2021年2月15日月曜日

カメラ初心者向き:レンズのすすめ

写真ビギナー次のステップ

                            
                                       

 最初に一眼レフやミラーレスカメラを買う人は大抵キットレンズの付いたセットを入手するでしょう。キットレンズの多くは標準ズームレンズで、それはそれなりに便利に使えます。しかしそれで満足しないでください、きっとあなたのカメラの潜在能力はそれだけではありませんよ。より高性能なレンズと組み合わせることで、いままで得たことのない撮影領域をその目で確かめることができるはずです。



初心者のためのカメラレンズガイド

 カメラのレンズは、写真を撮る上で最も重要なものと言えます。デジタル一眼レフカメラの標準レンズでも多くのことができますが、交換レンズを使えば、よりダイナミックな写真を撮ることができます。投資する価値は十分にありますので、写真初心者としてレンズを選ぶ際に注意すべき点を把握してみましょう。


レンズの役割
 カメラのレンズが行う大事な仕事は2つあります。カメラに十分な光を取り入れ、その光をカメラセンサー面にピントを合わせて当てることです。
 せっかく高性能なカメラを持っていても、暗いレンズや焦点の甘いレンズでは、カメラ本来の能力を引き出すことができません、逆に、そこそこの性能のカメラでも、優れたレンズと交換することで、目を見張るような写真に出会い可能性も出てくるのです。


カメラレンズの特性

焦点距離
 これは写真撮影において最も重要な特徴の一つです。焦点距離はレンズ自体の実際の外径とは関係ありません。
 焦点距離の特性は、レンズを向けている画像がどれくらい見えるか、どれくらい拡大されるかを示しています。焦点距離が短ければ短いほど、見えている部分が多くなり、拡大されている部分が少なくなります。

絞り
 これは、カメラに光を取り込むためのレンズの開口部の大小のことです。この機能は、写真の暗さや明るさ、写真の深さ、焦点が合っているかどうかなど、写真撮影において多くのことをコントロールします。
 絞りを小さくしたり大きくするためにレンズの上に丸められた小さなブレードのセットで、人間の目を模倣した動きをします。

 絞りは、f(f/2.8、f/4、f/8、f/16など)の文字を組み合わせた数字で表されています。これらは、レンズがどのくらい開いているか、または閉じているかを表しています。
 ここで気をつけたいのは、最大絞りです。これを目安にすれば、画像のどの部分にピントが合うか、ピントが合わないかをコントロールすることができます。


手ぶれ補正レンズ
 写真撮影における最も重要な技術革新の一つは、手ぶれ補正でしょう。この画期的な機構のおかげで、カメラマンは手ブレ以外のことに注意を注いで撮影することができるようになりました。

カメラのレンズの種類
 レンズにはざっくり分けると、焦点距離を変えられるもの(ズームレンズ)と変えられないもの(プライムレンズ)の2種類があります。

 プライムレンズの方が速いのでシャープに写る傾向がありますが、ズームレンズに比べると自由度が低いです。ズームレンズは、焦点距離を変えることができるので、何本も持っていく必要がないので、特に旅行には万能なレンズとして人気があります。どちらにも長所と短所があり、初心者には人気のあるオプションです。

 標準ズームのキットレンズに慣れてきて、次の段階にステップアップするなら、単焦点レンズがおススメです。とくにF値の低いf1.2からf2.8ぐらいの明るい単焦点レンズなら、ちょっと試しただけで、なんだか写真の腕前が上がったような気にさせられるほどいい写りを体感できるでしょう。


 下左の写真は単焦点レンズf1.7で撮ったものです。右は同じ条件で、標準ズームレンズのもっとも明るいF値(この場合f5.3)で撮ったものです。単焦点の方が、花束は明るく背景はボケの効いた写真となっております。

 このように、単焦点レンズの有利な点は、一般的に被写体に十分な光を与えられるため、被写界深度の浅い、メリハリのある写真が撮れます。シャッタースピードも暗い標準ズームよりも落として撮れる分だけ、余裕の撮影ができます。画角に制限ができますが、まずは自分にあった焦点距離のレンズを選んで、撮りやすい距離感を掴むことが上達への秘訣です。




カメラレンズのタイプ別分類
 レンズはその特性から見て分類できます。一般的には便宜上、以下のように大きくレンズを分けて呼んできます。

・広角カメラレンズ(10-35mm前後)
 広角レンズは、一般的に人間の目が見ることができる範囲よりも広い視野を提供します。風景や建築物などの広い範囲をカバーしたい場合は、このレンズをお勧めします。

・標準レンズ(35-85mm前後)
 このレンズは目の景色に似ています。そのため、自然でキレのある写真が撮れます。

・マクロレンズ(35mmカメラで50mm程度)
 マクロレンズは、特に自然界での接写に使用されてきました。植物や昆虫の細部を見るのに適した構成のレンズ群を採用しています。最近では料理のクローズアップやブツ撮りと言われる、商品をネットで挙げる際の写真を見栄えよくするために、高品質のマクロレンズが使われています。

・望遠(100-300mm以上)
 遠く離れた被写体を撮影するためのものです。スポーツ写真や野生動物の自然な姿を撮るときによく使われます。また望遠を使えば、写真の奥行きをなくして、圧縮効果と言って、写真をフラットに見せることもできます。

・魚眼レンズ
 すべての写真を魚鉢やスノードームで撮影されたように見せてくれます。

                                  


カメラのレンズを選ぶ

 たくさんのレンズの中からどれを選ぶのかは、簡単な作業ではありません。レンズを選ぶときに何に気をつけるべきか、いくつかのヒントをあげてみましょう。

サイズと重量
 常にレンズのサイズと重量を確認してください。高性能なレンズには非常に重たく大きいものがざらにあります。値段も一桁違ったりします。せっかく素晴らしいスペックのレンズを買っても、扱いづらくて使わなくなってしまうことがままありますので、見た目の大きさ、重さは意外に重要な選択要因となります。

互換性
 すべてのカメラがすべてのレンズと互換性があるわけではないです。買ってから自分のカメラでは使えないなどという事がないよう、事前に互換性をチェックしておきましょう。サードパーティ製の交換レンズを選ぶ場合も、物理的に同じマウントで交換可能であっても、相性の問題や一部機能が使えない準互換可というレンズもありますので、購入時は入念にチェックする必要があります。

レンズの特徴

 すでに述べたように、レンズで最も重要な機能は、焦点距離と絞りですが、それだけでなく、プライムレンズなのかズームレンズであるか、遅かれ早かれそこに着目することになります。
 撮ろうとする対象によってレンズは自ずと選別されていくでしょう。


レンズを最大限に活用するには
 
 さまざまな焦点距離を試してみる 

 絞りの範囲を変えて試し撮りしていきましょう

 写真に適した背景の選び方を学ぶ

 練習して撮った写真を自分で批判する

 写真を整理する

 撮った写真を編集することで、次の課題と必要なレンズが見えてきます。


まとめ
 数ある交換レンズの中から限られた予算の中で、ベストな一本を選ぶのは苦労も多いけど、探している間は楽しいものです。はじめは試しに、中古のレンズを買ってみるもの一つのやり方です。中古レンズを上手に買いそろえれば、高価な大三元レンズに匹敵するレンズの布陣を敷くことも可能です。交換レンズは将棋に例えれば自分の手駒。様々な作戦を練ってどのレンズで何を撮るのか考えることで、写真撮影の楽しみはより深まっていくでしょう。ビギナーの方、まずは明るいレンズを手掛かりに選んで、キットレンズにはない撮影領域を手に入れてみてください。

2021年2月14日日曜日

イチ押し:キャノン のミラーレス

キャノン EOS RP




 2021年2月現在、キャノンのフルフレーム・ミラーレスカメラEOS RPがお買い得になっています。フルサイズのミラーレスとして破格の安値でいま新品が買えます。あ、これアメリカでの話ですが、輸入してでも買っておきたい低価格です。アメリカはプレジデントデーに合わせて毎年セールをやるのですが、クリスマス以来のセールということで、家電全般がお買い時となります。

 私が注目したCANON EOS RPは、アマゾンやベストバイで1299ドル。これは「24-105mm f/4-7.1 IS STM レンズ」が付属したものです。とても安い!(ボディだけだと$899!)。価格ドットコムによるとこの同じモデル、日本ではいま平均価格が¥164,219となっております。それと比べてもアメリカの EOS RPは異常ともいえる安さです。ライバルと目されるSONY a7 IIIがいまだ$1900前後(キットレンズ付き)で売られているのに比べると、より新しいEOS RPがこの価格で買えるのは驚きです。邪推ですが、そろそろ後継機種が出るという噂もあるので、それを見越して在庫を一掃しようという、売り手の狙いがあるのかもしれません。たとえそうだとしても、


EOS RPの完成度はかなり高く、末永く使用できる一台となっております。

 この価格帯でフルサイズ・ミラーレスは皆無で、より小さなセンサーのAPS-C機でソニーのa6600やニコンのZ50が並んでしまいます。2020年4月の発売した比較的新しいフルサイズでこの値下がりぶりが、いかに異例かがわかります。

 EOS RPは日本でも半年ほど前から平均価格が徐々に下がっていく傾向にありましたが今年に入って急落しました。おそらく今が底値かと思います。でもアメリカはすでにそれをさらに下回る価格なので、買うならもう、今じゃないでしょうか。(在庫が掃ければ、おそらくまた元の価格に戻るでしょう)


 ではこのEOS RP、なぜこんなに安いのでしょうか?

 基本性能はほとんどキャノンの上位機種に引けを取りません。むろん画素数やシャッタースピード等は差別化を図っていますが、写り自体は同じ画像エンジンなのでそう大差がでるものではありません。製造コストで抑えられたのは、ボディ内手振れ補正がない、操作ボタンが少ない、などが挙げられるでしょう。アマゾンや価格ドットコムのレビューを見ても決して人気がないわけでもなく、むしろ高評価の方が目立ちます。

 一つには、マーケティングの問題があります。売る側はともすれば、ハイエンド機に力を入れて売りますし、買う側もどうしてもより高スペックの機種に目が映りがちで、メディア等のレビューも最新の上級機種を目玉にする傾向にあります。とりわけこのEOS RPが発売された時期が問題で、その前後数か月に、キャノンもソニーもニコンもハイエンドクラスのミラーレスを連発していたので、入門機的位置づけのEOS RPはすっかり埋もれてしまったわけです。

 しかしこの機種ほどフルサイズ・カメラ入門にふさわしいいカメラはありません。以前なら、一眼レフでキャノンのEOS 6DやニコンのD700系が人気、実力申し分なかったのですがEOS RPはそれらに匹敵する機能を持ちながら、軽量小型で操作系もより簡単になっています。フルサイズカメラの入り口としてまさに最適な一台となっているのです。

EOS RP 作例 1



 ではそのEOS RPの実力をスペックから見ていきましょう。


撮像画面サイズ : 35.9×24.0mm(フルサイズ)

映像素子型式 : CMOSセンサー

有効画素数 : 約2620万画素

オートフォーカス方式 : デュアルピクセル CMOS AF方式

測距点 : 4779点

常用ISO感度 : ISO100~40000

シャッター速度 : 1/4000~30秒、バルブ

連写性能 : 最高約5.0コマ/秒(ワンショットAF使用時)

画面 : 3.0型/約104万ドット

通信機能 : Wi-Fi/Bluetooth

大きさ : 132.5×85.×70.0mm

質量 : 約485g




 これをみれば、本格的にカメラを撮影するには十分なスペックと言えます。

RF24-105mm Lens F4-7.1 IS STM Lens Kit

 
 ではEOS RPの長所と短所を見ていきましょう。

EOS RPのいいところ


画質
 6D Mark IIと同様の光学ローパスフィルターを搭載した26.2MPのCMOSセンサーと、画像処理プロセッサ「DIGIC 8」を搭載しています。全体的に画質は優れており、実質的には6D Mark IIと同じ。生成される14ビットRAW画像は、キヤノンの美学を感じさせるシャープなもので、私たちが知っているキヤノンの美学と色再現性を備えています。

 また、新しい圧縮RAWフォーマット「C-RAW」を搭載しており、ファイルサイズを少し小さくしてディスク容量を節約することができます。
 連続撮影速度は、AFなしで5fps、AFありで4fps、トラッキングありで2.6fpsと、価格帯の割にはリーズナブルなレートを実現。


ビデオ画質
 最大24fpsの4K UHD動画、最大60fpsの1080p FHD動画を撮影し、スローモーション撮影が可能です。また、MPEG-4コーデックを使用して、互換性の高いMP4フォーマットに映像を記録します。最近リリースされたファームウェアのアップデートにより、発売時には欠けていたフレームレートである1080pでの24fps記録が可能になりました。全体的にこのカメラが生成する動画映像はシャープでメリハリがあります。
 また、ハイエンドのIPB圧縮方式に加えて、4Kで120Mbps、1080pで60Mbpsの強力なデータレートを提供しており、ビデオは後処理の調整に十分な余裕があります。
 連続撮影時間はこのクラスの多くのカメラと同様に、標準的な29分59秒のビデオ録画制限があります。
 

低照度時の性能
 ISO100から40,000までのネイティブISOレンジを備え、さらにISO102,400に相当するH2設定まで拡張可能です。ISO6,400までは、ポストプロダクションでのノイズリダクションを必要とせずに撮影が可能です。


フォーカス性能
 EOS Rと同様のオートフォーカスシステムを持っています。最大4,779点のAFポイントを搭載し、撮影エリアの80%をカバーします。また、キヤノンのデュアルピクセルCMOS AFを搭載しており、写真や動画のライブビューでスムーズにピントを合わせることができます。また、AF-CにはFace+TrackingとEye-detectが追加されています。

 最新のファームウェアアップデートにより、これらの機能の作動距離が改善され、長距離での撮影が可能になりました。全体的に、トラッキングの実装は優れており、以前よりも大幅に改善されています。オートフォーカス性能は速く正確で、EOS Rとほぼ同じです。
 マニュアルフォーカスのためのフォーカスピーキング機能と拡大機能を搭載し、正確なピント合わせが可能です。


モニターとファインダー
 3.0インチのバリアングルTFTタッチスクリーンLCDを搭載しています。解像度は104万ドットで、画像領域を100%カバーします。タッチ反応は良好で、クリアビューIIコーティングにより、屋外での明るい場所での使用で反射防止を実現しています。タッチスクリーンには、タッチフォーカス、ドラッグフォーカス、タッチシャッター、ピンチでズーム、フルメニューナビゲーションなどの機能も搭載されています。

 
ファインダーは2.36Mドットの解像度と0.7倍の倍率で、EOS M50などと同様の電子ビューファインダーを採用しています。EOS Rのような360万ドットのパネルではありませんが、日常的に使用するには十分以上のシャープさを持っています。また、アイレリーフ、正確な色再現、60Hzのリフレッシュレートで待ち時間を短縮しています。


ユーザーインターフェース
 キヤノンの標準的なメニューを備えており、初めての人にもなじみやすいでしょう。メニューはよく整理されていて、ナビゲートしやすく、直感的に操作できます。また、このカメラは完全なタッチ対応のインターフェイスを備えており、キヤノンはこのスタイルの入力に見事に成功しています。元々キヤノンは優れたタッチスクリーンインターフェースで知られていますが、このカメラもその期待を裏切りません。
 軍艦部には
3つのカスタム撮影モード、C1-C3を備えています。また合計12個のカスタマイズできる物理ボタンを搭載しています。さらにカスタマイズ可能なマイメニューを搭載しており、最大6つの最上位アイテムとカスタム機能が利用可能で、合計で最大5つのメニュータブが存在します。


レイアウトとデザイン
 このカメラはEOS Rよりも小さくて軽い。当然のことながら、EOS Rはキヤノンがこれまでに発売したフルフレームカメラの中で最も小さく、最も軽いカメラであり、ボディのみの重量はわずか440gです。しかし、その小ささゆえに、よりわかりやすいデザインになっており、初めての人にも十分に使いやすいカメラになっています。

 ボタンはしっかりとしていて、手触りが良いです。すべてのボタンの配置は考え抜かれていて、かなり戦略的です。また、レイアウトも不要なものはなくごちゃごちゃしているとは感じません。要するに、このカメラは操作性が良く、使い心地がベターなのです。

 EOS RPは、マグネシウム合金のシャーシをポリカーボネートプラスチックで囲んだ構造を採用しています。この構造により、6D Mark IIと同レベルの耐候性を実現しています
。しかし、手に持ってみると、RebelシリーズのボディやEOS M50を彷彿とさせます。
 2つのコントロールダイヤルは、どちらも金属製でグリップ力を高めています。


その他の特徴
 Wi-FiとBluetooth接続を内蔵しており、ワイヤレスでの画像転送や遠隔操作にも対応しています。Bluetoothでは、ペアリングしたスマホを使って自動的にGPS情報を埋め込むこともできます。
 またUSB-Cポートを搭載しており、バッテリーバンクや他のアクセサリーを介してUSB充電をサポートすることができます。
 フォーカススタッキング機能を内蔵しており、撮影枚数(最大999枚まで)や撮影間隔をカスタマイズすることができます。
 マイク入力・
ヘッドフォン入力を搭載しています。
 完全無音の電子シャッターに切り替えられます。
 UHS-IIカードをサポートし、より高速な読み書きが可能です。
 
 などなど。

EOS RP 作例 2

      

EOS RPのイマイチなところ

画像性能
 6D Mark IIと同様に、このカメラのセンサーは、ユーザーが後処理でRAWファイルを使用するする余地が少ないと言えます。ダイナミックレンジが競合他社に比べてはるかに低いため、長時間撮影していると、写真の自由度と柔軟性の不足に気が付くでしょう。


 SONY a7 IIIなどと比べて、高感度耐性が落ちます。比較的画像がノイズに乗りやすく、RAWでの処理も思うほどにはうまくできません。全体的には、暗いシャドウと明るいハイライトが際立つようなシーンでの撮影には向いてません。
 このような環境で撮影する場合は、露出に注意するか、コントラストの低い照明で撮影することをお勧めします。
 またバースト時の追尾AFでは、ファインダーのブラックアウトが激しく、フレーム内の被写体を正確に追尾することができません。


動画機能
 前に出たEOS Rのように、カメラを4Kに切り替えると、フレームに1.8倍の巨大なクロップファクターが発生します。そのため、同じ焦点距離を維持したまま4Kで撮影するには、レンズの交換が必要になります。また、4Kで撮影する場合は、EF-Sレンズを使用するのがベストです。
 また、このクラスのミラーレスカメラの多くが悩まされている、4K撮影時のローリングシャッターの悪さも気になります。左右にパンする際には、この影響で歪曲してしまうので注意が必要です。
 このカメラには120fpsのような高フレームレートのオプションがありません。また、EOS Rの10ビットHDMIとC-Logプロファイルもできない仕様となっています。


オートフォーカス性能
 4Kの最も残念な欠点は、このモードで発生するデュアルピクセルAFの損失です。その代わりに、カメラはデフォルトでコントラストAFシステムを使用しますが、これは非常に遅くて不正確です。4K撮影の際には、手動でピントを合わせるのがベストでしょう。
 EOS Rに見られる便利なマニュアルフォーカスガイド機能がないのは残念です。


バッテリー
 EOS RPのバッテリー駆動時間は非常に悪く、ミラーレスカメラとしては平均以下です。このカメラには予備のバッテリーが必要です。


まとめ

 相対的にみて、これから本格的にカメラを始める人、もしくはAPS-Cからのステップアップを図りたい方のために最適なフルサイズカメラと言えます。特に一眼レフか、ミラーレスかで迷っている入門者には、強くEPS RPをお勧めします。なにより基本性能に優れ、スチル写真を撮るうえで必要十分な能力を小さな筐体にぎっしり詰め込んでいます。
 どうしてもフルサイズというと重量がかさばり、構えて撮らなければならないのが基本ですが、このEPS RPの重量ならどこへでも持ち歩け、気軽にスナップ撮影もできますし、もちろん本格的な撮影にも対応します。
 先述のようにバッテリーの少なさ、手ブレの懸念などもありますが、予備バッテリーや手振れ防止付きレンズでそれらはカバーできます。 
 あとはキャノンとサードパーティ製のRFレンズのラインアップが充実してくれば、撮れないものは無いと言えるほどの、無敵の可能性を秘めたカメラです。
 価格の下がっているこの機会に、購入を検討してみてはいかがでしょうか。

 

2021年2月13日土曜日

一眼レフ対ミラーレス

カメラ:システムの選択肢



ミラーレスカメラとデジタル一眼レフ。今選ぶならどちらがベストなのか?

 これまでソニーが独壇場だったフルフレーム・ミラーレスの土俵に、一昨年、老舗のニコンとキャノンが参戦して以来、カメラ市場は大きな変革期を迎え、ユーザーにも賛否両論、どちらを選ぶかで、様々な意見や議論が飛び交うようになりました。


 そんな中、初心者はどちらのカメラを選べばよいのでしょうか。年季の入ったユーザーとはまた違った観点から、今後のカメラ選びを考えて行きたいと思います。


 このガイドでは、2つのシステムの主な違いを比較していきます。


 ソニーがフルフレームカメラの最大手として市場を支配し続けているだけでなく、ニコンやキヤノンもZやEOS Rのラインでミラーレスに参入しています。デジタル一眼レフはもちろんのこと、多くのハイエンドミラーレスのオプションがある中で、今どのような基準で選択するべきでしょうか?

 以下では、両方のシステムの長所と短所を分析します。


 ミラーレスとデジタル一眼レフ、
どちらがすぐれているのか?


 もしこう問われれば、写真家であれ、カメラメーカーであれ、だれも簡単に答えることはできないでしょう。どちらも一長一短があり、カメラに関連するすべてのことがそうであるように、「何が良いか」は、スキルレベル、撮影スタイル、ワークフローなどに左右されることが多いのです。なので以下では、初心者がミラーレスやデジタル一眼レフを選ぶ際に考慮すべき8つの異なる要素を見てみましょう。


1. サイズと重量

 ミラーレスカメラとデジタル一眼レフカメラの最も顕著な違いの一つは、そのサイズです。長い間、サイズはキヤノンの1DX Mark IIIのような高価なトップパフォーマーの代名詞でした。(デカい=プロの権威みたいな。)ミラーレスカメラはボディサイズを大幅に小さくしたことで、この論理を覆してしまいました。コンパクトでも高性能ならそのほうがいいじゃないかってワケです。

 デジタル一眼レフカメラは、ミラーや光学ファインダーの機構を収めるために大きくする必要があり、その結果、サイズと重量が増加します。しかし、大型化は必ずしもマイナスではなく、大型ボディのエルゴノミクスは、手の大きな人にとって理想的なものになります。安定性、剛性の面でも大きい方がいいという観念は、高級乗用車などにも言えることです。

 対照的にミラーレスカメラは、ミラーを省き、サイズ(と重量)を大幅に小さくすることができました。ミラーレスカメラが最初に市場に出たとき、その大きなセールスポイントの1つは、そのサイズでした。
 ミラーレスカメラでは、レンズの背面はセンサーに近くなります。フランジ距離が短いほど、カメラボディは小型軽量化される傾向にあります。フランジ距離が短いことは、適応レンズにもメリットがあります。光学的には、フランジ距離が短いことは、レンズ設計の簡素化を可能にし、コンパクトで明るい広角レンズの製作を特に容易にするという点で有用です。これは、多くの広角レンズの設計では、レンズの背面近くにピントを合わせたいと考えているため、デジタル一眼レフカメラではしばしば課題となっていました。デジタル一眼レフカメラは、追加で重いガラス素子を組み込まなければならないため、焦点位置がセンサーに当たるのに遠くにずれてしまい、セットアップが大きくて重いものになってしまうのです。

 ミラーレスカメラのコンパクトなサイズは、カメラバッグに追加レンズを入れるためのスペースが増え、機材全体の省スペース化にも貢献します。しかし、ミラーレスカメラ本体の問題として、ダイヤルやボタンなど操作系に割くスペースが少なくなるという弊害があります。加えて
手の大きい人には小型化はかえって使いづらいことになる懸念があります。それを回避するために、一部のミラーレスは、オプションでグリップやカメラ底部の追加が可能となっています。



2. オートフォーカス
 オートフォーカスの仕組みは、ミラーレスカメラとデジタル一眼レフカメラの大きな違いの一つです。これらの違いを理解するためには、まず、最新のデジタルカメラで使用されているオートフォーカスの種類である位相差検出コントラスト検出について理解する必要があります。

位相差検出

 レンズに入射した光の一部をファインダーからカメラの底部にある別のオートフォーカスセンサーアレイに向けることで、2枚目の小型ミラーに依存させます。位相検出は、基本的にカメラに焦点を合わせる方向を教えてくれます。動いている被写体に素早くピントを合わせることができ、前景のトラッキングにも優れています。

コントラスト検出
 イメージセンサーを使用して、想定の中で最も高いコントラストを検出します。この方法は、通常、静止した被写体で単発オートフォーカスを撮影する際に、最も正確なフォーカスが得られます。しかし、コントラスト検出は遅くなる傾向があります。オートフォーカスモーターが被写体をピックアップするために、前後に動く挙動を見せます。これはコントラスト検出が働いているということなのです。
 デジタル一眼レフカメラの動きの速い被写体へのピント合わせ能力は素晴らしく、Nikon D4sやCanon 1D Xのようなハイエンドモデルでは、位相差とコントラスト検出の両方を搭載していますが、それなりの価格設定がされています。

 もう一点、デジタル一眼レフカメラは、ミラーを上に向けたときのコントラストフォーカスに依存しているため、動画撮影時にはほとんどのカメラでオートフォーカスが悪くなってしまうことを付け加えておきます。

 過去には、ミラーレスカメラはコントラスト検出のみに頼っていましたが、近年コントラスト検出は苦戦する傾向があり、特に低照度下では遅くなりがちです。よって今日では、ほとんどのミラーレスカメラはハイブリッドオートフォーカスシステムを採用しつつあり、フォーカスの大部分はコントラスト検出によって行われますが、オンセンサーの位相検出によって、カメラがフォーカスすべき方向を知ることができます。

 ミラーレスカメラのオートフォーカスのもう一つの利点は、演算するフォーカスモードの存在です。今日のほとんどのミラーレスカメラは、オンセンサー、ハイブリッドオートフォーカスシステムを使用しているため、アイトラッキングや顔検出のようなシーンの要素を解釈するための処理を実際に行っています。


3. プレビュー画像とファインダー

 どの価格帯のデジタル一眼レフカメラでも、デジタル一眼レフカメラには光学ファインダーが欠かせません。対照的に、ミラーレスカメラは電子ビューファインダーを使用しています。このセットアップでは、画像は光学ミラーとペンタプリズムを介してではなく、センサーの読み出しから直接表示されます。実際、下位機種のミラーレスカメラには電子ビューファインダーが搭載されていないものもあり、写真の構図を決めるには背面の液晶画面を使用することになります。

 電子ビューファインダーは、ミラーレスカメラの初期の世代では、解像度の低さや大きさに悩まされていましたが、技術の進歩により、最近のモデルでは、このような問題はほとんど見られなくなりました。


4. 手ブレ補正

 オートフォーカスの次に、手ぶれ補正もミラーレスカメラがデジタル一眼レフカメラとの差別化を図る大きな分野です。デジタル一眼レフカメラとミラーレスカメラの両方には手ぶれ補正システムがありますが、大きく異なります。


レンズベースの手ぶれ補正

 ほとんどのデジタル一眼レフカメラはレンズベースの手ぶれ補正を使用しています。基本的には、これにより、レンズは垂直方向と水平方向の2軸に沿って手ぶれを打ち消すことができます。パナソニックのデュアルIS互換レンズのように、カメラのボディベースの手ぶれ補正とレンズにISを内蔵しているレンズもあり、より良い結果を得ることができます。

 レンズベースの手ぶれ補正は非常に効率的に機能しますが、特にコスト面での欠点があります。

ボディ内手振れ補正

 こちらはミラーレスカメラの写真とビデオのデフォルトとなっています。ボディ内手ぶれ補正では、センサーが移動し、振動を補正するために動きます。ここでの主な利点の一つは、上記で説明したパナソニックのデュアルIS互換レンズのようなレンズの手ぶれ補正とスタックしますが、ボディ内手ぶれ補正は、レンズに関係なく動作するということです。ボディ内手ぶれ補正は、より多くのバッテリー寿命を消耗しますが、安定した画像と滑らかな映像という利点があり、ここは大きな差となりえます。

 オリンパスOM-D EM-5やソニーa6500のようなミラーレスカメラには、ボディ内5軸手ブレ補正と呼ばれるものがあります。水平方向と垂直方向のアクセスに沿った動きに対応するためにセンサーをシフトすることに加えて、それはまた、3つの追加の軸を補正します:上下チルト、横から横への動きと回転。 これらはデジタル一眼レフカメラでは利用できない機能です。



5. 画質

 昔のミラーレスカメラは、イメージセンサーが小さいため、画質が悪く、特にセンサーが小さいとノイズが多くなり、光を取り込む能力が低下していました。
 しかし、カメラの多くの技術的進歩と同様に、メーカーはこれを微調整し、現在ではより高感度なチップとノイズを抑えるのに優れた小型センサーを製造しています。

 では、ミラーレスカメラとデジタル一眼レフカメラのどちらが画質が良いのでしょうか?これはなかなか即答しにくい質問です。ミラーレスカメラは、より計算された方法で写真を撮ることができますが、画質はミラーレスとデジタル一眼レフよりもブランドによって異なる傾向があります。


6. ビデオ画質

 昨今カメラを選ぶ上で、動画の画質が重要な要素になってきています。ソニー内部でa7Sに対してa7R、ニコンでのZ6対Z7、パナソニックのGH5対GH5Sなどのように、多くのブランドでは、写真用と動画用の2つのミラーレスモードが用意されています。

 いまや4K動画は、ミラーレスカメラの大半で標準となっていますが、デジタル一眼レフカメラは、この機能を提供するのに出遅れています。また、オンセンサーハイブリッドオートフォーカスシステムとボディ内手ぶれ補正も、ミラーレスカメラがデジタル一眼レフカメラに比べて高い動画品質を実現するための重要な要素となっています。

 ビデオに関してもう一つ考慮すべき点は、ビデオ録画の時間制限です。ほとんどのデジタル一眼レフカメラの落とし穴の1つは、30分の録画制限(実際には29分59秒)です。多くのミラーレスカメラは、メモリカードがいっぱいになるまで、またはバッテリーがなくなるまでカメラが継続的にビデオを記録する連続録画が可能となっています。

 ミラーレスカメラは一般的に動画に適しています。たまにしかビデオを必要としない場合は、デジタル一眼レフカメラを使用しても大丈夫ですが、ビデオを重要視する場合は、ミラーレスカメラの方がより多くの機能とより良い品質を持っていると言えるでしょう。

 

7. バッテリーの寿命

 バッテリー駆動時間は、デジタル一眼レフカメラが実用的に大きなアドバンテージを持つ機能の一つです。

 ミラーレスカメラのバッテリー寿命は平均してかなり短く、通常は1回の充電で約300~400枚の撮影となります。
 一般的なデジタル一眼レフカメラはそれに比べて、1回の充電で約600~700枚の写真を撮ることができます。
そのため、両方のシステムの最上位モデルでは、通常、1回の充電でより多くのショットを撮影することができます。ソニーa7シリーズのようなミラーレスカメラは、バッテリーあたり700枚のショットを撮影できるかもしれませんし、プロのデジタル一眼レフカメラは、1回の充電で1000~2000枚のショットを撮影できるかもしれません。

バッテリー寿命
 ミラーレスカメラはデジタル一眼レフカメラに比べてバッテリーの寿命がかなり短くなっています。
 また、写真撮影、ビデオ撮影、またはその両方を組み合わせて撮影するかどうかも考慮する必要があります。両方のシステムのバッテリー寿命は動画で大幅に消耗しますので、動画に焦点を当てている場合は、一日中撮影しない場合でも、ミラーレスカメラのバックアップバッテリーを用意しておく必要があるでしょう。

パワーアップ
 また、ミラーレスカメラとデジタル一眼レフカメラの起動速度の速さも考慮する必要があるかもしれません。デジタル一眼レフカメラは、信じられないほど早く起動することが知られています。対照的に、ミラーレスカメラは重要なショットを逃すのに十分な時間になる場合があります。


8. 耐久性

 デジタル一眼レフカメラの設計は20年以上も前から洗練されてきたので、耐久性に優れているという評価を得ているのは当然のことです。

 またデジタル一眼レフカメラは、おもにハイエンドモデル向けに合金ボディとフルウェザーシールを施す傾向があるのに対し、キヤノンのRebelシリーズやニコンD3300のようなエントリーレベルのカメラはプラスチック製のため、耐久性に問題があるかもしれないと言われています。

 フルウェザーシーリング
(防塵防滴処理)は、ソニーのa6600やa7シリーズのような多くのミラーレスカメラで提供されています。過酷な環境で使用する場合は大きなアドバンテージとなります。




まとめ

 ミラーレスカメラはデジタル一眼レフカメラに取って代わるのか?


 2021年時点で、デジタル一眼レフカメラは、カメラの販売台数でトップを走り続けていますが、今後カメラを選ぶ際に動画がますます重要な要素となっていくことは間違いありません。ミラーレスカメラが将来的にデジタル一眼レフカメラをシェアで超える可能性があるのはこの一点です。
 でも結論から言うと、デジタル一眼レフカメラが消えることはないでしょう。たとえミラーレスカメラがどんなに便利になっても、適材適所でデジタル一眼が必要な状況はなくなりません。どちらを選んでも、メーカーはユーザーを怒らせるようなことはしないでしょう。
 いずれにせよトレンドだけにとらわれず、あなたが今、自分がどんな撮影をしたいのか、その欲求に正直にしたがって選ぶのが最良のと言えるのではないでしょうか。

 

2021年2月12日金曜日

プレミアムなコンデジ

Fujifilm X100V



 X100シリーズの高品質な感触、レトロな外観、伝統的な露出制御を踏襲しながらも、このX100Vは、画像の合成や設定の調整をより簡単にするチルト式タッチスクリーンを搭載し、より多用途で最新のものに仕上がっています。固定焦点距離レンズは万人向けではないですが、細部までしっかり写る明るい光学系となってます。ジーンズのポケットに収まるだけのコンパクト性はないものの、手にした質感、所有欲を満たすずっしりした手触りは、まさにプレミアムな味わいがあります。


富士フイルムX100Vとは?

 X100Vは、富士フイルムが誇るX100シリーズの第5弾となるコンパクトカメラです。X100Vの内部には、最近のレンズ交換式アドバンストカメラであるX-T4、X-T3、X-Pro3と同じ26.1メガピクセルのAPS-Cフォーマットセンサーと処理エンジンが搭載されています。これは、有効焦点距離35mmの23mm F2.0固定レンズを使用しながらも、同じ品質の画像を撮影できることを意味します。

 ハイブリッドビューファインダーとチルト式タッチスクリーンを搭載し、高品質なボディと伝統的な露出制御を実現していまし。必ずしも万人向けのカメラではないですが、誰もが惚れ込むカメラと言ってよいのではないでしょうか。


スペック等仕様

発表日:2020年2月5日

センサー:26.1Mp X-Trans CMOS 4 APS-Cセンサー

処理エンジン:X-Processor 4

レンズ:フジノン23mm F2(35mm換算

感度範囲:ISO 80-51,200に拡張可能なISO 160-12,800

ファインダー:光学式。電子式ブライトフレーム表示、カバー率95%、倍率0.52倍のリバースガリレオビューファインダー、電子式:カバー率100%、倍率0.66倍の0.5インチ3,690,000ドットOLED

スクリーン:チルト式3.0 インチ 1,620.000 点、タッチスクリーン LCD

オートフォーカスシステム:最大425点の選択可能なAFポイントを備えたインテリジェントハイブリッド

連続撮影:メカニカルシャッター。11fps、電子シャッター。1.25倍クロップと30fps

最大映像解像度。DCI 4K(4096×2160)29.97p/25p/24p/23.98p、200Mbps/100Mbpsで最大10分

ストレージ:SD/SDHC/SDXC UHS-I

寸法(WxHxD):128.0×74.8×53.3mm/5.04×2.94×2.10inch(最小奥行32.7mm/1.29inch

重量:バッテリーとSDメモリーカードを含む478g/16.9オンス、本体のみ428g/15.1オンス




特徴

 通常、私たちはコンパクトカメラというと小さなセンサーを連想しますが、富士フイルムX100Vは、最近発表された富士フイルムX-T4や旧型のX-Pro3、X-T3を含む、富士フイルムの最新のレンズ交換式カメラと同じセンサーを搭載しています。
 このチップは同じX-Processor 4処理エンジンと結合されているので、画質に大きな開きはありません。

 新しいFUJINON 23mm F2固定レンズが搭載されています。本機のセンサーは、フルフレームカメラの35mm相当の焦点距離を持ち、ストリートやドキュメンタリー写真に人気のある選択肢です。また、F2.0の絞りは、背景をぼかしたいときに最適で、光量が少し落ちても感度(ISO)を押し上げる必要がない点が良いです。
 また、中央に2枚の非球面レンズを配置し、解像感を向上させた新光学構造を採用しています。

 X100シリーズのハイブリッドビューファインダーは、前機種でも魅力的な機能でしたが、今回のバージョンアップでは、その魅力をさらに高めたものとなってます。 この電子ビューファインダーは369万ドット、最大100fpsのリフレッシュレートを実現し、前モデルよりも高いコントラストと広い色空間を実現しています。

 ビデオは、富士フイルムX100Vでは30pでUHDとDCI 4K映像を撮影することができます。また、フルHDビデオを最大120fpsで記録することができ、スポーツ撮影などでスローアクションなども楽しめます。
 また、オプションの外部レコーダーに10ビットの4:2:2:2録画が可能なmicro-HDMIポートもあります。




作りとハンドリング

 多くのレンズ交換式カメラに搭載されているチップと同じサイズのセンサーを搭載しているため、超小型化はできないが、23mm F2のレンズは非常に小さく、スリムなデザインによりとコートのポケットにも収まるようになってます。

 耐久性と高級感を高めるために、天板と底板をアルミニウムから削り出しています。グリップが少し浅いのはフジフィルムカメラ全体に言えることですが、できればもう少し握りやすくしてほしかったです。


操作性
 
 X100Vは、従来のX100と同様に、トッププレートにシャッタースピードダイヤル、感度(ISO)ダイヤル、露出補正ダイヤル、レンズの絞りリングを備えています。X100Fとの大きな違いは、感度ダイヤルにバネが付いていないことです。

 露出補正ダイヤルは、天板の右奥にあり、ロックがないので、素早く簡単に調整できます。ただし、撮影の合間にカバンに入れて持ち歩く場合は設定を確認する必要がある。ありがたいことに、ストラップを肩にかけたり、体にかけたりして持ち歩いても、ダイヤルが簡単に動くことはありませんでした。

 前モデルからの大きな変化として、X100Vには背面にナビゲーションパッドがありません。これはショートカットへのオプションが失われたことを意味しますが、カメラの背面に親指を置くスペースが増えたことを意味します。また、Qボタンを押すことでクイックメニューを使って、必要な機能に素早くアクセスすることができます。

 オートフォーカスポイントの選択とメニューのナビゲーションは、カメラ背面のミニジョイスティックで行います。これはX100Fにも搭載されていますが、ナビゲーションパッドがあると重複するような気がします。


画面とファインダー

 モニターを内側に閉じていると、チルトスクリーンが搭載されていることを見逃してしまうかもしれません。スリムな3インチ162万ドットの画面は、カメラの背面にぴったりと密着しているので、ボディを圧迫したりすることは全くありません。モニターは画面の左下に小さなタブがあって、指先で素早く画面を起こせます。

 光学ファインダーは直視式なので、多少の視差誤差はありますが、被写体の見たままを覗くことになります。切り替え式になった電子ビューファインダーは、素早く画像を変換し極めて違和感のない映像となっています。プレビューも正確に表示され、ディテールもかなり充実していると言えるでしょう。


基本性能

 富士フイルムの26.1Mp X-Trans CMOS 4センサーとX-Processor 4エンジンの組み合わせは、X-T3やX-Pro3などのカメラでも素晴らしい画像を生み出すことが実証されています。

 絞り値がF2なので、それほど頻繁にISOを上げる必要はないでしょう。ISO 3,200までは、ディテールもしっかり保たれ、常用できる範囲となっています。

 X100Vの低ISOのRAWファイルは、ダイナミックレンジが良好で、必要に応じて3Evかそこらでシャドウを明るくすることができます。

 御多分に漏れず、富士のフィルムシミュレーションモードが用意されており、フジフィルム独自のフィルム再現が楽しいです。光学ファインダーで撮影しているときにも使えますが、電子ファインダーやスクリーンを使って撮影前にその影響を確認することができます。

 256ゾーンTTL測光システムは、マルチ設定でも十分な性能を発揮しますが、電子ビューファインダーで画像をプレビューして、可能な限り最高の結果を得られるようにしておくと便利です。



オートフォーカス性能

 X100Vのオートフォーカスシステムは、X100Fからステップアップしているが、フジのレンズ交換式カメラのシステムの水準よりは一歩劣るかも。

 シングルAFモードでは、コントラスト検出フォーカスを使っているかのように、わずかな遅れや前後調整が発生することがあるが、連写時にはほとんど動きがありませんでした。

 有効焦点距離35mmのX100Vのレンズは、スポーツやアクションの撮影には向かないが、愛犬が走り回ったり、こどもが遊んでいるときのシャープさは維持してくれます。
 ワイド/トラッキングAFシステムは、人が歩いているときにしか追従できませんが、ゾーンAFモードでは、カメラは人をシャープに撮影し続けてくれました。
 またX100Vの顔と目の検出機能は、静止した被写体では便利だが、動いている被写体では少し頼りない印象です。


動画

 X100Vのレンズとフォームファクターは、ビデオカメラとしては不向きかもしれないが、非常に有能である。必要に応じて静止画に合わせて撮影できるのは素晴らしいことです。
 ただし、内蔵のNDフィルターは静止画撮影時にしか機能しないので、浅い被写界深度で撮影したい場合はフィルターが必要になるでしょう。

 また、手ぶれ補正は内蔵されていませんが、X100Vは小型であるため、電子ジンバルを使用するのに適しています。ジンバルを持っていない場合は、三脚を使って手ブレを防ぎ、スローモーション再生時には高速フレームレートで撮影して、ぐらつきを滑らかにすることを検討してみてください。


バッテリー

 X100Vのバッテリー駆動時間は、スペック上で電子ビューファインダー(EVF)をノーマルモードに設定した場合で350枚、光学ファインダー使用時で420枚となっています。また、4K動画は29.97pで最大約55分、フルHD動画は59.94pで最大約75分の撮影が可能です。


まとめ

 富士フイルムのAPS-C判コンパクトカメラ「X100」シリーズは発売以来、人気を博してきましたが、今回も期待度どおりのアップグレードがなされました。26Mpセンサーへの変更は当然のことながら、レンズの再構築をもたらし、さらに画質が向上しました。
 ナビゲーションパッドを取り外すことで、カメラの背面がすっきりとし、設定の調整もしやすくなりました。また、チルト式のタッチスクリーンも新たな可能性を生み、クリエイティブなアングルからの撮影を容易にしています。
 価格は2021年現在、日本で13万前後、アメリカでも1400ドルと、けっこう高めですが、X100Vはプレミアムカメラであり、相応の価値はあり、持っていて損のない名機だと思います。


2021年2月11日木曜日

初心者のマイクロフォーサーズ

マイクロフォーサーズという選択



 デジタルカメラの話題の中心はいまやフルサイズ・ミラーレスです。ソニー、ニコン、キャノンという世界のトップカメラメーカーが競って最新の機種を発表し、そのたびに話題になっています。しかし、もちろんいま世の中で活躍しているカメラは


フルサイズ・ミラーレスだけではありません。これまでのデジタル一眼レフでは20年以上APS-Cサイズのセンサーカメラが主流でした。販売数でいえば、1/2.3インチセンサー搭載のコンパクト・デジカメが圧倒的シェアでした。時代の流れ、技術開発の流れとともに、より高性能、高機能のカメラを求めて、フルサイズへと流れは移行しているようですが、カメラすべてが一方向に集約するわけではありません。適材適所、それぞれのニーズや用途によって使われるカメラは変わってくるものです。
 そんな中で、マイクロフォーサーズ・カメラが担う役割というものについて考えてみたいと思います。




マイクロフォーサーズについて

 この記事では、マイクロフォーサーズとは何か、なぜこのシステムが存在するのか、他のカメラシステムとどう違うのかを説明します。私自身、マイクロフォーサーズ機を所有していますので、その良さや利点、弊害なども考えていきたいと思っています。

 この記事が終わる頃には、マイクロフォーサーズのだいたいの特徴や必要性はお判りいただけると思います。カメラの選択肢として、マイクロフォーサーズ機を選ぶのもきっと悪くはない選択だと思っていただけると存じます。


 この記事の最初の部分は少し技術的なものですが、マイクロフォーサーズを適切に説明するためには、このようなものを通過する必要があります。

マイクロフォーサーズとは?

 マイクロフォーサーズは、2008年にオリンパスとパナソニックから発売されたカメラシステムです。マイクロフォーサーズは、2008年にオリンパスとコダックが作ったフォーサーズシステムを進化させたものです。

 マイクロフォーサーズには、オリンパス、パナソニック、コダックというビッグネームが関わっています。発足当時からこのシステムには、デジタル一眼レフカメラとミラーレスカメラの両方のボディにユニバーサルレンズマウントが含まれていました。




 フォーサーズはデジタル時代に生まれたもので、デジタル一眼レフは一眼レフと呼ばれるフィルムカメラの進化形です。

 マイクロフォーサーズはフォーサーズの進化形ですが、ペンタミラーがありません。

ペンタミラーを収納するミラーボックスは、デジタル一眼レフカメラのレンズを通してファインダーを覗くことができるようになっています。ミラーボックスを取り外すと、ミラーレスカメラになります。
 しかし、ミラーボックスを外すと、画像を見るために何か他のものが必要になります。

 そこで登場するのがEVFです。EVFは電子ビューファインダーの略です。光学ファインダーを外した後は、これを他のものと交換するか、カメラの背面にあるスクリーンだけに頼らなければなりません。

 マイクロフォーサーズカメラのセンサーはAPS-Cやフルフレームカメラよりも小さくなっています。
 基本的に、マイクロフォーサーズカメラは他のシステムよりも小さく、デジタル時代に合わせて設計されています。ミラーはなく、その代わりにEVFがあり、カメラはより小さなセンサーを持っています。

 ここでちょっと既存のカメラ規格についておさらいしてみましょう。現状どのような種類のカメラがあるのでしょうか。
 カメラには2つの基本的なグループがあります。他にもありますが、主にこの2つのグループがあります。

デジタル一眼レフカメラ
 デジタル一眼レフカメラには、カメラ上部にミラーが付いています。これにより、ユーザーはミラーを通して、レンズを通して撮影されたシーンを見ることができます。これは、フィルムカメラである一眼レフを進化させたものです。

ミラーレスカメラ
 写真の用語の中には紛らわしいものもありますが、ミラーレスは良い用語です。ミラーレスカメラには、デジタル一眼レフカメラのようなミラーがない。実にシンプルな命名ですね。


他にどんな種類のカメラがありますか?

デジタル一眼レフとミラーレスは、さらに次の3つのカテゴリーに細分化されます。

フルフレーム

APS-C

マイクロフォーサーズ


 理論的には、これらのすべてのフォーマットでミラーレスカメラを作るることができますが、現状DSLRSはAPS-Cとフルフレームフォーマットでのみで使用されています。

 

センサーの役割


 センサーは写真を記録する部分です。センサーはフィルムと同じ仕事をしていると考えてください。

センサーのサイズ
 ここには、主に3つのセンサーサイズがあります。他にも中判、大判、そしてもちろんスマートフォンのセンサーもあります。ここでは、主なカメラシステムについて説明します。


フルフレーム
 フルフレームとは、幅36mm×高さ24mmのセンサーを搭載したカメラのことを指します。これは35mmフィルムのネガがデジタル化される前の時代にはあったサイズです。

APS-C

 APS-Cは、汎用性の高いいちばん一般的なフォトシステムです。ここでのポイントは、APS-Cセンサーはフルフレームセンサーよりも二回りほど小さいということです。APS-Cセンサーの大きさは約23.5mm×16mmです。


マイクロフォーサーズ

 マイクロフォーサーズのセンサーはさらに小さくなり、約17.3mm x 13mmとなっています。

センサーの値段
 センサーは作るのに高価なものです。そのため、大きなセンサーよりも小さなセンサーの方が製造コストが安くなります。小さなセンサーを搭載したカメラは、大きなセンサーを搭載したカメラよりも一般的に安く作れるわけです。

 APS-Cカメラに50mmレンズを装着した場合、センサーが小さいので、クロップファクター(35mm換算)と呼ばれるものを適用しなければなりません。APS-Cカメラの場合、クロップファクターは1.5(キヤノンAPS-Cカメラの場合は1.6)です。なぜ違いがあるのかはわかりません。


 レンズの焦点距離にセンサーのクロップファクターを掛ける - 50 x 1.6 = 80。

 APS-Cカメラの50mmレンズは、実際の焦点距離は80mmです。

 同じ原理をマイクロフォーサードカメラにも適用してみましょう。

 マイクロフォーサーズカメラの同じ50mmでも、実際には100mmになります。


マイクロフォーサーズのレンズ

 クロップファクターについて説明してきました。このことは重要です。すなわちレンズについて少し違った考え方をしなければならないということです。2倍のクロップファクターは望遠撮影には最適ですが、広角撮影にはもっと広い焦点距離が必要になることを意味します。
 私は12-40mmのレンズを持っていますが、これはフルフレームで24-80mmに相当します。これは私の標準レンズです。

 マイクロフォーサーズカメラ用のレンズは、APS-Cやフルフレームカメラ用のレンズよりもはるかに小さいのが利点です。
 しかも、あなたはオリンパスのカメラにパナソニックのレンズを置くことができます。逆もまた同様に可能です。

マイクロフォーサーズの利点
 異なるカメラの種類とサイズは、利用者のさまざまなニーズに対応できます。例えば、スポーツ写真家と風景写真家では使用するカメラ構成がが異なります。カメラにも多様性があるのは利用者にとってありがたいことです。
 マイクロフォーサーズの利点の一つは、まず軽量小型という点。旅行やちょっとした外出に持ち出しやすく、より多くの機会で使用することができます。また生産コストの面でも抑えることができ、作る側にとってもあらゆる面で負担を抑えることが可能です。
 マイクロフォーサーズの機能面では、望遠に強いということが挙げられます。コンパクトなレンズサイズで、より遠距離の対象をターゲットにできます。下の写真のように、APS-Cだとバズーカ砲みたいにデカくなる600mmズームレンズが、マイクロフォーサーズではこれくらいコンパクトに抑えられます。野鳥やスポーツ観戦などにも最適な選択と言えるでしょう。

 またパナソニックとオリンパスが同じ規格でカメラ=レンズを共有できるというメリットもあります。これにより互いのレンズ資産を合計すると、かなり充実したラインアップであることが分かります。


マイクロフォーサーズ生みの親
 マイクロフォーサーズカメラの主なメーカーはオリンパスとパナソニックです。ウィキペディアによると、マイクロフォーサーズカメラのボディはBlackmagic、DJI、JVC、Kodak、Sharp Corporation、Xiaomiからも入手できるそうです。交換レンズは、ライカ、シグマ、タムロンなどからう優豊富に出ています。中にはAPS-C互換レンズより比較的廉価で優秀なものもあります。今後は単焦点を中心に中華製交換レンズも選択肢に加わるも見込みです。


フルフレームカメラとの差
 昨年、スナップ撮影でCanon 6DとパナソニックLumix G8の両方を使って撮影しました。同じカメラの設定と構図を使い、両方のカメラでそれぞれのショットを撮影しました。
 キヤノン17-40mm F4 Lレンズに対してピッチのオLumix 12-40mm F2.8レンズを使用していました。結果はいずれも誤差範囲内の互角の戦いであったと認識しております。

 ただし大きく
プリントを刷ってみると、マイクロフォーサーズカメラで撮影した画像では、フルフレームのデジタル一眼レフカメラで撮影した画像よりも若干ディテールが失われていることは分かります。しかしそれはインスタグラムやSNS上で情報交換をするには十分なクオリティといえます。

 では、小さなセンサーは本当に問題ないのでしょうか? はいそれは大丈夫です。特殊な用途でもない限り、マイクロフォーサーズ機は少なくともAPS-Cと比べて何ら遜色のない好結果を出すことができます。それはおもにISO能力と画像処理エンジンの向上によるものと見られています。


マイクロフォーサーズに未来はあるか?
 昨年はオリンパスの売却問題が取りざたされ、パナソニックはフルサイズ機を発売したため、マイクロフォーサーズの行く末に疑問を抱く向きもあったようです。
 が、昨年以来オリンパスもパナソニックも入門機種が好調で、フルサイズやAPS-Cよりも大きな売り上げ実績を誇っています。私は、今後ますます
マイクロフォーサーズの需要は高まっていくだろうと予測します。
 

まとめ
 あなたが写真撮影に入りたいと思っていたり、スマホから実際のカメラにアップグレードしたいと思っているのであれば、マイクロフォーサーズは良いスタート地点だと思います。近年は画像処理エンジンの向上もあいまって、極めて高画質であらゆる被写体を余すことなく撮れるようになりました。値段も手ごろでかつ一般的に小さくて軽くて便利。こんな素敵なカメラを選ばない手はありません。一度その魅力に触れてみることをお勧めいたします。




2021年2月10日水曜日

大切なカメラを守ろう

カメラのセルフメンテナンス




 写真を撮るのは楽しいけれど、使ったら次使うまでバッグの中にそのままって事、ありませんか? 私もそれは他人事ではなく、昔ついついやりがちな事でした。以前勤めていたビデオ制作会社で、業務用のビデオカメラの保管が徹底されたいたことを受け、私も考えを改めるようになりました。今回は、あなたの大切なカメラを守るために必要ないくつかのチップスを書き記しておきたいと思います。

 
デジタルカメラのメンテナンスとケア


 わずかな時間の日常的なケアで、あなたのカメラは、末永く新鮮な輝きを保ち続けられます。あまり高価なメンテナンスは必要ありません。以下の項目を日頃心がけるだけで、カメラの寿命はぐっと延びること請け合いです。中には当たり前じゃん、と思われる事項も含まれていますが、人によっては本当に基本的なルールさえ無視することもあるのです。(まあそれはカメラに限ったことではありませんが。)


1. レンズキャップ

 カメラを使用していないときは、常にレンズにキャップをつけておきましょう。大事なレンズを保護し清潔に保ち、傷をつけず、レンズの内側と外側を安全に保つのに役立ちます。レンズキャプの付けはずしが面倒な方は、ひも付きのレンズキャップをお勧めします。レンズキャップの端っこにつけたヒモはカメラボディかレンズに結び付けられ、撮影の際はカメラにぶら下がる形となります。いちいちレンズキャップを外してなくす、見失うという弊害を回避できます。


2. レンズクリーナー

 レンズを綺麗に保つためには、こまめなクリーニングが欠かせません。とはいえ毎回撮影の後に、丹念に磨き込む必要はありません。撮影後のルーティーンとして、軽くほこりなどの汚れをふき取るわずかな時間さえあれば結構です。使うのはレンズに優しい専用のクリーニングクロスがいいでしょう。レンズ表面を傷つけないよう優しく拭くだけなので、習慣化しやすいのが良いです。次に使い捨てのティッシュタイプのクリーナーとウェットタイプのクリーナーが使いやすいです。ただしこちらはなくなると継続しなくなるため、現在私は使っていません。またレンズクリーニング溶液を使っての掃除はアウトドアのヘビーユーザーに最適です。カメラをアクティブに使ったあと、ごみやほこり、水滴の乾いた奴がレンズにこびりついたりします。専用のクリーニング溶液ならレンズの輝きを保ったまま綺麗によごれを落としてくれるので、いざという時のためにも用意しておくと助かります。
 その際面倒がらずに、同時にファインダーとモニター画面を拭くことも忘れないでください。一瞬で済む作業です。


3. ブロワー


 
 保管していても、自然とレンズやカメラにはホコリが溜まっていくものです。バッグからレンズを取り出すとき、レンズのフロントキャップを外した後、それぞれブロアーを使ってホコリを吹きとりましょう。隙間に詰まりやすい埃は放っておくとしつこく付着するので、早めにこまめにブロワーで吹き飛ばしてください。ブロアーはちょっとかさばりますが、バッグの中に常備していることが望ましいです。

 ブロアーを使うもう一つの場所をご存じですか? カメラからレンズを取り外す前にレンズの溝部分を吹きましょう。日頃目届かないところだけに、意外と汚れがたまりやすいものです。レンズ交換のすきをついてゴミはセンサーを脅かします。特に埃や砂地の多い場所に行った場合には、レンズ交換前に必ずその溝を吹くことが大事です。

 センサーにホコリがたまりすぎた場合は、軽いホコリの場合はハンドブロワーでシュッとやってください。(注意:缶タイプの圧縮空気は絶対に使用しないでください!) またブロワーも汚い部屋でセンサーに向けるとかえってホコリを付けることがあるので、注意してください。
 もしブロワーでセンサーの汚れが取れない場合は、専門業者のメンテナンスを検討してください。センサーの損傷は、あなたのカメラの命とりです。


4. カメラバッグ

高品質なカメラバッグやバックパックには、形やサイズ、色、構造が異なるものがたくさんあります。特に機材のコレクションが増えてくると、自分に合ったカメラバッグやバッグを見つけるのに時間がかかります。カメラを守るに十分なパッドが入っていて、クッション処理がなされているか、よく確かめてください。
 また撥水性や耐久性に優れた丈夫な素材であって欲しいです。レンズを複数持ち歩く人はマルチコンパートメントバッグを選びましょう。バッグの中で互いの機材がぶつかり合うリスクを抑えることができます。日常的なハイキングでは、バックパックやデイパックがあれば、カメラを保護しながら背中に負担をかけずに済みます。




5. カメラバッグの掃除

 意外と気が付かないのがバッグ内の汚れです。長く使い続けていると、バッグの中は小さなゴミや汚れ、バクテリアで満ちてきます。これではいくらカメラを掃除しても意味がありません。定期的にバッグは空にして、内側を掃除しましょう。掃除機などで吸引して些細なゴミなどは除去しておきましょう。


6. レインカバー



 雨の日撮影用としてレインカバーも用意しておきたい一品です。
アメリカでは、18インチのレインスリーブスの2パックがAmazonで6.50ドルで売られています。私は念のためにカメラバッグに常時入れています。雨の日に撮影することは少ないですが、川や海、公園の噴水などの他に、にわか雨など予期せぬ時にこれは威力を発揮します。一時的な代用品としては大きめのジップロックバッグも雨雪、水しぶき対策には有効です。



7. 湿気対策

 カメラのレンズは常に湿気の侵入に脅かされています。幸い私はやられたことがありませんが、高価なレンズにカビが生えて使い物にならなくなったという話はたびたび耳にします。一番良いのは専用の防湿庫を用意することですが、高価な機材を使うプロやハイアマチュアでなければそこまで投資はしにくいかもしれません。 
 そんな時はカメラの収まる大きさのタッパーウェアにシリカゲルなどの防湿材を入れて保管する手があります。シリカゲルの小袋は何かの購入の際によく入っていますよね。あれすぐに捨てる人が多いけれど、カメラユーザーは取っておくべきです。そう長持ちしないので、あのシリカゲルはできるだけ用意しておいて、カメラの防湿に役立ててください。



 カメラ、レンズ、三脚などのアクセサリーは高価な資産です。ほんのわずかなクリーニング習慣でカメラは長持ちしますのでくれぐれもケアをお忘れなく。また将来中古品として売りに出す場合も、美観の面で大きな差がつきます。美品として少しでも高値で売りたい場合は、きれいなカメラが有利ですよね。レンズだけでなく、ボディ本体や、三脚、フラッシュなどもこまめに磨きを入れてあげてください。

2021年2月9日火曜日

キャノンのカメラ

カメラ:世代交代の早さ




 かつてフィルムカメラが主流だったころ、その王様として長きにわたって君臨していたカメラがあります。言わずと知れたニコンのFシリーズです。このカメラはニコンはもとよりカメラ界のフラッグシップ機で、長きにわたってプロ写真家やカメラ愛好家から親しまれてきました。もちろん今も愛用しておられる方はたくさんいらっしゃいます。今の時代からみると、このカメラの歴史は実に悠々たるものです。なにせ、1959年に初号機が出て以来、ずっとベストセラーを続け、F2が出たのは12年後だったのです。F3はそれからさらに9年後。以降、F4、F5、F6までそれぞれ8年ずつかけてバージョンアップされてきています。
 じつに堂々たる進み具合。王様の貫禄を感じさせます。いまのタイムスパンからみると信じられない余裕ですね。

 昨今、カメラの技術革新は目覚ましいもので、毎年のように新しく出る機種が、1世代前のカメラのスペックを易々と更新し続けています。

 例えば、私が愛用していたキャノンのフルサイズカメラ、CANON EOS 6D。
 2014年の購入当時はまさに最新技術を駆使した、ミドルクラスのフルサイズカメラの決定版だと思っていました。事実、このカメラはキヤノンの一眼レフカメラで初めてWiFiとGPSを搭載した機種でした。しかも当時35mmフルサイズ機で最軽量、連写速度は4.5コマ/秒とまさに新時代を予感させるハイスペックだったのです
 ところが時の流れは速いもので、あれからまだたった6年半しかたっていないのに、すでに旧機種扱いで、中古販売でしか手に入らない代物となってしまいました。私も去年新しいカメラの資金にするため売却しましたが、びっくりするような安値になってしまいました。    購入当時はレンズキット付きで24万円ほどしましたから、6年という長さはカメラの価値をごっそり落とすに十分な時間となってしまったようです。

 ちなみに発売時のキャノンのサイトでは、以下のようなコピーで本機を紹介していました。


 ・・・“EOS 6D”は、入門機からのステップアップやハイアマチュアユーザーのサブ機として、35mmフルサイズセンサーが実現する高画質を手軽に楽しみたいユーザーに向けて開発された、軽量で小型なデジタル一眼レフカメラです。


■ 35mmフルサイズセンサーならではの高画質と豊かな表現力
新開発の35mmフルサイズCMOSセンサー(約2,020万画素)を搭載しています。フルサイズならではの美しいボケ味に加え、映像エンジンDIGIC 5+との組み合せにより、広いダイナミックレンジや美しい色再現、豊かな階調性を実現しています。また、常用ISO感度を最高ISO25600※2まで拡大したことで、暗所でもノイズを抑えた撮影が可能です。

■ 携帯性に優れる世界最軽量ボディー
シャッターユニット、ミラー駆動モーター、CMOSセンサーパッケージの小型化などにより、APS-Cサイズのセンサー搭載機「EOS 60D」(2010年9月発売)とほぼ同等の質量と大きさを実現しています。これにより、手軽に持ち運ぶことを可能にし、撮影領域を広げることに貢献します。

■ EOSシリーズ初、Wi-Fi対応の無線LAN機能・GPS機能を本体に内蔵
Wi-Fi対応のスマートフォンを使えば、静止画の撮影や、カメラ内のメモリーカードに記録された静止画(JPEG画像)のスマートフォンへの取り込みを遠隔操作※3で行えます。さらに、撮影地点の位置情報や、移動経路を記録するGPS機能も備えています。・・・

 

 当時としては最新のスペックも、今出ている新しいミラーレスの入門機にさえ、負けてしましそうな差となっています。ちなみに昨年入門機としてよく売れたCANON EOS KISS Mと比べてみました。

 2018年2月に発売されたCANON EOS KISS Mが24.0MPのAPS-Cセンサーを搭載したエントリーレベルのミラーレスカメラであるのに対し、2013年2月に発売されたCanon 6Dは20.0MPのフルフレームセンサーを搭載した中級デジタル一眼レフカメラです。ご覧の通り、KISS Mよりも6Dの方が5年古いだけです。この2台のカメラの年齢差がどれほど大きな違いになるかどうかを見てみました。

 これら2機種にはボディタイプの基本的な違いはあるものの、ミラーレスカメラは、サイズや重量の優位性と最近のフォーカススピードの向上により、デジタル一眼レフカメラの代替として真剣に考えられるようになってきています。

ここでは、私たちのより詳細な比較に入る前に、
EOS KISS MとEOS 6Dの主な機能を簡単に見てみました。


Canon Kiss M
発売日: 2018-02-26
映像エンジンDIGIC 8
24MP - APS-C CMOS Sensor
ISO 100 - 25600 ( expands to 51200)
Canon EF-M Mount
3インチ バリアングル・モニター
236万ドット電子ビューファインダー
連写速度10.0 fps 
4K (UHD) - 3840 x 2160 video resolution
Built-in Wireless
116 x 88 x 59 mm
390g. 

Canon EOS 6D
発売日: 2013-02-12
映像エンジンDIGIC 5+
20MP -フルフレーム CMOS Sensor
ISO 100 - 25600 ( 拡張 50-102400)
Canon EF Mount
3インチ固定モニター
オプティカルビューファインダー
連写 4.5 fps
Full HD - 1920 x 1080 video resolution
Built-in Wireless
Built-in GPS
防塵防滴ボディ
145 x 111 x 71 mm
770g. 

 明らかに差が出ているのは、まず映像エンジンの更新。これはもう致し方ないのですが、デジタルカメラの時代では、このセンサー性能に直結する映像エンジンの刷新はほかのどのポイントより重要と言われている部分なのです。それが5+から8ですからこの差は否定できません。次にサイズ。もちろんフルサイズ機とAPS-C機なので直接比較はできませんが、KISS Mの小型軽量化は画期的な差と映ります。また連写速度も毎秒4.5から10と大きく進歩しました。くわえてモニターが固定式からバリアングルへと飛躍しました。フルサイズと大きな開きがあるだろうと思っていたISO最高感度も25600と入門機がついに追いついてしまいました。これで価格もEOS KISS Mはレンズキット付きで、6万ちょいですから驚きです。

 このようにカメラが6年の歳月で、いかに目覚ましい進化を遂げるのか、まざまざと思い知らされます。もちろんこれはスペック上の違いだけで、実際の写真はまた改めて較べる必要はあります。EOS 6Dの描写力は今でも現役で通用する素晴らしいものですし、ボディの堅牢性などでは、今のカメラよりずっとしっかりしていると思います。なにより手に取ったずっしり感が頼もしく、じっくり撮るタイプの人にとってはこれほど相応しいカメラはあまりないものだと思っています。
 最新のカメラは確かに機能や性能でその実力は更新されるのですが、どうもツールの一部と化す感があり、愛着という面では昔のカメラの方が強かった気がします。
 これからもいいカメラは次々誕生するでしょうが、昔のニコンFシリーズのような持つだけでその価値がある、みたいなカメラは今後なかなか出てこないような気がします。