2021年5月11日火曜日

スマホ写真家になる

サムズアップ・アメリカ!

スマホでプロっぽい写真を撮る方法




近ごろめっきりスマホで写真を撮るのが常識となった時代、もうそろそろ現れてもおかしくないのがプロのスマホ・フォトグラファー。はい、そうです。専用のカメラを捨てて、スマホカメラで飯を食っていく写真家が現れるのは時間の問題だと思います。我こそはと思う方は今から準備していてはいかがでしょうか。

とはいっても撮影の予備知識が皆無ではなかなか世間に認められるような写真は難しいでしょう。写真の世界、または世間はそんなに甘くはないです。・・・でもね。そんなでも出てくるときはありますけどね。ある日天才的な感性の若者がぱーーッと発表したスマホ写真が、プロ・アマの垣根を飛び越えて世に出る、とかね。ありそうな気もします。そういう場合は既成の写真のセオリーや常識を超えた発想の大転換が必要ですけどね。


ともあれ、ここでご紹介するのは、はじめにカメラの基礎情報ありきで、スマホ写真をプロっぽく変える簡単な方法です。

最新のスマホカメラの性能は、もはや認めざるを得ないので、これなら天才でなくても、ちょっとした工夫でいわゆる「映える」が撮れるはずです。
日頃、「カメラがんばれ、スマホに負けるな」と言ってる私の主張とは矛盾する話ですが、これもまた時代の要請かなとも思っています。いつの日か、本当にスマホで思い通りの写真が撮れるようになった暁には、私もスマホ写真家を目指すかもしれませんしね。(笑)
では参りましょう。



あなたのスマホでいい写真が撮れる!

とりあえず高価なカメラは置いときましょう。そしてここはあくまでストリートフォト、あるいはスナップ写真に限定した撮影に限らせていただきます。でもこれらのヒントで、あなたのスマートフォンを完璧なストリート写真用カメラに変身させることができます。

SNSを見ても分かるように、いまやストリートフォトは、スマートフォンのカメラを含め、どんなカメラでも撮影できる娯楽です。近所の様子を記録したり、刺激的な場所を訪れたりするのが好きな人にとって、ストリートフォトは検討すべき有効な写真のジャンルです。

とりあえず必要な機材は、自撮り棒とリモコン機能のアプリです。つまり自撮り棒に付いているリモートシャッターボタンとの併用です。

ここでは、スマートフォンのカメラを使ったストリートフォトを最大限に楽しむためのヒントをご紹介します。



1. スマホカバーを使うと人間工学的に優れている

ストリートフォトの撮影を容易にするために、スマホカバー(できれば折りたたみ式のカバー)の使用を検討すべき理由はいくつかあります。

一眼レフカメラやデジタルカメラを使ったことがある人なら、スマートフォンのエルゴノミクス(人間工学)は、特にスピーディーな操作が求められる場面では劣っていると感じるでしょう。しかし立て置き用カバーを装着することで、スマートフォンをより使いやすくすることができるのです。

スマートフォンをストリートフォト用のカメラに変身させるためのアクセサリーとして、スマホカバーが最適な理由は他にもあります。ここではそのいくつかを紹介します。



破損防止

スマートフォンを落下などの不慮の事故から守ることは、常に良いアイデアです。ストリートフォトの撮影では、危険が伴うことが多いため、保険に加入するようなものです。

さらに、スマートフォンカバーは、雨や、屋根やパイプなどの上からの突然の水漏れからスマートフォンを保護するのに役立ちます。


三脚がわり

立て置き用の支えが付いているカバーを使用している場合、撮影では三脚と同様の機能を果たしてくれます。遠くから自分を撮影したいときや、補助なしで面白い視点から撮影したいときは、脚に立てかけるだけでOK。そして、比較的平らな場所にスマホを置き、リモートシャッターを使って写真を撮ることができます。なお立てかけできないカバーでも、エッジがラバー素材なら滑りにくく、壁や柱に立てかけても好みの角度に調整できます。

この方法は、ストリート写真を撮るときにも非常に有効です。例えば、公園のベンチに座っていても、スマホを横に置いて、誰にも気づかれずに目の前や横の風景を撮影することができます。


低い姿勢

誰もが知っている自撮りや一般的な写真撮影の際のスマートフォンの姿勢。しかし、スマートフォンのカバー、それも折りたたみ式のカバーを使えば、ストリートフォトを撮るときの単調さを大きく減らすことができます。

なぜならそれは、カバーをつけることで、スマホの持ち方が変わり、もう一方の手でリモートシャッターボタンを使って撮影できるからです。スマホを触ってシャッターを切る必要はありません。つまり、"リモート撮りの機能を活用する "ということです。

どこかに固定してリモートで撮る、これだけで撮る視点にユニークさが生まれ、なおかつスマホの弱点である手ブレを完全に解消してくれます。

カメラでファインダーを覗くときのような精妙な構図は望めませんが、うまく行けば新鮮で思いもよらないショットを得ることができます。





2. 自撮り棒のBluetoothシャッターボタンを外す

ストリートフォト用に折りたたみ式のスマートフォンカバーを採用する以外にも、自撮り棒にリモートシャッターボタンを追加することは、ストリートフォトの撮影に役立つ最も便利で一般的には知られていないトリックの1つです。

比較的安価な自撮り棒を購入して、Bluetoothで動作するリモートシャッターを外すだけです。これらのボタンは、同じく安価で広く出回っている一般的な電池で動作します。
ただし100均で売っているような安すぎる自撮り棒はお勧めしません。万が一部品が折れたりすると、高価なスマホが台無しになる恐れがあります。

すでに述べたように、シャッターボタンを手にすれば、片手にスマートフォン、片手にボタンを持って簡単に歩き回ることができます。この方法は、スマートフォンの人間工学的なマイナス面の多くを否定するものであり、特にグリップ力を高めるためにカバーを使用する場合には、その効果は絶大です。

自撮り棒は腕の延長のような機能ですので、使い方次第では通常のカメラでは届かない、あるいはあり得ない角度からの撮影が可能です。問題は伸ばし過ぎた時の手ブレですが、それさえ注意すれば、静止画でも動画でも、常識を覆す面白い観点を見出すことができます。


3. スマートフォンの設定とヒント

スマートフォンのカメラの設定(マニュアルモードやプロモードを含む)をすべて覚える以外にも、いくつかの設定や一般的なヒントがあります。


・スクリーンロックの時間を5分または10分に設定する。

・Bluetoothがオンになっていて、スマートフォンがリモートシャッターボタンに接続されていることを確認してください。

・ストリート撮影では、スマホカメラをオートモードにしておくのがよいでしょう。

・レンズは想定される被写体までの距離に十分な広さのものを選択してください。

・シャッター音やカメラの音は消しておきましょう。

・Bluetoothが使えない場合は、ボリュームボタンをシャッターにしておく。

・画面ロックがかかっている場合は、スマートフォンを振って起動するように設定する。




このほかにも、スマホ特有の設定があるかもしれませんので、注意が必要です。だからこそ、街に出る前にしっかりとカメラを試して、トラブルを最小限に抑えたいものです。

他にも、ウォーターマーク機能をオフにしたり、画質を高にしたりすることもできます。また、撮影時に位置情報を保存しておくのも有効な方法です。撮影した場所を保存しておけば、後日、その場所を再訪したときにも、撮影場所がわかります。



スマホでストリートフォトを楽しむためのヒント

ここで紹介したヒントは、スマートフォンをストリートフォト用のカメラに変えるためのものです。つまり、デジタル一眼レフカメラやポイントアンドシュートカメラに近い操作性を実現することができます。もちろん、大きな違いがあることは確かです。

もちろん、大きな違いはありますが、いわば土俵が大きく狭まったということです。ストリートフォトグラファーが従来型の大型カメラを持ち歩くよりも簡単に、至近距離から被写体を撮影することができるようになります。

ただし、次のような点には注意が必要です。

写真を撮るときに動いていると、十中八九、画像がブレてしまいます。解決法としては、ゆっくりとした動きで撮影するということです。しかし、「Remini」のように、画像のブレを取り除くことができるアプリもあります。上手く活用すれが失敗写真を激減させることも可能です。

撮影に際して一般的には、被写体に近づかなければなりません。これは、スマホのカメラには広角レンズが一般的に搭載されているからです。望遠レンズを使う場合は、ほとんど動かずに撮影しないとピントが合わない、あるいはシャープに写らないことがあります。このような場合は、通常のカメラの持ち方で被写体を拡大して撮影するのがよいでしょう。
そのためには、近距離での撮影を恐れてはいけません。被写体をどのようにフレーミングするかを考えてから、撮影に臨みましょう。


携帯電話の充電器を持ち歩く

常にカメラを構えて歩くと、バッテリーの消耗が早くなります。また、スマホは本来の用途である電話の発着信にも使用する必要があるかもしれません。

スマートフォンで撮影した特別な画像を、コンピューターソフトで後処理するのもいいかもしれません。「Luminar AI」などの写真編集ソフトを使えば、スマホで撮影した画像をより美しく仕上げることができます。




スマホはストリートフォトに役立つツールの一つ

一眼レフやミラーレスシステムの代わりにスマートフォンを使用することにはいくつかのデメリットがありますが、スマートフォンの大きなメリットは、常に持ち歩くことができるカメラであるということです。

ほとんどの写真撮影に必要な優れたカメラを所有していても、スマートフォンをストリートフォト用のカメラにスイッチする方法を知っていれば、カメラを家に置いてきてしまったときに便利です。


スマホの欠点

先述した通り、手ブレが大きな課題です。まだSONYなどの最新鋭カメラなどと比べると、オートフォーカスはまだまだ遠く及びません。

マニュアルでの操作限界もスマホの欠点で、なかなか思うようには取れず、結局スマホ任せのオートの方がいいやってことになりがちです。

拡大したときの、画像の粗さには目をつぶるとして、立体感や、質感を出すのはまだやはりカメラの方が優れています。

夜景がイマイチ。最新のiPhone等は電子的な処理で上手く高感度撮影をカバーしていますが、味のある夜景を写真の作品に仕上げるのはまだ難しいようです。SNSで見る分には申し分ないですが、大きくプリントして展示場に出すにはなお改良が必要なようです。

そして最大の違いは、撮る醍醐味が別次元だという事です。
カメラを長く手にしている者にとって、軽いスマホをタップするシャッター感は、なかなか違和感をぬぐえないものです。スマホ撮影だと割り切ってしまえば、それも気にならないかもしれませんが、多くのカメラ好きは、あのカメラのずっしり感。ファインダーを覗くワクワク感、メカニカルなシャッター音とその手ごたえに喜びを覚えるのです。またあれこれ手動で自分の狙いを定めて行く過程、その狙いが実現した時の喜びなど、カメラという道具を扱う所作そのものが、至福のひと時なのです。

なのでスマホにはスマホの利点があるように、カメラはカメラでいつまでたっても、廃れない魅力の塊であることを忘れないでください。

そのうえで、スマホでもかなりのいい写真が撮れることを認めて、その可能性を追求するもの新しい写真時代ではないでしょいうか?

私もこれから先、スマホのカメラがどこまで進化するのか興味があります。要は適材適所で、カメラとスマホを使い分けて、その両方の利点を活用していきたいと思っています。





2021年5月10日月曜日

木や花を印象的に撮る


サムズアップ・アメリカ!
植物の撮影で気が付いたこと




私は主にトレイルコースを歩きながら、野生生物や風景写真を撮っていますが、最近、植物園や自然の中で植物を撮影することにも大きな楽しみを感じています。このような小さな風景を撮影することは、風景写真よりも対話的な感じがします。ええ、植物とコミュニケーションを取りながら撮影する感覚です。

これは偶発的に見つけた小動物を反射的に撮るのとは対照的です。
動かない、逃げない植物は一見対処しやすいようにも思えますが、そこにはなにか別のアプローチが必要な気がするのです。というのも、ゆっくりと時間をかけて、細部を探し、小さな被写体をじっくりと撮影することが多いからです。

このように被写体をじっくり眺めて、細部を観察することは写真の新たな可能性を探るような面白みがあります。今回紹介する植物は、特別なものではありません。どんな風景や庭にもあるので、こんな身近なところにも魅力的な被写体があるじゃないかという無邪気な発見に満ちています。また、多くのカメラマンが何気なく見過ごしている風景だけに、個性的で独創的な写真を撮るチャンスがあると思えるのです。


撮影に際しては、どの案内書やガイドにもマクロレンズが必携とありますが、私は必ずしもマクロ単体を用意する必要はないと考えます。もちろん接写用にマクロレンズが最適化されていますが、初めは標準ズームレンズで植物に慣れることが大事だと思います。それよりも距離感とか、構図、光の当たり具合をいろいろ試してみるのが先決です。
私は散歩では標準ズーム一本でぶらぶら歩きながら、気が向いたらなんでも被写体にするので、広角から望遠までカバーするレンズが重宝します。今日は植物を撮ると決めた時は、単焦点の明るいレンズをカメラに付け、いざという時のためにマクロレンズを一本バッグに入れて歩きます。
レンズの最短撮影距離は短ければ短いほどよいでしょう。全体的にシャープな写真は、F16やF22などの小絞りにして、主要な要素にピントを合わせていきます。被写界深度の浅い写真なら、F2.8やF4などの絞り値を選択して、周囲をきれいにぼかすように心がけます。












植物を狙う際、私は多くの撮影で、レンズを被写体にかなり近づけて撮影しています。上の写真のように、気に入った構図が見つかるまで少しずつ試しています。この種の写真は、小さな変化が大きな違いを生むことが多いからです。また、下の被写界深度の浅い写真のように、カメラを手で持って、前後に自由に動かせるようにして、少しずつ位置を変えながら撮影することもあります。これらの基本的なテクニックに加えて、植物を撮影するためのいくつかのコツをご紹介します。



四季を通して植物を撮影する

自然の中でも、手入れされた庭でも、植物を撮影する機会は一年中あります。冬から春先にかけては、より慎重に被写体を探す必要がありますが、心を開いていればチャンスはいくらでもあります。冬場はなかなか色どりが少なく、植物を撮る季節ではないと思う方もいますが、そんなことはありません。寒いときだからこその、生の植物の姿はそこかしこにあります。むしろそんなときこそ、みんなと差をつけるチャンスだと思って外に飛び出しましょう。冬の植物撮影のポイントは色で勝負するよりも、植物特有のテクスチャーを強調することです。寒空の中で寒さに耐え、葉が落ちて枯れ木のように見える樹木でも、撮り方次第で季節感たっぷりの植物写真になります。またナンテンなど真冬に赤い実をつける木を見つけたら、灰色の樹木を背景にぼかして、鮮やかな赤い実の生命力を表現することができます。







模様やパターンを探す








自然は、注意深く観察することで、さまざまなパターンやテクスチャーを生み出します。時間をかけてじっくりと観察することで、撮影に適した様々な種類の小さなシーンを見つけることができます。上の写真は、繰り返しのパターンと一貫した色が特徴的なウッドソレルを撮影したものです。太平洋岸北西部のトレイルでよく見られる植物ですが、同じ高さに生えている状態の良い場所を探すのに時間がかかりました。そのおかげで、1回の露出ですべての要素にピントを合わせることができました。今度、カメラを持って出かけるときには、自然の中でこのようなパターンを探す時間を設けてみてください。地被植物、樹皮、サボテンなど、さまざまな植物には、探してみると面白いパターンやテクスチャーがあります。


浅い被写界深度を狙う



少なくとも風景写真好きにとっては、被写界深度の浅さとそれに伴うピンボケ要素を受け入れることは、考え方を大きく変えることになります。植物や花などの小さな被写体を撮影する場合、被写界深度が低いと、被写体が文字通りのものから抽象的なものに変わることがよくあります。花びらや茎、葉を撮影するのではなく、上の画像のように線や形を撮影するのです。このような抽象的な表現ができるので、被写界深度を浅くすることは、植物を撮影する上で非常に有効なテクニックです。

上の写真は、直径2センチほどの種もみを撮影したものですが、近づいてF2.8などの絞りを使い、ピント位置を変えて撮影することで、植物の中心部の放射状の性質を強調することができました。2枚目の写真では、同じ植物でもピントの位置や視点を少し変えただけで、種が逆さ傘のように見え、まったく違う印象になりました。同じ被写体を数分後に撮影した2枚の写真を見比べると、絞り開放で被写体に近づいて撮影した場合、ピントや被写界深度、パースペクティブを少し変えるだけで、印象が大きく変わることがわかります。




光を味方につける




逆光(光源が被写体の背後にある場合)は、撮影が難しい光の種類の1つですが、写真に面白みや雰囲気を与えることができます。この写真では、裸の冬の茂みと同じ高さに地面に寝そべり、低い太陽に向かって、浅い被写界深度を使って光と茂みの一部をボカしました。ネコヤナギやサボテン、多くの花のように、ぼんやりとした被写体は逆光によく耐え、自然な輝きを放っているので、写真にもよく写ります。このような写真を撮るためには、多くの実験と粘り強さ、そしてテクニックの完璧さが必要です。




接写




植物を撮影するとき、多くのの場合、被写体にかなり近づきます(大抵はレンズの最短撮影距離に合わせます)。近づいて撮影することで、雑念を払い、被写体を他と切り離して構図を整えたり、被写体の抽象的な要素を強調したりすることができます。池に浮かぶ蓮の花の写真の場合、必要とあらば足首まで水に浸かって撮らねばならないこともあります。



まとめ

日頃、風景を中心に撮っていた者が、いきなり目先の美しさに触れた時は、ファインダーから見える世界の違いに感動すら覚えます。特に微子的な観点から植物を細かに観察すると、その自然の造形美に改めて神を感じることもあります。「木を見て森を見ず」という言葉がありますが、「逆もまた真なり」ではないでしょうか。雄大な景色に見とれた次の瞬間に、足元の小さな植物のパターンから新たな世界が見える・・・。なんと素敵な事でしょうか。
これだから撮影はやめられません。

2021年5月9日日曜日

ネクスト: Damon Slayer

サムズアップ・アメリカ!

米国で「鬼滅の刃」の次に来るアニメ




いま全米の劇場で大ヒット上映中のDamon Slayerこと「鬼滅の刃:無限列車編」。

まさかアメリカでこの日本アニメがここまで評判になるとは思いもしませんでした。

これまで日本アニメの認知度で言うと、古くは「アストロボーイ(鉄腕アトム)」「マッハGO GO GO!」「セイラ―ムーン」「ドラゴンボール」「ポケモン」。そして「となりのトトロ」や「千と千尋の神隠し」など一連のジブリ作品が有名です。

逆に日本では超有名でかつアメリカで公開されたことがあるのにイマイチ受けなかった数多くの作品があります。例えば「ドラえもん」「ガンダム・シリーズ」「エヴァンゲリオン」「君の名は」などです。これらの作品は海外でも紹介されたと日本で報道されていますが、うちの子供たちに訊いても、クラスメートで実際に観た子は皆無。かろうじてタイトルを知っている子が数人という有様です。

そんな状況の中で、いま「鬼滅の刃」の認知度がぐんぐん急上昇しているのは、驚愕に値します。欧米でも多くのメディアがこの「Damon Slayer」を絶賛ではないにしても、快進撃を続ける理由をいくつか挙げてる理解を示しています。

一つにはマーケティングが功を奏したという事。親会社のSONYエンターテイメントの強力なバックアップで前宣伝も周到に行われたというのです。もう一つはここわずか二年程度で、ストリーミングによる日本アニメの紹介が、怒涛のように展開された事例を挙げています。じっさい、本国版NETFLIXは日本版と作品ラインアップがかなり違いますが、アニメに関しては、遜色のないほど豊富に日本の最新のアニメが揃っています。

こうした中で、一定の若年層がネットで「鬼滅の刃」のテレビシリーズを知った上で劇場に足を向けた。この構図ならば大ヒット御礼もうなづけるのですが、そこにはちょっと疑問が残ります。いくら若年層がネットで観たからと言って、劇場版の「無限列車編」はアメリカではR指定なのです。子供は観られない。ここは動員にブレーキがかかる懸念であったはずです。私もテレビシリーズは全部観ましたが、それありきでないと、無限列車編をいきなり観てもその感動は伝わらないと思ったのです。しかも舞台は大正時代の日本。おそらく欧米の99%以上の人はそんな時代背景など知るわけないです。さらに言うならば、映画のアニメーションは3Dが主流。欧米でアニメは子供が観るものという固定観念・・・などなど。

そういった大きなハードルを楽々と超えて、作品が評価されているのは、驚き以外の何モノでもありません。例えば「ガンダム」などはスターウォーズにも通じるものがあり、よりアメリカ人に受け入れやすいはずなのに、これまで何度となくテレビ放映されても、一部のサイファイ・ファンを除いて、それほど話題になることはなかったのです。

というわけで、「鬼滅の刃」ブーム現象は、作品本来の持つ魅力がアメリカ人のも伝わった、としか言いようがないのです。

ともあれ、この大ヒットで日本アニメに対するアメリカでのマーケットの流れが変わる可能性があります。売れるとわかれば、放っておかないのがアメリカ資本主義です。きっと第二、第三のDAMON SLAYERを探すはずです。

というわけで、これからは今アメリカで注目された(あるいはされつつある)日本のアニメから、ネクスト・ブレイクを模索しようかと考えています。とりあえずいま、アメリカで日本アニメの底流では何が起こっているのだろうかと、ググってみました。ネットではいくつかのジャパン・アニメーションの分析や期待、情報などが増えていることに気付きます。その中から、今回は、「2020年はアニメのすごい年だった」と述懐する「スリリスト」というサイとのアニメ紹介です。ここからも次に来るかもしれない、日本アニメの流れを感じ取ることができるのではないでしょうか? ちなみにこのライター、かなり日本アニメに造詣の深い人物のようで、一般のアメリカ人の意見とはかなり異なることをお断りしておきます。


Best Anime of 2020


1. 映像研には手を出すな


発売日:1月5日
監督 湯浅政明
アニメーション制作:サイエンス・サル

原作は、大童澄瞳の同名コミック。高校生のみどりと友人のさやか、つばめが、校内にアニメ部を設立し、自分たちでアニメ映画を制作しようと奮闘する姿を描く。アニメを好きになった理由を再確認させてくれるような、反対に直面する若き野心と未熟さをコミカルかつ真摯に描いています。この作品は、湯浅政明氏(デビルマン・クライベイビー、ピンポン・ザ・アニメーションなど)や『科学する』のチームが期待していたような作品です。また、ラップデュオのchelmicoと実験的なプロデューサーのOorutaichiが提供した、感染性の高いトリッピーなタイトルテーマと音楽を加えて、今年最も記憶に残る愉快なアニメの1つとなりました。

配信中です。Crunchyroll、HBO Max




2. デカダンス


発売日:7月8日
監督:立川譲
アニメーション制作 :NUT

監督の立川譲(『デス・パレード』、『モブサイコ100』)と脚本の瀬古浩司(『進撃の巨人』、『バナナフィッシュ』、『ヴィンランド・サガ』)が、2020年のベストアニメのひとつであるだけでなく、今年最大のアニメのひねりを加えた作品を生み出したことは、本当に驚くべきこと。デカダンス』は、終末後の世界で巨大な移動要塞に住み、その防衛者の一人になることを夢見る少女・夏目と、彼女の寡黙な指導者であり、その過去と性質に、この世界の本質と夏目の存在そのものについての計り知れない秘密が隠されている人物・鏑木の物語である。最初は「アタック・オン・タイタン」と「モータル・エンジン」を融合させたような印象的な作品だったが、すぐに「ウエストワールド」と「モンスターハンター」、そしてピクサーの「ウォール・イー」とディズニーの「レック・イット・ラルフ」を融合させたような頭脳派SFドラマへと変貌を遂げる。目の覚めるようなアクション、美しいアニメーション、そして頭がくらくらするほどのハイコンセプトな前提条件を備えた『デカダンス』は、2020年のアニメファンにとって紛れもない必見の作品である。

入手方法 Hulu、ファニメーション




3. ビースターズ


公開日:3月13日
監督 監督:松見真一
アニメーション制作:オレンジ

擬人化された動物たちの世界を舞台にしたこの作品は、穏やかだが気難しいルピナスのレゴシが、偶然にも感情を持たない乱暴なドワーフのウサギ、ハルと出会い、彼女に複雑な感情を抱くようになるというストーリーである。レゴシの原始的な感情の目覚めは、肉食動物である彼の立場によってさらに悪化し、彼はハルへの感情が単に狩りをして殺すための本能的な衝動なのか、それともそれ以上のものなのかという恐ろしい問題に直面することになる。技術的にも創造的にも、『Beastars』のすべてが素晴らしい。肉食動物と草食動物の間で対立する社会を微妙なニュアンスで描いていることや、構図や照明のセンスの良さなど、『BEASTARS』は不条理で、恐ろしくて、ムラムラして、心に響くアニメであり、他のアニメの中でも群を抜いています。

配信サービス Netflix




4. 呪術廻戦


発売日 10月3日
監督 パク・ソンフ
アニメーション制作:MAPPA

どこかで聞いたことがあるような気がしてならない。驚異的な身体能力と霊との対話能力を持つ運動神経抜群の高校生(板鳥遊里)が、誤って強大な力を持つ邪悪な存在(涼宮スクナ)の器となってしまったことから、平凡な生活から一転、仮面を被った風変わりな指導者(五条覚)のもとで、超自然的な能力を持つ戦士(柔術ソーサラー)になることになった。NARUTO」でも「BLEACH」でも「幽遊白書」でもない、「柔術廻旋」の素晴らしさをご紹介します。芥見下々の現在進行形の少年ジャンプ漫画を原作とし、シリーズディレクターのパク・ソンフー(『牙狼<バニシング・ライン>』)、キーアニメーターの山下真吾(『Birdy the Mighty Decode』)、作画監督の平松禎史(『新世紀エヴァンゲリオン』)などの模範的なアニメーターたちが指揮を執る。『柔術廻戦』は『鬼滅の刃』を楽しんだファンが次に目を付ける作品ではないでしょうか。巧みなアニメーションのアクションアニメのファンにとっては完璧な作品です。超自然的なホラーアクション、目まぐるしい戦闘シーン、奇妙なキャラクター、魅力的な日常生活のユーモアなどの爽快なブレンドで、今年初演される最も有望な新アニメのひとつです。

視聴方法 Crunchyroll、HBO Max




5. ドロヘドロ


発売日:5月28日
監督 林 雄一郎
アニメーション制作 MAPPA

林田Qの同名カルト・ダーク・ファンタジー・SFコミックを原作とする「ドロヘドロ」は、人間と、異次元の悪意ある魔術師によってキメラのような怪物に変えられた不幸な魂が増え続ける過酷な廃墟都市「ホール」を舞台にしている。このシリーズでは、記憶喪失の賞金稼ぎカイマンと親友の二階堂が、カイマンにトカゲの頭の呪いをかけた魔術師を探して、ホールの深部を探索していく。そうそう、彼は喉の奥に人間の頭を持っていて、カイマンが獲物を飲み込むとゼノモーフのように飛び出してきて、犯人を探すのだ。ここからさらに奇妙なことが起こる。ドロヘドロ』はダークで印象的なハイブリッドCGアニメで、ディストピア的なボディホラーとスローライフなコメディが融合し、2020年に公開される最もエキサイティングでユニークな新シリーズのひとつとなっている。

利用可能なサービス Netflix




6. アクダマ・ドライブ


発売日 10月8日
監督 田口智久
アニメーション制作:ぴえろ

ダンガンロンパ』の作者と『東京喰種』のスタジオが贈る、アニメ版『スーサイド・スクワッド』を想像したことはありませんか?それが『アクダマ・ドライブ』だ。本作は、関西が関東の属国と化した奇想天外なディストピアSF世界を舞台に、平凡な若い女性が、「悪玉」と呼ばれる凶悪犯罪者たちと偶然出会ったことで、爆発物付きの首輪を付けられ、ロボット猫の姿をした謎の恩人に頼まれて、不可能と思われる強盗を実行することになる。最初は荒唐無稽だったものが、夢中になるほど大げさで、視覚的に刺激的で、堂々と超暴力的なアクションショーとなり、「クールの法則」によって生死を分けることになります。もしあなたが、風に向かって注意を払い、暗黙の了解は臆病者のためのものであるかのように振る舞う番組を探しているなら、「アクダマ・ドライブ」はあなたのために作られたのです。

入手方法 Hulu、ファニメーション




7. グレート・プリテンダー


公開日:8月20日
監督 監督:鏑木 紘
アニメーション制作:スタジオウィット

枝村誠は日本一の詐欺師。枝村誠は日本一の詐欺師だと思っていたが、ローラン・ティエリーに見初められ、弟子入りすることになった。サンフランシスコ、シンガポール、ロンドンなど世界各地を旅しながら、犯罪者の中でも最も卑劣な大富豪を相手に商売のコツを学び、成長していく枝村の姿を、『オーシャンズ』のようなユーモアを交えて描く。監督は「91Days」「スピードグレイパー」の鏑木弘、脚本は古沢良太。「Great Pretender」は、死と隣り合わせの強盗劇であり、目を見張るようなアートデザイン、美しい景色、そして人を惹きつけるジャジーな音楽で構成されており、2020年に公開される新作アニメの中でも、最も優れた、記憶に残る、エキサイティングな作品の一つに数えられています。

利用可能なサービス Netflix




8. 進撃の巨人(シーズン4)


発売日:12月7日
監督 宍戸淳、林雄一郎
アニメーション制作 MAPPA

好評を博したアニメ「進撃の巨人」が、新たな恐怖と危機、そして新たなスタジオを得て、最終シーズンとなる第4期を迎えます。タイタンの正体が明らかになり、壁に囲まれた都市の正統な後継者が正座し、シリーズの真の敵である謎の本土の国マーリーが登場した人気のダークファンタジー・アクションシリーズの最終シーズンは、エレン・イェーガーからパラディ島と創世の巨人の力を奪うために最後の決死の作戦を展開するマーリー軍に視点を移し、再び予想を覆す展開となっています。AoT」の制作に長年携わってきたウィット社がシーズン3を最後に退社したため、MAPPA社と共同ディレクターの宍戸淳氏、林雄一郎氏がシリーズのフィナーレを飾ることになりました。前シーズンとの比較をするのはまだ早いかもしれませんが、「進撃の巨人 Season4」が今年の最大の作品の一つであることは間違いありません。

配信サイト Crunchyroll、Funimation、Hulu



まとめ

以上、今後アメリカでブレイクするかもしれない話題の日本アニメでした。少し前までは日本でのヒットとの間に大きなタイムラグがあって気になっていたのですが、近頃は翻訳スピードも速くなり、情報発信も日本からのみではなく、英語圏のファン層から積極的にSNSなどで広められるようになりました。実写の映画ではアジア圏で後れをとっている日本ですが、ことアニメに関しては、これからも大きくブレイクする可能性が多々ありそうです。
今後の展開に注目していきたいと思います。



2021年5月8日土曜日

トレイルカメラで野生観察

サムズアップ・アメリカ!
トレイルカメラの特徴を解説




トレイルカメラの性能の向上に伴って、アメリカでは近頃トレイルカメラの需要がどんどん伸びてきています。日本では一般的にセンサーカメラなどと呼ばれているものです。
トレイルカメラはざっくり言って、野外に設置して、センサーの感知機能で、動く生き物を捉えるためのカメラ、動画撮影装置です。
主に野生動物保護の目的で使われるのですが、近年はバードウォッチングと同じような感覚で、動物の生態を邪魔せず観察できる便利なグッズとして重宝されています。

どんな映像が撮れるのかというと、


このように夜間行動が活発になるシカなどの大型生物にはセンサーがよく反応してくれます。

また、


このように、餌場の近くの木に設置したトレイルカメラで野鳥の生態を観察することもできます。

野生動物の保護区や、野鳥観察フィールドなどでは要所要所に数十台のカメラを設置しているところがあります。野生の生態を細かに観察・分析して、生態をよりよく把握することで、動物rたちを守ることに役立てているのです。
もちろん野生生物に興味のある学生や趣味で野生観察をする人にも大好評で、このトレイルカメラの需要は今後ますます伸びるものと期待されています。


いま世に出回っているトレイルカメラはかなりの種類に登ります。代表的なものとしては、こういうものがあります。


Stealth Cam STC-DS4KMAX-STC



Bushnell 30MP CORE Trail Camera



SPYPOINT Link-S-V Solar Cellular Trail Camera


いずれも木などに括り付ける仕様のものが多く、カモフラージュ的なデザインで自然に溶け込むような形態が主流です。


トレイルカメラ(カメラトラップ)は、従来のデジタルカメラと同様に、メーカー、モデル、仕様、価格などが千差万別で、どれを選べばよいのか迷ってしまうほどです。
このガイドは、経験豊富なカメラ・トラッパーであるWildlife Savvy LtdのStephen Ellwood博士によって書かれた、トレイルカメラの一般的な特徴を紹介するものです。




トレイルカメラの仕組み

トレイルカメラの基本的な仕組みを説明することで、トレイルカメラの様々な機能を理解するのに役立ちます。トレイルカメラは、テレビのスタンバイ状態のように、電子機器がほぼ完全にスリープ状態になるように設計されています。完全に起動しているのはモーションセンサーです。
ほとんどのトレイルカメラには、防犯ブザーと同じPIR(Passive Infra-Red)検出器が搭載されています。PIRが動きを検出すると、カメラの他の部分が「目覚め」、光量の検出とそれに応じたフラッシュの点灯、フォーカスの達成、シャッタースピードの決定、イメージセンサーによる1枚または複数枚の写真またはビデオの撮影、写真/ビデオのSDカード(セキュアデジタル)への保存、カメラのスリープといった一連のイベントが迅速に行われます。

カメラがどこまで見ることができるか(視野)、何を撮ることができるかは、レンズ、レンズからの光を受けるイメージセンサーの種類、照明のレベル(太陽光またはフラッシュ)、トリガータイム(動きを検知してから写真を撮るまでの時間)の組み合わせによって大きく左右されます。
重要なのは、最近のほとんどのトレイルカメラは、従来のカメラの白色光のフラッシュとは異なり、赤外線(IR)のフラッシュを使用して、昼間はカラーの画像/ビデオを、夜間は白黒の画像/ビデオを撮影することができることです。
カメラの制御に必要なパラメータは、カメラ本体のスクリーンとユーザーインターフェースを介してユーザーが事前にプログラムし、必要に応じて変更することができます。カメラによっては、画像を見るのに適したスクリーンを内蔵しているものもあります。




トレイルカメラの主な特徴

トレイルカメラの主な特徴は以下の10項目です。


1. 動物を検知する機能
2. トリガータイム(動きを検知してから写真を撮るまでの時間
3. リカバリータイム(写真/ビデオが撮影されてから、次の撮影のためにカメラがトリガーできるようになるまでの時間)。
4. レンズ
5. フラッシュ/イルミネーター
6. 画質・映像
7. 画像/動画の設定とその効果
8. メモリー(SD)カード
9. パワーサプライ
10. その他の付加機能



1)動物を検知する機能

トレイルカメラの中には、外部の動体検知装置に接続できるものもありますが、多くはPIRを使用しています。PIRは、トレイルカメラの前の熱風景の平均的な変化を検出するもので、サーマルイメージャーのような特定の熱源を検出するものではありません。PIRは、背景と異なる温度の物体が動くと、その温度変化を検出します。そのため、PIRは、暖かい背景の前で動く冷たい物体にも、冷たい背景の前で動く暖かい物体(動物など)にも同じように感度が高く、すべて同じことを意味しています。
同様に、大きな動物が遠くに移動しても、小さな動物がカメラの近くに移動しても、どちらも背景に対する同じ温度変化を表していれば、簡単に検出されます。非常に大きな動物がPIRのすぐ近くにいても、動かなければ検出されません。
つまり、動きが速いほど、つまり温度変化の速度が大きいほど、PIRがカメラを作動させる可能性が高くなるのです。

PIRがこのような微妙な温度変化を検知できるかどうかは、使用するトレイルカメラのメーカーやモデルによって異なり、テストでしか判断できません。幸いなことに、ウェブ上で独自のテストを簡単に見つけることができます。
トレイルカメラの中には、カメラの視野内に動物が入ってくることを想定して、異なる方向に向けられた最大3つのPIRを採用しているものもあります。ここで、動物が写っていない写真のリスクと、予測の価値を比較検討する必要がありますが、多くの場合、1つの良質なPIRで十分です。


2)トリガータイム(動きを検知してから写真を撮るまでの時間)

動物が検出された後、写真を撮るときに動物がカメラの前にいるかどうかを決めるのがトリガータイムです。トリガータイムは、カメラのメーカーやモデルによって異なりますが、0.1秒という速さから1秒以上という遅さまであり、動きの速い動物を撮影できるか、完全に見逃してしまうかの分かれ目となります。
トリガータイムは、一般的にメーカーのウェブサイトに記載されていますが、これは速いトリガータイムが真のセールスポイントだからです。
動画を撮影する場合は、静止画に比べてカメラが動画記録システムを「目覚めさせる」のに時間がかかるため、トリガータイムは遅くなりがちです。そのため、動きの速い動物を撮影する場合には、ビデオ設定のトリガータイムが速いカメラを選ぶ必要があります。静止画の場合は、トリガータイムが早い方が動物の見逃しが少なくなりますので、お勧めです。


3)リカバリータイム(撮影後、次の撮影が可能になるまでの時間

トリガータイムが早くても、次の撮影のためにカメラがエネルギーを消費しなければならないのであれば、メリットはありません。最高のトレイルカメラは回復時間が全くなく、連続して複数の写真を撮影し続けますが、この機能は見落とされがちです。
想像してみてください。鹿の群れがトレイルカメラの前を歩いているのに、先頭の鹿しか写っていないとしたら、リカバリータイムが遅いために、次の写真を撮る前に他の鹿が通り過ぎてしまったからです。この問題は、動画の設定で解決できる部分もありますが、静止画の回復時間が遅いと、動画の回復時間も長くなってしまうのです。


4)レンズ

一般的にトレイルカメラには、固定焦点レンズ(=画角)が付属しています。これは、近距離でのピント合わせのためのものです。広角レンズを選択すると、多くのものを撮影することができますが、個々の被写体が小さく写ってしまう恐れがあります。一方、視野の狭いズームレンズでは、細かい部分を見落とす可能性があります。
メーカーによっては、特定のモデルに合わせて、工場出荷時に装着されているレンズを選択することができます。
Bushnell社のNature-Viewカメラは、非常に近い近点に焦点を合わせるように特別に設計されたユーザー交換可能なレンズを備えており、餌台にいる鳥を撮影するのに最適です。レンズについての情報は、メーカーのウェブサイトで確認することができます。


5)フラッシュ/イルミネーター

トレイルカメラのフラッシュ/イルミネーターは工場出荷時に装着されているため、フラッシュ/イルミネーターの種類によってカメラの使用シーンが大きく左右されるため、機種の選択が重要になります。
フラッシュとイルミネーターは、静止画を撮影する場合は瞬間的に発光し、動画を撮影する場合は長時間点灯する同じユニットなので、同じものと呼んでいます。
フラッシュには3つのタイプがあり、i)白色光(通常のカメラと同じで、暗闇でカラー写真/ビデオを撮影するために使用される)、ii)低輝度赤外線、iii)無輝度赤外線(別名ブラックフラッシュ、コバートフラッシュ)があります。
赤外線フラッシュは、白黒の画像を生成し、通常は夜間にのみ使用されます。赤外光は可視光との境界線上に位置しているため、白色光よりもシャイな夜行性動物に迷惑をかけることがありません。
一般的な低輝度フラッシュは、850nm前後の波長の赤外線を発するLEDアレイを使用しています。ほとんどのカメラは、850nmの赤外線に対する感度が白色光よりも低いですが、この照明の下では良質な画像を得ることができます。
850nmの赤外線の欠点は、人間の目にはかすかに赤い光が見えることで、経験的には動物にも見えることです。しかし、最近のカメラは赤外線に対する感度が向上しているため、さらに遠い940nm付近の赤外線を発するLEDアレイを使用することができるようになりました。この照明の下では、写真やビデオはより「粗く」なり、フラッシュの範囲も狭くなりますが、目に見える光は大幅に減少し、人間の目にはフラッシュユニットを直接見つめたときにしか見えません。 被写体を邪魔しないだけでなく、トレイルカメラのセキュリティにも赤外線フラッシュは有効です。深夜の明るい閃光でカメラの位置がわからなくなるため、盗難の可能性が低くなります。


6) 画質・動画

フラッシュの種類が画質に与える影響はすでに述べましたが、最も大きな影響を与えるのは、使用しているイメージセンサーの解像度です。解像度はメガピクセル(MP)という単位で表され、デジタル画像に記録されている画素の数を表します。1メガピクセルは100万画素です。メガピクセルの数が多ければ多いほど、画像の質は高くなりますが、メガピクセルの数が多いと、カメラのメモリー(SDカード)の使用量が多くなるというデメリットがあります。
現在、ほとんどのトレイルカメラは5MP以上ですが、「補間」された値には注意が必要です。補間された値とは、低解像度のイメージセンサーではなく、カメラのプロセッサが高解像度での画像を推定したもので、12MPの補間された画像は、完全な12MPの画像ほど優れたものではありません。


7)画像/動画の設定とその効果

静止画か動画か 静止画のカメラか、動画と静止画のカメラか、どちらを選ぶかは当然のことであり、現在ほとんどのカメラに搭載されており、価格も手頃であることから、両方を選択するのが妥当であると考えています。しかし、最も堅牢で信頼性が高く、電力効率の良い(下記9.参照)トレイルカメラの中には、市場で最も速いトリガータイムを持つものもありますが、静止画しか提供していないことを考えてみてください。
さらに、動画の場合、フラッシュユニットが動画の全時間にわたって照明を提供する必要があり(夜間)、動画は大量のメモリを使用することも考慮してください。そのため、長時間の撮影には適していません。
1枚の静止画と連続した静止画と動画の直接的な比較に加えて、現在、ほとんどのカメラでは、回復時間をほとんど必要とせずに連続した静止画(最大10枚)を撮影することができ、中には1秒間に約2枚の静止画を撮影する「ほぼ動画」を提供しているものもあります。
これらの「静止画の連続撮影」は、動画のように多くのアクションを捉えることができますが、バッテリーの消費量やメモリーのオーバーヘッドははるかに少なくて済みます。そのため、一般的な静止画と動画の組み合わせよりも、より質の高い静止画の撮影に特化したカメラを選ぶ方が良いでしょう。


8)メモリー(SD)カード

トレイルカメラのSDカードの容量は、設定によって早くなったり遅くなったりするので、できるだけ大きな容量のSDカードを購入したほうがよいと思われるかもしれません。しかし、お使いのカメラのSDカードの最大容量は、カメラメーカーに確認する必要があります。これは、SDカードに内蔵されているファイルシステムが容量によって異なるためで、例えば、16GBのSDカードに限定されていることがあります。
そのため、動画をたくさん撮影する予定の方は、大容量のSDカードに対応したカメラを選ぶとよいでしょう。また、SDカードのクラスについても考慮する必要があります。クラスとは、写真や動画をSDカードに書き込む際の速度のことで、現在は5つのクラス(2、4、6、8、10)が用意されています。数字が大きいほど高速なカードとなりますが、その分価格も高くなります。
あまりにも低いクラスのSDを選択すると、カメラのトリガーやリカバリータイムが遅くなり、カメラが全く動作しなくなる可能性があるため、誤った経済活動になることがあります。メーカーはどのクラスを選ぶべきかを推奨しています。



9) 電源について

トレイルカメラの電源は、通常、カメラの筐体に内蔵された単三電池で供給されます。しかし、一部のモデルには外部電源が用意されています。外部電源には、DC(主電源からの変換)、外部の大容量充電池(12Vの鉛蓄電池やリチウム電池など)、ソーラーパネルのいずれか、またはこれらを組み合わせたものがあります。
これらの外部電源オプションは、フィールドでのカメラの寿命を単三電池に比べて劇的に向上させる効果があり、特にビデオでフラッシュを多用する可能性がある場合には、特に有効です。
多くのユーザーにとってより重要なのは、どのタイプの単三電池を使用するかということです。電池は、充電式と非充電式(一次電池)に分けられます。一般的な充電式電池には、リチウムイオン(Li-ion)、ニッケル水素(NiMH)、ニッケルカドミウム(NiCad)などがある。リチウムイオン電池は高電圧に特化した用途が多く、ニカド電池は現在ではほとんど使われていない技術である。残るはニッケル水素。ニッケル水素は、一次電池に比べて容量が少ないです(すなわち、使用時間が短い)が、複数回使用することでコストを削減できます。
しかし、充電式は電圧が1.2Vとプライマリー(1.5V)よりも若干低く、また大電流を流すことができないため、メーカーによっては使用を推奨していないところもあります。そのため、フラッシュが弱くなるなど、性能が低下することがあります。
Panasonic Enloopのような高性能のニッケル水素電池もあり、一次電池のコスト削減の選択肢として考慮すべきでしょう。
非充電式の一次電池には、リチウム(二硫化リチウム鉄)とアルカリの2つの一般的なタイプがあります。リチウム電池は、アルカリ電池に比べて大電流を流すことができ、容量も大きく、寿命も長いのですが、価格がかなり高くなります。短時間の撮影や昼間の撮影にはアルカリ乾電池やニッケル水素充電池が適しており、長時間の撮影や夜間のフラッシュ使用にはリチウム乾電池や高性能ニッケル水素充電池が適していると言えます。



10) その他の付加機能

写真やビデオのリモートアクセス

カメラに携帯電話用のモデム(3G、4G、セルラー)やWiFiトランシーバーを内蔵し、トレイルカメラにリモートアクセスできるようにするオプションが増えています。これは、カメラが特にアクセスしにくい場所や危険な場所に設置されている場合、あるいは人間がカメラを訪れることで生態系が乱される危険性が高い場合に、画像や動画をリモートでダウンロードすることができる非常に便利な機能です。ただし、リモートアクセスには経済的なコストがかかりますが、画像を送信するとバッテリーが急速に消耗するため、実用上のコストもかかります。

タイムラプス

タイムラプス機能は、実験的な楽しみがあるため、注目すべき機能です。タイムラプスモードでは、動きを検出したときだけでなく、1分に1回など、一定の間隔で画像を撮影するように設定されています(両方を同時に撮影できるモデルもあります)。
一連の画像を動画としてつなぎ合わせることで、記録された一連の出来事を効果的に高速化することができます(1分間に1枚の画像を、標準的な動画の1秒間に25フレームで再生すると、1500倍の速度になります)。
これは、植物の成長を記録するときの手法です。タイムラプスは、PIRが作動しないような冷たい体の動物や、PIRを作動させるには動きが遅すぎたり、遠すぎたりする暖かい体の動物の画像を撮影するのに非常に有効です。

スケジューリング

スケジューリングとは、オンとオフの期間を設定する正式な用語で、電力を節約し、バッテリーを消費したりSDカードを満杯にしたりする不要な写真やビデオを減らすのに最適な方法です。例えば、夜行性の動物にしか興味がないので、カメラを夜だけ作動するようにスケジュールします。

セキュリティ

トレイルカメラは高価な機材です。撮影場所に戻って、素晴らしい写真が撮れることを期待してワクワクしていたのに、カメラが盗まれていたら最悪です。防犯対策としては、できるだけカモフラージュしてカメラを隠して設置することが第一ですが、物理的なセキュリティも少しは必要です。
多くのトレイルカメラには、パイソン社製のケーブルロックを通すための穴が用意されています(木に取り付けるため)。また、「ベアケージ」と呼ばれる、レンズ、PIR、フラッシュ用の穴があらかじめ開けられた、カメラ全体を入れることができるケージもあります。その名の通り、野生動物による被害や盗難を防ぐためのものです。

スクリーン

ほとんどのトレイルカメラには、最低でも1桁の高さの電卓のような画面が付いており、上述した様々なパラメータの設定に使用されます。録画した写真やビデオを確認できるだけでなく、カメラが見ているものをライブで見ることができる画面が内蔵されているものもあり、カメラの照準を合わせるのに非常に便利で、試行錯誤の手間が省けます。

ウォークテスト

トレイルカメラを狙う際に使用されるウォークテスト機能は、通常、PIRがトリガーされるとカメラの前面にあるライトを点滅させます。カメラの前で手や足を動かすことで、カメラの視野内で動く動物がPIRを作動させて写真を撮ることができるかどうかをテストすることができます。歩行テストは、PIRの検出範囲の盲点をなくすのに最適です。カメラは何かを見ているのに、PIRが画像をトリガしない場合があります。カメラを少し傾けるなどして、カメラの位置を変えるだけで、撮影はより成功します。

シャッタースピード

通常の写真撮影に慣れている方は、高速で動く被写体を撮影するには、速いシャッタースピードが必要であることをご存知でしょう。つまり、被写体が動いて画像がぼやけないように、短時間で静止画を撮影するのです。
しかし、シャッタースピードが速いと、カメラに入る光の量が少なくなるため、画像が暗くなることがあります。これらの法則はトレイルカメラにも当てはまりますが、高速、中速、低速という基本的なレベルであっても、シャッタースピードを調整できると良いでしょう。鳥を撮りたいだけなので、多少暗くても気にしないということもあるでしょう。プロ仕様のトレイルカメラの中には、シャッタースピードなどの基本的な機能をより細かく設定できるものもあるので、そういったものを探してみるのもいいかもしれません。


以上が初めての人のための、トレイルカメラの概要です。
野生動物に興味のある方は、一度お試ししてみてはいかがでしょうか。ただし目的を誤らないように。動物の捕獲やその他の犯罪に転用することは絶対に避けてください。あくまでも動物と親しみ、見守っていく暖かいまなざしでご利用くださいね。



2021年5月7日金曜日

EV:電気自動車新時代

サムズアップ・アメリカ!
Hyundai Kona EVの衝撃



2019年のデトロイトモーターショーで、北米カー・オブ・ザ・イヤー(NACOTY)が発表されました。そのときSUV部門で受賞したのがヒュンダイ・コナです。日本のクルマファンの間では??という反応だったのをよく覚えています。「自動車産業のオスカー賞」ともいわれるNACOTYは、アメリカとカナダの自動車評論家50名によって選出される、1994年から続く権威ある賞です。過去にはトヨタ・プリウスやホンダ・シビックなどの日本車が受賞し、のちに成功を収めています。KONA? 私も聞いたことのない車に戸惑いを覚えました。小型のSUVでEV版も出ていると知らされました。韓国限定販売かなと思っていたら、早々に北米デビューを果たしました。

この2019年前後を境に、アメリカでの韓国自動車の存在感はますます大きくなっていきました。ヒュンダイとKIAの2ブランドだけで小型車から中大型車まで隙間ない布陣でアメリカの自動車市場に新風を吹き込んでいます。

韓国ブランド躍進の背景には、圧倒的な資金力を背景にデザインを中心とした新車開発への投資、高度なマーケティング戦略が挙げられます。その結果、欧州や新興国、そして北米を中心に、「デザインがよく、価格もお手頃なコストパフォーマンスの良いクルマ」としての地位を築いていったのです。とりわけ私が挙げたいのはデザインのスマートさです。微妙にヨーロッパ車のレトロテイストを取り入れながら、日本車のコンパクト感を見事に融合させているのです。

SUV部門で受賞したヒュンダイ「コナ/コナEV」については、「間違いなく市場に受け入れられる、はじめてのEV」、「じゅうぶんな航続距離、手頃な価格、実用的な室内空間が素晴らしいドライビングダイナミクスと合わさり、コナEVの醍醐味だ」とデトロイトモーターショーの会場では、最大級の賛辞が聞かれました。それもむべなるかなです。

ただKONA EVに関してはバッテリーの火災問題でリコールがかかり、一時製造にも影響が出て足踏み状態となりかけました。ああ、これで北米でのデビューは台無しだな、と思っていました。

ところが2020年になって、町でぽつぽつKONA EVを見かけるようになりました。決して爆発的に売れてる感はないのですが、聞くと堅調な売れ行きで伸びているというのです。

ご覧のように、EV(電気自動車)はTeslaに代表されるように一目見て、ラジエーターグリルがないことが特徴です。このコンパクトなEVにしてSUVたるKONAが街角で走っているのを見ると、もう電気自動車の時代に突入しているなと実感します。EVとしては日産のLeafなどもときおり見かけますが、さほど売れているような気がしません。

最安ユニットの価格が$30885と小型車にしてはまだまだ高価な印象が強いのです。しかしKONA EVはなんと$37495と遥かに高い値段設定なのに北米では目立っているのです。この違いはデザインによるところが多いのではないかというのが私の見解です。


というわけでもう少し、この車をいろんなか角度から見ていきましょう。






KONA EV 2022 概要

2019年の北米デビュー以来、ヒュンダイのコンパクトSUV「Kona」は、電気自動車のベースとして最適であることが認知されてきました。2022年に発売される「Kona Electric」は、ガソリン車の長所をすべて受け継いでいます。Kona Electricは、4気筒エンジンの代わりに201馬力の電気モーターを搭載しており、大型のバッテリーパックは1回の充電で最大415.2キロメートルも走行可能です。
EVの航続距離は、盛り上がりを見せる電気自動車市場において最も重要な要素です。シボレーの新型ボルトEUVの航続距離は402.3キロとされており、テスラのモデルYは1回の充電で最大524.6キロメートルの走行が可能です。Kona Electricは、その競争力のある航続距離に加えて、軽快な加速と軽快なハンドリング、そして他に類を見ない標準保証と無料メンテナンスパッケージを提供します。




2022年の新機能

Kona Electricは2022年にスタイリングを一新し、新しいフロントとリアのバンパー、新しいデザインのホイール、そして10.3インチのデジタルメーターを標準装備した微調整されたインテリアを採用しました。また、最上級のUltimateトリムが廃止され、ベースモデルのSELとラグジュアリーモデルのLimitedにラインナップがシンプルになりました。

お勧めはSELにオプションのコンビニエンス・パッケージを装着したモデルです。SELの装備はかなり充実していますが、コンビニエンスパッケージを装着すると、サンルーフ、スマートフォン用ワイヤレス充電パッド、前席シートヒーターなどの魅力的な装備が追加されます。





エンジン、トランスミッション、パフォーマンス

201馬力の電気モーターで前輪を駆動し(四輪駆動はなし)、64.0kWhのバッテリーパックを搭載しています。テストコースでは、コナ・エレクトリックは、通常のコナよりも0.2秒速い6.4秒でゼロから60マイルまで加速しました。通常のKonaと同様に、電気自動車のドライビング・ダイナミクスは軽快で、曲がりくねった2車線を軽快に走るのが楽しいです。スポーツカーのようなスリルはありませんが、サブコンパクトSUVとしては魅力的な走りができます。また、高速道路での走行もスムーズで、重量のあるバッテリーをフロアに搭載し、低重心化しているため、どっしりとした安定感があります。




航続距離、充電時間、バッテリー残量

内容を一新したブレーキシステムにより、真の意味での*ワンペダル・ドライビングが可能となり、航続距離はBolt EVよりも1マイル少ない258マイルとされています。ステアリングホイールの後ろにあるパドルを引くことで、ドライバーは回生ブレーキのレベルを調整することができます。コナ・エレクトリックは、家庭用の110ボルトのコンセントで充電できますが、日常的にはお勧めできません。

*ワンペダル・ドライビングとは
伝統的な内燃機関を搭載した車には、ワンペダル・ドライビング「片足走行」というものは存在しません。しかし、プラグインハイブリッド車や電気自動車を運転した経験のある人にとっては、ユニークなメリットがあります。
基本的にワンペダルドライブは、その名の通り、ドライバーがハンドルを握る必要がない運転方法です。ドライバーがブレーキを踏まなくても、車を停止させることができます。EV車では、パワートレインがモーターに電気を要求して車を前進させ、加速します。しかし、止まるときにはその逆のことができます。車は運動エネルギーを使って電気に変え、その過程で速度を落とします。その間、回収した電子をバッテリーに戻すのです。これを「Regenerative braking」と呼びます。
同時に、このプロセスでは、油圧ブレーキの助けを借りて車を完全に停止させることができます。日産リーフの場合は、「e-Pedal」というモードで完全に停止することができます。完全に止まると、油圧ブレーキが働いて車が固定されます。
万が一、緊急停止が必要になった場合には、ブレーキペダルは通常通りに作動し、必要に応じて油圧ブレーキをロックして停止します。また、片側走行時にはブレーキランプが点灯し、後続車に減速を知らせることができます。




燃費と実走行でのMPG

コナ・エレクトリックは、EPA(米国環境保護庁)の総合評価で120MPGeを達成しています。しかし、実際の高速道路での燃費テストでは、86MPGeと160マイルの航続距離しか記録できませんでした。ただし、このテストは、冬になると氷点下を記録することが多い地元ミシガン州で、12月に2019年モデルを使って実施したものです。また、Bolt EVも同様の寒さの中でテストを行いましたが、航続距離は140マイルで、EPA評価値の238マイルを大きく下回りました。スペック表はあくまで最高に整った条件での結果であり、寒冷地に弱いとされるEV車の電池性能はまだまだ改良の余地がありそうです。





インテリア・快適性・カーゴエリア

Kona Electricのキャビンは、ガスエンジン車のキャビンとほぼ同じです。上質な素材を使用し、快適で、豊富な機能を備えています。後部座席と荷室は、サブコンパクトクロスオーバーとしては狭いですが、コナは当初からバッテリーパックを搭載することを前提に設計されているため、エレクトリックの室内空間が標準モデルよりも狭いということはありません。荷室も通常のコナと同じで、リアシートを装着した状態で機内持ち込みのスーツケースが5個が入ります。




インフォテイメントとコネクティビティ

全モデルに、Apple CarPlayとAndroid Autoに対応したタッチスクリーン・インフォテインメント・システムと、10.3インチの組み替え可能なデジタル・メーター・ディスプレイが搭載されています。ベースとなるSELモデルには8.0インチのタッチスクリーンが、Limitedにアップグレードするとナビゲーション付きの10.3インチ・ディスプレイが追加されます。オーディオシステムは6スピーカーを標準装備していますが、Limitedモデルにはより豊かな音を奏でる8スピーカーのInfinityオーディオシステムを搭載しています。




安全・運転支援機能

ブラインドスポットモニターと自動緊急ブレーキは全モデルに標準装備されていますが、アダプティブ・クルーズ・コントロールは最上級モデルのLimitedにのみ搭載されています。Kona Electricの衝突試験結果については、米国道路交通安全局(NHTSA)および米国道路安全保険協会(IIHS)のウェブサイトをご覧ください。主な安全装備は以下の通りです。


・前方衝突警告付き自動緊急ブレーキを標準装備

・レーンキーピング・アシスト付き車線逸脱警報を標準装備

・歩行者検知機能付きアダプティブ・クルーズ・コントロール(オプション

・保証とメンテナンスの範囲



北米において自動車の売り上げに極めて大きく影響すると言われているのが「保証」の内容です。ヒュンダイの保証内容はもはや伝説的なものとなっていますが、最近では3年/36,000マイルの無料定期メンテナンスプランが追加され、さらに充実したものとなっています。アメリカの各社や日本のメーカーでここまで行き届いた保証は見当たりません。
コナ・エレクトリック(およびその他の電気自動車)には、オイルやスパークプラグの交換がないため、無料の定期点検には、タイヤのローテーション、キャビンエアフィルターの交換、さまざまなシステムの点検が含まれています。ライバルとなるBolt EVやModel 3などのEVは、ヒュンダイの標準的な保証内容に遠く及びません。Kia Niro EVも同様の保証を提供していますが、無料の定期点検はありません。


保証期間:5年または6万マイル

パワートレイン保証:10年または10万マイル

バッテリーの保証期間は10年または10万マイル

無料メンテナンスは、3年間または36,000マイルまで。


コンパクトEVの部門で、いま一位は間違いなくこのKONA EVです。ええ、もはやこのクラスではテスラさえ追い越しました。(ちなみに業界紙などでは、二位はFord Mustang Mach-E、その次がテスラです。
日本版EVはまだまだそれらのクルマの後塵を拝している段階なので、これからの奮起が期待されるところです。

2021年5月6日木曜日

アメリカの偉人たち

サムズアップ・アメリカ!
世界を変えたアフリカ系アメリカ人発明家



アメリカでは毎日のように人種差別問題取り沙汰されています。そんな昨今ですが、同時になんとか差別のない平和な世の中にできないかと、真摯な取り組みをしている運動もあります。うちの子供の通っていた学区は9割が白人ですが、授業の中で、いかにアフリカ系アメリカ人が、合衆国の歴史発展に貢献したかを教えています。その中でもうちの子供が、小学生の頃に小論文として取り上げたジョージ・ワシントン・カーヴァ―は、アメリカ人なら知らない人はいないほど有名な発明家です。どんな発明をした人なのでしょうか? 日本人はほとんどこの偉人を知らないでしょうから、かいつまんで氏の略歴をご紹介してみたいと思います。






ジョージ・ワシントン・カーヴァー

カーヴァー(1860年代〜1943年)は、ミズーリ州の奴隷のもとに生まれました。折よく少年時代に南北戦争が終結したため、奴隷の出自でありながら教育を受ける機会を得ることができました。当時、アフリカ系アメリカ人の高等教育の機会は限られていましたが、カーヴァーはアイオワ州立農業大学で農業科学の学士号と修士号を取得しました。

卒業後、カーヴァーはブッカー・T・ワシントンに雇われ、アラバマ州のタスキギー研究所の農業部門を担当した。また、この地域の主要作物が綿花であったため、土壌から栄養分を奪ってしまうことから、この地域で自然に育つ作物を研究しました。その結果、マメ科の植物やサツマイモが畑を潤していたのですが、どちらもあまり需要がありませんでた。そこでカーヴァーは、地味なピーナッツを使って、洗濯用の石鹸からプラスチックやディーゼル燃料まで、300種類以上の製品を生み出したのです。1940年には、ピーナツは南部で2番目に大きな換金作物となりました。


ジョージ・ワシントン・カーヴァーの偉業と発明


ジョージ・ワシントン・カーヴァ―は、ピーナッツ産業の父と呼ばれていますが、科学や農業の世界では計り知れないほど重要な人物であり、神話と現実が混ざり合ったような人生を送っており、彼の功績にもそれが反映されています。

アフリカ系アメリカ人として初めて国定公園に登録された人物です。切手やコイン、さらには学校や米軍艦艇の名前にも彼の名前が使われています。しかし、彼の真の遺産はどこにあるのでしょうか? それは、私たちが今でも使っている発明や発見です。
そこで、彼の功績を称え、ピーナッツ・マン・カーヴァ―の偉大な功績のほんの一部をご紹介します。

輪作の先駆者

綿花の単作により、南部の多くの畑の土壌は枯渇し、ほとんど価値のないものになっていました。そこでカーバーは、ピーナッツや大豆を植えることで土壌に窒素を戻し、同時に南部の人々の食生活に必要なタンパク質を供給することを提案した。このアイデアは農業に革命をもたらし、特に大恐慌時代のダストボウルによる暴風雨の被害を受けた農家の生活を何世代にもわたって救うことになったのである。

ピーナッツの300の用途を発見

市場にピーナッツが大量に出回るようになると、需要よりも供給の方が圧倒的に多くなりました。しかしカーヴァーは再び行動を起こしました。実験室での長期にわたる研究の結果、彼はピーナッツを原料としたミルク、小麦粉、染料、プラスチック、木材の染色、石鹸、リノリウム、油、化粧品など、なんと300種類以上の製品を発明したのです!
カーヴァーの貢献の重要性を理解するには、その成果を見ればいいです。彼のアイデアが実行される前の1896年には、ピーナッツは公式には作物として認められていまませんでした。その後1940年には米国の6大作物の1つ、南部では2番目の作物となりました。

"ピーナッツマン "になる

カーバーの研究テーマは多岐にわたりますが、マメ科の植物との関わりが深まったのは、1921年に下院の方法・手段委員会に出席したときでした。
当初、委員会は無関心であったが、カーヴァーがピーナッツと関税の必要性について語ったことで、委員会は納得することになります。はじめは無関心だった委員会は、カーバーが発見したピーナッツのさまざまな用途を知らされ、その成果と可能性に魅了されたのです。その後、カーヴァーとピーナッツは、人々の間で切っても切れない関係となり、「ピーナツマン」と呼ばれるようになったのです。

歴史上の偉人たちから尊敬される存在に

ジョージ・ワシントン・カーヴァーの名声は、彼の生涯を通じて、作物と同様に順調に成長していきました。1896年、ブッカー・T・ワシントンはカーヴァーをタスキギー・インスティテュートの農業部門の責任者に任命し、その後40年以上にわたってその職に就きました。

セオドア・ルーズベルト大統領はカーヴァーの業績を高く評価しており、国家の農業問題についてしばしば助言を求めていました。また、氏はインド独立運動の指導者であったマハトマ・ガンジーの栄養アドバイザーを務めたこともあるそうです。

奉仕の精神

カーヴァー氏は、その業績が広く知られるようになる一方で、名声や富を追求することはありませんでした。実際、カーヴァーが発明したものの中で、特許を申請したのは3件だけだったといいます。
「特許を取らない理由の一つは、特許を取ると時間がかかりすぎて他のことができなくなるからだ。すべての人が利用できるようにすべきだと思うのです」氏はそう言いました。

自分のモチベーションを聞かれたカーヴァーは、「いつかはこの世を去らなければならない日が来る。そしてその日が来たら、自分の人生が同胞のために役立ったと感じたい」。

1943年に亡くなったカーヴァーは、生涯を通じて何度もそうしてきたように、自分がやろうとしたことを実行に移し、成功させたのだと思います。そして彼が残した業績は、今も受け継がれ発展し続けているのです。

カーヴァー氏の功績のほんの一端をご紹介しました。アメリカには彼の伝記本が低年齢層から大人向けまで何冊も出版されています。その影響力の大きさが察せられます。
アメリカの発展を支えたアフリカ系アメリカ人は彼だけにとどまりません。代表的な発明家だけでもたくさんいますので、以下にその人となり、プロフィールを掲載しておきます。
これだけでも米国には昔から優れたアフリカ系アメリカ人がたくさんいることが明白だと思います。


ヤン・エルンスト・マッツェリガー

19世紀には、一般の人は靴を買うことができませんでした。それを変えたのは、オランダ領ギアナ(現スリナム)からの移民で、マサチューセッツ州の靴工場で見習いとして働いていたヤン・エルンスト・マッツェリガー(1852-1889)でした。マッツェリガーは、マサチューセッツ州の靴工場で見習いとして働いていました。この機械を改良すると、1日に700足の靴を作ることができるようになったといいます。マッツェリガーの発明により、靴の価格が下がり、一般のアメリカ人にも手が届くようになったのです。




トーマス・L・ジェニングス

ジェニングス(1791-1859)は、アフリカ系アメリカ人として初めて特許を取得し、将来の有色人種の発明家が発明の独占権を得る道を開いた人物です。1791年に生まれたジェニングスは、ニューヨークで仕立て屋やクリーニング店を営んでいました。これは、パリの仕立て屋ジャン・バティスト・ジョリー・ベリンが独自の化学技術を開発し、歴史上初のドライクリーニング事業を確立する4年前のことです。

アフリカ系アメリカ人が特許を取得することには反対意見もありましたが、ジェニングスには抜け道がありました。彼は自由人だったのです。当時、米国の特許法では、「奴隷の労働の成果は、奴隷の主人が所有する」と定められていました。しかし、ジェニングスはそれを許さなかったのです。数十年後、議会は奴隷、自由人を問わず、すべてのアフリカ系アメリカ人に特許権を拡大しました。

ジェニングスは、発明で得たお金で家族を解放し、奴隷廃止運動に寄付をしました。







マダム・C.J・ウォーカー

ウォーカー(1867-1919)は、アメリカ初の自力で富を築いた女性の大富豪としてよく知られています。サラ・ブリードラブとして生まれた彼女の幼少期は、苦難の連続でした。20歳のときには、孤児と未亡人になっていました。

彼女の運命が変わったのは、兄弟が床屋をしていたセントルイスに移ってからです。抜け毛に悩まされていた彼女は、アフリカ系アメリカ人のビジネスウーマン、アニー・マローンが開発したヘアケア・レシピをはじめ、さまざまな製品を試していました。

ブリードラブはマローンの販売代理店となり、デンバーに移り住んだ後、夫であるセントルイスの新聞記者、チャールズ・ジョセフ・ウォーカーと結婚しました。その後、アフリカ系アメリカ人女性のために開発した育毛剤の販売を開始したのです。

ブリードラブは自らを「マダムC.J.ウォーカー」と名乗り、商品を大々的に宣伝し、アメリカ各地に美容学校やサロン、トレーニング施設を設立しました。彼女は有名な大富豪となってこの世を去り、今日ではアフリカ系アメリカ人のヘアケア・化粧品業界の創始者の一人とされています。




マーク・E・ディーン

マーク・E・ディーン(1957年生まれ)は、IBMに勤務し、ISAバスを設計したチームを率いたコンピュータ研究の第一人者です。ISAバスとは、プリンター、モデム、キーボードなどの複数の機器をコンピューターに接続するためのハードウェアインターフェースです。この技術革新により、パーソナルコンピュータがオフィスやビジネスの場で使われるようになる道が開かれました。

ディーンはまた、初のカラーコンピューターモニターの開発にも携わり、1999年にはプログラマーチームを率いて世界初のギガヘルツチップを開発しました。現在、このコンピューター科学者は、同社の9つの特許のうち3つを所有し、全体では20以上の特許を保有しています。ディーンは1997年に全米発明家協会の殿堂入りを果たした。




チャールズ・リチャード・ドリュー

チャールズ・リチャード・ドリュー(1904-1950)は、アメリカ初の大規模な血液銀行を設立した医師であり、多くの人々の命を守った功績で知られています。ドリューはモントリオールのマギル大学医学部に入学し、外科を専攻した。その後、コロンビア大学で輸血医学を学び、血漿の採取、処理、保存の主要な方法を確立しました。

1940年、ヨーロッパでは第二次世界大戦が本格化し、ドリューは「ブラッド・フォー・ブリテン」というプロジェクトを担当することになりました。ドリューは、ニューヨークの病院から何千パイントもの血漿を集め、ヨーロッパの兵士を治療するために海外に送り出しました。ドリューは、冷蔵トラックで血液を輸送する「ブラッドモービル」を導入した責任者でもあります。
翌年、ドリューはアメリカ赤十字社の下で軍人用の血液バンクを開発し、これがアメリカ赤十字社の献血サービスに発展しました。しかし、軍が人種によって献血を分けていることを知ったドリューは、抗議の意を込めて辞職しました。
1943年には、アフリカ系アメリカ人の医師として初めてアメリカ外科学会の審査員に選ばれています。




マリー・ヴァン・ブリタン・ブラウン

発明家でもあったマリー・ヴァン・ブリタン・ブラウン(1922-1999)は、現代の家庭用テレビ・セキュリティ・システムの先駆けとなる製品を開発した人物です。ブラウンが住んでいたニューヨークでは、犯罪率が高く、警察が緊急時に対応してくれないことも多々ありました。そこで、ブラウンと夫は、電動カメラで覗き穴を開けて、その映像をテレビモニターに映し出す方法を開発しました。さらに、外にいる人と会話するための双方向マイクと、警察に通報するための緊急警報ボタンも付けました。

ブラウンズは、1966年にこの閉回路テレビ・セキュリティ・システムの特許を申請し、1969年12月2日に承認されました。







パトリシア・バース

レーザー白内障手術を洗練させた「レーザーファコプローブ」という装置を発明し、眼科分野に革命をもたらした女性です。1988年に特許を取得し、今日ではアフリカ系アメリカ人の女性医師として初めて医療特許を取得した人物として知られています。

バースは、他の分野でも先駆者的な存在でした。アフリカ系アメリカ人として初めてニューヨーク大学の眼科レジデンシーを修了し、女性として初めて米国の眼科レジデンシープログラムの議長を務め、米国失明防止協会を共同設立しました。
さらにバースは、アフリカ系アメリカ人患者と、その他の患者との間の健康格差に関する研究により、「コミュニティ眼科」という新しい分野を生み出しました。この分野では、ボランティアの眼科医が、十分なサービスを受けていない人々にプライマリーケアと治療を提供します。




ジョージ・カルサーズ

氏はNASAが1972年にアポロ16号を打ち上げた際に使用した紫外カメラ・分光器の開発で有名です。また1974年には、米国初の宇宙ステーション「スカイラブ」で、新型のカメラを使ってハレー彗星などの天体現象を観測しました。
カラザースは2003年に全米発明家協会の殿堂入りを果たしています。







アレキサンダー・マイルズ

アレキサンダー・マイルズ(1838-1918)の生涯についてはあまり知られていませんが、ミネソタ州ダルースに住んでいた彼が、エレベーターの重要な安全機能である自動ドアを設計したことは分かっています。19世紀のエレベーターでは、乗客はエレベーターとシャフトの両方のドアを手動で開閉しなければなりませんでした。シャフトのドアを閉め忘れると、他の人が縦長の穴に落ちてしまう危険がありました。マイルズが1887年に特許を取得した設計では、この2つの扉を同時に閉めることができ、不幸な事故を防ぐことができました。現在のエレベーターにも同様の技術が採用されています。




以上のように、米国史に残る発明家だけでもこれだけ優れたアフリカ系アメリカ人がいるのです。肌の違いだけで人を判断するのは愚の骨頂です。近頃はコロナ禍のもとアジア人に危害を加える事件も頻発しています。人種や見た目で物事を判断するのは全く不毛の産物です。同じ人間同士、相手を尊重する思いやりが自然ににじみ出てくるような社会にならないと、いつまでたっても諍いは消えないと思いますよ。

2021年5月5日水曜日

いまAPS-Cのベストカメラは?

APS-C機を選ぶなら



一眼レフといい、ミラーレスといい、カメラの最先端の話題はすっかりフルサイズが主役の座を奪ったような感があります。それまでプロ、アマ問わずAPS-C一眼レフがメインストリームとしての役割を担ってきました。主要カメラメーカーもレンズメーカーもその製造、販売のボリュームはAPS-C一眼が圧倒的なシェアを占めてきたのです。
通常の流れから考えれば、次世代のカメラの主役は「APS-Cミラーレス」となるはずなのに、現状そうはなっていません。カメラのトレンドは一足飛びに、「フルフレーム・ミラーレスへ」と進化してゆく勢いなのです。
APS-Cという規格はもう時代遅れなのでしょうか?
否、決してそうではありません。ミラーレスのコンパクトさを活かしたAPS-Cサイズのセンサーを積んだカメラの可能性はまだまだ限りなく伸びていく余地があるはずです。
そこで今回は、APS-C機の将来を占ううえで、今出ているAPS-Cカメラのいいところをピックアップしてみました。これらの機種から優れたお所を見いだせれば、おのずとAPS-Cミラーレスの次世代機が浮かび上がってくるはずです。というわけで、改めてAPS-Cカメラの現状を見直してみましょう。


APS-Cカメラは、フルサイズカメラに比べて小型・軽量で、より遠くの被写体を画面いっぱいに写すことができます。APS-Cは、デジタル一眼レフカメラやコンパクトシステムカメラ(一部のプレミアムコンパクトカメラも含む)に搭載されており、センサーサイズの選択肢としては非常に人気があります。

APS-Cセンサーは、フルサイズセンサーほどではありませんが、フォーサーズや1インチ、一般的なスマホに搭載されている小型のセンサーなど、他の多くのセンサーよりも大きいサイズです。そのため、フルサイズカメラのような大きさではなく、ノイズコントロールや被写界深度の深さなどの利点があります。

ここでは、現在販売されているさまざまなカメラを紹介し、APS-C市場が提供する最高のものを紹介します。高画質、豊富な機能、優れた操作性などを考慮して、最終選考に残ったカメラを紹介します。


APS-Cとは何か?

APS-Cとは、Advanced Photo System Type-Cの略で、銀塩写真では後発となったシステムです。Advanced Photo Systemは、25.1mm×16.7mmの大きさで、画像のアスペクト比が3:2の新しいサイズのフィルムネガでした。

APS-C(クロップ)センサーは、フルフレームセンサーが35mmフィルムの1コマに対応するのと同じように、APS-Cフィルムの1枚のネガのサイズに対応しています。


APS-Cはフルフレームより優れているのですか?

しばしば、フルフレームカメラはAPS-Cカメラより優れているという認識がありますが、どちらにも利点があります。確かに、フルフレームカメラはセンサーが大きいため、より詳細な情報を捉えることができ、低照度下でも優れた性能を発揮します。しかし、APS-Cカメラにも利点があります。

まず、APS-Cカメラは小型軽量であること。また、APS-Cカメラは、野生動物の写真家にも人気があります。APS-Cカメラは、より遠くの被写体を画面いっぱいに撮影することができるからです。


では現状、発売されているAPS-C機で代表的なものを見てみます。




NIKON Z50



強力な機能を備えた小さな巨人と言いたいカメラ

センサー:APS-C。CMOS 
20.88メガピクセル
レンズマウント:ニコンZAFシステム。
ファインダー:236万ドット電子ビューファインダー
スクリーン:チルト式3.2型104万ドットタッチスクリーン
最大動画解像度:4K(30fps)、フルHD(120fps)。

長所:優れたサイズと形状。ニコン画質と言われる伝統の表現力。

短所:セルフィ―用チルトモニターが下向き。トレンドのジョ
イスティックがない。

ニコンはミラーレスカメラに本格的に取り組むのが遅かったかもしれませんが、Z50は誕生と同時にトップランナーに躍り出ました。
このカメラは、非常に素晴らしく、しっかりとした感触のあるカメラで、タッチ操作がうまく実装されており、画質もニコンならではの再現力で素晴らしいの一言です。

オートフォーカスシステムも良好で、光量の少ない場所でも動く被写体に対応することができます。

現在、ニコンDXフォーマットのZレンズは2本しかありませんが、今後さらに増える予定で、Fマウントレンズもアダプターを介して使用できます。また、Z50はフルサイズミラーレスカメラ「Z6」「Z7」と同じZマウントを採用しているため、レンズの交換が可能です。




NI
KON D500



さまざまな被写体に対応できるオールマイティなカメラ

センサー:
APS-C CMOS、20.9メガピクセル
レンズマウント:ニコンFマウント。
AFシステム:153点位相差AF。
ビューファインダー:光学式ペンタプリズム、。視野率100%。倍率1.0倍。
モニター: 3.2型チルト式。2359kドット。
タッチセンサー。
最大動画解像度: 4K。最大フレームレート:10fps


長所 タッチセンサー付きスクリーン、デュアルカードスロット

短所:モニター可動域が縦構図に対応しない。ライブビュー撮影が少しぎこちない。


ニコンD500レビュー

D500は、フルサイズ機の最上位機種であるD5と共通する部分が多く、魅力的な仕様が数多く盛り込まれています。D5と共通の優れたAFシステムとプロセッサーを搭載しており、10コマ/秒の高速撮影が可能で、さまざまなシーンで活躍します。

また、センサーの画素数は2,080万画素と比較的少ないため、非常に広い感度範囲での低照度撮影にも対応できます。

堅牢なボディに、豊富なボタンとダイヤルを備え、使いやすい操作性を実現しています。また、優れたビューファインダーとチルト式のタッチセンサーを搭載し、中級からハイアマチュアまで満足できる仕様となっています。




FUJIFILM X-T4



充実した機能と魅力的なオプションで、スタイルと本質を表現します

センサー:X-Trans CMOS 4 APS-Cセンサー 
26.1メガピクセル
AFシステム:FUJIFILM X インテリジェントハイブリッド。
最大425点のAFポイントを選択可能 ビューファインダー
0.5型369万ドット有機EL。視野率100%
モニター: バリアングル式3型160万ドット。
タッチパネル液晶。最大動画解像度: C4K(4096×2160)
59.94p/50p/29.97p/25p/24p/23.98p 400Mbps/200Mbps/100Mbps、
4:2:0 10bit SDカード内記録。


長所 速いAFとフレームレート、4K動画、IBIS

短所:指摘するほどの表立った欠点は無し


フジフイルム X-T4 レビュー

X-T3と同じ26.1メガピクセルのX-Trans CMOS 4センサーとX-Processor 4処理エンジンを搭載していますが、X-T4は、シャッタースピード補正値6.5Evの5軸ボディ内手ブレ補正、より静かなシャッター、より大きなバッテリー、優れた新機能のフィルムシミュレーションモード、バリアングルのタッチスクリーンを備えています。

X-T4は、X-T3と同様、C4K(4096×2160)のMOV動画を最大60pで撮影できます。しかし、MP4形式での撮影も可能です。

さらに、X-T3の2倍となる最大240p(連写時)のフルHD動画の撮影も可能です。スローモーションがお好きな方には朗報。

X-T4は、富士フイルムの画質に関するノウハウと相まって、Xシリーズのこれまでの最高機種であると同時に、現在購入できるミラーレスカメラの中でも最高の機種の一つとなっています。

X-T3のユーザーが自動的にアップグレードする選択肢ではないかもしれませんが、X-T1やX-T2のフォトグラファーはきっと気に入るはずです。さらに言えば、初めて本格的な富士フイルムのカメラを買おうと考えている人にとっても、非常に魅力的なカメラです。ただし独特の操作性に癖があるので、初心者にはややハードルが高いとも言えます。




SONY A6500



お金をかけずに超豊富なスペックを備えた素晴らしいカメラ

センサー:APS-C Exmor CMOS 
24.2メガピクセル。  
レンズマウント:ソニーEマウント
AFシステム:425点/169点ハイブリッドAF。
0.39型ビューファインダーは236万ドット。XGA有機EL、視野率100%
モニター:3型、92万1,600ドット。タッチセンサー、チルト式。
最大動画解像度: 4K、最大フレームレート:11fps


長所 :爆速で優れたオートフォーカス機能、高速撮影

短所:大きなレンズを装着するとバランスが悪くなる。ボタン操作が少し面倒くさい。


SONY αA6500のレビュー

ハイエンドのAPS-Cカメラの市場は非常に混雑しているが、ソニーA6500は素晴らしい機能を提供することで際立っています。

細かいディテールまで解像できる高性能なセンサーを搭載していますが、アクションやスポーツなどの高速撮影が好きな方には、スピードスペックに惹かれることでしょう。11コマ/秒の撮影が可能で、非常に高性能なハイブリッドAFシステムを搭載しています。

風景やポートレートなどの静止画を主に撮影する方には、より安価なソニーA6300をお勧めできます。

このカメラでは、長年の要望に応えて、ソニーがついにタッチスクリーンを搭載し、高解像度のビューファインダーが加わりました。また、4K動画も撮影可能で、全体的に魅力的な機能が満載です。




CANON 7D Mark II


エントリーモデルからのステップアップに最適な、堅牢なオールラウンドモデル

センサー:APS-C CMOS
 20.2メガピクセル
レンズマウント:キヤノンEF-S
AFシステム:65点クロスタイプAF(センターポイント・デュアルクロスタイプ) 
ビューファインダー:光学ペンタプリズム、倍率1.0倍、視野率100% 
モニター:3型、1040万ドット
最大動画解像度:フルHD。最大フレームレート:10fps



長所: 耐候性、優れた操作性
短所:固定式、タッチセンサーなしのスクリーン、4K動画なし

7D Mark IIは、今回取り上げたカメラの中で最も古いモデルの一つであるにもかかわらず、高性能なAPS-Cカメラを探している人にとっては素晴らしい選択肢となっている。中古で良品が出ていたらマストの一台。

キヤノンは7Dシリーズをいまだに更新していないため、フルフレームよりも小さいセンサーサイズでは、いまだに最上位の製品として君臨しています。様々な被写体を撮影することが好きなフォトグラファー向けに設計されており、10コマ/秒の撮影や高性能なオートフォーカスシステムによるアクション撮影など、様々なタスクに対応しています。

また、耐候性に優れた堅牢なボディは屋外での撮影にも適しており、トッププレートLCDの採用など、操作性にも優れています。かなりのハイスペックなので一枚上手の撮影を目指す人向け。




FUJIFILM X100V



ストリートフォトに最適な、レトロなプレミアムコンパクト

撮像素子:X
-Trans CMOS 4 
APS-Cセンサー。画素数:26.1万。
レンズ:フジノン23mm F2(35mm換算) 
AFシステム:インテリジェントハイブリッド
最大425点のAFポイントを選択可能
光学式ビューファインダー。(逆ガリレオ式ビューファインダーで電子ブライトフレームディスプレイ付)。視野率95%、倍率0.52倍、
モニター:0.5型369万ドット有機EL、視野率100%。
モニター:倍率0.66倍。3.0インチのチルト式。
162万ドットタッチスクリーンLCD。
最大ビデオ解像度:DCI 4K(4096×2160)、29.97p/25p/24p/23.98p、200Mbps/100Mbps、


長所:ハイブリッドビューファインダー、35mmの焦点距離は散歩用レンズとして最適

短所:価格が高い



富士フイルムX100Vのレビュー

富士フイルムX100Vは、コンパクトカメラであり、広く評価されている富士フイルムのX100シリーズの5番目のモデル。最近のレンズ交換式カメラであるFUJIFILM X-T4、X-T3、X-Pro3と同じ26.1MP APS-Cフォーマットセンサーと処理エンジンを搭載しています。

つまり、有効焦点距離35mmの固定式23mm F2.0レンズを使用しているにもかかわらず、同じ品質の画像を撮影することができるのです。

高品質なボディ、伝統的な露出コントロール、ハイブリッドビューファインダー、チルト式タッチスクリーンを備えています。万人向けではありませんが、多くの人に愛されるカメラだと思います。



以上、現行でマーケットに出回っている中で、特に優れたAPS-Cセンサーサイズのカメラをお求めの方には、要チェックの機種を羅列してみました。ご購入の参考と慣れが幸甚です。