けたままバッテリーやメモリーカードを交換することはできません。ビデオ撮影にカメラを使用している場合、メモリーカードを交換する必要があるときなどは、問題になるでしょう。

AF-EVレンジとは?
 薄暗い場所でも-2.0EVまでピントを合わせることができます。顔と目の検出フォーカスは人物の写真を撮るのに役立ちますが、時折ピントの合っていない人物の写真を撮ることもあります。
 カメラの左側にはマイクソケットがあります。付属のアダプターを使ってUSB-C接続し、3.5mmのヘッドフォンソケットに変換して音声モニターとして使用することができます。

 3.5インチのバリアングルタッチスクリーンは高解像度で、アスペクト比は16:9なので、動画撮影にも最適です。マイクソケットにマイクケーブルを接続した状態でも「自撮り」のために傾けることができます。ただし、4:3のスチール写真を撮影する場合は、視野の左右にバーがあるため、画面サイズは実質的に小さくなります。画面は見栄えが良く、簡単に調整して最適な表示にすることができます。

 電子ビューファインダー(EVF)は高解像度で、色再現性が良く、シーンをよく見ることができます。視線検知センサーがあるので、画面とEVFを自動的に切り替えてくれるほか、ジオトレ補正も用意されています。

 画面上にはタッチ操作が多数用意されており、撮影モードに応じて、明るさや背景ボケ、フィルムシミュレーション、画像のアスペクト比などを簡単に調整することができます。初心者の方や、変更の仕方をあまり気にしない方には使いやすいと思います。
 絞りやシャッタースピードを手動で変更することに慣れている人は、これらのコントロールをスキップして、通常の撮影用コントロールにこだわるのもいいかもしれません(SR+などのオートモードでない限り)。

メニューシステム
 明確にレイアウトされており、色分けされたセクションにより、探しているものを見つけやすくなっています。下部のMyMenuセクションを使用して、お気に入りのオプションを追加して、より迅速にアクセスできるようにすることができます。

連写
 8fpsで撮影できますが、速度が遅くなるまでに16枚までしか撮影できません。撮影速度を遅くすることで、より多くの写真を撮影することができます。

バッテリー駆動時間
 フジフイルム/CIPA試験結果によると、通常設定で270枚。エコノミー設定では、約450枚の撮影が可能です。充電は、付属のUSB Type-Cケーブルを使用してカメラ内で行います。

キットレンズ性能
 XC 15-45mm F3.5-5.6 OIS PZレンズは、35mm換算で23mm~68mm相当の撮影が可能です。PZとはPower Zoomの略で、カメラの電源を入れると自動的にレンズが伸びる仕組みになっています。ズームもモーターで制御されており、レンズリングを回すことでズームをコントロールできる。パワーズームレンズなので、その感覚に慣れるのに時間がかかるかもしれません。
 レンズの性能はそれなりに良く、特に広角端では中央部のシャープネスが良い。レンズの広角端でレンズを使用すると、角がいかに柔らかいかがよくわかる(エッジもそれほどではないが)が、光学ズームをフルに使用すると、角のシャープネスが改善される(中央のシャープネスはわずかに減少する)。

 鏡筒歪曲収差は、カメラ内で自動的に補正されているため、最小限に抑えられている(ワイド側では1%未満、望遠端ではさらに少ない)。色収差はよく制御されているが、広角端を使用しているときにいくつかのスポットがありました。ケラレはカメラ内で自動的に補正されるので、最小限に抑えられています。

 クローズアップ性能は、キットレンズなりによく健闘しています。またこのレンズはフレアに比較的強く、フレーム内に明るい光源を配置しても、完全ではありませんがフレアをよく抑えた効果を見ることができます。総体的にこの15-45mmは比較的良いキットレンズであり、多くのユーザーのニーズに合うでしょう。



まとめ

 X-T200は、X-T100をいくつかの点でアップデートしています。4K動画撮影が大幅に改善され、30,25,24fpsの動画撮影が可能になり、側面にマイクソケットが追加されました。カメラには、より大きく改良されたグリップが追加され、新しく大きくなった高解像度3.5インチのバリアングルタッチスクリーンがこのカメラの目玉です。顔と目のオートフォーカス検出機能も進化しており、ほとんどの状況で良好なフォーカス性能を発揮できます。

 野生動物や高速スポーツ撮影には、X-T30やX-T3/X-T4のような他の富士フイルムのXシリーズカメラの方が、連写速度がはるかに速いです。しかし、それ以外のすべての面では、X-T200は一般的な写真撮影に最適なオールラウンドカメラです。ビデオでは、X-T200は見栄えの良い4Kビデオ映像を提供し、クラストップレベルの動画を撮影できます。

 ここまで高性能で低価格なAPS-Cミラーレスカメラは、ほかにほとんど見当たりません。
 強いてあげるなら、同等の性能を有するSONY a6100、6400や、CANON EOS M6、Kiss Mなどがあげられますが、フィルムシミュレーションで高品質な個性を出せる分、富士フィルムのX-T200は一歩リードしているように思われます。

2021年2月5日金曜日

ミラーレスカメラの基礎

ミラーレスカメラとは?



 
 カメラが好きな人にとっては自明のことでも、これまで関心のなかった方にとってミラーレスカメラ? デジカメとどう違うの? といった素朴な疑問が出てきても無理はありません。ですから最初にはっきりと申し上げておきます。ミラーレスカメラとは、デジタルカメラの一種です。デジタルカメラには、デジタル一眼レフカメラやコンパクトカメラ、さらにはスマートフォン用のカメラ、アクションカメラ、車載カメラ、ホームセキュリティ・カメラなど、さまざまな種類が販売されています。

 これらのカメラは、違いというよりは共通点のほうが多いです。カメラの基本的な仕組みは、写真が発明されてからほとんど変わっていません。

 カメラという物体の核心は、辞書的に言うと、「光の情報を記録して写真と呼ばれる出力を作る装置」ということです。光を記録する媒体は、当初は化学的に感光性のあるフィルムでしたが、現在のほとんどのカメラではデジタルセンサーに取って代わられています。
 どのタイプのデジタルカメラも、シーンから光を取り込み、レンズでピントを合わせ、センサーに記録しています。
 それぞれののデジタルカメラの違いは、主にカメラを構成するいくつかのコンポーネント周りにあります。主な違いは以下の通りです。

・カメラ内部のセンサーのサイズ

・レンズ内の絞りの大きさ

・手動制御レベル

・レンズに互換性があるかどうか


 ミラーレスカメラは、おおむねデジタル一眼レフカメラに似ています。ほとんどのミラーレスカメラは、比較的大きなセンサーを持ち、高品質の画像を生成し、フルマニュアルコントロールを持ち、交換可能なレンズ・マウントを持っています。

 違いはその名が示すように、ミラーレスカメラにはミラーが内蔵されていないことです。デジタル一眼レフカメラでは、ミラーはレンズを通過した光を光学ファインダーに導くために使用されます。つまり、撮影者はファインダーを覗いているときに、実際のシーンを見ることになります。

 ミラーレスカメラにはこのミラーがないため、光学ファインダーがありません。撮影者が構図を決める際に使用する画像は、カメラの背面にあるスクリーンに表示されますが、ミラーレスカメラの場合は電子ビューファインダーに表示されます。

 どちらの場合も、カメラのセンサーに当たった光が、カメラの電子機器で処理され、デジタル画像として画面に出力されます。

 これはスマホやコンパクトカメラでも同じで、ミラーがないものがほとんどです。しかし、ミラーレスカメラはデジタル一眼レフカメラの直接のライバルとして生まれたものであり、ミラーがないことが大きな違いであることから、ミラーレスカメラという名前が定着しました。

 ミラーレスカメラには、デジタル一眼レフカメラよりも多くの利点があります。ミラーレスカメラは、同じような画質を実現しながらも、軽量で小型化されやすいです。シャッターボタンを押したときに、画面に表示される画像が正確なものであるため、使い勝手は容易です。

 さらに、交換可能なレンズ、RAW撮影のサポート、フルマニュアルコントロールなど、デジタル一眼レフカメラが持っているのと同じ利点があります。

 主な欠点は、ほとんどのミラーレスカメラは、同等のデジタル一眼レフカメラよりも少し高価になる傾向があります。また、処理のために、現実と画面上で見た画像との間に非常にわずかな遅延がある。これはほとんどのユーザーにとっては目立たないし、重要な要素ではないでしょう。ただハイエンドのスポーツ写真家などは、この理由からデジタル一眼レフカメラにこだわる向きがあります。
 また、デジタル一眼レフカメラのレンズは、使用可能な期間が長く、バッテリーの寿命もミラーレスカメラよりも長くなっています。


ミラーレスカメラの操作方法

 ミラーレスカメラを箱から出してみると、おそらく多くのボタンやコントロールがあり、よくわからないラベルやマークが並んでいると思われるでしょう。

 「いろいろあるけどよくわからん」と言ってオートモードのままにしておきたくなるかもしれません。これはごく自然な反応です。しかし、カメラを最大限に活用するためには、少なくともいくつかのボタンが何をするのかを学んでおいて損はありません。



シャッター

 シャッターボタンは、写真を撮るときに押すボタンです。これは通常、右手の人差し指で操作するカメラの右上にあります。私の知る限りでは、左利き用にシャッターボタンが配置された左利き用のカメラはありません。


モードダイヤル
モードダイアル:出典 Nikon Home Page


 デジタル一眼レフカメラや一部の先進的なコンパクトカメラと同様に、ミラーレスカメラにも操作できるさまざまなモードがあります。これらのモードは、一般的にカメラをどの程度までマニュアルで制御するかを定義するために使用されます。

それらは、すべてカメラ任せのフルオート・モードから、完全マニュアルモードまでいろいろあります。

 カメラのモードを変更するには、モードダイヤルを回転させて希望のモードにするだけです。これにより、カメラのモードが瞬時に変更され、操作モードを変更すると、通常、新しいモードが画面上に表示されます。

 利用できる正確なモードは、カメラのモデルによって異なりますが、以下のようなものです。


オートモード
 これは、ほとんどのカメラで設定されているデフォルトのモードです。自動モードでは、シャッタースピード、絞り、ISOの設定など、カメラがすべてを処理してくれます。また、フォーカスポイントを選択し、フラッシュがあれば発光させることもあります。オートは、被写体にカメラを向けてシャッターボタンを押すだけで撮影できるように設計されています。

シーンモード
 デフォルトのオートモードと同様に、今どきのほとんどのカメラには通常「シーン」モードと呼ばれるテーマ別のオートモードがいくつか搭載されています。カメラによって様々ですが、例えば、風景オートモード、ポートレート・モード、夜景モード、マクロモードなどが代表的なものです。これらのモードは、主に初心者のためのもので、シーン別に最適な設定をプリセットで用意されているわけです。

Pモード
 これはプログラムオートの略です。自動モードの少し高度なバージョンといえます。露出補正による画像の明るさの増減、ISOの調整、ホワイトバランスの変更などが可能になります。より多くのマニュアルコントロールへの足がかりになります。

A (または AV)モード
 これは絞り優先モードです。絞りを主体に設定することができ、カメラはシーンの光を評価し、適切なシャッターを設定します。また、ISOの調整や露出補正で明るさを調整することもできます。絞りでは被写界深度をコントロールすることができ、このモードはポートレート撮影でも風景撮影でも威力を発揮します。

S、T
、または Tvモード
 シャッター優先モードです。シャッターを設定すると、カメラがシーンの光を評価して適切な絞りを設定します。また、ISOを調整することもできます。このモードは、シャッターを制御する以外は、基本的には絞り優先と同じです。露出補正を使って明るさを調整することもできます。シャッター優先は、動きの速い被写体を止まって見せるなど、ショットの動きをコントロールしたい場合に最適です。

Mモード
 フルマニュアルモードです。このモードでは、絞り、シャッタースピード、ISOをコントロールします。カメラは露出計を使って、画像の露出が不足しているか、あるいは過剰になっているかを教えてくれます。このモードでは、露出を完全にコントロールできるので、露出補正は使えません。また、このモードではISOを調整することもできます。

 初心者は、カメラの感触をつかむためにオートで撮影を始めたいかもしれませんが、最終的には絞り優先、シャッター優先、マニュアルモードでの撮影を目指すことをお勧めします。これらのモードは、画像や構図の最終的な外観を最も制御することができます。


 マニュアルモードはビギナーには敷居が高く感じられるでしょう。でも無理に移行する必要はありません。マニュアルモードは長時間露光写真や天体写真のような特定の写真撮影には便利ですが、趣味でさっと撮りたい人には向いていません。ビギナーを卒業した人でも大抵は絞り優先かシャッター優先モードで撮影するものです。



コントロールホイール
 カメラによっては、1つまたは複数のコントロールホイールが用意されています。これらのコントロールホイールは、カメラのさまざまな場所に設置されています。コントロールホイールの一般的な場所はシャッターボタンの近くで、人差し指で簡単に調整できます。

 コントロールホイールはまた、しばしばカメラの背面またはカメラの上部に見つけることができます。例えば、私が使っているパナソニックのLUMIX G8では、シャッターボタンの周りにコントロールホイールがあり、シャッターボタンの後ろのカメラ上部にもコントロールホイールがあります。

 通常、コントロールホイールは特定の設定を調整するために使用されます。それが何を変えるかは、カメラのモードによって異なります。
 例えば、絞り優先モードでは、通常、コントロールホイールを使用して絞りを上げたり下げたりすることができます。シャッター優先モードでは、通常、コントロールホイールはシャッタースピードを増減させます。

 カメラに複数のコントロールホイールがある場合、マニュアルモードでは、1つのホイールで絞りを調整し、もう1つのホイールでシャッタースピードを調整します。

 カメラによっては、各コントロールホイールの内容を別の設定に割り当て変更できる場合があります。例えば、露出補正やISOの設定、ホワイトバランスの設定などを管理するように設定できるものも多いです。
 デフォルトの設定でも問題はありませんが、自分のニーズに合わせて自由に調整してみてください。


ISOボタン
 ほぼすべてのミラーレスカメラには、カメラの背面または上部に専用のISOボタンがあるはずです。このボタンを押すと、ISO設定に直接アクセスできます。多くの場合、ISOボタンを押すと、コントロールホイールがISOを調整することになります。

 ISOを上げた場合の副作用として、画像にノイズが多くなることがあります。最近のミラーレスカメラのほとんどは、ISO100~800の範囲(日常的に使用する場合は100~400の範囲をお勧めします)で十分な性能を発揮しますが、ISO1600以上になるとノイズが入るのが普通です。
 ノイズは、画像に粒状感や色の滲みとして現れます。カメラの画面ではわかりにくいかもしれませんが、コンピュータ画面で100%にして見ると一目瞭然です。
 ノイズの問題があるため、ISOは画像の明るさを調整するための最後のコントロールとなります。理想的には、絞りとシャッタースピードを調整して、ISOを低く設定することで、正しい露出を得ることができます。

 もちろん、これが常に可能というわけではありません。低光量で撮影しているときは、ISOを上げる必要があるかもしれません。しかし、これを100~400の通常の範囲に戻すことを忘れないようにしましょう。ISOを高くしすぎると、撮影した画像がノイズの多いものになってしまう危険性があります。


露出補正ボタン (+/-)
 露出補正は、スマートフォンやコンパクトカメラなど、ほとんどのカメラに共通する機能です。基本的には、設定を弄ることなく画像を明るくしたり暗くしたりすることができるクイックオーバーライドボタンです。

 ほとんどの状況では、明るすぎず、暗すぎず、正しく露出された画像が求められます。カメラは、この適正露出を計算するために様々な方法を使っていますが、常に正しいとは限りません。そのため、露出補正ボタンを使って、画像の明るさを上げたり下げたりするようにカメラに指示することができます。通常、これには+/-ボタンが付いています。

 ボタンを押すと、露出補正の値を上げたり下げたりすることができます。これは、画面上で行うこともできますし、露出補正が選択されているときにコントロールホイールを使って行うこともできます。
 カメラによっては、ボタンではなく、専用の露出補正ホイールが付いているものもあります。これも同じ効果が得られます。

 ミラーレスカメラでは、露出設定の変更により画像が明るくなったり暗くなったりするので、その変化は画面上ですぐにわかるはずです。

 露出補正の設定を変更すると、カメラが絞りやシャッタースピード、ISOを調整して、実際に画像を明るくしたり暗くしたりしているのがわかります。画面上にこれらの設定の数字が表示されます。

 ISOと同様に、使い終わったら露出補正をゼロに戻すことを忘れないようにしましょう。この設定戻し忘れは、よくある写真撮影の失敗例です。



フォーカスモード
 写真を撮るとき、被写体をきれいでシャープにしたいと思います。このシャープさは、ピントを調整することによって達成されます。ピントの合った画像はシャープに、ピントの合っていない画像はぼやけてしまいます。
 現在市場に出回っているほとんどのミラーレスカメラには、さまざまなフォーカスモードが搭載されており、フォーカスを調整することができます。カメラのフォーカスモードボタンは、ダイヤルやトグルでもあり、モードを素早く切り替えることができます。

 カメラのボタンを探している場合は、通常、オートフォーカスの略である「AF」のようなラベルが貼られています。ボタンからアクセスできない場合は、カメラの設定メニューで「フォーカスモード」のようなものが表示されます。
 カメラに搭載されている正確なモードはメーカーによって異なりますが、通常は少なくとも3つのモードがあり、素早くアクセスすることができます。

第一のモードは、標準のフォーカスモードで、通常オートフォーカス・シングルと呼ばれています。これは、動きのない被写体に使用するフォーカスモードです。このモードでは、カメラは被写体にピントを合わせ、その後フォーカスをロックします。


次のモードは、オートフォーカス連写と呼ばれるものになります。このモードでは、一度被写体があると、動いていてもカメラが自動でピントを合わせてくれます。つまり、被写体が動いていても、何枚も撮っているうちにシャープな写真が撮れるということです。連続フォーカスは、野生動物の写真、スポーツイベントの写真、人が動いている写真など、動いている被写体に適しています。

 3つ目のモードはマニュアルモードです。これはフォーカスを完全に手動で制御していることを意味します。通常、レンズ自体にフォーカスリングがあり、それをひねることでフォーカスを変更することができます。

 最近のカメラには、上記のモードからの追加バージョンがあることを付け加えておきます。例えば、多くのカメラは、フォーカスのために何らかの顔や目の検出を提供していますが、これはカメラが自動的に被写体の顔や目を検出してフォーカスを追跡することを意味します。これは、動いている人の写真を撮るのに特に便利です。


ズーム/焦点距離リング
 ミラーレスカメラは、デジタル一眼レフカメラのように、撮影するものによってレンズを変えることができます。レンズには2種類の種類があります。ズームがない「プライム」レンズと、シーンに合わせて拡大・縮小できる「ズーム」レンズです。

 写真用語では、この「ズーム」のことを「焦点距離」といいます。これはmm単位の数字です。数字が小さければ小さいほど、撮影範囲が広くなり、より多くのシーンを見ることができます。数字が大きいほど、撮影範囲が狭くなり、被写体が大きくなります。

ほとんどのレンズには専用の焦点距離/ズームリングが付いていて、それを回すことでズーム量を増減させることができます。いくつかのレンズは、電子的にレンズをズームインとアウトするために使用することができます。


測光モード
 多くの場合カメラの背面にあるもう一つのボタンで、測光モードを素早く変更することができます。前述のように、実際に写真を撮る前に、カメラはシーンの光量を測定して正しい設定を計算します。これは正しい露出を得て、画像が明るすぎたり暗すぎたりしないようにするためです。

カメラが光を測定する方法は、測光と呼ばれるプロセスを介して行われます。
分割測光        中央重点測光       スポット測光



 デフォルトでは、ほとんどのカメラはフレーム内のシーン全体を評価してバランスのとれた露出を作成するように設定されています。しかし、暗い部分と明るい部分のコントラストが非常に強いシーンなど、これでは最良の結果が得られない場合もあります。

 このような難しい状況でも良い結果を得るために、カメラを異なる測光モードに設定することで対処します。これにより、カメラはあなたが露出を正しく設定したいシーンの部分に焦点を合わせることができるのです。

 カメラによって異なる測光モードがあります。ほとんどのカメラは、画像の中心部の光情報のみを使用するスポット測光モードを持っています。他のカメラでは、測光ポイントをフォーカルポイントに設定できる場合がありますが、これも多くの場合、有効なオプションです。
 カメラによって測光モードボタンはありませんが、この機能はメニューシステムからアクセスする場合があります。


シューティング・モード
 カメラには撮影したい状況に応じて、単発モード、連写モード、タイマーモードなどが用意されています。
 単発モードでは、シャッターボタンを押すと1枚の写真が撮影されます。別の写真を撮るには、シャッターボタンから指を離して、もう一度シャッターボタンを押さなければなりません。
 連写モードは、シャッターボタンを押している間、カメラが撮影を続けます。激しい動きのアクションショットを撮影するのに適しています。すべての写真をシャープでピントの合ったものにするためには、連続撮影モードとの組み合わせで使用する必要があることに注意してください。
 またこれはご存じかもしれませんが、ほとんどのカメラにはタイマーモードが搭載されています。シャッターボタンを押すと、一定時間(多くの場合は10秒か2秒)後にカメラが画像を撮影します。これは、自撮りやグループショットの撮影に便利です。



まとめ

 以上でミラーレスカメラの概要説明は終わりです。まずは実際にカメラを手に取ってみて、どのボタンがどういう働きをするのか、ひとつひとつ試してみてください。多くの設定は複合的に機能しますので、最初わからなくても、操作と撮影を繰り返すことで、自然に理解できてきます。
 フィルムカメラの時代は一枚満足する写真を撮るために、フィルムの現像の繰り返しという、手間と時間のかかる作業が必要でした。デジタル・カメラのいいところは結果がすぐに目に見えることです。数をこなし体験を積めば、必ずいい写真が撮れるようになります。ぜひお持ちのカメラを自在に操れるようトレーニングを繰り返してくださいね。